(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1、
図2、
図3のスクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49を曲面治具47で操作してスクリーン製版によりスクリーン印刷する装置である。
図1、
図2、
図3において、曲面治具47とワーク49とを印刷位置に搬出入する方向を前後横方向という。印刷方向は前横方向である。
また、高さ方向を上下方向という。また、
図2に示すように、曲面治具47とワーク49の両サイド方向を左右方向という。
図1において、説明の都合で搬出入機構60を2箇所に図示しているが、実際には、1箇所しか存在しない。
【0009】
<<ワーク49>>
ワーク49は、曲面を有する。ワーク49は、平面視では矩形であるが、側面視では、厚さが一定の弧状の薄板である。ワーク49の材質の具体例は、ガラス、樹脂、プラスチック、紙、布、金属である。
【0010】
<<曲面治具47>>
曲面治具47は、ワーク49を曲面で保持する治具である。
曲面治具47は、平面視では矩形であるが、側面視では、厚さが一定の弧状の金属薄板である。曲面治具47は、ワーク49と同じ曲面あるいは湾曲面を有している。曲面治具47の材質の具体例は、アルミニウム、鉄、ステンレスである。
図3に示すように、曲面治具47の前後長は、ワーク49の前後長より大きく、曲面治具47の左右幅は、ワーク49の左右幅より大きい。
【0011】
<<制御部110>>
スクリーン印刷装置100は、制御部110を有している。
制御部110は、装置全体を制御するものである。制御部110は、中央処理装置、プログラム、メモリ、及び、その他の電子回路部品により実現できる。制御部110からの信号は、信号線111により以下に述べる各部に伝達される。以下に述べる動作は、制御部110が信号線111により命令を伝達することにより実現できる。
【0012】
<<筺体50>>
スクリーン印刷装置100は、筺体50を有している。
筺体50は、箱状の基台51と、柱フレーム53と、梁フレーム54と有している。
基台51には、制御部110と信号線111が収納され、さらに、図示していない電源装置、ポンプ装置、ロボシリンダ、リニアガイド、吸引器などの駆動装置が収納されている。
基台51の上面には、4本の柱フレーム53が立っている。前後2本の柱フレーム53の上には、梁フレーム54が横たわっている。梁フレーム54には、印刷部90を前後横移動させるロボシリンダ97が駆動装置として収納されている。
また、基台51には、支持シリンダ55が収納されている。支持シリンダ55は、スクリーン枠96の中央真下に2個存在し、支持ピン56を上下させることにより、テーブル61を昇降させる。
【0013】
<<搬出入機構60>>
スクリーン印刷装置100は、曲面治具47とワーク49とを印刷位置に搬出入する搬出入機構60を有している。
搬出入機構60は、基台51を前後横方向に移動可能なテーブル61を有している。テーブル61は、基台51に収納されたロボシリンダ64によりスライドして前後横方向に移動する。
テーブル61の上面には、曲面治具47のコーナーを支える4本の支持柱62が立っており、4本の支持柱62は曲面治具47の角端部を下から保持し、曲面治具47を固定している。
【0014】
<<印刷部90>>
スクリーン印刷装置100は、印刷部90を有している。
印刷部90は、スライド部91と上下シリンダ93と上下ベース板94とを有する。
スライド部91は、
図2、
図3に示すように、2本の梁フレーム54の間に配置されている。
スライド部91は、梁フレーム54に収納されたロボシリンダ97より前後にスライドする。すなわち、印刷部90は、梁フレーム54に対して前後横方向に直線移動可能に取り付けられている。
【0015】
上下ベース板94は、上下シリンダ93を介してスライド部91に取り付けられている。
上下シリンダ93は、スライド部91に対して上下ベース板94を上下移動させるとともに、スクリーン印刷時に下方に向けて印圧を発生させる。
印刷部90の中央下部には、スキージ92が取り付けられている。
ワーク49の印刷位置は、スキージ92の先端部Cである。
スキージ92の先端部Cが移動することにより、ワーク49の印刷位置が移動する。
【0016】
<<スクリーン製版>>
スキージ92の下には、スクリーン製版がある。
スクリーン製版は、スクリーン95とスクリーン枠96とを有する。
スクリーン枠96は、図示していない取付機構により、柱フレーム53に着脱可能に取り付けられている。
スクリーン95はスクリーン枠96に紗張りされており、印刷パターンが形成されている。
スクリーン95の具体例は、メッシュスクリーン、又は、メタルマスクスクリーンである。
スクリーン95とスクリーン枠96は、曲面を有する。
スクリーン95とスクリーン枠96は、それぞれ平面視では矩形であるが、側面視では、弧状である。
スクリーン95とスクリーン枠96は、ワーク49の表面と同じ半径の曲面あるいは湾曲面を有している。
【0017】
<<印刷部90の特徴的構成>>
図2と
図4とに、印刷部90の詳細構成を示す。
印刷部90は、保持部40と規制部70と回転制御部80とを有する。
保持部40は、スキージ92を保持する。
規制部70は、保持部40を回転可能に取り付けている。
回転制御部80は、規制部70に取り付けられた保持部40を回転させる。
【0018】
<<保持部40の構成>>
図5に示すように、保持部40は、スキージ装着部41とガイドレール42とブラケット43とスライドカムフォロア44を有する。
スキージ装着部41は、左右方向に存在する矩形板であり、図示していない装着機構により、スキージ92を取り換え可能に装着する。
【0019】
保持部40は、弧状のガイドレール42を有する。
ガイドレール42は、スキージ装着部41の左右両サイドに固定された円弧状レールである。
ガイドレール42は、全体が円弧形状をしており、円弧の中心はスキージ92の先端部Cであり、中心角は90度である。
ガイドレール42は、上面に山状の突出部45を有し、下面に、湾曲面を有する。
ガイドレール42の半径方向の断面は、ホームベース形状をした五角形である。
【0020】
ブラケット43は、正面視で凹形状をしており、ブラケット43の底面はスキージ装着部41の中央上面に固定されている。
ブラケット43の両サイドは2本の腕が上方に延びており、両サイドの腕の先端の内側に、スライドカムフォロア44が回転可能に取り付けられている。
【0021】
<<規制部70の構成>>
図5に示すように、規制部70は、ガイドレール42を回転可能に取り付けた挟持部77を有し、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40が回転するように、保持部40の回転方向を規制する。
【0022】
図4、
図5に示すように、規制部70は、側板71とガイドローラ72とガイドカムフォロア73とを有する。
側板71は、上下ベース板94の両サイドに固定されている。
側板71は、側面視で、矩形形状あるいは台形形状をしている。
【0023】
図4に示すように、挟持部77は、3個のガイドローラ72と、3個のガイドカムフォロア73を有する。
図4に示すように、ガイドローラ72は、スキージ92の先端部Cを中心にして半径R1の円周上に配置されている。
図2に示すように、ガイドローラ72は、全周にV字状の窪み部74を有する。窪み部74には、ガイドレール42の突出部45がはまり込み、ガイドレール42が左右にずれない構成になっている。
【0024】
図4に示すように、ガイドカムフォロア73は、スキージ92の先端部Cを中心にして半径R2の円周上に配置されている。
図2に示すように、ガイドカムフォロア73は、円筒形である。
図4に示すように、3個のガイドローラ72と3個のガイドカムフォロア73との回転軸は、それぞれスキージ92の先端部Cを中心にした3本の半径の上に配置されている。3本の半径の隣り合う半径の中心角は30度である。
【0025】
挟持部77は、ガイドレール42を上下から挟むガイドローラ72とガイドカムフォロア73とを有しており、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73の間に、ガイドレール42が挟み込まれる。また、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73とガイドレール42との中心は先端部Cであるから、ガイドレール42は、スキージ92の先端部Cを中心にして回転することができるとともに、ガイドレール42は、先端部Cを中心にして回転する動きのみが可能である。
【0026】
<<回転制御部80の構成>>
回転制御部80は、溝ブロック85を直線移動させるものであり、溝ブロック85の直線移動により、スキージ92の回転を制御するものである。
図4、
図5に示すように、回転制御部80は、駆動モータ87と固定板88とを有する。
駆動モータ87は、固定板88に固定されている。
駆動モータ87の具体例は、サーボモータ又はステッピングモータである。
固定板88は、上下ベース板94に固定されている。
【0027】
図4、
図5に示すように、回転制御部80は、リニアガイド81と移動ブロック82とナット83とボールネジ84とを有する。
リニアガイド81は、スライド部91の下面に固定されており、前後方向水平に固定されている。
移動ブロック82は、リニアガイド81に対して前後方向に移動可能に取り付けられている。
ナット83は、移動ブロック82に固定されている。
ボールネジ84は、駆動モータ87の回転軸に固定されており、駆動モータ87の回転により回転する。
駆動モータ87が回転すると、ナット83がリニアガイド81と移動ブロック82とによりガイドされながら前後方向に移動する。
【0028】
図2、
図4、
図5に示すように、回転制御部80は、溝ブロック85を有する。
溝ブロック85は、矩形版であり、中央にボールネジ84を通す孔があり、ナット83に固定されている。
溝ブロック85は、ナット83の固定されており、ナット83により前後方向に移動する。
溝ブロック85は、左右両サイドに、スライドカムフォロア44をガイドするスライド溝86を有する。
スライド溝86は、上下方向に形成されて溝である。
スライド溝86は、スライドカムフォロア44を嵌め込んでガイドする凹溝である。
スライドカムフォロア44は、スライド溝86に挿入された状態で上下に移動可能である。
【0029】
***動作の説明***
図6を用いてスクリーン印刷装置100の概略印刷方法について説明する。
図6は、曲面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法を示している。
【0030】
図6の(a)に示すように、制御部110は、ワーク49の印刷を開始する場合、ガイドレール42を時計回り方向に回転させて、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるようにする。
制御部110は、ワーク49の後端から中央へ印刷する場合、ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させる。ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させるので、アタック角度は、角度θを保つことができる。
制御部110は、ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させる。ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させるので、アタック角度は、角度θを保つことができる。
【0031】
このように、スクリーン印刷装置100は、保持部40にスキージ92を保持し、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40を回転させながらスクリーン印刷をする。
