特許第6959498号(P6959498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959498
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/48 20060101AFI20211021BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20211021BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20211021BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   B29C49/48
   B29C49/22
   B29C49/04
   B65D1/02 111
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-12006(P2017-12006)
(22)【出願日】2017年1月26日
(65)【公開番号】特開2018-118764(P2018-118764A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年11月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−137344(JP,A)
【文献】 特開2004−202965(JP,A)
【文献】 特開平11−240527(JP,A)
【文献】 特開平07−088943(JP,A)
【文献】 特開平06−099965(JP,A)
【文献】 特開2005−247039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B29C 49/22
B29C 49/04
B29C 49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する容器本体を備える積層剥離容器の製造方法であって、
前記外殻を構成する外層と前記内袋を構成する内層とを備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形工程を備え、
当該ブロー成形工程において、容器内側方向を向くよう傾斜した一対のテーパ面が食い切り部近傍に形成された金型を用い、前記一対のテーパ面により、前記容器本体の底面から突出する前記積層パリソンの底シール突出部であって、少なくとも一部の領域で前記外殻同士が溶着し、且つ、前記内袋が前記外殻に挟まれた底シール突出部を形成し、
前記金型は、前記テーパ面よりも食い切り部側に、前記一対のテーパ面よりも間隔の狭い薄肉成形部を備え、
前記底シール突出部は、前記一対のテーパ面により形成されるテーパ部と、前記薄肉成形部により形成される薄肉部を備えるとともに、前記テーパ部の基端部の厚さに対する前記薄肉部の厚さの比が0.01〜0.1である、積層剥離容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が収縮する容器本体を備える積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。このような容器本体は、一般に、円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形によって製造される。また、容器本体の底部には、積層パリソンの一端を溶着した際のシール部が設けられるが、このシール部は衝撃に弱いので、強度を高めるために容器の底面から突出するように設けられている。特許文献1では、このシール部の強度をさらに高めるために、シール部における溶着層が複数の喰込み部により相互に噛合うように融着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3401519号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成を実現するために、金型にはパリソン融着層を押圧するピンを配設することが必要であり、金型構造が複雑になり、生産コストの増大に繋がる。このため、よりシンプルな構成でシール部を強化することが望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、生産性に優れた積層剥離容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する容器本体を備える積層剥離容器であって、前記容器本体は、内容物を収容する収容部と、当該収容部の底面から突出する底シール突出部とを備え、前記容器本体は、前記底シール突出部において前記外殻及び前記内袋がシールされるように構成され、前記底シール突出部は、当該底シール突出部の長手方向に延在し且つ前記底面から先端に向けて先細りとなるテーパ部を備える、積層剥離容器が提供される。
【0007】
本発明者は鋭意検討を行ったところ、容器本体の収容部の底面から突出する底シール突出部をテーパ状にするというシンプルな構成によってシール部を強化することができることを見出し、本発明の完成に到った。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記底シール突出部の少なくとも一部の領域において、前記外層同士が溶着するよう構成される。
