特許第6959619号(P6959619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959619
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20211021BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20211021BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20211021BHJP
【FI】
   G08B21/24
   H04M1/72
   G07D11/60
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-21251(P2019-21251)
(22)【出願日】2019年2月8日
(65)【公開番号】特開2020-129244(P2020-129244A)
(43)【公開日】2020年8月27日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】薬袋 雅史
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/068737(WO,A1)
【文献】 特開2006−099217(JP,A)
【文献】 特開2013−122684(JP,A)
【文献】 特開2018−113621(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0099464(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0284200(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0293873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00
3/00
9/00
9/04
11/00−13/00
G07F 19/00
G08B 19/00−31/00
H04M 1/00
1/24− 1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置の取引開始音と該自動取引装置の取引終了音を保持した記憶部と、
マイクから収集される外部音を監視し、前記自動取引装置の取引開始音を検出した後、所定時間内に前記自動取引装置の取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力する制御部と、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記媒体取り忘れに関する通知を、音声、画像、及び振動の1つ若しくは組み合わせを用いて出力することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記記憶部は、前記自動取引装置の前記取引開始音及び前記取引終了音の対応関係を示したテーブルを保持することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記記憶部は、前記自動取引装置の位置情報を更に保持し、
前記制御部は、前記自動取引装置の位置情報を参照して、前記自動取引装置の近傍に入った際に、前記マイクによる外部音の監視を開始する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記記憶部は、前記自動取引装置で利用者が使用する銀行毎/サービス毎の取引開始音と取引終了音をそれぞれ保持し、
前記制御部は、利用者が使用する銀行/サービスの取引開始音を検出した後、所定時間内に当該銀行/サービスの取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記制御部は、前記自動取引装置で利用者が使用する銀行/サービスを利用者から選択可能に構成され、
前記記憶部は、前記自動取引装置の取引開始音と該自動取引装置の取引終了音と、該自動取引装置で利用者が使用する可能性が有ると選択した銀行/サービスの取引開始音と取引終了音を少なくとも保持し、
前記制御部は、前記自動取引装置の取引開始音を検出した場合、該自動取引装置の取引終了音と、使用する可能性が有ると選択した銀行/サービスの前記サービスの取引開始音のみの検出を試み、
前記銀行/サービスの取引開始音を検出した場合、所定時間内に当該銀行/サービスの取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力する
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記携帯端末は、携帯電話、スマートフォンの何れかであることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記携帯端末は、ヘッドホン型、イヤホン型の何れかであり、
前記制御部は、該携帯端末が利用者に装着されている状態を識別している場合に、前記マイクから収集される音響を監視することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の携帯端末。