保持部40は、弧状のガイドレール42を有し、ガイドレール42を挟持して、ガイドレール42の移動方向を規制しながらスクリーン印刷をする。
挟持部77は、ガイドレール42をガイドローラ72とガイドカムフォロア73との間で移動させる。
このようにして、スクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49に対してスキージ92のアタック角度を一定の角度θにしてスクリーン印刷をする。
【0032】
以下、
図7を用いて、スクリーン印刷装置100の印刷方法の詳細動作について説明する。
以下の動作は、スクリーン印刷装置100に設けられた制御部110により実行される。
【0033】
ステップS11:ワークセット工程
図1の支持柱62に曲面治具47が載せられた状態で、曲面治具47にワーク49を載せる。
曲面治具47とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49は、曲面治具47に隙間なく配置される。
【0034】
ステップS12:テーブル移動工程
制御部110は、テーブル61を前横方向に移動させ、テーブル61を印刷部90の真下の位置で移動を止める。
【0035】
ステップS13:曲面治具上昇工程
テーブル61が曲面治具47を運んでくると、制御部110は、支持シリンダ55の支持ピン56を上昇させ、テーブル61を持ち上げ、曲面治具47を上昇させる。制御部110は、ワーク49とスクリーン枠96とが所定のクリアランスになるまで曲面治具47を上昇させる。
スクリーン枠96とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49の全表面がスクリーン枠96に対して所定のクリアランスで配置される。
【0036】
ステップS14:印刷部セット工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の後端に移動させる。
制御部110は、上下シリンダ93を用いてスキージ92をスクリーン枠96まで下降させる。
この時、制御部110は、駆動モータ87を回転させて、ナット83を前方向に移動させる。
ナット83が、前方向に移動すると、溝ブロック85も前方向に移動する。
溝ブロック85が、前方向に移動すると、スライド溝86に嵌め込まれているスライドカムフォロア44もスライド溝86を下降しながら前方向に移動する。
スライドカムフォロア44が、前方向に移動すると、ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾く。
ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾くと、スキージ装着部41もスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾く。
スキージ装着部41がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾くと、ガイドレール42もスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾く。
制御部110は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるまで、駆動モータ87を回転させる。
【0037】
ステップS15:印刷工程
制御部110は、上下シリンダ93を制御して上下ベース板94に印圧を加える。
上下ベース板94に加わった印圧は、側板71に伝わり、さらに、3個のガイドローラ72に伝わる。
3個のガイドローラ72に加わった印圧は、ガイドレール42に伝わり、さらに、スキージ装着部41に伝わる。
スキージ装着部41に加わった印圧は、スキージ92に伝わり、スキージ92の先端部Cに伝わる。
こうして、スキージ92の先端部Cには、上下シリンダ93による印圧が伝わる。
このように、挟持部77はガイドローラ72により保持部40に印圧を加えている。
【0038】
この状態が、
図6の(a)に示す印刷開始状態である。
図6の(a)に示すように、ワーク49の印刷開始状態では、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも前にある。
【0039】
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方に移動させて印刷を開始する。
制御部110は、印刷部90の前方への移動に伴って、駆動モータ87を回転させて、ナット83を後方向に移動させる。
ナット83が、後方向に移動すると、溝ブロック85も後方向に移動する。
溝ブロック85が、後方向に移動すると、スライド溝86に嵌め込まれているスライドカムフォロア44もスライド溝86を上昇しながら後方向に移動する。
スライドカムフォロア44が、後方向に移動すると、ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして半時計回り方向に移動する。
ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動すると、スキージ装着部41もスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
スキージ装着部41がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動すると、ガイドレール42もスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
制御部110は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるように駆動モータ87の回転を制御する。
【0040】
ワーク49の印刷開始状態からワーク49の中央の印刷では、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも前にある。
図6の(b)に示すように、ワーク49の中央を印刷する場合は、スキージ92の先端部Cとスライドカムフォロア44の回転軸とは、垂直線Lの線上にある。
ワーク49の中央の印刷からワーク49の印刷終了状態までは、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも後にある。
【0041】
図6の(c)に示すように、ワーク49の印刷終了状態では、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも後にある。
【0042】
ガイドレール42は、挟持部77により挟持されているため、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73の間を、揺り椅子あるいは揺り籠のようにスイングすることが可能であり、回転制御部80が、保持部40の上方先端にあるスライドカムフォロア44を前後に移動させることによりガイドレール42がスイングする。
【0043】
<スキージの前後方向への移動速度の制御>
図8の(a)は、制御部110のロボシリンダ97の制御方法を説明する概念図である。
制御部110がロボシリンダ97を動作させる場合、印刷部90の移動速度を均一にすると、ワーク49の表面は曲面なので印刷の長さは一定にならない。そこで、制御部110は、ロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動する量を変更してワーク49に対する印刷速度を一定にすることが望ましい。
具体的には、制御部110は、以下のようにスキージ92の傾斜角度に応じてロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動する量を変更する。
【0044】
図8の(a)の記号の意味は以下のとおりである。
Eは、ロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動する軌跡。
Fは、ワーク49の曲面。
Kは、単位角度であり、例えば、π/180。
K0は、印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度。
Mは、単位角度Kあたりのワーク49の曲面を直線で近似した場合の直線の長さ。
N1、N2、N3は、ロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量。
Hは、スキージ92の延在方向(半径方向)と単位角度Kあたりのワーク49の曲面Fを直線で近似した長さMの直線との角度
【0045】
単位角度Kを小さくすれば、角度Hは90度に近づくので、図では、角度Hは、90度としている。
単位角度Kを小さくすれば、単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧長は、単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧の両端を結んだ直線に近づくので、単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧長を単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧の両端を結んだ長さMの直線で近似している。
スキージ92の傾斜角度が単位角度Kだけ変化すれば、ワーク49の曲面において長さMだけ印刷することができる。
【0046】
印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度K0から単位角度Kだけ変化する場合、長さMに対応するロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量N1は以下の計算式で求めることができる。
N1/M=cos(π/2−K0)
N1=M・cos(π/2−K0)
【0047】
スキージ92の傾斜角度K0+Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さMに対応するロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量N2は以下の計算式で求めることができる。
N2/M=cos(π/2−(K0+K))
N2=M・cos(π/2−(K0+K))
【0048】
スキージ92の傾斜角度K0+K+K=K0+2Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さMに対応するロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量N3は以下の計算式で求めることができる。
N3/M=cos(π/2−(K0+2K))
N3=M・cos(π/2−(K0+2K))
【0049】
制御部110は、開始傾斜角度K0から単位角度Kがn個増加した場合、
Nn=M・cos(π/2−(K0+nK))
で求められる長さNnだけロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ移動するように制御する。
ワーク49の後端から印刷する印刷開始時には、nが小さいので、K0+nKが小さい値となり、cos(π/2−(K0+nK))は、小さな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始する場合、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ短く移動するように制御する。
ワーク49の後端から中央へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2−(K0+nK))は、徐々に大きな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始後、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ徐々に長く移動するように制御する。
