【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、液体空気エネルギー貯蔵システムの極低温液体貯蔵タンクおよび冷気リサイクルシステムの圧力を制御するための改善された手段に関するものである。
【0031】
本発明者らは、液体空気エネルギー貯蔵システムで使用される極低温液体貯蔵タンクの内部の圧力を制御する問題は、再気化および膨張の後に、エネルギーを回収するために、極低温液体貯蔵タンクへの起寒剤の流れのほんの一部を再利用することにより、従来技術と比較して、より低コストかつより高効率で解決され得ることを理解した。この改善は、そうしなければ、タンクからの液体の流量により、タンクを再加圧するために不相応に大きく割高な周囲の気化器が必要になるような場合には特に有益である。もちろん、当業者なら自分の特別な要件に従って何らかのLAESシステムを設計するであろうが、本発明は、タンクからの流量が15kg/s以上のシステムでは特に経済的に有益であることが判明している。
【0032】
したがって、第1の態様では、本発明によって提供される極低温エネルギー貯蔵システムは、
出力部を有する少なくとも1つの極低温流体貯蔵タンクと、
流体貯蔵タンクの出力部からシステムの排出口まで極低温流体の流れを通し得る一次導管と、
タンクの出力部の下流の一次導管の範囲内の、極低温流体の流れを加圧するためのポンプと、
ポンプの下流の一次導管の範囲内の、加圧された極低温流体の流れを気化するための蒸発手段と、
蒸発手段の下流の一次導管の範囲内の、気化した極低温流体の流れを膨張させて気化した極低温流体の流れから仕事を抽出するための少なくとも1つの膨張ステージと、
一次導管からの極低温流体の流れの少なくとも一部分を分流して、分流された極低温流体の流れを流体貯蔵タンクへ再導入するように構成された二次導管と、
二次導管の範囲内にある、分流された極低温流体の流れの流量を制御することによってタンクの内部の圧力を制御するための圧力制御手段と、を備え、
二次導管が、少なくとも1つの膨張ステージのうちの1つ以上の下流の一次導管に結合されていることを特徴とするものである。
【0033】
少なくとも1つの膨張ステージによって膨張した極低温流体の流れの一部分を使用して流体貯蔵タンクを再加圧することにより、システムの往復効率が改善される。詳細には、前記少なくとも1つの膨張ステージにおいて仕事が抽出される極低温流体の流れのうちいかなるものも犠牲にする必要はなく、したがって、この膨張ステージは、タンクを出る極低温流体の流れのうち実質的にすべてを受け取ってよく、したがって、タンクから流れる流体から、前記少なくとも1つの膨張ステージによって抽出され得る仕事が最大になる。たった1つの膨張ステージの後に極低温流体の流れを分流することによって、効率向上が実現される。しかしながら、複数の(またはすべての)ステージの後に流れを分流することによってさらなる効率向上が実現される。
【0034】
本発明者らは、液体空気エネルギー貯蔵システムの冷気リサイクルシステムの加圧状態を維持する問題は、再気化および膨張の後に、エネルギーを回収するために、冷気リサイクルシステムへの起寒剤の流れのほんの一部を再利用することにより、従来技術と比較して、より低コストかつより高効率で解決され得ることも理解した。
【0035】
したがって、第2の態様では、本発明によって提供される極低温エネルギー貯蔵システムは、
出力部を有する少なくとも1つの極低温流体貯蔵タンクと、
流体貯蔵タンクの出力部からシステムの排出口まで極低温流体の流れを通し得る一次導管と、
タンクの出力部の下流の一次導管の範囲内の、極低温流体の流れを加圧するためのポンプと、
ポンプの下流の一次導管の範囲内の、加圧された極低温流体の流れを気化するための蒸発手段と、
蒸発手段の下流の一次導管の範囲内の、気化した極低温流体の流れを膨張させて気化した極低温流体の流れから仕事を抽出するための少なくとも1つの膨張ステージと、
極低温流体貯蔵タンクに貯蔵する起寒剤を生成するための液化装置と、
冷気エネルギーを貯蔵するための冷気庫と、蒸発手段からの冷気エネルギーを、冷気庫を介して液化装置へ運ぶために、冷気庫を、蒸発手段および液化装置に結合する配管と、を備える冷気リサイクルシステムと、
