特許第6959611号(P6959611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959611
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】保険技工物管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20211021BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20211021BHJP
【FI】
   G06Q10/08 330
   G06Q50/22
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-154364(P2017-154364)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-32755(P2019-32755A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】514306629
【氏名又は名称】株式会社DSi
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩志
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2002/008981(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0095200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険技工物の作製時に、作製された前記保険技工物と、前記保険技工物の使用材料の製造番号が記載されたラベルと、を含む画像を撮影する作製時撮影手段と、
作製時の前記画像に含まれる前記製造番号を認識し、保険技工物管理データベースに前記製造番号が存在しない場合に、前記製造番号及び作製時の前記画像を関連付けて保険技工物管理データベースに登録し、
作製時の前記画像から認識した前記製造番号が前記保険技工物管理データベースに存在する場合に通知を出力する作製時登録手段と、を有する
保険技工物管理システム。
【請求項2】
前記作製時登録手段は、前記製造番号を認識できない場合に通知を出力する
請求項1記載の保険技工物管理システム。
【請求項3】
前記保険技工物の納品時に、納品された前記保険技工物と、前記製造番号が記載されたラベルと、を含む画像を撮影する納品時撮影手段と、
納品時の前記画像に含まれる前記製造番号を認識し、前記保険技工物管理データベースに前記製造番号が存在し、かつ納品時の前記画像から認識した前記製造番号に関連付けられた納品時の前記画像が存在しない場合に、前記製造番号及び納品時の前記画像を関連付けて前記保険技工物管理データベースに登録する納品時登録手段と、
納品時の前記画像から認識した前記製造番号が前記保険技工物管理データベースに存在しない場合、又は納品時の前記画像から認識した前記製造番号に関連付けられた納品時の前記画像が存在する場合に通知を出力する
請求項1記載の保険技工物管理システム。
【請求項4】
前記納品時登録手段は、前記製造番号を認識できない場合に通知を出力する
請求項3記載の保険技工物管理システム。
【請求項5】
前記作製時撮影手段は、前記保険技工物の作製時に、作製された前記保険技工物と、前記保険技工物の使用材料の製造番号が記載されたラベルと、前記保険技工物の技工指示書とを含む画像を撮影し、
前記作製時登録手段は、作製時の前記画像に含まれる前記製造番号及び前記技工指示書の識別番号を認識し、前記製造番号、前記技工指示書の識別番号及び作製時の前記画像を関連付けて保険技工物管理データベースに登録する
請求項1記載の保険技工物管理システム。
【請求項6】
前記納品時撮影手段は、前記保険技工物の納品時に、納品された前記保険技工物と、前記製造番号が記載されたラベルと、前記保険技工物の納品書とを含む画像を撮影し、
前記納品時登録手段は、納品時の前記画像に含まれる前記製造番号及び前記納品書の識別番号を認識し、前記保険技工物管理データベースに前記製造番号が存在する場合に、前記製造番号、前記納品書の識別番号及び納品時の前記画像を関連付けて前記保険技工物管理データベースに登録する
請求項記載の保険技工物管理システム。
【請求項7】
前記納品時登録手段は、納品時の前記画像から認識した前記製造番号に関連付けられた前記納品書の識別番号が存在する場合に通知を出力する
請求項6記載の保険技工物管理システム。
【請求項8】
複数の前記作製時撮影手段を有し、
前記保険技工物管理データベースは、複数の前記作製時撮影手段により取得された前記保険技工物の前記製造番号及び作製時の前記画像を保持する
請求項1記載の保険技工物管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険技工物管理システムに関し、特にCAD/CAM冠と称される歯科技工物の使用材料を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
