特許第6959435号(P6959435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959435フェイスマスクの製造工程においてフェイスマスクにタイを巻き付けるための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959435
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】フェイスマスクの製造工程においてフェイスマスクにタイを巻き付けるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20211021BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   A41D13/11 H
   A62B18/02 C
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-508344(P2020-508344)
(86)(22)【出願日】2017年8月16日
(65)【公表番号】特表2020-533493(P2020-533493A)
(43)【公表日】2020年11月19日
(86)【国際出願番号】US2017047055
(87)【国際公開番号】WO2019035818
(87)【国際公開日】20190221
【審査請求日】2020年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】518174101
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インターナショナル アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー、アンソニー・エス
(72)【発明者】
【氏名】パンパリン、マーク・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー、ジョセフ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】シュタインドルフ、エリック・シー
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−506045(JP,A)
【文献】 仏国追加特許公開第2313085(FR,A2)
【文献】 中国特許出願公開第1213277(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00
B65B 25/00
B65B 35/00
B65G 63/00
A62B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスマスクの製造ラインにおいて、連続的に流れるフェイスマスクのマスク本体部に締結タイを巻き付けるための自動化された方法であって、
前記フェイスマスクを前記製造ラインのコンベヤ上で、前記各フェイスマスクの前記マスク本体部から延びる一対のリーディングタイ及び一対のトレーリングタイを前記製造ラインの搬送方向に延在するように配向させて搬送するステップであって、前記コンベヤは、第1のセクションと、第2のセクションとを含む、該搬送するステップと、
前記一対のリーディングタイを前記マスク本体部の下側に巻き付けるべく、前記フェイスマスクが前記搬送方向に搬送されるのを継続しながら、前記一対のリーディングタイを、前記コンベヤの前記第1のセクションと、前記コンベヤの前記第2のセクションとの間の隙間を通して前記マスク本体部の下方に引き込むステップと、
前記引き込むステップの後、前記マスク本体部を前記隙間を横断して前記コンベヤの前記第2のセクション上に搬送させることで、前記一対のリーディングタイを前記隙間から引き出させて、前記マスク本体部の下側に配置させるステップと、
前記配置させるステップの後、前記製造ラインの巻き付けステーションにおいて、自動化されたクランプ装置によって前記マスク本体部をクランプして、前記マスク本体部を通る回転軸を中心にして回転させ、これにより、前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイを前記マスク本体部にさらに巻き付けるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記一対のリーディングタイは、前記コンベヤの下方に配置された吸引装置によって前記マスク本体部の下方に引き込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸引装置は、前記コンベヤの前記第1のセクションと前記コンベヤの前記第2のセクションとの間の前記隙間に配置され、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記クランプ装置は、前記巻き付けステーション内の単一の位置で、前記マスク本体部を複数回回転させて、前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイを前記マスク本体部に複数回巻き付けるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記巻き付けステーション内の前記搬送方向に互いに離間した複数の位置に連続的に配置される複数の前記クランプ装置を備え、
