(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収容空間に前記複数の収納バケットを取り込み可能な収容開口部を、前記走行車体の正面または背面に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収穫用車両。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる収穫用車両1の外観を示す斜視図である。ここで、
図1に示されるXYZ直交座標系のX方向を収穫用車両1の前方、−X方向を後方、Y方向を左方、−Y方向を右方、Z方向を上方、−Z方向を下方とする。また、以下の説明では、収穫用車両1によって、果菜類等の作物を収穫する場合を想定しており、果菜類の作物として、トマトを想定している。
【0015】
図1に示されるように、収穫用車両1は、作物を収穫する収穫部2と、収穫した作物を収納するための収納バケットAを複数収容可能な収容部31が設けられた走行車体3を備えており、収穫部2を走行車体3に積載して走行可能に構成されている。
【0016】
収穫部2は、略直方体形状の筐体21を備えており、筐体2内には、収穫用車両1の各種機構を制御する制御部Cが内蔵されている。また、筐体21の前面に、先端が上下左右に移動可能に設けられた腕部22が取り付けられており、腕部22の先端に、作物を把持自在な収穫ハンド体23が設けられている。
【0017】
収穫部2は、制御部Cによって、作物を収穫する収穫装置である腕部22及び収穫ハンド体23の動作を制御し、収穫ハンド体23で作物を把持して摘み取った後、収容部31内に収容された収納バケットA上まで把持した作物を移動させてから解放し、収納バケットAに作物を収納する構成となっている。なお、
図1及び
図2に示されるように、収納バケットAは、上面が開放した箱形状をなしており、上面において水平方向に張り出した外枠が設けられている。
【0018】
走行車体3は、栽培施設内に敷設された走行用レール4上を走行可能に構成されており、駆動輪である主輪32と、走行用レール4上を転輪する従動輪である補助輪33を備えている。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態にかかる収穫用車両1の正面図であり、
図3は、本発明の実施の形態にかかる収穫用車両1の側面図である。
【0020】
走行車体3の収容部31は、
図2に示されるように、走行車体3の左右両側に設けられて走行車体3の側面を形成する左右の車体フレーム3L,3Rの内側に、複数の収納バケットAを収容可能な収容空間S2を設けて構成されており、この収容空間S2に収納バケットAが複数収容可能となっている。
【0021】
収容部31は、バケット台B上に積み上げられた前後2列の収納バケットA(A1〜A8)を、走行車体3の正面側に設けられた開口部である収容開口部S1から取り込み、走行車体3内の収容空間S2に収容可能となっている。このとき、前列に積み上げられた4つの収納バケットA(A1〜A4)は、収容空間S2の前部S2fに、後列に積み上げられた4つの収納バケットA(A5〜A8)は収納空間S2の後部S2rに収まるように収容される。また、収容空間S2の下部は開放されており、収納バケットAを落下排出可能な排出開口部S3が設けられている。これにより、収容部31は、排出開口部S3から収納バケットA(A1〜A8)を迅速かつ容易に落下排出可能となっている。また、収穫用車両1は、予め積み上げられた複数の収納バケットAを、走行しながら、収容開口部S1から収容空間S2内に取り込むことが可能に構成されており、これにより、作業能率が大幅に向上する。
【0022】
また、走行車体3の前部上面は開放されており、収穫部2は、この開放部分から、収穫部2の収穫装置である腕部22及び収穫ハンド体23の動作によって、収納バケットAに作物を収納可能となっている。すなわち、
図1及び
図2において、作物収容空間S2の前部S2fに収容されている収納バケットA(A1〜A4)のうち最上段に位置する収納バケットA(A4)が、収容空間S2内において、収穫部2から作物を収納可能な作物収納位置にある。したがって、収穫部2は、この作物収納位置にある収納バケットAに、収穫した作物を順次収納することが可能となっている。また、走行車体3の前部には、適宜の位置に、収容部31に収容された収容バケットAを検知する収納バケット検知センサ83が配設されており、これにより、制御部Cは、収容部31内における各収納バケットAの位置の情報を取得し、収納部31内の収納バケットAの配置状態を判断することができるように構成されている。
