特許第6959570号(P6959570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959570
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20211021BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20211021BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20211021BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20211021BHJP
   G06F 1/3209 20190101ALI20211021BHJP
【FI】
   G06F3/12 336
   H04N5/232 300
   B41J29/38
   B41J29/00 E
   G06F3/12 321
   G06F1/3209
   G06F3/12 359
   H04N5/232 411
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-170983(P2017-170983)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-46345(P2019-46345A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】河内 茂
【審査官】 松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−158447(JP,A)
【文献】 特開2017−073641(JP,A)
【文献】 特開2016−147475(JP,A)
【文献】 特開2005−303821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 − 1/3296
G06F 3/09 − 3/12
B41J 29/00 −29/70
H04B 7/24 − 7/26
H04N 1/00
H04N 5/222− 5/257
H04N 5/80 − 5/956
H04W 4/00 −99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置との間で印刷データの転送のための所定の通信規格に準拠した無線接続を確立する通信制御部と、
前記撮像装置が発信するビーコン信号を受信するビーコン受信部と、を備え、
前記通信制御部は、前記撮像装置から前記無線接続を介して転送された前記印刷データに基づく印刷の終了後、前記ビーコン受信部が受信した前記ビーコン信号に基づいて前記撮像装置との距離を検出し、当該距離が所定の基準距離以上である時間が所定の基準時間以上継続した場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
撮像装置との間で印刷データの転送のための所定の通信規格に準拠した無線接続を確立する通信制御部と、
前記撮像装置が発信するビーコン信号を受信するビーコン受信部と、を備え、
前記通信制御部は、前記撮像装置から前記無線接続を介して転送された前記印刷データに基づく印刷の終了後、前記ビーコン受信部が受信した前記ビーコン信号に基づいて前記撮像装置との距離を検出し、当該距離が所定の基準距離未満となった後に前記基準距離以上となった場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記距離が前記基準距離未満となった後に、前記距離が前記基準距離以上である時間が所定の基準時間以上継続した場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断することを特徴とする請求項に記載の印刷装置。
【請求項4】
撮像装置との間で印刷データの転送のための所定の通信規格に準拠した無線接続を確立する通信制御部と、
前記撮像装置が発信するビーコン信号を受信するビーコン受信部と、を備え、
前記通信制御部は、前記撮像装置から前記無線接続を介して転送された前記印刷データに基づく印刷の終了後、前記ビーコン受信部が受信した前記ビーコン信号に基づいて前記撮像装置との距離を検出し、当該距離が第1基準距離よりも短い第2基準距離未満となった後に前記第1基準距離以上となった場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記ビーコン受信部は、ブルートゥースローエナジーの通信規格に準拠した前記ビーコン信号を受信することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
撮像装置との間で印刷データの転送のための所定の通信規格に準拠した無線接続を確立する接続工程と、
前記撮像装置から前記無線接続を介して転送された前記印刷データに基づく印刷の終了後、前記撮像装置から受信したビーコン信号に基づいて前記撮像装置との距離を検出する検出工程と、
前記距離が所定の基準距離以上である時間が所定の基準時間以上継続した場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断する切断工程と、を備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】
撮像装置との間で印刷データの転送のための所定の通信規格に準拠した無線接続を確立する接続工程と、