一次導管からの極低温流体の流れの少なくとも一部分を分流して、分流された極低温流体の流れを冷気リサイクルシステムへ導入するように構成された二次導管と、
二次導管の範囲内にある、分流された極低温流体の流れの流量を制御することによって冷気リサイクルシステムの内部の圧力を制御するための圧力制御手段と、を備え、
二次導管が、少なくとも1つの膨張ステージのうちの1つ以上の下流の一次導管に結合されていることを特徴とするものである。
【0036】
上記で言及された極低温エネルギー貯蔵システムの排出口は、作用ガスが、それを通って、大気または前記それぞれのシステムと共同設置された別のシステム(たとえば冷凍システム、空調システム)へ排出される、それぞれのシステムの一部分を指す。
【0037】
上記で言及された圧力制御手段が備え得る弁は、前記弁と連通している流体の圧力を制御するためのものである。
【0038】
少なくとも1つの膨張ステージによって膨張された極低温流体の流れの一部分を使用して冷気リサイクルシステムを加圧することにより、システムの往復効率に対する影響が最小限になる。詳細には、前記少なくとも1つの膨張ステージにおいて仕事が抽出される極低温流体の流れのうちいかなるものも犠牲にする必要はなく、したがって、この膨張ステージは、タンクを出る極低温流体の流れのうち実質的にすべてを受け取ってよく、したがって、タンクから流れる流体から、前記少なくとも1つの膨張ステージによって抽出され得る仕事が最大になる。たった1つの膨張ステージの後に極低温流体の流れを分流することによって、効率向上が実現される。しかしながら、複数の(またはすべての)ステージの後に流れを分流することによってさらなる利益が実現される。
【0039】
その上、第1の態様と第2の態様が組み合わされてよく、第1の態様の極低温エネルギー貯蔵システムは、
冷気エネルギーを貯蔵するための冷気庫を備える冷気リサイクルシステムと、極低温流体貯蔵タンクに貯蔵する起寒剤を生成するための液化装置と、冷気エネルギーを、蒸発手段から冷気庫を介して液化装置まで運ぶために、冷気庫を蒸発手段および液化装置に結合する配管と、
一次導管からの極低温流体の流れの少なくとも一部分を分流して、分流された極低温流体の流れを冷気リサイクルシステムに導入することにより、冷気リサイクルシステムの内部の圧力が上昇するように構成された三次導管とも備え、
三次導管が、少なくとも1つの膨張ステージのうちの1つ以上の下流の一次導管に結合されていることを特徴とするものである。
【0040】
三次導管は、一次導管と二次導管の間の結合部の下流で一次導管に結合されてよく、もしくは一次導管と二次導管の間の結合部の上流に結合されてよく、または三次導管と二次導管が同一の交点において結合されてもよい。極低温流体は、下流へ行けば行くほど、その圧力が低くなることが理解されよう。二次導管および三次導管の中のすべての分流された流体の圧力は、圧力制御手段によって制御されることになり、低圧用途では、高圧用途のために極低温流体の流れの一部分が用いられる位置よりも下流の(したがってより低い圧力の)一次導管のポイントから、極低温流体の流れの一部分を用いることが好ましい。
【0041】
好ましくは蒸発手段が熱交換器を備え、これによって、起寒剤を蒸発させるのに必要な熱が別のプロセスから再利用され得る。たとえば、蒸発手段は熱交換器を備えてよく、これは、極低温エネルギー貯蔵システムの別の部分からの熱(たとえば放出時の冷気庫や、タービン、液化サブシステムのコンプレッサ、熱貯蔵からの排気)、または前記システムと共同設置された別のシステム(たとえば発電装置、製造工場およびデータセンタ)からの熱を使用して起寒剤を蒸発させるものである。
【0042】
少なくとも1つの極低温流体貯蔵タンクは複数の極低温流体貯蔵タンクでもよく、二次導管は、各タンクに対して直列に、並列に、または何らかの適切な配置によって結合されてよい。極低温流体貯蔵タンクのうちの1つ以上の、システムに対する接続/切離しが可能になるように、二次導管が、弁を介して各タンクに結合されてよい。
【0043】
極低温エネルギー貯蔵システムは、第1の膨張ステージの直ぐ上流の一次導管の範囲内に加熱装置をさらに備え得る。これは、システムが、膨張ステージを1つだけ、または複数備える場合であり得る。その上、少なくとも1つの膨張ステージが2つ以上の膨張ステージを備える場合には、システムは、それぞれの隣接した対の膨張ステージの間の一次導管の範囲内に加熱装置をさらに備え得る。加熱装置は、熱交換器、廃熱の発生源、加熱器、または何らかの他の適切な加熱装置でよい。