【0010】
好ましくは、前記底シール突出部は、前記テーパ部の先端位置に、前記長手方向に沿って前記テーパ部よりも薄肉の薄肉部をさらに備える。
【0011】
好ましくは、前記底シール突出部の厚さが、前記底面の肉厚の2倍以下である。
【0012】
好ましくは、前記底面は、前記底シール突出部が設けられる凹領域を備え、当該凹領域は、前記長手方向において前記底面全体を横切るように設けられる。
【0013】
また、本発明によれば、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する容器本体を備える積層剥離容器の製造方法であって、前記外殻を構成する外層と前記内袋を構成する内層とを備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形工程を備え、当該ブロー成形工程において、容器内側方向を向くよう傾斜した一対のテーパ面が食い切り部近傍に形成された金型を用い、前記テーパ面により前記積層パリソンのシール部を形成する、積層剥離容器の製造方法が提供される。
【0014】
好ましくは、前記金型は、前記テーパ面よりも食い切り部側に、一対の斜面よりも間隔の狭い薄肉成形部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の積層剥離容器1の構造を示す斜視図である。
図2図2Aは、図1の積層剥離容器1の正面図であり、図2Bは、図1の積層剥離容器1の側面図であり、図2C図1の積層剥離容器1の平面図である。
図3図1の積層剥離容器1の口部9及び外気導入孔15付近の拡大断面図である。
図4】内層13の層構成を示す断面図である。
図5図5Aは、図1の積層剥離容器1の底面29を含む領域の斜視図であり、図5Bは、図1の積層剥離容器1の底面図である。
図6図6Aは、図1の積層剥離容器1の底面29を含む領域を図5B中のA−A断面で切断したときの断面図であり、図6Bは、底シール突出部27の拡大断面図である。
図7図1の積層剥離容器1の製造工程を示す。
図8図8Aは、図7の製造工程で用いる金型40の、容器底面29付近を形成する部分を示す拡大図であり、図8Bは、図8Aの金型40の、底シール突出部27を形成する部分を示す拡大図である。
図9図9A図9Dは、一対の分割金型40Aを徐々に閉じていき、積層パリソンを型締めする様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0017】
図1図2A図2Cに示すように、本発明の一実施形態の積層剥離容器1は、容器本体3と、弁部材5を備える。容器本体3は、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。
【0018】
図3に示すように、容器本体3は、収容部7及び口部9において、外層11と内層13を備えており、外層11によって外殻12が構成され、内層13によって内袋14が構成される。内容物の減少に伴って内層13が外層11から剥離することによって、内袋14が外殻12から離れて収縮する。なお、収容部7に内容物を収容する前に内層13を外層11から剥離する予備剥離工程を行う場合がある。この場合、予備剥離後に収容部7内にエアーを吹き込むか又は内容物を収容することによって内層13を外層11に接触させる。そして、内容物の減少に伴って内層13が外層11から離れる。一方、予備剥離工程を行わない場合は、内容物の吐出の際に内層13が外層11から剥離されて外層11から離れる。
【0019】
口部9には、逆止弁付きのキャップ(図示せず)と係合可能な係合部9dが設けられている。キャップは、打栓式で装着するものであってもよく、ネジ式で装着するものであってもよい。
【0020】
弁部材5は、図3に示すように、収容部7に形成された外気導入孔15に挿入され、外殻12と内袋14の間の中間空間21と、容器本体3の外部空間Sとの間の空気の出入りを調節するためのものである。弁部材5の構成としては、例えば、外気導入孔15の縁と弁部材5の間の隙間を弁部材5の移動によって開閉することによって、弁部材5が外気導入孔15を開閉する構成や、弁部材5自体に貫通孔と開閉可能な弁を設けて、この弁の働きによって貫通孔を開閉することによって、外気導入孔15を開閉する構成とすることができる。なお、弁部材5を設けず、外気導入孔15にフィルタを貼り付けることで空気の出入りを調節する構成や、単に内容物を吐出する際に外気導入孔15を指などで閉塞させて調整を行う構成とすることもできる。また、外気導入孔15を口部9に設け、外気導入孔15に連通する逆止弁を有するキャップを用いてもよい。
【0021】
弁部材5は、上記いずれの構成であっても、外殻12を圧縮した際には外気導入孔15を閉塞して内袋14を圧縮可能な状態とし、外殻12への圧縮力を解除すると中間空間21内に外気が導入されるよう構成される。
【0022】
収容部7は、弁部材5を取り付けた後にシュリンクフィルムで覆われる。この際に、弁部材5がシュリンクフィルムに干渉しないように、弁部材5は、収容部7に設けられた弁部材取付凹部7aに装着される。また、弁部材取付凹部7aがシュリンクフィルムで密閉されてしまわないように弁部材取付凹部7aから口部9の方向に延びる空気流通溝7bが設けられる(図1参照)。
【0023】