ワーク49の中央を印刷する場合は、K0+nKがπ/2となり、cos(π/2−(K0+nK))は、最大値1となる。したがって、ワーク49の中央を印刷する場合、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ長さMだけ移動するように制御する。
ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2−(K0+nK))は、徐々に小さな値となる。したがって、ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ徐々に短く移動するように制御する。
以上のように、制御部110は、印刷位置により印刷部90の印刷方向への直線移動速度を変更する。
【0050】
<溝ブロックの前後方向への移動速度の制御>
図8の(b)は、制御部110の駆動モータ87の制御方法を説明する概念図である。
制御部110が駆動モータ87を動作させる場合、溝ブロック85の移動速度を均一にすると、スキージ92が先端部Cを中心に回転するのでスキージ92の回転速度は一定にならない。そこで、制御部110は、駆動モータ87による溝ブロック85の移動量を変更してスキージ92の回転角度を一定にすることが望ましい。
具体的には、制御部110は、以下のようにスキージ92の傾斜角度に応じて駆動モータ87による溝ブロック85の移動する量を変更してスキージ92の回転角度を一定にすることが望ましい。
量を変更する。
【0051】
図8の(b)の記号の意味は以下のとおりである。
Dは、溝ブロック85が後方向に移動する軌跡。
Gは、スライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡。スキージ92の先端部Cを中心とした円弧。
Kは、単位角度であり、例えば、π/180。
K0は、印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度。
Iは、単位角度Kあたりのワーク49の曲面を直線で近似した場合の直線の長さ。
D1、D2、D3は、駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量。
Hは、スキージ92の延在方向(半径方向)と単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gを直線で近似した場合の直線との角度。
【0052】
単位角度Kを小さくすれば、角度Hは90度に近づくので、図では、角度Hは、90度としている。
単位角度Kを小さくすれば、単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧長は、単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧の両端を結んだ直線に近づくので、単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧長を単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧の両端を結んだ長さIの直線で近似している。
【0053】
スキージ92の傾斜角度が単位角度Kだけ均等に変化せるためには、スライドカムフォロア44の回転軸が長さIだけ均等に移動すればよい。スライドカムフォロア44の回転軸が長さIだけ均等に移動するために、制御部110は、駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D1、D2、D3を以下のように計算する。
【0054】
印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度K0から単位角度Kだけ変化する場合、長さIに対応する駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D1は以下の計算式で求めることができる。
D1/I=cos(π/2−K0)
D1=I・cos(π/2−K0)
【0055】
スキージ92の傾斜角度K0+Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さIに対応する駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D2は以下の計算式で求めることができる。
D2/I=cos(π/2−(K0+K))
D2=I・cos(π/2−(K0+K))
【0056】
スキージ92の傾斜角度K0+K+K=K0+2Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さIに対応する駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D3は以下の計算式で求めることができる。
D3/I=cos(π/2−(K0+2K))
D3=I・cos(π/2−(K0+2K))
【0057】
制御部110は、開始傾斜角度K0から単位角度Kがn個増加した場合、
Dn=I・cos(π/2−(K0+nK))
で求められる長さDnだけ駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ移動するように制御する。
ワーク49の後端から印刷する印刷開始時には、nが小さいので、K0+nKが小さい値となり、cos(π/2−(K0+nK))は、小さな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始する場合、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ短く移動するように制御する。
ワーク49の後端から中央へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2−(K0+nK))は、徐々に大きな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始後、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ徐々に長く移動するように制御する。
ワーク49の中央を印刷する場合は、K0+nKがπ/2となり、cos(π/2−(K0+nK))は、最大値1となる。したがって、ワーク49の中央を印刷する場合、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ長さIだけ移動するように制御する。
ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2−(K0+nK))は、徐々に小さな値となる。したがって、ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ徐々に短く移動するように制御する。
以上のように、制御部110は、回転制御部80を制御して印刷位置により溝ブロック85の後方向への直線移動速度を変更する。
【0058】
ステップS16:スキージ上昇工程
制御部110は、印刷が終了すると、上下シリンダ93によりスキージ92を上昇させる。
【0059】
ステップS17:曲面治具下降工程
制御部110は、支持ピン56を下降させて、曲面治具47を下降させる。
【0060】
ステップS18:テーブル復帰工程
制御部110は、テーブル61を後横方向に移動させ、曲面治具47とワーク49とを搬出する。
その後、ワーク49を交換して、新たな印刷を開始する。
【0061】
以上のように、この実施の形態の印刷方法は、ガイドレール42を使ってスキージ92の先端部C(印刷位置)を回転の中心として、スキージ92の傾斜角度を変更してアタック角度を一定の角度θに保つものである。スキージ92の先端部C(印刷位置)を回転の中心とした傾斜角度の変更制御は、制御部110により制御された回転制御部80が実行する。すなわち、スキージ92の回転は、駆動モータ87のボールネジ駆動で自動的に行われ、印刷位置の移動と連動してアタック角度を一定の角度θに保つようにスキージ92が回転する。
【0062】
回転制御部80は、リニアガイド81の移動ブロック82とナット83に溝ブロック85を固定し、溝ブロック85をナット83で前後に移動する。
スキージ装着部41に固定されたブラケット43の2本の腕の上端内側に取り付けられた2個のスライドカムフォロア44が、溝ブロック85の両サイドにスライド溝86に隙間なく入り込んでいる。
駆動モータ87の回転で、ボールネジ84が回転するとナット83が前後に移動する。ナット83の前後移動に伴い、溝ブロック85も前後に移動する。溝ブロック85の前後移動に伴い、スライドカムフォロア44が前後に移動して、スキージ装着部41が回転する。
【0063】
***実施の形態1の効果***
この実施の形態によれば、曲面のワークに対して、スクリーン印刷をすることができる。
この実施の形態によれば、曲面を有するワークに対してスキージのアタック角度を一定にできるので、曲面のワークであっても最適なアタック角度による印刷ができる。
【0064】
***その他の構成***
<回転制御部80の他の構成>
図9は、印刷部90の回転制御部80の他の構成を示す図である。
図9が、
図4と異なる点は、駆動モータ87が上下ベース板94の上面に固定されていることである。
駆動モータ87の回転は、プーリベルト機構89によりボールネジ84に伝達される。
プーリベルト機構89は、駆動モータ87の回転軸に固定されたプーリと、ボールネジ84に固定されたプーリと、2個のプーリに架けられたベルトがある。
図9の構成は、駆動モータ87が上下ベース板94の上面に固定されているので、
図4の構成と比較して、印刷部90の前後方向の長さを短くすることができる。
図示していないが、駆動モータ87の回転を、ギア、カップリング、その他の伝達機構を用いて、ボールネジ84に伝達してもよい。
【0065】
<凸曲面への印刷>
図10は、曲面治具47とワーク49とスクリーン枠96とが、凹曲面ではなく、凸曲面をしている場合を示している。制御部110の制御を変更することで、前述した印刷部90と同一構成の印刷部90で凸曲面のワーク49に印刷をすることができる。
すなわち、制御部110は、印刷開始状態で駆動モータ87を回転させガイドレール42を反時計回りに移動させておき、印刷開始状態から印刷終了状態になるまで、駆動モータ87を回転させてガイドレール42を時計回りに移動させる。こうして、アタック角度を角度θに保ちながら凸曲面のワーク49に印刷をすることができる。
【0066】
<曲面治具47の他の構成>
図11は、曲面治具47の側面の構成図である。
(a)の曲面治具47は、中央に平面があり、両端に曲面がある。
(b)の曲面治具47は、中央に曲面があり、両端に平面がある。
(c)の曲面治具47は、下に凸の曲面がある。
(d)の曲面治具47は、上に凸の曲面と下に凸の曲面がある。
(e)の曲面治具47は、中央に上に凸の曲面があり、両端に下に凸の曲面がある。
【0067】
曲面治具47の曲げ加工において凸加工又は凹加工又は折り曲げ加工を組み合わせることにより、
図11に示すような曲面治具47を形成することができ、凸面印刷又は凹面印刷などが可能である。
図11には図示していないが、ワーク49も曲面治具47と同じ側面形状を有する。
制御部110は、曲面治具47とワーク49の形状に合わせて、駆動モータ87を回転させガイドレール42を移動させる。こうして、アタック角度を角度θに保ちながら曲面と平面とが組み合わさったワーク49に印刷をすることができる。
【0068】
<昇降機構の他の構成>
支持シリンダ55と支持ピン56により搬出入機構60を昇降させて曲面治具47とワーク49とを昇降させなくてもよく、4本の支持柱62の頂部に4個のシリンダを設け、4個のシリンダにより曲面治具47とワーク49とを昇降させてもよい。
上下ベース板94は、上下シリンダ93によらず、サーボモータその他の昇降機構で昇降させてもよい。
【0069】
実施の形態2.
