特許第6959450号(P6959450)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959450車両ルーティングのシーン難易度予測モデルの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959450
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】車両ルーティングのシーン難易度予測モデルの使用
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20211021BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20211021BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20211021BHJP
【FI】
   G01C21/36
   G08G1/16 A
   B60W60/00
【請求項の数】24
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-530322(P2020-530322)
(86)(22)【出願日】2018年11月26日
(65)【公表番号】特表2021-507206(P2021-507206A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(86)【国際出願番号】US2018062446
(87)【国際公開番号】WO2019118161
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年7月22日
(31)【優先権主張番号】15/843,223
(32)【優先日】2017年12月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】エブナー,ディートマー
(72)【発明者】
【氏名】ハーバック,ジョシュア セス
(72)【発明者】
【氏名】モンテメルロ,マイケル スティーブン
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/159176(WO,A1)
【文献】 特開2015−141052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0025505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/36
G08G 1/16
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律運転車両の走行経路を決定する方法であって、
1つ以上のコンピューティングデバイスで、ネットワークを介して記憶システムからデータを検索することであって、前記データは、前記自律運転車両以外の複数の車両が通り抜ける複数の道路区間に関する情報を提供し、前記データは、前記複数の車両の1台以上による自律運転モードから手動モードへの以前の離脱を示す、複数の難易度信号を含み、前記記憶システムおよび前記ネットワークは、前記自律運転車両の外部にあることと、
前記データに基づいて、各道路区間の難易度値を前記難易度信号に基づいて決定することと、
前記1つ以上のコンピューティングデバイスを用いて、出発地と目的地との間の1つ以上の可能な経路の各々の経路コストを計算することであって、前記経路コストが、経路に沿った前記複数の道路区間の前記難易度値に少なくとも基づくことと、
前記1つ以上の可能な経路の各々の前記経路コストに基づいて、前記1つ以上の可能な経路のうちどの経路を走行するかを決定することと、
前記決定された経路に基づいて、ルーティング信号を生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記経路コストは、前記決定された経路に沿った前記複数の道路区間における多数の無防備な方向転換を示す難易度信号にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記難易度信号を時間的特徴と相関させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
特定の区間の前記難易度値を計算することは、前記特定の区間に沿った予測される走行の日または時間を、前記特定の区間の前記難易度信号と相関する日または時間と比較することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記難易度値を決定することは、前記難易度信号の少なくとも1つに対応する困難に遭遇する確率を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記難易度値を予測モデルに入力することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各道路区間の区間コストを計算することであって、前記区間コストが、前記難易度値、距離、および各道路区間を通り抜けるのに必要な時間に基づいて計算されることと、
前記経路コストは、前記経路に沿った前記複数の道路区間の前記区間コストに基づいて計算されることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記区間コストを計算することは、
各道路区間の前記難易度値に基づいて難易度スコアを計算することと、
各道路区間の前記距離に基づいて距離スコアを計算することと、
各道路区間を通り抜けるのに必要な前記時間に基づいて時間スコアを計算することと、
前記難易度スコア、前記距離スコア、および前記時間スコアを重み付けすることと、
前記重み付けされたスコアの関数としての前記区間コストを計算することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記難易度スコア、前記距離スコア、および前記時間スコアを重み付けすることは、前記難易度スコア、前記距離スコア、および前記時間スコアの係数を設定することを含み、前記係数は、相対的な重みを調整するように修正可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記自律運転車両の乗員から入力を受信することと、
前記乗員からの前記受信した入力に基づいて前記係数を調整することと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記難易度値はさらに、遠隔運転支援の要求、各道路区間に沿った多数の無防備な方向転換、前記自律運転車両の視野が遮られている運転エリアの一部分、または、各道路区間に沿った多数の障害物、のうちの少なくとも1つを示す前記難易度信号に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
自律運転車両の走行経路を決定するためのシステムであって、
ネットワークと、
記憶システムと、
1つ以上のプロセッサと、を含み、前記1つ以上のプロセッサは、
前記ネットワークを介して前記記憶システムからデータを検索することであって、前記データは、前記自律運転車両以外の複数の車両が異なる時間に通り抜ける複数の道路区間に関する情報を提供し、前記データは、前記複数の車両の1台以上による自律運転モードから手動モードへの以前の離脱を示す、複数の難易度信号を含み、前記記憶システムおよび前記ネットワークは、前記自律運転車両の外部にあることと、
