特許第6959620号(P6959620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959620
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】土均し装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/04 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   A01B35/04 B
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-219435(P2019-219435)
(22)【出願日】2019年12月4日
(65)【公開番号】特開2021-87387(P2021-87387A)
(43)【公開日】2021年6月10日
【審査請求日】2019年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】519433160
【氏名又は名称】脇本 秀裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107917
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 英俊
(72)【発明者】
【氏名】脇本 秀裕
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭48−007922(JP,Y1)
【文献】 特開2001−146761(JP,A)
【文献】 特開2013−142234(JP,A)
【文献】 仏国実用新案証公開第02485869(FR,A3)
【文献】 特開2009−046971(JP,A)
【文献】 特開2015−058000(JP,A)
【文献】 特開2017−108645(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3094512(JP,U)
【文献】 特開2013−172715(JP,A)
【文献】 特開平08−275611(JP,A)
【文献】 実公昭47−032244(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00 − 31/00
A01B 35/00 − 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土表面に沿って移動する移動体に取り付けられ、土表面に接触して移動することで土表面を均す土均し装置であって、
土表面に接触する接触部を有する接触手段と、
接触部の高さが変化するように移動体に対して接触手段を直線又は曲線に沿って移動可能になるように接触手段に接触して支持する移動可能支持部を含み、少なくとも2以上の土表面に対する接触部の高さにおいて接触手段を支持する支持手段と、を備えてなり、
接触手段が、直線に略沿った縁部である第1縁部を接触部として有してなる平板部材たる均し板を含んでなり、
移動可能支持部は、第1縁部が略沿った該直線に対して垂直方向への成分と、該平板部材の主表面に沿った方向への成分と、の両成分を有する方向に均し板をスライド自在に支持するものであり、
均し板の主表面に対して垂直な方向から見て、均し板の主表面と少なくとも一部の主表面が重なるように移動可能支持部に直接的又は間接的に取り付けられるか又は移動可能支持部を構成する固定板を有し、
固定板に対して均し板が相対的に移動することで、均し板の主表面と固定板の主表面とが摺動するものであり、
固定板に対して均し板がスライド移動する方向に均し板と固定板とのうち一方から他方に向かって突出し該他方と摺動する部分と、該他方から該一方に向かって突出し該一方と摺動する部分と、の両方が形成されたものである、土均し装置。
【請求項2】
均し板が、互いに略平行な一対の第2縁部及び第3縁部を有してなり、
移動可能支持部は、第2縁部をスライド自在に支持する一方部材と、一方部材に対する第2縁部のスライド方向と略平行方向に第3縁部をスライド自在に支持する他方部材と、一方部材と他方部材とを連結する連結部材と、を含んでなるものである、請求項1に記載の土均し装置。
【請求項3】
土表面に沿って移動する移動体に取り付けられ、土表面に接触して移動することで土表面を均す土均し装置であって、
土表面に接触する接触部を有する接触手段と、
接触部の高さが変化するように移動体に対して接触手段を直線又は曲線に沿って移動可能になるように接触手段に接触して支持する移動可能支持部を含み、少なくとも2以上の土表面に対する接触部の高さにおいて接触手段を支持する支持手段と、を備えてなり、
接触手段が、直線に略沿った縁部である第1縁部を接触部として有すると共に互いに略平行な一対の第2縁部及び第3縁部を有してなる平板部材たる均し板を含んでなり、
移動可能支持部は、第2縁部をスライド自在に支持する一方部材と、一方部材に対する第2縁部のスライド方向と略平行方向に第3縁部をスライド自在に支持する他方部材と、一方部材と他方部材とを連結する連結部材と、を含んでなり、第1縁部が略沿った該直線に対して垂直方向への成分と、該平板部材の主表面に沿った方向への成分と、の両成分を有する方向に均し板をスライド自在に支持するものであり、
一方部材が、第2縁部をスライド自在に嵌入でき第2縁部に沿って連続した嵌入溝を有すると共に、
他方部材が、第3縁部をスライド自在に嵌入でき第3縁部に沿って連続した嵌入溝を有するものである、土均し装置。
【請求項4】
接触手段を前記直線又は前記曲線に沿って移動させる駆動手段を有してなる、請求項1乃至3のいずれか1に記載の土均し装置。
【請求項5】
駆動手段が手動ジャッキを含む、請求項4に記載の土均し装置。
【請求項6】
移動可能支持部に対する接触部の相対的位置を直接的又は間接的に示す位置表示手段を有するものである、請求項1乃至5のいずれか1に記載の土均し装置。
【請求項7】
土表面に沿って移動する移動体に取り付けられ、土表面に接触して移動することで土表面を均す土均し装置であって、
土表面に接触する接触部を有する接触手段と、
少なくとも2以上の土表面に対する接触部の高さにおいて接触手段を支持する支持手段と、を備えてなり、
支持手段は、接触部の高さが変化するように移動体に対して接触手段を直線又は曲線に沿って移動可能になるように接触手段に接触して支持する移動可能支持部と、接触手段の接触部の土表面に対する高さが最も低くなるような移動可能支持部に対する位置に接触手段が存する状態を含む土均し作業状態において移動可能支持部を移動体に対して回動可能に支持し、接触部の土表面からの高さが変化するように接触手段を移動体に対して回動可能に支持する回動可能支持部と、を含んでなり、
該回動位置を調節することで該高さを調節するものである、土均し装置。
【請求項8】
接触部が直線に略沿っており、
回動可能支持部が、接触部が略沿う該直線に略平行な回動軸の周りに接触手段を回動可能に支持するものである、請求項7に記載の土均し装置。
