【実施例】
【0244】
例示
以下の実施例に示されている通り、ある特定の例示的な実施形態では、化合物は、以下の一般手順に従って調製される。一般的な方法は、本発明のある特定の化合物の合成を示しているが、以下の一般的な方法、および当業者に公知の他の方法が、すべての化合物、ならびに本明細書に記載のこれらの化合物のそれぞれのサブクラスおよび種に適用されうることが理解される。
【0245】
(実施例1)
式IIのある特定の化合物の一般的な反応順序
アルデヒド捕捉剤は、スキーム1に示されている通り、参照により本明細書に組み込まれている、2013年7月25日に公開された、米国特許公開番号US2013/0190500に記載されている通り作製した。「R」は、上で定義されているU上の任意選択で置換された基を表し、「n」は、前記任意選択で置換された基の出現数を表す。例示的なこのような方法は、さらに以下に記載される。
【化45】
【0246】
(実施例2)
II−5の合成
【化46】
1−(3−エトキシ−2,3−ジオキソプロピル)ピリジン−1−イウムブロミド(A−1)の合成。2Lの丸底フラスコに、エタノール(220mL)およびピリジン(31g、392mmol)を投入し、得られた溶液を、窒素下、温和なかき混ぜ速度で撹拌した。この溶液に、ブロモピルビン酸エチル(76.6g、354mmol)を、遅い安定液流で添加した。反応混合物を65±5℃で2時間、撹拌した。
【0247】
1−(6−クロロ−2−(エトキシカルボニル)キノリン−3−イル)ピリジン−1−イウムブロミド(A−2)の合成。先のセクションにおける2時間の撹拌時間の完了時に、反応混合物を18〜22℃にゆっくりと冷却した。フラスコに3回、真空パージして、この時点で、長いプラスチック製漏斗を使用して、2−アミノ−5−クロロ−ベンズアルデヒド(ACB)(50.0g、321mmol)を固体として、反応フラスコに直接、添加した。ピリジン(64.0g、809mmol)を添加し、続いてEtOHすすぎ液(10mL)を添加し、反応混合物を窒素下、80±3℃で約16時間(一晩)、加熱し、この時点で、HPLC分析により、反応は効果的に完了したことが示された。
【0248】
エチル3−アミノ−6−クロロキノリン−2−カルボキシレート(A−3)の合成。先のセクションからの反応混合物を約70℃に冷却し、2Lの反応フラスコに滴下漏斗を使用して、モルホリン(76.0g、873mmol)を添加した。反応混合物を約2.5時間、80±2℃で加熱し、この時点で、反応は、HPLC分析により完了していると考えられた(A−3の面積%の増加が停止している)。クエンチ、後処理および単離のために、反応混合物を10〜15℃に冷却した。
【0249】
2Lの反応フラスコに、滴下漏斗を使用して、30〜60分間かけて水(600g)を投入し、添加速度を調整し、冷却浴を使用することにより、温度を15℃未満に維持した。反応混合物を10〜15℃でさらに45分間、撹拌し、次いで、ブフナー漏斗を使用する濾過によって、粗製A−3を単離した。ケーキを水(100mL×4)で洗浄して、各回、ケーキに水を浸透させた後、真空を適用した。ケーキを空気乾燥して、粗製A−3をほぼ乾燥した茶色固体として得た。ケーキを2Lの反応フラスコに戻し、ヘプタン(350mL)およびEtOH(170mL)を添加し、混合物を30〜60分間、70±3℃に加熱した。スラリーを0〜5℃に冷却し、真空下で濾過することにより単離した。A−3を真空下、および35±3℃で一晩(16〜18時間)、真空乾燥オーブン中で乾燥して、A−3を、暗緑色固体として得た。
【0250】
2−(3−アミノ−6−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(II−5)の合成。2Lの丸底フラスコにメチルマグネシウムクロリド(THF中の3.0M溶液を200mL、600mmol)を投入した。溶液を、氷浴を使用して、0〜5℃に冷却した。
【0251】
500mLのフラスコ(磁気撹拌)に、先のセクションからのA−3を22.8グラムおよびTHF(365mL)を投入し、撹拌して溶解し、次いで、2Lの反応フラスコ上の滴下漏斗に移した。反応フラスコに5.75時間かけてA−3溶液を滴下添加し、添加全体を通じて、反応フラスコの温度を0〜5℃の間に維持した。添加の終了時点で、フラスコの内容物を0〜5℃でさらに15分間、撹拌し、次いで、冷却浴を除去して、反応物を周囲温度で一晩、撹拌した。
【0252】
フラスコを氷浴中で冷却し、反応混合物にEtOH(39.5g、857mmol)を滴下添加することにより、反応混合物を注意深くクエンチし、添加の経過の間、反応混合物の温度を15℃未満に維持した。次いで、NH
4Clの水溶液(水415mL中に84.7gのNH
4Cl)を注意深く添加し、混合物を約30分間、温和なかき混ぜ下で撹拌し、次いで、分液漏斗に移して、層を分離した。固体が、水相中に存在し、そこで、HOAc(12.5g)を添加し、内容物を穏やかに回転させ、下部にほぼ均一な水相を得た。下部の水層を2Lの反応フラスコに移して戻し、2−メチルTHF(50mL)と共に約15分間、温和なかき混ぜ下で撹拌した。元の上部の有機層を≦40℃、および必要な場合、真空で、ロータリーエバポレーターを使用して、約40mLに体積を低下させた。分液漏斗中の相を分離し、上部の2−MeTHF相を生成物の残留物と合わせ、500mLのフラスコに移して、約25mLの体積に真空蒸留した。この残留物に、2−MeTHF(50mL)を添加し、約50mLの体積に蒸留した。粗製化合物II−5溶液を2−MeTHF(125mL)で希釈し、5〜10℃に冷却し、2M H
2SO
4(水性)(250mL)をゆっくりと添加し、周囲温度に戻るように、混合物を30分間、撹拌した。ヘプタン(40mL)を投入し、反応混合物をさらに15分間、撹拌し、次いで、分液漏斗に移して層を分離した。下部の水性生成物層を追加のヘプタン(35mL)で抽出し、次いで、下部の水相を、機械式撹拌機を備えた1Lの反応フラスコに移し、混合物を5〜10℃に冷却した。合わせた有機層を廃棄した。25% NaOH(水性)の溶液を調製し(NaOH、47g、水200mL)、1Lの反応フラスコにゆっくりと添加して、pHを6.5〜8.5の範囲にした。
【0253】
EtOAc(250mL)を添加し、混合物を一晩、撹拌した。混合物を分液漏斗に移し、下部相を廃棄した。上部の有機層をブライン(25mL)で洗浄し、次いで、上部の有機生成物層をロータリーエバポレーターで体積を低下させ、粗製化合物II−5を、暗色油状物として得、これは、数分以内に固化した。粗製化合物II−5をEtOAc(20mL)に溶解して、シリカゲル(23g)のプラグにより濾過し、3/1のヘプタン/EtOAcで、すべての化合物II−5が溶出するまで(約420mLが必要であった)溶出し、化合物II−5の暗着色物(の大部分を除去した。溶媒を真空中で除去して、14.7gの化合物II−5を黄褐色固体として得た。化合物II−5をEtOAc(25mL)に溶解し、7/1のヘプタン/EtOAcから3/1のヘプタン/EtOAc(合計1400mL)の移動相グラジエントを使用する、シリカゲル(72g)のカラムにより溶出した。化合物II−5を含有している溶媒画分を除去した。化合物II−5をEtOAc(120mL)で希釈し、Darco G−60脱色炭(4.0g)を含むフラスコ中で約1時間、撹拌した。フリット漏斗(firtted funnel)を使用するセライトに通して混合物を濾過し、ケーキをEtOAc(3×15mL)ですすいだ。合わせた濾液をロータリーエバポレーターで除去し、化合物II−5をヘプタン(160mL)/EtOAc(16mL)に76℃で溶解した。均一な溶液を0〜5℃にゆっくりと冷却し、2時間、保持して、次いで、化合物II−5を濾過により単離した。最高の真空下、35℃で5時間、真空オーブン中で乾燥した後、化合物II−5を白色固体として得た。
HPLC純度:100%(AUC)
HPLC(標準条件を使用):
A−2:7.2分
A−3:11.6分。
【0254】
2−アミノ−5−クロロベンズアルデヒド(ACB)の合成。
【化47】
【0255】
N
2雰囲気を確立して、わずかなN
2流を容器に流した後、大型の磁気撹拌子および熱電対を備えた5Lの重壁圧力容器に、白金の硫化、炭素上5重量%、還元、乾燥品(platinum, sulfided, 5wt% on carbon, reduced, dry)(9.04g、ニトロ基質に対して3.0重量%)を添加した。MeOH(1.50L)、5−クロロ−2−ニトロベンズアルデヒド(302.1g、1.63mol)、さらに、MeOH(1.50L)およびNa
2CO
3(2.42g、22.8mmol、0.014当量)を添加した。フラスコを密封し、撹拌を450rpmで開始した。溶液を排気し、N
2(35psi)で2回、再加圧した。フラスコを排気し、H
2で35psiに再加圧した。溶液の温度を20分以内に30℃に到達させた。次いで、溶液を水浴で冷却した。氷を水浴に添加し、温度を35℃未満に維持した。開放前に2回、2時間毎に排気しN
2(5psi)で再加圧ことにより、反応物をモニターした。反応の進行は、TLCにより追跡することができた:5−クロロ−2−ニトロベンズアルデヒド(R
f=0.60、CH
2Cl
2、UV)および中間体(R
f=0.51、CH
2Cl
2、UVおよびR
f=0.14、CH
2Cl
2、UV)が消費されて、ACB(R
f=0.43、CH
2Cl
2、UV)が得られた。5時間で反応は98%完了し(GC)、完了したとみなした。3Lの中型のフリット漏斗に、セライト(約80g)を添加した。これをMeOH(約200mL)で沈降させて、真空で蒸発させた。穏やかな真空を使用して、セライトプラグを介して溶液を吸引しながら、還元した溶液を、カニューレを介して漏斗に移した。これをMeOH(150mL×4)でチェースした。溶液を5Lの3つ口丸底フラスコに移した。30℃、ロータバップで、溶媒(約2L)を減圧下で除去した。N
2のブランケットを適用した。機械撹拌および滴下漏斗を備えた5Lの4つ口丸底フラスコに溶液を移した。4時間かけて、激しく撹拌した溶液に水(2.5L)を滴下添加した。スラリーを最少量の真空で濾過した。収集した固体を水(1.5L、2×)、iPA(160mL)、次いで、ヘキサン(450mL、2×)で洗浄した。収集した固体(カナリア色、粒状固体)を150×75の再結晶皿に移した。次いで、固体を、真空オーブン中、減圧下(26〜28 in Hg)、40℃で一晩、乾燥させた。N
2雰囲気下、5℃で、ACB(HPLCにより>99%)を保存した。
【0256】
(実施例3)
式IIのある特定の化合物の一般的な反応順序
以下のアルデヒド捕捉剤は、‘836号公開に記載されている通り作製した。例示的な方法は、さらに以下に記載される。
【0257】
(実施例4)
II−7の合成
【化48】