前記撮像装置から前記無線接続を介して転送された前記印刷データに基づく印刷の終了後、前記撮像装置から受信したビーコン信号に基づいて前記撮像装置との距離を検出する検出工程と、
前記距離が所定の基準距離未満となった後に前記基準距離以上となった場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断する切断工程と、を備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項8】
撮像装置との間で印刷データの転送のための所定の通信規格に準拠した無線接続を確立する接続工程と、
前記撮像装置から前記無線接続を介して転送された前記印刷データに基づく印刷の終了後、前記撮像装置から受信したビーコン信号に基づいて前記撮像装置との距離を検出する検出工程と、
前記距離が第1基準距離よりも短い第2基準距離未満となった後に前記第1基準距離以上となった場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断する切断工程と、を備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ(DSC)とプリンターとを、ユニバーサルシリアルバス(USB)の物理的インターフェイスを用いて接続し、いわゆるPictBridgeと呼ばれる規格に従って一対一で通信させることが知られている(特許文献1参照)。また、PictBridge規格によるDSCとプリンターとの接続は、有線環境ではなく無線環境を利用することも可能である(前記文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006‐285613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PictBridge規格に従ってDSCとプリンターとの無線接続を確立した後、ユーザーは、所望の処理(DSCで撮影した画像をプリンターへ送信しプリンターに印刷させる処理)を終えたら、DSCを操作して当該無線接続を切断する必要がある。しかし、ユーザーは、当該無線接続を切断し忘れてしまうことがある。当該無線接続が不必要に継続していると、双方の装置における電力消費が増えたり、プリンターの他の機能の使用が制限されたりする。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、無線接続の切断し忘れによる弊害の回避に有用な印刷装置および印刷装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の1つは、印刷装置は、撮像装置との間で印刷データの転送のための所定の通信規格に準拠した無線接続を確立する通信制御部と、前記撮像装置が発信するビーコン信号を受信するビーコン受信部と、を備え、前記通信制御部は、前記撮像装置から前記無線接続を介して転送された前記印刷データに基づく印刷の終了後、前記ビーコン受信部が受信した前記ビーコン信号に基づいて前記撮像装置との距離を検出し、当該距離が所定の基準距離以上である場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断する。
【0007】
当該構成によれば、印刷装置は、印刷終了後、撮像装置との距離が基準距離以上であることを認識した場合に、撮像装置との間で確立した前記所定の通信規格に準拠した無線接続を切断する。つまり、印刷終了後にユーザーが前記無線接続を切断し忘れていたとしても前記無線接続が自動切断され、前記無線接続の切断し忘れによる弊害が回避される。
【0008】
本発明の態様の1つは、前記通信制御部は、前記距離が前記基準距離以上である時間が所定の基準時間以上継続した場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断するとしてもよい。
当該構成によれば、印刷終了後、撮像装置と印刷装置とが一時的に基準距離以上離れた場合に直ちに前記無線接続を切断してしまうことを、回避することができる。
【0009】
本発明の態様の1つは、前記通信制御部は、前記距離が、前記基準距離未満となった後に前記基準距離以上となった場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断するとしてもよい。
当該構成によれば、印刷終了後、撮像装置と印刷装置との距離が一度縮まり、その後離れた場合、つまりユーザー(撮像装置を携帯するユーザー)が印刷装置から印刷結果を回収した後遠ざかったと強く推測できる場合に、前記無線接続を自動切断することができる。
【0010】
本発明の態様の1つは、前記通信制御部は、前記距離が前記基準距離未満となった後に、前記距離が前記基準距離以上である時間が所定の基準時間以上継続した場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断するとしてもよい。
当該構成によれば、印刷終了後、撮像装置と印刷装置との距離が一度縮まり、その後離れている時間が基準時間以上継続した場合に、前記無線接続を自動切断することができる。
【0011】
本発明の態様の1つは、前記通信制御部は、前記距離が、前記基準距離よりも短い第2基準距離未満となった後に前記基準距離以上となった場合に、前記撮像装置との前記無線接続を切断するとしてもよい。
当該構成によれば、印刷終了後、撮像装置と印刷装置とが非常に接近し、その後十分に離れた場合に、前記無線接続を自動切断することができる。
【0012】
本発明の態様の1つは、前記ビーコン受信部は、ブルートゥースローエナジー(BLE:Bluetooth(登録商標)Low Energy)の通信規格に準拠した前記ビーコン信号を受信するとしてもよい。