【請求項9】
回動可能支持部により回動可能に支持される接触手段を回動させる回動手段を有してなる、請求項7又は8に記載の土均し装置。
【請求項10】
回動手段が伸縮装置を含む、請求項9に記載の土均し装置。
【請求項11】
前記移動体が農業用トラクター本体である、請求項1乃至10のいずれか1に記載の土均し装置。
【請求項12】
前記移動体が前後移動可能なものであり、
請求項1乃至11のいずれか1に記載の土均し装置と、該土均し装置が前方に取り付けられた前記移動体と、を含んでなる、土均し移動体。
【請求項13】
前記移動体が、前方を目視する運転者により操作されるものであり、
接触部を土表面に接触させた状態で、移動体を後進させるものである、請求項12に記載の土均し移動体を用いた土均し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土均し装置に関し、より詳細には、土表面に沿って移動する移動体に取り付けられ、土表面に接触して該移動体の移動に伴って移動することで土表面を均す土均し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土均し装置は、これまでも用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、農業分野において用いられる「田の泥土面を平坦に均すのに用いて便利な土均し用具」(特許文献1、明細書第1頁第10〜11行)が開示されており、具体的には「長方形状の土受板の下縁部に土を掻き均す凹凸状の掻き均し歯を形成し、この土受板の左右に土を土受板の前側に導入する土導入板を突設し、土受板の上部にトラクタ側に連結する連結部材を付設したことを特徴とする土均し用具」(特許文献1、実用新案登録請求の範囲)が記載されている。かかる特許文献1の土均し用具によれば、「トラクタ(4)に連結部材(5)を連結して本用具を凹凸のある泥土面に引動すれば、土受板(1)の下縁部に形成された掻き均し歯(2)が盛り上がった土を削り取って泥土面の凹部に運び落し、泥土面を平坦に均すことになるが、この掻き均し歯(2)は凹凸状であるから盛り上がった土をその裾野付近から削り取ることになり、泥土面が良好に掻き均されることになる。又、この土受板(1)の左右には土導入板(3)が突設されているから土受板(1)の前側にある盛り上がった土の全部が土受板(1)の前側に導びかれるとともに、土受板(1)の左右側部に土がこぼれ出すこともなくなるため土受板(1)の全幅にわたる泥土面が平坦に掻き均され、かつまた土受板(1)の左右側部に土の盛り上がりを残すこともなくなり、泥土面をきわめて良好に掻き均すことが可能となるなど幾多の優れた実用上の効果を奏する」(特許文献1、明細書第4頁第1行〜第5頁第2行)というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−182703号公報(例えば、実用新案登録請求の範囲、明細書第1頁第10行〜第2頁第5行、第4頁第1行〜第5頁第3行、第1図、第2図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の土均し用具(本発明にいう土均し装置)においては、上述の如く、泥土面を均すことができるが、その均される土表面のトラクタ(4)(本発明にいう移動体)に対する高さは、土均し用具(本発明にいう土均し装置)の重さとトラクタ(4)(本発明にいう移動体)の速度等により変化するため、移動体に対して所望の高さに土均しすることは容易ではなかった。
そこで、本発明では、移動体に対して所望の高さに容易に土均しすることができる土均し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の土均し装置(以下「本装置」という。)は、土表面に沿って移動する移動体に取り付けられ、土表面に接触して移動することで土表面を均す土均し装置であって、土表面に接触する接触部を有する接触手段と、少なくとも2以上の土表面に対する接触部の高さにおいて接触手段を支持する支持手段と、を備えてなる、土均し装置である。
本装置は、土表面に沿って移動する移動体に取り付けられた状態で、該移動体が移動することにより、土表面に接触して移動することで土表面を均す土均し装置である。移動体としては、土表面に沿って移動するものであれば何ら限定されるものではなく、農業用トラクター、自動車(2輪、3輪、4輪・・・等のように車輪数は制限されない。)、自転車、原動機付き自転車、手押し車、スノーモービル等を例示できる。
本装置は、接触手段と、支持手段と、を備えてなる。
接触手段は、土表面に接触する接触部を有する。この接触部が、土表面に接触した状態で移動することで土表面を均す。
支持手段は、接触手段を支持するものであり、土表面に対する接触部の高さが異なる(少なくとも2以上の高さ)状態で接触手段を支持する。
これによって、少なくとも2以上の土表面に対する接触部の高さを取り得ることから、該少なくとも2以上の高さから所望の高さに近いものを選択することにより、本装置により所望の高さに容易に土均しできる。なお、土表面に対する接触部の高さは、多くのものを取り得る方が所望の高さにより近いものとすることができ、連続的に変化可能にすれば所望の高さに完全に一致させることができる可能性が増加する。
【0006】
本装置においては、支持手段は、接触部の高さが変化するように移動体に対して接触手段を直線又は曲線に沿って移動可能になるように接触手段に接触して支持する移動可能支持部を含んでなるもの(以下「移動可能支持部本装置」という。)であってもよい。
このように支持手段が移動可能支持部を含むことで、移動体に対して接触手段を直線又は曲線に沿って移動可能な状態(この移動により土表面に対する接触部の高さを変化させることができる。)で移動可能支持部が接触手段に接触して接触手段を支持する。このため移動可能支持部が接触手段を接触した状態で移動可能に支持することから、移動可能支持部を簡単に構成できると共に確実に接触手段を支持できる。
【0007】
移動可能支持部本装置においては、接触手段が、直線に略沿った縁部である第1縁部を接触部として有してなる平板部材たる均し板を含んでなり、移動可能支持部は、第1縁部が略沿った該直線に対して垂直方向への成分と、該平板部材の主表面に沿った方向への成分と、の両成分を有する方向に均し板をスライド自在に支持するもの(以下「スライド支持本装置」という。)であってもよい。
この場合、接触手段が平板部材たる均し板を含み、均し板が、第1縁部を接触部として有する。第1縁部は、直線に沿った真っ直ぐなものである。そして、移動可能支持部は均し板をスライド自在に支持し、このスライド方向は、第1縁部が略沿った該直線に対して垂直方向への成分と、均し板を構成する該平板部材の主表面に沿った方向への成分と、の両成分を有する方向である。こうすることで該直線に沿った第1縁部を先縁として、均し板をスライドさせ進退させることができるので、土表面に対する接触部たる第1縁部の高さの方向(第1縁部から土表面に下ろした垂線に沿った方向)の成分をスライド方向が含むようにすれば、接触部たる第1縁部の土表面に対する高さをうまく変化させることができる。
