(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一機器従属色空間の第一座標値と第二機器従属色空間の第二座標値との対応関係を表すデバイスリンクプロファイルのデバイスリンクテーブルを調整するためのデバイスリンクプロファイル調整プログラムであって、
プロファイル接続空間の座標を基準として調整点における調整目標を受け付ける目標受付機能と、
前記調整目標、及び、前記デバイスリンクテーブルの作成に用いられた元プロファイルにおける前記プロファイル接続空間の機器独立座標値を含む色変換テーブルに基づいて前記デバイスリンクテーブルを調整する調整機能と、
前記色変換テーブル、又は、前記元プロファイルが示された元プロファイル情報を前記デバイスリンクプロファイルのプライベートタグに格納する格納機能と、をコンピューターに実現させ、
前記調整機能は、前記デバイスリンクプロファイルの前記プライベートタグから前記色変換テーブル又は前記元プロファイル情報を読み出し、該読み出した色変換テーブル又は該読み出した元プロファイル情報で示される元プロファイルの色変換テーブル、及び、前記調整目標に基づいて前記デバイスリンクテーブルを調整する、デバイスリンクプロファイル調整プログラム。
第一機器従属色空間の第一座標値と第二機器従属色空間の第二座標値との対応関係を表すデバイスリンクプロファイルのデバイスリンクテーブルを調整するデバイスリンクプロファイル調整装置であって、
プロファイル接続空間の座標を基準として調整点における調整目標を受け付ける目標受付部と、
前記調整目標、及び、前記デバイスリンクテーブルの作成に用いられた元プロファイルにおける前記プロファイル接続空間の機器独立座標値を含む色変換テーブルに基づいて前記デバイスリンクテーブルを調整する調整部と、
前記色変換テーブル、又は、前記元プロファイルが示された元プロファイル情報を前記デバイスリンクプロファイルのプライベートタグに格納する格納部と、を含み、
前記調整部は、前記デバイスリンクプロファイルの前記プライベートタグから前記色変換テーブル又は前記元プロファイル情報を読み出し、該読み出した色変換テーブル又は該読み出した元プロファイル情報で示される元プロファイルの色変換テーブル、及び、前記調整目標に基づいて前記デバイスリンクテーブルを調整する、デバイスリンクプロファイル調整装置。
第一機器従属色空間の第一座標値と第二機器従属色空間の第二座標値との対応関係を表すデバイスリンクプロファイルのデバイスリンクテーブルを調整するデバイスリンクプロファイル調整システムであって、
パッチを含むカラーチャートを印刷するための印刷装置と、
前記パッチを測色する測色装置と、
プロファイル接続空間の座標を基準として調整点における調整目標を受け付ける目標受付部と、
前記調整目標、及び、前記デバイスリンクテーブルの作成に用いられた元プロファイルにおける前記プロファイル接続空間の機器独立座標値を含む色変換テーブルに基づいて前記デバイスリンクテーブルを調整する調整部と、
前記色変換テーブル、又は、前記元プロファイルが示された元プロファイル情報を前記デバイスリンクプロファイルのプライベートタグに格納する格納部と、を含み、
前記調整部は、前記デバイスリンクプロファイルの前記プライベートタグから前記色変換テーブル又は前記元プロファイル情報を読み出し、該読み出した色変換テーブル又は該読み出した元プロファイル情報で示される元プロファイルの色変換テーブル、及び、前記調整目標に基づいて前記デバイスリンクテーブルを調整する、デバイスリンクプロファイル調整システム。
第一機器従属色空間の第一座標値と第二機器従属色空間の第二座標値との対応関係を表すデバイスリンクテーブルを含むデバイスリンクプロファイルを作成する処理をコンピューターにより行う、デバイスリンクプロファイル作成方法であって、
前記第一座標値とプロファイル接続空間の機器独立座標値との対応関係を表す入力プロファイルにおける前記第一座標値と、前記機器独立座標値と前記第二座標値との対応関係を表す出力プロファイルにおける前記第二座標値と、を対応付けて前記デバイスリンクテーブルを生成する生成工程と、
前記入力プロファイルと前記出力プロファイルの少なくとも一方における色変換テーブルを前記デバイスリンクプロファイルのプライベートタグに格納する格納工程と、を含む、デバイスリンクプロファイル作成方法。
第一機器従属色空間の第一座標値と第二機器従属色空間の第二座標値との対応関係を表すデバイスリンクテーブルを含むデバイスリンクプロファイルを作成するためのデバイスリンクプロファイル作成プログラムであって、
前記第一座標値とプロファイル接続空間の機器独立座標値との対応関係を表す入力プロファイルにおける前記第一座標値と、前記機器独立座標値と前記第二座標値との対応関係を表す出力プロファイルにおける前記第二座標値と、を対応付けて前記デバイスリンクテーブルを生成する生成機能と、
前記入力プロファイルと前記出力プロファイルの少なくとも一方における色変換テーブルを前記デバイスリンクプロファイルのプライベートタグに格納する格納機能と、をコンピューターに実現させる、デバイスリンクプロファイル作成プログラム。
第一機器従属色空間の第一座標値と第二機器従属色空間の第二座標値との対応関係を表すデバイスリンクテーブルを含むデバイスリンクプロファイルを作成するデバイスリンクプロファイル作成装置であって、
前記第一座標値とプロファイル接続空間の機器独立座標値との対応関係を表す入力プロファイルにおける前記第一座標値と、前記機器独立座標値と前記第二座標値との対応関係を表す出力プロファイルにおける前記第二座標値と、を対応付けて前記デバイスリンクテーブルを生成する生成部と、
前記入力プロファイルと前記出力プロファイルの少なくとも一方における色変換テーブルを前記デバイスリンクプロファイルのプライベートタグに格納する格納部と、を含む、デバイスリンクプロファイル作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0016】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1〜22に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0017】
[態様1]
図2,6〜12等に例示するように、本技術の一態様に係るデバイスリンクプロファイル調整方法は、デバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631を調整する処理をコンピューター(例えばホスト装置100)により行うデバイスリンクプロファイル調整方法であって、目標受付工程ST3、及び、調整工程ST4を含む。ここで、前記デバイスリンクプロファイル630は、第一機器従属色空間CS1(例えばCMYK色空間)の第一座標値(例えばCMYK値)と第二機器従属色空間CS2(例えばcmyk色空間)の第二座標値(例えばcmyk値)との対応関係を表している。前記目標受付工程ST3では、プロファイル接続空間CS3(例えばLab色空間)の座標を基準として調整点P0における調整目標T0を受け付ける。前記調整工程ST4では、前記調整目標T0、及び、前記デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイル(例えば出力プロファイル620)における前記プロファイル接続空間CS3の機器独立座標値(例えばLab値)を含む色変換テーブル(例えばA2Bテーブル622)に基づいて前記デバイスリンクテーブル631を調整する。
【0018】
デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイルの色変換テーブルにプロファイル接続空間CS3の機器独立座標値(Lab値)が含まれるので、プロファイル接続空間CS3の座標を基準としてデバイスリンクテーブル631を調整することができる。従って、本態様は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にするデバイスリンクプロファイル調整方法を提供することができる。
【0019】
ここで、プロファイル接続空間には、CIE Lab色空間、CIE XYZ色空間、等といった色空間が含まれる。
第一機器従属色空間には、CMYK色空間、CMY色空間、RGB色空間、等が含まれる。尚、Rは赤を意味し、Gは緑を意味し、Bは青を意味する。
第二機器従属色空間には、CMYK色空間、CMY色空間、RGB色空間、等が含まれる。以下述べる実施形態では、第二機器従属色空間がCMYK色空間である場合に第一機器従属色空間のCMYK色空間と区別するため第二機器従属色空間をcmyk色空間と表記している。
調整点における調整目標は、色空間の座標値で表されてもよいし、色空間の現在の座標値からの差分で表されてもよい。
元プロファイルには、第一座標値と機器独立座標値との対応関係を表す入力プロファイル、及び、機器独立座標値と第二座標値との対応関係を表す出力プロファイルが含まれる。
元プロファイルの色変換テーブルには、機器従属色空間の座標値から機器独立座標値への変換に用いられる変換テーブル、及び、機器独立座標値から機器従属色空間の座標値への変換に用いられる変換テーブルが含まれる。
尚、上記態様1の付言は、以下の態様も同様である。
【0020】
[態様2]
図2,8,10に例示するように、前記元プロファイルは、前記第二座標値(例えばcmyk値)と前記機器独立座標値(例えばLab値)との対応関係を表す出力プロファイル620を含んでもよい。前記色変換テーブルは、前記第二座標値(cmyk値)から前記機器独立座標値(Lab値)への変換に用いられる第一変換テーブル(例えばA2Bテーブル622)を含んでもよい。本態様は、デバイスリンクプロファイルを調整する好適な技術を提供することができる。
【0021】
[態様3]
図2,8,10に例示するように、前記調整工程ST4は、前記調整点P0における前記第二座標値である調整対象カラー値(例えばcmyk
p)を前記第一変換テーブル(例えばA2Bテーブル622)に従って前記機器独立座標値である調整対象PCS値(例えばLab
S2)に変換する変換工程ST11を含んでもよい。ここで、前記プロファイル接続空間CS3の座標を基準とした前記調整目標T0の相対値(例えばΔLab
T-p)を前記調整対象PCS値(Lab
S2)に加えた値を目標PCS値(例えばLab
ST)とする。また、前記調整目標T0に合わせるために前記調整対象カラー値(cmyk
p)に加える値を調整カラー値(例えばΔcmyk)とする。前記調整工程ST4は、前記調整対象カラー値(cmyk
p)に前記調整カラー値(Δcmyk)を加えた暫定カラー値(例えばcmyk
pp)を前記第一変換テーブル(622)に従って変換して得られる暫定PCS値(例えばLab
S3)を前記目標PCS値(Lab
ST)に近付ける要素を含む最適化処理により前記調整カラー値(Δcmyk)の最適解(例えばΔcmyk
b)を得る最適化工程ST12を含んでもよい。さらに、前記調整工程ST4は、前記調整カラー値(Δcmyk)の最適解(Δcmyk
b)に基づいて前記デバイスリンクテーブル631を調整するテーブル調整工程ST13を含んでもよい。
【0022】
調整対象カラー値(cmyk
p)は、第二機器従属色空間CS2を有する第二機器(例えばプリンター200)の出力色を表現している。この調整対象カラー値(cmyk
p)から出力プロファイル620の第一変換テーブル(622)に従って得られる調整対象PCS値(Lab
S2)は、第二機器(200)の出力色を表現する機器独立座標値である。プロファイル接続空間CS3の座標を基準とした調整目標T0の相対値(ΔLab
T-p)を調整対象PCS値(Lab
S2)に加えた値が目標PCS値(Lab
ST)である。本態様では、暫定PCS値(Lab
S3)を目標PCS値(Lab
ST)に近付ける要素を含む最適化処理による調整カラー値(Δcmyk)の最適解(Δcmyk
b)に基づいてデバイスリンクプロファイル630が調整されるので、第二機器(200)の出力色の調整結果が意図された色に近付く。
従って、本態様は、デバイスリンクプロファイルの色再現精度を向上させる技術を提供することができる。
【0023】
ここで、最適化処理には、準ニュートン法(Quasi-Newton Method)による最適化処理、ニュートン法による最適化処理、共役勾配法(Conjugate Gradient Method)による最適化処理、等を用いることができる。
最適化処理により最適解を得ることには、複数の最適化処理を行って得られる複数の解の中から最適解を決定すること、及び、1回の最適化処理により最適解を得ることが含まれる。
尚、上記態様3の付言は、以下の態様も同様である。
【0024】
[態様4]
図19に例示するように、前記元プロファイルは、前記第一座標値(例えばCMYK値)と前記機器独立座標値(例えばLab値)との対応関係を表す入力プロファイル610、及び、前記機器独立座標値(Lab値)と前記第二座標値(例えばcmyk値)との対応関係を表す出力プロファイル620を含んでもよい。前記色変換テーブルは、前記入力プロファイル610において前記第一座標値(CMYK値)から前記機器独立座標値(Lab値)への変換に用いられる第二変換テーブル(例えばA2Bテーブル611)、及び、前記出力プロファイル620において前記機器独立座標値(Lab値)から前記第二座標値(cmyk値)への変換に用いられる第三変換テーブル(例えばB2Aテーブル621)を含んでもよい。本態様も、デバイスリンクプロファイルを調整する好適な技術を提供することができる。
【0025】
[態様5]
図6に例示するように、本デバイスリンクプロファイル調整方法は、前記色変換テーブルを前記デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に格納する格納工程ST1をさらに含んでもよい。
図8等に例示するように、前記調整工程ST4では、前記デバイスリンクプロファイル630の前記プライベートタグ523から前記色変換テーブルを読み出してもよい。また、
図10,12等に例示するように、前記調整工程ST4では、前記読み出した色変換テーブル、及び、前記調整目標T0に基づいて前記デバイスリンクテーブル631を調整してもよい。
【0026】
上記態様5では、デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に元プロファイルの色変換テーブルが格納されるため、デバイスリンクテーブル631と元プロファイルにおける色変換テーブルとの関係が保たれ、操作ミスによる調整作業のやり直しの抑制に繋がる。従って、本態様は、デバイスリンクプロファイルを調整する作業の利便性を向上させる技術を提供することができる。
【0027】
[態様6]