前記クランプ装置の各々は、前記巻き付けステーションを通って搬送される個々の前記マスク本体部をクランプして少なくとも部分的に回転させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記クランプ装置は、前記コンベヤ間の隙間に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記クランプ装置は、互いに離間したクランプを含み、
前記クランプ装置の前記互いに離間したクランプで、前記マスク本体部の両側の側縁部をクランプするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記互いに離間したクランプは、空気圧で作動する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイは、前記クランプ間の内側位置で前記マスク本体部に巻き付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記互いに離間したクランプを、前記マスク本体部の前記両側の側縁部をクランプする位置まで、互いに対して接近する内側方向に変位させ、前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイを前記マスク本体部に巻き付け、次いで、前記クランプを後退させて前記マスク本体部を解放するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイは、前記クランプにも巻き付けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マスク本体部及び前記クランプ装置は、前記クランプ装置を少なくとも部分的に取り囲むように構成されたフレーム構造体内で回転させられる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
連続的に流れるフェイスマスクのマスク本体部に締結タイを巻き付けるための自動化された製造ラインシステムであって、
前記各フェイスマスクを、前記各フェイスマスクの前記マスク本体部から延びる一対のリーディングタイ及び一対のトレーリングタイを前記製造ラインの搬送方向に延在するように配向させて搬送するコンベヤであって、前記コンベヤは、第1のセクションと、第2のセクションとを含む、該コンベヤと、
前記製造ラインの巻き付けステーションと、
前記一対のリーディングタイを前記マスク本体部の下側に巻き付けるべく、前記フェイスマスクが前記搬送方向に搬送されるのを継続しながら、前記一対のリーディングタイを前記マスク本体部の下方に引き込む引込手段であって、前記引込手段によって、前記一対のリーディングタイは前記コンベヤの前記第1のセクションと前記コンベヤの前記第2のセクションとの間の隙間に引き込まれ、前記一対のリーディングタイが引き込まれた後、前記マスク本体部が前記隙間を横断して前記コンベヤの前記第2のセクション上に搬送されることで、前記一対のリーディングタイは前記引込手段から引き出されて前記マスク本体部の下側に配置される、該引込手段と、
前記巻き付けステーションにおいて、前記マスク本体部をクランプして、前記マスク本体部を通る回転軸を中心にして回転させ、これにより、前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイを前記マスク本体部にさらに巻き付ける自動化されたクランプ手段と、を備えたシステム。
【請求項14】
前記一対のリーディングタイを引き込む前記引込手段は、
前記フェイスマスクを前記巻き付けステーションに搬送する前記コンベヤの下方に配置された吸引装置を含み、
前記吸引装置は、前記コンベヤの前記第1のセクションと前記コンベヤの前記第2のセクションとの間の前記隙間に配置され、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記マスク本体部をクランプするための前記クランプ手段は、