【0008】
スライド支持本装置においては、均し板が、互いに略平行な一対の第2縁部及び第3縁部を有してなり、移動可能支持部は、第2縁部をスライド自在に支持する一方部材と、一方部材に対する第2縁部のスライド方向と略平行方向に第3縁部をスライド自在に支持する他方部材と、一方部材と他方部材とを連結する連結部材と、を含んでなるものであってもよい。
均し板が、互いに略平行な一対の第2縁部及び第3縁部を有すると共に、移動可能支持部が、一方部材と、他方部材と、一方部材と他方部材とを連結する連結部材と、を含む。そして、一方部材は第2縁部をスライド自在に支持し、他方部材は第3縁部をスライド自在に支持し、他方部材が第3縁部をスライド自在に支持するスライド方向は、一方部材に対する第2縁部のスライド方向と略平行方向である。これによって一方部材と他方部材と連結部材という簡単な構成により、第1縁部を先縁として均し板をスライドさせ進退させることができる。
また、一方部材が第2縁部をスライド自在に支持する方法としては、第2縁部をスライド自在に嵌入できる嵌入溝を一方部材に形成したり(第2縁部を該嵌入溝に嵌入する。)、一方部材に突部を形成すると共に第2縁部に該突起をスライド自在に嵌入できる嵌入溝を設けること等を例示できる。同様に、他方部材が第3縁部をスライド自在に支持する方法としては、第3縁部をスライド自在に嵌入できる嵌入溝を他方部材に形成したり(第3縁部を該嵌入溝に嵌入する。)、他方部材に突部を形成すると共に第3縁部に該突起をスライド自在に嵌入できる嵌入溝を設けること等を例示できる。
【0009】
スライド支持本装置においては、均し板の主表面に対して垂直な方向から見て、均し板の主表面と少なくとも一部の主表面が重なるように移動可能支持部に直接的又は間接的に取り付けられるか又は移動可能支持部を構成する固定板を有するものであってもよい。
このようにスライド移動する均し板と、均し板の主表面と少なくとも一部の主表面が重なる固定板と、を用いることで、均し板の主表面に対して垂直な方向から見たときに両板が重なるようにすれば両板をコンパクトにすることができ、さらに均し板の主表面と固定板の主表面とが当接することで均し板を補強することもできる。
【0010】
移動可能支持部本装置においては、接触手段を前記直線又は前記曲線に沿って移動させる駆動手段を有してなるもの(以下「駆動手段本装置」という。)であってもよい。
移動可能支持部本装置において接触手段を前記直線又は前記曲線に沿って移動させる方法としては、人が接触手段を手で把持して移動(所望の位置まで移動させた後にピン等の固定手段で固定する。)させてもよいが、機械的に接触手段を移動させる駆動手段によれば本装置の使用を便ならしめることができる。かかる駆動手段としては、ジャッキやアクチュエータ(手動、電動、前記移動体の動力を用いるもの、いずれも含む。)等を例示できる。
【0011】
駆動手段本装置においては、駆動手段が手動ジャッキを含むものであってもよい。
駆動手段が手動ジャッキを含み、この手動ジャッキにより接触手段を移動させることによって、駆動手段を簡易に構成でき、本装置の製造コストを低減させることができる。
【0012】
移動可能支持部本装置においては、移動可能支持部に対する接触部の相対的位置を直接的又は間接的に示す位置表示手段を有するものであってもよい。
移動可能支持部は、接触部の高さが変化するように移動体に対して接触手段を直線又は曲線に沿って移動可能になるように接触手段に接触して支持するので、移動可能支持部に対する接触部の相対的位置を直接的又は間接的に示す位置表示手段を有するようにすれば、該示される相対的位置に基づき接触部の高さを直接的又は間接的に知ることができる。これによって所望の接触部の高さとなるように、移動可能支持部に対する接触部の相対的位置を的確かつ容易に調整できる。
【0013】
本装置においては、支持手段は、接触部の土表面からの高さが変化するように接触手段を移動体に対して回動可能に支持する回動可能支持部を含んでなるもの(以下「第1回動可能支持部本装置」という。)であってもよい。
このように支持手段が回動可能支持部を含むことで、移動体に対して接触手段を回動可能な状態(この回動により土表面に対する接触部の高さを変化させることができる。)で回動可能支持部が接触手段を支持する。このように回動可能支持部が接触手段を移動体に対して回動可能に支持するという簡単な構成により、確実に接触手段を支持し、接触部の土表面からの高さを変化させることができる。
【0014】
移動可能支持部本装置においては、支持手段は、接触部の土表面からの高さが変化するように接触手段を移動体に対して回動可能に支持する回動可能支持部を含んでなり、回動可能支持部は、移動可能支持部を移動体に対して回動可能に支持するもの(以下「第2回動可能支持部本装置」という。第1回動可能支持部本装置と第2回動可能支持部本装置とを合わせて回動可能支持部本装置という。)であってもよい。
第1回動可能支持部本装置においては、回動可能支持部は、移動可能支持部本装置における移動可能支持部を移動体に対して回動可能に支持するもの(第2回動可能支持部本装置)であってもよい。
こうすることで接触部の高さが変化するように移動体に対して接触手段を直線又は曲線に沿って移動可能になるように接触手段に接触して支持する移動可能支持部を回動可能支持部が移動体に対して回動可能に支持するので、移動可能支持部により移動体に対して接触手段が直線又は曲線に沿って移動することと、回動可能支持部により移動体に対して移動可能支持部が回動すること、との両方により接触部の土表面からの高さを調節できるので、本装置の使用環境や使用状態等に応じてより簡単かつ的確に高さを調節できる(該移動と該回動とのどちらか一方又は両方により高さ調整することができ、高さ調整をより柔軟に行うことができる。)。
【0015】
回動可能支持部本装置においては、接触部が直線に略沿っており、回動可能支持部が、接触部が略沿う該直線に略平行な回動軸の周りに接触手段を回動可能に支持するものであってもよい。
こうすることで、直線に沿っている接触部が、接触部が略沿う該直線に略平行な回動軸の周りに回動されることから、1の回動位置において、略水平に接触部が沿うようにすれば、該回動軸の周りに接触手段を回動させて高さを変化させても土表面を常に略水平に保つことができる。
【0016】
回動可能支持部本装置においては、回動可能支持部により回動可能に支持される接触手段を回動させる回動手段を有してなるもの(以下「回動手段本装置」という。)であってもよい。
回動可能支持部本装置において接触手段を移動体に対して回動させる方法としては、人が接触手段を手で把持して回動(所望の位置まで回動させた後にピン等の固定手段で固定する。)させてもよいが、機械的に接触手段を回動させる回動手段によれば本装置の使用を便ならしめることができる。かかる回動手段としては、アクチュエータ(手動、電動、前記移動体の動力を用いるもの、いずれも含む。)、伸縮装置、回転装置等を例示できる。