図16に例示するように、本デバイスリンクプロファイル調整方法は、前記元プロファイルが示された元プロファイル情報635を前記デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に格納する格納工程ST1をさらに含んでもよい。
図18に例示するように、前記調整工程ST4では、前記デバイスリンクプロファイル630の前記プライベートタグ523から前記元プロファイル情報635を読み出してもよい。また、前記調整工程ST4では、前記読み出した元プロファイル情報635で示される元プロファイルの色変換テーブル、及び、前記調整目標T0に基づいて前記デバイスリンクテーブル631を調整してもよい。
【0028】
上記態様6では、デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に元プロファイルが示された元プロファイル情報635が格納されるため、デバイスリンクテーブル631と元プロファイルとの関係が保たれ、操作ミスによる調整作業のやり直しの抑制に繋がる。従って、本態様は、デバイスリンクプロファイルを調整する作業の利便性を向上させる技術を提供することができる。
【0029】
[態様7]
ところで、本技術の別の態様に係るデバイスリンクプロファイル調整方法は、デバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631を調整する処理をコンピューター(例えばホスト装置100)により行うデバイスリンクプロファイル調整方法であって、色空間選択工程ST2、目標受付工程ST3、及び、調整工程ST4を含む。前記色空間選択工程ST2では、前記第一機器従属色空間CS1と前記第二機器従属色空間CS2の少なくとも一方、及び、前記プロファイル接続空間CS3の中からいずれか一つを調整対象色空間CS6として受け付ける。前記目標受付工程ST3では、前記調整対象色空間CS6の座標を基準として前記調整点P0における前記調整目標T0を受け付ける。前記調整工程ST4では、前記調整対象色空間CS6が前記第一機器従属色空間CS1と前記第二機器従属色空間CS2の一方である場合、前記デバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631を対象として、前記調整目標T0に基づいて前記デバイスリンクテーブル631を調整してもよい。また、前記調整工程ST4では、前記調整対象色空間CS6が前記プロファイル接続空間CS3である場合、前記調整目標T0、及び、前記デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイル(例えば出力プロファイル620)における前記プロファイル接続空間CS3の機器独立座標値(例えばLab値)を含む色変換テーブル(例えばA2Bテーブル622)に基づいて前記デバイスリンクテーブル631を調整してもよい。
【0030】
上記態様7では、デバイスリンクプロファイル630の座標値の調整対象を、第一機器従属色空間CS1と第二機器従属色空間CS2の少なくとも一方、及び、プロファイル接続空間CS3の中から選択することができる。従って、本態様は、デバイスリンクプロファイルを調整する作業の利便性を向上させることが可能な技術を提供することができる。
【0031】
[態様8]
ところで、本技術の一態様に係るデバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0は、目標受付工程ST3に対応する目標受付機能FU3、及び、調整工程ST4に対応する調整機能FU4をコンピューター(例えばホスト装置100)に実現させる。本態様は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にするデバイスリンクプロファイル調整プログラムを提供することができる。前記調整機能FU4は、変換工程ST11に対応する変換機能FU11、最適化工程ST12に対応する最適化機能FU12、及び、テーブル調整工程ST13に対応するテーブル調整機能FU13を含んでもよい。本デバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0は、格納工程ST1に対応する格納機能FU1、及び、色空間選択工程ST2に対応する色空間選択機能FU2をコンピューター(例えばホスト装置100)に実現させてもよい。
【0032】
[態様9]
また、本技術の一態様に係るデバイスリンクプロファイル調整装置(例えばホスト装置100)は、目標受付工程ST3に対応する目標受付部U3、及び、調整工程ST4に対応する調整部U4を含む。本態様は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にするデバイスリンクプロファイル調整装置(100)を提供することができる。前記調整部U4は、変換工程ST11に対応する変換部U11、最適化工程ST12に対応する最適化部U12、及び、テーブル調整工程ST13に対応するテーブル調整部U13を含んでもよい。本デバイスリンクプロファイル調整装置(100)は、格納工程ST1に対応する格納部U1、及び、色空間選択工程ST2に対応する色空間選択部U2を含んでもよい。
【0033】
[態様10]
さらに、本技術の一態様に係るデバイスリンクプロファイル調整システムSY1は、パッチを含むカラーチャートを印刷するための印刷装置(例えばプリンター200)、前記パッチを測色する測色装置120、及び、態様9の各部を含む。本態様は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にするデバイスリンクプロファイル調整システムを提供することができる。前記調整部U4は、変換部U11、最適化部U12、及び、テーブル調整部U13を含んでもよい。本デバイスリンクプロファイル調整システムSY1は、格納部U1、及び、色空間選択部U2を含んでもよい。
【0034】
[態様11]
さらに、
図3,6,7等に例示するように、本技術の一態様に係るデバイスリンクプロファイル作成方法は、第一機器従属色空間CS1(例えばCMYK色空間)の第一座標値(例えばCMYK値)と第二機器従属色空間CS2(例えばcmyk色空間)の第二座標値(例えばcmyk値)との対応関係を表すデバイスリンクテーブル631を含むデバイスリンクプロファイル630を作成する処理をコンピューター(例えばホスト装置100)により行うデバイスリンクプロファイル作成方法であって、生成工程ST5、及び、格納工程ST1を含む。前記生成工程ST5では、前記第一座標値(CMYK値)とプロファイル接続空間CS3(例えばLab色空間)の機器独立座標値(例えばLab値)との対応関係を表す入力プロファイル610における前記第一座標値(CMYK値)と、前記機器独立座標値(Lab値)と前記第二座標値(cmyk値)との対応関係を表す出力プロファイル620における前記第二座標値(cmyk値)と、を対応付けて前記デバイスリンクテーブル631を生成する。前記格納工程ST1では、前記入力プロファイル610と前記出力プロファイル620の少なくとも一方における色変換テーブル(例えばA2Bテーブル622)を前記デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に格納する。
【0035】
デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイル(入力プロファイル610と出力プロファイル620の少なくとも一方)の色変換テーブルにプロファイル接続空間CS3の機器独立座標値(Lab値)が含まれるので、プロファイル接続空間CS3の座標を基準としてデバイスリンクテーブル631を調整することができる。従って、本態様は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にするデバイスリンクプロファイル作成方法を提供することができる。
【0036】
[態様12]
また、本技術の一態様に係るデバイスリンクプロファイル作成プログラムは、生成工程ST5に対応する生成機能FU5、及び、格納工程ST1に対応する格納機能FU1をコンピューター(例えばホスト装置100)に実現させる。本態様は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にするデバイスリンクプロファイル作成プログラムを提供することができる。
【0037】
[態様13]
さらに、本技術の一態様に係るデバイスリンクプロファイル作成装置(例えばホスト装置100)は、生成工程ST5に対応する生成部U5、及び、格納工程ST1に対応する格納部U1を含む。本態様は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にするデバイスリンクプロファイル作成装置(100)を提供することができる。
【0038】
さらに、本技術は、デバイスリンクプロファイル調整装置の制御方法、デバイスリンクプロファイル調整装置を含む複合システム、該複合システムの制御方法、デバイスリンクプロファイル調整装置の制御プログラム、前記複合システムの制御プログラム、デバイスリンクプロファイル作成装置の制御方法、デバイスリンクプロファイル作成装置を含む複合システム、該複合システムの制御方法、デバイスリンクプロファイル作成装置の制御プログラム、前記複合システムの制御プログラム、デバイスリンクプロファイル調整プログラムやデバイスリンクプロファイル作成プログラムや前記制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。前述の装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0039】
(2)デバイスリンクプロファイル調整システムの構成の具体例:
図1は、デバイスリンクプロファイル作成装置及びデバイスリンクプロファイル調整装置を含むデバイスリンクプロファイル調整システムの構成例を模式的に示している。
図1に示すデバイスリンクプロファイル調整システムSY1は、ホスト装置100(デバイスリンクプロファイル作成装置及びデバイスリンクプロファイル調整装置の例)、表示装置130、測色装置120、及び、インクジェットプリンター200を含んでいる。ホスト装置100は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、記憶装置114、入力装置115、通信I/F(インターフェイス)118、測色装置用I/F 119、等が接続されて互いに情報を入出力可能とされている。尚、ROM112とRAM113と記憶装置114はメモリーであり、少なくともROM112とRAM113は半導体メモリーである。表示装置130には、液晶表示パネル等を用いることができる。
【0040】
記憶装置114は、図示しないOS(オペレーティングシステム)、デバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0、デバイスリンクプロファイル作成プログラム、等を記憶している。これらは、適宜、RAM113に読み出され、デバイスリンクプロファイル630の作成処理やデバイスリンクプロファイル630の調整処理に使用される。ここで、
図1に示すプロファイル500は、入力プロファイル610、出力プロファイル620、及び、デバイスリンクプロファイル630を総称している。RAM113と記憶装置114の少なくとも一方には、各種情報、例えば、入力プロファイル610、出力プロファイル620、デバイスリンクプロファイル630、図示しない調整履歴、等が格納される。記憶装置114には、フラッシュメモリー等の不揮発性半導体メモリー、ハードディスク等の磁気記憶装置、等を用いることができる。
【0041】
入力装置115には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示パネルの表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。通信I/F 118は、プリンター200の通信I/F 210に接続され、プリンター200に対して印刷データ等といった情報を入出力する。測色装置用I/F 119は、測色装置120に接続され、測色装置120から測色値を含む測色データを入手する。I/F 118,119,210の規格には、USB(Universal Serial Bus)、近距離無線通信規格、等を用いることができる。通信I/F 118,119,210の通信は、有線でもよいし、無線でもよく、LAN(Local Area Network)やインターネット等といったネットワーク通信でもよい。
測色装置120は、カラーチャートが形成される媒体の例である被印刷物(print substrate)に形成された各カラーパッチを測色して測色値を出力可能である。パッチは、色票とも呼ばれる。測色値は、例えば、CIE Lab色空間における明度L及び色度座標a,bを表す値とされる。ホスト装置100は、測色装置120から測色データを取得して各種処理を行う。
【0042】
図1に示すデバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0は、格納機能FU1、色空間選択機能FU2、目標受付機能FU3、変換機能FU11、最適化機能FU12、及び、調整機能FU4をホスト装置100に実現させる。デバイスリンクプロファイル作成プログラムは、格納機能FU1、及び、デバイスリンクプロファイル630の生成機能FU5をホスト装置100に実現させる。
ホスト装置100のCPU111は、記憶装置114に記憶されている情報を適宜、RAM113に読み出し、読み出したプログラムを実行することにより各種処理を行う。CPU111は、RAM113に読み出されたデバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0やデバイスリンクプロファイル作成プログラムを実行することにより、上述した機能FU1〜FU5に対応する処理を行う。デバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0は、コンピューターであるホスト装置100を、格納部U1、色空間選択部U2、目標受付部U3、変換部U11、最適化部U12、及び、調整部U4として機能させる。デバイスリンクプロファイル作成プログラムは、コンピューターであるホスト装置100を、格納部U1、及び、生成部U5として機能させる。また、デバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0を実行するホスト装置100は、格納工程ST1、色空間選択工程ST2、目標受付工程ST3、変換工程ST11、最適化工程ST12、及び、調整工程ST4を実施する。デバイスリンクプロファイル作成プログラムを実行するホスト装置100は、格納工程ST1、及び、生成工程ST5を実施する。上述した機能FU1〜FU4をコンピューターに実現させるデバイスリンクプロファイル調整プログラムPR0を記憶したコンピューター読み取り可能な媒体は、ホスト装置の内部の記憶装置に限定されず、ホスト装置の外部の記録媒体でもよい。むろん、上述した機能FU1,FU5をコンピューターに実現させるデバイスリンクプロファイル作成プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な媒体は、ホスト装置の内部の記憶装置に限定されず、ホスト装置の外部の記録媒体でもよい。