【0023】
収容部31は、収容空間S2内で収納バケットAを支持する支持機構であり、かつ、収納バケットAを搬送する搬送機構である支持搬送機構を備えており、この支持搬送機構は、
図2及び
図3に示されるように、収容空間S2内の上部に配設され、収容空間S2の上部に位置する収納バケットAを前後方向に支持搬送可能に構成された上部支持搬送機構311と、収容空間S2内の下部に配設され、収容空間S2の下部に位置する収納バケットAを前後方向に支持搬送可能に構成された下部支持搬送機構312とによって構成されている。また、収容部31は、前記収容空間S2内で積み上げられた収納バケットAのうち、任意の収納バケットを挟持して上下方向に搬送可能とする挟持リフト機構を備えており、この挟持リフト機構は、収容空間S内の前部S2fに配設され、収容空間Sの前部S2fに位置する任意の収納バケットAを挟持して上下方向に搬送可能に構成された前部挟持リフト機構313と、収容空間S内の後部S2rに配設され、収容空間Sの後部S2rに位置する任意の収納バケットAを挟持して上下方向に搬送可能に構成された後部挟持リフト機構314と、を備えて構成されている。また、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312は、それぞれ、走行車体3の収容空間S内に取り込まれた収納バケットAを支持搬送する機構である支持搬送機構5を備えている。
【0024】
図4(a)は、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312の支持搬送機構5の概略平面図であり、
図4(b)は、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312の支持搬送機構5の概略側面図である。
【0025】
次に、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312がそれぞれ備えている支持搬送機構5の構成について説明する。支持搬送機構5は、収容空間S2内において、収納バケットAを支持し、前後方向への搬送を可能とするため、収容空間S2内の前後方向に延びる左右の回動軸51(51L,51R)を備え、この回動軸51(51L,51R)の一端に軸回動用モータ52(52L,52R)が連結され、この軸回動用モータ52(52L,52R)の駆動によって、回動軸51が正逆に回動可能となっている。さらに、左右の回動軸51(51L,51R)をそれぞれ回動可能に支持し、収容空間S2内において前後方向に延びる左右の支持フレーム53(53L,53R)を備え、この支持フレーム53(53L,53R)は、長手方向に沿って、複数の回動支持部材54(54L,54R)が等間隔で回動自在に取り付けられている。
【0026】
この回動支持部材54(54L,54R)は、それぞれ、収容空間S2内で左右一対となるように設けられており、左右両側から収納バケットAを支持するように構成されている。また、回動支持部材54(54L,54R)は、それぞれ、支持状態にある収納バケットを搬送するため回動可能に設けられたローラ部541(541R,541L)と、両端が支持フレーム53(53L,53R)を貫通して軸支されている回転軸542(542L,542R)を備えており、該回転軸542(542L,542R)は、それぞれ、内側端にローラ部541(541R,541L)が設けられ、内側端から支持フレーム53(53L,53R)を挟んで外側端に、外側スプロケット544(544R,544L)が設けられ、回転軸542(542L,542R)の外側端よりやや内側の位置に内側スプロケット543(543L,543R)が設けられている。
【0027】
図4(a)に示されるように、左右の支持フレーム53(53L,53R)の後端には、それぞれ、ローラ部541(541R,541L)を回動するためのチェーン用モータ55(55L,55R)が設けられている。
【0028】