前記マスク本体部を少なくとも部分的に回転させて、前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイを前記マスク本体部に所望の程度で巻き付けるように構成された機械的クランプ装置を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記巻き付けステーション内の前記搬送方向に互いに離間した複数の位置に連続的に配置される複数の前記機械的クランプ装置を備え、
前記機械的クランプ装置の各々は、前記巻き付けステーションを通って搬送される個々の前記マスク本体部をクランプして少なくとも部分的に回転させる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記クランプ手段は、前記マスク本体部の両側の側縁部をクランプするように構成された互いに離間したクランプを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記互いに離間したクランプは、前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイを前記クランプ間の内側位置で前記マスク本体部に巻き付ける位置に配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記互いに離間したクランプは、前記マスク本体部の前記両側の側縁部をクランプする位置まで、互いに対して接近する内側方向に変位させることができ、かつ、前記一対のリーディングタイ及び前記一対のトレーリングタイを前記マスク本体部に巻き付けた後に前記マスク本体部を解放するために前記内側方向とは反対側の外側方向に変位させることができる、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記クランプ手段を少なくとも部分的に取り囲むように構成されたフレーム構造体をさらに備え、
前記クランプ手段及び前記マスク本体部は、前記フレーム構造体内で回転させられる、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般的に、外科用マスクなどの保護用フェイスマスクの分野に関し、特に、そのようなフェイスマスクの製造工程において、各フェイスマスクに結合された頭部締結タイを、フェイスマスクのマスク本体部に巻き付けるための方法及びシステムに関する。
【0002】
(関連出願のファミリー)
本出願は、本出願と同日に出願された下記の国際特許出願(これらは全て、米国を指定してる)と、発明の主題が関連している。
(a)代理人整理番号:64984235PCT01(HAY−3161−PCT);「フェイスマスクの製造工程においてフェイスマスクにタイを巻き付けるための方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2017/047051号
(b)代理人整理番号:64984283PCT01(HAY−3162−PCT);「フェイスマスクの製造工程においてフェイスマスクにタイを巻き付けるための方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2017/047053号
(c)代理人整理番号:64984309PCT01(HAY−3163−PCT);「フェイスマスクの製造工程においてフェイスマスクにタイを巻き付けるための方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2017/047054号
(d)代理人整理番号:64984289PCT01(HAY−3165−PCT);「フェイスマスクの製造工程においてフェイスマスクにタイを巻き付けるための方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2017/047057号
(e)代理人整理番号:64984295PCT01(HAY−3166−PCT);「フェイスマスクの製造工程においてフェイスマスクにタイを巻き付けるための方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2017/047058号
【0003】
上記の出願は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に援用される。上記の出願に記載された発明主題の特徴及び態様の任意の組み合わせを、本出願の実施形態と組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を創出することもできる。
【背景技術】
【0004】
様々な構成の使い捨て式フィルタリングフェイスマスク、すなわちレスピレータが知られており、これらは、「フェイスマスク」、「保護マスク(レスピレータ)」、「フィルタリングフェイスレスピレータ」等の様々な名称で呼ばれている。本開示の目的のために、本明細書では、これらを「フェイスマスク」と総称する。