当該構成によれば、印刷装置は、撮像装置からBLEの通信規格によって発信されたビーコン信号に基づいて、撮像装置との距離を容易かつ適切に検出することができる。
【0013】
本発明の技術的思想は、印刷装置という物以外によっても実現される。例えば、印刷装置が実行する各処理(各工程)を備えた方法(印刷装置の制御方法)や、当該方法をコンピューターに実行させるプログラムや、当該プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な記憶媒体も、夫々に発明として成り立つ。また、撮像装置と印刷装置とを含むシステムも発明として成立する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】システムの構成例を模式的に示す図。
図2】第1実施形態にかかる印刷後自動切断処理を示すフローチャート。
図3】アドバタイズパケットの一例を示す図。
図4】第2実施形態にかかる印刷後自動切断処理を示すフローチャート。
図5】第3実施形態にかかる印刷後自動切断処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。
【0016】
1.装置構成の概要説明:
図1は、プリンター20およびDSC30を含むシステム10の構成例を模式的に示している。プリンター20は本発明の印刷装置に該当し、DSC30は撮像装置に該当する。プリンター20は、少なくとも印刷機能を有する装置であり、印刷機能の他に、コピー機能やファクシミリ機能等の種々の機能を併せ持った複合機であってもよい。システム10を、印刷システム、無線通信システム、等と呼んでもよい。
【0017】
図1の例では、プリンター20は、制御部21、無線通信部22、ビーコン通信部23、表示部24、操作受付部25、印刷部26等を備える。制御部21は、例えば、CPU21a、ROM21b、RAM21c等を有する1つ又は複数のICや、その他のメモリーを適宜含んで構成される。制御部21では、CPU21aが、ROM21b等に保存されたプログラムに従った演算処理を、RAM21c等をワークエリアとして用いて実行することにより、プリンター20の挙動を制御する。制御部21はプログラム(ファームウェア)を搭載しており、プログラムに従って制御を実行する。制御部21は、本発明にかかる制御方法を実行する。
【0018】
表示部24は、視覚的情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部24は、ディスプレイと、当該ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部25は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部24の一機能として実現されるとしてもよい。また、表示部24および操作受付部25を含めて操作パネル等と呼ぶことができる。
【0019】
印刷部26は、制御部21による制御下で、印刷データに基づいて印刷媒体へ印刷を実行する機構である。印刷部26が採用し得る印刷方式はインクジェット方式、電子写真方式等、様々であり、特に限定されない。
【0020】
無線通信部22は、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)通信に対応したインターフェイス(IF)である。プリンター20における制御部21および無線通信部22は、本発明の通信制御部に該当する。無線通信部22は、外部の不図示のアクセスポイント(AP)を介したインフラストラクチャモードによる無線通信、具体的にはWi‐Fi方式に従った無線通信を実行可能である。また、無線通信部22は、外部のAPを介さない通信先との直接的な無線通信、具体的にはWi‐Fi Direct方式に従った無線通信を実行可能であってもよい。Wi‐Fi方式、Wi‐Fi Direct方式はそれぞれ、無線LANの規格であるIEEE802.11の規格群による無線通信方式であり、Wi‐Fi Allianceによって認証されている。
【0021】
無線通信部22は、Wi‐Fi Direct方式に従った無線通信を実行する場合、APとして、つまり無線通信におけるグループオーナーとして機能する。この場合、無線通信部22は自ら無線LANを形成することになる。APとして機能する場合の無線通信部22は、自身が形成する無線LANを識別するためのネットワーク識別情報(SSID:Service Set Identifier)や当該無線LANへの接続に必要なパスワードを有する。
【0022】
ビーコン通信部23は、Wi‐Fi方式等の無線通信と比較して低消費電力の無線通信を実行可能なIFである。ここでは、ビーコン通信IF23は、BLEの通信規格に準拠した無線通信(BLE通信)を実行可能であるとする。なお、ビーコン通信部23が準拠する通信規格は、Bluetooth3.0以前のBluetooth通信規格であってもよい。
【0023】
DSC30は、制御部31、無線通信部32、ビーコン通信部33、表示部34、操作受付部35、撮像部36等を備える。制御部31は、例えば、CPU31a、ROM31b、RAM31c等を有する1つ又は複数のICや、その他のメモリーを適宜含んで構成される。制御部31では、CPU31aが、ROM31b等に保存されたプログラムに従った演算処理を、RAM31c等をワークエリアとして用いて実行することにより、DSC30の挙動を制御する。
【0024】
表示部34および操作受付部35に関する説明は、表示部24および操作受付部25に関する説明を準用する。撮像部36は、知られているように、撮像素子やレンズ、その他の光学系を備える。