チェーン用モータ55(55L,55R)と隣接する最も後端に配設された回動支持部材54(54L,54R)の内側スプロケット543(543L,543R)は、チェーン用モータ55(55L,55R)と無端チェーン56(56L,56R)で連結されており、さらに、複数の回動支持部材54(54L,54R)は、後端の回動支持部材54(54L,54R)から前端の回動支持部材54(54L,54R)に至るまで、隣接する回動支持部材54(54L,54R)の、外側スプロケット544(544R,544L)同士と、内側スプロケット543(543L,543R)同士が、交互に、無端チェーン56(56L,56R)で連結されており、その結果、チェーン用モータ55(55L,55R)が駆動すると、駆動力が、支持フレーム53(53L,53R)の最も後端に配設された回動支持部材54(54L,54R)から最も前端に配設された回動支持部材54(54L,54R)まで伝達される。これにより、複数の回動支持部材54(54L,54R)のローラ部541(541R,541L)が同期しながら、回転軸542(542L,542R)を中心として、チェーン用モータ55(55L,55R)の駆動に応じて、時計回り又は反時計回りに回動するように構成されている。これにより、支持搬送機構5は、回動支持部材54(54L,54R)の回動によって、回動支持部材54(54L,54R)に支持された収容バケットAを前後方向に搬送できるように構成されている。
【0029】
図5(a)は、支持姿勢の回動支持部材54を示しており、
図5(b)は、非支持姿勢の回動支持部材54を示している。支持搬送機構5は、軸回動用モータ52(51L,52R)の駆動によって回転軸542(542L,542R)が回動すると、これと連動して回動支持部材54(54L,54R)のローラ部541(541R,541L)が、回動軸51(51L,51R)を中心として、上下に回動するように構成されている。その結果、回動支持部材54(54L,54R)を、回転軸542(542L,542R)が水平となった支持姿勢と、回転軸542(542L,542R)が傾斜した非支持姿勢とに切り替えることが可能となっている。
【0030】
図5(a)に示されるように、回動支持部材54の支持姿勢においては、左右のローラ部541(541R,541L)が首を持ち上げるようにして収容空間S2の内側へと張り出し、これにより、収納バケットAの外枠に下方から当接し、左右両側から収納バケットAを支持するように構成されている。
図5(b)に示されるように、左右のローラ部541(541R,541L)の非支持姿勢においては、回動軸51(51L,51R)の回動によって、左右のローラ部541(541R,541L)が首を垂れるように下方に回動した状態となり、左右のローラ部541(541R,541L)の間に、収納バケットAの外枠に干渉しない左右幅の空間が確保されるように構成されている。このようにして、左右の回動支持部材54(54L,54R)は、支持姿勢においては収納バケットAを支持し、非支持姿勢においては収納バケットAに干渉しない間隔を設けて構成されており、これにより、非支持姿勢から支持姿勢に切り替えることで、収容空間S2内に位置する収納バケットAを持ち上げて支持したり、支持姿勢から非支持姿勢に切り替えることで、支持していた収納バケットAを解放して載置したり、非支持姿勢の状態において、収納バケットAを走行車体3の収容空間S2に収容する場合や、排出開口部S3から収納バケットAを落下排出し、さらに、走行車体3の走行によって収容空間S2から収納バケットAを外部に移動させる場合に、左右のローラ部541(541R,541L)の間を収納バケットAが通過できるように構成されている。
【0031】
図6は、上部支持搬送装置311の概略平面図であり、
図7は、下部支持搬送装置312の概略平面図である。
図6及び
図7に示されるように、走行車体3内における収容空間S2の前後幅は、前後2段に積み上げられた収納バケットAを収容することができる長さに設けられている。また、
図6に示されるように、収容空間S2内の上部に設けられた上部支持搬送装311によって支持された収納バケットAは、左右のローラ部541(541R,541L)の回動動作によって、前方(矢印方向)へと搬送可能となっている。これにより、後方の収容空間S2rに位置する収納バケットAを、前方の収容空間S2fへと搬送することが可能となっている。
【0032】
また、
図7に示されるように、収容空間S2内の下部に設けられた下部支持搬送装置312によって支持された収納バケットAは、左右のローラ部541(541R,541L)の回動動作によって、後方(矢印方向)へと搬送可能となっており、これにより、前方の収容空間S2fに位置する収納バケットAを、後方の収容空間S2rへと搬送することが可能となっている。すなわち、上部支持搬送装311と下部支持搬送装置312の左右のローラ部541(541R,541L)の回動方向は、逆向きとなるように構成されている。このように、上部支持搬送機構311及び下部支持搬送機構312の複数のローラ部54の回動方向が、互いに逆となるように設けられたことより、上部支持搬送機構311及び下部支持搬送機構312の収納バケットAの搬送方向を異ならせて構成できるため、作物が収納された収納バケットAと、空の収納バケットAを好適に入れ替えることができる。