【0017】
回動手段本装置においては、回動手段が伸縮装置を含むものであってもよい。
回動手段が伸縮装置を含み、この伸縮によって接触手段を移動体に対して回動させることによって、回動手段を簡易に構成でき、本装置の製造コストを低減させることができる。
【0018】
本装置においては、前記移動体が農業用トラクター本体であってもよい。
稲、野菜及び果物等の農作物を生産する農場においては、農作物を作付する際に農場を土均しする必要が生じる。かかる土均し作業には、通常、農業用トラクターが用いられてきた。このとき特許文献1に開示の土均し用具のようなものを用いれば、均される土表面の高さ調節が難しく農作業の妨げになることがあったが、本装置を農業用トラクター本体に取り付けることで、均される土表面の高さをうまく調節して農場の土均し作業を容易かつ的確に行うことができる。
【0019】
本発明は、本装置を含む土均し移動体(以下「本移動体」という。)を提供する。
本移動体は、本装置が取り付けられる前記移動体が前後移動可能なものであり、本装置と、本装置が前方に取り付けられた前記移動体と、を含んでなる、土均し移動体である。
本装置が取り付けられる前記移動体が前後移動可能であり、この前後移動可能な前記移動体の前方に本装置が取り付けられることで、通常、観察し易い前方に本装置が配設されるので、本装置による土均し作業の状況を的確に把握しながら土均し作業を確実かつ容易に行うことができる。
【0020】
本発明は、本移動体を用いた土均し方法(以下「本方法」という。)を提供する。
本方法は、前記移動体が、前方を目視する運転者により操作されるものであり、接触部を土表面に接触させた状態で、移動体を後進させるものである、本移動体を用いた土均し方法である。
本装置が取り付けられる前記移動体が、前方を目視する運転者により操作されるものであるので、土均しすべき範囲の外縁近く(例えば、田んぼの外縁である畦の近く)についても、前記移動体を移動させ、該外縁近くに本装置を位置させ接触部を土表面に接触させ、そこから前記移動体を後退させることによって、本装置による土均し作業の状況を的確に把握しつつ該作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る土均し装置(本装置)が農業用のトラクタ本体に取り付けられて構成される農業用のトラクタを示す図(一部省略)である。
図2】本装置の右側面図である。
図3】本装置を、図2中の矢印A方向から見たところを示す図である。
図4図4(a)は図2中のB−B断面図であり、図4(b)は図2中のC−C断面図である。
図5図3に示した本装置からジャッキ、移動板及び目盛板を取り外した状態の図である。
図6図5のD−D断面図である。
図7】移動板の正面図である。
図8図3のD−D断面図(一部省略)である。
図9図8のF−F断面図(一部省略)である。
図10図3のE−E断面図である。
図11】第1縦部材を示す図である。
図12】第2縦部材を示す図である。
図13】本装置が農業用トラクタ本体に取り付けられた農業用のトラクタの使用方法を説明する図である。
図14図3に示す状態から移動板を移動させた状態を示す図である。
図15図14のF−F断面図である。
図16】本装置が農業用トラクタ本体に取り付けられた農業用のトラクタの使用方法(縁と縁とが合わさる隅部分に集まり高くなった土を、本装置が農業用トラクタ本体に取り付けられた農業用のトラクタにより移動させて均す方法)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る土均し装置(本装置)11が農業用のトラクタ本体101の前方に取り付けられて構成される農業用のトラクタ201を示す図である。図1を参照して、トラクタ201について説明する。
トラクタ201は、トラクタ本体101と、トラクタ本体101の前端に取り付けられた本装置11と、を含んでなる。
【0024】
トラクタ本体101は、車体107と、車体107に回転自在に取り付けられた一対の前輪103(図1には右前輪のみが現れる。)と、車体107に回転自在に取り付けられた一対の後輪105(図1には右後輪のみが現れる。)と、車体107に配設された座席109と、車体107に取り付けられたエンジン収納部113と、を有してなり、従来のトラクタと同様、図示しない運転手が座席109に着座し、ハンドル115(一対の前輪103の方向を変化させる。)、ペダル117(アクセルやブレーキ)及びレバー119(変速、前進後退の切り替え)等を操作することで、トラクタ本体101を左右前後に自由に移動させることができる。なお、前方向(直進方向)を図1中の矢印Fにて示し、後方向を図1中の矢印Bにて示す。
【0025】
次いで本装置11について詳しく説明する。図2は、本装置11の右側面図(図1とほぼ同じ方向から見ており、後述の本体部51が略鉛直方向に垂下した状態を示している。)であり、図3は、本装置11を図2中の矢印A方向から見たところを示しており(前方から見たところを示す。)、図4(a)は図2中のB−B断面図(図示及び理解を容易にするため、後述のジャッキ71は構造の図示を省略し長方形により示している。かかる点は図4(b)においても同様である。)であり、図4(b)は図2中のC−C断面図であり、図5は、図3に示した本装置11からジャッキ71、移動板65及び目盛板58を取り外した状態の図であり、図6図5のD−D断面図であり、図7は移動板65の正面図(図3と同じ方向から移動板65を見たところを示している。)であり、図8図3のD−D断面図(一部省略)であり、図9図8のF−F断面図(一部省略)であり、そして図10図3のE−E断面図である。図1乃至図10を参照して、本装置11について説明する。
以降、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸及びZ軸を用いて説明し、これらX軸、Y軸及びZ軸の方向を図中にX、Y及びZとして示す。Z軸は、後述する第1縦部材57の長手方向及び第2縦部材59の長手方向(これら両長手方向は互いに略平行である。)に平行である。
【0026】
本装置11は、トラクタ本体101が有するフレーム121の前端121aに取り付けられる取付部21と、本体部51と、取付部21と本体部51とを回動自在に取り付ける連結部31と、フレーム121と本体部51との間に取り付けられる駆動部41と、を含んでなる。
【0027】