【0025】
無線通信部32は、プリンター20の無線通信部22と同様に、無線LAN通信に対応したIFであり、外部のAP(不図示のAPあるいはAPとして機能するプリンター20の無線通信部22)を介した無線通信を実行可能である。従って、無線通信部32が、APとして機能する無線通信部22が形成する無線LANに対応するSSIDやパスワードを用いて無線通信部22へ接続することにより、無線LANの親機としてのプリンター20(無線通信部22)と、無線LANの子機としてのDSC30(無線通信部32)との間で、直接的な無線通信を行うことができる。
【0026】
ビーコン通信部33は、プリンター20のビーコン通信部23と同様に、Wi‐Fi方式等の無線通信と比較して低消費電力の無線通信を実行可能なIFである。ここでは、ビーコン通信IF33は、BLE通信を実行可能であるとする。なお、ビーコン通信部33が準拠する通信規格は、Bluetooth3.0以前のBluetooth通信規格であってもよい。
以下に、このような構成において実行可能な実施形態を幾つか説明する。
【0027】
2.第1実施形態:
図2は、第1実施形態にかかる印刷後自動切断処理をフローチャートにより示している。図2では、DSC30側の処理とプリンター(PRT)20側の処理とを並列させて示している。
【0028】
先ず、DSC30およびプリンター20は、互いの間に、印刷データの転送のための所定の通信規格(PictBridge規格)に準拠した無線接続(PictBridge無線接続)を確立する(ステップS100,S200)。ここでは、DSC30およびプリンター20は、DPS(Digital Photo Solutions for Imaging Devices)規格に対応した機器であるとする。ステップS100,S200では、DSC30の制御部31およびプリンター20の制御部21は夫々、無線通信部22,32を制御して無線LANへ接続した後、無線LANを介した相手方のMAC(Media Access Control)アドレス取得やIPアドレッシングのネゴシエーションを経て、ピアツーピアの接続関係を確定する。さらに、制御部21(PTP‐IP(Picture Transfer Protocol over TCP/IP networks) Initiator)の主導で、当該接続関係が確定したDSC30との間でPTP‐IPセッションを確立する。ここで想定する無線LANは、DSC30およびプリンター20にとって外部のAPが形成する無線LANであってもよいし、APとしてのプリンター20(無線通信部22)が形成する無線LANであってもよい。
【0029】
このような、PictBridge無線接続(無線LAN環境におけるPTP‐IPセッション)の確立については、CIPA DCG‐006‐2012 DSP over IP実装ガイドライン(一般社団法人カメラ映像機器工業会2012年2月発行)も適宜参照のこと。また、ステップS200は、プリンター20側における、PictBridge無線接続を確立する接続工程に該当する。
【0030】
PictBridge無線接続が確立した後、ユーザーは、DSC30の操作受付部35を操作して、DSC30に記憶された画像ファイル群から任意に選択した画像ファイルについての印刷開始指示を入力する(図2内、2点鎖線の矢印参照)。
【0031】
DSC30の制御部31は、ユーザーによる印刷開始指示を受ける。制御部31は、印刷開始指示が指示する画像ファイルをプリンター20に印刷させるための印刷データを生成し、当該印刷データを含んだ印刷コマンドを、無線通信部32から前記確立したPictBridge無線接続を介してプリンター20(無線通信部22)へ送信する(ステップS110)。なお、印刷データのフォーマットは、ここでは特に問わない。また、印刷開始指示によって指示された画像ファイルそのものを印刷データと表現してもよい。
【0032】
プリンター20の制御部21は、無線通信部22を介して受信した印刷コマンドに基づいて印刷を実行する(ステップS210)。つまり、印刷コマンドに含まれる印刷データに基づいて印刷部26に印刷を実行させる。言うまでもなく、制御部21は、印刷データについて、印刷部26が解釈可能なフォーマットへの変換等を適宜実行した上で、印刷データに基づく印刷を印刷部26に実行させることが可能である。
【0033】
制御部21は、印刷終了後、印刷終了通知を、無線通信部22から前記確立したPictBridge無線接続を介してDSC30(無線通信部32)へ送信する(ステップS220)。
【0034】
DSC30の制御部31は、無線通信部32を介して印刷終了通知を受信したことにより、ステップS110で送信した印刷コマンドに対応する印刷が終了したことを認識し、表示部34に印刷が終了した旨の表示(印刷終了表示)をさせる(ステップS120)。
【0035】
ユーザーはDSC30の表示部34の印刷終了表示を見ることで、印刷が終了したことを認識し、プリンター20が設置されている場所まで移動し、プリンター20から出力された印刷結果(印刷物)を回収する。このとき、通常であれば、ユーザーはDSC30を操作し、維持する必要が無くなった前記確立したPictBridge無線接続を切断する指示をDSC30に対して行う。これにより、前記確立したPictBridge無線接続を切断するシーケンスが実行され、DSC30とプリンター20との間のPictBridge無線接続が切断される。
【0036】