【0005】
自然災害時または他の大惨事の発生時には、救援活動従事者、救急隊員、及び一般市民に対して保護用フェイスマスクを供給する能力は極めて重要である。例えば、パンデミックが発生した場合には、フィルタを介した呼吸を可能にするフェイスマスクの使用が、そのような事態への対応や復旧において重要となる。このため、政府や自治体は、通常、緊急時にすぐに使用できるように、フェイスマスクの備蓄を維持している。しかしながら、フェイスマスクの貯蔵寿命は限られているため、有効期限の確認及び補充のために、フェイスマスクの備蓄を継続的にモニタする必要があった。そして、これは、非常にコストのかかる作業であった。
【0006】
最近、備蓄に頼るのではなく、パンデミックまたは他の災害の発生時に「必要に応じて」フェイスマスクを大量生産することが実現可能か否かについての調査が開始された。例えば、2013年に、米国保健福祉省(HHS)の事前準備対応次官補局(ASPA)の一部門である生物医学先端研究開発局(BARDA)は、米国でパンデミックが発生した場合には最大1億個のフェイスマスクが必要となると推定し、備蓄を避けるために、1日当たり150万〜200万個のフェイスマスクを大量生産することによって、この需要を満たすことができるか否かについての研究を提案した。これは、1分当たり約1500個のマスクを生産することを意味する。現行のフェイスマスク製造ラインは、技術と装置の限界のために1分当たり約100個のマスクしか生産することができず、上記の推定目標値に遠く及ばない。したがって、パンデミック発生時のフェイスマスクの「オンデマンド」という目標実現するためには、製造・生産工程の進歩が必要である。
【0007】
プリーツ付きフェイスマスクの特定の構成には、矩形状のマスク本体部の頂縁部及び底縁部に結合された頭部締結タイが含まれる。例えば、従来の外科用フェイスマスクは、3.75インチ×7インチの矩形状のプリーツ付きのマスク本体部を有し、このマスク本体部の頂縁部及び底縁部(長辺)に沿って、32インチのタイが結合される。製造ラインのマシン方向では、これらのタイにより、先行するタイ(リーディングタイ)のセットと、後続のタイ(トレーリングタイ)のセットとが構成される。個々のフェイスマスクをパッケージングステーションに搬送する前に、マスク本体部にタイを巻き付けることが一般的に望ましい。しかしながら、マスク本体部にタイを巻き付けるための従来の手動のまたは自動的な方法は、フェイスマスクの製造速度が比較的遅いという問題があった。フェイスマスクを上記のスループット(製造速度)で大量生産するためには、走行ラインの製造速度を高く維持しながら、マスク本体部にタイを巻き付ける必要がある。
【0008】
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、フェイスマスクの製造ラインにおいて、フェイスマスクのマスク本体部に頭部締結タイを高速で巻き付けるための方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的及び利点は、その一部が以下の説明に記載されており、または以下の説明から明らかであり、または本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0010】
本発明の一態様によれば、フェイスマスク製造ラインにおいて、連続的に流れるフェイスマスクのマスク本体部に締結タイを巻き付けるための自動化された方法が提供される。本発明に係る方法は、フェイスマスクを製造ラインのコンベヤ上で、各フェイスマスクのマスク本体部から延びる一対のリーディングタイ及び一対のトレーリングタイを製造ラインの搬送方向に延在するように配向させて搬送するステップを含む。製造ラインの巻き付けステーション、またはその上流において、一対のリーディングタイをマスク本体部の下側に巻き付けるべく、フェイスマスクが搬送方向に搬送されるのを継続しながら、一対のリーディングタイをマスク本体部の下方に引き込む。その後、製造ラインの巻き付けステーションにおいて、自動化されたクランプ装置によってマスク本体部をクランプして、マスク本体部を通る回転軸を中心にして回転させ、これにより、一対のリーディングタイ及び一対のトレーリングタイをマスク本体部にさらに巻き付ける。
【0011】
特定の実施形態では、一対のリーディングタイは、コンベヤの下方に配置された吸引装置によってマスク本体部の下方に引き込まれる。例えば、吸引装置は、コンベヤの第1のセクションとコンベヤの第2のセクションとの間の隙間に配置され、マスク本体部が隙間に到達する前に、一対のリーディングタイがコンベヤの搬送面よりも下方に引き込まれる。マスク本体部が隙間を横断してコンベヤの第2のセクション上に搬送されるときに、一対のリーディングタイは吸引装置から引き出され、マスク本体部の下側に巻き付けられる。