(E)−および(Z)−3−クロロ−2−フルオロ−6−(2−ニトロビニルアミノ)安息香酸(7−1)の合成。粗製の湿ったメタゾン酸(G.B. Bachmanら、J. Am. Chem. Soc.69巻、365〜371頁(1947年)の方法によって調製した)37.19gを、6−アミノ−3−クロロ−2−フルオロ安息香酸(Butt Park Ltd.、Camelford、Cornwall、UK)50gおよびアセトン750mLと混合し、透明溶液が形成されるまで振盪した。この溶液に、水200mLおよび12N HCl 200mLを順次添加し、溶液を室温で3日間維持した。混合物を水2Lで希釈し、濾過した。濾液を蒸発させてアセトンを除去し、濾過した。合わせた固体を水(4×200mL)で洗浄し、高真空下で60℃にて乾燥させ、1−1をE−およびZ−異性体の4.5:1混合物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ: E−異性体
6.79 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 7.58 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.83 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 7.99 (dd, 1H, J = 6.4, 13.2 Hz), 12.34 (d, 1H, NH, J = 13.2 Hz), 14.52 (br, 1H, OH)。Z−異性体 7.39 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 9.6 Hz), 7.71 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 8.49 (t, 1H, J = 11.6 Hz), 10.24 (d, 1H, NH, J = 12.4 Hz), 14.52 (br, 1H, OH)。LC−MS:259[(M−H)
−]。
【0258】
6−クロロ−5−フルオロ−3−ニトロキノリン−4−オール(7−2)の合成。無水ジメチルホルムアミド(DMF)1L中の(7−1)62.0g、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)55.2g、およびN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)30.1gの混合物を、室温で1時間撹拌した。4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、38.7g)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を濾過し、固体を10% HOAc(4×200mL)で洗浄し、一晩空気乾燥させ、次いで高真空下で60℃にて乾燥させ、(7−2)を淡黄色粉末として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ: 7.52 (dd, 1H, J = 0.8, 8.8 Hz), 7.91 (dd, 1H, J = 7.2, 8.8 Hz), 9.15 (s, 1H), 13.0 (br, 1H, OH)。LC−MS:242.9(MH)
+、264.9(MNa)
+。
【0259】
4−ブロモ−6−クロロ−5−フルオロ−3−ニトロキノリン(7−3)の合成。乾燥DMF 150mL中の(7−2)40gおよびPOBr
3 71gの混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、CH
2Cl
2 2Lで希釈し、氷水1.5Lが中に入っている分液漏斗に移した。有機層を分離し、氷水(3×1.5L)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させて、粗製(7−3)を淡褐色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 4.70 (br, 2H, NH
2), 7.42 (dd, 1H, J = 6.0, 9.0 Hz), 7.73 (dd, 1H, J = 1.8, 8.8 Hz). LC−MS: 274.8 (MH)
+, 276.8 [(M+2)H]
+, 278.8 [(M+4)H]
+.
【0260】
4−ブロモ−6−クロロ−5−フルオロキノリン−3−アミン(7−4)の合成。粗製(7−3)(51.2g)をAr下で氷HOAc 40mL中に溶解させ、Fe粉末3gを添加し、混合物を60℃で10分間撹拌した。混合物をEtOAc 200mLで希釈し、セライトに通して濾過し、セライトをEtOAcで徹底的に洗浄した。合わせた濾液を短いシリカゲルカラムに通し、すべての(7−4)が回収されるまでEtOAcでカラムを洗浄した。合わせたEtOAc画分を蒸発乾固させて粗製(7−4)を得、これをヘキサン−EtOAcから結晶化させて、(7−4)を淡褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 4.70 (br, 2H, NH
2), 7.42 (dd, 1H, J = 6.0, 9.0 Hz), 7.73 (dd, 1H, J = 1.8, 8.8 Hz). LC−MS: 274.8 (MH)
+, 276.8 [(M+2)H]
+, 278.8 [(M+4)H]
+.
【0261】
2−(3−アミノ−6−クロロ−5−フルオロキノリン−4−イル)プロパン−2−オール(II−7)の合成。乾燥した1L丸底フラスコにアルゴンを流し、ドライアイス/アセトン浴中で−78℃に冷却した。乾燥テトラヒドロフラン(THF、300mL)を注入し、その後2.5M n−BuLi/ヘキサン 72.6mLを注入した。乾燥THF300mL中の(7−4)(20g)を、2時間にわたって激しく撹拌しながら滴下し、4−キノリンリチウムの暗赤色溶液を得た。超乾燥アセトン(27mL)を10分にわたって滴下し、溶液をさらに10分間撹拌した。水100mL中のNH
4Cl 20gの溶液を添加し、混合物を室温に加温し、EtOAc 300mLが中に入っている分液漏斗に移し、徹底的に振盪した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、蒸発させて暗褐色残留物を得、これを、ヘキサン−EtOAcで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって部分的に精製して、6−クロロ−5−フルオロキノリン−3−アミンおよびII−7を含有する混合物を得た。II−7を、ヘキサン−EtOAcからの結晶化によって単離した。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ: 1.79 (s, 3H), 1.80 (s, 3H), 7.36 (dd, 1H, J = 7.2, 8.8 Hz), 7.61 (dd, 1H, J = 1.6, 9.0 Hz), 8.35 (s, 1H)。
13C NMR (100 MHz, CD
3OD) δ: 29.8, 29.9, 76.7, 120.4 (d, J
C−F = 12 Hz), 120.5 (d, J
C−F = 4 Hz), 125.4, 126.1 (d, J
C−F = 3 Hz), 126.6 (d, J
C−F = 3 Hz), 143.1, 143.2 (d, J
C−F = 5 Hz), 148.3, 152.7 (d, J
C−F = 248 Hz)。LC−MS:254.9(MH)
+、256.9[(M+2)H]
+。
【0262】
(実施例5)
II−8の合成
【化49】
6−クロロ−3−ニトロキノリン−4−オール(8−1)の合成。乾燥DMF 1L中のcis−およびtrans−5−クロロ−2−(2−ニトロビニルアミノ)安息香酸(68.4 g, Susら, Liebigs Ann. Chem. 583: 150 (1953年))、EDC 73g、およびHOSu 35.7gの混合物を、室温で1時間撹拌した。DMAP 45.8gを添加した後、混合物を室温で2時間撹拌した。撹拌した混合物に、10% HOAc 1Lをゆっくりと添加し、得られた懸濁液を10% HOAc 2L中に注いだ。固体を濾別し、10% HOAc(4×400mL)で洗浄し、高真空下で80℃にて乾燥させ、(8−1)を黄褐色粉末として得た。
【0263】
4−ブロモ−6−クロロ−キノリン−3−アミン(8−2)の合成。乾燥DMF100mL中の(8−1)25gおよびPOBr
3 50gの混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、CH
2Cl
2 2Lで希釈し、氷水1Lが中に入っている分液漏斗に移した。有機層を分離し、氷水(3×1L)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させて粗製4−ブロモ−6−クロロキノリン−4−オールを淡褐色固体として得た(38g、100%の粗収率)。キノリノールを氷HOAc 750mL中に溶解させ、鉄粉末36gを添加し、撹拌した混合物を、色が灰色になるまでAr下で60℃にて加熱した。混合物をEtOAc 2Lで希釈し、セライトに通して濾過し、セライトをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を短いシリカゲルカラムに通過させ、これをすべての(8−2)が回収されるまでEtOAcで洗浄した。合わせた画分を蒸発乾固させ、残留物をヘキサン−EtOAcから結晶化して(8−2)を黄褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 4.47 (br, 2H, NH
2), 7.41 (dd, 1H, J = 2.4, 8.8 Hz), 7.89 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.96 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 8.45 (s, 1H)。LC−MS:256.7(MH)
+、258.7[(M+2)H]
+、260.7[(M+4)H]
+。
【0264】
2−(3−アミノ−6−クロロキノリン−4−イル)プロパン−2−オール(II−8)の合成。(8−2)20gおよびジオキサン800mLの混合物を、溶液が形成するまで60℃で撹拌し、室温に冷却し、5分間、乾燥HClを注入した。溶媒を蒸発させ、そしてジオキサン500mLを添加し、蒸発させて4−ブロモ−6−クロロキノリン−3−アミニウムヒドロクロリドを得た。生成物をNaI 100gおよび乾燥MeCN 600mLと混合し、一晩還流した。溶媒を蒸発させ、残留物を、EtOAc 500mLと水500mL中のNaHCO