【0033】
図8(a)及び
図8(b)は、収容空間S2の前部S2fにおける収容部31の動作を説明するための概略正面図である。
収容部31は、収納バケットA(A1〜A8)を収容空間S2内に収容した後、下部支持搬送装置312(312L,312R)における左右の回動支持部材54(54L,54R)を非支持姿勢から支持姿勢に切り替えることで、
図8(b)に示されるように、収納バケットA(A1〜A8)を回動支持部材54(54L,54R)によって支持し、走行車体3内へ収納バケットA(A1〜A8)を搭載するよう構成されている。これにより、下部支持搬送装置312(312L,312R)における左右の回動支持部材54(54L,54R)の支持姿勢を維持しながら走行車体3が走行することで、走行車体3の収容空間S2内に搭載した複数の収納バケットAを運搬可能となっている。その結果、収穫用車両1は、複数の収納バケットAを搭載して走行することで、従来よりも収穫した作物の収容量を増加できるため、収納バケットの入れ替えに要する負担が大幅に軽減されるとともに、作業能率を向上できる。
【0034】
収容空間S2の前部S2fにおける収容部31の左右両側には、左右の前部挟持リフト機構313(313L,313R)が設けられている。この左右の前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、それぞれ、電動スライダによって上下動可能に構成された上下動機構61L,61Rと、上下動機構61L,61Rに取り付けられた左右の挟持爪62L,62Rを備えている。
【0035】
左右の挟持爪62L,62Rは、制御部Cの制御によって開閉動作を行い、閉状態においては、
図8(a)に示されるように、先端が鉛直方向を向いて収納されているが、開状態においては、
図8(b)に示されるように、先端を収容空間S2の内側へと向け、収納バケットAの外枠の両側から係合し、収納バケットAを挟持するように構成されている。
【0036】
このように構成された前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、収容空間S内の前部S2fにおいて、左右の挟持爪62L,62Rをスライド移動するとともに開動作する高さ位置を選択することにより、収容空間S2の前部S2fに積み上げられた収納バケットA(A1〜A4)うち、任意のバケットAを挟持して上下方向に搬送可能となっており、さらに、収納バケットAを挟持している状態から、左右の挟持爪62L,62Rを閉動作することにより、収納バケットAを解放して載置することが可能となっている。
【0037】
次に、収穫作業時において、下部支持搬送装置312(312L,312R)及び前部挟持リフト機構313(313L,313R)の連動によるバケットAの前後入れ替え搬送動作について説明する。まず、制御部Cの制御によって、前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、収納バケットAを挟持した状態で、上下動機構61L,61Rを駆動し、上方に左右の挟持爪62L,62Rをスライド移動することにより、
図8(b)に示されるように、下部支持搬送装置312(312L,312R)によって支持されている最下段のバケットA(A1)から、下から2段目に位置するバケットA(A2)を分離して持ち上げる。
【0038】
これにより、収容部31は、下から2段目に位置するバケットA(A2)を分離して持ち上げた状態で、制御部Cの制御によって、下部支持搬送装置312(312L,312R)の回動支持部材54(54L,54R)を回動し、最下段のバケットA(A1)を、後方へと搬送する。このようにして、収容部31は、収容空間Sの前部S2fに積み上げられた収納バケットAを、前部S2fから後部S2rへと移動できるように構成されている。
【0039】
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、収容空間S2の後部S2rにおける収容部31の両側には、前部S2fと同様に、左右の後部挟持リフト機構314(314L,314R)が設けられている。この左右の前部挟持リフト機構314(314L,314R)は、それぞれ、電動スライダによる上下動機構71L,71Rと、上下動機構71L,71Rに取り付けられた左右の挟持爪72L,72Rを備えている。このように構成された後部挟持リフト機構314(314L,314R)は、前部挟持リフト機構313(313L,313R)と同様の基本動作が可能となっている。