【0044】
極低温エネルギー貯蔵システムは、複数の膨張ステージを直列に備える場合には、(タンクにより近い、比較的高い圧力の)上流の膨張ステージおよび(タンクからより遠い、比較的低い圧力の)下流の膨張ステージを必然的に備えることになる。その場合、上流の膨張ステージと下流の膨張ステージの両方が、タンクから出る極低温流体の流れの実質的にすべてを受け取って、前記膨張ステージによってタンクから流れる流体から抽出され得る仕事が最大限になるように、一次導管と二次導管の間の接続部は、好ましくは下流の膨張ステージの下流にある。
【0045】
任意選択で、二次導管は、少なくとも第1の分岐部および第2の分岐部によって一次導管に接続される。この構造により、2つ以上の位置からの流れが、一次チャネルに沿って、少なくとも第1の分岐部および第2の分岐部を介して合流することが理解されよう。一機構では、第1の分岐部と一次導管の間の接続部は上流の膨張ステージと下流の膨張ステージの間にあり、第2の分岐部と一次チャネルの間の接続部は下流の膨張ステージの下流にある。これにより、一次導管からの流体が、一方が他方より高圧である2つの位置において分流され得る。以下でさらに説明されるように、これは、分流された流体に別々の圧力が必要とされる場合、または接続点において利用可能な圧力の変化に応じる場合に有効である。
【0046】
極低温エネルギー貯蔵システムが第1の膨張ステージおよび第2の膨張ステージを備える場合には、一次導管と二次導管の間の接続部は、好ましくは第2の膨張ステージの下流にある。ここで、「第1の」は、流れが遭遇する最初の膨張ステージを指定するために使用され、すなわち、第1の膨張ステージは、タンクに最も近く圧力が最高の膨張ステージである。「第2の」は、第1の膨張ステージの直ぐ下流の膨張ステージを指定するために使用される。
【0047】
その場合、二次導管が少なくとも第1の分岐部および第2の分岐部によって一次導管に接続されているのであれば、第1の分岐部と一次導管の間の接続部は、第1の膨張ステージと第2の膨張ステージの間にあり、第2の分岐部と一次チャネルの間の接続部は第2の膨張ステージの下流にある。
【0048】
任意選択で、少なくとも1つの膨張ステージが第1の膨張ステージ、第2の膨張ステージおよび第3の膨張ステージを備え、一次導管と二次導管の間の接続部は第2の膨張ステージと第3の膨張ステージの間にある。ここで、「第3の」は、第2の膨張ステージの直ぐ下流にある膨張ステージを指定するために使用される。
【0049】
その場合、二次導管が少なくとも第1の分岐部および第2の分岐部によって一次導管に接続されているのであれば、第1の分岐部と一次導管の間の接続部は、好ましくは第1の膨張ステージと第2の膨張ステージの間にあり、第2の分岐部と一次導管の間の接続部は、好ましくは第2の膨張ステージと第3の膨張ステージの間にある。第1の分岐部と一次導管の間の接続部は、代わりに第2の膨張ステージと第3の膨張ステージの間にあってよく、第2の分岐部と一次導管の間の接続部は、圧力要件に依拠して、第3の膨張ステージの下流にあってよいことが理解されよう。
【0050】
二次導管が第1の分岐部および第2の分岐部を備える場合には、これらの分岐部は、好ましくは、第1の分岐部および第2の分岐部を二次導管の下流端へ選択的に接続するように構成された弁手段を使用して合流する。したがって、極低温流体の流れが一次導管から分流されるポイントが、環境に依拠して切り換えられ得る。
【0051】
弁手段は弁を備え得る。
【0052】
好ましくは、極低温エネルギー貯蔵システムは、
極低温流体貯蔵タンクに対して、極低温流体貯蔵タンクの内部の圧力を制御するように結合された周囲の気化器と、
タンクの上部隙間の内部の圧力、および二次導管との交点における一次導管の内部の圧力を感知するように構成された圧力感知手段とを備え、
二次導管との交点における一次導管の内部の圧力が流体貯蔵タンクを加圧するのに不十分なときには、周囲の気化器に、極低温流体貯蔵タンクの内部の圧力を制御させるように構成されている。
【0053】
