特許第6959448号(P6959448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959448自転車用フレームに材料を塗布するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959448
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】自転車用フレームに材料を塗布するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/02 20060101AFI20211021BHJP
   B05B 12/12 20060101ALI20211021BHJP
   B05B 13/04 20060101ALI20211021BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20211021BHJP
   B62K 19/00 20060101ALN20211021BHJP
【FI】
   B05D1/02 B
   B05B12/12
   B05B13/04
   B05D7/00 K
   !B62K19/00
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-528100(P2020-528100)
(86)(22)【出願日】2018年11月16日
(65)【公表番号】特表2021-504104(P2021-504104A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(86)【国際出願番号】US2018061422
(87)【国際公開番号】WO2019103921
(87)【国際公開日】20190531
【審査請求日】2020年6月11日
(31)【優先権主張番号】62/589,816
(32)【優先日】2017年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/192,017
(32)【優先日】2018年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515198670
【氏名又は名称】カーライル フルイド テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ツィ ソー ソン
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−297169(JP,A)
【文献】 特開2000−237651(JP,A)
【文献】 特開平07−047314(JP,A)
【文献】 特開2004−230260(JP,A)
【文献】 実開昭57−165268(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
B05B 1/00−17/08
B62K 19/00−19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを介して、自転車フレームの少なくとも1つの物理的寸法を決定するステップと、
コントローラを介して、少なくとも2つの材料塗装機の間の距離設定を決定するステップと、
コントローラを介して、少なくとも2つの材料塗装機の各々によって自転車フレームに噴射される材料のパターンサイズを決定するステップと、
コントローラを介して、前記距離設定及び前記パターンサイズに、少なくとも部分的に、基づいて、少なくとも2つの材料塗装機の位置設定を調整するステップであって、互いに交差する前記少なくとも2つの材料塗装機のそれぞれによるパターンサイズに、少なくとも部分的に、基づくステップと、
コントローラを介して、少なくとも2つの材料塗装機によって自転車フレームに材料を塗布するステップと、
を含み、
前記パターンサイズは、前記少なくとも2つの材料塗装機のそれぞれを通って噴霧される材料によって覆われる面積の量である、自転車フレームへ材料を塗布する方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの材料塗装機の位置設定を調整するステップが、前記少なくとも2つの材料塗装機のそれぞれの間の第1の距離を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの材料塗装機の位置設定を調整するステップが、前記少なくとも2つの材料塗装機のそれぞれの間の第2の距離を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの材料塗装機の位置設定を調整するステップが、前記少なくとも2つの材料塗装機と前記自転車フレームとの間の第3の距離を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの材料塗装機の位置設定を調整するステップが、前記少なくとも2つの材料塗装機と前記自転車フレームとの間の第4の距離を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの材料塗装機の位置設定を調整するステップと、前記少なくとも2つの材料塗装機によって自転車フレームに材料を塗布するステップと、が同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの材料塗装機を通る材料の流量を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