3 10gの溶液との間で分配した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させて6−クロロ−4−ヨードキノリン−3−アミンを黄褐色固体として得た。乾燥した1L丸底フラスコにArを流し、ドライアイス/アセトン浴中で−78℃に冷却した。激しく撹拌しながら乾燥THF(350mL)を添加し、その後1.7M t−BuLi/ペンタン188mLを添加した。乾燥THF 350mL中の粗製6−クロロ−4−ヨードキノリン−3−アミン25.8gの溶液を、撹拌した混合物に滴下した。添加が完了したとき、反応混合物を−78℃で5分間撹拌した。超乾燥アセトン(50mL)を滴下し、添加が完了した後、溶液を−78℃で10分間撹拌した。水200mL中のNH
4Cl 20gの溶液を添加し、混合物を最大で室温まで加温し、EtOAc 300mLが中に入っている分液漏斗に移した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させて暗褐色残留物を得た。ヘキサン−EtOAcで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を部分的に精製した。(8−3)を含有するすべての画分を合わせ、蒸発させて粗製の(8−3)を赤色油状物として得た。
【0265】
別個の合成から得た粗製のii)(約2g)のバッチをこの生成物に添加し、合わせたバッチをEtOAc 50mL中に溶解させ、濾過した。濾液および洗浄物を合わせ、濃縮して油状物を得、これを熱ヘキサン10mLで希釈し、透明溶液が形成するまでEtOAcで滴下処理し、ドラフト内で室温にて一晩蒸発させた。油状の母液を除去し、固体を最低体積の3:1のヘキサン−EtOAcで洗浄した。ヘキサン−EtOAcから2回再結晶した後、純粋な(II−8)の第1の収穫物をオフホワイト色結晶として得た。すべての母液および洗浄物を溜めておき、EtOAc(約50mL)を添加して透明溶液を形成し、これを0.5N HCl水溶液(4×100mL)で抽出した。水層を溜めておき、20% NaOHで中和してpH8にした。得られた懸濁液をEtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発乾固させた。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン−EtOAcから2回結晶化し、(8−3)の第2の収穫物を得た。ヘキサン−EtOAcからの合わせた母液および洗浄物の分別晶出によって第3の収穫物(8−3)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 1.93 (s, 6H), 3.21 (br, 1H, OH), 5.39 (br, 2H, NH
2), 7.29 (dd, 1H, J = 2.0, 8.8 Hz), 7.83 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.90 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 8.21 (s, 1H)。
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ: 31.5, 76.5, 123.2, 124.6, 125.7, 127.5, 131.5, 131.9, 138.8, 141.5, 146.5。LC−MS:236.9(MH)
+、238.9[(M+2)H]
+。
【0266】
(実施例6)
II−39の合成
【化50】
4−ベンゾイルアミノ−5−ヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸エチルエステル(39−1)の合成。1,4−ジオキサン25mL中の粗製4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸エチルエステル(40−4、下記を参照)2.26gおよび塩化ベンゾイル1.91gの混合物を、95℃で1時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をEtOHで2回蒸発させた。残留物をさらにEtOAcで2回蒸発させ、次いで、高真空下にて60℃で乾燥させ、粗製(39−1)を黄褐色固体として得た。
【0267】
4−ベンゾイルアミノ−2−クロロ−3−ヒドロキシ−6−ニトロ安息香酸エチルエステル(39−2)の合成。透明な溶液が形成されるまで、ジオキサン100mL中の(39−1)3.23gの懸濁液を撹拌した。この溶液に、DIPA 70μLを添加し、溶液を50℃にまで撹拌し、それに続いてSO
2Cl
2 2.03mLを添加した。反応混合物をアルゴン下にて50℃で1時間撹拌し、室温に冷却し、200mLのEtOAcで希釈し、水(3×100mL)で洗浄し、次いで、MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残留物を60℃で高真空下にて乾燥させ、粗製(39−2)を茶色固体として得た。
【0268】
7−クロロ−5−ニトロ−2−フェニルベンゾオキサゾール−6−カルボン酸エチルエステル(39−3)の合成。溶液が形成されるまで、乾燥THF 50mL中の粗製(39−2)3.74gおよびPh
3P 3.93gの混合物を室温にて撹拌した。この溶液に、40%DEAD/トルエン6.7mLを添加し、混合物を70℃で1時間撹拌した。混合物をEtOHで希釈し、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、(39−3)を白色固体として得た。
【0269】
5−アミノ−7−クロロ−2−フェニルベンゾオキサゾール−6−カルボン酸エチルエステル(39−4)の合成。(39−3)0.89g、鉄粉2.0gおよび氷HOAc 25mLの混合物を、60℃で活発に撹拌しながら1.5時間加熱した。混合物をEtOAc 200mLで希釈した。スラリーをセライトペレットに通過させ、セライトをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を短いシリカゲルカラムに通過させ、カラムをEtOAcで溶出させた。合わせた黄色画分を蒸発させ、残留物をヘキサン−EtOAcから結晶化し、純粋な(39−4)を鮮黄色固体として得た。
【0270】
2−(5−アミノ−7−クロロ−2−フェニルベンゾオキサゾール−6−イル)プロパン−2−オール(II−39)の合成。3.0MのMeMgCl/THF 6mLおよびTHF 6mLの混合物を、アルゴン下で保護し、活発に撹拌しながら氷浴中で冷却した。これに、THF 50mL中の(39−4)638mgの溶液を滴下した。完全に添加した後、混合物を0℃で5分間撹拌した。混合物に、冷却し、活発に撹拌しながら飽和NH
4Cl 100mLを添加した。有機層を分離し、水層をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を溶離液としてMeOH−DCMを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで、ヘプタン−DCMから結晶化し、純粋な(II−39)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 1.92 (s, 6H), 4.69 (br, 3H, NH
2およびOH), 6.87 (s, 1H), 7.48−7.54 (3H), 8.21 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ: 31.0, 77.0, 106.3, 113.6, 126.8, 126.9, 127.7, 128.9, 131.6, 140.9, 143.0, 145.4, 163.9. LC−MS:303.1(MH)
+、305.0[(M+2)H]
+。
【0271】
(実施例7)
II−40の合成
【化51】
3−メトキシ−4−(トリフルオロアセチルアミノ)安息香酸(40−1)の合成。4−アミノ−3−メトキシ安息香酸5.0gのEtOAc 200mL懸濁液に、撹拌しながらEtOAc 50mL中の(CF
3CO)
2O 5.0mLの溶液を添加した。完全に添加した後、反応混合物を室温にて2時間さらに撹拌した。溶液を濾過し、濾液を蒸発乾固した。残留物をEtOAc中に溶解して蒸発させることを2回行った。最終残留物を高真空下にて乾燥させ、純粋な(40−1)を白色固体として得た。
【0272】
5−メトキシ−2−ニトロ−4−(トリフルオロアセチルアミノ)安息香酸(40−2)の合成。96%H
2SO
4 80mL中の(40−1)7.55gの懸濁液を、均質な溶液が形成されるまで室温にて撹拌した。96%H
2SO
4 20mL中の90.6%発煙HNO
3 2.03gの溶液を冷却しながら滴下する一方、溶液を撹拌しながら氷浴で冷却した。温度を10℃未満に維持した。完全に添加した後、混合物を10分間さらに撹拌し、次いで、200gの氷上に活発に撹拌しながらゆっくりと添加した。混合物をNaClで飽和させ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、次いで、蒸発させ、純粋な(40−2)を薄茶色固体として得た。
【0273】
4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸(40−3)の合成。20%NaOH水溶液35mL中の(40−2)6.94gの混合物をアルゴン下にて100℃で一晩撹拌した。混合物を室温に冷却した。これに、12NのHCl 20mLを氷浴による冷却下で滴下した。完全に添加した後、溶液を蒸発させ、残留物を無水EtOH 200mLで抽出した。固体NaClを濾別し、濾液を蒸発させ、(40−3)の粗製HCl塩を濃灰色固体として得た。
【0274】
4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸エチルエステル(40−4)の合成。上記の(40−3)の粗製HCl塩6.95gを、無水EtOH 250mLに溶解した。この溶液を乾燥HClで殆ど飽和までパージし、次いで、80℃で36時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAc 200mLとブライン200mLとの間で分配した。水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、2mLのHOAcで酸性化し、次いで、短いシリカゲルカラムに通過させた。カラムを1%HOAc/EtOAcで溶出させた。合わせた黄色画分を蒸発させ、粗製(40−4)を赤色粘性油として得た。