CAD/CAM冠は、歯科用CAD/CAM装置を使用してプラスチック製ブロック(典型的にはレジンブロック。以下、単にブロックと称する)を削り出すことにより作製される歯科補綴物である。特許文献1に、ブロックの一例を示す。ブロックは、プラスチック材料からなる被切削部と、被切削部の台座である金属製の固定部とを有する。ブロックの台座を切削装置(CAM)に取り付け、CADプログラムに従って被切削部を切削することによりCAD/CAM冠は作製される。
【0003】
保険診療においては、認可された業者が所定の規格に則ってブロックを作製し、歯科技工所が当該ブロックを加工して補綴物を作製し、歯科医院が当該補綴物を使用して診療を行う。保険診療において用いられる補綴物を保険技工物という。トレーサビリティを担保するため、認可業者は、保険技工物用のブロックにはユニークな製造番号が記載されたラベルを添付して供給する。歯科技工所は1個のブロックから1個の保険技工物を作製し、ブロックに添付されていたラベルとともに保険技工物を歯科医院に納品することが通例となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−165361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ブロック(ラベル)及び保険技工物の対応関係を記録する手段は提供されていない。このため様々な不正の可能性がある。例えば、1個のブロックから複数の保険技工物を作製し、ラベルを添付せずに保険技工物を歯科医院に納品することがあり得る。この場合、歯科技工所は不正にローコストで保険技工物を作製できる。一方、第三者(歯科医院や監査当局等)には当該保険技工物が正当に作製されたものか否かを証明する手段がない。
【0006】
上述のようにラベルを添付せずに保険技工物を納品すると、ラベルの余剰が発生する。この余剰ラベルの流用も問題となり得る。例えば、歯科技工所が未認可の業者から仕入れたブロックを使用して補綴物を作製し、余剰ラベルを添付して保険技工物として歯科医院に納品することがあり得る。この場合も、第三者は当該保険技工物が正当に作製されたものか否かを証明する手段を持たない。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、保険技工物の使用材料をトレースし、不正使用のチェックを容易に行うことができる保険技工物管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、保険技工物の作製時に、作製された前記保険技工物と、前記保険技工物の使用材料の製造番号が記載されたラベルと、を含む画像を撮影する作製時撮影手段と、作製時の前記画像に含まれる前記製造番号を認識し、保険技工物管理データベースに前記製造番号が存在しない場合に、前記製造番号及び作製時の前記画像を関連付けて保険技工物管理データベースに登録し、作製時の前記画像から認識した前記製造番号が前記保険技工物管理データベースに存在する場合に通知を出力する作製時登録手段と、を有する。
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、前記作製時登録手段は、前記製造番号を認識できない場合に通知を出力する。
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、前記保険技工物の納品時に、納品された前記保険技工物と、前記製造番号が記載されたラベルと、を含む画像を撮影する納品時撮影手段と、納品時の前記画像に含まれる前記製造番号を認識し、前記保険技工物管理データベースに前記製造番号が存在し、かつ納品時の前記画像から認識した前記製造番号に関連付けられた納品時の前記画像が存在しない場合に、前記製造番号及び納品時の前記画像を関連付けて前記保険技工物管理データベースに登録する納品時登録手段と、納品時の前記画像から認識した前記製造番号が前記保険技工物管理データベースに存在しない場合、又は納品時の前記画像から認識した前記製造番号に関連付けられた納品時の前記画像が存在する場合に通知を出力する。
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、前記納品時登録手段は、前記製造番号を認識できない場合に通知を出力する。
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、前記作製時撮影手段は、前記保険技工物の作製時に、作製された前記保険技工物と、前記保険技工物の使用材料の製造番号が記載されたラベルと、前記保険技工物の技工指示書とを含む画像を撮影し、前記作製時登録手段は、作製時の前記画像に含まれる前記製造番号及び前記技工指示書の識別番号を認識し、前記製造番号、前記技工指示書の識別番号及び作製時の前記画像を関連付けて保険技工物管理データベースに登録する。