したがって、二次導管との交点における一次導管の圧力がタンクを再加圧するのに十分であれば、このシステムはタンクを再加圧し得る。二次導管との交点における一次導管の圧力がタンクを再加圧するには不十分なレベルまで降下したときには、周囲の気化器の形態の補助の圧力源が引き受けてよい。
【0054】
二次導管が第1の分岐部および第2の分岐部を備える場合、一次導管と二次導管の前述の交点(すなわち、ここには周囲の気化器の起動を始動する圧力感知手段がある)は、一次導管と、二次導管の第1の分岐部または第2の分岐部のいずれかとの交点でよいことが理解されよう。しかしながら、二次導管との交点は、このポイントにおいて第1の分岐部の方が第2の分岐部よりも圧力が高いので、好ましくは第1の分岐部である。
【0055】
圧力感知手段は、流体の圧力を測定するための圧力センサを備え得る。
【0056】
極低温エネルギー貯蔵システムは、第1の分岐部および第2の分岐部を二次導管の下流端へ選択的に接続する前述の弁手段の動作を制御するように構成された処理手段をさらに備え得る。そのような弁の目的は、二次導管の下流端を(したがってタンクを)、タンクの圧力に最も近い(しかしタンクの圧力よりも高い)圧力を有する分岐部と接続することである。任意選択で、タンクの圧力は超過圧力をベント処理する調整弁によって一定に保たれてよい。したがって、弁に対する適切な制御を達成するために、システムは、第2の分岐部との交点において一次導管の内部の第1の圧力を感知するように構成された圧力感知手段を備え得る。処理手段は、タンクを加圧するのに十分なレベルを保っている第1の圧力を供給して(タンクの圧力を感知することにより、または調整弁の構成によって、そのように決定される)、第2の分岐部を二次導管の下流端に接続する。第1の圧力がタンクを加圧するのに不十分になると、処理手段は、二次導管の下流端に対して、第2の分岐部の代わりに第1の分岐部を接続するように構成されてよい。前述の構成を伴って、第1の分岐部は第2の分岐部よりも高い圧力にあることが理解されよう。
【0057】
処理手段が備え得る制御システムは、少なくとも1つの圧力感知手段から入力(測定された圧力値)を得て、少なくとも1つの弁手段および/または少なくとも1つの圧力制御手段を前記入力の関数として制御することができる。
【0058】
任意選択で、圧力感知手段は、第1の分岐部との交点における一次導管の内部の第2の圧力および/またはタンクの上部隙間の内部の圧力を感知するようにも構成され得る。
【0059】
いずれにせよ、処理手段は、第1の圧力がタンクの上部隙間の圧力よりも高いとき、弁によって二次導管の下流端を第2の分岐部に接続し、第1の圧力がタンクの上部隙間の圧力以下であるとき、弁によって二次導管の下流端を第1の分岐部に接続するように構成され得る。
【0060】
当業者なら、この説明が、タンクの上部隙間の圧力よりも高いかまたは低い交点の圧力に言及する場合には、二次導管に位置する配管および弁手段、圧力制御手段および何らかの他の構成要素による二次導管の圧力損失を明らかにする必要があることを理解するであろう。所与の交点における圧力がタンクの上部隙間の圧力よりもわずかに高くても、二次導管に沿った圧力降下により、タンクに流れる流量が、必要な圧力を維持するには不十分なものになる可能性がある。システム設計者は、これが生じるポイントにおける相当圧を計算し、かつ/または試運転中に測定して、流量が不十分になる前に、第1の分岐部と第2の分岐部の間を切り換えるようにシステムを構成することができよう。
【0061】
したがって、システムは、一次チャネルに沿った種々のポイントにおいて極低温流体の流れの一部分を分流して、それらのポイントにおける圧力に基づいて最適なポイントを選択してよい。当業者なら、必要に応じて、2つよりも多い接続点があり得ることを理解するであろう。
【0062】
上記で説明されたのと同様に、三次導管は複数の分岐へと分割されてよい。圧力要件に従って分岐を選択するために、好ましくはさらなる弁手段および感知手段が設けられる。
【0063】
任意選択で、一次導管と二次導管の間の接続部は、加熱装置の直ぐ上流で膨張ステージの直ぐ下流にある。あるいは、一次導管と二次導管の間の接続部は、加熱装置の直ぐ下流で膨張ステージの直ぐ上流にある。したがって、システムは、分流された流れを、意図された用途のために適切な温度で供給するように構成され得る。
【0064】