【0043】
尚、ホスト装置100には、パーソナルコンピューター(タブレット型端末を含む。)といったコンピューター等が含まれる。例えば、デスクトップ型パーソナルコンピューターの本体をホスト装置100に適用する場合、通常、この本体に表示装置130、測色装置120、及び、プリンター200が接続される。ノート型パーソナルコンピューターのように表示装置一体型のコンピューターをホスト装置100に適用する場合、通常、このコンピューターに測色装置120、及び、プリンター200が接続される。表示装置一体型のホスト装置でも、内部の表示装置に表示データを出力していることに変わりない。また、ホスト装置100は、一つの筐体内に全構成要素111〜119を有してもよいが、互いに通信可能に分割された複数の装置で構成されてもよい。さらに、表示装置130と測色装置120とプリンター200の少なくとも一部がホスト装置100にあっても、本技術を実施可能である。
【0044】
図1に示すプリンター200(出力デバイスの例)は、色材としてC(シアン)インク、M(マゼンタ)インク、Y(イエロー)インク、及び、K(ブラック)インクを記録ヘッド220から吐出(噴射)して印刷データに対応する出力画像IM0を形成するインクジェットプリンターであるものとする。記録ヘッド220は、インクカートリッジCc,Cm,Cy,CkからそれぞれCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラック)のインクが供給され、ノズルNc,Nm,Ny,NkからそれぞれCMYKのインク滴280を吐出する。インク滴280が被印刷物ME1に着弾すると、インクドットが被印刷物ME1に形成される。その結果、被印刷物ME1上に出力画像IM0を有する印刷物が得られる。
【0045】
(3)カラーマネジメントシステムの具体例:
次に、
図2を参照して、本技術を適用可能なカラーマネジメントシステムの例を説明する。
図2に示すカラーマネジメントシステムは、例えば上記ホスト装置100に実現されるRIP(Raster Image Processor)400で印刷原稿データD0から印刷色cmyk
p(シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラック)を表す出力データに変換してインクジェットプリンター200に印刷物を形成させる。印刷原稿データD0は、色合わせのターゲット装置の例であるターゲット印刷機300のCMYKのインク(色材)で目標とする色(目標色C
T)を再現するためのプロセスカラーCMYK
inを表す。
【0046】
ターゲット印刷機300は、オフセット印刷機であるものとするが、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、等でもよい。目標色C
Tは、例えば、CIE Lab色空間の座標値(Lab値)で表される。
図2には、ターゲット印刷機300が被印刷物に目標色C
Tを表すカラーチャートCH0を印刷し、測色装置がカラーチャートCH0の各パッチを測色して測色値Lab
Tを取得する様子が示されている。プロセスカラーCMYK
inは、ターゲット印刷機300で使用されるCMYKのインクの使用量に対応し、ターゲット印刷機300に依存するCMYK色空間の座標を表す。
【0047】
図2に示すRIP400は、入力プロファイル610、出力プロファイル620、及び、デバイスリンクプロファイル630を有している。入力プロファイル610は、ターゲット印刷機300で使用されるインクの色特性を記述したファイルである。出力プロファイル620は、インクジェットプリンター200で使用されるインクの色特性を記述したファイルである。デバイスリンクプロファイル630は、ターゲット印刷機300で使用されるインクの色特性とプリンター200で使用されるインクの色特性とをリンクさせて記述したファイルである。プロファイル610,620,630には、例えば、ICCプロファイルのデータフォーマットを用いることができる。印刷原稿データD0のプロセスカラーCMYK
inは、デバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631に従って印刷色cmyk
pに変換される。これは、プロセスカラーCMYK
inが入力プロファイル610のA2Bテーブル611(第二変換テーブルの例)に従ってLab色空間の色Lab
S1に変換され、出力プロファイル620のB2Aテーブル621(第三変換テーブルの例)に従って印刷色cmyk
pに変換されることに対応している。
【0048】
プリンター200がCMYKの計4色のインクを使用する場合、印刷色cmyk
pは、プリンター200に出力され、印刷物に再現される。
図2には、プリンター200が被印刷物に印刷色cmyk
pを表すカラーチャートCH1を印刷し、測色装置120がカラーチャートCH1の各パッチを測色して測色値Lab
pを取得する様子が示されている。プリンター200がLc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)、Dy(ダークイエロー)、Lk(ライトブラック)、等のインクも使用する場合、RIP400又はプリンター200が印刷色cmyk
pを濃色と淡色に分版すると、プリンター200が印刷色cmyk
pを印刷物に再現することができる。むろん、印刷色自体も、CMYKの計4色に限定されない。
尚、RIP400は、プロセスカラーCMYK
in以外にも、減法混色となる三原色CMYのみの色材の使用量を表すプロセスカラー(CMY
inとする。)、加法混色となる三原色R(赤)、G(緑)、及び、B(青)の強度を表すプロセスカラー(RGB
inとする。)、等とLab色空間の座標値とを変換するための入力プロファイルに由来するデバイスリンクプロファイルも有している。従って、RIP400は、プロセスカラーCMY
inやプロセスカラーRGB
in等も印刷色cmyk
pに変換可能である。
【0049】
以上により、インクジェットプリンター200でターゲット印刷機300の色に近い色を再現することができる。しかし、実際には、プロファイルの誤差、色測定誤差、プリンターの変動、等により、期待する色が再現できない場合がある。このような場合、デバイスリンクプロファイル630を修正することにより対象の色の変換精度を上げることが考えられる。出力プロファイル620を修正するのであれば、PCS(プロファイル接続空間)でのLab
S1値を目標値とし、プリンター200で印刷した色を測色した結果(Lab
p)を現在値として、両者の色差を計算し、この色差を少なくするように出力プロファイル620を修正することが考えられる。また、入力プロファイル610を修正するのであれば、カラーチャートのデータを入力プロファイル610と出力プロファイル620とで変換してカラーチャートを印刷し、各パッチの測色結果(Lab
p)と目標色彩値(Lab
T)との色差を計算し、この色差を少なくするように入力プロファイル610を修正することが考えられる。
【0050】
ただ、既に作成されたデバイスリンクプロファイル630には、入力側のCMYK値と出力側のcmyk値があるものの、PCS値が無い。このため、スポットカラー調整を行う場合、PCSの座標を基準とした調整目標をデバイスリンクプロファイル630に直接フィードバックさせることができない。
【0051】
本具体例では、デバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイル(入力プロファイル610と出力プロファイル620の少なくとも一方)の色変換テーブル(A2BテーブルとB2Aテーブルの少なくとも一方)をデバイスリンクプロファイル630に紐付けている。元プロファイルの色変換テーブルをデバイスリンクテーブル631の調整に用いることにより、デバイスリンクテーブル631を容易に調整することができる。
【0052】
(4)プロファイルの具体例:
図3は、プロファイル610,620,630の関係を模式的に例示している。
図3に示すように、入力プロファイル610は、ターゲット印刷機300の使用インクに合わせたCMYK色空間(第一機器従属色空間CS1の例)のCMYK値(C
i,M
i,Y
i,K
i)と、Lab色空間(PCS(プロファイル接続空間)CS3の例)のLab値(L
i,a
i,b
i)と、の対応関係を規定したデータである。この場合のA2Bテーブル611の格子点GD1は、通常、CMYK色空間にC軸方向、M軸方向、Y軸方向、及び、K軸方向へ略等間隔となるように並べられる。尚、ここでの変数iは、CMYK色空間(CS1)に設定された格子点GD1を識別する変数である。CMYK値は、第一座標値の例である。Lab値は、機器独立座標値の例である。入力プロファイル610において、CMYK色空間(CS1)は入力色空間CS4の例であり、Lab色空間(CS3)は出力色空間CS5の例である。
尚、第一機器従属色空間を第一の色空間とも記載する。
【0053】
出力プロファイル620は、Lab色空間(CS3)のLab値(L
j,a
j,b
j)と、インクジェットプリンター200の使用インクに合わせたcmyk色空間(第二機器従属色空間CS2の例)のcmyk値(c
j,m
j,y
j,k
j)と、の対応関係を規定したデータである。この場合のB2Aテーブル621の格子点GD2は、通常、Lab色空間にL軸方向、a軸方向、及び、b軸方向へ略等間隔となるように並べられる。尚、ここでの変数jは、Lab色空間(CS3)に設定された格子点GD2を識別する変数である。「cmyk色空間」と表現しているのは、プリンター200の使用インクに合わせた色空間をターゲット印刷機300に合わせた色空間と区別するためである。cmyk値は、第二座標値の例である。出力プロファイル620において、Lab色空間(CS3)は入力色空間CS4の例であり、cmyk色空間(CS2)は出力色空間CS5の例である。cmyk値で表される出力色(cmyk
p)の色再現域は、プリンター200に依存する。従って、B2Aテーブル621のLab値(L
j,a
j,b
j)がプリンター200の色再現域外を表す値であっても、プリンター200の色再現域にマッピングすることにより得られたcmyk値(c
j,m
j,y
j,k
j)がLab値(L
j,a
j,b
j)に対応付けられている。
尚、第二機器従属色空間を第二の色空間とも記載する。
【0054】
デバイスリンクプロファイル630は、CMYK色空間(CS1)のCMYK値(C
i,M
i,Y
i,K
i)と、cmyk色空間(CS2)のcmyk値(c
i,m
i,y
i,k
i)と、の対応関係を規定したデータである。この場合のデバイスリンクテーブル631の格子点GD1は、入力プロファイル610のA2Bテーブル611の格子点である。尚、ここでの変数iは、CMYK色空間(CS1)に設定された格子点GD1を識別する変数である。デバイスリンクプロファイル630は、入力プロファイル610と出力プロファイル620とを結合することにより得られる。デバイスリンクプロファイル630において、CMYK色空間(CS1)は入力色空間CS4の例であり、cmyk色空間(CS2)は出力色空間CS5の例である。
尚、プロファイル610,620,630に含まれる変換テーブルは、単一の変換テーブルに限定されず、1次元の変換テーブルと3又は4次元の変換テーブルと1次元の変換テーブルとの組合せ等、複数の変換テーブルの組合せでもよい。従って、
図3に示す変換テーブルは、プロファイル610,620,630に含まれる3又は4次元の変換テーブルを直接示す場合もあれば、プロファイル610,620,630に含まれる複数の変換テーブルを組み合わせた状態を示す場合もある。
また、格子点(grid point)は入力色空間に配置された仮想の点を意味し、入力色空間における格子点の位置に対応する出力座標値が該格子点に格納されていると想定することにしている。複数の格子点が入力色空間内で均等に配置されるのみならず、複数の格子点が入力色空間内で不均等に配置されることも、本技術に含まれる。
【0055】
図4は、プロファイル500の構造を模式的に例示している。
図4に示すプロファイル500は、ICCプロファイルであり、プロファイルヘッダー510とタグテーブル520を含む。プロファイル500には、PCSと機器従属色空間との間でカラー情報を変換するために必要な情報であるタグ(tag)521が含まれている。タグ521には、プロファイル500をカスタマイズするためのプライベートタグ523が含まれてもよい。
【0056】
デバイス(300,200)用のA2Bxタグ(
図4に示すxは0、1、又は、2)は、エレメントデータ530として、機器従属色空間(CMYK色空間、cmyk色空間)からLab色空間に変換するための色変換テーブルを含んでいる。デバイス(300,200)用のB2Axタグは、エレメントデータ530として、Lab色空間から機器従属色空間(CMYK色空間、cmyk色空間)に変換するための色変換テーブルを含んでいる。
【0057】
図4に示すA2B0タグ、及び、B2A0タグは、知覚的(Perceptual)な色変換を行うための情報である。知覚的な色変換は、階調再現を重視しているので、主に、色域の広い写真画像の変換に用いられる。
図4に示すA2B1タグ、及び、B2A1タグは、相対的で測色的(Media-Relative Colorimetric)な色変換、又は、絶対的で測色的(Absolute Colorimetric)な色変換を行うための情報である。測色的な色変換は、測色値に忠実であるので、主に、正確な色の一致が求められるデジタルプルーフの色校正出力用の変換に用いられる。
図4に示すA2B2タグ、及び、B2A2タグは、彩度重視(Saturation)の色変換を行うための情報である。彩度重視の色変換は、色味の正確さよりも色の鮮やかさ重視しているので、主に、ビジネスグラッフィクスでのグラフ表示等の変換に用いられる。
【0058】
図5は、出力プロファイル620におけるA2Bテーブル622(第一変換テーブルの例)の構造を模式的に例示している。
図5の下部には、cmyk色空間(CS2)における格子点GD3の位置を模式的に例示している。ここで、cmyk色空間は4次元の色空間であるため、