【0275】
5−ヒドロキシ−4−(4−メチルベンゾイルアミノ)−2−ニトロ安息香酸エチルエステル(40−5)の合成。1,4−ジオキサン25mL中の粗製(40−4)2.26およびp−トルオイルクロリド(p−toluoyl chloride)2.1gの混合物を、95℃で1.5時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をEtOHで2回蒸発させ、次いで、EtOAcで2回蒸発させた。最終残留物を60℃で高真空下にて乾燥させ、粗製(40−5)を黄褐色固体として得た。
【0276】
2−クロロ−3−ヒドロキシ−4−(4−メチルベンゾイルアミノ)−6−ニトロ安息香酸エチルエステル(40−6)の合成。ジオキサン100mL中の(40−5)3.35gの懸濁液を、透明な溶液が形成されるまで撹拌し、次いで、ジイソプロピルアミン(DIPA)70μLを添加した。SO
2Cl
2 1.96mLを添加する一方で、溶液を50℃で撹拌した。反応混合物をアルゴン下にて50℃で1時間撹拌し、室温に冷却し、EtOAc 200mLで希釈し、水(3×100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残留物を60℃で高真空下にて乾燥させ、粗製(40−6)を茶色固体として得た。
【0277】
7−クロロ−5−ニトロ−2−(p−トリル)ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸エチルエステル(40−7)の合成。乾燥THF 50mL中の粗製(40−6)4.35gおよびPh
3P 3.93gの混合物を、室温にて溶液が形成されるまで撹拌した。この溶液に、40%DEAD/トルエン6.7mLを添加し、混合物を70℃で1時間撹拌した。混合物をEtOH 50mLで希釈し、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、純粋な(40−7)を白色固体として得た。
【0278】
5−アミノ−7−クロロ−2−(p−トリル)ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸エチルエステル(40−8)の合成。(40−7)1.17g、鉄粉1.07gおよび氷HOAc 25mLの混合物を、60℃で活発に撹拌しながら3時間加熱した。反応混合物をEtOAc 200mLで希釈した。スラリーをセライトペレットに通過させ、セライトをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を短いシリカゲルカラムに通過させ、カラムをEtOAcで溶出させた。合わせた黄色画分を蒸発させ、残留物をヘキサン−EtOAcから結晶化し、純粋な(40−8)を鮮黄色固体として得た。
【0279】
2−(5−アミノ−7−クロロ−2−(p−トリル)ベンゾオキサゾール−6−イル)プロパン−2−オール(II−40)の合成。3.0MのMeMgCl/THF 7.0mLおよびTHF 6mLの混合物を、アルゴン下で保護し、活発に撹拌しながら氷浴中で冷却した。これに、THF 50mL中の(40−8)886mgの溶液を滴下した。完全に添加した後、混合物を0℃で5分間撹拌した。混合物に、氷浴で冷却し、活発に撹拌しながら飽和NH
4Cl 100mLを添加した。有機層を分離し、水層をCH
2Cl
2(DCM)(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を溶離液としてMeOH−DCMを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで、ヘプタン/DCMから結晶化し、純粋な(II−40)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 1.89 (s, 6H), 2.41 (s, 3H), 4.45 (br, 3H, NH
2およびOH), 6.81 (s, 1H), 7.27 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.07 (d, 1H, J = 8.4 Hz).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ: 21.7, 31.0, 76.9, 106.2, 113.5, 124.0, 126.8, 127.6, 129.6, 140.9, 142.2, 142.9, 145.3, 164.1.LC−MS:317.0(MH)
+、319.0[(M+2)H]
+。
【0280】
(実施例8)
II−41の合成
【化52】
(2−クロロ−4,6−ジメトキシフェニル)シクロプロピルメタノン(41−1)の合成。1−クロロ−3,5−ジメトキシベンゼン28.28gおよびシクロプロパンカルボニルクロリド17.8mLの乾燥1,2−ジクロロエタン(DCE)300mL溶液をアルゴンで保護し、ドライアイス/アセトン浴中で−30〜−40℃まで冷却した。これに、AlCl
3粉末32.4gを活発に撹拌しながら少しずつ添加した。完全に添加した後、溶液を−30〜−40℃で30分間撹拌し、次いで、室温まで加温した。室温にて20分間さらに撹拌した後、混合物を1kgの氷上に撹拌しながら添加した。混合物をエーテル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を溶離液としてヘキサン/EtOAcを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離し、純粋な(41−1)を白色固体として得た。
【0281】
(2−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)シクロプロピルメタノン(41−2)の合成。乾燥DCM 100mL中の(41−1)13.45gの溶液をアルゴンで保護し、−78℃(ドライアイス/アセトン浴)にて撹拌しながら冷却した。これに、1MのBBr
3/DCM 62mLを添加した。完全に添加した後、混合物を−78℃で1時間さらに撹拌した。混合物に、ドライアイス/アセトン浴によって冷却し、活発に撹拌しながらMeOH 50mLをゆっくりと注入した。完全な注入の後、混合物を−78℃で10分間さらに撹拌し、次いで、室温まで加温した。混合物をDCM 500mLとブライン500mLとの間で分配した。有機層を分離し、ブライン(2×100mL)で洗浄し、次いで、水300mL中のNaOH 4.0gの溶液と混合した。室温にて1時間撹拌した後、混合物を撹拌しながら12NのHCl水溶液10mLで酸性化した。有機層を分離し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、(41−2)を白色固体として得た。
【0282】
(E)−および(Z)−(2−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)シクロプロピルメタノンオキシム(41−3)の合成。乾燥ピリジン150mL中の(41−2)10.38gおよびNH
2OH・HCl 15.95gの混合物を、アルゴン下で保護し、80℃で20時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を0.1NのHCl/ブライン400mLとEt
2O 400mLとの間で分配した。有機層を分離し、水(2×50mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物をヘプタン−EtOAcから結晶化し、純粋な(41−3)を白色固体として得た。
【0283】
(E)−および(Z)−(2−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)シクロプロピルメタノンO−アセチルオキシム(41−4)の合成。EtOAc 40mL中の(41−3)9.75gの懸濁液に、Ac
2O 6.5mLを撹拌しながら室温にて添加した。完全に添加した後、混合物を室温にて1時間撹拌した。混合物に、MeOH 50mLおよびピリジン20mLを添加し、混合物を室温にて30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を1NのHCl/ブライン300mLとEtOAc 300mLとの間で分配した。有機層を分離し、水(2×50mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させ、粗製(41−4)を薄茶色油として得た。
【0284】
4−クロロ−3−シクロプロピル−6−メトキシベンゾイソオキサゾール(41−5)の合成。粗製(41−4)を、アルゴン下で保護し、油浴中で150℃で3時間加熱した。粗生成物を溶離液としてヘキサン−EtOAcを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、純粋な(41−5)を淡褐色固体として得た。
【0285】
4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−オール(41−6)の合成。乾燥DCM 75mL中の(41−5)7.61gの溶液を、アルゴン下で保護し、ドライアイス/アセトン浴中で−78℃に冷却した。これに、DCM中の1MのBBr
3 80mLを活発に撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、混合物を室温に加温し、次いで、室温にて1時間撹拌した。混合物を、ドライアイス/アセトン浴中で−78℃に再び冷却した。混合物に、活発に撹拌しながらMeOH 20mLを添加した。完全に添加した後、反応混合物を室温に加温し、次いで、ブライン1.5LとEtOAc 1.5Lとの間で分配した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、短いシリカゲルカラムに通過させ、これをEtOAcで溶出させた。合わせた画分を蒸発させ、純粋な(41−6)を薄茶色油として得、これは、静置すると固化した。
【0286】
4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−イルトリフルオロメタンスルホネート(41−7)の合成。DCM 50mL中の(41−6)6.88gおよびピリジン4mLの混合物を、アルゴン下で保護し、0℃で氷浴中で撹拌した。これに、Tf
2O 6.73mLを活発に撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、混合物を室温まで加温した。室温にて10分間さらに撹拌した後、混合物を1NのHCl 200mLとDCM 300mLとの間で分配した。有機層を分離し、1NのHCl 100mL、ブライン100mL、5%NaHCO
