【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「革新型蓄電池実用化促進基板技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピロリジニウム系化合物由来のカチオンは、ジメチルピロリジニウムまたはN−エチル−N−プロピルピロリジニウムである、請求項9に記載のフッ化物イオン二次電池用電解質。
【背景技術】
【0002】
フッ化物イオン二次電池は、フッ化物イオン(F
−)をキャリアとした二次電池であり、高い理論エネルギーを有することが知られている。そして、その電池特性については、リチウムイオン二次電池を上回る期待がある。
【0003】
ここで、フッ化物イオン二次電池の固体電解質としては、PbF
2(非特許文献1〜3参照)、PnSnF
4(非特許文献4および5参照)、La
1−xBa
xF
3−x(非特許文献6および7参照)等が報告されている。しかしながら、これらの固体電解質を用いたフッ化物イオン二次電池は、そのイオン伝導性の低さから、作動温度が150℃以上という高温となっており、使用環境に制限があった。
【0004】
また、室温付近で作動するフッ化物イオン伝導性の電解質の報告も存在している(非特許文献8および9参照)。非特許文献8では、NH
4FHF−PEG polymerが、非特許文献9では、MPPF/TMPA−TFSA ionic liquidが報告されている。しかしながら、いずれの電解質も、そのイオン伝導率は必ずしも十分ではなく、新規な電解質の開発が望まれていた
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度が低い環境であっても十分に作動可能なフッ化物イオン二次電池を実現できる、フッ化物イオン二次電池用電解質、当該電解質を用いたフッ化物イオン二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フルオロハイドロジェネートアニオン([(FH)
nF]
−)を含むイオン液体は、高いイオン伝導率を示すことに着目した。そして、フルオロハイドロジェネートアニオン([(FH)
nF]
−)を、フッ化物イオン二次電池の電解質に利用すれば、高いフッ化物イオン伝導性を有するフッ化物イオン二次電池が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、フルオロハイドロジェネートアニオン、またはフルオロハイドロジェネートアニオン由来の塩を含む、フッ化物イオン二次電池用電解質である。
【0009】
前記フッ化物イオン二次電池用電解質は、イオン液体であってもよい。
【0010】
前記イオン液体は、カチオンを含んでいてもよい。
【0011】
前記フッ化物イオン二次電池用電解質は、柔粘性イオン結晶であってもよい。
【0012】
前記柔粘性イオン結晶は、フルオロハイドロジェネートアニオンと、カチオンと、の塩であってもよい。
【0013】
前記カチオンは、環状カチオンであってもよい。
【0014】
前記環状カチオンは、イミダゾリウム系化合物由来のカチオンであってもよい。
【0015】
前記イミダゾリウム系化合物由来のカチオンは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムであってもよい。
【0016】
前記環状カチオンは、ピロリジニウム系化合物由来のカチオンであってもよい。
【0017】
前記ピロリジニウム系化合物由来のカチオンは、ジメチルピロリジニウムまたはN−エチル−N−プロピルピロリジニウムであってもよい。
【0018】
また別の本発明は、上記のフッ化物イオン二次電池用電解質と、正極と、負極と、を備えるフッ化物イオン二次電池である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質よれば、フッ化物イオン二次電池におけるフッ化物イオン伝導性を増大させることが可能となる。その結果、充放電容量の温度特性が向上し、温度が低い環境であっても十分に作動可能なフッ化物イオン二次電池を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
<フッ化物イオン二次電池用電解質>
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質は、フルオロハイドロジェネートアニオン、またはフルオロハイドロジェネートアニオン由来の塩を含む。
【0023】
[フルオロハイドロジェネートアニオン([(FH)
nF]
−)]
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質の構成材料となるフルオロハイドロジェネートアニオンは、[(FH)
nF]
−の構造式で表される。nは必ずしも整数でなくてもよい。本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を構成するフルオロハイドロジェネートアニオンは、1種単独であっても、2種以上が混在していてもよい。
【0024】
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を構成するフルオロハイドロジェネートアニオンは、特に限定されるものではないが、以下の化学式(1)〜(3)に示される、nが1〜3の整数である構造を有するものが好ましい。化学式(1)〜(3)に示されるフルオロハイドロジェネートアニオンであれば、HFの解離圧が十分に低いため、安全に取り扱うことが可能となる。