この実施の形態では、実施の形態1と異なる点について説明する。
【0070】
***構成の説明***
図12、
図13、
図14のスクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49を曲面治具47で操作してスクリーン製版によりスクリーン印刷する装置である。
図15に示すように、回転制御部80は、保持部40の前後に固定された2本の足部801を有する。2本の足部801の中心角は90度である。
足部801は、弧状のガイドレール42の両端面から直線状に延びた足である。ガイドレール42と足部801との側面視の形状は、丸い山型形状である。
足部801は、先端に、曲面治具47の曲面の表面を移動する足カムフォロア802を有する。
図13に示すように、回転制御部80は、左右にあり、回転制御部80の左右幅は、曲面治具47の左右幅よりも小さい。
【0071】
***動作の説明***
ステップS11のワークセット工程と、ステップS12のテーブル移動工程とステップS13の曲面治具上昇工程は、実施の形態1と同じである。
【0072】
ステップS14:印刷部セット工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の後端に移動させる。
制御部110は、上下シリンダ93を用いてスキージ92をスクリーン枠96まで下降させる。
スキージ92が下降すると、後の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、後の足カムフォロア802が下降できなくなる。制御部110がスキージ92をさらに下降させると、ガイドレール42はスキージ92の先端部Cを中心にして時計回りに移動し始め、前の足カムフォロア802が下がり始める。
前の足カムフォロア802が下がると、前の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、前の足カムフォロア802が下降できなくなる。
後の足カムフォロア802と前の足カムフォロア802とが曲面治具47の表面に接触すると、スキージ92の下降は止まる。
この状態は、
図16の(a)に示す印刷開始状態であり、スキージ92の先端部Cに適切な印圧が加わり、アタック角度が角度θとなっている状態である。
【0073】
ステップS15:印刷工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方に移動させて印刷を開始する。
制御部110は、印刷中、上下シリンダ93を制御して上下ベース板94に印圧を加える。
【0074】
印刷部90が前方に移動すると、足カムフォロア802は曲面治具47の表面を転がりながら前方に移動する。
足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら後方から中央に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が前下がりから水平に近づくので、ガイドレール42がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
また、足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら中央から前方に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が水平から前上がりになるので、ガイドレール42がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
このように、回転制御部80は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるようにガイドレール42の回転を制御する。
【0075】
ステップS16のスキージ上昇工程とステップS17の曲面治具下降工程とステップS18のテーブル復帰工程とは、実施の形態1と同じである。
【0076】
***実施の形態2の効果***
この実施の形態によれば、2本の足部801からなる回転制御部80という簡単な構成で、曲面のワークに対して、スクリーン印刷をすることができる。
この実施の形態によれば、曲面を有する曲面治具47に対して2本の足部801を突き当てることでスキージのアタック角度を一定にできる。
また、ガイドレール42と2本の足部801とを一部品で製造することができる。
【0077】
***その他の構成***
<足部801の構成>
図17に示すように、足部801は棒状でなくてもよく、L字状に左右に屈曲していてもよい。
図17では、足部801が2度直角に屈曲している。
足部801がL字状に左右に屈曲している場合でも、曲面治具47と足カムフォロア802との左右幅は同じ幅を有している。
足部801がL字状に左右に屈曲している場合は、印刷部90の下方の空間を広くすることができる。
【0078】
実施の形態3.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
【0079】
***構成の説明***
図18に示すように、印刷部90全体を弧状に移動させてもよい。
図18では、スキージ92を保持した印刷部90を弧状に移動させる移動機構99を有している。
移動機構99は、ロボシリンダ97と湾曲したレール112とを有する。印刷部90のスライド部91は、湾曲したレール112にスライド可能に取り付けられている。ロボシリンダ97の駆動力により印刷部90のスライド部91が湾曲したレール112に沿って弧状に移動する。
レール112の円弧とワーク49の円弧とスクリーン枠96の円弧の中心は同一中心点にある。
印刷部90に装着されたスキージ92の先端部Cは、レール112の円弧の中心点を中心とする円弧を移動する。
したがって、印刷部90の移動中、アタック角度θが一定になる。
【0080】
***効果の説明***
図18の構成によれば、簡単な構成で、曲面を有するワーク49に対して、一定のアタック角度θで印刷をすることができる。また、制御部110がロボシリンダ97により印刷部90を等速で移動させることで、曲面を有するワーク49に対して、等速で印刷をすることができる。
【0081】
***その他の構成***
移動機構99は、他の構成でもよい。
図19に示すように、印刷部90を振り子のように移動させる移動機構99でもよい。移動機構99は、腕98と駆動モータ87を有し、駆動モータ87が回転することにより、腕98が、駆動モータ87の回転軸を中心にして回転する。腕98が回転すると、腕98の下端に固定された印刷部90も回転する。駆動モータ87の回転軸は、ワーク49の円弧とスクリーン枠96の円弧の中心に位置している。
このように、移動機構99は、印刷部90に装着されたスキージ92の先端部Cがワーク49の円弧とスクリーン枠96の円弧の中心点を中心とする円弧を移動するように、印刷部90を回転させるものであればよい。
移動機構99は、モータ、スライダ、レール、シリンダ、ベルト、ネジ、変換機構などの既存の部品の組み合わせで実現することができる。
あるいは、
図4に示した回転制御部80の構成をロボシリンダ97に適用し、
図4に示した規制部70の構成を梁フレーム54に適用し、さらに、保持部40の構成を印刷部90のスライド部91に適用して、印刷部90全体をスキージ92の先端部Cを中心にして回転させるようにしてもよい。
【0082】
実施の形態4.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
【0083】
***構成の説明***
図20、
図21、
図22のスクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49を曲面治具47で操作してスクリーン製版によりスクリーン印刷する装置である。
図23、
図24、
図25は、スクリーン印刷装置100に用いられる印刷部90を示す詳細透視図である。
図23、
図24、
図25において、印刷部90は、スクレッパー機構として、スクレッパー310と、スクレッパー310を上下させるスクレッパーシリンダ320とを有している。
図20、
図21、
図22において、説明を簡単にするために、スクレッパー機構は図示していない。
【0084】
<<印刷部90>>
スクリーン印刷装置100は、印刷部90を有している。
印刷部90は、スライド部91を有する。
スライド部91は、
図21、
図22に示すように、2本の梁フレーム54の間に配置されている。
スライド部91は、梁フレーム54に収納されたロボシリンダ97より前後にスライドする。
印刷部90は、梁フレーム54に対して前後横方向に直線移動可能に取り付けられている。
印刷部90の中央下部には、スキージ92が取り付けられている。
ワーク49の印刷位置は、スキージ92の先端部Cである。
スキージ92の先端部Cが移動することにより、ワーク49の印刷位置が移動する。
【0085】
<<印刷部90の構成>>
印刷部90は、保持部40と規制部70と回転制御部80とを有する。
保持部40は、スキージ92を保持する。
規制部70は、保持部40を回転可能に取り付けている。
回転制御部80は、規制部70に取り付けられた保持部40を回転させる。
【0086】
<<保持部40の構成>>
図21に示すように、保持部40は、背板210と横板211とを有する。
【0087】
<背板210>
背板210は、スライド部91と平行な平面板である。
背板210の中央に、印圧シリンダ221が固定されている。
印圧シリンダ221の下には、スキージ装着部41が固定されている。
スキージ装着部41は、スキージ92を固定している。
印圧シリンダ221は、スキージ92を上下させるシリンダである。
印圧シリンダ221は、スクリーン印刷時にスキージ92に対して印圧を加えるシリンダである。
【0088】
<横板211>
横板211は、背板210の両端に固定された平面板である。
横板211は、側面視で、矩形形状あるいは台形形状をしている。
横板211は、背板210と直交している。
【0089】
<挟持部77>
図26の(a)に示すように、横板211には、挟持部77がある。
挟持部77は、2個のガイドローラ72と、2個のガイドカムフォロア73を有する。
ガイドローラ72は、スキージ92の先端部Cを中心にした円周上に配置されている。
ガイドカムフォロア73は、スキージ92の先端部Cを中心にした円周上に配置されている。
2個のガイドローラ72の回転軸と2個のガイドカムフォロア73との回転軸は、それぞれスキージ92の先端部Cを中心にした2本の半径の上に配置されている。
2本の半径の中心角αは、30度以上50度以下が好ましく、40度が好適である。
【0090】
<ピン212>
図26の(a)に示すように、横板211には、ピン212がある。
ピン212は、横板211から突き出た円柱棒である。
ピン212は、スキージ92の先端部Cの真上に配置されており、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lに配置されている。
【0091】
<<回転制御部80の構成>>
図21に示すように、回転制御部80は、左右にある。
1対の回転制御部80の左右幅は、曲面治具47の左右幅よりも小さい。
回転制御部80は、保持部40の下端に固定された足部801を有する。
足部801は、曲面治具47の曲面の表面を移動する足カムフォロア802を有する。
足部801は、足カムフォロア802を回転可能に取り付けている。
【0092】
図26の(a)に示すように、足部801は、横板211の下端の前後にある。
2個の足カムフォロア802の中心を結ぶ線は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lと直交している。
2個の足カムフォロア802の半径は同じである。
2個の足カムフォロア802の中心とスキージ92の先端部Cを通る垂直線Lとの距離は同じである。
【0093】
<<規制部70の構成>>