取付部21は、フレーム121の前端121aに取り付けられる棒状部材25と、フレーム121の前端121aと棒状部材25の上面とに取り付けられる等辺山形鋼23と、を含んでなる。棒状部材25は、Y軸に対して垂直な平面による断面がいずれも同じ略長方形をなす鋼製の角柱(中空)により形成されており、長手方向がY軸に平行に配設され、該角柱の4の側面のうち1の側面がフレーム121の前端121aに取り付けられると共に、該1の側面に隣接する1の側面(上面)が等辺山形鋼23の下面に取り付けられている。等辺山形鋼23は、いわゆる「L字アングル」等と呼ばれる形鋼により形成され、Y軸に対して垂直な平面による断面はいずれも同じアルファベットの「L」の字に似た鋼製の部材により形成されており、長手方向がY軸に平行に配設されている。等辺山形鋼23の2の外面のうち1の外面がフレーム121の前端121aに取り付けられると共に、上述のように他の1の外面(下面)が棒状部材25の上面に取り付けられている。このように等辺山形鋼23をY軸方向に沿って配設することで、Y軸に対して垂直方向への取付部21の強度を向上させることができる。なお、フレーム121の前端121aと棒状部材25及び等辺山形鋼23とは、図示しないボルトにより取り付けられている。
【0028】
本体部51は、両主表面が長方形状をなす板状部材の下縁の中心部分を長方形状に切り欠いた固定板53(該両主表面の間に存する一対の縁部がZ軸に平行であると共に、別の1の縁部(上縁)がY軸に平行である。)と、固定板53のZ軸に平行な一対の縁部の一方の縁部53c1に沿って固定板53に取り付けられる第1縦部材57と、該一対の縁部の他方の縁部53c2に沿って固定板53に取り付けられる第2縦部材59と、第1縦部材57の内面に第1縦部材57の長手方向と平行(Z軸に平行)に取り付けられた第1ガイド部材61と、第2縦部材59の内面に第2縦部材59の長手方向と平行(Z軸に平行)に取り付けられた第2ガイド部材63と、第1ガイド部材61及び第2ガイド部材63と固定板53との間でZ軸方向にスライド自在に配設された移動板65と、第1縦部材57と第2縦部材59とに取り付けられ等辺山形鋼により形成される横部材55と、移動板65の下端を支持し移動板65をZ軸方向に移動させるジャッキ71と、を含んでなる。
【0029】
固定板53は、両主表面が長方形状をなす平板部材の下縁の中心部分に長方形状の切欠部分53eを切り欠くことで一端垂下部53a1及び他端垂下部53a2が形成されている(特に図5参照)。該平板部材の互いに略平行な2の縁部のうち1の縁部53c1(Z軸に略平行)は第1縦部材57に取り付けられると共に、該2の縁部のうち他の1の縁部53c2(Z軸に略平行)は第2縦部材59に取り付けられている(特に図4図6及び図8を参照)。これによって固定板53と第1縦部材57と第2縦部材59とにより、前面に開口81が形成された無蓋無底の箱形状が形成される。固定板53の両主表面のうち表面53f1及び裏面53f2はいずれも平面に沿うと共に、X軸に対して略垂直である。
【0030】
第1縦部材57は、図11に示したような溝形鋼により形成されており、詳細には、図11(a)は、第1縦部材57をY軸に沿って第2縦部材59側から見たところを示し、図11(b)は図11(a)のJ1−J1断面図であり、図11(c)は図11(a)のJ2−J2断面図である。第1縦部材57は、長手方向(図11(a)中の矢印L。Z軸に平行。)に真っ直ぐな鋼製の棒状部材であり、第1縦部材57の下部Q1(下端57bから上端57aに向けて所定の範囲)は溝形鋼(チャンネル)を構成する(下部Q1は、該長手方向Lに対して垂直ないずれの平面による断面形状も図11(b)に示すものと同じ。)と共に、第1縦部材57の上部Q2(上端57aから下端57bに向けて所定の範囲)は等辺山形鋼(L字アングル)を構成している(上部Q2は、該長手方向Lに対して垂直ないずれの平面による断面形状も図11(c)に示すものと同じ。)。第1縦部材57は、下部Q1の溝57dの底面57dfを表面が形成する帯状の底部材57p1と、該長手方向Lに沿った底部材57p1の一縁に沿って底部材57p1に垂直に取り付けられた帯状の第1側部材57p2と、該長手方向Lに沿った底部材57p1の他縁に沿って底部材57p1に垂直に取り付けられた帯状の第2側部材57p3と、を有してなり、これら底部材57p1と第1側部材57p2と第2側部材57p3とが一体として第1縦部材57を構成している。なお、第2側部材57p3は下部Q1には存するが、上部Q2には存しない。第1側部材57p2の表面(溝57dを規定する)である第1表面57p2sは底面57dfに対して略垂直をなし、第2側部材57p3の表面(溝57dを規定する)である第2表面57p3sは底面57dfに対して略垂直をなし、そして第1表面57p2sと第2表面57p3sとは略平行をなす。
第1縦部材57は、第1表面57p2sが、固定板53の裏面53f2に当接すると共に、底面57dfが縁部53c1(Z軸に略平行)に当接するように、第1縦部材57はその長手方向がZ軸に略平行になるように固定板53に取り付けられている(ここでは溶接)。
【0031】
第2縦部材59は、図12に示したような溝形鋼により形成されており、詳細には、図12(a)は、第2縦部材59をY軸に沿って第1縦部材57側から見たところを示し、図12(b)は図12(a)のK1−K1断面図であり、図12(c)は図12(a)のK2−K2断面図である。第2縦部材59は、長手方向(図12(a)中の矢印L。Z軸に平行。)に真っ直ぐな鋼製の棒状部材であり、第2縦部材59の下部Q3(下端59bから上端59aに向けて所定の範囲)は溝形鋼(チャンネル)を構成する(下部Q3は、該長手方向Lに対して垂直ないずれの平面による断面形状も図12(b)に示すものと同じ。)と共に、第2縦部材59の上部Q4(上端59aから下端59bに向けて所定の範囲)は等辺山形鋼(L字アングル)を構成している(上部Q4は、該長手方向Lに対して垂直ないずれの平面による断面形状も図12(c)に示すものと同じ。)。第2縦部材59は、下部Q3の溝59dの底面59dfを表面が形成する帯状の底部材59p1と、該長手方向Lに沿った底部材59p1の一縁に沿って底部材59p1に垂直に取り付けられた帯状の第1側部材59p2と、該長手方向Lに沿った底部材59p1の他縁に沿って底部材59p1に垂直に取り付けられた帯状の第2側部材59p3と、を有してなり、これら底部材59p1と第1側部材59p2と第2側部材59p3とが一体として第2縦部材59を構成している。なお、第2側部材59p3は下部Q3には存するが、上部Q4には存しない。第1側部材59p2の表面(溝59dを規定する)である第1表面59p2sは底面59dfに対して略垂直をなし、第2側部材59p3の表面(溝59dを規定する)である第2表面59p3sは底面59dfに対して略垂直をなし、そして第1表面59p2sと第2表面59p3sとは略平行をなす。
第2縦部材59は、第1表面59p2sが、固定板53の裏面53f2に当接すると共に、底面59dfが縁部53c2(Z軸に略平行)に当接するように、第2縦部材59はその長手方向がZ軸に略平行になるように固定板53に取り付けられている(ここでは溶接)。
なお、第1縦部材57及び第2縦部材59は、第1縦部材57と第2縦部材59との真ん中に存するY軸に垂直な平面に対して面対称になるように配設され、第1縦部材57の下端57bと、第2縦部材59の下端59bと、は、Z軸に対して垂直な同一平面Pに属する。
【0032】