【0026】
[カチオン]
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質において、フルオロハイドロジェネートアニオン([(FH)
nF]
−)と組み合せて用いられるカチオンは、特に限定されるものではなく、所望のフッ化物イオン二次電池の特性を発現するために、適宜選択することが可能である。
【0027】
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を構成しうるカチオンの構造は、鎖状構造であっても、環状構造であっても、特に限定されるものではない。鎖状カチオンとしては、例えば、例えば、以下の化学式(4)に示されるカチオンを挙げることができる。
【0029】
上記の化学式(4)において、R
1〜R
4は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基である。R
1〜R
4がアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基である場合、その炭素数は、例えば10以下であり、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。特に、R
1〜R
4は、水素であるか、炭素数4以下の、なかでも炭素数2以下のアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基であることが好ましい。化学式(4)においては、R
1およびR
2、あるいはR
3およびR
4が繋がって、環状構造を形成していてもよい。
【0030】
また別の鎖状カチオンとしては、例えば、例えば、以下の化学式(5)に示されるカチオンを挙げることができる。
【0032】
上記の化学式(5)において、R
1〜R
4は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基である。R
1〜R
4がアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基である場合、その炭素数は、例えば10以下であり、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。特に、R
1〜R
4は、水素であるか、炭素数4以下の、なかでも炭素数2以下のアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基であることが好ましい。化学式(5)においては、R
1およびR
2、あるいはR
3およびR
4が繋がって、環状構造を形成していてもよい。
【0033】
化学式(5)で示される鎖状カチオンの中では、テトラエチルアンモニウム(N2222)、または5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS[4.4])が好ましい。テトラエチルアンモニウム(N2222)、または5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS[4.4])であれば、常温付近でイオン伝導性の高い柔粘性イオン結晶相を形成することが可能となる。
【0034】
また別の鎖状カチオンとしては、例えば、例えば、以下の化学式(6)に示されるカチオンを挙げることができる。
【0036】
上記の化学式(6)において、R
1〜R
3は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基である。R
1〜R
3がアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基である場合、その炭素数は、例えば10以下であり、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。特に、R
1〜R
3は、水素であるか、炭素数4以下の、なかでも炭素数2以下のアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基であることが好ましい。なお、各構造における水素の一部または全部は、フッ素で置換されていてもよい。化学式(6)においては、R
1およびR
2、あるいはR
3およびR
4が繋がって、環状構造を形成していてもよい。
【0037】
化学式(6)で示される鎖状カチオンの中では、テトラエチルホスホニウム(P2222)が好ましい。テトラエチルホスホニウム(P2222)であれば、常温付近でイオン伝導性の高い柔粘性イオン結晶相を形成することが可能となる。
【0038】
また、環状カチオンとしては、例えば、以下の化学式(7)に示されるカチオンを挙げることができる。
【0040】
上記の化学式(7)において、R
1またはR
2は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R
3は、環状構造を形成するため官能基であり、少なくとも炭素を含む。R
1またはR
2がアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基である場合、その炭素数は、例えば10以下であり、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。特に、R
1またはR
2は、水素であるか、炭素数4以下の、なかでも炭素数2以下のアルキル基、フルオロアルキル基またはアルコキシアルキル基であることが好ましい。NおよびR