しかしながら、ユーザーが、前記確立したPictBridge無線接続を切断し忘れることも有る。そのため本実施形態は、当該切断し忘れへの対策としてステップS230以降の処理を行う。言い換えると、印刷終了後に、ユーザーが、前記確立したPictBridge無線接続を切断した場合には、ステップS230以降の処理は、その途中であっても強制終了される。
【0037】
ステップS220の後、ステップS230では、プリンター20の制御部21は、前記確立したPictBridge無線接続の相手方のDSC30が発信するビーコン信号に基づいて、当該DSC30が自身(プリンター20)に接近したか否かを判定する。
【0038】
DSC30では、電源オン状態である場合は基本的に、ビーコン通信部33がビーコン信号をBLE通信により一定時間間隔で送信(ブロードキャスト)している。
図3は、ビーコン通信部33によってBLE通信で送信されるアドバタイズパケットADPを例示している。アドバタイズパケットADPは、ビーコン信号の具体例である。図3中、アドバタイズパケットADPのヘッダー等は省略されている。図3に示すように、アドバタイズパケットADPは、送信元アドレスD1、個体識別情報D2、信号強度値D3等を含んでいる。
【0039】
送信元アドレスD1は、アドバタイズパケットADPの送信元であるDSC30のブルートゥースデバイスアドレスである。個体識別情報D2は、アドバタイズパケットADPの送信元であるDSC30を一意に識別するための識別情報で、例えば、MACアドレスである。信号強度値D3は、所定の基準距離だけ離れた位置での受信信号強度を表す値である。信号強度値D3を、受信信号強度のしきい値と呼んでもよい。
【0040】
プリンター20側では、制御部21は、ビーコン通信部23を介して、上述のようにDSC30が繰り返し発信するビーコン信号(アドバタイズパケットADP)を繰り返し受信する。つまり、制御部21は、ビーコン通信部23を介して認識可能な信号に対してアドバダイスパケットのスキャンを実行することにより、周囲の機器からBLE通信で発信されているアドバタイズパケットADPを受信する。制御部21は、ビーコン通信部23を介して認識した信号のヘッダーに、例えば、BLE通信のフォーマットにより定められているアドバダイスパケットを示す特定の情報を認識したとき、アドバタイズパケットADPを受信することができる。また、受信したアドバタイズパケットADPに含まれている個体識別情報D2(MACアドレス)が、前記相手方のDSC30の個体識別情報(MACアドレス)と一致する場合、当該受信したアドバタイズパケットADPが、前記相手方のDSC30から発信されたビーコン信号であることが判る。このようにDSC30が発信するビーコン信号を受信する点で、プリンター20のビーコン通信部23および制御部21は、ビーコン受信部として機能すると言える。
【0041】
制御部21は、前記相手方のDSC30が発信したビーコン信号に基づいて、前記相手方のDSC30と自身(プリンター20)との距離(機器間距離)を検出する(検出工程)。
例えば、制御部21は、前記相手方のDSC30からBLE通信で送信されたアドバタイズパケットADPをビーコン通信部23が受信した際のアドバタイズパケットADPの受信信号強度[RSSI(Received Signal Strength Indication)]と、当該アドバタイズパケットADPに含まれる信号強度値D3とを比較する。そして、制御部21は、当該比較の結果に基づいて機器間距離を検出する。この場合、検出する機器間距離は、数メートル、数センチといった具体的な距離であってもよいが、例えば、RSSI>D3であれば、機器間距離は「基準距離未満」、RSSI≦D3であれば、機器間距離は「基準距離以上」と判定してもよい。つまり、制御部21は、プリンター20と前記相手方のDSC30とがどの程度離れているかを表す何らかの情報を機器間距離として検出できればよい。
【0042】
なお、制御部21は、アドバタイズパケットADPの受信信号強度RSSIとの比較に用いる信号強度値D3としては、過去にDSC30から取得して記憶済みの(あるいは、プリンター20の製品出荷時等に予め設定された)信号強度値D3を用いるとしてもよい。
【0043】
また、制御部21は、次のようにして機器間距離を検出してもよい。例えば、プリンター20は、アドバタイズパケットADPの送信元と当該アドバタイズパケットADPを受信する側との距離と、アドバタイズパケットADPの受信信号強度RSSIとの対応関係を規定したテーブルを、予めRAM21c等に記憶しておく。そして、前記相手方のDSC30が発信したアドバタイズパケットADPを、ビーコン通信部23を介して受信した場合、制御部21は、その受信信号強度RSSIに対応する距離を、前記テーブルを参照して読み出すことにより、機器間距離を検出する。
【0044】
制御部21は、前記相手方のDSC30が発信したアドバタイズパケットADPを、ビーコン通信部23を介して受信する度に、上述のように機器間距離を検出することで、現在の(最新の)機器距離を把握することができる。“現在の機器間距離”は、当然、随時更新される。
【0045】
そこでステップS230では、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離未満であるか否かを判定し、現在の機器間距離が基準距離未満であれば、前記相手方のDSC30が接近したと判定し(ステップS230において“Yes”)、ステップS240へ進む。一方、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離以上であれば、前記相手方のDSC30が接近していないと判定し(ステップS230において“No”)、当該ステップS230の判定を繰り返す。なお、制御部21は、基準距離の設定値を予めRAM21c等に記憶しているものとする。