前記データに基づいて、各道路区間の難易度値を前記難易度信号に基づいて決定することと、
出発地と目的地の間の1つ以上の可能な経路の各々に対する経路コストを計算することであって、前記経路コストは、その経路に沿った前記複数の道路区間に対する少なくとも前記難易度値に基づく、計算することと、
前記1つ以上の可能な経路の各々の前記経路コストに基づいて、前記1つ以上の可能な経路のどの経路を走行するかを決定することと、
前記決定された経路に基づいて、ルーティング信号を生成することと、
を行うように構成されている、システム。
【請求項13】
前記経路コストは、前記決定された経路に沿った前記複数の道路区間における多数の無防備な方向転換を示す難易度信号にさらに基づく、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサは、前記難易度信号を時間的特徴と相関させるようにさらに構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
特定の区間の前記難易度値を計算することは、前記特定の区間に沿った予測される走行の日または時間を、前記特定の区間の前記難易度信号と相関する日または時間と比較することを含む請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記難易度値を決定することは、前記難易度信号のうちの少なくとも1つに対応する困難に遭遇する確率を決定することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサは、前記難易度値を予測モデルに入力するようにさらに構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上のプロセッサは、
各道路区間の区間コストを計算するようにさらに構成されており、前記区間コストは、各道路区間を通り抜けるために必要な前記難易度値、距離、および時間に基づいて計算され、
前記経路コストは、前記経路に沿った前記複数の道路区間の前記区間コストに基づいて計算される、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記区間コストを計算することは、
各道路区間の前記難易度値に基づいて難易度スコアを計算することと、
各道路区間の前記距離に基づいて距離スコアを計算することと、
各道路区間を通り抜けるのに必要な前記時間に基づいて時間スコアを計算することと、
前記難易度スコア、前記距離スコア、および前記時間スコアを重み付けすることと、
前記重み付けされたスコアの関数として前記区間コストを計算することと、を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記難易度スコア、前記距離スコア、および前記時間スコアを重み付けすることは、前記難易度スコア、前記距離スコア、および前記時間スコアの係数を設定することを含み、前記係数は、相対的な重みを調整するように修正可能である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記自律運転車両の乗員から入力を受信することと、
前記乗員から前記受信した入力に基づいて前記係数を調整することと、を行うようにさらに構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記難易度値は、遠隔運転支援の要求、各道路区間に沿った多数の無防備な方向転換、前記自律運転車両の視野が遮られている運転エリアの一部分、または、各道路区間に沿った多くの障害物、のうちの少なくとも1つを示す前記難易度信号にさらに基づく、請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
前記自律運転車両に、前記ルーティング信号に基づいて、前記決定された経路に従って走行させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記自律運転車両は、前記ルーティング信号に基づいて、前記決定された経路に従って走行されることをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月15日に出願された米国特許出願第15/843,223号の優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現在のナビゲーションシステムは、距離および運転時間などの要因を考慮する。しかしながら、かかるシステムが、車両、特に自律運転車両の運転者および乗員に提供する選択肢は、限られている。かかる自律運転車両は、乗員が迎えの場所または目的地などのいくつかの初期入力を行い、かつ車両がその場所まで車両自体を操縦するという、完全な自律運転モードで動作することができる。他の例では、車両は半自律運転モードまたは手動モードで動作することができ、その場合、人間の運転者が車両の操縦に関する一部またはすべての面を制御する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様は、自律運転車両の走行経路を決定する方法を提供する。この方法は、1つ以上のコンピューティングデバイスで、1台以上の車両からデータを受信することを含み、前記データは、1台以上の車両が通り抜ける道路区間に関する情報を提供し、前記データは、1台以上の車両からの1つ以上の難易度信号を含む。データは、区間の難易度値を決定するために使用されるが、その難易度値は、自律運転モードから手動モードへの離脱を示す1台以上の車両からの難易度信号に基づくものである。他の例では、難易度信号は、遠隔オペレータからの支援要求、道路区間に沿った多数の無防備な方向転換、自律運転車両の視野が遮られている運転エリアの一部分、障害物の数が閾値であるまたは異常であるなどを示し得る。経路コストは、出発地と目的地の間の1つ以上の可能な経路の各々について計算されるが、経路コストは、少なくともその経路に沿った道路区間の難易度値に基づいており、1つ以上の可能な経路のうち、どれを走行するかは、1つ以上の可能な経路の各々の経路コストに基づいて決定する。いくつかの例では、この方法は、自律運転車両に、こうして決定した経路を運転させることをさらに含む。難易度信号は、時間的特徴と相関させてもよい。例えば、特定の区間の難易度値を計算することは、その特定の区間に沿って走行する予測日または時間を、その特定の区間の難易度信号と相関する日または時間と比較することを含み得る。難易度値を決定することは、難易度信号のうちの少なくとも1つに対応する困難に遭遇する確率を決定することを含み得る。
【0004】
いくつかの例では、この方法は、道路区間の区間コストを計算することをさらに含むことができ、区間コストは、難易度値、距離、および道路区間を通り抜けるのに必要な時間に基づいて計算されるが、経路コストは、その経路に沿った道路区間の区間コストに基づいて計算される。かかる例では、区間コストを計算することは、その区間の難易度値に基づいて難易度スコアを計算することと、その区間の距離に基づく距離スコアを計算することと、その区間を通り抜けるのに必要な時間に基づいて時間スコアを計算することと、難易度スコア、距離スコア、時間スコアの重み付け、および重み付けされたスコアの関数としての区間コストを計算することと、を含み得る。難易度スコア、距離スコア、および時間スコアを重み付けすることは、難易度スコア、距離スコア、および時間スコアの係数を設定することを含み得、その係数は、相対的な重みを調整するように修正可能である。入力は、自律運転車両の乗員から受信され得、係数は、乗員から受信した入力に基づいて調整され得る。