3水溶液100mLおよびブライン100mLで順次洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、次いで、蒸発させた。残留物を溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、純粋な(41−7)をオフホワイト色固体として得た。
【0287】
tert−ブチル(4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−イル)カルバメート(41−8)の合成。乾燥トルエン120mL中の(41−7)8.02g、カルバミン酸tert−ブチル2.87g、tBuONa 2.37g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2dba
3)1.08g、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(t−ブチルXphos)2.0gおよび4Å分子篩7gの混合物を、アルゴンでパージし、次いで、110℃で活発に撹拌しながら20分間加熱した。反応混合物をEtOAc 300mLで希釈し、セライトペレットに通過させ、これを次いでEtOAcで洗浄した。合わせた溶液を蒸発させ、残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、粗製(41−8)を薄茶色油として得た。
【0288】
6−アミノ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール(41−9)の合成。粗製(41−8)4.09gをDCM 10mLに溶解し、それに続いてTFA 10mLを添加した。混合物を室温にて30分間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をDCM 200mLと10%NaHCO
3 200mLとの間で分配した。有機層を分離し、水(2×50mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、純粋な(41−9)を白色固体として得た。
【0289】
5−ブロモ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−イルアミン(41−10)および7−ブロモ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−イルアミン(43−1、下記を参照)の合成。DCM 100mL中の(41−9)1.96gの溶液に、固体NBS 1.67gを活発に撹拌しながら室温にて少しずつ添加した。完全に添加した後、混合物を室温にて30分間さらに撹拌し、DCM 100mLで希釈し、10%NaHSO
3水溶液(200mL)および水(2×200mL)で順次洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させ、(41−10)および(43−1)の1:1混合物を黄褐色油として得て、これは、静置すると固化した。
【0290】
6−アミノ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−5−カルボニトリル(41−11)および6−アミノ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−7−カルボニトリル(43−2、下記を参照)の合成。乾燥DMF 25mL中の(41−10)および(43−1)の混合物2.72g、CuCN 1.70gならびにCuI 3.62gの懸濁液を、アルゴンでパージし、次いで、油浴中で活発に撹拌しながら110℃で15時間加熱した。混合物を室温に冷却した。これに、30%NH
3水溶液100mLを添加した。室温にて1時間撹拌した後、混合物を水300mLで希釈し、EtOAc(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、(41−11)を淡黄色固体として、および(43−2)を淡褐色固体として得た。
【0291】
4−クロロ−5−シアノ−3−シクロプロピル−6−(トリチルアミノ)ベンゾイソオキサゾール(41−12)の合成。DCM 20mL中の(41−11)435mgおよびTEA 700μLの混合物に、固体塩化トリチル1.09gを撹拌しながら室温にて少しずつ添加した。完全に添加した後、混合物を室温にて30分間さらに撹拌した。反応混合物をDCM 300mLで希釈し、水(4×200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、次いで、蒸発させた。残留物を溶離液としてDCMを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、純粋な(41−12)を白色固体として得た。
【0292】
4−クロロ−3−シクロプロピル−6−(トリチルアミノ)ベンゾイソオキサゾール−5−カルバルデヒド(41−13)の合成。乾燥THF 13mL中の(41−12)481mgの溶液を、氷浴中で撹拌しながら冷却した。この溶液に、1MのDIBAL/トルエン7mLを滴下した。完全に添加した後、反応混合物を0℃で2.5時間撹拌した。反応を1%酒石酸水溶液100mLでクエンチし、混合物をDCM(3×100mL)で抽出した。有機層を水(3×100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物をDCMに溶解し、シリカゲル上に吸着させた。混合物を空気乾燥させ、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、粗製(41−13)を黄色固体として得た。
【0293】
1−[4−クロロ−3−シクロプロピル−6−(トリチルアミノ)ベンゾイソオキサゾール−5−イル]エタノール(41−14)の合成。上記の粗製(41−13)257.8mgを乾燥THF 10mLに溶解し、溶液を3MのMeMgCl/THF 2.0mLおよび乾燥THF 2mLの混合物に0℃で(氷浴)撹拌しながら添加した。完全に添加した後、混合物を0℃で5分間さらに撹拌し、次いで、氷浴による冷却下で5%NH
4Cl 100mLでクエンチした。混合物をDCM(3×100mL)で抽出し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、純粋な(41−14)を白色固体として得た。
【0294】
1−[4−クロロ−3−シクロプロピル−6−(トリチルアミノ)ベンゾイソオキサゾール−5−イル]エタノン(41−15)の合成。乾燥DCM 20mL中の(41−14)150.5mgの溶液に、固体デス−マーチンペルヨージナン(1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンゾヨードキソール−3(1H)−オン、DMP)271mgを室温にて活発に撹拌しながら少しずつ添加した。完全に添加した後、反応混合物を室温にて10分間さらに撹拌した。反応混合物をDCM 300mLで希釈し、水(4×200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、純粋な(41−15)を淡黄色固体として得た。
【0295】
1−(6−アミノ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−5−イル)エタノン(41−16)の合成。乾燥DCM 20mL中の(41−15)182mgの溶液に、TFA 2mLを撹拌しながら室温にて滴下した。溶液を室温にて10分間撹拌し、DCM 200mLで希釈し、水(4×100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させ、粗製(41−16)を白色固体として得た。
【0296】
2−(6−アミノ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−5−イル)プロパン−2−オール(II−41)の合成。粗製(41−16)174.7mgを乾燥THF 20mLに溶解し、溶液を3MのMeMgCl/THF 2.5mLおよびTHF 2mLのよく撹拌した混合物に0℃(氷浴)で滴下した。完全に添加した後、混合物を0℃で5分間さらに撹拌した。これに、氷浴によって冷却し、撹拌しながら5%NH
4Cl水溶液100mLを滴下で添加した。混合物をDCM(3×100mL)で抽出し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を溶離液としてMeOH−DCMを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで、ヘプタン−DCMから結晶化し、純粋な(II−41)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 1.10 (m, 2H), 1.20 (m, 2H), 1.91 (s, 6H), 2.18 (m, 1H), 4.28 (br, 2H, NH
2), 6.57 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ: 8.68, 9.35, 30.0, 77.4, 97.4, 121.2, 125.1, 133.1, 145.7, 149.3, 166.4. LC−MS:266.9(MH)
+、269.0[(M+2)H]
+。
【0297】
(実施例9)
II−42の合成
【化53】
シクロプロパンカルボン酸メトキシメチルアミド(42−1)の合成。DCM 200mL中のN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩9.75gおよびピリジン9.7mLの懸濁液を、室温にて10分間撹拌し、次いで、撹拌しながら氷浴中で冷却した。この懸濁液に、DCM 40mL中のシクロプロパンカルボニルクロリド9.03mLの溶液を活発に撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、混合物を0℃で30分間、次いで、室温にて1時間撹拌した。溶液をDCM 100mLで希釈し、ブライン(3×200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残留物を真空蒸留した。画分を43〜45℃/1mmHgで収集し、(42−1)を無色液体として得た。
【0298】