任意選択で、一次導管と二次導管の間の接続部は加熱装置の上流にあり、一次導管と三次導管の間の接続部は前記加熱装置の下流にある。あるいは、一次導管と二次導管の間の接続部は加熱装置の下流にあり、一次導管と三次導管の間の接続部は前記加熱装置の上流にある。したがって、このシステムは、2つの分流された流れを別々の温度で供給するように構成され得る。
【0065】
別の好ましい実施形態では、一次導管と三次導管の間の接続部は加熱装置の直ぐ下流にあり、三次導管は蒸発器の直ぐ上流で冷気リサイクルシステムに結合されている。同じことが、三次導管がなく、二次導管が冷気リサイクルシステムに結合されている実施形態に当てはまる。したがって、極低温流体の流れの分流された部分は比較的高温であり、この熱は、システムの往復効率をさらに改善するために蒸発器/熱交換器において利用され得る。
【0066】
第3の態様で提供される、極低温エネルギー貯蔵システムにおける少なくとも1つの極低温流体貯蔵タンクを再加圧する方法は、
極低温流体貯蔵タンクの出力部から一次導管を介して極低温流体の流れを通すステップと、
極低温流体の流れを、タンクの出力部の下流の一次導管の範囲内のポンプを用いて加圧するステップと、
加圧された極低温流体の流れを、ポンプの下流の一次導管の範囲内の蒸発手段を用いて気化するステップと、
気化された極低温流体の流れを、ポンプの下流の一次導管の範囲内の少なくとも1つの膨張ステージを用いて膨張させて、仕事を抽出するステップと、
加圧された極低温流体の膨張した流れの少なくとも一部分を、一次導管から二次導管を通して分流して極低温流体貯蔵タンクへ再導入することにより、タンクの内部の圧力を制御するステップと、を含み、
前記加圧された極低温流体の膨張した流れの少なくとも一部分が、少なくとも1つの膨張ステージのうち1つまたは複数において膨張し、仕事を抽出された後、一次導管から分流されることを特徴とするものである。
【0067】
第4の態様で提供される、極低温流体貯蔵タンクを有する極低温エネルギー貯蔵システムの冷気リサイクルシステムを加圧する方法は、
極低温流体貯蔵タンクの出力部から一次導管を介して極低温流体の流れを通すステップと、
極低温流体の流れを、タンクの出力部の下流の一次導管の範囲内のポンプを用いて加圧するステップと、
加圧された極低温流体の流れを、ポンプの下流の一次導管の範囲内の蒸発手段を用いて気化するステップと、
気化された極低温流体の流れを、ポンプの下流の一次導管の範囲内の少なくとも1つの
膨張ステージを用いて膨張させて、仕事を抽出するステップと、
加圧された極低温流体の膨張した流れの少なくとも一部分を、一次導管から二次導管を通して分流して冷気リサイクルシステムへ導入することにより、冷気リサイクルシステムの内部の圧力を制御するステップと、を含み、
前記加圧された極低温流体の膨張した流れの少なくとも一部分が、少なくとも1つの膨張ステージのうち1つまたは複数において膨張し、仕事を抽出された後、一次導管から分流されることを特徴とするものである。
【0068】
本発明者らは、冷気リサイクルシステムおよび極低温貯蔵タンクの圧力を制御する問題を解決するために類似の原理が使用され得ることも理解した。
【0069】
したがって、本発明の第5の態様によって提供される極低温エネルギー貯蔵システムは、
流体入力から、極低温流体貯蔵タンクに貯蔵する液体の起寒剤を生成するように構成された液化装置を備え、流体入力を受け取るように構成された液化サブシステムと、
極低温流体貯蔵タンクからの液体の起寒剤を、気化された液体の起寒剤から仕事を抽出するための膨張ステージへ配送するために気化するように構成された蒸発器を備え、極低温流体貯蔵タンクから液体の起寒剤を受け取るように構成されたエネルギー回収サブシステムと、
冷気リサイクルサブシステムであって、
液化装置へ配送するように蒸発器から回収された冷気エネルギーを貯蔵するための冷気庫、ならびに
冷気庫を蒸発手段および液化装置に結合する配管を備える冷気リサイクル回路であって、この配管を通って、1つ以上の冷気供給流れが、蒸発器から冷気庫へ、冷気庫から液化装置へと、冷気エネルギーを運ぶために流れ得る冷気リサイクル回路を備える冷気リサイクルサブシステムとを備え、
i. 冷気リサイクルループからの1つ以上の冷気供給流れの少なくとも一部分を分流して液化システムに導入するように構成され、配管と液化サブシステムの間に結合された圧抜き導管、および