図5ではc軸とm軸とy軸とで形成される3次元の仮想空間を示している。A2Bテーブル622の格子点GD3は、通常、cmyk色空間にc軸方向、m軸方向、y軸方向、及び、k軸方向へ略等間隔となるように並べられる。尚、ここでの変数iは、cmyk色空間(CS2)に設定された格子点GD3を識別する変数である。
図5の下部において、c軸方向における格子点GD3の間隔をGcと示し、m軸方向における格子点GD3の間隔をGmと示し、y軸方向における格子点GD3の間隔をGyと示している。A2Bテーブル622のLab値(L
i,a
i,b
i)は、プリンター200の色再現域において出力色(cmyk値c
i,m
i,y
i,k
i)を表現する座標値である。むろん、
図5に示す変換テーブルは、出力プロファイル620に含まれる4次元の変換テーブルを直接示す場合もあれば、出力プロファイル620に含まれる複数の変換テーブルを組み合わせた状態を示す場合もある。
図3,5に示すように、出力プロファイル620は、Lab値からcmyk値への色変換に用いられるB2Aテーブル621、及び、cmyk値からLab値への色変換に用いられるA2Bテーブル622を有している。B2Aテーブル621はガマットマッピングが行われた3次元の色変換テーブルであり、A2Bテーブル622は出力可能な色を表すcmyk値がPCS値に対応付けられた4次元の色変換テーブルである。従って、PCS値Lab
S1をB2Aテーブル621によりcmyk値cmyk
pに変換し該cmyk値cmyk
pをA2Bテーブル622によりPCS値Lab
S2に変換したとき、このPCS値Lab
S2が元のPCS値Lab
S1にならないことがある。
【0059】
まず、
図6,7等を参照して、デバイスリンクプロファイルの作成方法の例を説明する。この方法で作成されたデバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631が調整対象となる。
図6は、
図1に示すホスト装置100で行われるデバイスリンクプロファイル作成処理を例示している。
図7は、
図6に示すデバイスリンクプロファイル作成処理により作成されるデバイスリンクプロファイル630の構造を模式的に例示している。尚、ホスト装置100は、マルチタスクにより複数の処理を並列して実行している。ここで、
図6のステップS802〜S812は、生成工程ST5、生成機能FU5、及び、生成部U5に対応している。
図6のステップS814〜S816は、格納工程ST1、格納機能FU1、及び、格納部U1に対応している。以下、「ステップ」の記載を省略する。
【0060】
図6に示すデバイスリンクプロファイル作成処理が開始されると、ホスト装置100は、デバイスリンクプロファイル630の作成に使用する入力プロファイル610の指定を受け付ける(S802)。S802の処理は、例えば、記憶装置114に記憶されている入力プロファイル610の一覧を表示装置130に表示させ、前記一覧から一つの入力プロファイルの指定を入力装置115により受け付ける処理とすることができる。
また、ホスト装置100は、デバイスリンクプロファイル630の作成に使用する出力プロファイル620の指定を受け付ける(S804)。S804の処理は、例えば、記憶装置114に記憶されている出力プロファイル620の一覧を表示装置130に表示させ、前記一覧から一つの出力プロファイルの指定を入力装置115により受け付ける処理とすることができる。
【0061】
続くS806において、ホスト装置100は、入力プロファイル610からA2Bテーブル611をRAM113に読み出す。
図3で示したように、入力プロファイル610のA2Bテーブル611は、CMYK色空間(CS1)に配置された各格子点GD1についてCMYK値C
i,M
i,Y
i,K
iとPCS値L
i,a
i,b
iとの対応関係を表すデータである。
また、S808において、ホスト装置100は、出力プロファイル620からB2Aテーブル621をRAM113に読み出す。
図3で示したように、出力プロファイル620のB2Aテーブル621は、PCS CS3としてのLab色空間に配置された各格子点GD2についてPCS値L
j,a
j,b
jとcmyk値c
j,m
j,y
j,k
jとの対応関係を表すデータである。
【0062】
続くS810において、ホスト装置100は、入力プロファイル610のA2Bテーブル611における各格子点GD1の出力値であるPCS値L
i,a
i,b
iを出力プロファイル620のB2Aテーブル621に従って変換する。B2Aテーブル621の入力値にPCS値L
i,a
i,b
iがあれば、対応する出力値であるcmyk値c
j,m
j,y
j,k
jをデバイスリンクテーブル631の出力値に決定すればよい。B2Aテーブル621の入力値にPCS値L
i,a
i,b
iが無ければ、B2Aテーブル621の全格子点GD2のうち入力値の近隣となる複数の格子点のcmyk値を用いた補間演算を行ってデバイスリンクテーブル631の出力値(c
j,m
j,y
j,k
j)を決定すればよい。
【0063】
ホスト装置100は、各格子点GD1について、CMYK値C
i,M
i,Y
i,K
iとcmyk値c
j,m
j,y
j,k
jとを対応付けることによりデバイスリンクテーブル631を生成し、デバイスリンクプロファイル630に格納する(S812)。得られるデバイスリンクテーブル631は、
図3に示すように、CMYK色空間(CS1)に配置された各格子点GD1についてCMYK値C
i,M
i,Y
i,K
iとcmyk値c
j,m
j,y
j,k
jとの対応関係を表すデータである。
【0064】
S802〜S812の処理により得られるデバイスリンクプロファイルは、プリンター200での印刷に使用可能である。本具体例では、
図7に示すようにデバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に出力プロファイル620のA2Bテーブル622を格納することにより、デバイスリンクプロファイル630の調整を容易にしている。
【0065】
まず、S814において、ホスト装置100は、出力プロファイル620からA2Bテーブル622をRAM113に読み出す。続いて、ホスト装置100は、A2Bテーブル622をデバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に格納し(S816)、デバイスリンクプロファイル作成処理を終了させる。
【0066】
図7に示すデバイスリンクプロファイル630は、ICCプロファイルであり、プロファイルヘッダー510とタグテーブル520を含む。タグ521には、プロファイル500をカスタマイズするためのプライベートタグ523a,523b,523c,…が含まれてもよい。デバイスリンクプロファイル630は、エレメントデータ530として、デバイスリンクテーブル631、及び、出力プロファイル620のA2Bテーブル622を含んでいる。
図7に示すデバイスリンクテーブル631は、デバイスリンクプロファイル630においてA2B0タグに対応する箇所に格納されている。むろん、デバイスリンクプロファイル630に格納されるデバイスリンクテーブル631は、知覚的(Perceptual)な色変換を行うためのデバイスリンクテーブル631a、相対的測色的(Relative Colorimetric)な色変換を行うための色変換テーブル、彩度重視(Saturation)の色変換を行うための色変換テーブル、等のいずれでもよい。デバイスリンクテーブル631がどのレンダリングインテントで作成されたものかの情報は、プロファイルヘッダー510に格納される。また、
図7には、プライベートタグ523aに出力プロファイル620のA2Bテーブル622が格納されていることが示されている。
【0067】
(5)デバイスリンクプロファイル調整システムで行われる処理の具体例:
図8は、
図1に示すホスト装置100で行われる目標設定処理を例示している。この目標設定処理の後、
図10に例示する最適化処理が行われる。
図9は、
図8のステップS102で表示されるUI(ユーザーインターフェイス)画面800の例を示している。ここで、
図8のステップS112は、色空間選択工程ST2、色空間選択機能FU2、及び、色空間選択部U2に対応している。
図8のステップS113は、目標受付工程ST3、目標受付機能FU3、及び、目標受付部U3に対応している。
図8のステップS122〜S126は、調整工程ST4に含まれる変換工程ST11、調整機能FU4に含まれる変換機能FU11、及び、調整部U4に含まれる変換部U11に対応している。
【0068】
図8に示す目標設定処理が開始されると、ホスト装置100は、
図9に示すUI画面800を表示装置130に表示する(S102)。UI画面800は、デバイスリンクプロファイル選択欄813、調整対象色空間選択欄830、目標受付領域840、「画像から指定」ボタン841、追加ボタン842、削除ボタン843、調整データ選択欄845、チャート印刷ボタン846、測色ボタン847、調整範囲指定欄850、インテント指定欄860、調整実施ボタン870、履歴ロードボタン881、及び、履歴セーブボタン882を有している。
【0069】
ホスト装置100は、上述した欄、及び、ボタンへの操作を入力装置115により受け付け(S110)、調整実施ボタン870への操作を受け付けると処理をS120に進める。S110の処理は、以下の処理S111〜S115を含んでいる。
(S111)調整対象のデバイスリンクプロファイル630の指定を受け付ける処理。
(S112)CMYK色空間(CS1)とcmyk色空間(CS2)の少なくとも一方、及び、PCS CS3の中からいずれか一つを調整対象色空間CS6として受け付ける処理。
(S113)調整対象色空間CS6の座標を基準として調整点P0における調整目標T0の入力を受け付ける処理。
(S114)CMYK色空間(CS1)においてデバイスリンクプロファイル630のうち目標T0に基づいて調整する調整範囲A0(
図13参照)の指定を受け付ける処理。
【0070】
まず、
図9を参照して、S111の処理を説明する。
ホスト装置100は、入力装置115によるデバイスリンクプロファイル選択欄813への操作を受け付けると、記憶装置114に記憶されているデバイスリンクプロファイル630の一覧を表示装置130に表示させることが可能である。ホスト装置100は、表示されたデバイスリンクプロファイル630の一覧から一つのデバイスリンクプロファイルを調整対象として入力装置115により受け付ける。
【0071】
次に、
図9を参照して、S112の処理を説明する。
図9に示す調整対象色空間選択欄830の複数の選択項目には、「入力データ」と「出力データ」と「PCS値」が含まれる。「入力データ」は、CMYK色空間(CS1)を調整対象色空間CS6として選択する項目である。「出力データ」は、cmyk色空間(CS2)を調整対象色空間CS6として選択する項目である。「PCS値」は、Lab色空間(CS3)を調整対象色空間CS6として選択する項目である。ホスト装置100は、入力装置115により「入力データ」と「出力データ」と「PCS値」の中からいずれか一つを調整対象色空間CS6として受け付ける。
【0072】
尚、調整対象色空間選択欄830に「入力データ」と「出力データ」の一方が無くてもよい。「入力データ」が無い場合、ホスト装置100は、cmyk色空間(CS2)又はPCS CS3を調整対象色空間CS6として受け付けることになる。「出力データ」が無い場合、ホスト装置100は、CMYK色空間(CS1)又はPCS CS3を調整対象色空間CS6として受け付けることになる。
【0073】
さらに、
図9,11を参照して、S113の処理を説明する。
ホスト装置100は、上述した調整対象色空間選択欄830における選択に応じて目標受付領域840の入力項目を変える処理を行っている。また、ホスト装置100は、調整データ選択欄845への選択に応じて目標受付領域840の入力項目を変える処理を行っている。調整データ選択欄845においては、「絶対値」と「相対値」のいずれか一方を選択可能である。「絶対値」は、調整目標T0を色空間の座標値として受け付ける選択肢である。「相対値」は、調整目標T0を色空間の現在の座標値からの差分として受け付ける選択肢である。
【0074】
まず、調整データ選択欄845において「PCS値」の指定が受け付けられた場合、すなわち、調整対象色空間CS6がPCS CS3である場合を説明する。この場合、S113の処理は、PCS CS3の座標を基準として調整点P0における調整目標T0を受け付ける目標受付工程ST3、目標受付機能FU3、及び、目標受付部U3に対応する。
ホスト装置100は、調整データ選択欄845において「相対値」を受け付けると、
図9に示すように、PCS CS3の現在の座標値からの相対値ΔLab
T-pとしての調整目標T0の座標値(ΔL,Δa,Δb)の入力欄を目標受付領域840に表示させる。また、ホスト装置100は、調整データ選択欄845において「絶対値」を受け付けると、PCS CS3の現在の座標値(C_L,C_a,C_bとする。)の表示欄とともに調整目標T0の座標値(T_L,T_a,T_bとする。)の入力欄を目標受付領域840に表示させる。
【0075】
調整データ選択欄845において「入力データ」の指定が受け付けられた場合、すなわち、調整対象色空間CS6がCMYK色空間(CS1)である場合、以下の処理が行われる。
ホスト装置100は、調整データ選択欄845において「相対値」を受け付けると、CMYK色空間(CS1)の現在の座標値からの相対値(ΔCMYK
T-pとする。)としての調整目標T0の座標値(ΔC,ΔM,ΔY,ΔKとする。)の入力欄を目標受付領域840に表示させる。また、ホスト装置100は、調整データ選択欄845において「絶対値」を受け付けると、CMYK色空間(CS1)の現在の座標値(C_C,C_M,C_Y,C_Kとする。)の表示欄とともに調整目標T0の座標値(T_C,T_M,T_Y,T_Kとする。)の入力欄を目標受付領域840に表示させる。
【0076】
調整データ選択欄845において「出力データ」の指定が受け付けられた場合、すなわち、調整対象色空間CS6がcmyk色空間(CS2)である場合、以下の処理が行われる。
ホスト装置100は、調整データ選択欄845において「相対値」を受け付けると、cmyk色空間(CS2)の現在の座標値からの相対値(Δcmyk
T-pとする。)としての調整目標T0の座標値(Δc,Δm,Δy,Δkとする。)の入力欄を目標受付領域840に表示させる。また、ホスト装置100は、調整データ選択欄845において「絶対値」を受け付けると、cmyk色空間(CS2)の現在の座標値(C_c,C_m,C_y,C_kとする。)の表示欄とともに調整目標T0の座標値(T_c,T_m,T_y,T_kとする。)の入力欄を目標受付領域840に表示させる。
【0077】