図26の(c)に示すように、規制部70は、上下シリンダ93と上下板290とを有する。
上下シリンダ93と上下板290とは、それぞれ1対あり、スライド部91の左右に存在する。
上下シリンダ93は、スライド部91に対して固定されている。
上下シリンダ93は、上下板290を上下移動させるとともに、スクリーン印刷時に下方に向けて圧力を発生させる。
上下板290は、前後方向に平行な平面板である。
上下板290は、スライド部91と直交している。
上下板290は、側面視で、矩形形状あるいは台形形状をしている。
上下板290は、横板211と平行に配置されている。
上下板290の前後横幅は、横板211の前後横幅と同じ、又は、ほぼ同じである。
【0094】
<ガイドレール42>
図26の(c)に示すように、横板211の下端には、弧状のガイドレール42がある。
ガイドレール42は、全体が円弧形状をしており、円弧の中心はスキージ92の先端部Cであり、中心角は90度である。
ガイドレール42は、上面に山状の突出部45を有し、下面に、湾曲面を有する。
ガイドレール42の半径方向の断面は、ホームベース形状をした五角形である。
図21に示すように、ガイドレール42と挟持部77とは、上下板290と横板211との間に配置されている。
図26の(b)に示すように、ガイドレール42は、挟持部77をスキージ92の先端部Cを中心にして回転可能に取り付けている。
ガイドレール42は、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40が回転するように、保持部40の回転方向を規制する。
【0095】
挟持部77は、ガイドレール42を挟持しているため、挟持部77のガイドローラ72とガイドカムフォロア73は揺り椅子あるいは揺り籠のようにスイングすることが可能である。
【0096】
<規制穴291>
図26の(c)に示すように、横板211は弧状の規制穴291を有する。
規制穴291の中心は、スキージ92の先端部Cである。
規制穴291の中心角の好適な値は30度である。
図26の(b)に示すように、規制穴291は、ピン212を挿入して、ピン212を弧状にスライドさせる穴である。
規制穴291は、規制穴291の中心角の範囲内に、ピン212の回転を規制するものである。
【0097】
<バネ213>
図21に示すように、規制部70は1対のバネ213を有する。
バネ213は、スライド部91と横板211とに接続されている引っ張りバネである。
バネ213は、スキージ92の真上にあり、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lに配置されている。
【0098】
***動作の説明***
図27を用いて、スクリーン印刷装置100の印刷方法の詳細動作について説明する。
図28は、印刷動作を示す透視図である。
図28では、スクリーン95とスクリーン枠96とは図示していない。
以下の動作は、スクリーン印刷装置100に設けられた制御部110により実行される。
この実施の形態では、前横方向から後横方向に向かって印刷する場合を説明する。
【0099】
ステップS11:ワークセット工程
図20の支持柱62に曲面治具47が載せられた状態で、曲面治具47にワーク49を載せる。
曲面治具47とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49は、曲面治具47に隙間なく配置される。
【0100】
ステップS12:テーブル移動工程
制御部110は、テーブル61を前横方向に移動させ、テーブル61を印刷部90の真下の位置で移動を止める。
【0101】
ステップS13:曲面治具上昇工程
テーブル61が曲面治具47を運んでくると、制御部110は、支持シリンダ55の支持ピン56を上昇させ、テーブル61を持ち上げ、曲面治具47を上昇させる。制御部110は、ワーク49とスクリーン枠96とが所定のクリアランスになるまで曲面治具47を上昇させる。
スクリーン枠96とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49の全表面がスクリーン枠96に対して所定のクリアランスで配置される。
【0102】
ステップS24:印刷部セット工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の前端に移動させる。
図26の(b)に示すように、保持部40と規制部70とは、バネ213により上下方向に整列しており、保持部40は規制部70に対して回転していない。
【0103】
<上下シリンダ93の下降>
制御部110は、上下シリンダ93を用いて規制部70の上下板290を下降させる。
上下シリンダ93により、上下板290に加わった圧力は、ガイドレール42に伝わる。ガイドレール42に伝わった圧力は、2個のガイドカムフォロア73に伝わり、さらに、横板211に伝わる。
横板211への下方への圧力は、保持部40全体を下降させることになる。
保持部40が下降すれば、バネ213が伸び始める。
また、保持部40が下降すれば、回転制御部80も下降する。
回転制御部80が下降すると、前の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、前の足カムフォロア802が下降できなくなる。
制御部110が上下シリンダ93を用いて規制部70をさらに下降させると、バネ213が伸び、挟持部77はスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回りにガイドレール42に沿って移動し始め、後の足カムフォロア802が下がり始める。
後の足カムフォロア802が下がると、後の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、後の足カムフォロア802が下降できなくなる。
前の足カムフォロア802と後の足カムフォロア802とが曲面治具47の表面に接触すると、保持部40の下降が止まるり、上下シリンダ93を用いた規制部70の下降は止まる。
以上のように、保持部40が下降すると、回転制御部80が曲面治具47の表面に当たり、保持部40がスキージ92の先端部Cを中心にして回転する。こうして、スキージ92のアタック角度が角度θとなる。
【0104】
<印圧シリンダ221の下降>
制御部110は、印圧シリンダ221を用いてスキージ92を下降させ、スキージ92に印圧を加える。
ガイドレール42から2個のガイドカムフォロア73に加わった圧力は、回転制御部80が受けており、ガイドレール42から2個のガイドカムフォロア73に加わった圧力は、スキージ92に直接伝わらない。
印圧シリンダ221はスキージ92に対して印刷圧力を直接かけるために設けられている。
印圧シリンダ221からスキージ装着部41に加わった印圧は、スキージ92に伝わり、スキージ92の先端部Cに伝わる。
こうして、スキージ92の先端部Cには、印圧シリンダ221による印圧が伝わる。
図27の(a)に、印刷開始状態を示す。
【0105】
ステップS25:印刷工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を後方に移動させて印刷を開始する。
図28の下向きの矢印で示すように、制御部110は、印刷中、上下シリンダ93と印圧シリンダ221との両方に対して下方への圧力をかけたまま、印刷部90を後方に移動させて印刷する。
【0106】
印刷部90が後方に移動すると、足カムフォロア802は曲面治具47の表面を転がりながら後方に移動する。
足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら前方から中央に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が後下がりから水平に近づくので、挟持部77がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動する。
図28の(b)に、ワーク49の中間時点の状態を示す。
【0107】
足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら中央から後方に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が水平から後上がりになるので、挟持部77がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動する。
このように、回転制御部80は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるようにガイドレール42の回転を制御する。
【0108】
回転制御部80がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動すると、挟持部77もスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動する。
印刷中は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θに保たれる。
図28の(c)に、ワーク49の印刷終了状態を示す。
【0109】
ステップS26:スキージ上昇工程
制御部110は、印刷が終了すると、上下シリンダ93により規制部70を上昇させ、印圧シリンダ221によりスキージ92を上昇させる。
規制部70が上昇すると、バネ213により保持部40がスキージ92の先端部Cを中心にして回転する。こうして、保持部40と規制部70とは、バネ213により上下方向に整列した状態に復帰し、保持部40は規制部70に対して回転していない状態となる。
制御部110は、スクレッパー310をスクレッパーシリンダ320により下降させる。
制御部110は、スクレッパー310でインクを戻しながら、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の前端に移動させる。
【0110】
ステップS17:曲面治具下降工程
制御部110は、支持ピン56を下降させて、曲面治具47を下降させる。
【0111】
ステップS18:テーブル復帰工程
制御部110は、テーブル61を後横方向に移動させ、曲面治具47とワーク49とを搬出する。
その後、ワーク49を交換して、新たな印刷を開始する。
【0112】
このように、スクリーン印刷装置100は、保持部40にスキージ92を保持し、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40を回転させながらスクリーン印刷をする。
保持部40は、挟持部77を有し、挟持部77によりガイドレール42を挟持して、挟持部77の移動方向を規制しながらスクリーン印刷をする。
規制部70は、ガイドレール42を有し、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73をガイドレール42に沿って移動させる。
このようにして、スクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49に対してスキージ92のアタック角度を一定の角度θにしてスクリーン印刷をする。
【0113】
<実施の形態4の特徴>
実施の形態4では、曲面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置100を説明した。
スクリーン印刷装置100は、保持部40と規制部70と回転制御部80とを有する。
保持部40は、スキージ92を保持する。
規制部70は、スキージ92の先端を中心にして保持部40が回転するように、保持部40の回転方向を規制して保持部40を取り付けている。
回転制御部80は、規制部70に取り付けられた保持部40を回転させる。
【0114】
規制部70は、弧状のガイドレール42を有する。
保持部40は、ガイドレール42に対して回転可能に取り付けられた挟持部77を有する。