ii. 1つ以上の冷気供給流れを加圧するために、配管に流体を導入するように、配管と流体供給源の間に結合された加圧導管、の一方または両方を備えることを特徴とするものである。
【0070】
冷気リサイクルシステムと液化システムの間に圧抜き導管を設けることにより、冷気リサイクルシステムの熱膨張による圧力増加を緩和する際に解放された気体が、大気の方へ浪費されるのではなく、液化される気体を圧縮するのに必要なエネルギーの一部分を相殺するのに使用され得る。したがって、この気体を大気へベント処理することに関連した低能率が解消される。
【0071】
冷気リサイクルシステムと流体供給源の間に加圧導管を設けることにより、冷気リサイクルシステムの圧力を維持する問題が克服される。流体供給源は、極低温エネルギー貯蔵システムの外部または内部にある何らかの好都合な供給源でよい。
【0072】
圧抜き導管が設けられる場合、このシステムは、圧抜き導管の範囲内に、分流される冷気供給流れの流量を制御するための圧力制御手段をさらに備え得る。したがって、冷気リサイクルシステムの配管の内部の圧力が制御され得る。たとえば、冷気リサイクルシステムの配管の内部の圧力は、分流される冷気供給流れの流量を増減することによって増減され得る。当業者なら、冷気リサイクルシステムの配管の圧力は、熱膨張に関連した圧力上昇と一致する、冷気供給流れの分流に関連した圧力低下を与えることによって維持されることになり、逆の場合も同じであることを理解するであろう。
【0073】
加圧導管が設けられる場合、このシステムは、加圧導管の範囲内に、導入される流体の流量を制御するための圧力制御手段をさらに備え得る。したがって、冷気リサイクルシステムの配管の内部の圧力が制御され得る。たとえば、冷気リサイクルシステムの配管の内部の圧力は、導入される流体の流量を増減することによって増減され得る。当業者なら理解するように、冷気リサイクルシステムの配管の圧力は、漏れまたは温度降下による流体圧力の低下に関連した圧力低下を上回る流体の導入に関連した圧力上昇を与えることによって上昇することになろう。
【0074】
一実施形態では、極低温エネルギー貯蔵システムは極低温流体貯蔵タンクをさらに備え、極低温流体貯蔵タンクの上部隙間から冷気リサイクルシステムの配管に気体を配送するために、冷気リサイクルシステムの配管と極低温流体貯蔵タンクの間に加圧導管が結合されている。したがって、冷気リサイクルシステムはタンクからの気体を使用して加圧され得る。
【0075】
さらなる実施形態では、極低温エネルギー貯蔵システムは、極低温流体の流れを極低温流体貯蔵タンクの出力部から極低温エネルギー貯蔵システムの排出口まで通し得る一次導管をさらに備え、一次導管から冷気リサイクルシステムの配管まで気体を配送するために、冷気リサイクルシステムの配管と一次導管の間に加圧導管が結合されている。したがって、第1の実施形態に関連して説明されたように、エネルギーを回収するために、気体が再気化および膨張の後に配送されるように、冷気リサイクルシステムは、一次導管からの、好ましくは少なくとも1つの膨張ステージの下流からの気体を使用して加圧されてよい。
【0076】
もちろん、極低温エネルギー貯蔵システムは、2つの(すなわち第1および第2の)加圧導管を備えてよく、1つは、一次導管から冷気リサイクルシステムの配管まで気体を配送するために、冷気リサイクルシステムの配管と一次導管の間に結合されており、もう1つは、極低温流体貯蔵タンクの上部隙間から冷気リサイクルシステムの配管まで気体を配送するために、冷気リサイクルシステムの配管と極低温流体貯蔵タンクの間に結合されている。
【0077】
好ましくは、1つ以上の冷気供給流れの少なくとも一部分が、冷気庫から液化装置まで冷気エネルギーを運んだ後に分流されるように、液化装置の下流で冷気庫の上流において、冷気リサイクルシステムの配管に対して圧抜き導管が結合されている。したがって、冷気エネルギーの配送における冷気供給流れの有用性は、分流される前は保たれている。
【0078】