【0005】
本開示の別の態様は、自律運転車両の走行経路を決定するためのシステムを提供する。このシステムは、1つ以上のメモリ、およびこの1つ以上のメモリと通信する1つ以上のプロセッサを含む。1つ以上のプロセッサは、1台以上の車両からのデータを受信することであって、データは、その1台以上の車両が通り抜ける道路区間に関する情報を提供し、その1台以上の車両からの難易度信号を含む、受信することと、このデータに基づいて、その区間の難易度値、自律運転モードから手動モードへの離脱を示す1台以上の車両からの難易度信号に基づく難易度値を決定することと、を行うように構成され得る。いくつかの例では、難易度信号は、代替的または追加的に、遠隔オペレータからの支援要求、その道路区間に沿った多くの無防備な方向転換、運転エリアの一部において自律運転車両の視野が遮られている運転エリアの一部分、道路区間の多くの障害物などを示し得る。1つ以上のプロセッサは、出発地と目的地の間の1つ以上の可能な経路の各々についての経路コストを計算することであって、経路コストは、少なくともその経路に沿った道路区間の難易度値に基づく、計算することと、1つ以上の可能な経路の各々の経路コストに基づいて、1つ以上の可能な経路のうちのどれを走行するかを決定することと、をさらに行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】典型的な実施形態に係る例示的な車両の機能図である。
図2】本開示の態様に係る地図情報の一例である。
図3】本開示の態様に係る車両の例示的な外観図である。
図4】典型的な実施形態に係る例示的なシステムの絵図である。
図5】本開示の態様に係る、図4のシステムの機能図である。
図6】本開示の態様に係るデータ構造の一例である。
図7】本開示の態様に係るフロー図の一例である。
図8図2の地図情報に関連付けられた可能な経路オプションの一例である。
図9図8の可能な経路オプションの道路区間の一例である。
図10図9の道路区間に関連付けられた難易度レベルの表示の一例である。
図11図8の可能な経路オプションの経路コストの計算例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
概要
本技術は、概して、収集したデータを使用して自律運転車両のシステム動作を改善することに関する。特に、かかる収集されたデータは、予測モデルに含めて使用され、時間、距離、および経路の走行の難易度に基づいて通行する経路を決定することができる。
【0008】
メトリックは、自律運転型、半自律運転型、手動操作型車両などを含み得る、多くの車両から学習する。これらのメトリックは収集されかつ組み合わせで考慮される。かかるメトリックは、例えば、距離、時間、および難易度を含み得る。難易度のメトリックは、特定の方向転換が、いかに困難であったか、建設などの障害物があるかどうか、横断歩道の数、車道に起伏がある、狭いかどうかなどの要因を考慮する。メトリックは以前の移動のログから自動的に学習されるので、システムがそれ自体時間の経過とともに改善することを可能にする。
【0009】
かかるメトリックは、時間的特徴(例えば、時間、曜日)、地理的特徴(例えば、正確な場所)、一般的特徴(例えば、速度制限、横断歩道、交差点、学校などの付近の特徴)などの特定の特徴に関連付けてもよい。例えば、朝のラッシュアワーに対応する時間帯では特定の方向転換の難易度が高い場合があるが、同じ方向転換でも午後の早い時間の難易度は高くなく、夜遅くはさらに難易度は低い。かかる特徴をメトリックに関連付けることにより、最適な経路を決定する際に、かかる特徴を考慮することができる。
【0010】
難易度メトリックは、車両が特定の道路区間を通り抜けることが、どれほど難易度が高いかを示す信号に基づいて決定され得る。かかる信号は、自律運転モードから離脱する確率、過度に長い時間待たされる確率、交通密度などを示し得る。いくつかの例によれば、難易度スコアは道路区間ごとに計算され、その後、経路のすべての道路区間のスコアが合計される。スコアは、以前の離脱の数、遠隔オペレータからの以前の支援要求、無防備な左折または右折、運転エリアの部分が遮られているかどうか、ユーザの苦情、乗員の測定された不快感、車両が正常に動作しなくなり、片寄せして停止する必要があり得るような故障応答などに基づいてもよい。
【0011】
また、区間に沿った走行を完了するまでの予測時間と、区間の距離に基づいて、経路の各区間のスコアを計算してもよい。これらのスコアは、難易度スコアと統合することができる。例えば、難易度、時間、および距離スコアはすべて、道路区間のコストを計算するために使用することが’できる。かかるコストは、予測モデルに入力して、最適な経路を決定するために使用することができる。
【0012】
最適な経路を決定する際、動的重みを使用して、追加の走行距離/時間と運転しやすい条件の間のトレードオフなど、ルーティングの様々なトレードオフを調整することができる。トレードオフの一例として、運転者は困難な左折を避けるために、ある程度の距離を先に運転することを厭わない場合もある。動的重みは、例えば、シナリオに応じて調整することができる係数としてもよい。例えば、顧客が乗車しているという第1のシナリオでは、この係数は、長くなる可能性があるが、より容易な経路を提供するなど、より保守的となるように調整されてもよい。一方、テストドライバーが乗車しているという第2のシナリオでは、より速く、より難易度の高い経路を提供するなど、より大胆となるように調整されてもよい。
【0013】
上記のモデルを使用すれば、時間と距離だけでなく難易度に基づいて走行経路を選択することができる。この難易度情報は多数の車両ログから収集されるため、正確であり、ユーザの入力負担もない。
【0014】
システムの例
図1に示されるように、本開示の一態様による車両100は、様々な構成要素を含む。本開示のある態様は、特定のタイプの車両に関連して特に有用であるが、車両は、限定されないが、乗用車、トラック、オートバイ、バス、レクリエーション用車両などを含む、任意のタイプの車両であってもよい。車両は、1つ以上のプロセッサ120、メモリ130、および汎用コンピューティングデバイスに典型的に存在する他の構成要素を含む、コンピューティングデバイス110などの1つ以上の制御コンピューティングデバイスを有することができる。
【0015】
メモリ130は、1つ以上のプロセッサ120によってアクセス可能である情報を格納し、その情報には、プロセッサ120によって実行または別様に使用され得る命令134およびデータ132が含まれる。メモリ130は、プロセッサによってアクセス可能である情報を格納することができる任意のタイプのメモリであってもよく、それらには、コンピューティングデバイス可読媒体、またはハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、もしくは他の光ディスク、ならびに他の書き込み可能および読み取り専用メモリなどの電子デバイスを使って読み取ることができるデータを格納する他の媒体が含まれる。システムおよび方法は、上記の異なる組み合わせを含んでもよく、それによって、命令およびデータの様々な部分が、様々なタイプの媒体に格納される。
【0016】