第1ガイド部材61は、いわゆる「L字アングル」等と呼ばれる等辺山形鋼により形成され、第1ガイド部材61の長手方向が第1縦部材57の長手方向と略平行になるように、第1ガイド部材61の外面のうち1の外面が、第1縦部材57の底面57dfに取り付けられている(ここでは図示しないボルト留め)。そして、第1ガイド部材61の外面のうち他の1の外面61f(図6参照)と、固定板53の両主表面のうち表面53f1(平面に沿っている)と、は互いに略平行になっている。外面61fと表面53f1との間の隙間62は、外面61fと表面53f1とに挟まれた移動板65がZ軸方向に自由にスライドできる程度にされている。
第2ガイド部材63は、いわゆる「L字アングル」等と呼ばれる等辺山形鋼(第1ガイド部材61を構成するものと同一のもの)により形成され、第2ガイド部材63の長手方向が第2縦部材59の長手方向と略平行になるように、第2ガイド部材63の外面のうち1の外面が、第2縦部材59の底面59dfに取り付けられている(ここでは図示しないボルト留め)。そして、第2ガイド部材63の外面のうち他の1の外面63f(図6参照)と、固定板53の両主表面のうち表面53f1(平面に沿っている)と、は互いに略平行になっている。外面63fと表面53f1との間の隙間64は、外面63fと表面53f1とに挟まれた移動板65がZ軸方向に自由にスライドできる程度にされている。
【0033】
移動板65は、両主表面が長方形状をなす平板部材の上縁の中心部分に長方形状の切欠部分65eを切り欠くことで一端立上部65a1及び他端立上部65a2が形成されている(特に図7参照)。該平板部材の互いに略平行な2の縁部のうちの1の縁部65c1(Z軸に略平行)は、第1縦部材57の内面(第1縦部材57の底面57df)に面し、第1縦部材57に対して上下方向(Z軸方向)に自由にスライドできる。同様に、該平板部材の互いに略平行な2の縁部のうち他の1の縁部65c2(Z軸に略平行)は、第2縦部材59の内面(第2縦部材59の底面59df)に面し、第2縦部材59に対して上下方向(Z軸方向)に自由にスライドできる。このため前述の如く、外面61fと表面53f1との間の隙間62と、外面63fと表面53f1との間の隙間64と、に嵌まった状態で移動板65は上下方向(Z軸方向)に自由にスライドできるので、移動板65は、固定板53、第1縦部材57及び第2縦部材59に対して上下方向(Z軸方向)にスライド自在に配設されている。
なお、一端立上部65a1及び他端立上部65a2と、一端垂下部53a1及び他端垂下部53a2と、は、固定板53の表面53f1と、移動板65の裏面と、が摺動する際、固定板53に対する移動板65の摺動を引っかかり等がなく円滑ならしめるものである。
【0034】
横部材55は、いわゆる「L字アングル」等と呼ばれる等辺山形鋼により形成され、その長手方向がY軸に略平行になるように第1縦部材57と第2縦部材59とに取り付けられている(溶接)。詳細には、図8に示すように、横部材55の縁部分55e1、55e2それぞれが、第1縦部材57の底面57dfと、第2縦部材59の底面59dfと、に溶接されて取り付けられている。
【0035】
ジャッキ71は、ここではいわゆる手動のパンタグラフジャッキを用いており(特に、図3参照)、ジャッキ71の上端は固定ネジ72により横部材55に取り付けられる(固定ネジ72は、横部材55の長手方向の略中心位置に設けられており、固定ネジ72により該上端は横部材55に着脱自在に取り付けられる。)と共に、下端71bは移動板65の下縁65b(ここでは下端71bは下縁65bに溶接により固定されている。)に取り付けられている(これにより移動板65が上下方向(Z軸方向)に支持される。)。
ジャッキ71は、雄ネジ71sの一端に形成された係合端71saに、後述の如く、ハンドル(不図示)を係合させ雄ネジ71sを回転させることで、横部材55に取り付けられた該上端と、移動板65の下縁65bに取り付けられた該下端71bと、の間の距離を連続的に変化させることができる。このように雄ネジ71sを回転させジャッキ71を操作することにより、移動板65を固定板53、第1縦部材57及び第2縦部材59に対して上下方向(Z軸方向)に移動させることができる。
【0036】
連結部31は、本体部51(固定板53の上部)に取り付けられる第1部33と、取付部21の棒状部材25に取り付けられる第2部35と、第1部33と第2部35とを回動自在(回動軸はY軸に略平行である。)に連結する回動部37と、を含んでなり、蝶番として機能する。なお、ここでは第1部33と第2部35と回動部37との組が、Y軸方向に沿って複数(4個)配設されているが、全ての該組に関する回動軸が同一の直線(Y軸に平行)に略存する。
このような連結部31により、本体部51は取付部21に対し、Y軸に平行な軸を中心として回動自在に支持される。これによって、本体部51は、取付部21が取り付けられたトラクタ本体101の前面において垂下した状態でY軸に平行な軸を中心として回動自在に支持される。
【0037】
駆動部41は、図2に示すように、シリンダー部42(複動型を使用)と、シリンダー部42に嵌入されるピストン部43と、ピストン部43を本体部51(固定板53)に取り付ける固定具44と、を含んでなる。
シリンダー部42に嵌入されるピストン部43は、図示しない油圧ユニットから供給される駆動油がシリンダー部42内部に注入されることで伸縮する。シリンダー部42の基端42aは回動自在(該回動の軸はY軸に平行)にフレーム121に取り付けられると共に、ピストン部43の先端43cは固定具44(本体部51(固定板53)に固定されている。)を介して本体部51(固定板53)に取り付けられているので(該先端43cは固定具44に対し、Y軸に平行な回動軸の周りに回動自在に取り付けられている。)、シリンダー部42に対してピストン部43を伸縮させることで、フレーム121に対して本体部51を連結部31の回動部37を中心に回動(Y軸に平行な回動軸の周り)させることができる。
【0038】
第2縦部材59の前面には、図3に示すように、Z軸方向に沿った目盛板58が設けられている。目盛板58には、第2縦部材59の下端59bから第2縦部材59の長手方向に沿った距離が表示されている。従って、第1縦部材57長手方向及び第2縦部材59長手方向が鉛直方向になるようにすれば、第2縦部材59の下端59bからの移動板65の下縁65bの高さを目盛板58により知ることができる。
後述のように、移動板65の下縁65bが、土表面に接触して移動することで土表面を均すので(接触部)、目盛板58により下縁65bの高さを知ると共に所望の高さに調節することができる。
【0039】
次いで、本装置11が農業用のトラクタ本体101に取り付けられた農業用のトラクタ201の使用方法について説明する。ここでは、図13に示すように、稲作用の田401の土均し作業にトラクタ201を用いることを例として説明する。図13は、田401の地面301に対して垂直上方向から見たところを示している。なお、図13においては、図示及び理解を容易にするため、トラクタ本体101を単に長方形により示し(トラクタ本体101の構造の図示を省略する。)、本装置11のうち移動板65の下縁65bを実線によって示す。