自転車フレームの少なくとも1つの物理的寸法を決定し、
少なくとも2つの塗装機の間の距離設定を決定し、
少なくとも2つの塗装機の各々によって自転車フレームに噴霧される塗料のパターンサイズを決定し、
前記距離設定及び前記パターンサイズに、少なくとも部分的に、基づいて少なくとも2つの塗装機の位置設定を調整し、
互いに交差する前記少なくとも2つの材料塗装機のそれぞれによるパターンサイズに、少なくとも部分的に、基づいて少なくとも2つの塗装機の位置設定を調整し、
前記少なくとも2つの塗装機を通して自転車フレームに塗料を塗布する
ように構成されたコントローラを含み、
前記パターンサイズは、前記少なくとも2つの材料塗装機のそれぞれを通って噴霧される塗料によって覆われる面積の量である、自転車フレームに塗料を塗布するための装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの塗装機のそれぞれの間の第1の距離を調整するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの塗装機のそれぞれの間の第2の距離を維持するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの塗装機と前記自転車フレームとの間の第3の距離を調整するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの塗装機と前記自転車フレームとの間の第4の距離を維持するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの塗装機の位置設定を調整し、同時に、前記少なくとも2つの塗装機によって前記自転車フレームに塗料を塗布するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの塗装機を通る塗料の流量を決定するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの塗装装置の各々が、塗料の流れを霧化するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2017年11月22日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR APPLYING MATERIAL TO A BICYCLE FRAME」という名称の米国仮特許出願第62/589,816号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、自転車フレームに材料を塗布するための装置及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自転車の製造中に、自転車のフレームが組み立てられ、しばしば材料(例えば、塗料、保護フィルム、ポリウレタン、粉末など)でコーティングされる。塗料の耐久性及び美観を向上させるために、自転車のフレームに均一な材料層を塗布することが望ましい。自動化された装置を利用することにより、材料を塗布する時間を短縮することができ、及び/又は材料のより一貫した塗布を提供することができる。自転車のフレームは、材料層を均一に塗布する困難性を増大させ得る隙間を含むことがある。場合によっては、自動化装置がフレーム全体を材料でコーティングしない場合があり、及び/又は自動化装置が材料層を不均一に塗布する場合がある。このような場合、追加の材料を自転車のフレームに塗布してもよい。したがって、自転車フレームへの材料の塗布を改良することが有益であることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当初の請求項の範囲で、相応する特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、請求項の限定を意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は、本明細書で説明される装置及び技術の考えられる形態の簡単な要約を提供することのみを意図する。実際に、ここに開示された実施形態は、以下に記載される実施形態と同様であっても異なっていてもよい様々な形態を包含することができる。
【0005】
第1の実施形態では、自転車フレームに材料を塗布する方法が、コントローラを介して、自転車フレームの少なくとも1つの物理的寸法を決定するステップを含む。この方法は、コントローラを介して、少なくとも2つの材料塗装機の間の距離設定を決定するステップも含む。さらに、この方法は、コントローラを介して、少なくとも2つの材料塗装機の各々によって自転車フレームに噴霧される材料のパターンサイズを決定するステップを含む。さらに、この方法は、コントローラを介して、距離設定及びパターンサイズに、少なくとも部分的に、基づいて、少なくとも2つの材料塗装機の位置設定を、調整するステップを含む。さらに、この方法は、コントローラを介して、少なくとも2つの材料塗装機により自転車フレームに材料を塗布するステップを含む。