命令134は、プロセッサにより直接的に(マシンコードなど)または間接的に(スクリプトなど)実行される任意の一連の命令であってもよい。例えば、命令は、コンピューティングデバイス可読媒体上のコンピューティングデバイスコードとして格納されてもよい。その点において、「命令」および「プログラム」という用語は、本明細書では、区別なく使用され得る。命令は、プロセッサによる直接処理のための物体コード形式で、または要求に応じて解釈されるか、もしくは予めコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプトもしくはコレクションを含む、任意の他のコンピューティングデバイス言語で記憶されてもよい。命令の機能、方法、およびルーチンについては、以下でさらに詳細に説明される。
【0017】
データ132は、命令134に従ってプロセッサ120によって検索、格納、または修正されてもよい。例えば、特許請求された主題は、いかなる特定のデータ構造にも限定されないが、データは、コンピューティングデバイスレジスタ内に、すなわち、複数の異なるフィールドおよびレコードを有する表、XMLドキュメント、またはフラットファイルとしてリレーショナルデータベース内に格納されてもよい。データはまた、任意のコンピューティングデバイス可読形式でフォーマットされてもよい。
【0018】
1つ以上のプロセッサ120は、市販されているCPUなどの任意の従来のプロセッサであってもよい。別の方法として、1つ以上のプロセッサは、ASICまたは他のハードウェアベースプロセッサなどの専用デバイスであってもよい。図1は、プロセッサ、メモリ、およびコンピューティングデバイス110の他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に例示しているが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリは、実際には、同じ物理的な筐体内に格納されていてもいなくてもよい、複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリを含むことができることは、当業者により、理解されるであろう。例えば、メモリは、ハードドライブ、またはコンピューティングデバイス110の筐体とは異なる筐体内に位置する他の記憶媒体であってもよい。したがって、プロセッサまたはコンピューティングデバイスへの言及は、並行に動作してもしなくてもよいプロセッサまたはコンピューティングデバイスまたはメモリの集合体への言及を含むことを理解されたい。
【0019】
コンピューティングデバイス110は、上述したプロセッサおよびメモリ、ならびにユーザ入力装置150(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーンおよび/またはマイクロフォン)、および様々な電子ディスプレイ(例えば、スクリーン、または情報を表示するように動作可能である任意の他の電気デバイスを有するモニタ)などのコンピューティングデバイスと接続して通常使用されるすべての構成要素を含み得る。この例では、車両は、内部電子ディスプレイ152、ならびに1つ以上のスピーカ154を含み、情報または音響映像体験を提供する。この点について、内部電子ディスプレイ152は、車両100の車内に位置し得、コンピューティングデバイス110によって使用されて、車両100内の乗員に情報を提供し得る。
【0020】
コンピューティングデバイス110はまた、1つ以上のワイヤレスネットワーク接続156も含むことにより、以下に詳細に説明するクライアントコンピューティングデバイスおよびサーバコンピューティングデバイスなどの他のコンピューティングデバイスと容易に通信することができるようにしてもよい。無線ネットワーク接続には、ブルートゥース、ブルートゥースローエネルギー(LE)、携帯電話接続などの短距離通信プロトコル、ならびにインターネット、World Wide Web、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1つ以上の企業に専用の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi、およびHTTPを含む様々な構成およびプロトコル、ならびに上記の様々な組み合わせが含まれてもよい。
【0021】
一例では、コンピューティングデバイス110は、自律運転コンピューティングシステムのコンピューティングデバイスでも、車両100に組み込まれていてもよい。この自律運転コンピューティングシステムは、メモリ130のプライマリ車両制御コードに従って車両100の動きを制御するために、車両の様々な構成要素と通信することが可能であり得る。例えば、図1に戻ると、コンピューティングデバイス110は、メモリ130の命令134に従って車両100の移動、速度などを制御するために、減速システム160、加速システム162、ステアリングシステム164、信号システム166、ナビゲーションシステム168、測位システム170、知覚システム172、および動力システム174(すなわち、車両のエンジンまたはモータ)などの、車両100の様々なシステムと通信することができる。また、これらのシステムは、コンピューティングデバイス110の外部にあるものとして示されているが、実際には、これらのシステムもまた、車両100を制御するための自律運転コンピューティングシステムとして再度、コンピューティングデバイス110の中に組み込まれてもよい。
【0022】
一例として、コンピューティングデバイス110は、車両の速度を制御するために、車両のブレーキ、アクセルペダル、および/またはエンジンまたはモータなどの減速システム160および/または加速システム162の1つ以上のアクチュエータと相互作用することができる。同様に、ハンドル、ステアリングシャフト、ならびに/またはラックアンドピニオン式システム内のピニオンおよびラックなどのステアリングシステム164の1つ以上のアクチュエータを、コンピューティングデバイス110が使用することによって、車両100の方向を制御することができる。例えば、乗用車またはトラックなどの車両100が道路上で使用するために構成されている場合、ステアリングシステムは、車両の向きを変えるために車輪の角度を制御するための1つ以上のアクチュエータを含んでもよい。信号システム166は、例えば、必要に応じて方向指示器またはブレーキライトを点灯させることによって、車両の意図を他の運転者または車両に知らせるために、コンピューティングデバイス110によって使用され得る。
【0023】
ナビゲーションシステム168は、ある場所までのルートを判定および追従するために、コンピューティングデバイス110によって使用され得る。この点について、ナビゲーションシステム168および/またはデータ132は、詳細な地図情報、例えば、車道の形状および標高、車線ライン、交差点、横断歩道、速度制限、交通信号、建物、標識、リアルタイム交通情報、草木、または他のそのような対象物および情報を特定する高精密地図を格納することができる。
【0024】