3で構成される環状構造は、5員環構造であっても、6員環構造であってもよく、7員環構造であってもよい。また、NおよびR
3で構成される環状構造は、芳香族性であっても、非芳香族性であってもよい。さらに、NおよびR
3で構成される環状構造は、例えば、ピロリジン構造、ピロール構造、ピペリジン構造、またはピリジン構造であることが好ましい。また、化学式(7)においては、R
1およびR
2が繋がって、環状構造を形成していてもよい。
【0041】
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を構成しうるカチオンは、これらの中でも、環状カチオンであることが好ましい。環状構造を有しているカチオンを用いる場合には、活物質の界面でカチオンが規則正しく配置するため、フッ化物イオンが拡散しやすい構造を形成することができる。その結果、活物質のフッ化反応または脱フッ化反応の少なくとも一方の反応速度を、向上させことができる。
【0042】
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を構成しうるカチオンが環状カチオンである場合には、カチオン中心元素(N元素、P元素)を含むヘテロ環状構造であることが好ましい。また、環状構造は、芳香族性であっても、非芳香族性であってもよい。
【0043】
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を構成しうるカチオンは、イミダゾリウム系化合物由来のカチオンであることが好ましい。イミダゾリウム系化合物由来のカチオンであれば、常温付近で高いイオン伝導性を有するイオン液体相を形成することが可能となる。
【0044】
さらに、イミダゾリウム系化合物由来のカチオンの中では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMIm)であることがより好ましい。1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMIm)であれば、融点が低く、イオン伝導率が高くなる。
【0045】
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を構成しうるカチオンは、ピロリジニウム系化合物由来のカチオンであることが好ましい。ピロリジニウム系化合物由来のカチオンであれば、融点が低く、イオン伝導率が高くなる。
【0046】
さらに、ピロリジニウム系化合物由来のカチオンの中では、ジメチルピロリジニウム(DMPyr)、またはN−エチル−N−プロピルピロリジニウム(EMPyr)であることがより好ましい。ジメチルピロリジニウム(DMPyr)、またはN−エチル−N−プロピルピロリジニウム(EMPyr)であれば、融点が低く、イオン伝導率が高くなる。
【0047】
[形態]
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質の形態は、特に制限されるものではなく、液体、ゲル、固体のいずれであってもよい。本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質の形態は、フルオロハイドロジェネートアニオン([(FH)
nF]
−)と組み合せて用いられるカチオンの種類や、フルオロハイドロジェネートアニオン([(FH)
nF]
−)のn数によって変化する。したがって、フッ化物イオン二次電池の電解質として好ましい形態を、適宜選択することができる。
【0048】
なお、本発明においては、フッ化物イオン二次電池用電解質の形態は、イオン液体または柔粘性イオン結晶であることが好ましい。
【0049】
図1に、本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質の一例となる、EMPyr(FH)
nFの状態図を示す。nが2.0のEMPyr(FH)
2.0Fは、融点が30℃であり、室温(25℃)付近では柔粘性イオン結晶(Ionic Plastic Crystal(IPC))となる。なお、25℃におけるEMPyr(FH)
2.0Fの伝導度は、19.0mScm
−1である。
【0050】
また、
図2に、DMPyr(FH)
nFの状態図を示す。nが2.0のDMPyr(FH)
2.0Fは、融点が52℃であり、室温(25℃)付近では柔粘性イオン結晶(Ionic Plastic Crystal(IPC))となる。なお、25℃におけるDMPyr(FH)
2.0Fの伝導度は、10.3mScm
−1であり、40℃における伝導度は、14.4mScm
−1である。
【0051】
<フッ化物イオン二次電池>
本発明のフッ化物イオン二次電池用電池は、本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質と、正極と、負極と、を備える。本発明のフッ化物イオン二次電池用電池は、本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を用いていれば、その他の構成は特に限定されるものではない。
【0052】
本発明においては、フッ化物イオン二次電池用負極の標準電極電位に対して、十分に高い標準電極電位を提供する正極材料を選択し、これらの間に本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質を配置することにより、フッ化物イオン二次電池としての特性が高く、また、所望の電池電圧を実現することが可能となる。