【0006】
第2の実施形態では、自転車フレームに塗料を塗布するための装置が、自転車フレームの少なくとも1つの物理的寸法を決定するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、少なくとも2つの塗装機の間の距離設定を決定するようにも構成されている。さらに、コントローラは、少なくとも2つの塗装機の各々によって自転車フレームに噴霧される塗料のパターンサイズを決定するように構成されている。また、コントローラは、距離設定及びパターンサイズに、少なくとも部分的に、基づいて、少なくとも2つの塗装機の位置設定を調整するように構成されている。さらに、コントローラは、少なくとも2つの塗装機によって自転車フレームに塗料を塗布するように構成されている。
【0007】
第3の実施形態では、自転車フレームに塗料を塗布するための装置が、複数のアーム及び複数の継手を含む自動化されたロボット装置を含む。自動ロボット装置は、複数のアームのうちの少なくとも1つ又は複数の継手のうちの少なくとも1つを移動させることによって、塗装装置の位置設定を調整するように構成されている。この装置は、自動ロボット装置に連結された塗装装置も含み、塗装装置は、少なくとも2つの塗装機を含む。さらに、塗装装置は、少なくとも2つの塗装機のそれぞれ1つに結合するように構成された少なくとも2つの取り付けアームを含む。さらに、塗装装置は少なくとも2つの取り付けアームに連結するように構成された少なくとも1つの摺動アームを含み、少なくとも1つの摺動アームは、少なくとも2つの取り付けアームが互いに対して平行移動することを可能にするように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のこれらの及び他の、特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、より良好に理解されるであろう。なお、図面を通して、同様の記号は同様の部分を示すものである。
【0009】
図1図1は、本開示の一態様による、自動化された材料塗布装置の一実施形態の斜視図である。
図2図2は、本開示の一態様による、図1の自動化された材料塗布装置において利用され得る2つの材料塗装機を有するロボット装置の一実施形態の側面図である。
図3図3は、本開示の一態様による、自転車フレームに対して複数の位置にある、図2の2つの材料塗装機の一実施形態の側面図である。
図4図4は、本開示の一態様による、自転車フレームへの材料の自動塗布に関するフローチャートの一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の1つ以上の特定の実施形態を記載する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施に関する全ての特徴が本明細書で説明されないことがある。そのような実際のいかなる実施例の開発においても、全ての技術又は設計プロジェクトにおけるのと同様に、多くの実施における特有の決定がなされて、装置やビジネスに関連する制約の遵守のような、開発者に特有の目的が達成されなければならないこと、また上記特有の目的によってひとつの実施から他の実施への変更が可能であること、が認識されるべきである。さらに、このような開発の取り組みは、複雑であってかつ時間がかかるかもしれないが、本開示の利益を受ける当業者にとって、設計、作製及び製造の日常的な作業であることが、理解されるべきである。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、1つ又は複数の要素が存在することを意味することを意図している。用語「comprising」、「including」、及び「having」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。動作パラメータ及び/又は環境条件の任意の例は、開示された実施形態の他のパラメータ/条件を排除するものではない。
【0012】
自転車の組み立て時には、自転車のフレームが作成される。次いで、自転車フレームは、しばしば、少なくとも1つの材料層(例えば、塗料、保護フィルム、ポリウレタン、粉末など)でコーティングされる。本明細書に記載されているように、塗料という用語は、自転車に適用され得る、塗料、保護フィルム、ポリウレタン、粉末などを含む、任意の適切なコーティング材料を指す可能性がある。自転車フレームは、多くの場合、自転車フレームへの塗料の塗布を面倒にする可能性がある凹部及び丸みを帯びた表面を有する。さらに、塗料の耐久性や美観を改善するために、均一な厚さの塗料層を塗布することが有益である。さらに、塗装装置は、均一な塗料層が与えられなかったスポットに対して修正塗装がしばしば採用するが、これはさらなる作業者及び時間を使用するおそれがある。さらに、自転車フレームに塗装する時間を減らすことによって、自転車の製造時間を減らすことができ、自転車の製造に伴うコストを減らすことができる。従って、塗装装置を提供して自転車フレームへの塗装を改善し、塗料の耐久性と美観を改善するとともに、塗装と修正塗装に費やす時間を削減することが望ましい。