2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(42−2)の合成。乾燥THF 100mL中の3−クロロ−4−フルオロアニリン7.3gの溶液を、アルゴン下で保護し、−78℃で冷却した(ドライアイス/アセトン浴)。この溶液に、ヘキサン中の2.5MのnBuLi 21mLを活発に撹拌しながらゆっくりと添加した。完全に添加した後、懸濁液を−78℃で10分間さらに撹拌した。後者に、クロロトリメチルシラン(TMSCl)6.65mLを活発に撹拌しながらゆっくりと添加した。完全に添加した後、混合物を−78℃で30分間さらに撹拌した。後者に、2.5MのnBuLi 24mL、それに続いてTMSCl 7.65mLを活発に撹拌しながら再び添加した。混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いで、室温に加温した。溶媒を除去し、残留物を真空蒸留した。95℃/1mmHg未満で収集した画分をプールして、(42−2)を無色液体として得た。
【0299】
(5−アミノ−3−クロロ−2−フルオロフェニル)(シクロプロピル)メタノン(42−3)の合成。乾燥THF 100mL中の(42−2)9.11gの溶液を、ドライアイス/アセトン浴中でアルゴン下にて−78℃に冷却した。これに、ヘキサン中の2.5MのnBuLi 15.7mLを活発に撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、混合物を−78℃で2時間撹拌した。混合物に、(42−1)5.2gを撹拌しながらゆっくりと添加した。完全に添加した後、反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで、室温まで加温した。反応混合物を400mLの冷たい1:1MeOH/1N HCl中に撹拌しながら注いだ。30分間さらに撹拌した後、混合物をDCM(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させ、粗製(42−3)を薄茶色油として得た。
【0300】
N−[3−クロロ−5−(シクロプロピルカルボニル)−4−フルオロフェニル]アセトアミド(42−4)の合成。粗製(42−3)(6.09g)を、DCM 100mLに溶解した。これに、氷浴によって冷却し、活発に撹拌しながら無水酢酸(Ac
2O)6mLおよびトリエチルアミン(TEA)9.6mLを順次添加した。完全に添加した後、反応混合物を室温にて1時間さらに撹拌し、DCM 200mLで希釈し、0.1NのHCl(3×200mL)で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで、ヘキサン−EtOAcから結晶化し、純粋な(42−4)を白色固体として得た。
【0301】
(E)−および(Z)−N−{3−クロロ−5−[シクロプロピル(ヒドロキシイミノ)メチル]−4−フルオロフェニル}アセトアミド(42−5)の合成。(42−4)2.28g、NH
2OH・HCl 3.1g、ピリジン30mLおよびEtOH 30mLの混合物を、50℃で22時間撹拌した。EtOHを蒸発させ、残留物をEt
2O 200mLと1NのHCl/ブライン200mLとの間で分配した。有機層を分離し、水(2×20mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させ、純粋な(42−5)をオフホワイト色非晶質固体として得た。
【0302】
N−(7−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−5−イル)アセトアミド(42−6)の合成。乾燥DMF 40mL中の(42−5)2.01gの溶液をアルゴンで保護し、氷浴によって冷却しながら撹拌した。この溶液に、鉱油中の60%NaH 1.48gを活発に撹拌しながら少しずつ添加した。完全に添加した後、反応混合物を室温にて1.5時間撹拌し、次いで、飽和NaHCO
3 300mLおよびEtOAc 300mLの混合物中に撹拌しながら慎重に添加した。有機層を分離し、水(3×50mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離し、純粋な(42−6)を白色固体として得た。
【0303】
tert−ブチルアセチル(7−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−5−イル)カルバメート(42−7)の合成。乾燥DCM 40mL中の(42−6)789.3mg、Boc
2O 808mgおよびDMAP 38mgの混合物を、室温にて1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗製(42−7)を白色固体として得た。
【0304】
tert−ブチル(7−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−5−イル)カルバメート(42−8)の合成。上記の粗製(42−7)を、MeOH 100mLに溶解した。溶液を25重量%のNaOMe/MeOH 0.1mLで塩基性化し、次いで、室温にて30分間撹拌した。この溶液に、固体NH
4Cl 1gを添加し、溶媒を蒸発させた。残留物を0.1NのHCl/ブライン300mLとEtOAc 300mLとの間で分配した。有機層を分離し、0.1NのHCl/ブライン100mL、水100mL、飽和NaHCO
3 100mLおよび水100mLで順次洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物をヘプタン−EtOAcから結晶化し、純粋な(42−8)を白色固体として得た。
【0305】
5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−7−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−カルボン酸(42−9)の合成。乾燥THF 50mL中の(42−8)770mgの溶液を、アルゴン下で保護し、ドライアイス/アセトン浴によって冷却しながら撹拌した。この溶液に、1.7MのtBuLi/ペンタン5.9mLを活発に撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、混合物を−78℃で5分間さらに撹拌した。後者に、7.2gの新たに粉砕したドライアイスを活発に撹拌しながら一度に添加した。混合物を−78℃で5分間撹拌し、次いで、室温まで加温した。反応混合物を1NのHCl/ブライン300mLとEtOAc 300mLとの間で分配した。有機層を分離し、0.1NのHCl/ブライン100mLで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を溶離液としてヘキサン/EtOAc/HOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、(42−9)をオフホワイト色泡状物として得た。
【0306】
メチル5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−7−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−カルボキシレート(42−10)の合成。DCM 10mL中の(42−9)815mgおよびMeOH 5mLの溶液を、氷浴によって冷却しながら撹拌した。この溶液に、ヘキサン中の2Mのトリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN
2)2.31mLを撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、溶液を室温にて10分間撹拌し、蒸発させた。残留物をDCM 100mLに溶解し、溶液を短いシリカゲルカラムに通過させた。カラムを、MeOH−DCMで溶出させ、合わせた画分を蒸発させ、(42−10)をオフホワイト色固体として得た。
【0307】
メチル5−アミノ−7−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−カルボキシレート(42−11)の合成。DCM 10mL中の(42−10)813mgの溶液を、氷浴によって冷却しながら撹拌した。これに、TFA 10mLを撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、混合物を室温にて30分間撹拌し、蒸発させた。残留物を飽和NaHCO
3 200mLとEtOAc 200mLとの間で分配した。有機層を分離し、水(2×50mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させ、(42−11)を黄色油として得て、これは、静置すると固化した。
【0308】
2−(5−アミノ−7−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−6−イル)プロパン−2−オール(II−42)の合成。乾燥THF 6mL中の3MのMeMgCl/THF 7.73mLの溶液を、アルゴン下で保護し、氷浴によって冷却しながら撹拌した。これに、(42−11)620mgの乾燥THF 50mL溶液を活発に撹拌しながら滴下した。完全に添加した後、混合物を加温し、次いで、室温にて1時間撹拌した。撹拌し、氷浴によって冷却しながら、混合物を飽和NH
4Cl水溶液300mL中に慎重に添加した。混合物をDCM(3×100mL)で抽出し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を溶離液としてMeOH−DCMを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで、ヘプタン−DCMから結晶化し、純粋な(II−42)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 1.10 (m, 2H), 1.15 (m, 2H), 1.91 (s, 6H), 2.09 (m, 1H), 4.33 (br, 3H, NH
2およびOH), 6.70 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ: 7.11, 7.25, 30.7, 77.1, 105.6, 113.7, 120.4, 132.5, 144.4, 155.4, 160.5. LC−MS:267.1(MH)
+、269.1[(M+2)H]
+。
【0309】
(実施例10)
II−43の合成
【化54】
1−(6−アミノ−4−クロロ−3−シクロプロピル−ベンゾイソオキサゾール−7−イル)エタノン(43−3)の合成。撹拌し、氷浴によって冷却しながら、(43−2)636mgおよびCuI 43mgの混合物に、3MのMeMgCl/THF 8.16mLをゆっくりと添加した。懸濁液をアルゴン下で保護し、油浴中で70℃で15分間加熱した。混合物を氷浴中で0℃に冷却した。これに、MeOH 136mL、それに続いて固体NH