【0040】
次に、収穫作業時において、上部支持搬送装置311(312L,311R)、下部支持搬送装置312(312L,312R)及び後部挟持リフト機構314(314L,314R)の連動によるバケットAの前後入れ替え搬送動作について説明する。
図9(a)に示されるように、制御部Cの制御によって、前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、後部挟持リフト機構314(314L,314R)を駆動し、収容空間S2の後部S2rに位置するバケットA(A5〜A8)を挟持して上方へと搬送して、バケット1つ分が収容可能な空間を形成し、そこへ前部S2fの最下段にあるバケットA(A1)を下部支持搬送装置312(312L,312R)によって搬送して収容する。
【0041】
次に、
図9(b)に示されるように、上部支持搬送装置311(312L,311R)の回動支持部材54を非支持姿勢から支持姿勢に切り替えて、最上段のバケットA(A8)を持ち上げる。このとき、最上段のバケットA(A8)は、下方のバケットA(A7)から切り離され、さらに、回動支持部材54(54L,54R)の回動により、前方へと搬送される。次に、最上段のバケットA(A8)が前方へと搬送されると、制御部Cは、上部支持搬送装置311(312L,311R)の回動支持部材54が再び非支持姿勢となるように制御し、最上段のバケットA(A8)を収容空間S2の前部S2fに載置する。また、後部挟持リフト機構314(314L,314R)は、左右の挟持爪72L,72Rを閉動作し、挟持していた収納バケットA(A5〜A7)を解放して、下方の収納バケットA(A1)に載置する。このようにして、収容部31は、収納バケットAを収容空間S内の後部S2rから前部S2fへと移動することができるように構成されている。その結果、収容部31は、収納バケットAを走行車体3内で前後上下に搬送して循環することで、収穫部2が作物を収納可能な作物収納位置にあるバケットAを順次交換可能に構成されている。これにより、収穫用車両1は、複数の収納バケットAを積載可能としながら、満杯となった収納バケットAの交換に係る作業負担が大幅に軽減されるよう構成されている。
【0042】
図10は、収穫用車両1の制御装置Cのブロック図である。
制御装置Cは、収穫用車両1の動作を統括して制御する。制御装置Cは、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理を行う処理部と、RAM(Random Access Memory)等の処理結果を記憶する記憶部と、入出力部とを含んで構成されている。制御部Cは、処理部と記憶部と入出力部とが互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能に構成されており、収穫用車両1の動作を制御するコンピュータプログラムが記憶装置81に格納されている。
【0043】
制御装置Cの入力側には、作物を画像認識することで作物の位置情報を取得可能とする画像センサ82と、収容部31内に収納された収納バケットAの位置を検知する収納バケット検知センサ83と、収穫用車両1の栽培施設内の位置を検出する走行位置検出センサ84と、バケット台Bを検知するバケット台検知センサ85が接続されている。なお、画像センサ82、走行位置検出センサ84及びバケット台検知センサ85は、それぞれ、収穫用車両1の適宜の位置に設けられる。
【0044】
また、制御装置Cの出力側には、収穫装置である腕部22及び収穫ハンド体23の駆動機構である収穫装置駆動機構86と、主輪32の駆動機構である走行機構87と、軸回動用モータ52と、チェーン用モータ55と、上下動機構61L,61Rと、挟持爪62L,62R,72R,72Lを開閉動作する機構である挟持爪開閉機構88が電気的に接続され、これらの動作が制御部Cによって制御可能となっている。
【0045】
図11は、収穫用車両1が使用される栽培施設の一例を示すものであり、この栽培施設は、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室501と、該栽培室501に隣接する出荷室502とを備えている。前記栽培室1内の中央には作業者又は収穫用車両1あるいは防除作業車等が通過できるメイン通路504を設けており、このメイン通路504は、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。