【0012】
本方法のこの回転態様は、タイの長さ及び所望の巻回数に応じて、一対のリーディングタイ及び一対のトレーリングタイをマスク本体部に部分的にまたは複数回巻き付ける。このような巻き付け作業は、例えば、単一の回転駆動型クランプ装置を使用して、巻き付けステーションの単一の位置で行うことができる。複数のこのようなクランプ装置が、巻き付けステーションの搬送方向に互いに離間した位置に連続的に配置される。回転駆動型クランプ装置の各々は、リーディングタイとトレーリングタイの総巻回数に部分的に寄与する。このようにして、個々のフェイスマスクは、単一の位置でタイの複数の巻回を行うために搬送方向に沿って停止しないので、フェイスマスクの流れが大幅に妨げられることはない。
【0013】
特定の実施形態では、回転駆動型クランプ装置は、クラムシェルまたは同様のタイプのクランプなどの、互いに対向する一対の駆動可能クランプを備える。クランプは、マスク本体部の側縁部をクランプするために、コンベヤの横方向の両側に配置される。クランプは、プロセスの適切な時点でマスク本体部のクランプ及び解放を行うように、空気圧で作動され得る。クランプの作動及び回転は、コンベヤに沿って配置された、巻き付けステーション内のクランプ装置に対するマスク本体部の相対位置を検出するセンサからの信号に依存し得る。
【0014】
一実施形態では、クランプは、マスク本体部をその側縁部に沿ってクランプすることができる大きさ及び構成を有し、リーディングタイ及びトレーリングタイは、クランプ間の内側位置でマスク本体部に巻き付けられる。
【0015】
別の実施形態では、クランプは、作動時には、回転駆動だけでなく、コンベヤに対して横方向にも変位させることができるように構成される。クランプは、リーディングタイ及びトレーリングタイをマスク本体部に巻き付けた後、開始位置まで後退してマスク本体部を解放する。この実施形態では、リーディングタイ及びトレーリングタイはクランプにも巻き付けられる。
【0016】
一実施形態では、マスク本体部及びクランプ手段は、一対のリーディングタイ及び一対のトレーリングタイがマスク本体部に制御されない形態で巻き付けられることを防止するために、所定のフレーム構造体内で回転させるステップをさらに含む。フレーム構造体は、例えば、フェイスマスク本体部の側縁部の長さよりも若干大きい間隔を隔てて配置された頂部及び底部を有する開放端構造であり得る。
【0017】
締結タイがマスク本体部に巻き付けられたマスクは、ディスペンスプロセスを改善すること、及びフェイスマスクの装着を容易にすることに加えて、よりコンパクトなディスペンサーボックスを提供する。締結タイがマスク本体部に巻き付けられていない場合には、締結タイのかたまり(mass of ties)を収容するために、ディスペンサーボックス及びケースは大幅に大きくする必要がある。
【0018】
本発明はまた、本明細書に記載及びサポートされているように、本発明の方法による自動化された製造ラインにおいてフェイスマスクのマスク本体部に締結タイを巻き付けるための様々なシステムの実施形態を包含する。
【0019】
本発明の他の特徴及び態様は、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0021】
図1】ユーザにより装着された、上側頭部締結タイ及び下側頭部締結タイを備える従来のフェイスマスクの斜視図である。
図2】ユーザにより装着された、上側頭部締結タイ及び下側頭部締結タイを備える別の従来のフェイスマスクの斜視図である。
図3A】連続タイストリップを切断し、次いで、リーディングタイ及びトレーリングタイをフェイスマスクのマスク本体部に巻き付けるための本発明の一態様に係るフェイスマスク製造ラインの一部を示す上面図である。
図3B】連続タイストリップを切断し、次いで、リーディングタイ及びトレーリングタイをフェイスマスクのマスク本体部に巻き付けるための本発明の一態様に係るフェイスマスク製造ラインの一部を示す上面図である。
図4A】フェイスマスクが製造ラインの搬送方向に搬送されるのを継続しながら、リーディングタイをフェイスマスクの本体部の下方に引き込む方法を示す連続図である。
図4B】フェイスマスクが製造ラインの搬送方向に搬送されるのを継続しながら、リーディングタイをフェイスマスクの本体部の下方に引き込む方法を示す連続図である。
図4C】フェイスマスクが製造ラインの搬送方向に搬送されるのを継続しながら、リーディングタイをフェイスマスクの本体部の下方に引き込む方法を示す連続図である。
図5】本発明の一実施形態による、マスク本体部にリーディングタイ及びトレーリングタイを巻き付ける方法を示す図である。
図6】本発明の別の実施形態による、マスク本体部にリーディングタイ及びトレーリングタイを巻き付ける方法を示す図である。