好ましくは、冷気供給流れが蒸発器から冷気庫まで冷気エネルギーを運ぶ前に、極低温流体貯蔵タンクから配送された気体が冷気供給流れに合流するように、加圧導管が、冷気リサイクルシステムの配管と極低温貯蔵タンクとを接続し、蒸発器の下流で冷気庫の上流の冷気リサイクルシステムの配管に対して結合されている。この場合、極低温貯蔵タンクからの気体は、高度の冷気を包含しているのが好ましく、したがって液化システムへ運ばれてよい。高度の冷気は、蒸発器によって供給されるものに近い温度の冷気と定義される。高度の冷気が、蒸発器によって供給される温度よりも高い温度であると、冷気を弱めることになる。好ましくは、高度の冷気は、蒸発器によって供給される温度よりもせいぜい数℃高い温度である。より好ましくは、高度の冷気は、蒸発器によって供給される温度よりも低く、蒸発器によって供給される冷気をわずかに強化するのに役立つ温度である。
【0079】
好ましくは、液化システムは、第1のコンプレッサと、第1のコンプレッサの下流の第2のコンプレッサとを備え、第1のコンプレッサと第2のコンプレッサの間に空気浄化ユニットをさらに備える。その場合、第1のコンプレッサと第2のコンプレッサの間で空気浄化ユニットの下流において、液化システムに対して圧抜き導管が結合されてよい。
【0080】
一実施形態では、圧力制御手段は、冷気リサイクルシステムの圧力を閾値圧力に制限するように構成されている。その場合、液化システムは、
それぞれが入口圧力を有する複数のコンプレッサと、
それぞれが入口圧力を有する複数のステージを有する多段コンプレッサとのうち1つを備えてよく、
圧抜き導管は、コンプレッサの直ぐ上流の液化システム、または閾値圧力未満で閾値圧力に最も近い入口圧力を有するコンプレッサステージに結合される。
【0081】
本発明の第6の態様によって提供される極低温エネルギー貯蔵システムは、
液体出力部および気体出力部を有する少なくとも1つの極低温流体貯蔵タンクと、
極低温流体貯蔵タンクに貯蔵する起寒剤を生成するための液化装置に対して結合された少なくとも1つのコンプレッサを備える液化システムと、
液化装置から流体貯蔵タンクまで起寒剤を輸送するように液化装置と極低温流体貯蔵タンクの間に結合された液体配送導管と、
起寒剤によって流体貯蔵タンクから液化システムまで移動される気体を輸送するように流体貯蔵タンクの気体出力部と液化システムの間に結合された、移動される気体の導管とを備える。
【0082】
本発明の第7の態様によって提供される極低温エネルギー貯蔵システムは、
液体出力部および気体出力部を有する少なくとも1つの極低温流体貯蔵タンクと、
極低温流体貯蔵タンクに貯蔵する起寒剤を生成するための液化装置に対して結合された少なくとも1つのコンプレッサを備える液化システムと、
液化装置から流体貯蔵タンクまで起寒剤を輸送するように液化装置と極低温流体貯蔵タンクの間に結合された液体配送導管と、
冷気庫、ならびに冷気庫から液化装置まで冷気エネルギーを運ぶために液化装置に冷気庫を結合して1つ以上の冷気供給流れを通すことができる配管が備わっている冷気リサイクル回路を備える冷気リサイクルシステムと、
起寒剤によって流体貯蔵タンクから液化システムまで移動される気体を輸送するための、流体貯蔵タンクの気体出力部と冷気リサイクルシステムの配管の間に結合された第1の移動される気体の導管、および冷気リサイクルシステムの配管と液化システムの間に結合された第2の移動される気体の導管とを備える。
【0083】
極低温流体貯蔵タンクと液化システムの間を接続することにより、起寒剤によって流体貯蔵タンクから移動される気体が、大気へ浪費されるのではなく、液化される気体を圧縮するのに必要なエネルギーの一部分を相殺するように使用され得る。
【0084】
好ましくは、第1の気体移動導管は、冷気供給流れが冷気庫から液化装置まで冷気エネルギーを運ぶ前に、極低温流体貯蔵タンクから配送された気体が冷気供給流れに合流するように、冷気庫の下流で液化装置の上流において冷気リサイクルシステムの配管に接続される。
【0085】
好ましくは、極低温貯蔵システムは、起寒剤によって流体貯蔵タンクから移動される気体の流量を制御することによって極低温流体貯蔵タンクの内部の圧力を制御するために、移動される気体の導管の範囲内に圧力制御手段をさらに備える。たとえば、極低温流体貯蔵タンクの内部の圧力は、移動される気体の流量を増減することによって増減され得る。当業者なら理解するように、タンクへの流体の導入に関連した圧力上昇と一致する、気体の移動に関連した圧力低下を与えると、タンク内の圧力が維持されることになり、逆の場合も同じである。極低温貯蔵システムが第1の気体移動導管および第2の気体移動導管を備える場合、圧力制御手段は好ましくは第1の気体移動導管の範囲内にある。