【請求項9】
自動取引装置の取引開始音と該自動取引装置の取引終了音を少なくとも記憶保持した携帯端末の制御部は、
マイクから収集される外部音を監視するステップと、
前記自動取引装置の取引開始音を検出した後、所定時間内に前記自動取引装置の取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力するステップと、
を含むことを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項10】
自動取引装置の取引開始音と該自動取引装置の取引終了音を少なくとも記憶保持した携帯端末の制御部を、
マイクから収集される外部音を監視する音響識別手段と、
前記自動取引装置の取引開始音を検出した後、所定時間内に前記自動取引装置の取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力する通知手段、
として動作させることを特徴とする携帯端末の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置(ATM:Automatic Teller Machine)を利用するユーザーが保持する携帯端末に関し、詳しくは自動取引装置近傍で自動取引装置からの音を監視する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動取引装置は、銀行店舗以外にも設置され、また利用される用途も従前の現金取引以外の用途にも利用されている。また、自動取引装置は、コンビニATMのように、24時間営業店舗や人通りが多い場所に多数設置されている。現状、個別行専用自動取引装置の設置台数は減少しているものの、複数行で共用する自動取引装置の台数は増え続けている。
【0003】
この種の自動取引装置には、磁気カード、ICカード、通帳、明細、現金等の媒体の取り忘れを検知し、利用者に取り忘れの発生を通知する機能を備えたものがある。取り忘れを通知する場合、自動取引装置は、利用者に対して媒体の受け取りを音声や表示によって通知する。このため、利用者が自動取引装置から離れた場所にいたり、表示を見なかったりした場合、利用者はその通知を認識できない。また、自動取引装置が取り忘れ予防の通知を出力した後においても、媒体が自動取引装置に残されている場合、媒体を自動取引装置内に格納する(吸い込む)機能を備えたものもある。
【0004】
自動取引装置に関連した技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【0005】
特許文献1は、自動取引装置を操作して金融取引を行った際に、取り忘れた媒体を自動取引装置に取り込んだ場合、ホストコンピュータを介して顧客の電子メールアドレスに媒体を取り込んだことを電子メールによって利用者に通知する通知システムを開示している。
【0006】
この通知システムでは、媒体の取り忘れが発生した場合、電子メールを送信するホストコンピュータ(上位コンピュータ)と利用者の電子メールアドレスが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−031355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、自動取引装置では、操作後に発生する取り忘れの予防を、音響や画面によるアラートによって実施している。このような自動取引装置では、公共の場所等の設置場所において、大音量でアラート音を通知すると周囲に迷惑となるため、アラート音の音量が制限される傾向がある。また、アラートは、自動取引装置に表示しているため表示範囲が限定される。したがって、取引後、利用者が自動取引装置から直ぐに離れてしまったり、自動取引装置の表示を見なかったりした場合、利用者はアラートを認識しないという問題があった。
【0009】
一方、特許文献1に係る通知システムでは、上述した通り、予め取り忘れ時に電子メールを送る先の電子メールアドレス等の設定をホストコンピュータに対して行う必要がある。このため、個別行専用自動取引装置向けであり、複数行で共用使用する自動取引装置には不向きな側面がある。また、特許文献1に記載された発明は、取り忘れられた媒体を利用者に返却するための発明である。すなわち、自動取引装置を操作後に発生する取り忘れ自体を低減することはできない。
【0010】