第1に、土均しを開始する位置に下縁65bが位置するよう、トラクタ201を移動させる(図13(a))。ここでは田401の縁403に近い部分に土が集まってやや高くなっている部分を均すため(かかる縁403に近い土を、田401の中心方向に移動させて均すことは、前進にて土を均す従来のトラクターでは難しかった。)、下縁65bよりもトラクタ本体101側に該部分が位置するようにトラクタ201を移動させる。このトラクタ201の移動に際しては、図1に示すように本装置11を後方に回動させ(第1縦部材57の下端57bと、第2縦部材59の下端59bと、を地面301から高く保つ。)、本装置11が地面301に当接や衝突することで邪魔にならないようにする。
第2に、図示しない油圧ユニットから加圧された駆動油をシリンダー部42内部に注入し、シリンダー部42に嵌入されるピストン部43を伸ばし、第1縦部材57長手方向及び第2縦部材59長手方向が鉛直方向になるように本装置11を前方に回動させる。
【0040】
第3に、図14図3と同様の位置から本装置11を見たところを示している。)及び図15図14のF−F断面図である。)に示すように、ジャッキ71の係合端71saにハンドル71hを係合させ雄ネジ71sを回転させることで、移動板65を上下方向(Z軸方向)に移動させ、第2縦部材59の下端59bからの移動板65の下縁65bの高さを目盛板58により確認しつつ、移動板65の下縁65bの高さを所望のものに調節する。なお、田401の縁403に近い部分に土が集まってやや高くなっている部分を均す場合は、下端59bと下縁65bとが略同じ高さになるように調整することが多い。
第4に、トラクタ本体101を後退(図13(a)から図13(b)のようにトラクタ本体101を移動(図13(b)中の矢印Q方向))させることで、移動板65の下縁65bにより、縁403に近い部分に高く集まった土を田401の中心方向に移動させて均すことができる。こうして図13(a)から図13(b)のようにトラクタ本体101を後退(図13(b)中の矢印Q方向)させることで、縁403に近い部分に高く集まった土を移動させ、高さが略一定の均し領域303(下縁65bの通過跡)が形成される。
【0041】
このように、トラクタ本体101が田401の中に存在する状態のまま、トラクタ本体101を後退させることにより、均すべき地面301の縁403に近い部分(例えば、田401の表面を土均しする場合であれば、縁403として形成された畦に近い部分)に高く集まった土を縁403から遠ざかる方向に移動させて均すことができる。
また、図16に示すように、縁404aと縁404bとが合わさる隅部分405には、土が集まって高くなることがあり、かかる隅部分405に高く集まった土も、本装置11が農業用のトラクタ本体101に取り付けられた農業用のトラクタ201によれば田401の中心方向に移動させて容易に均すことができる(このような隅部分405に高く集まった土を、田401の中心方向に移動させて均すことは、前進にて土を均す従来のトラクターでは極めて難しかった。)。この隅部分405に高く集まった土を移動させ均す方法も、上述と同様に行うことができ、第1に、土均しを開始する位置に下縁65bが位置するよう、トラクタ201を移動させ(図16)、第2に、シリンダー部42に嵌入されるピストン部43を伸ばし、第1縦部材57長手方向及び第2縦部材59長手方向が鉛直方向になるように本装置11を前方に回動させ、第3に、ジャッキ71を操作し移動板65の下縁65bの高さを所望のものに調節し、そして第4に、トラクタ本体101を後退(図16中の矢印Q方向)させることで、移動板65の下縁65bにより隅部分405に高く集まった土を田401の中心方向に移動させて容易に均すことができる。
即ち、本装置11がトラクタ本体101に取り付けられた農業用のトラクタ201によれば、本装置11はトラクタ本体101の前部に取り付けられるので、トラクタ201の操作者は、トラクタ本体101の前方を見つつ、ハンドル操作を含め的確に操作することで、正確かつ迅速な土均しを可能ならしめる。そして、本装置11を用いることで、前述の如く、縁403に近い部分や隅部分405に高く集まった土を縁403や隅部分405から遠ざかるように移動させることも容易かつ確実に行うことができることから、従来のトラクタでは難しかった縁403に近い部分や隅部分405に高く集まった土を含めた土均しを可能にする。
以上説明のようにトラクタ201により、縁403に近い部分や隅部分405を含めた地面301の土均しを行うことができる。また、上記の例では、第1縦部材57長手方向及び第2縦部材59長手方向が鉛直方向になるような本装置11の回動位置としたが、該回動位置を調節することで移動板65の下縁65bの高さを調節してもよい。
【0042】
以上説明の通り、本装置11は、土表面(ここでは地面301)に沿って移動する移動体(ここでは農業用トラクタ本体101)に取り付けられ、土表面(地面301)に接触して移動することで土表面(地面301)を均す土均し装置であって、土表面(地面301)に接触する接触部(ここでは下縁65b)を有する接触手段(ここでは移動板65)と、少なくとも2以上の土表面(地面301)に対する接触部(下縁65b)の高さにおいて接触手段(移動板65)を支持する支持手段(ここでは移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55により構成される。)と回動可能支持部(ここでは取付部21及び連結部31により構成される。)とを含む。)と、を備えてなる、土均し装置である。
【0043】
本装置11においては、支持手段(移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55により構成される。)と回動可能支持部(ここでは取付部21及び連結部31により構成される。)とを含む。)は、接触部(下縁65b)の高さが変化するように移動体(農業用トラクタ本体101)に対して接触手段(移動板65)を直線又は曲線(ここではZ軸に略平行な直線)に沿って移動可能になるように接触手段(移動板65)に接触して支持する移動可能支持部(ここでは固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55により構成される。)を含んでなる。
【0044】
本装置11においては、接触手段(移動板65)が、直線(ここではY軸に略平行)に略沿った縁部である第1縁部(ここでは下縁65b)を接触部として有してなる平板部材たる均し板(ここでは移動板65)を含んでなり、移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55)は、第1縁部(下縁65b)が略沿った該直線(Y軸に略平行)に対して垂直方向への成分と、該平板部材の主表面に沿った方向への成分と、の両成分を有する方向(ここではZ軸に略平行な方向)に均し板(移動板65)をスライド自在に支持するものである。