図13に示すように、調整目標T0を設定するための調整点P0は、CMYK色空間(CS1)に設定される。ここで、CMYK色空間は4次元の色空間であるため、
図13ではC軸とM軸とY軸とで形成される3次元の仮想空間を示している。例えば、ホスト装置100は、
図9に示すUI画面800の「画像から指定」ボタン841の操作を受け付けると、CMYK色空間(CS1)を模式的に表す画面を表示装置130に表示し、入力装置115による操作に応じたCMYK値を取得して目標受付領域840の情報を更新する。新たな調整点P0が指定されると、ホスト装置100は、対応するID(識別情報)を付与し、取得したCMYK値、及び、該CMYK値から求められるLab値等をIDに対応させて目標受付領域840に表示する。追加ボタン842が操作されると、ホスト装置100は、IDを追加し、目標受付領域840に追加したIDに対応する入力欄を増やす。削除ボタン843が操作されると、ホスト装置100は、削除するIDの指定を受け付け、指定されたIDに対応する入力欄を削除する。
【0078】
また、ホスト装置100は、チャート印刷ボタン846の操作を受け付けると、各調整点P0の色を表すカラーパッチを有するカラーチャートCH1の印刷データを生成してプリンター200に送信する。この印刷データを受信したプリンター200は、各調整点P0の色を表すカラーパッチを有するカラーチャートCH1を被印刷物ME1に印刷する。
【0079】
さらに、ホスト装置100は、測色ボタン847の操作を受け付けると、カラーチャートCH1の各パッチの測色を測色装置120に指示する。この指示を受信した測色装置120は、カラーチャートCH1の各パッチを測色し、各パッチの測色値Lab
pをホスト装置100に送信する。測色値Lab
pを受信したホスト装置100は、測色値Lab
pを表示装置130に表示してもよいし、プリンター200に印刷させてもよい。ユーザーは、出力された測色値Lab
pを見て目標受付領域840に調整目標T0を入力することができる。また、ホスト装置100は、各パッチの測色値Lab
pを目標T0の入力欄に自動的に入力してもよい。調整目標T0が相対値(ΔL,Δa,Δb)である場合、ホスト装置100は、現在の測色値Lab
pに対する目標の測色値Lab
Tの各成分L,a,bの差分を計算して目標T0の入力欄に自動的に入力してもよい。
【0080】
さらに、ホスト装置100は、履歴ロードボタン881の操作を受け付けると、記憶装置114に記憶されている調整履歴を読み出して目標受付領域840に追加する。履歴セーブボタン882の操作が受け付けられると、ホスト装置100は、目標受付領域840の情報を調整履歴として記憶装置114に記憶する。
【0081】
さらに、
図9,13を参照して、S114の処理を説明する。
ホスト装置100は、調整範囲指定欄850に調整点P0を基点とした半径(Radius)の入力を受け付ける。この半径は、例えば、第一の色空間CS1におけるユークリッド距離の相対値0〜100%で表現される。これにより、第一の色空間CS1においてデバイスリンクプロファイル630のうち調整範囲A0が指定される。尚、本願において、「Min〜Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
図13には、半径(Radius)が指定された場合の調整範囲A0の例が模式的に示されている。
図13に示すように、調整範囲A0は各調整点P0に設定される。ホスト装置100は、目標受付領域840において、各調整点P0の調整範囲A0の入力を受け付けることが可能である。
【0082】
ホスト装置100は、
図9に示す調整実施ボタン870の操作を受け付けると、調整対象色空間CS6がPCS CS3であるか否かに応じて処理を分岐させる(S120)。調整対象色空間CS6がPCS CS3である場合、ホスト装置100は、S122以降の処理を行う。調整対象色空間CS6がCMYK色空間(CS1)又はcmyk色空間(CS2)である場合、ホスト装置100は、S122以降の処理及び
図10に示す最適化処理を行わずに、
図12に示すプロファイル調整処理を行う。
【0083】
S122〜S126において、ホスト装置100は、調整点P0の色をプリンター200により出力する際の出力色に対応する色彩値である調整対象PCS値Lab
S2を算出する。
図2には、調整点P0のCMYK値CMYK
inから調整対象PCS値Lab
S2を計算する過程が示されている。
【0084】
まず、ホスト装置100は、S122において、デバイスリンクプロファイル630(
図7参照)からデバイスリンクテーブル631を読み出し、さらに、デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523から出力プロファイル620のA2Bテーブル622を読み出す。A2Bテーブル622はデバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイルの色変換テーブルであるので、デバイスリンクテーブル631と元プロファイルにおけるA2Bテーブル622との関係が保たれている。
【0085】
次に、ホスト装置100は、調整点P0におけるCMYK値CMYK
inをデバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631に従って調整対象カラー値cmyk
pに変換する(S124)。調整対象カラー値cmyk
pは、プリンター200による調整点P0の調整前の出力色を表す。
【0086】
ここで、プロファイル(例えばICCプロファイル)に従った変換をf
icc(第1引き数,第2引き数,第3引き数)で表すことにする。第1引き数は、使用するプロファイルを表す。第1引き数において、DLProfileがデバイスリンクプロファイルを表し、OrOutputProfileがデバイスリンクプロファイルを作成するために用いられた出力プロファイルを表すことにする。第2引き数は、第1引き数で表されるプロファイルにおいて使用する色変換テーブルを表す。第2引き数において、A2Bがデバイスカラーからデバイス非依存カラーへの変換を表し、B2Aがデバイス非依存カラーからデバイスカラーへの変換を表し、A2B0がデバイスリンクテーブルによる変換を表すことにする。第3引き数は、調整点P0の入力値(CMYK、RGB、Lab、等)を表す。
【0087】
CMYK値CMYK
inから調整対象カラー値cmyk
pへの変換は、以下の式により表される。
cmyk
p=f
icc(DLProfile,A2B0,CMYK
in)
【0088】
次のS126において、ホスト装置100は、上記調整対象カラー値cmyk
pを出力プロファイル620のA2Bテーブル622に従って調整対象PCS値Lab
S2に変換する。
Lab
S2=f
icc(OrOutputProfile,A2B,cmyk
p)
=f
icc(OrOutputProfile,A2B,f
icc(DLProfile,A2B0,CMYK
in))
上記調整対象PCS値Lab
S2は、プリンター200の出力色を表現する機器独立座標値である。
【0089】
S126の処理後、ホスト装置100は、
図10に示す最適化処理を行う。この最適化処理は、調整工程ST4に含まれる最適化工程ST12、調整機能FU4に含まれる最適化機能FU12、及び、調整部U4に含まれる最適化部U12に対応している。本具体例では、S210の解探索処理に準ニュートン法におけるBFGS法(Broyden-Fletcher-Goldfarb-Shanno method)を用いている。むろん、BFGS法以外の準ニュートン法、例えば、DFP法等をS210の解探索処理に用いることも可能である。また、準ニュートン法以外にも、ニュートン法、共役勾配法、等をS210の解探索処理に用いることが可能である。
図10に示す最適化処理が開始されると、ホスト装置100は、PCS CS3の座標を基準とした調整目標T0の相対値ΔLab
T-pを調整対象PCS値Lab
S2に加えて目標PCS値Lab
STを算出する(S202)。
Lab
ST=Lab
S2+ΔLab
T-p
【0090】
次のS204において、ホスト装置100は、調整目標T0に合わせるために調整対象カラー値cmyk
pに加える調整カラー値Δcmykの初期値Δcmyk
iを設定する。
図11に例示するように初期値Δcmyk
iは複数用意されており、これらの初期値Δcmyk
iの中から一つずつ設定される。ここでの変数iは、前記初期値を識別する変数である。S210の最適化処理に使用されるA2Bテーブル622は、3次元の出力(Lab値)に対する4次元の入力(cmyk値)が複数存在し得る。このため、4次元の調整カラー値Δcmykを変数とする目的関数y=f(Δcmyk)の極値(極小値又は極大値)が多数存在し得る。そこで、互いに異なる複数の初期値Δcmyk
iからS210の解探索処理を行い、得られる最適解候補Δcmyk
pbに基づいて最適解Δcmyk
bを得ることにしている。
【0091】
図11は、調整カラー値Δcmykの初期値Δcmyk
iを変える例を模式的に示している。ここで、cmyk色空間は4次元の色空間であるため、
図11ではc軸とm軸とy軸とで形成される3次元の仮想空間を示している。
図11中、ハッチングを付した丸印は調整対象カラー値cmyk
pの位置を示している。ここで、初期値Δcmyk
iの各成分を(Δci,Δmi,Δyi,Δki)で表すことにする。初期値Δcmyk
iの一つは、(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(0,0,0,0)である。これをΔcmyk
i=0と表すことにする。本具体例では、Δcmyk
i=0を中心として、c値を間隔値Scずつ(Sc>0)、m値を間隔値Smずつ(Sm>0)、及び、y値を間隔値Syずつ(Sy>0)ずらした3×3×3=27個の初期値Δcmyk
iを用意している。最適化処理を高速化させるため、kの初期値Δkは0に固定している。従って、初期値Δcmyk
iは、以下の通りとなる。
(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(+Sc,+Sm,+Sy, 0)
(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(+Sc,+Sm, 0, 0)
(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(+Sc,+Sm,−Sy, 0)
(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(+Sc, 0,+Sy, 0)
(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(+Sc, 0, 0, 0)
・・・
(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=( 0, 0, 0, 0)
・・・
(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(−Sc,−Sm,−Sy, 0)
むろん、kの初期値Δkも間隔値Skずつ(Sk>0)ずらすことが可能である。また、初期値の数は、8個、81個、等、27個に限定されない。
【0092】
尚、cmyk色空間(CS2)において第二座標値であるc値、m値、y値、及び、k値のとり得る範囲は、限定されないが、0〜100(0≦c≦100、0≦m≦100、0≦y≦100、及び、0≦k≦100)とすることができる。cmyk色空間(CS2)において、A2Bテーブル622(
図5参照)の格子点GD3の座標、及び、初期の暫定カラー値cmyk
pp=cmyk
p+Δcmyk
iの座標が同じ尺度であるとする。初期値Δcmyk
iの間隔値Sc,Sm,Syは、例えば、格子点GD3の間隔Gc,Gm,Gyの0.5〜2倍程度とすることができる。式で表すと、以下の通りとなる。
0.5×Gc≦Sc≦2×Gc
0.5×Gm≦Sm≦2×Gm
0.5×Gy≦Sy≦2×Gy
kの初期値Δkも複数設定する場合、初期値Δkの間隔値(Skとする。)も、例えば、k軸方向における格子点GD3の間隔(Gkとする。)の0.5〜2倍程度とすることができる。
0.5×Gk≦Sk≦2×Gk
間隔値Sc,Sm,Sy,Skを格子点GD3の間隔Gc,Gm,Gy,Gkの0.5〜2倍程度にすると、最適解Δcmyk
bを効率よく決定することができる。
【0093】
初期値Δcmyk
iの設定後、ホスト装置100は、解探索処理を行う(S210)。この解探索処理では、S212〜S224の処理を繰り返し行う。
まず、S212において、ホスト装置100は、調整対象カラー値cmyk
pに調整カラー値Δcmykを加えた暫定カラー値cmyk
ppを算出する。最初にS212の処理を行う場合の調整カラー値Δcmykは、初期値Δcmyk
iである。
【0094】
次のS214において、ホスト装置100は、暫定カラー値cmyk
ppをA2Bテーブル622に従って暫定PCS値Lab
S3に変換する。式で表すと、以下の通りとなる。
Lab
S3=f
icc(OrOutputProfile,A2B,cmyk
pp)
【0095】
次のS216において、ホスト装置100は、暫定PCS値Lab
S3と目標PCS値Lab
STとの色差の二乗を算出する。ここで、色差には、CIEDE2000色差式で表される色差ΔE
00、CIE1994年色差式で表される色差ΔE
*94、1976年に提案されたCIE L
*a
*b
*表色系による色差ΔE
*ab(いわゆるΔE
*76)、CIE L
*u
*v
*表色系による色差ΔE
*uv、等が含まれる。本具体例では、色差にΔE
00を用いることにする。
S216の処理において色差の二乗ΔE
002を用いることにより、色差ΔE
00に含まれる平方根の演算が無くなり、解探索処理が高速化される。色差の二乗ΔE
002は、目的関数y=f(Δcmyk)に含まれる。従って、目的関数y=f(Δcmyk)は、暫定PCS値Lab
S3を目標PCS値Lab
ST=Lab
S2+ΔLab
T-pに近付ける要素を含むことになる。
【0096】
尚、解探索処理により多くの時間がかかるものの、色差の二乗ΔE
002の代わりに色差ΔE
00自体を目的関数y=f(Δcmyk)に含めてもよい。また、色差ΔE
00の代わりに、色差ΔE
*ab、L値の差の絶対値とa値の差の絶対値とb値の差の絶対値の総和、等を用いてもよい。
【0097】
次のS218において、ホスト装置100は、目的関数y=f(Δcmyk)を計算するため、色差ΔE
00とは別に調整カラー値Δcmykをcmyk色空間(CS2)のベクトルで表現した場合の該ベクトルの大きさVの二乗を算出する。調整カラー値Δcmykの各成分を(Δc,Δm,Δy,Δk)で表すと、調整カラー値Δcmykをcmyk色空間(CS2)のベクトルで表現した場合の該ベクトルの大きさVは、以下の式となる。