【0013】
したがって、本開示の実施形態は、概して、塗装のための装置及び方法に関する。例えば、いくつかの実施形態は、自転車フレームの表面を横切る塗料の一貫した流れを可能にする自動塗装機を含む。この自動塗装機は自転車フレームに適用される塗装の品質を向上させると同時に、自転車フレームへの塗装時間を短縮することができる。
【0014】
前述のことを念頭に置いて、図1は自動塗装装置10の実施形態の斜視図であり、これは、以下でさらに詳細に論じられるように、塗装機及び塗装機を使用するための方法における様々な改良を含み得る。本実施形態では、自動塗装装置10がロボット装置12と、第1ポンプ装置14と、第2ポンプ装置16と、塗料供給部30と、コントローラ20とを含む。(例えば、自転車の)構成部分の製造中に、当該構成部分は(例えば、自動塗装装置10によって)塗料でコーティングすることができる。そのように、塗装されていない表面22は、製造プロセスの種々のステップを通過するためにコンベヤ装置24に沿って移動する。本実施形態では、塗装されていない表面22が塗装ステップを通って移動し、塗装されていない表面22は塗料でコーティングされ、塗装された表面26になる。コンベヤ装置24の作動中に塗装されていない表面22が自動塗装装置10付近を移動するときに、自動塗装装置10が塗装されていない表面22に塗料を塗布する。例えば、本実施形態では、ロボット装置12が液体の塗料が流れる塗装機28(例えば、噴霧機)を含む。従って、塗装されていない表面22がロボット装置12付近を移動すると、塗装機28が塗装されていない表面22に塗料を噴霧する。同時に、ロボット装置12は、塗装されていない表面22への塗装の品質を改善するために、6の自由度で塗装機28を動かすように構成されている。いくつかの実施形態では、ロボット装置12が1、2、3、4、又は5の自由度を含む、より少ない自由度で塗装機を移動させることができる。自動塗装装置10が塗装されていない表面22に塗料を塗布した後、塗装されていない表面22は塗装された表面26になり、製造プロセスの別の部分に進み続ける。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1ポンプ装置14、第2ポンプ装置16、又はその両方を利用して、塗料を塗布する際にロボット装置12を補助することができる。例えば、第1のポンプ装置14、第2のポンプ装置16、又はその両方が、ロボット装置12への塗料の流れをもたらすために、1つ又は複数の塗料供給ライン32を介して、塗料供給部30に流体連通されていてもよく、またポンプ装置14、16の少なくともいずれかは塗装機28の至るまで流体連通されていてもよい。第1のポンプ装置14及び第2のポンプ装置16は、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプ、遠心ポンプなどを含む、任意の適切なタイプのポンプを含んでもよい。
【0016】
さらに、コントローラ20(例えば、電子及び/又はプロセッサベースのコントローラ)は、塗装装置10の動作を管理するために利用することができる。コントローラ20はロボット装置12、第1のポンプ装置14、第2のポンプ装置16、及び/又はコンベヤ装置24と電気的に通信することにより、塗装装置10の動作を独立に制御することができる。例えば、コントローラ20は、ロボット装置12の塗装機28の位置及び動きを制御することができる。さらに、コントローラ20は、コンベヤ装置24の移動速度を制御して、塗装されていない表面22及び塗装された表面26の移動速度を増減させることができる。コントローラ20は、第1のポンプ装置14及び/又は第2のポンプ装置16を制御して、ロボット装置12への塗料の流量を変化させることができる。
【0017】
コントローラ20は、分散制御装置(DCS)、又は完全に又は部分的に自動化された任意のコンピュータベースのワークステーションを含むことができる。例えば、コントローラ20は開示された技術を実行するソフトウェアプログラムを実行することができるプロセッサ34(例えば、マイクロプロセッサ)を含んでもよい。さらに、プロセッサ34は、複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数の「汎用」マイクロプロセッサ、1つ又は複数の専用マイクロプロセッサ、及び/又は1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASICS)、又はそれらの何らかの組合せを含むことができる。例えば、プロセッサ34は、1つ以上の縮小命令セット(RISC)プロセッサを含んでもよい。コントローラ20は、プロセッサ34によって実行可能な命令を記憶するためのメモリデバイス36を含んでもよい。メモリデバイス36に格納されるデータは、塗装装置10における、ロボット装置12のパラメータ、第1のポンプ装置14のパラメータ、第2のポンプ装置16のパラメータ、コンベヤ装置24のパラメータ等の移動アルゴリズムを含むことができるが、これらに限定されない。