【0046】
ステップS240では、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離以上であるか否かを判定し、現在の機器間距離が基準距離以上であれば、前記相手方のDSC30が遠ざかった(一度接近した後、遠ざかった)と判定し(ステップS240において“Yes”)、ステップS250へ進む。一方、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離未満であれば、前記相手方のDSC30が遠ざかっていない(接近した状態のまま)と判定し(ステップS240において“No”)、当該ステップS240の判定を繰り返す。
【0047】
ステップS250では、制御部21は、ステップS240で“Yes”と判定した後、所定の基準時間が経過したか否かを判定する。制御部21は、基準時間の設定値を予めRAM21c等に記憶しているものとする。基準時間が経過していない場合は(ステップS250において“No”)ステップS260へ進み、基準時間が経過した場合は(ステップS250において“Yes”)ステップS270へ進む。
【0048】
ステップS260では、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離未満であるか否かを判定し、現在の機器間距離が基準距離未満であれば、前記相手方のDSC30が再度接近したと判定し(ステップS260において“Yes”)、ステップS240の判定へ戻る。つまり、前記相手方のDSC30が遠ざかった(一度接近した後、遠ざかった)後、基準時間が経過する前に再び接近した場合には、ステップS240の判定をやり直す。一方、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離以上であれば、前記相手方のDSC30が再接近していないと判定し(ステップS260において“No”)、ステップS250の判定に戻る。従って、テップS240で“Yes”と判定した後、基準時間が経過するまでの間、機器間距離が基準距離以上である状態が継続した場合に、ステップS250の判定からステップS270へ進むことになる。
【0049】
ステップS270では、制御部21は、前記確立したPictBridge無線接続を切断する(切断工程)。つまり、制御部21は、無線LAN環境においてDSC30との間で確立した前記PTP‐IPセッションを停止させる。このとき、制御部21は、TCP (Transmission Control Protocol) ポートのクローズを無線通信部22から無線通信部33に向けて指示する。これにより、当該指示を受けて、DSC30側でも前記確立したPictBridge無線接続を切断する(ステップS130)。以上で、印刷後自動切断処理が終了する。
【0050】
このような第1実施形態によれば、プリンター20の通信制御部(21,22)は、DSC30から前記確立したPictBridge無線接続を介して転送された印刷データに基づく印刷の終了後、DSC30から受信したビーコン信号(アドバタイズパケットADP)に基づいて検出したDSC30との距離(機器間距離)が、基準距離未満となった後(ステップS230において“Yes”)、機器間距離が基準距離以上である時間が基準時間以上継続した場合に(ステップS250において“Yes”)、前記確立したPictBridge無線接続を切断する(ステップS270)。なお、プリンター20とDSC30との間のPictBridge無線接続が切断されても、プリンター20やDSC30それぞれの無線LANへの接続は維持される。
【0051】
つまり、印刷終了後にユーザーがPictBridge無線接続を切断し忘れていたとしても、PictBridge無線接続が自動切断される。PictBridge無線接続が切断されないままであると、当該接続を維持するために余分な電力を消費したり、プリンター20の他の機能(例えば、コピー機能や、プリンター20に接続したDSC30以外のPC等の外部機器からの印刷機能)が使用できなかったりする。本実施形態では、このようなユーザーのPictBridge無線接続の切断し忘れによる弊害を回避することができる。
【0052】
1つの予想として、DSC30を携帯するユーザーは、プリンター20による印刷終了後、プリンター20へ接近して印刷結果を回収し、その後、プリンター30から離れる可能性が高い。また、印刷結果を回収した後、プリンター20からユーザー(DSC30)が離れても、それが一時的な離間である可能性がある。第1実施形態によれば、このようなユーザーの具体的行動を鑑みて、ユーザーにとってDSC30‐プリンター20間のPictBridge無線接続の維持の必要性が低下したと言える1つのタイミング(ステップS250で“Yes”と判定したタイミング)で、PictBridge無線接続を自動切断することができる。
【0053】
3.第2実施形態:
図4は、第2実施形態にかかる印刷後自動切断処理をフローチャートにより示している。第2実施形態(図4)については、第1実施形態(図2)と異なる点について説明する。図4は、図2と比較するとステップS230の判定を省いた点で異なる。
【0054】
つまり、ステップS220の後、プリンター20の制御部21は、現在の機器間距離が基準距離以上であるか否かを判定し(ステップS240)、現在の機器間距離が基準距離以上であれば、前記相手方のDSC30が遠い位置に在ると判定し(ステップS240において“Yes”)、ステップS250へ進む。一方、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離未満であれば、前記相手方のDSC30が遠ざかっていないと判定し(ステップS240において“No”)、当該ステップS240の判定を繰り返す。