次に、図4を用いて、容器本体3の層構成について説明する。容器本体3は、外層11と内層13を備える。外層11は、復元性が高くなるように、内層13よりも肉厚に形成される。
【0024】
外層11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層11は、複数層構成であってもよい。なお、後述する底面29のシール部(底シール突出部27)の強度を向上させるには、外層11を高密度ポリエチレンで構成することが好ましい。
【0025】
内層13は、図4に示すように、容器外面側に設けられたEVOH層13aと、EVOH層13aの容器内面側に設けられた内面層13bと、EVOH層13aと内面層13bの間に設けられた接着層13cを備える。EVOH層13aを設けることでガスバリア性、及び外層11からの剥離性を向上させることができる。EVOH層13aは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25〜50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。内面層13bは、積層剥離容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなる。また、接着層13cは、EVOH層13aと内面層13bとを接着する機能を有する層である。
【0026】
次に、図5A図5B図6A及び図6Bを用いて、本実施形態の容器本体3の底面29近傍の領域について説明する。図5Aに示すように、収容部7の底面29には、中央凹領域29aと、その周囲に設けられる周縁領域29bが設けられ、中央凹領域29aには、底面29から突出する底シール突出部27が設けられる。底シール突出部27は、図6Bの拡大断面図に示すように、テーパ部27a及びこれよりも薄肉の薄肉部27bを備える。テーパ部27aは、底面29から先端に向けて先細りとなっている。薄肉部27bは、テーパ部27aの先端位置に形成されている。これらテーパ部27a及び薄肉部27bは、図5Aに示すように、底シール突出部27の長手方向(図5Bの左右方向)に沿って底面29全体を横切るように形成される。したがって、周縁領域29bは一部が凹状になっており、この部分で中央凹領域29aと周縁凹領域29cがつながっている。これら中央凹領域29aと周縁凹領域29cから、特許請求の範囲の凹部が形成される。また、薄肉部27bの断面形状は、底面29と垂直な方向を長辺とする矩形となっている。ところで、本実施形態においては、図6Aに示すように、底面29は中央部が上げ底となるよう形成されており、底シール突出部27は、周縁領域29bが規定する接地面F(図6A参照)より突出することはなく、薄肉部27bの先端は接地面Fよりも上方に位置する。
【0027】
なお、底シール突出部27は、図6Aに示すように、外殻12を構成する外層11と内袋14を構成する内層13を備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における、積層パリソンのシール部に相当する。つまり、本実施形態の容器本体3は、底シール突出部27において外殻12及び内袋14がシールされるように構成されたものと言える。ここで、「シールされる」とは、円筒状の積層パリソンが溶着され、底が閉じられることを示す。そして、本実施形態において、底シール突出部27における外層11に対する内層13の割合は、底面29のその他の部分や容器本体3の側面等、他の場所の内層13の割合よりも少なくなっている。そのため、特に底シール部27の先端部分では、図6Bに示すように、少なくとも一部の領域において、外層13同士が溶着する、つまりシール部を隔てた左右の外層13が内層11を介さずに溶着するよう構成されている。このような構成により、底シール突出部27において外層13全体が内層11を介して溶着する構成と比較して、耐衝撃性を向上させることが可能となっている。ただし、図6Bのような、内層11が薄肉部27bまで到達せず、テーパ部27a内で途切れている構成であることは必須ではない。例えば、内層11が巨視的に見れば薄肉部27bまで到達している形態であっても、底シール突出部27の外観が上記形状を有している形態は、全て本願発明の範囲に含まれるものとする。なお、このような底面29近傍の構成のブロー成形による製造方法については、後述する。
【0028】
本実施形態において、容器本体3の底面29の肉厚t1に対するテーパ部27aの基端部の厚さt2(図6B参照)の比は、2.0以下とすることが好ましい。また、底面29の肉厚t1に対するテーパ部27aの基端部の厚さt2の比は、0.5〜1.5とするのがより好ましく、0.8〜1.2とするのがさらに好ましい。この比は、具体的には例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、ここでいう「底面29の肉厚t1」は、底面29の中央、つまりシール部近傍の周辺よりも厚肉となった部分を除く底面29の肉厚を指すものとし、例えば、テーパ部27aの基端部から、底シール突出部27の底面29と垂直な方向の長さと同じ長さだけ離れた位置Xにおける底面29の厚さ指すものと規定する(図6B参照)。また、テーパ部27aの基端部の厚さt2に対する薄肉部27bの厚さt3の比は、0.01〜0.1とすることが好ましく、0.03〜0.07とすることがより好ましい。この比は、具体的には例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。加えて、テーパ部27aの底面29と垂直な方向の長さt4に対する薄肉部27bの同方向の長さt5の比は、0.05〜0.3とすることが好ましく、0.1〜0.25とすることがより好ましく、0.15〜0.20とすることがさらに好ましい。この比は、具体的には例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0029】