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、前記納品時撮影手段は、前記保険技工物の納品時に、納品された前記保険技工物と、前記製造番号が記載されたラベルと、前記保険技工物の納品書とを含む画像を撮影し、前記納品時登録手段は、納品時の前記画像に含まれる前記製造番号及び前記納品書の識別番号を認識し、前記保険技工物管理データベースに前記製造番号が存在する場合に、前記製造番号、前記納品書の識別番号及び納品時の前記画像を関連付けて前記保険技工物管理データベースに登録する。
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、前記納品時登録手段は、納品時の前記画像から認識した前記製造番号に関連付けられた前記納品書の識別番号が存在する場合に通知を出力する。
本発明の一実施の形態にかかる保険技工物管理システムは、複数の前記作製時撮影手段を有し、前記保険技工物管理データベースは、複数の前記作製時撮影手段により取得された前記保険技工物の前記製造番号及び作製時の前記画像を保持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保険技工物の使用材料をトレースし、不正使用のチェックを容易に行うことができる保険技工物管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】保険技工物管理システム100の構成を示すブロック図である。
図2】保険技工物管理システム100の構成を示すブロック図である。
図3】保険技工物管理システム100の動作を示すフローチャートである。
図4】保険技工物管理システム100の動作を示すフローチャートである。
図5】保険技工物管理システム200の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する
<実施の形態1>
実施の形態1にかかる保険技工物管理システム100は、歯科技工所において作製した保険技工物の使用材料の記録及び重複チェックを行うとともに、歯科医院において納品された保険技工物の使用材料の記録及び重複チェックを行うことができる。
【0012】
図1は、保険技工物管理システム100の機能構成を示すブロック図である。保険技工物管理システム100は、作製時撮影手段110、作製時登録手段120、保険技工物管理データベース130、納品時撮影手段140、納品時登録手段150、検索手段160を有する。保険技工物管理システム100は、1以上の情報処理装置によって構成される。情報処理装置は中央処理装置(CPU)、記憶装置、入出力装置、通信装置等を有し、CPUが記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより上記各手段を論理的に実現する。
【0013】
保険技工物管理システム100は、単一の情報処理装置が上記各手段を全て備えるものであって良い。又は、複数の情報処理装置が上記各手段を分担する構成であっても良い。例えば図2に示すように、保険技工物管理システム100は歯科技工所システム、歯科医院システム、サーバシステムの3つのサブシステムを備える。歯科技工所システムは作製時撮影手段110及び作製時登録手段120を備え、サーバシステムは保険技工物管理データベース130及び検索手段160を備え、歯科医院システムは納品時撮影手段140及び納品時登録手段150を備える。各サブシステムは1以上の情報処理装置により構成され、サブシステム間はネットワークにより接続される。例えば歯科技工所システム及び歯科医院システムはスマートフォンのアプリケーションとして実現され、歯科技工所システム及び歯科医院システムはAPI(Application Programming Interface)を介してネットワーク越しにサーバシステムの機能を利用することができる。サーバシステムはクラウドコンピューティング(ネットワーク上に用意された分散処理環境)、フォグコンピューティング又はエッジコンピューティング(クラウドと歯科技工所システム及び歯科医院システムとの間に用意された分散処理環境)により実現することもできる。
【0014】
なお、上記ハードウェア構成は一例であり、上記各手段は様々なハードウェア構成により実現可能であることは勿論である。例えば作製時登録手段120及び納品時登録手段150は、サーバシステムが備えることとしても良い。また、サーバシステムは、歯科技工所システム又は歯科医院システムのいずれかと統合されても良い。
【0015】
作製時撮影手段110は、保険技工物の作製時、製造番号が記載されたラベルと、当該ラベルが添付されたブロックから作製された保険技工物の画像をカメラで撮影する。好ましくはラベルと保険技工物を1つの画像に同時に収める。作製時撮影手段110は、歯科医院から歯科技工所への発注内容(識別番号、歯科技工物名及び患者名等)が記載された技工指示書の画像も撮影することができる。好ましくはラベルと保険技工物と技工指示書とを1つの画像に同時に収める。
【0016】
作製時登録手段120は、作製時撮影手段110が撮影した画像を解析して、ブロックの製造番号を得る。技工指示書が撮影されていればその識別番号も得る。例えば作製時登録手段120は、公知のOCR(Optical Character Recognition、光学的文字認識)技術により製造番号及び識別番号を取得できる。製造番号及び識別番号がバーコードや2次元コード等で記載されていれば、当該コードを公知の技術で解読しても良い。作製時登録手段120は、取得した製造番号(及び技工指示書の識別番号)と、作製時撮影手段110が撮影した画像を保険技工物管理データベース130に登録する。