【0115】
挟持部77は、ガイドレール42を上下から挟んだガイドローラ72とガイドカムフォロア73とを有する。
ガイドレール42は、保持部40に下方への圧力を加える。
保持部40は、挟持部77により弧状のガイドレール42を挟持して、挟持部77の移動方向を規制しながらスクリーン印刷をする。
【0116】
規制部70は、保持部40を上下させる上下シリンダ93を有する。
保持部40は、スキージ92を上下させる印圧シリンダ221を有する。
【0117】
スクリーン印刷装置100は、ワーク49を載せる曲面治具47を使用する。
回転制御部80は、保持部40の前後に固定された足部801を有する。
足部801は、曲面治具47の曲面の表面を移動する。
【0118】
***実施の形態4の効果***
この実施の形態によれば、曲面のワークに対して、スクリーン印刷をすることができる。
この実施の形態によれば、回転制御部80により曲面を有するワークに対してスキージのアタック角度を一定にできる。
この実施の形態によれば、印圧シリンダ221が単独でスキージ92に対して所望の印圧をかけることができる。
この実施の形態によれば、規制穴291がピン212の移動範囲を制限するので、保持部40の規制部70に対する回転角度を規制することができる。
【0119】
***その他の構成***
保持部40にガイドレール42を設け、規制部70に挟持部77を設けてもよい。
ガイドローラ72とガイドカムフォロア73の数は、2個以上あればよい。
バネ213は、印刷部90の前方移動中に保持部40のふらつきを防止し保持部40を垂直に保つための機構であり、保持部40が規制部70に対してふらつかないのであれば、バネ213はなくてもよい。
規制部70は、左右になくてもよく、中央1箇所だけにあってもよい。
足部801は、足カムフォロア802を回転可能に保持した部分であり、足カムフォロア802を回転可能に保持していれば足部801の形状はどのようなものでもよい。
【0120】
実施の形態5.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態で、「着脱可能」とは、部品を着脱することが予定されていることを意味する。
したがって、この実施の形態で、「着脱可能」とは、メーカー又はユーザーの人間が手で又は一般に市販されている道具を用いて、部品を交換可能であることをいう。
また、この実施の形態で、「AとBといずれかの部品を固定することができるC」とは、Cの構成に変更を加えることなくCがAとBとのいずれでも固定することができることをいう。
【0121】
***構成の説明***
図29、
図30、
図31及び
図32のスクリーン印刷装置100は、凹面又は凸面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置を示している。
スクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置である。
スクリーン印刷装置100は、治具固定部460と、枠固定部440と、ガイド固定部420と、印刷部90と、移動機構99とを有する。
【0122】
**治具固定部460**
治具固定部460は、ワーク49を保持する曲面治具47をテーブル61に固定する。
治具固定部460は、凹面を有する凹面治具471と凸面を有する凸面治具472とのいずれか一方の曲面治具47をテーブル61に着脱可能に固定する。
凹面治具471とは、
図29に示すように、水平面から下方に窪んだ弧状の曲面を有する曲面治具である。
凸面治具472とは、
図30に示すように、水平面から上方に膨らんだ弧状の曲面を有する曲面治具である。
治具固定部460は、曲面治具47を基台51に着脱可能に固定するものであってもよい。
【0123】
**枠固定部440**
枠固定部440は、スクリーン95を張ったスクリーン枠96を柱フレーム53に固定する。
枠固定部440は、治具固定部460がテーブル61に固定した曲面治具47の上に、スクリーン枠96を固定する。
枠固定部440は、スクリーン枠96の左右方向にある枠のみを固定することが望ましい。
枠固定部440は、スクリーン枠96の前後方向にある枠を固定しないことが望ましい。
【0124】
**ガイド固定部420**
ガイド固定部420は、曲面ガイド410を着脱可能に固定する。
ガイド固定部420は、曲面ガイド410の両端を柱フレーム53に固定する。
ガイド固定部420は、
図31に示すように、印刷部90の左右両側に、同じ曲面を有する2本の曲面ガイド410を平行に固定している。
ガイド固定部420は、枠固定部440が固定したスクリーン枠96の上に、曲面ガイド410を固定している。
ガイド固定部420は、スクリーン枠96のスクリーン95よりも上に、曲面ガイド410を固定している。
ガイド固定部420は、凹面を有する凹面ガイド411と、凸面を有する凸面ガイド412とのいずれか一方の曲面ガイドを着脱可能に固定する。
凹面ガイド411とは、
図29に示すように、水平面から下方に窪んだ弧状の曲面を有するレール状の曲面ガイドである。
凸面ガイド412とは、
図30に示すように、水平面から上方に膨らんだ弧状の曲面を有するレール状の曲面ガイドである。
【0125】
**印刷部90**
印刷部90は、スキージ92を保持し、スキージ92により、スクリーン95が曲面治具47に保持されたワーク49の曲面に届くまで、曲面治具47に保持されたワーク49に向かってスクリーン95を押す。
印刷部90は、曲面ガイド410の曲面を移動してワーク49の曲面に対してスキージ92のアタック角度を一定に保つ回転制御部80を有する。
回転制御部80は、2本の曲面ガイド410の曲面を移動する2本の足部801と各足部801の前後に取り付けられた2個の足カムフォロア802を有する。
【0126】
**移動機構99**
移動機構99は、スライド部91とロボシリンダ97とにより、印刷部90を前後方向に移動させる。
移動機構99は、上下シリンダ93により、印刷部90を下方に加圧することができる。
移動機構99は、印刷部90を曲面ガイド410の曲面に沿って印刷方向に移動させる。
移動機構99は、印刷部90を下方に加圧し印刷部90の回転制御部80の足部801にある足カムフォロア802を曲面ガイド410に接触させながら印刷部90を移動させる。
【0127】
**曲面ガイド410**
図33の(a)に示すように、曲面ガイド410は、厚さが一定の長尺板である。
図33の(a)に示すように、凹面ガイド411は、水平面に対して下方に窪んだ曲面を有している。
曲面ガイド410は、左右対称の構造をしている。
曲面ガイド410は、取付部413と弧状部414とを有する。
取付部413は、弧状部414の両側にある平面板である。
取付部413は、ガイド固定部420に固定される固定板である。
弧状部414は、ワーク49と同じ半径の曲面を有する弧状板である。
1個の取付部413は、4個のネジ穴418と1個の位置決め孔417を有する。
位置決め孔417は、4個のネジ穴418の中央に形成されている。
【0128】
**固定部材415**
図33の(b)に示すように、固定部材415は、厚さが一定の直方体の形状をしている。
固定部材415は、ガイド固定部420の一部である。
固定部材415は、曲面ガイド410の両端にある取付部413の上面に固定され、取付部413の強度を増し、曲面ガイド410のガイド固定部420への固定を強固にするための部材である。
固定部材415は、4個のネジ孔419と1個の窪み416を有する。
窪み416は、4個のネジ穴418の中央に形成されている。
【0129】
図33の(c)に示すように、曲面ガイド410には、ネジにより固定部材415が固定される。
固定部材415は、ネジ穴418とネジ孔419とに挿入された4本のネジにより、窪み416が露出した状態で、取付部413の端部に固定される。
取付部413の位置決め孔417は、固定部材415により覆われる。
取付部413に固定部材415が固定された状態で左右対称の構造をしているので、いずれの端部も左右どちらでも用いることができる。
【0130】
図33の(d)に示すように、凸面ガイド412は、水平面に対して上方に突出した曲面を有している。
図33の(d)に示す凸面ガイド412は、凹面ガイド411を上下反対にしたものであり、凹面ガイド411と凸面ガイド412とは同一形状であり、同一部品を凹面ガイド411と凸面ガイド412として使用することができる。
図33の(c)と(d)に示すように、固定部材415と取付部413との合計の厚さは、T4である。
【0131】
**スクリーン版970**
図34に示すように、スクリーン版970は、凹面用スクリーン版971と凸面用スクリーン版972とがある。
スクリーン版970は、スクリーン枠96にスクリーン95を平面状に紗張りしたものである。
凹面用スクリーン版971は、スクリーン枠96と凹面用スクリーン951とを有する。
凸面用スクリーン版972は、スクリーン枠96と凸面用スクリーン952とを有する。
スクリーン枠96は、金属製の額縁形状の版枠である。
凹面用スクリーン版971のスクリーン枠96と凸面用スクリーン版972のスクリーン枠96の前後方向の長さは異なるが、左右方向の長さは同じ長さL9である。
【0132】
**スクリーン95**
スクリーン95は、メッシュスクリーンである。
スクリーン95は、伸縮性があり柔軟性がある素材を用いるのがよく、具体的には、テトロン(登録商標)その他のポリエステル製又はナイロン製が好適である。
スクリーン95は、スクリーン枠96にテンションをもって張られており平面を呈している。
スクリーン95は、スキージ92により垂直下方に圧力が加えられた場合は、下方に延びることが可能である。
スクリーン95は、あらかじめ印刷中の伸びを考慮した印刷パターンが形成されている。
スクリーン95は、凹面を有するワーク49に対する印刷パターンP1を有する凹面用スクリーン951と、凸面を有するワーク49に対する印刷パターンP2を有する凸面用スクリーン952とのいずれか一方のスクリーン95である。
【0133】
**スクリーン95の印刷パターン**
図34に、長方形を印刷する場合のスクリーン95の印刷パターンを示す。
図34に示す印刷パターンP1と印刷パターンP2は、説明をわかりやすくするための概念パターンである。
【0134】
平面に張ったスクリーン95を用いて凹面又は凸面に印刷するために、印刷位置によって、スクリーンの下方への伸びが変化する。
すなわち、スクリーン95は、印刷中に、前後方向と左右方向に延びることになり、印刷位置によって前後方向と左右方向とへの伸びる長さが変化する。
【0135】
*凹面を有するワーク49に対する印刷パターンP1*
図34の(a)は、凹面を有するワーク49に対する印刷パターンP1を有する凹面用スクリーン951と凹面用スクリーン版971との概念図である。
印刷パターンP1の前後方向の端部を印刷する場合に凹面用スクリーン951を下方に延びやすくするために、「凹面用スクリーン951の前後方向の長さの半分長L1」は、「印刷パターンP1の前後方向の半分長L2」よりも長い。
「凸面用スクリーン952の前後方向の長さの半分長L1」は、「印刷パターンP2の前後方向の半分長L2」の1.5倍未満が好ましい。
また、「印刷パターンP1の前後方向の半分長L2」は、印刷結果が予定の長さになるように、形成されている。「印刷パターンP1の前後方向の半分長L2」は、印刷中に凹面用スクリーン951が前後方向に延ばされるため、「印刷パターンP1の前後方向の半分長L2」は、印刷結果の前後長の半分の長さより小さい。
図34の(a)の印刷パターンP1は、スクリーン枠96の中心線LCから離れるほど左右の幅が広くなっている。すなわち、「印刷パターンP1の中心左右幅L3<印刷パターンP1の端部左右幅L4」である。
凹面を有するワーク49に印刷をする場合、スクリーン95は、スクリーン枠96の中心線LCにおいて最も伸びるため、前後方向への印刷結果が直線になるように、スクリーン枠96の中心線LCから離れるほど左右の幅を広くする。