次に、本実施形態の積層剥離容器1の製造方法の一例を説明する。
【0030】
まず、図7のIに示すように、製造すべき容器本体3に対応する積層構造(一例は、図7のIに示すように容器内面側から順に、PE層/接着層/EVOH層/PP層の積層構造)を備えた溶融状態の積層パリソンを押出し、この溶融状態の積層パリソンをブロー成形金型40(図8A参照)にセットし、一対の分割金型40Aを閉じる。分割金型40Aは、弁部材取付凹部7a、空気流通溝7b、底シール突出部27などの容器本体3の各種形状がブロー成形品に形成されるようなキャビティー形状を有する。
【0031】
ここで、図8A図8B図9A図9Dを用いて、ブロー成形金型40による容器本体3の底面29付近の形状の成形について詳細に説明する。まず、図8Aは、ブロー成形金型40の、容器底面29付近を成形する部分を示す拡大図である。図8Aに示すように、分割金型40Aは、それぞれ底面29を成形する底面成形部41と、底シール突出部27を成形する突出成形部42とを備える。より詳細には、突出成形部42は、図8Bの拡大図に示すように、底シール突出部27のテーパ部27aを成形する、容器内側方向を向くよう傾斜したテーパ面42aと、薄肉部27bを成形する薄肉成形部42bと、食い切り部42cとを備える。
【0032】
次に、図9A図9Dは、一対の分割金型40Aを徐々に閉じていき、積層パリソンを型締めする様子を示すものである。図9Aの型締め前の状態から分割金型40Aを閉じていくと、分割金型40Aの薄肉成形部42b及び食い切り部42cにより円筒状の積層パリソンが内向きに押圧され、図9Bに示すように、まず積層パリソンの内層13同士が当接する。この状態からさらに分割金型40Aを閉じると、図9Cに示すように、薄肉成形部42bと食い切り部42c、さらにはテーパ面42aにより積層パリソンが圧縮される。そして、図9Dに示すように金型が完全に閉じられることで、テーパ部27a及び薄肉部27bが形成され、積層パリソンは食い切り部42cにより2つに分離される。
【0033】
ところで、図9B図9Dに示すように分割金型40Aを閉じていくと、外層11及び内層13を有する積層パリソンは徐々に圧縮されるが、本実施形態においては、分割金型40Aが容器内側方向を向くよう傾斜したテーパ面42aを有していることから、積層パリソンが容器内側方向(図9A図9Dの上方向)に向かって押圧されることになる。そして、積層パリソンの内側に位置する内層13は、空間の広い容器内側方向に移動しやすくなっており(図9C及び図9Dの矢印参照)、型締め後の底シール突出部27(テーパ部27a及び薄肉部27b)では、外層11に対する内層13の占める割合が、分割金型40Aがテーパ面42aを有していない場合と比較して少なくなる。その結果、底シール突出部27において、少なくとも一部の領域において、外層11同士が圧縮され溶着されることになり、内層13が先端まで到達して内層13同士が溶着する構成と比較して耐衝撃性が向上し、衝撃が加わっても底シール突出部27が分離しない積層剥離容器1を製造することが可能となっている。なお、薄肉部27bを設けていることによっても、内層13の容器内側方向への移動が促進されることが、実験により確認されている。
【0034】
以上のように一対の分割金型40Aを閉じた後は、図7のIIに示すように、容器本体3の口部9側の開口部にブローノズルを挿入し、型締めを行った状態で分割金型のキャビティー内にエアーを吹き込む。次に、図7のIIIに示すように、分割金型を開いて、ブロー成形品を取り出す。この際、底シール突出部27の下側の部分に下バリが形成されるので、これを除去する。
【0035】
そして、以上のように成形された容器本体3に対し、既知である内層予備剥離工程、外気導入孔15の開通工程、弁部材の取付工程等を行い、製品を完成させる。
【0036】
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上述した実施形態においては、底シール突出部27はテーパ部27a及び薄肉部27bから構成されていたが、薄肉部27bは必須ではない。薄肉部27bを設けない場合でも、底シール突出部27がテーパ形状をなしていることで、型締め時に外層11同士が溶着することになり、耐衝撃性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1:積層剥離容器、3:容器本体、5:弁部材、7:収容部、9:口部、11:外層、12:外殻、13:内層、14:内袋、15:外気導入孔、27:底シール突出部、27a:テーパ部、27b:薄肉部、29:底面、29a:中央凹領域、29b:周縁領域、29c:周縁凹領域、40:ブロー成形金型、40A:分割金型、41:底面成形部、42:突出成形部、42a:テーパ面、42b:薄肉成形部、42c:食い切り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9