【0086】
好ましくは、液化システムは、第1のコンプレッサと、第1のコンプレッサの下流の第2のコンプレッサとを備え、第1のコンプレッサと第2のコンプレッサの間に空気浄化ユニットをさらに備える。第1のコンプレッサと第2のコンプレッサの間で空気浄化ユニットの下流において、液化システムに対して、移動される気体の導管が結合されてよい。
【0087】
一実施形態では、圧力制御手段は、極低温流体貯蔵タンクの圧力を閾値圧力に制限するように構成されており、液化システムは、
それぞれが入口圧力を有する複数のコンプレッサと、
それぞれが入口圧力を有する複数のステージを有する多段コンプレッサとのうち1つを備え、
移動される気体の導管は、コンプレッサの直ぐ上流の液化システム、または閾値圧力未満で閾値圧力に最も近い入口圧力を有するコンプレッサステージに結合される。
【0088】
液化システムが、(i)(第5の態様により)冷気リサイクルシステムの熱膨張による圧力増加を緩和する際に放出される気体と、(ii)(第6の態様および/または第7の態様により)起寒剤によって流体貯蔵タンクから移動される気体との両方を受け取るように、第5の態様が第6の態様および/または第7の態様と組み合わされ得ることが理解されよう。
【0089】
本発明の第5の態様、第6の態様および第7の態様によれば、主空気コンプレッサおよび空気浄化ユニットが、圧縮し、かつ清浄化しなければならない周囲空気は、比例して、より小さい気体量(quantity of gas)であるため、主空気コンプレッサおよび空気浄化ユニットに必要な電気工事(electrical work)が(これらには、冷気リサイクルシステムおよび/または極低温流体貯蔵タンクから、加圧された清浄な気体の流れが供給されるので)低減される。
【0090】
第8の態様によれば、液化装置を有する液化システムと、蒸発器を有するエネルギー回収システムと、冷気庫および冷気リサイクル回路を有する冷気リサイクルシステムであって、冷気リサイクル回路が、蒸発器および液化装置に対して冷気庫を結合する配管を有する冷気リサイクルシステムとを備える極低温エネルギー貯蔵システムの冷気リサイクルシステムの圧力を制御する方法が提供され、この方法は、
冷気リサイクルシステムの、冷気庫と液化装置の間の配管を介して、冷気供給流れを通すことにより、冷気庫から液化装置まで冷気エネルギーを運び、冷気供給流れを加熱するステップと、
冷気リサイクルシステムの配管から、加熱された冷気供給流れの少なくとも一部分を、圧抜き導管を通じて分流して液化システムへ導入することにより、冷気リサイクルシステムの圧力をベント処理するステップと、を含む。
【0091】
第9の態様によれば、液化装置を有する液化システムと、蒸発器を有するエネルギー回収システムと、冷気庫および冷気リサイクル回路を有する冷気リサイクルシステムであって、冷気リサイクル回路が、蒸発器および液化装置に対して冷気庫を結合する配管を有する冷気リサイクルシステムとを備える極低温エネルギー貯蔵システムの冷気リサイクルシステムの圧力を制御する方法が提供され、この方法は、
冷気リサイクルシステムの、蒸発器と冷気庫の間の配管を介して、冷気供給流れを通すことにより、蒸発器から冷気庫へ、そして液化装置へと冷気エネルギーを運び、冷気供給流れを冷却するステップと、
加圧導管を通じて冷気リサイクルシステムの配管へ流体を導入することにより、冷気リ
サイクルシステムの圧力を増すステップと、を含む。
【0092】
第10の態様によれば、極低温エネルギー貯蔵システムの、液体出力部および気体出力部を有する極低温流体貯蔵タンクの中の圧力を制御する方法が提供され、この方法は、
極低温流体貯蔵タンクの液体出力部からの極低温流体の流れを、一次導管を介してシステムの排出口へ通すステップと、
起寒剤を生成するための液化装置を備える液化システムにおいて空気を液化するステップと、
液化システムからの起寒剤を、第1の導管を介して極低温流体貯蔵タンクまで通すステップと、
起寒剤によって極低温流体貯蔵タンクから移動される気体を、極低温流体貯蔵タンクの気体出力部から、移動される気体の導管を通して液化システムまで輸送するステップと、を含む。
【0093】
次に、添付図面を参照しながら本発明を説明する。