図7】本発明のさらに別の実施形態による、マスク本体部にリーディングタイ及びトレーリングタイを巻き付ける方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例を詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態において用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
【0023】
上述したように、本発明の方法及びシステムは、製造ラインにおけるフェイスマスクの高スループットを支援する自動化された方法において、フェイスマスクのマスク本体部に締結タイを巻き付けることに関する。上流及び下流のフェイスマスク製造ステップは、本発明の態様を限定するものではないので、本明細書では詳細に説明しない。
【0024】
また、本開示は、製造ラインを通じてのフェイスマスクの特定の構成要素の搬送または輸送について言及または暗示している。物品搬送装置(例えば、ロータリコンベヤまたはリニアコンベヤ)、物品配置装置(例えば、真空パッドプレイサ)、及び移送装置の任意の態様または組み合わせが、物品搬送業界ではよく知られており、本明細書に記載される目的に使用できることは容易に理解できるであろう。これらの既知の装置やシステムの詳細な説明を提供することは、本発明の方法の理解及び把握のためには必要でない。
【0025】
頭部締結タイの対が組み込まれたフェイスマスクの様々なスタイルや構成がよく知られており、そのようなものとしては、例えば、平らなプリーツ付きフェイスマスク、及びパウチ型フェイスマスク(例えば、カモノハシ型フェイスマスク)がある。これらの両マスクについては、下記に簡単に説明する。本発明は、これらの従来のマスクの製造ライン、並びに、後続のパッケージング、ディスペンシング、ドニング、または別の理由で頭部締結タイをフェイスマスクのマスク本体部に巻き付けることが有益な他のタイプのフェイスマスクの製造ラインにおいて有用性を有する。説明のみを目的として、本明細書では、本方法の態様は、図1に示すような、特定のタイプの平らなプリーツ付きフェイスマスクに関して説明する。
【0026】
図1を参照すると、代表的な平らなプリーツ付きのフェイスマスク10が、着用者12の顔の上に示されている。このフェイスマスク10は、一対の上側タイストリップ16及び一対の下側タイストリップ18によって着用者12に固定されたマスク本体部14を含む。これらのタイストリップは、マスク本体部14の側縁部20に沿って既知の従来の手法を用いて取り付けられた連続的なストリップによって構成される。別の実施形態では、一対の上側タイストリップ16及び一対の下側タイストリップ18は、マスク本体部14の頂縁部及び底縁部22に沿って取り付けられるか、または、マスク本体部14の角部に取り付けられた個々の部材によって構成される。
【0027】
図2は、着用者12の顔に装着したときにはカップ状または円錐状の全体形状を呈し、その結果、使用時にはマスクが「顔から離れる(オフ・ザ・フェイス)」という利点を提供し、一方、使用前にはマスクを折り畳んでポケットに入れて容易に持ち運ぶことができる、カモノハシ型のフェイスマスク11を示す。この「オフ・ザ・フェイス」型マスクは、着用者の顔のかなりの部分に接触する柔らかいプリーツ付きマスクと比較して、より大きな呼吸チャンバを提供する。このため、「オフ・ザ・フェイス」型マスクは、より楽な、かつより容易な呼吸を可能にする。この「オフ・ザ・フェイス」型マスクでは、一対の上側タイストリップ16及び一対の下側タイストリップ18は、図1のフェイスマスク10に関して上述したようにして取り付けられ得る。
【0028】
図3Aは、複数のマスク本体部116がコンベヤ104に載せられて搬送方向106に搬送されるフェイスマスク製造ライン100の一部を示す。マスク本体部116は、マスク本体部116の両側の側縁部に沿って連続した連続タイストリップ117によって、互いに連結されている。この連続タイストリップ117は、上流工程で、マスク本体部116の両側の側縁部に取り付けられる。連続タイストリップ117及びマスク本体部116は、切断ステーション121を通って搬送され、切断ステーション121のブレードまたは他の切断装置によって、連続タイストリップ117が、互いに隣接するマスク本体部116の中間で切断される。この結果、各フェイスマスク114は、フェイスマスク114の搬送方向106において先行する一対のリーディングタイ(leading tie)118と、後続する一対のトレーリングタイ(trailing tie)120とを有するマスク本体部116を含むこととなる。個々のタイ118、120の長さは、切断ステーション121の上流の互いに隣接するマスク本体部116の間隔に相関する。
【0029】