本発明の目的は、上記課題に鑑みて成されたものであり、自動取引装置との取引終了後に、媒体を取り忘れた状態で利用者が自動取引装置から離れた場合に、媒体の取り忘れを通知する携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る携帯端末は、自動取引装置の取引開始音と該自動取引装置の取引終了音を保持した記憶部と、マイクから収集される外部音を監視し、前記自動取引装置の取引開始音を検出した後、所定時間内に前記自動取引装置の取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力する制御部と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施形態に係る携帯端末の制御方法は、自動取引装置の取引開始音と該自動取引装置の取引終了音を少なくとも記憶保持した携帯端末の制御部は、マイクから収集される外部音を監視するステップと、前記自動取引装置の取引開始音を検出した後、所定時間内に前記自動取引装置の取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力するステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施形態に係る携帯端末の制御プログラムは、自動取引装置の取引開始音と該自動取引装置の取引終了音を少なくとも記憶保持した携帯端末の制御部を、マイクから収集される外部音を監視する音響識別手段と、前記自動取引装置の取引開始音を検出した後、所定時間内に前記自動取引装置の取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力する通知手段、として動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自動取引装置との取引終了後に、媒体を取り忘れた状態で利用者が自動取引装置から離れた場合に、媒体の取り忘れを通知する携帯端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る携帯端末を示す機能ブロック図である。
図2図1に示された携帯端末の記憶部20に保持される取引開始音と取引終了音の対応関係例を可視化したテーブル情報を示す説明図である。
図3図1に示された携帯端末の動作の一例を示したフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施例に係る携帯端末を説明するブロック図である。
図5】本発明の第2の実施例に係る携帯端末を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る携帯端末1を示す機能ブロック図である。この携帯端末1は、利用者と共に移動し、利用者が自動取引装置を使用して銀行口座等への入金や出金、振込等の取引、あるいは電子マネーへのチャージ等の様々な操作を行った時に利用者に媒体の取り忘れの可能性を示すアラートを出力する。
【0018】
このアラートを利用者自身の所持する携帯端末が出力することによって、自動取引装置近傍において取引終了後おける利用者の注意を喚起することができる。
【0019】
図1に示すように、この携帯端末1は、主要部として、制御部10と記憶部20を備える。
【0020】
制御部10は、携帯端末1の外部音を収集するマイクから収集される音を監視し、自動取引装置の取引開始音を検出した後、所定時間内に自動取引装置の取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知(アラート)を出力するように構成されている。ここで、取引開始音は、利用者が取引のサービスを選択した際や磁気カードを挿入した際などに、自動取引装置から出力される既定の音階や既定の音声メッセージなどのサービス開始時に自動取引装置が鳴らす音響である。また、取引終了音は、利用者が取引を終えた後(取引操作後)に自動取引装置から出力される既定の音階や既定の音声メッセージなどのサービス終了時に自動取引装置が鳴らす音響である。この取引終了音は、利用者が自動取引装置から受け取るべき媒体を全て取り終えた際に出力されるサービス終了時に自動取引装置が鳴らす音響であることが望ましい。音声メッセージ例は、「いらっしゃいませ」や「サービスを選択してください」、「有難うございました」、「カードと明細をお取りください」、「お忘れ物がないようお気を付け下さい」、「取引が終了しました」、「またご利用ください」等が挙げられる。携帯端末1は、自動取引装置の音を内蔵マイクで収集してもよいし、また、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信を介して接続したヘッドホンやイヤホンに搭載されるマイクを介して収集してもよい。携帯端末1は、スピーカーや、バイブレーター、メッセージを介して上記媒体取り忘れに関する通知を、利用者に通知すればよい。
【0021】
また、携帯端末1の制御部10は、自動取引装置の位置情報を参照可能な場合、マイクから収集される音を常時的に監視せずに、自動取引装置の近傍(例えば1m)に入った際にマイクからの外部音の監視を開始するようにしてもよい。また、制御部10は、自装置の移動状態(加速度や位置情報の変化)を参照可能な場合、マイクから収集される外部音を常時的に監視せずに、移動していないときに、マイクからの外部音の監視を開始するようにしてもよい。また、制御部10は、銀行毎/サービス毎の取引開始音と取引終了音を自装置が保持している場合、銀行/サービスの取引開始音を検出した後では、所定時間内に該銀行/サービスの取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力するように動作してもよい。ここで、サービス毎に取引開始音と取引終了音を保持する理由は、自動取引装置で取り扱う銀行の違いや利用する取引の違いに対応させてそれぞれの取引の完了を示す音(取引終了音)が異なることが有る為である。