V={Δc
2+Δm
2+Δy
2+Δk
2}
1/2
調整カラー値Δcmykのベクトルの大きさVが目的関数y=f(Δcmyk)に含まれることにより、調整カラー値ΔcmykのΔc、Δm、Δy、及び、Δkのいずれかの絶対値が突出して大きくなることが抑制される。
【0098】
目的関数y=f(Δcmyk)に色差の二乗ΔE
002が含まれるため、調整カラー値Δcmykのベクトルの大きさVも二乗にして目的関数y=f(Δcmyk)に含めることにしている。
V
2=Δc
2+Δm
2+Δy
2+Δk
2
これにより、ベクトルの大きさVに含まれる平方根の演算が無くなり、解探索処理が高速化される。
尚、解探索処理により多くの時間がかかるものの、調整カラー値Δcmykのベクトルの大きさの二乗V
2の代わりに調整カラー値Δcmykのベクトルの大きさV自体を目的関数y=f(Δcmyk)に含めてもよい。また、調整カラー値Δcmykのベクトルの大きさVの代わりに、Δc,Δm,Δy,Δkのそれぞれの絶対値の総和等を用いてもよい。
【0099】
次のS220において、ホスト装置100は、cmyk値(第二座標値の例)のとり得る範囲0〜100の制約条件に基づくコストCを算出する。暫定カラー値cmyk
pp=cmyk
p+Δcmykは、cmyk値のとり得る範囲0〜100の範囲に収まるべきだからである。ここで、暫定カラー値cmyk
ppの各成分を(c
pp,m
pp,y
pp,k
pp)で表すことにする。コストCは、例えば、以下の式に従って算出することができる。
c
pp<0である場合、 C=−c
pp×Cco
c
pp>100である場合、C=(c
pp−100)×Cco
m
pp<0である場合、 C=−m
pp×Cco
m
pp>100である場合、C=(m
pp−100)×Cco
y
pp<0である場合、 C=−y
pp×Cco
y
pp>100である場合、C=(y
pp−100)×Cco
k
pp<0である場合、 C=−k
pp×Cco
k
pp>100である場合、C=(k
pp−100)×Cco
上記以外の場合、 C=0
ただし、係数Ccoは正の数であり、cmyk値のとり得る範囲0〜100と比べて十分に大きい数である10
3≦Cco≦10
9程度が好ましい。
上記コストCが目的関数y=f(Δcmyk)に含まれると、暫定カラー値cmyk
ppの範囲の制約条件にcmyk値のとり得る範囲0〜100が適用された最適化処理が行われる。
【0100】
むろん、第二座標値のとり得る範囲が0〜100以外の場合であっても、同様にしてコストCを算出することができる。例えば、第二座標値がRGB値であってとり得る範囲が0〜255であるとし、暫定カラー値RGB
ppの各成分を(R
pp,G
pp,B
pp)とする。目的関数y=f(ΔRGB)のコストCは、例えば、以下の式に従って算出することができる。
R
pp<0である場合、 C=−R
pp×Cco
R
pp>255である場合、C=(R
pp−255)×Cco
G
pp<0である場合、 C=−G
pp×Cco
G
pp>255である場合、C=(G
pp−255)×Cco
B
pp<0である場合、 C=−B
pp×Cco
B
pp>255である場合、C=(B
pp−255)×Cco
上記以外の場合、 C=0
ここでも、係数Ccoは正の数であり、RGB値のとり得る範囲0〜255と比べて十分に大きい数である10
3≦Cco≦10
9程度が好ましい。
【0101】
また、コストCには、第二座標値のとり得る範囲以外の要素が含まれてもよい。例えば、或る調整カラー値ΔcmykについてS212〜S220の処理を行った場合にエラーが生じる場合、コストCに10
3〜10
9程度の値を加算してもよい。
【0102】
次のS222において、ホスト装置100は、色差の二乗ΔE
002、調整カラー値Δcmykのベクトルの大きさの二乗V
2、及び、コストCを含む目的関数y=f(Δcmyk)を計算する。目的関数y=f(Δcmyk)は、例えば、以下の式で表される。
y=ΔE
002+w×V
2+C
ただし、係数wは正の数であり、調整カラー値ΔcmykのΔc、Δm、Δy、及び、Δkのいずれかの絶対値が突出して大きくなることを抑制する点で1<w≦10程度が好ましい。
【0103】
上述したS212〜S222の処理は、目的関数y=f(Δcmyk)を極小値にする解(最適解候補Δcmyk
pb)が見つかるまで繰り返される(S224)。最初にS224の処理が行われる場合は目的関数y=f(Δcmyk)が極小値であるか否かを判断することができないため、ホスト装置100は、調整カラー値Δcmykを微小量変えたうえ処理をS212に戻す。以後、ホスト装置100は、調整カラー値Δcmykを微小量変えながらS212〜S224の処理を繰り返す。ホスト装置100は、目的関数y=f(Δcmyk)を極小値にする解を見つけると、この解を最適解候補Δcmyk
pbとしてS210の解探索処理を終了させる。
【0104】
ホスト装置100は、調整カラー値Δcmykの初期値Δcmyk
iを全て設定するまでS204〜S210の処理を繰り返す(S230)。これにより、初期値Δcmyk
i毎に最適解候補Δcmyk
pbが求められる。
【0105】
次のS232において、ホスト装置100は、複数の最適解候補Δcmyk
pbに基づいて最適解Δcmyk
bを得る。S210の解探索処理において、初期値Δcmyk
i毎に目的関数y=ΔE
002+w×V
2+Cが計算されている。例えば、ホスト装置100は、S232において、初期値Δcmyk
i毎の目的関数yの値が最も小さくなった場合の最適解候補Δcmyk
pbを最適解Δcmyk
bと決定すればよい。
【0106】
得られる解Δcmyk
bは、暫定PCS値Lab
S3を目標PCS値Lab
ST=Lab
S2+ΔLab
T-pに極力近付ける最適解である。最適解Δcmyk
bを得る際、調整カラー値ΔcmykのΔc、Δm、Δy、及び、Δkのいずれかの絶対値が突出して大きくなることが抑制され、暫定カラー値cmyk
pp=調整対象カラー値cmyk
p+調整カラー値Δcmykがcmyk値のとり得る範囲に制約される。このような最適解Δcmyk
bを用いてデバイスリンクプロファイル630を調整することにより、デバイスリンクプロファイルの色再現精度を向上させることができる。
【0107】
S232の処理後、ホスト装置100は、
図12に示すプロファイル調整処理を行う。
図8のS120で調整対象色空間CS6がCMYK色空間(CS1)又はcmyk色空間(CS2)であった場合も、
図12に示すプロファイル調整処理を行う。このプロファイル調整処理は、調整工程ST4に含まれるテーブル調整工程ST13、調整機能FU4に含まれるテーブル調整機能FU13、及び、調整部U4に含まれるテーブル調整部U13に対応している。
【0108】
まず、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、現在の出力値である調整対象カラー値cmyk
pを取得する(S304)。これは、被印刷物ME1に形成される出力画像IM0の色に対応する出力色(cmyk
p)を基準として調整を行うためである。ここで、デバイスリンクテーブル631において、各調整点P0の入力値はCMYK値CMYK
in(各成分をCp,Mp,Yp,Kpとする。)である。現在の出力値である調整対象カラー値cmyk
p(各成分をcp,mp,yp,kpとする。)は、以下の式により算出することができる。
cmyk
p=f
icc(DLProfile,A2B0,CMYK
in)
尚、
図8のS124で調整対象カラー値cmyk
pを計算済みであれば、この調整対象カラー値cmyk
pを取得すればよい。
【0109】
調整対象カラー値cmyk
pの取得後、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、目標出力値TargetOutを求める(S306)。ここで、調整対象色空間CS6がPCS CS3である場合、調整対象カラー値cmyk
pと、
図10で示した最適化処理で得られた最適解Δcmyk
bと、を用いる。
TargetOut=cmyk
p+Δcmyk
b
調整対象色空間CS6がCMYK色空間(CS1)である場合、調整目標T0の絶対値T_C,T_M,T_Y,T_K(CMYK
Tとする。)があれば、以下の式により目標出力値TargetOutを求める。
TargetOut=f
icc(DLProfile,A2B0,CMYK
T)
調整目標T0の相対値ΔCMYK
T-pがあれば、入力値CMYK
inと併せて、以下の式により目標出力値TargetOutを求める。
TargetOut=f
icc(DLProfile,A2B0,CMYK
in+ΔCMYK
T-p)
調整対象色空間CS6がcmyk色空間(CS2)である場合、調整目標T0の絶対値T_c,T_m,T_y,T_k(cmyk
Tとする。)があれば、これが目標出力値TargetOutとなる。
TargetOut=cmyk
T
調整目標T0の相対値Δcmyk
T-pがあれば、調整対象カラー値cmyk
pと併せて、以下の式により目標出力値TargetOutを求める。
TargetOut=cmyk
p+Δcmyk
T-p
【0110】
目標出力値TargetOutの算出後、ホスト装置100は、各調整点P0について、デバイスリンクテーブル631における入力値Input_P、及び、調整目標値TargetOut_Pを取得する(S308)。これは、デバイスリンクテーブル631における入力値と出力値との対応関係を調整するためである。指定インテントに応じた情報がプロファイルにある場合は、指定インテントに応じた情報に従って色変換が行われる。式としては、以下のように表される。
Input_P=CMYK
in
TargetOut_P=TargetOut
【0111】
また、デバイスリンクテーブル631における現在の出力値CurrentOut_Pは、デバイスリンクテーブル631の現在の出力値である調整対象カラー値cmyk
pである。
CurrentOut_P=cmyk
p
調整目標T0の相対値をcmyk色空間(CS2)で表すと、TargetOut_P−CurrentOut_Pとなる。
【0112】
入力値Input_P、及び、調整目標値TargetOut_Pの取得後、ホスト装置100は、S310〜S312において、調整目標T0に基づいてデバイスリンクテーブル631の調整範囲A0を調整する。
【0113】
まず、
図14A,14Bを参照して、調整範囲A0においてデバイスリンクテーブル631を調整する概念を説明する。ここで、
図14A,14Bにおいて、横軸はCMYK色空間(CS1)の或る座標軸に沿った入力値を示し、縦軸はcmyk色空間(CS2)の或る座標軸に沿った出力値を示している。すなわち、横軸はC軸、M軸、Y軸、又は、K軸となり、縦軸はc軸、m軸、y軸、又は、k軸となる。横軸上の白丸は、格子点GD0を示している。
【0114】
図14Aは、出力値を調整する場合の各格子点GD0の調整量ADを模式的に例示している。ユーザーが指定した調整点P0は、入力値Input_Pに対応している。ユーザーが調整目標T0として調整量AdjustDataを指示すると、入力値Input_Pに対応する現在の出力値CurrentOut_Pに調整量AdjustDataが加えられた調整目標値TargetOut_Pが設定される。
図9で示した調整範囲指定欄850や目標受付領域840への入力により、調整量AdjustDataには調整範囲A0が設定される。基本的には、入力値Input_Pに対する出力値の調整量を最大にして調整範囲A0の境界で調整量を0にするようにしている。ただし、実際の調整はデバイスリンクテーブル631の格子点GD0に対して行われるため、設定された調整範囲A0よりも広い範囲まで調整が影響することがある。
【0115】
図14Bは、入力値を調整する場合の各格子点GD0の調整量ADを模式的に例示している。ユーザーが指定した調整点P0は、入力値Input_Pに対応している。ユーザーが調整目標T0として調整量AdjustDataを指示すると、入力値Input_Pに調整量AdjustDataが加えられた入力値Input_P+AdjustDataに対応する出力値がユーザー指定の調整点P0において期待される出力値となる。
【0116】
上述した補正は、CMYK色空間(CS1)の全座標軸、及び、cmyk色空間(CS2)の全座標値について、行われる。
【0117】
次に、
図15A,15Bを参照して、調整範囲A0の各格子点GD0に調整量ADを設定する例を説明する。ここで、
図15A,15Bにおいて、横軸はCMYK値である入力値を示し、縦軸はcmyk値である出力値の調整量ADを示している。また、横軸上の三角印は調整範囲A0にある格子点(最近傍格子点GDnearestを除く。)を示し、横軸上の四角印は調整範囲A0外の出力値が修正されない格子点を示している。
まず、
図15Aに示すように、ホスト装置100は、各調整点P0について、調整点P0に最も近い格子点である最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1を決定する(
図12のS310)。
図15Aには、CMYK色空間(CS1)である入力色空間CS4の或る座標軸上に調整点P0(入力値Input_P)が2点指定された場合の出力値の調整量AD1を決定する例を示している。
図15Aの例では、入力値Input_Pに対する調整量AdjustDataをそのまま最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1にしている。むろん、本技術は、最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1を調整量AdjustDataにすることに限定されない。
【0118】
尚、互いに近傍にある複数の調整点の最近傍格子点GDnearestが同じになることもあり得る。この場合、例えば、入力色空間CS4において最近傍格子点GDnearestから各調整点までの距離に反比例する割合で各調整点の調整量AdjustDataを平均すればよい。
【0119】
最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1の決定後、
図15Bに示すように、ホスト装置100は、調整範囲A0において最近傍格子点GDnearestの周囲にある格子点(三角印の格子点)に対する出力値の調整量AD2を決定する(
図12のS312)。例えば、調整範囲A0外の格子点に対する出力値の調整量を0にしておき、上述した各最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1をAdjustDataにして、4次元の3次スプライン関数による補間演算を行うことにより、周囲の格子点に対する出力値の調整量AD2を決定することができる。このような補間演算を行うことにより、周囲の格子点に対する出力値の調整量AD2が、各最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1と、調整範囲A0外の格子点に対する出力値の調整量「0」と、の間で滑らかに繋がる。