図2は、複数の車道を含む地理的エリアの地図情報200の例である。地図情報200は、車線210、212、214、信号機220、222、一時停止標識250、251、252、および、横断歩道、歩道、譲れの標識260など、図示しない他の特徴などのような、他の特徴の特性を識別する情報を含み得る。地図情報200は、複数の車道の各々についての距離情報、および速度制限、操作の禁止など、様々な車道に対する法規をさらに含み得る。禁止されている操作の一例として、平日の午前8時〜午後4時の間は、車両が赤信号で右折することができない場合もある。いくつかの例によれば、地図情報は、過去の交通情報などの交通情報も含み得る。かかる交通情報は、例えば、交通量が多い日/週の時間を示す、時間的制限に関連付けて格納されるようにしてもよい。
【0025】
本明細書では、地図情報を画像ベースの地図として描いているが、地図情報は、全体が画像ベースである必要はない(例えば、ラスタ)。例えば、詳細な地図情報は、道路、車線、交差点、およびこれらの特徴間の接続などの情報の、1つ以上の道路グラフまたはグラフネットワークを含み得る。各特徴は、グラフデータとして記憶されてもよく、地理的場所などの情報と関連付けられてもよく、いずれにせよ、他の関連する特徴にリンクされ、例えば、一時停止標識は、道路および交差点などにリンクされてもよい。いくつかの例では、関連付けられたデータは、ある道路グラフ特徴の効率的な検索を可能にするために道路グラフのグリッドベースのインデックスを含むことができる。
【0026】
測位システム170は、コンピューティングデバイス110により、地図上または地球上の車両の相対的または絶対的位置を判定するために使用されてもよい。例えば、測位システム170は、デバイスの緯度、経度、および/または標高の位置を判定するためのGPS受信機を含むことができる。レーザベースの位置決めシステム、慣性支援GPS、またはカメラベースの位置決めなどの他の位置特定システムもまた、車両の位置を特定するために使用することができる。車両の位置は、緯度、経度、および標高などの絶対的な地理的位置だけでなく、多くの場合、より少ないノイズでその絶対的な地理的位置を判定することができる、車両のすぐ周りにある他の自動車に対する位置などの相対的な位置情報を含むことができる。
【0027】
測位システム170はまた、加速度計、ジャイロスコープ、または別の方向/速度検出デバイスなどの、コンピューティングデバイス110と通信する他のデバイスも含んで車両の方向および速度、またはそれらの変化を判定するようにしてもよい。単なる例として、加速デバイスは、重力の方向、または重力に対して垂直な平面に対する車両の縦揺れ、偏揺れ、または横揺れ(またはそれらの変化)を判定することができる。このデバイスはまた、速度の増減、およびそのような変化の方向を追跡することもできる。本明細書で説明したような、デバイスが備える位置および配向データは、コンピューティングデバイス110、他のコンピューティングデバイス、および上記の組み合わせに自動的に提供されてもよい。
【0028】
知覚システム172はまた、他の車両、車道内の障害物、交通信号、標識、樹木などの車両の外部にある対象物を検出するために1つ以上の構成要素を含む。例えば、知覚システム172は、レーザ、ソナー、レーダ、カメラ、および/またはコンピューティングデバイス110が処理することができるデータを記録する任意の他の検出デバイスを含んでもよい。車両がミニバンなどの乗客車両である場合には、ミニバンは、屋根または他の都合のよい位置に搭載されるレーザまたは他のセンサを含んでもよい。例えば、図3は、車両100の例示的な外観図である。この例では、屋上にある筐体310およびドーム状筐体312は、ライダセンサ、ならびに各種のカメラおよびレーダユニットを含んでもよい。さらに、車両100の前端部に設置された筐体320、ならびに車両の運転者側および助手席側の筐体330、332は、各々、ライダセンサを格納することができる。例えば、筐体330は、運転者ドア360の前部に位置している。車両100はまた、車両100の屋根上にも位置するレーダユニットおよび/またはカメラのための筐体340、342も含む。追加のレーダユニットおよびカメラ(図示せず)は、車両100の前端および後端に、および/または屋根もしくは屋上筐体310に沿った他の位置上に位置し得る。
【0029】
コンピューティングデバイス110は、様々な構成要素を制御することによって車両の方向および速度を制御してもよい。例として、コンピューティングデバイス110は、詳細な地図情報およびナビゲーションシステム168からのデータを使用して、車両を目的地の位置まで完全に自律してナビゲートすることができる。コンピューティングデバイス110は、車両の場所を判定するために測位システム170を使用し、その場所に安全に到着する必要があるとき、物体を検出かつ物体に対応するために知覚システム172を使用してもよい。そうするために、コンピューティングデバイス110は、車両を、(例えば、加速システム162により、エンジンに提供される燃料または他のエネルギーを増加させることによって)加速させ、(例えば、エンジンに供給される燃料を低減させ、ギヤを切り替え、および/または減速システム160によりブレーキをかけることによって)減速させ、(例えば、ステアリングシステム164により、車両100の前輪または後輪の向きを変えることによって)方向を変更させ、(例えば、シグナリングシステム166の方向指示器を点灯することによって)かかる変更を伝えさせてもよい。このため、加速システム162および減速システム160は、車両のエンジンと車両の車輪との間に様々な構成要素を含む、動力伝達装置の一部であり得る。再び、これらのシステムを制御することによって、コンピューティングデバイス110はまた、車両を自律的に操縦するために、車両の動力伝達装置を制御してもよい。
【0030】
車両100のコンピューティングデバイス110はまた、他の車両、コントロールセンター、データベース、ユーザデバイスへなど、他のコンピューティングデバイスと相互に情報の受信および伝送し得る。図4および図5は、それぞれ、ネットワーク460を介して接続された複数のコンピューティングデバイス410、420、430、440、および記憶システム450を含む例示的なシステム400の絵図および機能図である。システム400はまた、車両100、および車両100と同様に、または類似して構成され得る車両100A、100Bも含む。簡潔にするため、いくつかの車両およびコンピューティングデバイスのみを図示しているが、典型的なシステムは、これよりもはるかに多くのものを含み得る。
【0031】
図4に示されるように、コンピューティングデバイス410、420、430、440の各々は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、データ、および命令を含むことができる。そのようなプロセッサ、メモリ、データ、および命令は、コンピューティングデバイス110の1つ以上のプロセッサ120、メモリ130、データ132、および命令134と同様に構成されてもよい。
【0032】
ネットワーク460および仲介ノードは、ブルートゥース、ブルートゥースLE、インターネット、World Wide Web、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1社以上の企業に専用の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi、およびHTTP、ならびに上記の様々な組み合わせなどの短距離通信プロトコルを含む様々な構成およびプロトコルを含んでもよい。かかる通信は、モデムおよび無線インターフェースなどの、他のコンピューティングデバイスとの間でデータを送受信することができる任意のデバイスによって容易に行われ得る。
【0033】