メモリデバイス36は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))及び/又は不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、又は任意の他の適切な光学、磁気、もしくはソリッドステート記憶媒体、又はそれらの組み合わせ)などの、有形の、非一時的な、機械可読媒体を含み得る。さらに、コントローラ20は、塗装装置10のいたるところに拡散させて複数のコントローラを含んでもよい(例えば、ロボット装置12、第1のポンプ装置14、第2のポンプ装置16、及びコンベヤ装置24の各々は、1つ以上のコントローラを含んでもよい)。
【0018】
図2は、2つの塗装機28を含む塗装装置48を有するロボット装置12の一実施形態の側面図である。ロボット装置12は、横軸56、縦軸58、及び/又は垂直軸60の周りを回転することができる、第1の継手50、第2の継手52、及び第3の継手54を含む。さらに、ロボット装置は、第1の継手50と第2の継手52とを連結する第1のアーム62と、第2の継手52と第3の継手54とを連結する第2のアーム64と、第3の継手54と塗装装置48とを連結する第3のアーム66とを含む。第1の継手50、第2の継手52、及び/又は第3の継手54が回転すると、第1のアーム62、第2のアーム64、及び/又は第3のアーム66は、横方向56、縦方向58、及び/又は垂直方向60に移動する。いくつかの実施形態では、ロボット装置12が1、2、4、5、6、又はそれ以上を含む任意の適切な数の継手及び/又はアームを含むことができる。
【0019】
さらに、上述したように、ロボット装置12は、コントローラ20に電気的に接続されてもよく、コントローラは1つ又は複数のモータ70(例えば、サーボモータ、電気モータなど)を制御して、第1の継手50、第2の継手52、及び/又は第3の継手54の回転を制御して、ロボット装置12の移動を制御してもよい。いくつかの実施形態では、ロボット装置12が入力デバイス(例えば、ジョイスティック、マウス、及びキーボードなど)を使用するオペレータによるコントローラであってもよい。
【0020】
塗装装置48は、第3のアーム66に連結されている。従って、ロボット装置12は、第3のアーム66の動きを制御することによって、塗装装置48の三次元位置を制御することができる。塗装装置48の移動は、塗装されていない表面上に噴霧される塗料の特性に影響を及ぼし得る。例えば、塗装装置48が塗装されていない表面から離れて移動される場合、塗料は塗装されていない表面のより広い領域に噴霧される。逆に、塗装装置48が塗装されていない表面に近づくと、塗料は塗装されていない表面のより小さい領域に噴霧される。さらに、塗装装置48が塗装をしていない表面の特定の領域に塗料を塗布する時間の長さは、塗装されていない表面上に付着した塗料の量に比例し得る。例えば、塗装されていない表面の特定の領域に塗料を塗布するのにより長い時間を費やすことは、塗装されていない表面の特定の領域に付着される塗料の量を増加させる。
【0021】
上述したように、塗装装置48は、塗料供給部30から1つ以上の塗料供給ライン32を通る塗料の流れを受け取ることができる。塗装装置48を通る塗料の流量は、塗装されていない表面上に堆積される塗料の量に影響を及ぼし得る。例えば、塗料の流量が多いほど、塗装されていない表面に付着する塗料の量が増加する。
【0022】
本実施形態では、塗装装置48が2つの塗装機28と、2つの塗装機28及び第3のアーム66に結合するブラケット装置80とを含む。後述するように、ブラケット装置80は、2つの塗装機が互いに対して動くことを可能にして、塗料のスプレーパターンの特性を変更することができる。さらに、各塗装機28は、スプレーパターンの特性を変化させるために個別に制御されてもよい。例えば、塗装機28のノズルは、スプレーパターンのサイズ及び/又は形状を変更するように調整することができる。
【0023】
図3は、自転車フレーム100に対して複数の位置にある塗装装置48を示す側面図である。上述したように、塗装装置48は、第3の継手54に連結されている第3のアームでロボット装置12に連結されており、第3のアーム66の動きが、塗装装置48の動きを制御する。本実施形態では、塗装装置48が2つの塗装機28と、第1の摺動アーム102と、第2の摺動アーム104と、第1の取り付けアーム106と、第2の取り付けアーム108と、取り付けブラケット110とを含む。作動中、塗装装置48は自転車フレーム100に対して移動する。塗装装置48が移動するにつれて、塗料は2つの塗装機28を通って自転車フレーム100上に噴霧される。
【0024】