【0017】
製造番号が取得できない場合、作製時登録手段120はエラーを出力できる。これにより、ラベル無しで納品するなどのミスを防止できるとともに、1個のブロックから複数の保険技工物を作製したり、ラベルを流用するなどの不正を防止することができる。製造番号が取得できた場合、作製時登録手段120は登録しようとする製造番号を含むレコードが保険技工物管理データベース130に存在するか否かを確認することができる。登録しようとする製造番号を含むレコードが既に存在する場合、作製時登録手段120はエラーを出力できる。
【0018】
保険技工物管理データベース130は、作製時登録手段120が取得した製造番号と、作製時撮影手段110が撮影した画像、納品時撮影手段140が撮影した画像(及び技工指示書の識別番号、納品書の識別番号)を紐付けて記憶する。例えば保険技工物管理データベース130は、製造番号をキーとして、当該製造番号に画像や識別番号を関連付けて格納する保険技工物管理テーブルを備えることができる。
【0019】
なお保険技工物管理データベース130は、上記情報に加えて、ブロックの製造番号と、当該ブロックの製造情報(製造メーカー、製造工場、製造日時、製造ロット等)とを関連付けて記憶していても良い。例えば保険技工物管理データベース130は、製造番号をキーとして、当該製造番号に製造情報を関連付けて格納する製造情報テーブルを備えることができる。製造情報は、典型的にはブロックの製造業者から提供される。保険技工物管理テーブルと製造情報テーブルとを連携することで、例えば後述の検索手段160を使用して、特定の患者に提供された保険技工物の製造情報を調べたり、特定の製造情報を有する保険技工物が提供された患者名を調べたりすることが可能になる。これにより、例えば特定の製造ロットのブロックに不純物が混入していたなどの事情で保険技工物のリコールが必要となる場合などに、容易に対象の保険技工物を追跡することができる。
【0020】
納品時撮影手段140は、保険技工物の納品時、製造番号が記載されたラベルと、納品された保険技工物の画像をカメラで撮影する。好ましくはラベルと保険技工物を1つの画像に同時に収める。納品時撮影手段140は、歯科技工所から歯科医院への納品内容(納品書の識別番号、歯科技工物名及び患者名等)が記載された納品書の画像も撮影することができる。好ましくはラベルと保険技工物と納品書とを1つの画像に同時に収める。
【0021】
納品時登録手段150は、納品時撮影手段140が撮影した画像を解析して、製造番号(及び納品書の識別番号)を得る。例えば作製時登録手段120と同様の処理方法を用いてこれを実現できる。納品時登録手段150は、取得した製造番号(及び納品書の識別番号)と、納品時撮影手段140が撮影した画像を保険技工物管理データベース130に登録する。
【0022】
製造番号が取得できない場合、納品時登録手段150はエラーを出力できる。ラベルが納品されておらず、材料の不正使用のチェック自体ができないためである。この場合、ラベルの納品忘れや、例えば1個のブロックから複数の保険技工物を作製したなどの不正が疑われる。製造番号が取得できた場合、納品時登録手段150は、登録しようとする製造番号を含むレコードが保険技工物管理データベース130に存在するか否かを確認することができる。登録しようとする製造番号を含むレコードが存在しない場合、納品時登録手段150はエラーを出力できる。認可されたブロックで保険技工物が作製された事実を確認できないためである。この場合、ラベルの納品ミスや、ラベルの流用が疑われる。登録しようとする製造番号を含むレコードが存在した場合、納品時登録手段150は、当該製造番号に対応する納品書の識別番号又は納品時の画像が既に存在するか否かを確認することができる。納品書の識別番号又は納品時の画像が既に存在する場合、納品時登録手段150はエラーを出力できる。この場合、ラベル自体が不正である可能性がある。
【0023】
検索手段160は、保険技工物管理データベース130を検索して所望のデータを取得するためのユーザインタフェースである。例えば検索手段160は、製造番号、技工指示書の識別番号、納品書の識別番号等を検索キーとして受け付け、検索キーに合致するレコードがあればその内容を出力する。合致するレコードがなければその旨を通知する。
【0024】
図3のフローチャートを用いて、保険技工物管理システム100の利用形態の一例を示す。
S11:歯科技工所は、歯科医院から受領した技工指示書に基づき、認可された業者から納入されたブロックを用いて保険技工物を作製する。作製後、作製時撮影手段110が、ブロックに添付されたラベル、当該ブロックから作製した保険技工物、技工指示書を含む画像を撮影する。