一例では、1つ以上のコンピューティングデバイス110は、複数のコンピューティングデバイスを有する1つ以上のサーバコンピューティングデバイス、例えば、データを他のコンピューティングデバイスとの間で受信、処理、および送信する目的で、ネットワークの異なるノードと情報を交換する負荷分散サーバファームを含み得る。例えば、1つ以上のコンピューティングデバイス410は、ネットワーク460を介して、車両100のコンピューティングデバイス110、または車両100A、100Bの同様のコンピューティングデバイス、ならびにコンピューティングデバイス420、430、440と通信可能な1つ以上のサーバコンピューティングデバイスを含み得る。例えば、車両100、100A、100Bは、サーバコンピューティングデバイスによって様々な位置に派遣することができる車両のフリートの一部でもよい。この点で、サーバコンピューティングデバイス410は、派遣システムとして機能することができる。さらに、フリートの車両は、サーバコンピューティングデバイスに車両のそれぞれの測位システムによって提供される位置情報、ならびに以下でさらに考察される車両のステータスに関する他の情報を定期的に送信することができ、1つ以上のサーバコンピューティングデバイスは、フリートの各車両の位置と状況を追跡することができる。
【0034】
加えて、サーバコンピューティングデバイス410は、ネットワーク460を使用して、コンピューティングデバイス420、430、440のディスプレイ424、434、444などのディスプレイ上に、ユーザ422、432、442などのユーザに情報を送信および提示することができる。この点について、コンピューティングデバイス420、430、440は、クライアントコンピューティングデバイスと見なされてもよい。
【0035】
図4に示すように、各クライアントコンピューティングデバイス420、430、440は、ユーザ422、432、442が使用することを意図されたパーソナルコンピューティングデバイスであってもよく、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、データおよび命令を格納するメモリ(例えば、RAMおよび内蔵ハードドライブ)、ディスプレイ424、434、444などのディスプレイ(例えば、画面を有するモニタ、タッチスクリーン、プロジェクタ、テレビ、または情報を表示するように動作可能である他のデバイス)、およびユーザ入力デバイス426、436、446(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、またはマイクロフォン)を含む、パーソナルコンピューティングデバイスと接続して通常使用されるすべての構成要素を有し得る。クライアントコンピューティングデバイスはまた、ビデオストリームを記録するためのカメラ、スピーカ、ネットワークインターフェースデバイス、およびこれらの要素を互いに接続するために使用されるすべての構成要素を含んでもよい。
【0036】
クライアントコンピューティングデバイス420、430、および440は、各々、フルサイズのパーソナルコンピューティングデバイスを含んでもよいが、代替的に、インターネットなどのネットワークを介してサーバとデータを無線で交換することが可能であるモバイルコンピューティングデバイスを含んでもよい。ほんの一例として、クライアントコンピューティングデバイス420は、携帯電話、または無線対応PDA、タブレットPC、ウェアラブルコンピューティングデバイスもしくはシステムなどのデバイス、またはインターネットもしくは他のネットワークを介して情報を取得することができるネットブックであってもよい。別の例では、クライアントコンピューティングデバイス430は、図4に腕時計として示されるウェアラブルなコンピューティングシステムであってもよい。一例として、ユーザは、小型キーボード、キーパッド、マイクロフォンを使用して、カメラを用いる映像信号、またはタッチスクリーンを使用して、情報を入力し得る。
【0037】
メモリ130と同様に、記憶システム450は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD‐ROM、書き込み可能メモリ、および読み出し専用メモリなどの、サーバコンピューティングデバイス410によりアクセス可能である情報を格納することができる任意のタイプのコンピュータ化された記憶装置であってもよい。さらに、記憶システム450は、同じまたは異なる地理的場所に物理的に位置し得る、複数の異なる記憶デバイス上にデータが記憶される分散記憶システムを含み得る。記憶システム450は、図4および図5に示すように、ネットワーク460を介してコンピューティングデバイスに接続されてもよく、かつ/またはコンピューティングデバイス110、410、420、430などのいずれかに直接接続されるか、もしくは組み込まれてもよい。
【0038】
記憶システム450は、以下でより詳細に説明されるように、様々なタイプの情報を記憶することができる。この情報は、本明細書で記載する特徴のうちのいくつかまたはすべてを実行するために、1つ以上のサーバコンピューティングデバイス410などのサーバコンピューティングデバイスによって検索または別様にアクセスされ得る。一例として、記憶システム450の情報は、以前の運転中に遭遇した困難に関する他の車両からの報告を含み得る。かかる困難には、例えば、遮られたセンサの視野、遮られた車道、無防備な方向転換、不整地、人間の運転者が車両の制御を引き継ぐ必要性、支援要求、または他の困難を含み得る。かかる困難の報告は、その特定の困難が何であったか、およびその困難が発生した時間を識別するメタデータと関連付けて記憶され得る。いくつかの例では、報告はさらに、困難の重大度のレベルを示す値と関連付けて記憶され得る。
【0039】
図6は、記憶システム450に記憶され得る情報のタイプおよび配置のほんの一例を示す。図示されるように、チャート600は、車両信号識別子610、信号タイプ620、タイムスタンプ630、および位置640を列挙する多数の列を含む。追加の情報も列挙することができ、列の一部を省略することができることを理解されたい。1つだけ例を挙げると、チャート600は、運転環境によって課された難易度のレベルを示す、信号ごとに関連付けられた難易度値を記憶し得る。列および行がチャート600であることが任意の順序でソートされ得ること、または異なる編成構造をすべて一緒に使用することができることをさらに理解されたい。
【0040】
例示のチャート600では、車両信号識別子610は、車両によって送信された特定の信号を識別し得る。各固有の信号は固有の識別子を有することができる。この識別子を使用して、特定の信号を区別し、特定の情報を識別しやすくし得る。信号識別子は、車両によって送信された信号とともに含まれ得るか、サーバコンピューティングデバイス410によって割り当てられ得るか、または車両、セレル410、もしくは他のソースからの情報のいくつかの組み合わせから構成され得る。チャート600の信号は、1台の車両からのものでも、複数の異なる車両からのものであり得る。
【0041】
信号タイプ620は、信号を送信するときに車両が遭遇する困難のタイプを示す。人間の運転者が車両の制御を手動で引き継ぐ必要性、遠隔オペレータからの支援要求、長時間の待機(例えば、方向転換または他の操縦のため)、無防備な方向転換、遮られたセンサの視野、急激なブレーキの適用、制限されたセンサの視野、および無防備な車線交差などを含む、困難のいくつかのタイプの例がチャート600に列挙されている。さらなる例には、ユーザの苦情、乗員の測定された不快感、故障応答などが含まれる。運転環境に起因する運転の難易度を示す他のタイプの信号を記憶させてもよく、同じタイプの複数の信号を記憶させてもよい。