本実施形態では、取り付けブラケット110が2つの締結具112(例えば、ボルト、ねじ、溶接部等)によって、第3のアーム66に堅固に結合されている。いくつかの実施形態では、取り付けブラケット110が第3のアームに回転自在に連結されてもよい。第1の摺動アーム102は、第1の端部114で取り付けブラケット110に結合され、第2の端部116で第1の取り付けアーム106に結合されている。第2の摺動アーム104は、第1の端部118で取り付けブラケット110に結合され、第2の端部120で第2の取り付けアーム108に結合されている。さらに、第1の取り付けアーム106及び第2の取り付けアーム108の各々は、2つの塗装機28のうちの1つに連結されている。本実施形態では、2つの塗装機28がそれぞれの取り付けアームにしっかりと結合されている。いくつかの実施形態では、2つの塗装機28の一方又は両方がそれぞれの取り付けアームに回転可能に連結されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、2つの塗装機28の一方又は両方が、それぞれの取り付けアームに摺動可能に連結されてもよく、その結果、摺動可能に連結された塗装機28はそれぞれの取り付けアームの長さ130に沿って並進してもよい。第1の摺動アーム102及び第2の摺動アーム104の各々は、第1の取り付けアーム106と第2の取り付けアーム108のそれぞれが取り付けブラケット110に近づき、また取り付けブラケットから離れることを可能にし、これにより塗装機28同士が異なる距離にあることを可能にする。図示のように、2つの塗装機28同士は第1の距離124にあってもよいし、第2の距離126にあってもよい。2つの塗装機28の間の距離は、任意の適切な距離を達成するように調整され得ることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、第1の距離124及び/又は第2の距離126は、各塗装機28によって噴霧される塗料によって覆われる領域に基づいて決定されてもよく、これにより各塗装機28によって噴霧される塗料によって覆われる領域は互いに交差する。
【0025】
さらに、第1の取り付けアーム106及び第2の取り付けアーム108の並進は、オペレータによって手動で、又はモータ(例えば、サーボモータ、電気モータなど)及びコントローラ(例えば、コントローラ20)によって自動的に制御されてもよい。いくつかの実施形態では、第3のアーム66が動いている間は、第1の取り付けアーム106及び第2の取り付けアーム108の平行移動を防止することができ、いくつかの実施形態では、第3のアーム66が動いている間に、第1の取り付けアーム106及び第2の取り付けアーム108の平行移動を可能にすることができる。いくつかの実施形態においては、第1の摺動アーム102及び第2の摺動アーム104が、取り付けブラケット110に一体であってもよく、及び/又は第1の摺動アーム102及び第2の摺動アーム104は、第1の取り付けアーム106と第2の取り付けアーム108との間に延在する単一の摺動アームであってもよい。さらに、第1の摺動アーム102及び第2の摺動アーム104は、引き出しスライド、レールスライドなどを含む、並進を可能にする任意の適切な構造を含んでもよい。
【0026】
2つの塗装機28の各々は、塗装機28のいくつかの特徴を制御するためのケーブル(例えば、光ファイバケーブル)に結合することができる入口134を含む。2つの塗装機28の各々は、塗料の流れがそれぞれの塗装機28を出ることができる出口ノズル136も含む。塗料の流れが塗装機28を通って出口ノズル136から外に移動すると、塗料の流れは霧化されて微細な霧となり、自転車フレーム100上に噴霧されて塗料の層が形成される。出口ノズル136は、スプレーされる塗料の形状及び塗料で覆われる自転車フレーム100の面積量を変えることができる。さらに、塗装機28と自転車フレーム100との間の距離は、塗料によって覆われる領域にも影響を及ぼし得る。図示するように、塗装機28は、自転車フレーム100から第1の距離140にあるか、又は自転車フレーム100から第2の距離142にある。第1の距離140と第2の距離142とは等しくてもよいし、第1の距離140と第2の距離142とが異なっていてもよい。いくつかの実施態様においては、第1の距離140を第2の距離142と等しくさせることによって、自転車フレーム100上に噴霧される塗料が均一な層厚を有するようにすることができる。
【0027】
図4は、自転車フレームに塗料を自動的に塗布するためのプロセス160の一実施形態のフローチャートである。プロセス160によれば、ロボット装置が、層厚が不均一な自転車フレームに塗料を塗布することが可能となる。以下のプロセス160は、実行され得るいくつかの動作を含むが、プロセス160は様々な適切な順序(例えば、動作が議論される順序、又は任意の他の適切な順序)で実行され得ることに留意すべきである。なお、処理160の全ての動作を行わなくてもよい。さらに、プロセス160のすべての動作は、コントローラによって実行されてもよい。
【0028】
コントローラが、自転車フレームの少なくとも1つの物理的寸法を決定するように構成される(ブロック162)。物理的寸法は、長さ、厚さ、幅などの任意の適切な寸法を含むことができる。さらに、物理的寸法は、ユーザ入力から受信されてもよい。
【0029】