【0136】
*凸面を有するワーク49に対する印刷パターンP2*
図34の(b)は、凸面を有するワーク49に対する印刷パターンP2を有する凸面用スクリーン952と凸面用スクリーン版972との概念図である。
印刷パターンP2の前後方向の端部を印刷する場合に凸面用スクリーン952を下方に延びやすくするために、「凸面用スクリーン952の前後方向の長さの半分長L5」は、「印刷パターンP2の前後方向の半分長L6」よりも長い。
凸面印刷の場合は、印刷パターンP2の前後方向両端ほど凸面用スクリーン952が下方に延びなければならない。このため、「凸面用スクリーン952の前後方向の長さの半分長L5」は、「印刷パターンP2の前後方向の半分長L6」の1.5倍以上がよく、2.0倍以上が好ましい。
また、「印刷パターンP2の前後方向の半分長L6」は、印刷結果が予定の長さになるように、形成されている。「印刷パターンP2の前後方向の半分長L6」は、印刷中に凸面用スクリーン952が前後方向に延ばされるため、「印刷パターンP2の前後方向の半分長L6」は、印刷結果の前後長の半分の長さより小さい。
図34の(b)の印刷パターンP2は、スクリーン枠96の中心線LCから離れるほど左右の幅が狭くなっている。すなわち、「印刷パターンP2の中心左右幅L7<印刷パターンP2の端部左右幅L8」である。
凸面を有するワーク49に印刷をする場合、スクリーン95は、印刷パターンP2の端部において最も伸びるため、前後方向への印刷結果が直線になるように、スクリーン枠96の中心線LCから離れるほど左右の幅を狭くする。
【0137】
印刷パターンP1と印刷パターンP2を張ったスクリーン版970の製作方法は以下のとおりである。
【0138】
<製作方法1>
所望の印刷パターンから印刷パターンP1又は印刷パターンP2を計算で求める。計算で求めた印刷パターンP1又は印刷パターンP2を張ったスクリーン版970を製作する。
【0139】
<製作方法2>
A.まず、所望の印刷パターンを有するスクリーン版970を製作して実際に印刷をする。
B.このスクリーン版970の実際の印刷結果の前後方向と左右方向との長さを計測して、実際の印刷結果と所望の印刷結果との長さの差がなくなるように、印刷パターンP1又は印刷パターンP2を決定する。
C.この印刷パターンP1又は印刷パターンP2を張ったスクリーン版970を製作して実際に印刷をする。
D.さらに、このスクリーン版970の実際の印刷結果の前後方向と左右方向との長さを計測して、実際の印刷結果と所望の印刷結果との長さの差が許容範囲か否か判断する。差が許容できない場合は、差がなくなるような新たな印刷パターンP1又は印刷パターンP2を決定する。そして、上記CとDを繰り返す。
【0140】
<製作方法3>
まず、上記製作方法1でスクリーン版970を製作する。次に、製作方法1で制作したスクリーン版970を用いて、製作方法2を実施して、スクリーン版970を製作する。
【0141】
***詳細構成***
図35、
図36、
図37及び
図38は、スクリーン印刷装置100の詳細構成図である。
図35は、
図29と同様に、凹面ガイド411を取り付けたスクリーン印刷装置100の詳細構成図である。
【0142】
**凹面ガイド411のガイド固定部420**
図35の(a)に示すように、曲面ガイド410の弧状部414の両端とスクリーン95との距離は、T0である。
曲面ガイド410の弧状部414の中央下端とスクリーン95との距離は、T1である。
スクリーン95とワーク49までの距離は、CLである。
【0143】
**一方のガイド固定部420**
図35の(d)に示すように、一方のガイド固定部420は、側板421と底板422と天板423と固定部材415とを有する。
側板421は、柱フレーム53に固定された縦壁板である。
底板422は、側板421の下部に固定された横板である。
底板422は、曲面ガイド410の取付部413を載せる板である。
天板423は、側板421に固定された横板である。
天板423は、固定部材415を覆う板である。
天板423には、ボールプランジャ424が取り付けられている。
ボールプランジャ424の下端には、ボールプランジャ424に内蔵された押しバネで上下移動可能なボール425がある。
ボール425は、固定部材415の窪み416に押しバネで嵌め込まれる。
【0144】
**他方のガイド固定部420**
図35の(e)に示すように、他方のガイド固定部420は、一方のガイド固定部420と同様に、側板421と底板422と天板423と固定部材415とを有する。
底板422には、位置決めピン429を圧入する孔があり、底板422には、位置決めピン429が圧入されて固定されている。
位置決めピン429は、取付部413の位置決め孔417に挿入され、曲面ガイド410を位置決めする。
天板423には、トグルクランプ426が取り付けられている。
トグルクランプ426は、レバー427とクランプ部428とを有する。
クランプ部428は、トグルクランプ426の回転により上下する。
クランプ部428は、固定部材415の表面を押さえつける。
曲面ガイド410と固定部材415とは、位置決めピン429と位置決め孔417とにより位置決めされて、底板422とトグルクランプ426の間で挟持される。
【0145】
一方のガイド固定部420において、底板422には位置決めピン429を設けず、取付部413の位置決め孔417は使用されない。
他方のガイド固定部420において固定部材415の窪み416は使用されない。
【0146】
**凸面ガイド412のガイド固定部420**
図36は、
図30と同様に、凸面ガイド412を取り付けたスクリーン印刷装置100の詳細構成図である。
【0147】
図36の(a)に示すように、曲面ガイド410の弧状部414の中央上端とスクリーン95との距離は、T0である。
曲面ガイド410の弧状部414の両端とスクリーン95との距離は、T1である。
スクリーン95とワーク49までの距離は、CLである。
【0148】
**ガイド固定部420**
図36の(d)と(e)に示すように、ガイド固定部420の構成は、
図36に示したガイド固定部420と同様である。
異なる点は、
図36の側板421の縦長が、
図35の側板421の縦長よりも長い点である。
図36の側板421の縦長が、
図35の側板421の縦長よりも長いことにより、
図36の曲面ガイド410の取り付け高さが
図35の取り付け高さより下方になる。
その結果、凹面印刷と凸面印刷とのいずれの場合でも、凹面ガイド411と凸面ガイド412とのの弧状部414のスクリーン95からの距離がT0からT1の範囲内になる。
【0149】
**回転制御部80**
図37に示すように、回転制御部80は、足部801と足カムフォロア802とを有する。
図37に示す足部801は、側面視でU字形状に形成され、足カムフォロア802が高い位置に配置されている。
足部801は、保持部40の外側に足カムフォロア802を配置する構成を有している。
足部801は、脚部803と底部804と返し部805と突出部806とを有する。
脚部803は、保持部40の下部から下方に延びた縦板である。
底部804は、脚部803の下部に固定された横板である。
返し部805は、底部804から上方に延びた縦板である。
突出部806は、返し部805に固定された水平部である。
突出部806は、足カムフォロア802を回転可能に取り付けている。
底部804と返し部805とは、板状の別部品で構成してもよいし、L字形状の1部品で構成してもよい。
底部804又は突出部806の横方向の長さを長くすることにより、左右方向にある足カムフォロア802の左右幅を変えることができる。
返し部805の縦の長さを長くすることにより、足カムフォロア802の高さ位置を変えることができる。
【0150】
***曲面ガイド410とガイド固定部420の配置***
図37に示すように、曲面ガイド410は、足カムフォロア802の下方に配置され、スクリーン95の上方に配置されている。
2本の曲面ガイド410の左右方向の間の距離は、スクリーン枠96の左右方向の間の長さ、すなわち、スクリーン95の左右方向の長さと同じであるか、やや小さい。
図38に示すように、曲面ガイド410の前後方向の長さとスクリーン枠96の前後方向の長さとは同じ又はほぼ同じである。
したがって、2本の曲面ガイド410の間の空間面積は、スクリーン95の面積と同じ又はほぼ同じであり、2本の曲面ガイド410により、印刷面積が制限されることがない。
【0151】
***動作の説明***
図39を用いて、スクリーン印刷装置100のスクリーン印刷方法について説明する。
【0152】
ステップS31:曲面治具固定工程
凹面治具471と凸面治具472との下部形状と取付構造とを同一に形成しておく。
凹面治具471と凸面治具472との下部形状と取付構造とが同一なので、治具固定部460は、凸面治具472と凹面治具471とのいずれでも固定することができる。
【0153】
<凹面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
凸面と凹面とのいずれかの曲面を有する曲面治具47を固定することができる治具固定部460に、凹面を有する凹面治具471を固定する。
凹面治具471は、治具固定部460によりテーブル61に固定される。
【0154】
<凸面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
凸面と凹面とのいずれかの曲面を有する曲面治具47を固定することができる治具固定部460に、凸面を有する凸面治具472を固定する。
凸面治具472は、治具固定部460によりテーブル61に固定される。
【0155】
ステップS32:スクリーン枠固定工程
凹面用スクリーン枠961と凸面用スクリーン枠962との枠形状を同一に形成しておく。
凹面用スクリーン枠961と凸面用スクリーン枠962との枠形状とが同一であれば、枠固定部440は、凹面用スクリーン951と凸面用スクリーン952とのいずれでも固定することができる。
枠固定部440が前後にある枠は固定せず左右にある枠のみを固定する場合、凹面用スクリーン枠961と凸面用スクリーン枠962との左右方向の長さは同じであればよい。
枠固定部440が前後にある枠は固定せず左右にある枠のみを固定する場合、凹面用スクリーン枠961と凸面用スクリーン枠962との前後方向の長さが異なっていてもよい。
【0156】
<凹面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
枠固定部440に、凹面に対応した印刷パターンP1を有する凹面用スクリーン951を有する凹面用スクリーン枠961を固定する。
【0157】
<凸面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
枠固定部440に、凸面に対応した印刷パターンP2を有する凸面用スクリーン952を有する凸面用スクリーン枠962を固定する。
【0158】
ステップS33:曲面ガイド固定工程
曲面ガイド410の両サイドにある取付部413に固定部材415を固定する。
【0159】
<凹面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
凸面と凹面とのいずれかの曲面を有する曲面ガイドを固定することができるガイド固定部420に、固定部材415が固定された凹面ガイド411を固定する。
【0160】
*凹面ガイド411の詳細固定方法*
まず、
図35に示すガイド固定部420の底板422と天板423との間に、固定部材415が固定された取付部413を側板421に向けて横から差し込む。
図35に示すように、ガイド固定部420の底板422と天板423との距離T9は、固定部材415と取付部413との合計の厚さT4よりも大きい。
ガイド固定部420の底板422とボールプランジャ424のボール425との距離は、固定部材415と取付部413との合計の厚さT4よりも小さいので、ボールプランジャ424のボール425は後退する。