【0022】
また、制御部10は、自動取引装置で利用者が使用する銀行/サービスを利用者から選択可能であることが望ましい。このことで、制御部10は、自動取引装置の取引開始音を検出した場合、自動取引装置の取引終了音と、使用する可能性が有ると選択した銀行/サービスの取引開始音のみの検出を試み、更に、その銀行/サービスの取引開始音を検出した場合、所定時間内に当該サービスの取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力するように動作できる。
【0023】
記憶部20は、自動取引装置(毎)の取引開始音と自動取引装置(毎)の取引終了音を利用される銀行やサービスに対応付けて複数保持する。取引開始音と取引終了音の対応関係は、テーブルを用いて管理してもよいし、リレーショナルデータベースなどで管理することとしてもよい。
【0024】
取引開始音と取引終了音の各音データは、音そのものをファイル化して保持しても良いし、その特徴を抽出したデータをそれぞれ保持しても良い。この取引開始音と取引終了音は、パターン認識等によって制御部10で外部音を識別するために利用される。
【0025】
また、記憶部20は、自動取引装置群の位置情報を更に保持することとしてもよい。各自動取引装置の位置情報を保持することで、制御部10が自動取引装置の近傍でのみ音を監視することが可能になる。
【0026】
また、記憶部20は、自動取引装置で利用者が使用する銀行毎/サービス毎の取引開始音と取引終了音をそれぞれ保持することが望ましい。使用する銀行毎/サービス毎の取引開始音と取引終了音をそれぞれ保持することで、制御部10が銀行毎/サービス毎に取引開始音の検出後、当該サービスの取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を出力することが可能になる。
【0027】
図2は、記憶部20に保持される取引開始音と取引終了音の対応関係例を可視化したテーブル情報を示す説明図である。図2に示すように、取引開始音と取引終了音は、自動取引装置の種類、使用銀行、サービス等毎に取引開始音と取引終了音の対応関係が記憶されている。
【0028】
次に、本実施形態に係る携帯端末1の動作を説明する。
【0029】
図3は、本実施形態の携帯端末1の動作例を示したフローチャートである。
まず、携帯端末1には、利用者によって、媒体取り忘れ予防監視アプリがダウンロードされているものとし、ここでは、当該アプリが起動されて、媒体取り忘れ予防監視ルーチンが稼働する制御部10を下記のように動作させるものとする。
【0030】
媒体取り忘れ予防監視アプリが起動された際に、制御部10は、まず記憶部20のテーブルを参照して自動取引装置の取引開始音を読み込む(S101)。
【0031】
次に、制御部10は、マイクからの外部音中に取引開始音が含まれているか否かを、取引開始音の検知まで繰り返す(S102)。この場合、制御部10は、音声認識技術等を利用して外部音を処理して、自動取引装置の種類に応じた取引開始音を認識すればよい(S103)。
【0032】
制御部10は、外部音に取引開始音が含まれていることを検知すると(S103:Yes)、タイマーを稼働させる。制御部10は、この状態で、マイクからの外部音に関連する取引終了音が含まれるか否かを監視する状態に移行する(S104)。
【0033】
制御部10は、取引終了音が所定時間内に検知された場合(S105:No)、取引開始音の監視に戻る。他方、所定時間内に取引終了音を検知できない場合(S105:Yes)、制御部10は、媒体取り忘れに関する通知を出力する(S106)。その後、通知を確認した利用者は、現実に媒体を取り忘れていた場合には自動取引装置に戻り、媒体を回収する。
【0034】
ここで、自動取引装置毎の取引開始音と取引終了音と共に銀行毎/サービス毎の取引開始音と取引終了音が保持されている場合、自動取引装置の取引開始音を検出した後に、自動取引装置の取引終了音の外に、携帯端末1は使用する可能性が有る銀行/サービスに応じた取引開始音を検出するように動作させればよい。この際、制御部10は、銀行/サービスに応じた取引開始音を検出した場合、所定時間内に当該銀行/サービスの取引終了音を検知できない場合に、媒体取り忘れに関する通知を通知すれば良い。
【0035】
上記の通り、本実施形態に係る携帯端末1によれば、自動取引装置において顧客による取引終了後、媒体を取り忘れた状態で利用者が自動取引装置から離れた場合に、利用者の所持する携帯端末1により媒体の取り忘れを通知できる。このことで、利用者の啓発などの他の自動取引装置での媒体取り忘れ対策と共に、本発明に係る携帯端末での媒体を取り忘れ低減機能を用いた対策を図ることで、利用者の媒体取り忘れを現実的に低減できる。
【0036】
次に、幾つかの携帯端末1の構成例を説明する。
【0037】
[第1の実施例]
図4は、本発明の第1の実施例に係る携帯端末を説明するブロック図である。
【0038】