次に、コントローラが、2つの塗装機の間の距離設定を決定する(ブロック164)。上述したように、塗装機は、摺動アームを利用することによって互いに対して移動させることができる。距離設定は、各塗装機から噴霧される塗料によって覆われる領域に、少なくとも部分的に、基づいて決定されてもよい。例えば、決定された距離設定によって、各塗装機から噴霧された塗料によって覆われた領域の間に塗装されていない空間がないように、各塗装機から噴霧された塗料によって覆われた領域を互いに交差させることができる。いくつかの実施形態では、距離設定は、少なくとも1つの物理的寸法に。少なくとも部分的に、基づくことができる。例えば、距離設定は、各塗装機から噴霧される塗料によって覆われる領域が少なくとも1つの物理的寸法に沿った領域の一部又は全部を包含するようなものであってもよい。
【0030】
次に、コントローラが、塗装機を通る塗料の流量を決定する(ブロック166)。塗装機を通る流量は、対応する塗装機から噴霧される塗料によって覆われる領域に影響を及ぼし得る。さらに、塗装機を通る塗料の流量は、塗装機によって塗布される塗料層の厚さに影響を及ぼすことがある。塗装機を通る塗料の流量は、塗装機が自転車フレームに塗料を塗布する時間にも影響する場合がある。例えば、塗料の流速を上げると、塗布される塗料層の厚さが増し、及び/又は塗装機が自転車フレームに塗料を塗布する時間が短くなる。
【0031】
コントローラが、自転車フレームに噴霧される塗料のパターンサイズを決定する(ブロック168)。パターンサイズは、塗装機の各々を通って噴霧される塗料によって覆われる面積の量である。いくつかの実施形態では、出口ノズルの設定を変更することによって、パターンサイズを調整することができる。例えば、出口ノズルを狭くしてパターンサイズを小さくし、或いは、出口ノズルを広くしてパターンサイズを大きくすることができる。いくつかの実施形態では、塗装機と自転車フレームとの間の距離を変更することによって、パターンサイズを調整することができる。例えば、塗装機と自転車フレームとの間の距離を増加させることにより、パターンサイズを増加させ、また自転車フレームに塗布される塗料層の厚さを減少させることができる。さらに、塗装機と自転車フレームとの間の距離を減少させることにより、パターンサイズを減少させ、また自転車フレームに塗布される塗料層の厚さを増加させることができる。加えて、パターンサイズは、塗装機を通る空気流量(例えば、シェーピングエア)の圧力設定を変化させることによって調節されてもよい。例えば、パターンサイズは空気流量に反比例してもよい(例えば、より高い圧力設定はより小さなパターンサイズに対応し、より低い圧力設定は、より大きなパターンサイズに対応する)。
【0032】
次に、コントローラが、距離設定、塗料の流量、及び/又はパターンサイズに、少なくとも部分的に、基づいて、塗装機の位置設定を調整することができる(ブロック170)。例えば、コントローラは、塗装機を自転車フレームに近づけたり遠ざけたりすることができる。コントローラは、塗装機を互いに近づけたり遠ざけたりすることができる。いくつかの実施形態では、コントローラが塗装機の移動経路を決定することができる。例えば、塗装機が自転車フレームに塗料を塗布しているとき、コントローラは、塗装機が自転車フレームに対して移動するように塗装機の位置設定を調整することができる一方で、自転車フレームに塗料を塗布して、塗装機が自転車フレームのほぼ全てに塗料を塗布できるようにすることができる。いくつかの実施形態では、塗装機のパターンサイズによって、自転車フレームに塗料を塗布する間、塗装機を静止させることができる。
【0033】
コントローラが、塗装機によって自転車フレームに塗料を塗布する(ブロック172)。上述のように、コントローラが塗装機の位置設定を調整している間(ブロック170)、塗料を塗布してもよい。コントローラによって、塗料の流れを塗装機に入れることができ、塗装機は塗料の流れを霧化して自転車フレーム上に流し、それによって塗料層を自転車フレームに塗布する。
【0034】
互いに対して動くことができる2つの塗装機を有する装置を利用することにより、生産性を増大させ、及び/又は自転車フレームの塗装に関連するコストを低減させることができる。例えば、2つの塗装機によって塗料を供給することにより、自転車フレームに塗料を塗布するための時間を低減することができ、完全な自転車を製造するための時間を低減することができる。さらに、自転車フレームに塗料を塗布する間に移動することのできる2つの塗装機によって塗料を供給することにより、厚さのばらつきを減少させて塗料を塗布することができ、塗料層の品質及び美観を向上させることができる。2つの塗装機を使用することで、塗装を補修するのにかかる時間を短縮することもでき、自転車全体の製造時間を短縮し、自転車全体を製造するための作業量を削減することができる。従って、2つの塗装機を利用する装置によって、生産性及び品質を向上させることができる。
【0035】
本明細書では、本開示の特定の特徴のみを図示し、説明してきたが、多くの修正及び変更が当業者には想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲が、本開示の真の精神の範囲内にあるそのようなすべての修正及び変更を包含することが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4