メイン通路504の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッド505を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース506を構成している。尚、前記栽培ベッド505は培地となるロックウールで形成された栽培床部であり、出荷室502内の養液供給装置507から各栽培ベッド505へ養液が供給される構成となっている。また、メイン通路504の両端には開閉扉を備える栽培室501への出入り口508を設け、一方の出入り口508を介して隣接する出荷室502へ行き来できる構成となっている。尚、他方の出入り口8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、収穫用車両1をメイン通路504から各々の栽培ユニット(栽培ベッド505)の間のサブ通路509に移動させ、該サブ通路509で栽培ユニット(栽培ベッド505)に沿って収穫用車両1を走行させながら栽培する植物に対する各種作業を行うことができる。サブ通路509は、各々の栽培ユニット(栽培ベッド505)の左右間で前後方向に形成される通路となる。なお、
図11には図示されていないが、収穫用車両1は、サブ通路509上に敷設された温室全体を暖房する左右の暖房用管を走行用レール4として走行する。
【0046】
図12ないし
図32は、収穫用車両1の収納バケットAの交換に係る動作を説明する説明図である。始めに、収穫用車両1のバケットAの取り込みから収穫開始までの動作を
図12ないし
図20を用いて説明する。
【0047】
(収穫開始までの動作)
収穫用車両1は、バケット台検知センサ85(図示省略)により、バケット台Bを検知して、前後2列に積み上げられたバケットA(A1〜A8)が載置されたバケット台Bに向かって前進する(
図12のSTEP1a)。
【0048】
バケット台Bまで到達した収穫用車両1は、収容開口部S1から走行車体3の収容部31の収容空間S2に収納バケットA(A1〜A8)を取り込みながら、バケット台B上まで移動する(
図13のSTEP2a)。
【0049】
次に、下部支持搬送機構312の回動支持部材54が支持姿勢となり、収納バケットA(A1〜A8)を支持することで、走行車体3への収納バケットA(A1〜A8)の搭載が完了する(
図14のSTEP3a)。
【0050】
収納バケットA(A1〜A8)の搭載が完了すると、収穫用車両1は、前進してバケット台Bを乗り越える(
図15のSTEP4a)。
【0051】
収穫用車両1は、前進しながら、後部挟持リフト機構314によって、収容空間S2の後部S2rのバケットA(A5〜A8)を上方に搬送し、収容空間S2の後部S2rの下方にバケット1つ分の空間を形成する(
図16のSTEP5a)。
【0052】
収穫用車両1は、収容空間S2の前部S2fにおいて、前部挟持リフト機構313によって、2段目のバケットA(A2)を挟持して持ち上げ、最下段のバケットA(A1)と分離する。同時に、収容空間S2の後部S2rにおいて、最上段のバケットA(A8)を上部支持搬送機構311によって支持し、上から2段目以下のバケットA(A5〜A7)と分離する(
図17のSTEP6a)。
【0053】
収穫用車両1は、上部支持搬送機構311に支持されたバケットA(A8)を収容空間S2の前部S2fに搬送し、収穫部2によって収穫した作物を収納可能な作物収納位置(前部S2fにおいてバケットAが上部支持搬送機構311に支持される位置)に移動させる。同時に、下部支持搬送機構312によって、収容空間S2の前部S2fの最下段に位置するバケットA(A1)を、収容空間S2の後部S2rの最下段へと搬送する(
図18のSTEP7a)。
【0054】
次に、収穫用車両1は、収容空間S2の後部S2rにおいて、後部挟持リフト機構314によって挟持されていた収納バケットA(A5〜A7)を解放して、最下段に位置するバケットA(A1)上に載置する(
図19のSTEP8a)。
【0055】
収穫用車両1は、収容空間S2の後部S2rにおいて、最下段に位置するバケットA(A1)を後部挟持リフト機構314によって挟持し、走行レール4の端まで走行して停止した後、収穫作業を開始する(
図20のSTEP9a)。
【0056】
次に、収穫用車両1の収穫中の動作を
図21ないし
図28を用いて説明する。
(収穫中の動作)
収穫用車両1は、後進しながら、収穫部2により作物を収穫し、作物収納位置にある収納バケットA(A8)に、収穫した作物を収納する(
図21のSTEP1b)。
【0057】
収穫用車両1は、作物収納位置にある収納バケットA(A8)に所定量の作物が収納されると、上部支持搬送機構311の回動支持部材54を非支持姿勢として、これを収容空間S2の前部S2fにおいて積み上げられた収納バケットA(A2〜A4)の最上段に載置する(