図4に示された携帯端末1は、携帯端末1全体を制御する携帯端末制御部25と、マイクを制御するマイク制御部30と、タイマーを制御するタイマー制御部40と、画面の表示を制御する画面制御部50と、スピーカー61を制御するスピーカー制御部60とを備えている。上記した携帯端末制御部25、マイク制御部30、タイマー制御部40、画面制御部50、及びスピーカー制御部60は、図1に示す制御部10に対応している。図4では説明の便宜上、複数の機能ブロックに分けた形式で示しており、携帯端末制御部25は、プロセッサーによって構成されている。また、マイク制御部30、画面制御部50、及びスピーカー制御部60は、マイク31、画面51、及びスピーカー61をそれぞれ制御する。
【0039】
更に、図示された携帯端末1は、記憶部20を備え、当該記憶部20には、オペレーティングシステム、取引開始音、取引終了音などと共に、本発明に係る媒体取り忘れ予防監視アプリが格納されている。当該携帯端末1は、携帯端末1のプロセッサを媒体取り忘れ予防監視アプリを制御プログラムとして、上記した携帯端末制御部25等の各要素を所要に動作させる。
【0040】
次に、図4に示された携帯端末1の動作を説明する。
【0041】
図4において、マイク31は、外部音を受けると当該外部音を電気信号に変換してマイク制御部30に出力する。マイク制御部30は、予め準備されたテーブル(図2参照)を参照し、マイク31からの音データと、記憶部20に格納されている取引開始音の音データとを比較する。
【0042】
マイク制御部30は、比較の結果、外部音から得られた音データが自動取引装置の取引開始音と一致した場合、マイク制御部30は携帯端末制御部25に取引開始音の検出を通知する。
【0043】
携帯端末制御部25は、マイク制御部30から自動取引装置の取引開始音の検出の通知を受け付けた場合、タイマー制御部40へ自動取引装置の取引時間監視タイマーの開始を指示する。このタイマー制御部40は、記憶部20に記録されている自動取引装置の取引時間監視タイマー値を記録したテーブルを参照し、その値を計時する。タイマー制御部40は、設定時間が経過した場合、携帯端末制御部25へ自動取引装置の取引時間監視タイマーの完了を通知する。
【0044】
携帯端末制御部25は、タイマー制御部40から自動取引装置の取引時間監視タイマーの完了の通知を受けた場合、画面制御部50およびスピーカー制御部60に自動取引装置から媒体を取り忘れた可能性があることを示す通知(アラート)を出力する。
【0045】
画面制御部50は、自動取引装置から媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを示す画面データを記憶部20から取得可能であり、携帯端末制御部25からアラートを受けた際に、該当画面データを画面51に表示させる。媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを示す画面データは、例えば、“キャッシュカードを取り忘れていませんか?”などの画像やテキストメッセージの画面が挙げられる。画面51は、画面制御部50から指示に応じて、媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを示す画面データを画面に表示する。
【0046】
また、スピーカー制御部60は、自動取引装置から媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを示す音データを記憶部20から取得可能であり、携帯端末制御部25からアラートを受けた際に、当該音データをスピーカー61から再生する。媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを示す音データは、例えば、“キャッシュカードを取り忘れていませんか?”などの音声や特定の音階、通知の発生を示す音、利用者が設定した音などが挙げられる。スピーカー61は、スピーカー制御部60が再生した媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを示す音を出力する。
【0047】
マイク制御部30はまた、予め準備されたテーブル(図2参照)を参照し、マイク31からの音データと、記憶部20に格納されている取引終了音の音データとを比較する。
【0048】
比較の結果、外部音から得られた音データが自動取引装置の取引終了音と一致した場合、マイク制御部30は携帯端末制御部25に取引終了音の検出を通知する。
【0049】
携帯端末制御部25は、マイク制御部30から自動取引装置の取引終了音の検出を受信した場合、タイマー制御部40の状態を確認する。自動取引装置の取引時間監視タイマーが動作中であった場合、タイマー制御部40に該当取引時間監視タイマーのクリアを通知する。タイマー制御部40は、携帯端末制御部25から自動取引装置の取引時間監視タイマーのクリアを受けた場合、該当タイマーをクリアする。
【0050】
なお、携帯端末1は、通知機能を使用して、上記した自動取引装置から媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを示すメッセージと音を同時的に再生するようにしてもよい。
【0051】