4Cl 2.17gおよび水13.6mLを添加した。混合物を撹拌しながら室温に加温し、透明な溶液を得て、これをシリカゲル上に吸着させ、空気乾燥させ、溶離液としてヘキサン−EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、(43−3)を黄色固体として得た。
【0310】
2−(6−アミノ−4−クロロ−3−シクロプロピルベンゾイソオキサゾール−7−イル)プロパン−2−オール(II−43)の合成。3MのMeMgCl/THF 1.54mLおよび乾燥THF 5mLの混合物を、アルゴン下で保護し、氷浴によって冷却しながら撹拌した。これに、乾燥THF 15mL中の(43−3)387.1mgの溶液を活発に撹拌しながら添加した。完全に添加した後、溶液を0℃で20分間さらに撹拌した。この溶液に、氷浴によって冷却し、活発に撹拌しながら飽和NH
4Cl水溶液100mLを添加した。混合物を室温に加温し、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を溶離液としてMeOH−DCMを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘプタン−DCMから結晶化し、純粋な(II−43)を淡褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 1.12 (m, 2H), 1.18 (m, 2H), 1.78 (s, 6H), 2.17 (m, 1H), 4.86 (br, 2H, NH
2), 6.60 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ: 8.81, 9.26, 30.1, 74.1, 112.7, 114.4, 121.8, 131.3, 143.8, 148.6, 166.1. LC−MS:267.0(MH)
+、268.9[(M+2)H]
+。
【0311】
(実施例11)
IV−1およびIV−2を調製するための一般的な反応順序
【化55】
本発明の化合物(例えば、式(IV−1)および(IV−2))は、スキーム2−1および2−2に示されている通り調製することができる。
【化56】
【0312】
出発原料は、当技術分野において公知の方法、例えば、Ji Z.ら、Bioorg. & Med. Chem. Let.(2012年)、22巻、4528頁に記載されているものにより作製することができる。
【化57】
【0313】
出発原料は、当技術分野において公知の方法、例えば、Smalley, R.K.、2002年、Science of Synthesis 11巻:289頁に記載されているものにより作製することができる。
【0314】
(実施例12)
NS2−SSAコンジュゲートの合成
【化58】
NS2およびコハク酸セミアルデヒド(SSA)溶液を、アセトニトリル、水および塩酸の混合物に添加して、室温で1時間、インキュベートし、NS2−SSAコンジュゲートを形成した。この溶液を、質量分析計最適化のためにSciex 6500に直接、注入した。脱共役電位(decoupling potential)は30V;カーテンガスは20;CADは、高;イオンスプレー電圧は4500V;ソース温度は450℃;イオンソースガス1は50;イオンソースガス2は50;エントランス電位は10V。NS2は、237.0のフラグメントを使用して定量した一方、NS2−SSAは、321.1のフラグメントを使用して定量した。
【0315】
(実施例13)
in vitroアッセイ
LDH細胞毒性アッセイ
ラット皮質初代培養物を、インキュベーター中に24時間または48時間入れ、様々な濃度の開示した化合物で処理した。次いで、20μLの培養培地を、Bergmeyerら、Methods of Enzymatic Analysis、第3版(1983年)に記載された通りのLDHアッセイのために取り出した。
【0316】
循環サイトカインの量を決定するためのELISAアッセイ
雄性C57BI/6マウスに、LPS(20mg/kg)に曝露させる30分前に、開示した化合物を投与する。LPS曝露の2時間後、血液をマウスから収集し、ELISAを行って、循環サイトカインの量を決定する。開示した化合物による処置は、炎症促進性サイトカイン、例えば、IL−5およびIL−1β、IL−17、ならびにTNFの低減をもたらす。また、開示した化合物による処置が、抗炎症性サイトカイン、例えば、IL−10の上昇をもたらす。さらに、様々な他のケモカイン、例えば、エオタキシン、IL−12、IP−10、LIF、MCP−1、MIG、MIPおよびRANTESもまた、開示した化合物による処置によって減少した。
【0317】
接触性皮膚炎の処置における有効性を評価するためのアッセイ
接触性皮膚炎の処置における開示される化合物の有効性を決定するために、酢酸ミリスチン酸ホルボール(「PMA」)を、マウス(群毎にN=10)の右の耳介の前側部分および後側部分の両方に局所に適用する(20μL中2.5μg)。対照として、左の耳介の前側部分および後側部分の両方に、20μLのエタノール(PMA賦形剤)を投与する。PMA適用の6時間後、右および左の耳介の両方の厚さを決定する。測定は、毛または折り畳まれた耳介を含まないように注意しながら両方の耳の同じ領域から少なくとも2回決定する。
【0318】
アレルギー性皮膚炎の処置における有効性を評価するためのアッセイ
アレルギー性皮膚炎の処置における開示される化合物の有効性を測定するために、オキサゾロン(「OXL」)を、マウスの剪毛した腹部に適用する(アセトン中1.5%、100μL)。7日後、OXL処置マウスの耳介の厚さを決定する。次いで、開示される化合物(100mg/kg)またはビヒクル(すなわち、Captisol)を、マウスの腹腔内に投与し、それに続いて右の耳介の前側部分および後側部分の両方に30分後にOXL(1%、20μL)を局所適用する。対照として、左の耳介の前側部分および後側部分の両方に、20μLのアセトン(OXL賦形剤)を投与する。両方の耳の耳介の厚さを、24時間後に再び測定する。群毎にN=10。
【0319】
アルデヒドの捕捉を測定するアッセイ
別々の反応バイアルに、開示される各化合物(0.064mmol)、MDA塩(22.7%MDA、0.064mmol)、ならびにトリオレイン酸グリセリル(600mg)を添加する。混合物に、PBS水溶液(約2.5ml)中の20重量%Capitsol、それに続いてリノール酸(600mg)を添加する。反応混合物を周囲温度にて激しく撹拌し、LC/MSによってモニターする。開示される化合物は、MDAと急速に反応し、MDA付加体を形成する。
【0320】
シッフ塩基の確認
UV/VIS分光法を使用して、RALと本発明の化合物の第一級アミンとのシッフ塩基縮合をモニターする。RALとのシッフ塩基縮合生成物のin vitro分析を開示化合物に関して行う。
【0321】
溶液相分析では、遊離化合物とRALのシッフ塩基縮合生成物(RAL−SBC)の両方のλ
max値を、RAL−SBCのタウの値と一緒に測定する。本明細書において使用する場合、「RAL−SBC」は、RALのシッフ塩基縮合生成物、およびRAL−化合物を意味する。溶液相分析は、当技術分野において公知のプロトコールを使用して、化合物とRALの100:1混合物を使用して行う。水性の、エタノール、オクタノール、およびクロロホルム:メタノール(様々、例えば、2:1)を含めた、いくつかの溶媒系を試験した。溶液動態を測定し、溶媒条件に大きく依存することが見出される。
【0322】
シッフ塩基縮合物の固相分析も、化合物とRALとの1:1混合物を使用して行う。固相分析は、当技術分野において公知のプロトコールを使用して行う。混合物を窒素下で乾燥させ、縮合反応を行って完了させる。
【0323】
脂質相分析は、当技術分野において公知のプロトコールを使用して行い、λ
max、タウ(RAL−SBC対APE/A2PE)および競合阻害を測定する。リポソーム条件は、in situ条件に近い。
【0324】
暗順応のERG分析
暗順応は、光への曝露後の視覚感度の回復である。暗順応は、迅速な(ニューロンの)過程と遅い(光化学的)過程の両方を含む、複数の構成成分を有する。
【0325】
視覚色素の再生は、遅い光化学的過程に関連している。暗順応の速度は、いくつかの理由のために測定される。夜盲は、暗順応できないことに起因している(可視光(visual light)感受性の喪失)。暗順応した可視光感受性に対する薬物効果を測定することにより、夜間の視覚に対する安全用量を見出すことが可能である。
【0326】
網膜電図(ERG)は、正常条件対薬物条件下で、暗順応を測定するために使用される。ERGは、実験的に定義された光刺激に対して応答している間に、網膜ニューロンによって発生される電場電位の測定である。さらに具体的には、ERGは、閃光後(例えば、50ms)、角膜における網膜の電場電位を測定する。場強度は、網膜細胞に起因する、102〜103マイクロボルトである。
【0327】
ERGは、生きている被験体(ヒトまたは動物)、または生きている動物から外科的に取り出された溶液中の半切除した目のどちらかに行うことができる、非侵襲的測定である。ERGは、暗順応を遅れさせる全身麻酔を必要とし、実験デザインに要因として考慮しなければならない。
【0328】
暗順応実験の典型的なERG分析では、すべてのラットは、光感受性の一定状態に到達するまで数時間、暗順応させる。次いで、ラットは、「光脱色される」、すなわち、網膜から遊離11−cis−RALを一過的に枯渇させるのに十分に強力な光に短時間、曝露させる(例えば、300luxにて2分間)。次いで、ラットを直ちに暗闇に戻して暗順応を開始させる、すなわち、視覚色素の再生に起因する光感受性を回復させる。ERGを使用して、ラットが、いかに迅速に暗順応して、光感受性を回復するかを測定する。具体的には、光感受性に関する基準応答変数を定義する。
【0329】
ERG測定は、動態分析によって既に決定されている脱色後の暗回復の具体的な持続時間(例えば、30分間)後に行う。曲線への当てはめを使用して感受性変数の値を算出し、同一ラットにおける、Y
50およびσに関する暗順応動態を含めた、麻酔による回復を示す。Y
50が−4.0に到達し、タウ=22.6分という低い光感受性の場合、より遅い順応が観察される。Y
50が−5.5に到達し、タウ=9.2分という高い光感受性の場合、より迅速な順応が観察される。
【0330】
用量範囲を決定するため、上記と同じ枠組みに従う。ERG用量範囲決定プロトコールでは、腹腔内の化合物は、暗順応したラットの光感受性を、用量依存的に低下させる。視力に対する効果は、3時間後に低下する。
【0331】
RAL反応のNMR分析