図22のSTEP2b)。
【0058】
収穫用車両1は、収容空間S2の前部S2fにおいて積み上げられた収納バケットA(A2〜A4、A8)を後部挟持リフト機構314によって、下方に搬送し、さらに、挟持リフト機構314の左右の挟持爪62L,62Rの閉動作によって、回動支持部材54を支持姿勢とした下部支持搬送機構312によって支持する。同時に、後部挟持リフト機構314の左右の挟持爪72L,72Rを上方に移動し、収容空間S2の後部S2rのバケットA(A1、A5〜A7)を上方に搬送して、収容空間S2の後部S2rの下方にバケット1つ分が収容可能な空間を形成する(
図23のSTEP3b)。
【0059】
収穫用車両1は、収容空間S2の前部S2fにおいて、前部挟持リフト機構313の左右の挟持爪62L,62Rを開動作し、下から2段目の収納バケットA(A3)を挟持して持ち上げ、最下段の収納バケットA(A2)と分離する。同時に、収容空間S2の後部S2rにおいて、最上段の収納バケットA(A7)を上部支持搬送機構311によって支持し、上から2段目以下の収納バケットA(A1、A5、A6)と分離する(
図24のSTEP4b)。
【0060】
収穫用車両1は、下部支持搬送機構312に支持された収納バケットA(A2)を収容空間S2の後部S2rに搬送し、上部支持搬送機構311に支持された収納バケットA(A7)を収容空間S2の前部S2fの作物収納位置に搬送する(
図25のSTEP5b)。
【0061】
収穫用車両1は、後部挟持リフト機構314に挟持されている収納バケットA(A1)を下方に搬送し、左右の挟持爪72L,72Rを閉動作して、最下段の収納バケットA(A2)上に載置する(
図26のSTEP6b)。
【0062】
収穫用車両1は、左右の挟持爪72L,72Rを開動作して、最下段の収納バケットA(A2)を挟持し、下部支持搬送機構312によって支持されている状態から上方に持ち上げる(
図27のSTEP7b)。
【0063】
収穫用車両1は、後進しながら、収穫部2により作物を収穫し、作物収納位置にある収納バケットA(A7)に、収穫した作物を収納する(
図28のSTEP8b)。以降、収穫用車両1は、搭載した全ての収納バケットA(A1〜A8)内に、所定量の作物が収納されるまで、STEP1b〜STEP7bまでと同様の動作を繰り返す。
【0064】
次に、収穫用車両1の収穫後の動作を
図29ないし
図32を用いて説明する。
(収穫後の動作)
収穫用車両1は、バケット台検知センサ85(図示省略)により、バケット台Bを検知して、バケット台Bに向かって前進し、バケット台B上まで移動して停止する(
図29のSTEP1c)。
【0065】
バケット台Bまで到達した収穫用車両1は、上部支持搬送機構311の回動支持部材54を非支持姿勢として、作物収納位置にある収納バケットA(A4)収容空間S2の前部S2fにおいて積み上げられた収納バケットA(A2〜A4)の最上段に載置する(
図30のSTEP2c)。
【0066】
次に、収容空間S2の前部S2fにおいて積み上げられた収納バケットA(A1〜A4)を前部挟持リフト機構313によって下方に搬送した後、左右の挟持爪62L,62Rを閉動作し、回動支持部材54を支持姿勢とした下部支持搬送機構312によって支持する。同時に、収容空間S2の後部S2rにおいて段積みされている収納バケットA(A5〜A8)を後部挟持リフト機構314によって下方に搬送した後、左右の挟持爪72L,72Rを閉動作し、回動支持部材54を支持姿勢とした下部支持搬送機構312によって支持する(
図31のSTEP3c)。
【0067】
次に、下部支持搬送機構312の回動支持部材54を非支持姿勢とし、バケット台B上に、走行車体3内に搭載していた収納バケットA(A1〜A8)を載置することで、排出開口部S3からの収納バケットAの排出を完了した後に、走行車体3を後進して、収容開口部S1から収納バケットA(A1〜A8)を走行車体3の外に取り出す(
図32のSTEP4c)。
【0068】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0069】
例えば、前記実施形態においては、収穫部2において腕部22及び収穫ハンド体23を備えた収穫装置により作物を収穫する構成としたが、収穫装置によらず、走行車体3上に搭乗した作業者によって作物を収穫する構成としてもよい。
【0070】
また、収容開口部S1を走行車体3の正面に設ける構成としたが、走行車体3の背面、または、正面及び背面の両側に設ける構成としても良い。