むろん、本技術は、補間演算にスプライン関数を用いることに限定されない。
【0120】
尚、調整量ADの対象は格子点であるため、複数の調整点が近傍にある場合、これらの調整点の入力色をデバイスリンクテーブル631に従って色変換する際に同じ格子点が参照されることがある。このような格子点では、各調整点の調整量AdjustDataが平均化されて調整される。
【0121】
調整範囲A0の各格子点に対する出力値の調整量ADの決定後、ホスト装置100は、決定した調整量ADをデバイスリンクテーブル631に反映する(
図12のS314)。すなわち、調整範囲A0の各格子点について、現在の出力値に調整量ADを加えた値を更新後の出力値としてデバイスリンクテーブル631に対して書き込めばよい。デバイスリンクプロファイル630の出力色空間CS5はcmyk色空間であるので、現在の出力値(cq,mq,yq,kqとする。)に調整量(Δcq,Δmq,Δyq,Δkqとする。)に加えた値(cq+Δcq,mq+Δmq,yq+Δyq,kq+Δkq)が更新後の出力値となる。ここでの変数qは、調整範囲A0内の格子点を識別する変数である。
以上のようにして、第二の色空間CS2において現在の調整対象カラー値cmyk
pが目標出力値TargetOutに近付くようにデバイスリンクプロファイル630の対応関係が調整される。指定インテントに応じた情報がデバイスリンクプロファイル630にある場合は、指定インテントに応じた対応関係においてデバイスリンクプロファイル630が調整される。
【0122】
デバイスリンクプロファイル630の更新後、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、更新後のデバイスリンクテーブル631を用いて現在の調整対象カラー値cmyk
pを求める(S316)。更新後の調整対象カラー値cmyk
pは、S304の処理と同じ式を用いて算出することができる。指定インテントに応じた情報がプロファイルにある場合は、指定インテントに応じた情報に従って色変換が行われる。
【0123】
また、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、更新後の調整対象カラー値cmyk
pと目標出力値TargetOutとの差分dを求める(S318)。この差分は、例えば、cmyk色空間(CS2)において調整対象カラー値cmyk
pに対応する点と目標出力値TargetOutに対応する点とのユークリッド距離とすることができる。
【0124】
その上で、ホスト装置100は、S308〜S320の繰り返し処理の終了条件が成立したか否かを判断し(S320)、終了条件が成立していない場合にはS308〜S320の処理を繰り返し、終了条件が成立した場合には処理をS322に進める。例えば、全調整点P0について差分dが所定の閾値以下である場合に終了条件成立とすることができる。また、規定の回数に達した場合に終了条件成立としてもよい。
終了条件が成立した場合、ホスト装置100は、調整されたデバイスリンクテーブル631をデバイスリンクプロファイル630に格納して該デバイスリンクプロファイル630を記憶装置114に記憶させ(S322)、プロファイル調整処理を終了させる。このようにして、A2Bテーブル622と調整目標T0に基づいて、調整点P0に対応する入力座標値から現在のデバイスリンクテーブル631に従って得られる調整対象カラー値cmyk
pが目標出力値TargetOutに近付くようにデバイスリンクテーブル631が調整される。
【0125】
以上説明したように、デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた出力プロファイル620のA2Bテーブル622にPCS CS3のLab値が含まれるので、PCS CS3の座標を基準としてデバイスリンクテーブル631を調整することができる。従って、本具体例は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にすることができる。
また、出力色(cmyk
p)を表す座標値を基準としてデバイスリンクテーブル631が調整されるので、本具体例は、デバイスリンクプロファイルを良好な色再現精度となるように調整することができる。その際、カラーチャートCH0,CH1のパッチの色を表現するLab色空間(CS3)を基準とした調整目標T0の差(相対値ΔLab
T-p)が極力少なくなるように最適化された調整カラー値Δcmykの解Δcmyk
bが使用される。従って、本具体例は、デバイスリンクプロファイルをさらに良好な色再現精度となるように調整することができる。
【0126】
(6)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、出力デバイスは、インクジェットプリンターに限定されず、色材としてトナーを使用するレーザープリンターといった電子写真方式のプリンター、3次元プリンター、表示装置、等でもよい。
画像を形成する色材の種類は、C,M,Y,Kに限定されず、C,M,Y,Kに加えて、Lc、Lm、Yよりも高濃度のDy(ダークイエロー)、Or(オレンジ)、Gr(グリーン)、Kよりも低濃度のLk(ライトブラック)、画質向上用の無着色の色材、等を含んでもよい。
むろん、第二の色空間は、cmyk色空間に限定されず、CMY色空間、RGB色空間、等でもよい。
ターゲットデバイスは、ターゲット印刷機に限定されず、表示装置等でもよい。
むろん、第一の色空間は、CMYK色空間に限定されず、CMY色空間、RGB色空間、等でもよい。
【0127】
上述した処理は、順番を入れ替える等、適宜、変更可能である。例えば、
図6のデバイスリンクプロファイル作成処理において、S804の出力プロファイル620を受け付ける処理は、S802の処理の前、又は、S806の処理の後において行うことが可能である。また、
図10の最適化処理において、S212〜S216の色差の二乗ΔE
002を算出する処理の少なくとも一部は、S218,S220のいずれの処理の後において行うことが可能である。
【0128】
また、S220のコストCを算出する処理を行わず、S222の計算処理において目的関数y=ΔE
002+w×V
2を計算してもよい。この場合でも、S232の最適解決定処理において複数の初期値Δcmyk
iのそれぞれから得られる目的関数yの値が最も小さくなった場合の最適解候補Δcmyk
pbを最適解Δcmyk
bに決定すれば、デバイスリンクプロファイル630の色再現精度が向上する。
さらに、S218の調整カラー値Δcmykのベクトルの大きさの二乗V
2を算出する処理を行わず、S222の計算処理において目的関数y=ΔE
002、又は、y=ΔE
002+Cを計算してもよい。この場合でも、S232の最適解決定処理において複数の初期値Δcmyk
iのそれぞれから得られる目的関数yの値が最も小さくなった場合の最適解候補Δcmyk
pbを最適解Δcmyk
bに決定すれば、デバイスリンクプロファイル630の色再現精度が向上する。
さらに、調整カラー値Δcmykの初期値Δcmyk
iを(Δci,Δmi,Δyi,Δki)=(0,0,0,0)など一つにしても、PCS CS3を基準とした調整目標T0の差(相対値ΔLab
T-p)が極力少なくなるような調整カラー値Δcmykの最適解Δcmyk
bが得られる。この最適解Δcmyk
bを使用してプロファイルを調整することにより、プロファイルの色再現精度が向上する。
【0129】
デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイルの色変換テーブルを格納する場所は、デバイスリンクプロファイル630が好適であるものの、デバイスリンクプロファイル630に限定されない。例えば、記憶装置114に元プロファイルを格納しておき、この元プロファイルが示された元プロファイル情報をデバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に格納してもよい。
【0130】
図16は、元プロファイル情報をプライベートタグ523に格納するデバイスリンクプロファイル作成処理を例示している。
図16に示すデバイスリンクプロファイル作成処理は、
図6で示したデバイスリンクプロファイル作成処理と比べてS814〜S816がS822〜S824に置き換わっている。
図16では、
図6で示したS802〜S812をまとめて示している。
図17は、
図16に示すデバイスリンクプロファイル作成処理により作成されるデバイスリンクプロファイル630の構造を模式的に例示している。ここで、
図16のステップS822〜S824は、格納工程ST1、格納機能FU1、及び、格納部U1に対応している。
【0131】
図16に示すデバイスリンクプロファイル作成処理が開始され、生成されたデバイスリンクテーブル631がデバイスリンクプロファイル630に格納されると(S802〜S812)、ホスト装置100は、元プロファイル情報635を取得する(S822)。元プロファイル情報635は、元プロファイルである出力プロファイル620が示された情報であり、一例を挙げると、出力プロファイル620のファイル名とすることができる。例えば、元プロファイルとしての出力プロファイル620のファイル名が「OutputProfile1.icc」である場合、元プロファイル情報635は「OutputProfile1.icc」となる。また、ファイル名の代わりに、出力プロファイル620に含まれるデスクリプションタグを元プロファイル情報635にしてもよい。プロファイル500のデスクリプションタグは、プロファイル500の概要を記述した情報が格納される場所である。例えば、元プロファイルとしての出力プロファイル620のデスクリプションタグに「OutputProfile1」が記述されている場合、元プロファイル情報635は「OutputProfile1」となる。
【0132】
続いて、ホスト装置100は、元プロファイル情報635をデバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523に格納し(S824)、デバイスリンクプロファイル作成処理を終了させる。
図17には、デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523aに元プロファイル情報635が格納されていることが示されている。
【0133】
図18は、元プロファイル情報635に応じた出力プロファイル620のA2Bテーブル622を用いる目標設定処理を例示している。
図18に示す目標設定処理は、
図8で示した目標設定処理と比べてS122がS132〜S134に置き換わっている。
図18では、
図8で示したS102〜S110をまとめて示している。ここで、S132〜S134,S124〜S126は、調整工程ST4に含まれる変換工程ST11、調整機能FU4に含まれる変換機能FU11、及び、調整部U4に含まれる変換部U11に対応している。
【0134】
目標設定処理が開始され、
図9で示したUI画面800にある欄やボタンへの操作を受け付けると(S102〜S110)、調整対象色空間CS6がPCS CS3である場合(S120のYES)、ホスト装置100は、S132〜S134,S124〜S126の処理を行う。
まず、ホスト装置100は、S132において、デバイスリンクプロファイル630(
図17参照)からデバイスリンクテーブル631を読み出し、さらに、デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523から元プロファイル情報635を読み出す。次に、ホスト装置100は、元プロファイル情報635で示される元プロファイルとしての出力プロファイル620のA2Bテーブル622を記憶装置114から読み出す(S134)。例えば、元プロファイル情報635がファイル名としての「OutputProfile1.icc」である場合、ファイル名が「OutputProfile1.icc」である出力プロファイル620のA2Bテーブル622を読み出せばよい。元プロファイル情報635がデスクリプションタグとしての「OutputProfile1」である場合、「OutputProfile1」というデスクリプションタグを含む出力プロファイル620のA2Bテーブル622を読み出せばよい。元プロファイル情報635は、デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイルが示された情報であるので、デバイスリンクテーブル631と元プロファイルにおけるA2Bテーブル622との関係が保たれている。
【0135】
S134の処理後、ホスト装置100は、調整点P0におけるCMYK値CMYK
inをデバイスリンクプロファイル630のデバイスリンクテーブル631に従って調整対象カラー値cmyk
pに変換する(S124)。次のS126において、ホスト装置100は、上記調整対象カラー値cmyk
pを出力プロファイル620のA2Bテーブル622に従って調整対象PCS値Lab
S2に変換する。その後、
図10で示した最適化処理、及び、
図12で示したプロファイル調整処理を行うことにより、A2Bテーブル622と調整目標T0に基づいてデバイスリンクテーブル631が調整される。
【0136】
以上説明したように、デバイスリンクテーブル631と元プロファイルにおけるA2Bテーブル622との関係が保たれるので、操作ミスによる調整作業のやり直しの抑制に繋がる。
むろん、元プロファイルの記憶場所は、ホスト装置100の記憶装置114に限定されず、ホスト装置100にデータが読み込まれる記憶媒体、ネットワークを介して接続されている外部装置、等でもよい。
【0137】
デバイスリンクテーブル631に紐付けられる元プロファイルは、出力プロファイル620に限定されず、入力プロファイル610でもよいし、入力プロファイル610と出力プロファイル620の両方でもよい。デバイスリンクテーブル631に紐付けられる元プロファイルは、出力プロファイル620のA2Bテーブル622のみに限定されず、入力プロファイル610のA2Bテーブル611、出力プロファイル620のB2Aテーブル621、入力プロファイル610のB2Aテーブル、これらの色変換テーブルの組合せ、等でもよい。
【0138】