S12:作製時登録手段120は画像を解析し、ブロックの製造番号、技工指示書の識別番号を得る。製造番号を取得できない場合はエラーを出力する。作製時登録手段120は、保険技工物管理データベース130に製造番号をキーとするレコードを作成し、技工指示書の識別番号、作製時の画像データを格納する。なお製造番号が既に使用されている場合はエラーを出力する。
S13:歯科医院は、納品書、保険技工物、保険技工物の材料に添付されていたラベルを歯科技工所から受領する。納品時撮影手段140が、ラベル、保険技工物、納品書を含む画像を撮影する。
S14:納品時登録手段150は画像を解析し、ラベル記載の製造番号、納品指示書の識別番号を得る。製造番号を取得できない場合はエラーを出力する。納品時登録手段150は、保険技工物管理データベース130から製造番号をキーとするレコードを選択し、納品書の識別番号、納品時の画像データを当該レコードに追加する。なお製造番号が存在しない場合、製造番号が存在するが納品書の識別番号又は納品時の画像が既に登録されている場合はエラーを出力する。
【0025】
図4のフローチャートを用いて、保険技工物管理システム100の他の利用形態を示す。
S21:監査当局は、歯科医院の診療記録を監査し、保険技工物に関する技工指示書、納品書及びラベルが存在することを確認する。監査当局は、技工指示書の識別番号、納品書の識別番号又はラベル記載の製造番号を検索キーとして検索手段160に入力する。
S22:検索手段160は、検索キーに合致するレコードがあればその内容を出力する。合致するレコードがなければその旨を通知する。監査当局は、出力された技工指示書の識別番号、納品書の識別番号及びラベル記載の製造番号が診療記録と一致することを確認する。
【0026】
本実施の形態によれば、保険技工物管理システム100は、ブロックの製造番号と保険技工物との対応関係を記録する手段を提供する。これにより、保険技工物の使用材料を確実にトレースすることができる。加えて、1個のブロックから複数の保険技工物を作製したり、余剰ラベルを流用したりといった不正を容易に検出できる。
【0027】
また本実施の形態によれば、保険技工物管理システム100は製造番号等に関連付けて保険技工物自体の写真も保存するため、エビデンスとしての価値の高い情報を提供できる。加えて歯科技工所システム、歯科医院システムはスマートフォンのカメラなど周知の構成要素で最低限の構成が実現可能であるため、コストを抑制でき、かつユーザが習熟を要しないほどの簡便な操作で諸機能を達成できる。
【0028】
<実施の形態2>
実施の形態2にかかる保険技工物管理システム200は、複数の歯科技工所において作製した保険技工物の使用材料の記録及び重複チェックを行うことができる。
【0029】
図5は、保険技工物管理システム200の構成例を示す模式図である。保険技工物管理システム200は複数の歯科技工所システム、1以上の歯科医院システム、サーバシステムの3つのサブシステムを備える。歯科技工所システム、歯科医院システムのそれぞれは実施の形態1と同様の構成を備える。サーバシステムは、例えばサービスベンダにより運営され、保険技工物管理データベース230及び検索手段160を備える。検索手段160は実施の形態1と同様である。保険技工物管理データベース230は、複数の歯科技工所から取得した製造番号、画像(及び技工指示書の識別番号)を管理する。保険技工物管理データベース230は、全ての歯科技工所からの情報を1つに集約して管理しても良いし、歯科技工所毎に分別して(例えば異なるテーブルで)管理しても良い。保険技工物管理データベース230は、複数の歯科医院から取得した製造番号、画像(及び納品書の識別番号)を管理することもできる。保険技工物管理データベース230は、全ての歯科医院からの情報を1つに集約して管理しても良いし、歯科医院毎に分別して管理しても良い。
【0030】
本実施の形態によれば、保険技工物管理システム200は複数の歯科技工所について、ブロックの製造番号と保険技工物との対応関係を記録する手段を提供する。これにより、歯科技工所の消滅、統合等の異動があった場合でも保険技工物の使用材料のトレーサビリティを維持することができる。また歯科医院や監査当局にとっては、複数の歯科技工所により作製された保険技工物を横断的にトレースできるため利便性が向上する。
【0031】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば上述の実施の形態では、ブロックに添付されるラベルに製造番号が記載された例を示したが、必ずしも製造番号である必要はなく、認可された業者から供給されたブロックであることを示す一意な識別番号であれば良い。また本発明を構成する各手段はハードウェアにより構成されるものであってもよく、任意の処理をCPUにプログラムを実行させることにより論理的に実現するものであってもよい。プログラムは、様々なタイプの一時的又は非一時的な媒体によりコンピュータに供給され得る。
【符号の説明】
【0032】
100 保険技工物管理システム
110 作製時撮影手段
120 作製時登録手段
130 保険技工物管理データベース
140 納品時撮影手段
150 納品時登録手段
160 検索手段
200 保険技工物管理システム
230 保険技工物管理データベース
図1
図2
図3
図4
図5