本発明の第1の実施例に係る携帯端末1は、自動取引装置において利用者による取引終了後、利用者が自動取引装置から媒体を取り忘れた状態で自動取引装置から離れても、利用者自身によって所持されている携帯端末1に取り忘れの可能性を示すアラートを通知させることにより、媒体の取り忘れを効果的に低減できる。
【0052】
[第2の実施例]
図5は本発明の第2の実施例に係る携帯端末1を示すブロック図であり、図4と同部分には、同一の参照番号が付されている。
【0053】
図5に示された携帯端末1の基本的構成は第1の実施例の通りであるが、携帯端末1から利用者に対する媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを別の手法で通知できる。第1の実施例のように携帯端末1の画面に媒体取り忘れの警報を表示しても利用者が画面を見ないことがある。また、携帯端末1のスピーカーに媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを出力しても周囲の雑音が大きいと利用者に聞こえない場合がある。図5に示された携帯端末1はこのような場合にも利用者に媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを通知できる。
【0054】
図5に示された携帯端末1は、図4に示された構成に更にモーター制御部70及びモーター71を含む構成を備えている。図5において、携帯端末制御部25から媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートを受けた場合、モーター制御部70は、モーター71に媒体の取り忘れた可能性がある旨のアラートのモーター制御信号を送信する。モーター制御部70から当該モーター制御信号を受信すると、モーター71は所定の振動を発生させ、媒体の取り忘れた可能性を利用者に対して振動で通知する。このため、第2の実施例に係る携帯端末1は周囲の雑音が大きい環境においても、利用者は媒体の取り忘れた可能性に関する通知を振動によっても認識することが可能になる。
【0055】
この実施例に係る携帯端末1は周囲の大きい雑音や利用者の不注意等によるアラートの見落としを少なくすることができる。
【0056】
上記した実施形態及び実施例では、媒体取り忘れ予防監視アプリケーションがダウンロードされて、携帯端末1の制御部10が構築されるものとして説明した。
【0057】
なお、当該アプリケーションを実行する携帯端末1の制御部10は、コンピュータシステムのハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。このコンピュータシステムは、所望形態に合わせた、1ないし複数のプロセッサーとメモリーを含む。また、このコンピュータシステムの形態では、各部は、上記メモリーに携帯端末の制御プログラムが展開され、このプログラムに基づいて1ないし複数のプロセッサー等のハードウェアを実行命令群やコード群で動作させることによって、実現すればよい。この際、必要に応じて、このプログラムは、オペレーティングシステムや、アプリ、マイクロプログラム、ドライバなどの各ソフトウェアが提供する機能と協働して、各部を実現すればよい。また、上記説明した制御部10の一部の構成要素をハードウェアを用いて置換することとしてもよい。
【0058】
なお、実施形態と実施例を例示して本発明を説明した。しかし、本発明の具体的な構成は前述の実施形態と実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した実施形態のブロック構成の分離併合、手順の入れ替えなどの変更は本発明の趣旨および説明される機能を満たせば自由であり、上記説明が本発明を限定するものではない。
【0059】
例えば、上記携帯端末1は、携帯電話や、スマートフォンを想定して説明したが、例えばヘッドホンやイヤホン型の携帯端末において、内蔵マイクと内蔵スピーカー、プロセッサー、内部メモリーを用いて、上記説明した携帯端末と同機能を実現することとしてもよい。また、ヘッドホン型やイヤホン型の携帯端末では、利用者が装着済みであるか識別し、装着済みの場合にのみ上記機能、具体的には少なくともマイクから収集される外部音を監視する動作を実行するように構成することが望ましい。このことで、例えば位置情報や加速度を取得するヘッドホン型やイヤホン型の携帯端末において、装着済み且つほぼ移動停止中を条件に自動取引装置での媒体の取り忘れ低減機能を稼働させることが可能になる。また、自動取引装置の設置位置の位置情報を保持すれば、自動取引装置の近傍のみで動作する媒体の取り忘れ低減機能を備えたヘッドホン型やイヤホン型の携帯端末が得られる。この形態によれば例えば利用者が音楽やゲームに注意が移っていたとしても、媒体を取り忘れた状態で利用者が自動取引装置から離れた場合に、媒体の取り忘れの可能性をヘッドホンやイヤホンから通知することが可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1 携帯端末
10 制御部
20 記憶部
25 携帯端末制御部
30 マイク制御部
31 マイク
40 タイマー制御部
50 画面制御部
51 画面
60 スピーカー制御部
61 スピーカー
70 モーター制御部
71 モーター
図1
図2
図3
図4
図5