図3Bは、図3Aの切断ステーション121の下流のコンベヤ104上のフェイスマスク114を示す。リーディングタイ118及びトレーリングタイ120を有するマスク本体部116を含む個々のフェイスマスク114は、下記でより詳細に説明するように、搬送方向106に沿って自動化された巻き付けステーションへ連続的に搬送される。フェイスマスク114は、一対のリーディングタイ118及び一対のトレーリングタイ120がマスク本体部116の両側の側縁部の近傍でマスク本体部116に一周以上巻き付けられた状態で、巻き付けステーション122から出てくる。フェイスマスク114は、その後、下流のパッケージングステーション138(図5〜7)に搬送される。
【0030】
別の従来のプリーツ付きのフェイスマスク114の実施形態では、タイ118、120は、マスク本体部116の上側(鼻側)縁部及び下側(顎側)縁部に沿って取り付けられる。このため、リーディングタイ118及びトレーリングタイ120は、マスク本体部116の長方側の縁部に対して水平な初期配向を有する。本発明のタイを巻き付ける方法及びシステムは、このタイプのフェイスマスク114にも適用可能である。このタイプのフェイスマスク114では、フェイスマスク114が巻き付けステーション122に到達する前に、タイの向きを変えて、タイがマスク本体部116に対して、図3Bに示したフェイスマスク114及びタイ118、120と同じ向きになるようにする。あるいは、タイ118、120の向きを変更せずに、タイ118、120をマスク本体部116の長方側の縁部に巻き付けるようにしてもよい。したがって、本発明の方法及びシステムは、マスク本体部116に対するタイ118、120の特定のスタイルまたは取り付けに限定されないことを理解されたい。
【0031】
図3Bはまた、フェイスマスク114のパッケージ化中及びフェイスマスク114を取り出して装着するときに、タイが時期尚早にほどけないことを確実にするために、マスク本体部116に巻き付けられたタイ118、120に折り目を付ける目的で、巻き付けステーション122の下流に配置されたセットステーション123を示す。このことは、例えば、巻き付けられたタイを有するフェイスマスク114を、圧縮ローラ間、または折り畳まれたタイ118、120に折り目またはクリンプを形成する圧縮コンベヤ構造体のニップ間に通過させることによって行うことができる。
【0032】
図4A〜4Cは、巻き付けステーション122、または巻き付けステーションの上流に設けられた、フェイスマスク114が搬送方向106へ搬送されるのを継続しながら、一対のリーディングタイ118をマスク本体部116の下方に最初に引き込む引込手段134の実施形態を示す。コンベヤ104は、第1のセクション108及び第2のセクション110を含み、第1のセクション108と第2のセクション110との間には隙間(gap)112が設けられている。隙間112における、コンベヤ104の搬送面よりも下方の位置に、吸引装置124が配置されている。吸引装置124は、制御/吸引ライン125を介して真空吸引を行う。図4A〜4Cに示すように、一対のリーディングタイ118が隙間112に接近すると、マスク本体部116が隙間112を横断してコンベヤ104の第2のセクション110上へ搬送されるのを継続しながら、一対のリーディングタイ118は吸引装置124内に引き込まれる。マスク本体部116が搬送方向106へ搬送されるのを継続しながら、一対のリーディングタイ118は吸引装置124から引き出され、図4Cに示すように、マスク本体部116の下側に折り重ねられる(部分的に巻回される)。吸引装置124は、リーディングタイ118内に吸引するのに十分であり、かつ、マスク本体部116が隙間112を横断して搬送されるのを継続しながら、タイ118が引き出されることを可能にする真空を概ね連続的に吸引するように制御される。別の実施形態では、吸引装置は、ただ単に、リーディングタイ118を最初に引き込むために間欠的な真空を印加するように制御され、マスク本体部116が隙間112を横断して搬送されるときに真空が解除される。
【0033】
一対のリーディングタイ118をマスク本体部116の下方に引き込む引込手段134は、上述の実施形態に限定されないことを理解されたい。別の実施形態は、重力のみに依存してもよく、一対のリーディングタイ118は重力によって隙間112内に落下する。別の実施形態では、機械的グリッパや摩擦ローラなどの機械的装置を隙間112内に設けて、隙間112内に落下したタイ118と係合するようにしてもよい。
【0034】