【0055】
ステップS250では、制御部21は、ステップS240で“Yes”と判定した後、基準時間が経過したか否かを判定し、基準時間が経過していない場合は(ステップS250において“No”)ステップS265へ進み、基準時間が経過した場合は(ステップS250において“Yes”)ステップS270へ進む。ステップS265は、ステップS260と実質的に同じである。つまり、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離未満であるか否かを判定し、現在の機器間距離が基準距離未満であれば、前記相手方のDSC30が接近したと判定し(ステップS265において“Yes”)、ステップS240の判定へ戻る。一方、現在の機器間距離が基準距離以上であれば(ステップS265において“No”)、ステップS250の判定に戻る。
【0056】
このような第2実施形態によれば、プリンター20の通信制御部(21,22)は、DSC30から前記確立したPictBridge無線接続を介して転送された印刷データに基づく印刷の終了後、DSC30から受信したビーコン信号(アドバタイズパケットADP)に基づいて検出したDSC30との距離(機器間距離)が、基準距離以上である時間が基準時間以上継続した場合に(ステップS250において“Yes”)、前記確立したPictBridge無線接続を切断する(ステップS270)。
【0057】
従って、印刷終了後にユーザーがPictBridge無線接続を切断し忘れていたとしても、PictBridge無線接続が自動切断される。1つの予想として、ユーザーは、プリンター20による印刷終了後、プリンター20から遠い位置にDSC30を放置したままにする可能性がある。第2実施形態によれば、このようなユーザーの具体的行動を鑑みて、ユーザーにとってDSC30‐プリンター20間のPictBridge無線接続の維持の必要性が低下したと言える1つのタイミング(ステップS250で“Yes”と判定したタイミング)で、PictBridge無線接続を自動切断することができる。
【0058】
4.第3実施形態:
図5は、第3実施形態にかかる印刷後自動切断処理をフローチャートにより示している。第3実施形態(図5)については、第1実施形態(図2)と異なる点について説明する。図5は、図2と比較するとステップS250,S260の判定を省いた点で異なる。
つまり、ステップS220の後、ステップS230では、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離未満であるか否かを判定し、現在の機器間距離が基準距離未満であれば、前記相手方のDSC30が接近したと判定し(ステップS230において“Yes”)、ステップS240へ進む。一方、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離以上であれば、前記相手方のDSC30が接近していないと判定し(ステップS230において“No”)、当該ステップS230の判定を繰り返す。
【0059】
ステップS240では、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離以上であるか否かを判定し、現在の機器間距離が基準距離以上であれば、前記相手方のDSC30が遠ざかった(一度接近した後、遠ざかった)と判定し(ステップS240において“Yes”)、ステップS270へ進む。一方、制御部21は、現在の機器間距離が基準距離未満であれば、前記相手方のDSC30が遠ざかっていない(接近した状態のまま)と判定し(ステップS240において“No”)、当該ステップS240の判定を繰り返す。
【0060】
このような第3実施形態によれば、プリンター20の通信制御部(21,22)は、DSC30から前記確立したPictBridge無線接続を介して転送された印刷データに基づく印刷の終了後、DSC30から受信したビーコン信号(アドバタイズパケットADP)に基づいて検出したDSC30との距離(機器間距離)が、基準距離未満となった後(ステップS230において“Yes”)、機器間距離が基準距離以上となった場合(ステップS240において“Yes”)、前記確立したPictBridge無線接続を切断する(ステップS270)。
【0061】
従って、印刷終了後にユーザーがPictBridge無線接続を切断し忘れていたとしても、PictBridge無線接続が自動切断される。1つの予想として、DSC30を携帯するユーザーは、プリンター20による印刷終了後、プリンター20へ接近して印刷結果を回収し、その後、プリンター20から離れる可能性が高い。第3実施形態によれば、このようなユーザーの具体的行動を鑑みて、ユーザーにとってDSC30‐プリンター20間のPictBridge無線接続の維持の必要性が低下したと言える1つのタイミング(ステップS240で“Yes”と判定したタイミング)で、PictBridge無線接続を自動切断することができる。
【0062】
5.第4実施形態:
よりシンプルな構成として、制御部21は、ステップS220の後、ステップS240の判定を行い、当該ステップS240で“Yes”と判定した場合にステップS270へ進むとしてもよい(第4実施形態)。つまり、プリンター20の通信制御部(21,22)は、DSC30から前記確立したPictBridge無線接続を介して転送された印刷データに基づく印刷の終了後、DSC30から受信したビーコン信号(アドバタイズパケットADP)に基づいて検出したDSC30との距離(機器間距離)が基準距離以上となった場合(ステップS240において“Yes”)、前記確立したPictBridge無線接続を切断する(ステップS270)。