【0045】
本装置11においては、均し板(移動板65)が、互いに略平行な一対の第2縁部(縁部65c1)及び第3縁部(縁部65c2)を有してなり、移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55)は、第2縁部(縁部65c1)をスライド自在に支持する一方部材(第1縦部材57、第1ガイド部材61及び固定板53により構成される。)と、一方部材(第1縦部材57、第1ガイド部材61及び固定板53)に対する第2縁部(縁部65c1)のスライド方向(Z軸に略平行な方向)と略平行方向に第3縁部(縁部65c2)をスライド自在に支持する他方部材(第2縦部材59、第2ガイド部材63及び固定板53により構成される。)と、一方部材(第1縦部材57、第1ガイド部材61及び固定板53)と他方部材(第2縦部材59、第2ガイド部材63及び固定板53)とを連結する連結部材(横部材55)と、を含んでなるものである。
【0046】
本装置11においては、均し板(移動板65)の主表面に対して垂直な方向(X軸に沿った方向)から見て、均し板(移動板65)の主表面と少なくとも一部の主表面が重なるように移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55)に直接的又は間接的に取り付けられるか又は移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55)を構成する固定板53(ここでは固定板53は移動可能支持部を構成する要素である。)を有するものである。なお、固定板53に形成された一端垂下部53a1及び他端垂下部53a2と、移動板65に形成された一端立上部65a1及び他端立上部65a2と、のように、固定板53に対して均し板(移動板65)がスライド移動する方向に均し板(移動板65)と固定板53とのうち一方から他方に向かって突出する部分を設けることで、固定板53に対する移動板65の摺動を円滑ならしめることができる。かかる突出する部分は、均し板(移動板65)と固定板53とのうち一方から他方に向かって突出する部分のみを形成してもよいが、一方から他方に向かって突出する部分と、他方から一方に向かって突出する部分と、の両方を形成すれば摺動を一層円滑ならしめることができる。
本装置11においては、接触手段(移動板65)を前記直線又は前記曲線(ここではZ軸に略平行な直線)に沿って移動させる駆動手段(ここではジャッキ71)を有してなる。
本装置11においては、駆動手段(ジャッキ71)が手動ジャッキを含む。
本装置11においては、移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55)に対する接触部(下縁65b)の相対的位置を直接的又は間接的に示す位置表示手段(ここでは目盛板58)を有するものである。
【0047】
本装置11においては、支持手段(移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55により構成される。)と回動可能支持部(取付部21及び連結部31により構成される。)とを含む。)は、接触部(下縁65b)の土表面(地面301)からの高さが変化するように接触手段(移動板65)を移動体(農業用トラクタ本体101)に対して回動可能に支持する回動可能支持部(ここでは取付部21と連結部31とにより構成される。)を含んでなる。
本装置11においては、回動可能支持部(取付部21、連結部31)は、移動可能支持部(固定板53、第1縦部材57、第2縦部材59、第1ガイド部材61、第2ガイド部材63及び横部材55)を移動体(農業用トラクタ本体101)に対して回動可能に支持するものである。
【0048】
本装置11においては、接触部(下縁65b)が直線(ここではY軸に略平行)に略沿っており、回動可能支持部(取付部21、連結部31)が、接触部(下縁65b)が略沿う該直線に略平行な回動軸(Y軸に略平行な回動部37の回動軸)の周りに接触手段(移動板65)を回動可能に支持するものである。
本装置11においては、回動可能支持部(取付部21、連結部31)により回動可能に支持される接触手段(移動板65)を回動させる回動手段(ここでは駆動部41)を有してなる。
本装置11においては、回動手段(駆動部41)が伸縮装置(シリンダー部42と、シリンダー部42に嵌入されるピストン部43と、により構成される。)を含む。
【0049】
本装置11においては、本装置11が取り付けられる前記移動体(農業用トラクタ本体101)が農業用トラクター本体である。
本装置11においては、前記移動体(農業用トラクタ本体101)が前後移動可能なものであり、本装置11と、本装置11が前方に取り付けられた前記移動体(農業用トラクタ本体101)と、を含んでなる、本移動体(ここでは農業用のトラクタ201)を構成する。
そして、ここでは前記移動体(農業用トラクタ本体101)が、前方を目視する運転者により操作されるものであり、接触部(下縁65b)を土表面(地面301)に接触させた状態で、移動体(農業用トラクタ本体101)を後進させるものである、本移動体(農業用のトラクタ201)を用いた土均し方法も可能である。
【符号の説明】
【0050】
11 本装置
21 取付部
23 等辺山形鋼
25 棒状部材
31 連結部
33 第1部
35 第2部
37 回動部
41 駆動部
42 シリンダー部
42a 基端
43 ピストン部
43c 先端
44 固定具
51 本体部
53 固定板
53a1 一端垂下部
53a2 他端垂下部
53c1 縁部
53c2 縁部
53e 切欠部分
53f1 表面
53f2 裏面
55 横部材
55e1、55e2 縁部分
57 第1縦部材
57a 上端
57b 下端
57d 溝
57df 底面
57p1 底部材
57p2 第1側部材
57p2s 第1表面
57p3 第2側部材
57p3s 第2表面
58 目盛板
59 第2縦部材
59a 上端
59b 下端
59d 溝
59df 底面
59p1 底部材
59p2 第1側部材
59p2s 第1表面
59p3 第2側部材
59p3s 第2表面
61 第1ガイド部材
61f 外面
62 隙間
63 第2ガイド部材
63f 外面
64 隙間
65 移動板
65a1 一端立上部
65a2 他端立上部
65b 下縁
65c1 縁部
65c2 縁部
65e 切欠部分
71 ジャッキ
71b 下端
71h ハンドル
71s 雄ネジ
71sa 係合端
72 固定ネジ
81 開口
101 トラクタ本体(農業用)
103 前輪
105 後輪
107 車体
109 座席
113 エンジン収納部
115 ハンドル
117 ペダル
119 レバー
121 フレーム
121a 前端
201 トラクタ(農業用)
301 地面
303 均し領域
401 田
403 縁
404a、404b 縁
405 隅部分
図1
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