一対のリーディングタイ118がマスク本体部116の下側に折り重ねられた状態のフェイスマスク114は、その後、巻き付けステーション122の自動化されたクランプ装置126に搬送される。自動化されたクランプ装置126は、マスク本体部116をクランプして、マスク本体部116を通る回転軸133を中心にして回転させ、これにより、一対のリーディングタイ118及び一対のトレーリングタイ120をマスク本体部116にさらに巻き付ける。上述したように、本方法のこの回転態様は、タイの長さ及び所望の巻回数に応じて、一対のリーディングタイ118及び一対のトレーリングタイ120をマスク本体部116に部分的にまたは複数回巻き付ける。このような巻き付け作業は、例えば、単一の回転駆動型クランプ装置126を使用して、巻き付けステーション122の単一の位置で行うことができる。この実施形態では、マスク本体部116を単一の位置でクランプして複数回回転させる間、フェイスマスク114の搬送は一時的に停止される。
【0035】
図5〜7に示す別の実施形態では、複数のこのような回転駆動型クランプ装置126が、巻き付けステーション122の搬送方向106に互いに離間した複数の位置に連続的に配置される。回転駆動型クランプ装置126の各々は、リーディングタイ118とトレーリングタイ120の総巻回数に部分的に寄与する。このようにして、個々のフェイスマスク114は、単一の位置でタイの複数の巻回を行うために搬送方向に沿って停止しないので、フェイスマスク114の流れが大幅に妨げられることはない。
【0036】
図5〜7の実施態様では、回転駆動型クランプ装置126の各々は、制御ライン128を介してモータ129(図7)によって駆動される。あるいは、単一のモータ129が、クランプ装置126の全てにギア接続されてもよい。各クランプ装置126は、マスク本体部116をクランプし、その後に解放するように制御された態様で開閉可能なクラムシェルまたは同様のタイプのクランプなどの、互いに対向する一対のクランプ127を備える。クランプ127は、マスク本体部116の側縁部20をクランプするために、コンベヤ104の横方向の両側に配置される。クランプ127は、このプロセスの適切な時点でマスク本体部116のクランプ及び解放を行うように、空気圧で、電気的に、または機械的に作動され得る。クランプ127の作動及び回転は、コンベヤ104に沿って配置された、巻き付けステーション122内のクランプ装置126に対するマスク本体部116の相対位置を検出するセンサからの信号に依存し得る。
【0037】
図5の実施形態では、クランプ127は、マスク本体部116をその側縁部20に沿ってクランプすることができる大きさ及び構成を有する。クランプ127は、マスク本体部116の内側に向かって大幅に延出しない。この構成では、クランプ127は、コンベヤ104に対して横方向に変位しないように構成され、リーディングタイ118及びトレーリングタイ120は、クランプ127間の内側位置でマスク本体部116に巻き付けられる。
【0038】
図6に示す別の実施形態では、クランプ127は、作動時には、回転駆動だけでなく、コンベヤ104に対して横方向にも変位させることができるように構成され、各クランプ127は、マスク本体部116をその側縁部よりもさらに内側の位置でクランプするように、マスク本体部116の内側に向かって変位させられる。クランプ127は、リーディングタイ118及びトレーリングタイ120をマスク本体部116に巻き付けた後、開始位置まで後退してマスク本体部116を解放する。この実施形態では、リーディングタイ118及びトレーリングタイ120はクランプ127にも巻き付けられるが、これは、クランプ127がマスク本体部116を開放すること、及びクランプ127をマスク本体部116から引き出すことを妨げない。
【0039】
図7を参照して、マスク本体部116を回転させるクランプ装置126の各々は、フレーム構造体130を備えることが望ましい。このフレーム構造体130は、リーディングタイ118及びトレーリングタイ120の制御されない形態での巻き付けを防止するために、マスク本体部116を回転させる限定空間を画定する、任意の態様の構造を有し得る。例えば、図示した実施形態では、フレーム構造体130は、頂部部材131と底部部材132とを含み、マスク本体部116は、頂部部材131と底部部材132との間で回転させられ、これにより、リーディングタイ118及びトレーリングタイ120の渦巻き状のまたは制御されない形態での巻き付けが防止される。
【0040】
図示及び上述した特定の内容は、本発明の主題の様々な例示的な実施形態を説明及び教示するためのものであり、本発明の限定を意図するものではない。添付した特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲は、当業者が想到可能な改変形態及び変更形態と共に、本明細書に記載した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションの両方を包含する。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7