【0042】
タイムスタンプ630は、車両によって信送信された信号の時間を示してもよい。この情報は、時間に依存する難易度に特に役立ち得る。例えば、特定の場所において、方向転換するために長い時間待たされるのは、学校がある日の午後2時〜午後4時の間にのみ体験するということを信号から判定してもよい。別の例として、センサの視野は、木から群葉が落ちる前、春季と夏季の間のみ遮られる可能性もある。そのような時間的パターンは、機械学習技術を使用して認識することができる。また、タイムスタンプ630を使用して情報を更新してもよい。例えば、数ヶ月または数日などの所定の閾値より古い信号は、関連付けられた難易度のレベル決定時に削除されてもよく、または低い重み付けとされてもよい。図示のタイムスタンプ情報は、月:日:年::時間:分:秒で示されているが、時間を示す他の慣例を使用してもよいことを理解されたい。
【0043】
位置情報640は、信号が送信された位置を識別することができる。示された例では、位置情報は、地域識別子、道路識別子、および区間識別子によって示されているが、他のフォーマットを使用してもよい。地域識別子には、特定の都市、州、国、または他の地域を示す値を含み得る。道路識別子には、分析のために区間に分割された特定の車道に対応する値または他の指標を含み得る。したがって、区間識別子は、道路の特定の区間を示す。チャート600で使用される位置フォーマットは単なる例であり、地理座標(例えば、緯度、経度、高度)または他の記述子など、様々な他のフォーマットのいずれも使用することができることを理解されたい。
【0044】
いくつかの例では、記憶システム450は、難易度信号に関する情報に基づくモデルなど、ある運転環境を通り抜ける際の難易度に関する他の情報も記憶することができる。例えば、そのモデルは、自律運転モードから手動モードへの移行を必要とするなど、所与の時間にどの道路区間が難易度を提示する可能性が高いかを識別する予測モデルでもよい。
【0045】
記憶システム450はまた、ユーザに表示するためにクライアントコンピューティングデバイスに提供され得る情報を記憶してもよい。例えば、記憶システム450は、所与の集荷または目的地の場所について車両が停止する可能性が高いエリアを判定するための所定の距離情報を記憶し得る。記憶システム450はまた、ユーザに表示することができるグラフィックス、アイコン、および他のアイテムを記憶してもよい。
【0046】
車両100は、記憶システム450からの情報を使用して、車両100が走行する経路を決定してもよい。例えば、出発地および目的地が与えられると、いくつかの異なる経路が車両100に対して利用可能であり得る。しかしながら、経路によっては、他の経路よりも走行が難しいものもあり得る。記憶システム450に記憶された運転環境を通り抜ける難易度に関する情報を使用して、所与の時間に、どの経路が最も低い難易度を提示するかを判定してもよい。いくつかの例では、かかる難易度情報は、時間、距離、料金所など、他の走行情報と組み合わせて考慮されてもよい。時間情報は、運転時間に影響を与える交通量、速度制限、および他の情報を考慮に入れてもよい。いくつかの例によれば、難易度情報および他の走行情報を重み付けしてもよい。例えば、難易度情報および時間情報それぞれに応じて重みを調整することによって、走行時間が長くても容易な走行の優先を適応することができる。距離と難易度それぞれに応じて重みを調整することによって、潜在的に難易度の高い状況でも最短距離の優先を適応することができる。
【0047】
例示的な方法
上述し、図に例示した動作に加えて、様々な動作が、ここで説明される。以下の動作は、以下に説明された正確な順序で実行される必要はないことを理解されたい。むしろ、様々なステップが、異なる順序で、または同時に処理されてもよく、ステップもまた、追加または省略されてもよい。
【0048】
図7は、運転環境の難易度に基づいて経路を選択する例示的な方法を示すフロー図700を示す。ブロック710において、データが受信されるが、このデータは、複数の道路区間に関する情報を提供する。この情報には、図6に関連して上で考察された信号など、それらの道路区間を通り抜けた1台以上の車両からの信号を含み得る。それらの信号は、その道路区間を通り抜けることに関連付けられた難易度を示してもよく、かかる難易度は、運転環境の結果である。かかる難易度の例としては、手動へ引き継ぐ必要性、遠隔オペレータからの支援要求、無防備な操作、制限されている/遮られている/妨害されている視野などが含まれる。いくつかの例では、難易度は、ユーザの苦情、測定された乗員の不快感、車両が正常に動作することができなくなり、車を寄せて停止する必要がある故障応答などによって、通知されてもよい。乗員の不快感は、例えば、調査の回答、乗員の心拍数、体温、または他のバイタルの変化、乗員の着座位置の変化、制御の調整などによって測定されてもよい。
【0049】
ブロック720では、受信した情報に基づいて、複数の道路区間の各々について難易度値が決定される。例えば、難易度値は、第1の道路区間を通り抜けることに関連付けられた難易度のレベルを第2の道路区間を通り抜ける難易度のレベルと比較するために使用することができるスコアまたは他の値でもよい。例えば、車両信号により示される困難の各異なるタイプは、値を有していてもよい。場合によっては、困難のあるタイプの値が別のタイプの値よりも高くなることがある。例えば、遠隔オペレータからの支援要求に関連付けられた難易度値は、無防備な方向転換に関連付けられた難易度値とは異なる場合がある。他の例では、難易度値は、同じタイプを有する2つの信号の値が異なるなど、他の情報に基づいて変化する場合がある。これらの難易度値を使用して、道路区間の難易度値を計算することができる。例えば、走行した際に、ある道路区間で遭遇し得る困難を予測する予測モデルに、様々な信号の難易度値を計算に入れてもよい。かかる予測は、時間に相関させることができるので、予測された難易度レベルは、ある特定の道路区間について、時刻、週、季節、または他の時間情報に応じて変化し得る。ある特定の経路区間では、ある特定の走行時間に複数の困難が発生することが予測され得る。したがって、難易度値は、複数の予測される困難の関数として計算されてもよい。
【0050】
ブロック730では、出発地と目的地との間の1つ以上の可能な経路の各々の経路コストが、複数の道路区間に関連付けられた難易度値に基づいて計算される。例えば、経路コストは、経路に沿った各道路区間の難易度値の合計であってもよい。いくつかの例では、経路コストは、時間、距離、交通量などの他の走行変数も計算に入れてもよい。
【0051】
ブロック740において、自律運転車両の走行経路は、計算された経路コストに基づいて選択される。したがって、自律運転車両の制御システムは、車両に、選択された経路を走行させることができる。
【0052】
図8は、出発地Oと目的地Dとの間の複数の可能な経路810、820、830の例を示す。経路810〜830は、図2の地図情報200などの地図情報に関連して示されている。
【0053】