【0053】
<フッ化物イオン二次電池用電解質の製造方法>
本発明のフッ化物イオン二次電池用電解質は、目的とするカチオンとハロゲン化物イオンからなる塩と、フッ化水素とを反応させることにより得ることができる。その反応方法は、特に限定されるものではないが、例えば、R.Taniki,K.Matsumoto,R.Hagiwara,K.Hachiya,T.Morinaga,T.Sato,J.Phys.Chem.B,117(2013)955.に記載された方法で、製造することができる。
【実施例】
【0054】
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0055】
<実施例1〜4>
[電解質1〜4の製造]
R.Taniki,K.Matsumoto,R.Hagiwara,K.Hachiya,T.Morinaga,T.Sato,J.Phys.Chem.B,117(2013)955.に記載された方法で、電解質1としてEMIm(FH)
2.3F、電解質2としてEMPyr(FH)
2.3F、電解質3としてEMPyr(FH)
2.0F、電解質4としてDMPyr(FH)
2.0Fを製造した。
【0056】
なお、電解質1のEMIm(FH)
2.3Fの融点は−65℃、電解質2のEMPyr(FH)
2.3Fの融点は−37℃であり、したがって、25℃における電解質1および電解質2の形態はイオン液体であった。一方で、電解質3のEMPyr(FH)
2.0Fの融点は30℃、電解質4のDMPyr(FH)
2.0Fの融点は52℃であり、25℃における電解質3および電解質4の形態は、柔粘性イオン結晶であった。
【0057】
[フッ化物イオン二次電池の作製]
以下の材料を用いて、以下の方法で、フッ化物イオン二次電池を作製した。
【0058】
(電解質)
電解質としては、上記で得られたイオン液体である電解質1〜2、および柔粘性イオン結晶である電解質3〜4を用いた。
【0059】
(正極合剤膜)
正極としては、CuF
2混合電極を用いた。CuF
2粒子(Alfa Aesar製)、電子伝導経路を付与するためのアセチレンブラック(Strem chemicals製)、および粒子同士の接着を保つためのPTFE(Aldrich製)を、それぞれ85:10:5の質量比で秤量し、十分に混合した後に膜状に成形し、正極合剤膜とした。
【0060】
(負極合剤膜)
負極としては、CuF
2/Cu混合電極を用いた。正極合剤膜と同様に、CuF
2粒子(Alfa Aesar製)、Cu粒子(Aldrich製)、アセチレンブラック(Strem chemicals製)、およびPTFE(Aldrich製)を、それぞれ50:35:10:5の質量比で秤量し、十分に混合した後に膜状に成形し、負極合剤膜とした。
【0061】
(フッ化物イオン二次電池)
正極合剤膜(2.5mg)、負極合剤膜(12.5mg)をそれぞれ、白金網上に20MPaの圧力で10分間圧着し、イオン伝導経路を付与する目的で、イオン液体である電解質1〜2または柔粘性イオン結晶である電解質3〜4を、合剤膜内部の空隙に含浸させ、正極および負極を得た。また、PTFE膜(Merck製、厚み:65μm)2枚に、イオン液体である電解質1〜2または柔粘性イオン結晶である電解質3〜4を含浸させ、これをセパレーターとして用いた。また、疑似参照極として銅線(ニラコ製、直径1mm)を用いた。銅線はあらかじめテフロン(登録商標)熱収縮チューブで絶縁し、導通を取るために両端のみ露出させた。
【0062】
得られた正極、セパレーター、負極を、
図3に示す専用の三極式評価セル(イーシーフロンティア製)内に積層し、疑似参照極はその片端がセパレーターにのみ接触するようにセル上部から挿入し、フッ化物イオン二次電池とした。
【0063】
<フッ化物イオン二次電池の評価>
[定電流充放電試験]
ポテンショガルバノスタット装置(北斗電工社、HZ−7000もしくはHZ−Pro)を用いて、以下の測定条件にて、定電流充放電試験を実施した。
(測定条件)
作動温度:25℃
RATE:
実施例1〜3:52.8mA(g−CuF
2)
−1(=C/10rate)
実施例4 :10.6mA(g−CuF
2)
−1(=C/50rate)
作動電位領域(銅疑似参照極基準):
実施例1 : −0.40V〜0.60V
実施例2 : −0.35V〜0.65V
実施例3〜4: −0.30V〜0.70V
【0064】
図4に実施例1のEMIm(FH)
2.3F、
図5に実施例2のEMPyr(FH)
2.3F、
図6(a)に実施例3のEMPyr(FH)
2.0F、
図7に実施例4のDMPyr(FH)
2.0Fを用いたフッ化物イオン二次電池の充放電曲線を示す。また、
図6(b)には、実施例3のEMPyr(FH)
2.0Fを用いたフッ化物イオン二次電池について、サイクル数と容量との関係を示す。
【0065】
実施例1〜4の全てにおいて、CuF
2の可逆反応(CuF
2+2e
−⇔Cu+2F
−)を確認することができた。
【0066】
また、CuF
2の理論容量は528mAh(g−CuF
2)
−1であることから、実施例1の電解質を用いたフッ化物イオン二次電池においては、理論容量の90%に相当する初回容量が得られたことがわかる。
【0067】
実施例3の電解質を用いたフッ化物イオン二次電池においては、25℃、C/10レートにおいて、50サイクルの充放電試験が可能であった。
【0068】
実施例4の電解質を用いたフッ化物イオン二次電池においては、25℃、C/50レートにおいて、充放電試験が可能であった。