ボールプランジャ424のボール425を後退させたまま、固定部材415の窪み416がボール425の位置になるように凹面ガイド411の位置を調節する。
固定部材415の窪み416の位置とボール425の位置とが一致すると、ボール425が押しバネで復帰して窪み416に嵌り込み、凹面ガイド411の一端が位置決めされる。
次に、
図35に示す右側のガイド固定部420への挿し込みで、底板422の位置決めピン429の位置と位置決め孔417の位置とを一致させ、底板422の位置決めピン429を位置決め孔417に挿入する。
そして、トグルクランプ426のレバー427を回転させてクランプ部428を固定部材415の上面に押し付け、凹面ガイド411の他端の位置決めが完了する。
【0161】
<凸面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
凸面と凹面とのいずれかの曲面を有する曲面ガイドを固定することができるガイド固定部420に、固定部材415が固定された凸面ガイド412を固定する。
凸面ガイド412の固定方法は、凹面ガイド411の固定方法と同じである。
【0162】
なお、前述したステップS31、32、33の工程は、ステップS31、32、33の順に実行する必要はなく、ステップS31、32、33の工程を実行する順番は任意である。
【0164】
<凹面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
制御部110は、搬出入機構60により、凹面を有するワーク49を凹面治具471に載置する。
【0165】
<凸面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
制御部110は、搬出入機構60により、凸面を有するワーク49を凸面治具472に載置する。
【0166】
ステップS35:印刷工程
図40と
図41とに示すように、制御部110は、移動機構99により、スキージ92を保持した印刷部90を凹面ガイド411又は凸面ガイド412の曲面に沿って移動させる。
図40に示すように、凹面印刷の場合、中央部分でスキージ92が最も下がるのでスクリーン95の伸びが大きく、端部ではスクリーン95の伸びが小さい。
図41に示すように、凸面印刷の場合、中央部分でスクリーン95の伸びが小さく、端部ではスキージ92が最も下がるのでスクリーン95の伸びが大きい。
制御部110の印刷工程の動作は、
図7に示した印刷動作と同様である。
制御部110の印刷工程の動作は、凸面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合も凹面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合も、同じである。
【0167】
図42は、移動機構99により、印刷部90を凹面ガイド411の曲面に沿って移動させる場合の詳細図である。
制御部110は、印刷前に、
図42に示すスクレッパー310によりスクリーン95の表面にインクをコートする。
スクレッパー310によるインクのコートは平面のスクリーン95に対して行えばよいので、スクレッパー310はコート方向に水平移動する。
【0168】
ステップS36:ワーク搬出工程
<凹面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
制御部110は、搬出入機構60により、凹面を有するワーク49を凹面治具471から外部に搬出する。
【0169】
<凸面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をする場合>
制御部110は、搬出入機構60により、凸面を有するワーク49を凸面治具472から外部に搬出する。
【0170】
***実施の形態5の効果***
この実施の形態によれば、凸面又は凹面のワークに対して、スクリーン印刷をすることができる。
この実施の形態によれば、凹面ガイド411と凸面ガイド412との取付部413が同一形状を有しているので、ガイド固定部420が、凹面ガイド411と凸面ガイド412とのいずれでも固定することができる。
この実施の形態によれば、スクリーン枠96の左右方向の長さが同じなので、枠固定部440が、凹面用スクリーン版971と凸面用スクリーン版972とのいずれでも固定することができる。
この実施の形態によれば、凹面治具471と凸面治具472との取付構造が同一なので、治具固定部460が、凹面治具471と凸面治具472とのいずれでも固定することができる。
【0171】
***その他の構成***
**ガイド固定部420をスクリーン枠96に固定する構成**
図43は、ガイド固定部420をスクリーン枠96に設け、凹面ガイド411をスクリーン枠96に固定した構成を示している。
図44と
図45と
図46は、ガイド固定部420をスクリーン枠96に設け、凹面ガイド411をスクリーン枠96に固定した構成の詳細図である。
ガイド固定部420は、スクリーン枠96の前後の枠に固定された4個のトグルクランプ426を有する。
2本のガイド固定部420は、スクリーン枠96の左右の枠の内側に平行に配置される。
ガイド固定部420の取付部413は、スクリーン枠96の上面とクランプ部428とに挟持される。
図43では、側板421の弧状部414の高さは、スクリーン枠96の枠の高さと同じである。
図43では、側板421の中央最下部がスクリーン95に接している状態を示しているが、側板421の中央最下部がスクリーン95に接していなくてもよい。また、側板421の中央最下部がスクリーン95を下方に押した状態でもよい。
【0172】
**凸面ガイド412をスクリーン枠96に固定する構成**
図47は、凹面ガイド411の代わりに凸面ガイド412をスクリーン枠96に固定する場合を示している。
図47の(a)は、
図44に示した凹面ガイド411の上下を反対にした凸面ガイド412をスクリーン枠96に固定する場合を示している。
図47の(b)は、取付部413をK1とK2との2箇所で90度折り曲げた凸面ガイド412をスクリーン枠96に固定する場合を示している。
図46の(b)の場合は、
図43の場合と同様に、凸面ガイド412の弧状部414の高さは、スクリーン枠96の枠の高さと同じである。
図47の(b)の構成は、凹面ガイド411と凸面ガイド412との配置高さが同じになるので好ましい。
【0173】
**曲面ガイド410を曲面治具47に固定する構成**
図48に示すように、曲面ガイド410を曲面治具47に固定してもよい。
図48に示す曲面治具47は、台座477と曲面板478とを有する凸面治具472である。
台座477は、治具固定部460によりテーブル61又は基台51に固定される。
曲面板478は、台座477の上に固定されている。
曲面板478は、平面視では矩形であるが、側面視では、厚さが一定の弧状の金属薄板である。
曲面板478は、ワーク49と同じ曲面あるいは湾曲面を有している。
【0174】
曲面治具47の両側には、ガイド固定部420となる複数のブラケット476を介して、2本の曲面ガイド410が、固定されている。
曲面ガイド410は、曲面治具47の上面と同じ半径の曲面を有する凸面ガイド412である。
ブラケット476は、短腕と長腕とからなるL字形状の金属部材である。
ブラケット476は、短腕の端面に曲面ガイド410を固定し、長腕の上面に曲面治具47の裏面を固定している。
曲面治具47は、アルミニウム、プラスチック等の薄板であり、曲面ガイド410とブラケット476とは、鉄、ステンレスなどの、曲面治具47よりも固い材質の金属である。
【0175】
図示しないが、曲面板478を凹面にした凹面治具471に、ガイド固定部420となるブラケット476を用いて凹面ガイド411を固定してもよい。
凹面治具471と凸面治具472との取付構造を同一にし、さらに、凸面と凹面との曲面板478の取付構造を同一にすれば、ガイド固定部420となるブラケット476の構造は同一になる。
【0176】
**固定部材415の他の例**
図49の(a)は、曲面ガイド410の厚さT2が厚くなり、固定部材415の厚さT3が薄くなった場合を示している。
ガイド固定部420の底板422と天板423との間の距離T9が固定されており、曲面ガイド410の厚さT2が厚くなった場合は、固定部材415の厚さT3を薄くして、曲面ガイド410と固定部材415との合計厚さT4を一定にする。
合計厚さT4は、ガイド固定部420の底板422と天板423との間の距離T9よりやや小さい。
固定部材415は、曲面ガイド410の強度補強の機能と、ガイド固定部420における曲面ガイド410の厚さ調整機能とを有している。
【0177】
図49の(b)と(c)とは、固定部材415が凹面ガイド411の取付部413の下面に固定された場合を示している。
ガイド固定部420と枠固定部440との距離は一定なので、底板422の上面とスクリーン95との距離T5は一定である。
弧状部414の半径が異なった場合でも、固定部材415の厚さを変えることにより、距離T5は一定であっても、固定部材415の厚さを変えることにより、弧状部414の中央下端とスクリーン95との距離T1を一定にすることができる。
【0178】
**その他の変形例***
曲面ガイド410の構造は、前後方向で対称でなくてもよく、曲面ガイド410の一方の取付部413に位置決め孔417はなくてもよい。
曲面ガイド410だけでガイド固定部420に固定できる場合は、固定部材415はなくてもよい。
2個の固定部材415は、同一形状でなくてもよく、一方の取付部413に窪み416はなくてもよい。
固定部材415は、曲面ガイド410の取付部413の上面と下面の両側に設けてもよい。
固定部材415は、曲面ガイド410の2個の取付部413の片側だけにあってもよい。
【0179】
ガイド固定部420の構成は、曲面ガイド410の両端で同じでもよい。具体的には、
図35の(d)に示したガイド固定部420が曲面ガイド410の両側にあってもよい。あるいは、
図35の(e)に示したガイド固定部420が曲面ガイド410の両側にあってもよい。
図47の(b)に示した取付部413を2箇所で折り曲げた凸面ガイド412を、
図36のガイド固定部420に使用する場合は、
図36のガイド固定部420の側板421と
図35のガイド固定部420の側板421の縦長は同じでよい。
【0180】
曲面ガイド410は、1個の凹面だけ又は1個の凸面だけでなく、複数の凹凸面が存在してもよい。また、凹凸面以外に平面が存在してもよい。また、複数の凹凸面は、半径が異なっていてもよい。
凹面ガイド411は、少なくとも一部に凹面を有していればよい。
凸面ガイド412は、少なくとも一部に凸面を有していればよい。
【0181】
ガイド固定部420又は枠固定部440は、ガイド固定部420と枠固定部440の距離を変更するために上下に移動可能に取り付けられていてもよい。
ガイド固定部420又は枠固定部440は、柱フレーム53ではなく、基台51又は梁フレーム54に固定されていてもよい。
ガイド固定部420又は枠固定部440は、筺体50のいずれかに固定されていてもよい。
ガイド固定部420又は枠固定部440は、テーブル61に固定されていてもよい。
ガイド固定部420又は枠固定部440は、テーブル61の代わりに横移動してもよい。
テーブル61は、横移動しなくてもよい。
【0182】
***実施の形態の補足***
制御部110の機能は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現してもよい。つまり、制御部110の一部をソフトウェアで実現し、制御部110の残りをハードウェアで実現してもよい。
【0183】
実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。また、前述した実施の形態を組み合わせてもよい。
フローチャート等を用いて説明した手順は、本発明に係る方法またはプログラムの手順の一例である。