図9は、経路810、820、830を示し、各経路は複数の道路区間を含む。例えば、第1の経路810は区間1a〜1hを含み、第2の経路820は区間2a〜2fを含み、第3の経路830は区間3a〜3gを含む。道路区間は、地図上に示されている各車道に対して、または出発地と目的地の間の各可能な経路に対してのみ画定することができる。道路区間は、分析のため、車道または経路を任意の数の別々の下位部分に分割することができる。例えば、より小さな区間を追加で使用して、潜在的な難易度をより細かく分析することができる一方、数の少ないより大きい区間を使用して、メモリとコンピューティングリソースの消費を減らしてより速く分析することができる。いくつかの例では、道路区間のサイズは区間ごとに異なる場合がある。道路区間は、絶対距離、方向転換の間の距離、推定走行時間などの任意の要因に基づいて指定されてもよい。
【0054】
図10は、各道路区間の相対的難易度を示す可能な経路810〜830を示している。この例では、難易度が高いほど太い線で表される。経路810に沿って、区間1aと1bの難易度は比較的低く、区間1cに関連付けられた難易度のレベルは非常に高くなっている。これは、車両を操作してかかる急左折をする難易度によるものと考えられる。他の要因としては、方向転換中の可視性、および方向転換が無防備であるかどうかが挙げられ得る。例えば、車両が方向転換をしようとしている車道に沿って走行している他の車両が、その車両が急左折しているときに停止または譲歩しなくてもよい場合、その方向転換の難易度はさらに高くなる。図示の例では、経路810の他の難易度の高い区間としては、区間1fがある。これは、歩行者の多い交通量、不整地、限られた可視性など、方向転換以外の要因による可能性がある。
【0055】
経路820に沿って、区間2aおよび2bはまた、相対的難易度が低いことが示されている。これらの区間は、経路810の区間1aおよび1bと車道の同じ部分に対応しているため、同じ難易度レベルを持つことが予測される。しかしながら、区間2c〜2eは、区間1cよりも依然として低いものの、関連付けられた難易度の高いレベルを有する。かかる難易度は、区間1cを方向転換しようとしている車両の周囲で操縦しなければならない、区間2dの無防備な左折をするために待機をしている、または複数の他の可能性のいずれかの結果である可能性がある。区間2eの難易度は、妨害されている視野(例えば、建物、標識、群葉、駐車中の車、または任意の他の物体により)、車道構造などの、他の運転条件の結果である可能性がある。
【0056】
経路830に沿って、区間3cのみが関連付けられた難易度のレベルを有するものとして示されている。この難易度レベルは区間2cのレベルに対応し、同じ運転条件の結果の可能性がある。区間3dには左折が含まれるが、反対方向に走行する車両が一時停止標識251、252に従って停止するということから保護された方向転換であるため、かかる方向転換は、関連付けられた難易度の低いレベルを有し得る。
【0057】
図11は、可能な経路810、820、830の各々に対する経路コストの計算例を示している。各経路区間について、その区間に起因する難易度値が一覧表示されている。図10の例では難易度がグラフィックスで示されているが、図11では数値で表されている。しかしながら、この難易度レベルを示すために任意の慣例が使用できることを理解されたい。図10と同じく、経路10の区間1cは、関連付けられた難易度レベルが最高であることが示されている。比較的増加した難易度の他の区間には、経路810の区間1f、経路820の区間2c−2e、および経路830の区間3cが含まれる。経路820には、hに対応する区間がないため、これらの値は0に設定される。経路に沿った各区間の値を合計して、その経路の合計難易度値を導出することができる。例えば、経路810−の合計難易度値は20、経路820の合計難易度値は18、経路830の合計難易度値は11である。したがって、もし難易度だけを考えると、経路830は経路コストが最小の11である、最も望ましい経路であり得る。しかしながら、上記したように、いくつかの例では、経路コストの計算に、距離、時間などの、他の要因を考慮してもよい。
【0058】
前述の例では、時間および距離などの要因の従来の考慮事項を拡張して、運転/乗車体験をさらに考慮するため、走行経路を決定する有利な方法を説明している。したがって、自律運転車両の乗員は、他の経路よりも時間がかかる可能性があるにもかかわらず、よりスムーズまたはリスクの少ない運転を選択するオプションを有してもよい。これは、特に、移動中に読書、仕事、またはリラックスしたい乗員にとって好ましくあり得る。
【0059】
車両が遭遇する可能性のある困難の様々なタイプの多くの例を上で説明したが、困難の任意の数のさらなるタイプもまた、経路コスト計算に要因として含めることができることを理解されたい。例えば、特定の道路では、毎週火曜日と金曜日の午前7時から午前8時の間など、所定の時間にごみ収集が行われ得る。ごみ収集の時間中、動きが遅く、頻繁に停止するごみ収集車は、その道路を走行する車両の障害を提示する可能性がある。さらに、ごみを収集する衛生作業員がいると、その通りを走行する車両の操作にはさらなる注意が必要となる。したがって、その道路に沿った以前のまたは過去の運転からの難易度信号は、所定の閾値を超える多くの障害物(例えば、ごみ収集車、ごみ箱、衛生作業員など)を示す場合もある。難易度信号はまた、運転時間がかかる、待機時間が増える、ブレーキシステムを踏む回数が増える、予期しない操作(例えば、旋回)などを示すことができる。これらの難易度信号のいずれかまたはすべてを使用して、所定のごみ収集時間中の特定の道路のコストを計算することができる。
【0060】
単なるさらなる例に過ぎないが、所与の車道が学校の近くにあり得る。その場合、授業時間中、特に学校の登下校の時間帯には、その所与の車道を歩いている、または横断している歩行者の数が増える可能性がある。したがって、これらの授業時間中には、障害物の数が増加し、その所与の車道を走行する車両は、さらなる注意が必要になる場合がある。その所与の道路を走行していた以前の車両からの難易度信号は、授業時間に対応する時間中のかかる追加の障害物の存在を示している場合もある。かかる追加の障害物により、場合によっては、離脱、または遠隔オペレータへの支援要求をもたらすことがある。また、その所与の車道上の特定の時間中のかかる追加の障害物の存在を示すこれらの難易度信号を使用して、その所与の車道を走行するためのコストを計算してもよい。
【0061】
特段の記述がない限り、前述の代替例は、相互に排他的ではないが、独自の利点を達成するために様々な組み合わせで実施することができる。上で考察された特徴のこれらおよび他の変形ならびに組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱せずに利用され得るため、前述の実施形態の説明は、特許請求の範囲によって定義された主題を限定するものとしてではなく、例示するものとして見なされるべきである。加えて、本明細書に説明された実施例、ならびに「など」、「含む」などとして表現された語句の提供は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、それらの例は、多くの可能性のある実施形態のうちの単なる1つを例示することが意図されている。さらに、異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を識別することができる。
図1
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図11