図19は、入力プロファイル610のA2Bテーブル611、出力プロファイル620のB2Aテーブル621、及び、出力プロファイル620のA2Bテーブル622を格納したデバイスリンクプロファイル630の構造を模式的に例示している。尚、デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイルは入力プロファイル610と出力プロファイル620であり、元プロファイルの色変換テーブルは3種類の変換テーブル611,621,622である。
【0139】
図20は、上記変換テーブル611,621,622をプライベートタグ523に格納するデバイスリンクプロファイル作成処理を例示している。
図20に示すデバイスリンクプロファイル作成処理は、
図6で示したデバイスリンクプロファイル作成処理と比べてS814〜S816がS832〜S840に置き換わっている。
図20でも、
図6で示したS802〜S812をまとめて示している。ここで、ステップS832〜S840は、格納工程ST1、格納機能FU1、及び、格納部U1に対応している。
【0140】
デバイスリンクプロファイル作成処理が開始され、生成されたデバイスリンクテーブル631がデバイスリンクプロファイル630に格納されると(S802〜S812)、ホスト装置100は、デバイスリンクテーブル631の作成に用いた入力プロファイル610からA2Bテーブル611をRAM113に読み出す(S832)。続いて、ホスト装置100は、A2Bテーブル611をデバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523aに格納する(S834)。また、ホスト装置100は、デバイスリンクテーブル631の作成に用いた出力プロファイル620からB2Aテーブル621とA2Bテーブル622をRAM113に読み出す(S836)。続いて、ホスト装置100は、B2Aテーブル621をデバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523bに格納する(S838)。さらに、ホスト装置100は、A2Bテーブル622をデバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523cに格納し(S840)、デバイスリンクプロファイル作成処理を終了させる。
図19には、デバイスリンクプロファイル630において、プライベートタグ523aにA2Bテーブル611が格納され、プライベートタグ523bにB2Aテーブル621が格納され、プライベートタグ523aにA2Bテーブル622が格納されていることが示されている。
【0141】
図21は、上記変換テーブル611,621,622を格納したデバイスリンクプロファイル630を用いる目標設定処理を例示している。
図21に示す目標設定処理は、
図8で示した目標設定処理と比べてS122〜S126がS142〜S144に置き換わっている。
図21でも、
図8で示したS102〜S110をまとめて示している。ここで、S142〜S144は、調整工程ST4、調整機能FU4、及び、調整部U4に対応している。
【0142】
目標設定処理が開始され、
図9で示したUI画面800にある欄やボタンへの操作を受け付けると(S102〜S110)、調整対象色空間CS6がPCS CS3であるか否かに応じて処理を分岐させる(S120)。調整対象色空間CS6がPCS CS3である場合、ホスト装置100は、S142以降の処理を行う。調整対象色空間CS6がCMYK色空間(CS1)又はcmyk色空間(CS2)である場合、ホスト装置100は、S142以降の処理を行わずに、
図12で示したプロファイル調整処理を行う。このプロファイル調整処理は、上述しているので、説明を省略する。
【0143】
S142において、ホスト装置100は、デバイスリンクプロファイル630(
図19参照)からデバイスリンクテーブル631を読み出し、さらに、デバイスリンクプロファイル630のプライベートタグ523a,523b,523cから変換テーブル611,621,622を読み出す。変換テーブル611,621,622はデバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイルの色変換テーブルであるので、デバイスリンクテーブル631と元プロファイルにおける変換テーブル611,621,622との関係が保たれている。
ここで、入力プロファイル610のA2Bテーブル611と出力プロファイル620のB2Aテーブル621の一方を調整対象の色変換テーブルとする。ホスト装置100は、入力装置115により変換テーブル611,622の一方を調整対象の色変換テーブルとして受け付け(S144)、
図10で示した最適化処理は行わず、
図22に示すプロファイル調整処理を行う。
【0144】
図22は、調整対象色空間CS6がPCS CS3である場合のプロファイル調整処理を例示している。むろん、このプロファイル調整処理は、調整工程ST4、調整機能FU4、及び、調整部U4に対応している。
まず、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、現在の出力値である調整対象カラー値cmyk
pを取得する(S404)。調整対象カラー値cmyk
pは、入力値CMYK
inを用いて以下の式により算出することができる。
cmyk
p=f
icc(DLProfile,A2B0,CMYK
in)
【0145】
調整対象カラー値cmyk
pの取得後、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、目標出力値TargetOutを求める(S406)。目標出力値TargetOutは、PCS CS3を基準とした調整量AdjustData=ΔLab
T-pを用いて以下の式により算出することができる。
TargetOut
=f
icc(OutputProfile,B2A,f
icc(InputProfile,A2B,CMYK
in)+ΔLab
T-p)
ここで、第1引き数において、InputProfileは入力プロファイルを表し、OutputProfileは出力プロファイルを表す。上記式は、入力プロファイル610のA2Bテーブル611に従って入力値CMYK
inをPCS値Lab
S1に変換し、このPCS値Lab
S1に調整量ΔLab
T-pを加えた値を出力プロファイル620のB2Aテーブル621に従って変換することを意味する。
【0146】
目標出力値TargetOutの算出後、ホスト装置100は、各調整点P0について、調整対象の色変換テーブル(A2Bテーブル611又はB2Aテーブル621)における入力値Input_P、及び、調整目標値TargetOut_Pを取得する(S408)。これは、調整対象の色変換テーブルにおける入力値と出力値との対応関係を調整するためである。
【0147】
入力プロファイル610のA2Bテーブル611が調整対象である場合、式としては、以下のように表される。
Input_P=CMYK
in
TargetOut_P=f
icc(OutputProfile,A2B,TargetOut)
入力プロファイル610のA2Bテーブル611の調整目標値TargetOut_P(Lab値)を目標出力値TargetOut(cmyk値)から求めるのは、出力画像IM0の色に対応する出力色cmyk
pを基準として調整を行うためである。
また、A2Bテーブル611における現在の出力値CurrentOut_P(Lab値)は、以下の式で表される。
CurrentOut_P=f
icc(InputProfile,A2B,CMYK
in)
調整目標T0の相対値をA2Bテーブル611の出力色空間であるPCS CS3で表すと、TargetOut_P−CurrentOut_Pとなる。
【0148】
出力プロファイル620のB2Aテーブル621が調整対象である場合、式としては、以下のように表される。
Input_P=f
icc(InputProfile,A2B,CMYK
in)
TargetOut_P=TargetOut
また、B2Aテーブル621における現在の出力値CurrentOut_P(cmyk値)は、デバイスリンクテーブル631の現在の出力値CurrentOutである。
CurrentOut_P=CurrentOut
調整目標T0の相対値をB2Aテーブル621の出力色空間であるcmyk色空間(CS2)で表すと、TargetOut_P−CurrentOut_Pとなる。
【0149】
入力値Input_P、及び、調整目標値TargetOut_Pの取得後、ホスト装置100は、S410〜S412において、調整目標T0に基づいて調整対象の色変換テーブル(611又は622)の調整範囲A0を調整する。まず、
図15Aで示したように、ホスト装置100は、各調整点P0について、調整点P0に最も近い格子点である最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1を決定する(
図22のS410)。最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1の決定後、
図15Bで示したように、ホスト装置100は、調整範囲A0において最近傍格子点GDnearestの周囲にある格子点(三角印の格子点)に対する出力値の調整量AD2を決定する(
図22のS412)。
【0150】
調整範囲A0の各格子点に対する出力値の調整量ADの決定後、ホスト装置100は、決定した調整量ADを調整対象の色変換テーブルに反映する(
図22のS414)。色変換テーブルの更新後、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、更新後の色変換テーブル(611又は622)を用いて現在の調整対象カラー値cmyk
pを求める(S416)。まだデバイスリンクテーブル631は更新されていないので、A2Bテーブル611とB2Aテーブル621を用いて現在の調整対象カラー値cmyk
pを算出する。調整対象がA2Bテーブル611であればA2Bテーブル611が更新後の色変換テーブルであり、調整対象がB2Aテーブル621であればB2Aテーブル621が更新後の色変換テーブルである。
cmyk
p=f
icc(OutputProfile,B2A,f
icc(InputProfile,A2B,CMYK
in))
【0151】
また、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0について、更新後の調整対象カラー値cmyk
pと目標出力値TargetOutとの差分dを求める(S418)。この差分は、例えば、cmyk色空間(CS2)において調整対象カラー値cmyk
pに対応する点と目標出力値TargetOutに対応する点とのユークリッド距離とすることができる。
【0152】
その上で、ホスト装置100は、S408〜S420の繰り返し処理の終了条件が成立したか否かを判断し(S420)、終了条件が成立していない場合にはS408〜S420の処理を繰り返し、終了条件が成立した場合には処理をS422に進める。例えば、全調整点P0について差分dが所定の閾値以下である場合に終了条件成立とすることができる。また、規定の回数に達した場合に終了条件成立としてもよい。
【0153】
終了条件が成立した場合、ホスト装置100は、デバイスリンクテーブル631を再構築してデバイスリンクプロファイル630に格納して該デバイスリンクプロファイル630を記憶装置114に記憶させ(S422)、プロファイル調整処理を終了させる。デバイスリンクテーブル631を再構築する処理は、S404〜S420の調整処理後における変換テーブル611,622を合成する処理であり、
図6で示したデバイスリンクプロファイル作成処理のS810〜S812に従って行うことができる。例えば、ホスト装置100、まず、入力プロファイル610のA2Bテーブル611における各格子点GD1の出力値であるPCS値L
i,a
i,b
iを出力プロファイル620のB2Aテーブル621に従って変換すればよい。続いて、ホスト装置100は、各格子点GD1について、CMYK値C
i,M
i,Y
i,K
iとcmyk値c
j,m
j,y
j,k
jとを対応付けることによりデバイスリンクテーブル631を生成すればよい。尚、このようなデバイスリンクテーブル631の再構築も、デバイスリンクテーブル631を調整することに含まれる。
【0154】
以上より、変換テーブル611,621,622と調整目標T0に基づいて、調整点P0に対応する入力座標値から現在のデバイスリンクテーブル631に従って得られる調整対象カラー値cmyk
pが目標出力値TargetOutに近付くようにデバイスリンクテーブル631が調整される。ここで、デバイスリンクテーブル631の作成に用いられた元プロファイルの変換テーブル611,621,622にPCS CS3のLab値が含まれるので、PCS CS3の座標を基準としてデバイスリンクテーブル631を調整することができる。従って、本具体例は、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にすることができる。
【0155】
尚、デバイスリンクプロファイル630に出力プロファイル620のA2Bテーブル622が無く、入力プロファイル610のA2Bテーブル611と出力プロファイル620のB2Aテーブル621の2種類が格納されている場合でも、本技術を適用可能である。この場合、S408の処理において調整目標値TargetOut_Pを取得する際、PCS値Lab
S1=f
icc(InputProfile,A2B,CMYK
in)に調整量AdjustData=ΔLab
T-pを加えてもよい。
TargetOut_P=f
icc(InputProfile,A2B,CMYK
in)+ΔLab
T-p
従って、
図20のデバイスリンクプロファイル作成処理において、S836の処理時に出力プロファイル620からB2Aテーブル621のみを読み出し、S840の処理を無くすことが可能である。また、
図21の目標設定処理において、S142の処理時にデバイスリンクプロファイル630からA2Bテーブル622を読み出す処理を無くすことが可能である。
【0156】
尚、調整対象色空間CS6は、PCS CS3に固定されてもよい。この場合、
図8の目標設定処理において、S112における調整対象色空間CS6を受け付ける処理、及び、S120の判断処理を無くし、S110においてホスト装置100は調整実施ボタン870への操作を受け付けると処理をS122に進めてもよい。
図18,21で示した目標設定処理も同様であり、
図18の目標設定処理ではS110の処理後にS132の処理を行い、
図21の目標設定処理ではS110の処理後にS142の処理を行ってもよい。いずれの場合も、本技術に含まれる。
【0157】
(7)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、デバイスリンクプロファイルの調整を容易にする技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。