【0063】
このような第4実施形態は、第1〜第3実施形態や、後述する第5実施形態の上位概念(印刷終了後、DSC30との機器間距離が基準距離以上となったことを(少なくとも1つの)条件として、PictBridge無線接続を切断する、という概念)を提示していると言える。第4実施形態によっても、印刷終了後にユーザーがPictBridge無線接続を切断し忘れていたとしてもPictBridge無線接続が自動切断される。
【0064】
6.第5実施形態:
制御部21は、機器間距離について、複数のしきい値を用いて判定を行うとしてもよい。具体的には、制御部21は、これまで説明した基準距離(第1基準距離)と、第1基準距離よりも短い第2基準距離とを予め記憶しているものとする。そして、制御部21は、例えば、ステップS230(図2,5)では、現在の機器間距離が第2基準距離未満であるか否かを判定する。つまり機器間距離が第2基準距離未満であればDSC30はプリンター20に“非常に”接近した状態と判定する(ステップS230において“Yes”)。また、ステップS240(図2,5)では、制御部21は、現在の機器間距離が第1基準距離以上であるか否かを判定する。つまり機器間距離が第1基準距離以上であればDSC30はプリンター20から遠ざかった状態と判定する(ステップS240において“Yes”)。また、ステップS260(図2)では、制御部21は、現在の機器間距離が第1基準距離未満であれば、DSC30がプリンター20に接近した(ステップS260において“Yes”)と判定する。
【0065】
このような第5実施形態(第1実施形態との組み合わせ)によれば、プリンター20の通信制御部(21,22)は、DSC30から前記確立したPictBridge無線接続を介して転送された印刷データに基づく印刷の終了後、DSC30から受信したビーコン信号(アドバタイズパケットADP)に基づいて検出したDSC30との距離(機器間距離)が、第2基準距離未満となった後(ステップS230において“Yes”)、機器間距離が第1基準距離以上である時間が基準時間以上継続した場合に(ステップS250において“Yes”)、前記確立したPictBridge無線接続を切断する(ステップS270)。
【0066】
また、第5実施形態(第3実施形態との組み合わせ)によれば、プリンター20の通信制御部(21,22)は、DSC30から前記確立したPictBridge無線接続を介して転送された印刷データに基づく印刷の終了後、DSC30から受信したビーコン信号(アドバタイズパケットADP)に基づいて検出したDSC30との距離(機器間距離)が、第2基準距離未満となった後(ステップS230において“Yes”)、機器間距離が第1基準距離以上となった場合(ステップS240において“Yes”)、前記確立したPictBridge無線接続を切断する(ステップS270)。つまり、印刷終了後、DSC30とプリンター20とが非常に接近し、その後当該接近と比べて十分に離れた場合に、前記確立したPictBridge無線接続を自動切断することができる。
【0067】
なお、第5実施形態においては、DSC30が発信するアドバタイズパケットADPに含まれる信号強度値D3は、複数の信号強度値を含んでいるとしてもよい。例えば、アドバタイズパケットADPに含まれる信号強度値D3は、第1信号強度値と、第1信号強度値よりも高い第2信号強度値とを含む。そして、制御部21は、アドバタイズパケットADPの受信信号強度RSSIと、当該アドバタイズパケットADPに含まれる信号強度値D3(第1信号強度値、第2信号強度値)とを比較する。そして、RSSI>第2信号強度値であれば、機器間距離が第2基準距離未満、つまりDSC30はプリンター20に“非常に”接近した状態と判定する。また、第2信号強度値≧RSSI>第1信号強度値であれば、機器間距離が第2基準距離以上かつ第1基準距離未満、つまりDSC30はプリンター20に接近した状態と判定する。また、RSSI≦第1信号強度値であれば、器間距離が第1基準距離以上、つまりDSC30はプリンター20から遠ざかった状態と判定する。
【0068】
7.その他の説明:
本実施形態において、DSC30から発信されるビーコン信号は、BLE通信以外の無線通信技術によって発信されるものであってもよい。また、DSC30とプリンター20との間で印刷データの転送のための確立される無線接続(印刷終了後に、自動切断の対象となる無線接続)は、PictBridge規格以外の規格に準拠した無線接続であってもよい。また、上述の実施形態では、CPU(プロセッサ)が各処理を実行する例を説明した。ここで、本明細書において、CPUは、1又は複数のCPUにより構成されていてもよいし、1又は複数の集積回路[例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)]により構成されていてもよい。また、CPUは、1又は複数のCPUと、1又は複数の集積回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…システム、20…プリンター、21…制御部、21a…CPU、21b…ROM、21c…RAM、22…無線通信部、23…ビーコン通信部、24…表示部、25…操作受付部、26…印刷部、30…DSC、31…制御部、32…無線通信部、33…ビーコン通信部、34…表示部、35…操作受付部、36…撮像部、ADP…アドバタイズパケット、D3…信号強度値
図1
図2
図3
図4
図5