NMR分光法を使用して、RALと本発明の化合物の第一級アミンとのシッフ塩基縮合および環形成をモニターする。
【0332】
A2E形成の阻害
この実験は、野生型スプラーグドーリーラットにおいて、腹腔内への長期間のRAL−トラップ化合物の注射により、A2Eの蓄積速度が低下するという概念の証拠を確立するためにデザインする。これらの実験は、RAL−トラップ化合物の処置有効性と対照化合物および処置をしない有効性とを比較する。
【0333】
材料および方法:
研究は、野生型スプラーグドーリーラットを用いて行う。ラット処置群には、例えば、処置条件当たり、性別の混合した8匹のラットが含まれる。各動物は、以下の条件の1つにより処置する:
・ 対照:(1)このような処置により、放出される遊離trans−RALの量が低減され、それにより、A2Eの形成に利用可能になるが、夜盲という望ましくない副作用を伴うという点でのプロトコール対照として、視覚サイクルタンパク質のレチノイド結合部位を阻害する13−cis−レチノイン酸、ならびに(2)ヒトで網膜機能をモジュレートすることが臨床的に知られている、および、in vitroとin vivoの両方の動物モデルにおいて、遊離RALとシッフ塩基付加体を形成することが実験的に知られている市販の化合物。
・ ビヒクル
・ 化合物
・ 未処置
【0334】
開示化合物は、1、5、15および50mg/kgを含めた用量範囲にわたって試験する。処置は、腹腔内注射により、8週間、毎日施す。
【0335】
化学:
実験は、種々の化学サービスを使用する。例えば、これらの実験は、不純物を特徴付けるための分析規格シートを有する市販の化合物を使用する。化合物は合成もする。化合物は、必要な投与に十分な量で調製する。化合物の製剤は、腹腔内(i.p.)注射を含む、初期動物安全性研究に使用するのに適する。trans−RALと本発明の化合物とのシッフ塩基反応生成物の以下の3つの属性を決定する。
・ 反応速度に関する安定性
・ 吸収特性、具体的には、uv−vis吸収極大および吸光係数(例えば、RappおよびBasinger、Vision Res. 22巻:1097頁、1982年の
図5を参照)、または反応動態のNMRスペクトル分析
・ 例えば算出したlog Pおよびlog D溶解度値
【0336】
生物学および生化学:
本明細書に記載の実験は、種々の生物学および生化学サービスを使用する。点眼薬形成(formation)による毎日の処置に関する、本発明の化合物の「無効レベル」(NOEL)の用量は、例えば、眼の刺激プロトコールの場合、ウサギにおいて、および光刺激に視覚応答する暗順応のERG測定の場合、げっ歯類において確立される。処置後および眼球摘出前に、動物、例えばウサギにおいて、以下の非侵襲性アッセイを行う。
・ 眼底撮影法によって明白となる、RPEおよび光受容体細胞の変性(Karanら、2005年、Proc Natl Acad Sci USA. 102巻(11号):4164〜9頁)
・ 蛍光眼底撮影法によって測定される、細胞外ドルーゼンおよび細胞内リポフスチン(Karanら、2005年)
【0337】
光応答は、ERGによって特徴付けられる(Wengら、1999年、Cell 98巻:13頁)。すべての処置動物において、分析方法、例えば、Karanら、2005年、Proc Natl Acad Sci USA. 102巻(11号):4164〜9頁;Raduら、2003年、Proc Natl Acad Sci USA. 100巻(8号):4742〜7頁;and Parishら、1998年、Proc Natl Acad Sci USA. 95巻(25号):14609〜13頁により記載されているものを使用して、処置プロトコールを終結してから、網膜のRPE細胞抽出物の細胞内A2E濃度を測定する。例えば、処置動物の試料において、一方の目をアッセイし、他方の目は、組織学的分析のために残す(以下に記載されている通り)。残りの動物では、両目を、個別にA2E形成についてアッセイする。
【0338】
組織学(上で記載した)用に残して、処置後の目において、網膜およびRPE組織の形態(morphology)を、光学顕微鏡法による組織学的技法を用いて評価する(Karanら、前出、電子顕微鏡法は、本明細書に記載の実験に使用しないことを除いて)。
【0339】
処置レジメンの安全性は、例えば、以下の組合せを使用して評価する:
・ 処置期間を通じて、動物の挙動および食性の観察の毎日の記録
・ 処置期間の終了の時点における、ERGにより測定される視覚性能
・ 処置の終了の時点における眼の組織学検査
【0340】
(実施例14)
SSADH欠乏症のマウスモデルにおけるNS2の前臨床試験
SSADHは、アルデヒド代謝酵素であるため、かつその基質であるSSAは、SSADH欠乏症において蓄積することが知られており、さらに下流の代謝産物の蓄積をもたらすと仮説が立てられているので、NS2によりSSADHヌルマウスを処置すると、NS2−SSA付加体の生成をもたらし、標的器官における様々な代謝産物をモジュレートし、かつモデルの表現型の改善をもたらすことができると仮定した。
【0341】
本実験の目的は、NS2またはビヒクルを単回、腹腔内(i.p.)投与して8時間後のSSADHヌルマウスおよびその野生型対応物において、NS2の初期薬物動態を評価すること、および様々なSSA代謝産物を測定して比較することであった。
【0342】
まとめ:
最初に、薬物動態研究を行い、NS2−SSA付加体が実際にin vivoで形成することができることを実証した。野生型マウスに、NS2(10mg/kg)またはビヒクル(DMSO、7.8±1.4%;PBS中、100μLの総体積まで希釈した)のどちらかを、単回用量i.p注射した。マウスは、処置の当日、41〜46日齢であり、群(n=3)は、年齢、性別および開始重量(18±3g)に関して、釣り合わせた。NS2の初期薬物動態およびNS2−SSA付加体のin vivo形成を主に標的とした、この24時間の単回用量の研究では、これらのマウスでは、NS2は耐容性があった。この研究の結果により、SSADH欠乏マウスおよび野生型同腹子の両方において、追加の生化学的転帰(GHBおよび関連代謝産物)を測定するための、次の8時間の単回用量の研究のデザインに情報がもたらされた。
【0343】
マウスにおけるSSADH喪失は、15日目の後に体重が増加してないこと、サイズが小さいこと、脂肪量がないこと、および神経学的損傷があること含めた、ヒト疾患の重度の症状をもたらす。それらは、全身性強直性間代性発作を含む、16〜22日目の間の臨界期により特徴付けられる。3〜4週齢までに、100%の死亡率である(コロニーによって変動する)。これらのマウスでは、野生型マウスにおけるよりも、脳GABAのレベルは2〜3倍高く、脳GHBは、20〜60倍高い。SSADHノックアウトマウスに関する追加の情報に関しては、Hogemaら、2001年、Nat Genet. 29巻:212〜16頁を参照。
【0344】
実験デザイン:
マウスモデル:B6.129−Aldh5a1
tm1Kmg/J。Aldh5a1ノックアウトの同型接合マウスは、体重の減少、運動失調、発作、海馬のグリオーシス、および最終的なてんかん重積症を示す。19〜26日齢から、強直性間代性発作の繰り返しにより、95%を超える死亡率をもたらす。生化学アッセイにより、同型接合変異体マウスの脳、肝臓、心臓および腎臓における、内在性酵素活性の完全なアブレーションが示される。同型接合体は、肝臓組織および脳組織中、ならびに尿中において、GHBおよびGABAのレベルが増加した。表現型は、いくつかの薬物治療手法および遺伝子治療手法を利用して、様々な程度にレスキューされうる。野生型マウスと比較して、異型接合マウスは、約50%の内在性酵素活性を有するが、それらは生育可能かつ繁殖性である。これを標的とする変異を有するマウスは、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(SSADH)欠乏症の研究、ならびに中枢神経系の発達および機能に対するGABAおよびGHB蓄積の作用を探索するのに有用でありうる。
【0345】
試験品は、NS2 API粉末バッチBR−NS2−11−01であった。材料は、−80℃で保存した。材料を秤量して、100% DMSOに溶解して、25mg/mlの保存溶液を作製し、必要に応じて、PBS中でさらに希釈し、体重に基づいて、一定の投与体積(dose volume)を維持した。最終のNS2投与用溶液を激しく振盪してボルテックスしたが、濾過はしなかった。溶液は、無菌技法を使用して取り扱った。DMSOをビヒクルとして使用し、Sigma−Aldrichから得た。
【0346】
SSADHヌルマウスおよびそれらの野生型同腹子に、NS2(10mg/kg)またはビヒクル(DMSO、PBS中、50μLの総体積まで希釈した;5.9±2.3%DMSO)のどちらを、単回用量i.p注射した。マウスは、処置の当日、22〜23日齢であり、群(n=3)は、年齢および性別に関して釣り合わせた。NS2の初期薬物動態およびSSA代謝産物の測定を主に標的とした、この8時間の研究では、これらのマウスでは、NS2は十分に耐容性があった。このモデルにおけるさらなる研究は、適切な標的曝露;存命中の早期の投与;および群サイズの増加を確実にするための用量設定パラダイムを包含する。
【0347】
群の割り当ておよび処置:
A.野生型マウスにおける、予備的な単回用量のIPでの薬物動態
単回用量のi.p.での薬物動態(PK)の予備的な評価を、野生型C57Bl6マウスにおいて行った。マウスは、投与時に41〜46日齢であった。マウスに、10mg/kgのNS2を投与し、NS2およびNS2−SSA付加体の分析用試料は、投与後、(ベースライン、0.5、1、1.5、3、7、12、22時間)時に採取した。時点当たり3匹のマウスを薬物動態分析に使用した。研究デザインは、以下の表6に概説されている。
【表6】
【0348】
B.野生型マウスおよびSSADHヌルマウスにおける、選択された代謝産物に対するNS2の効果
野生型マウスおよびSSADHヌルマウスに、NS2(10mg/kg)またはビヒクル(0.4μLのDMSO/g体重、PBS中100%)を単回用量で、腹腔内(i.p.)投与した。投与の8時間後、動物を屠殺して、NS2濃度および代謝産物濃度の分析のために、組織(肝臓、腎臓、脳および血液)を採取した。研究デザインを、表7に示す。
【表7】
【0349】
研究のデザインは、以下の通りとした:
・ 処置群は、生年月日、性別および重量に関して釣り合わせた。
○ SSADHヌルマウスは、SSADH欠乏症に関する異型接合マウスを掛け合わせることにより生成した。ヌル後代の予想される数は、4匹中1匹である。この繁殖から7匹のSSADHヌルマウスを生成し、これらのうちの3匹は群3に割り当て、4匹は群4に割り当てた。SSADHの状態は、出生後9または10日目に、尾部の切れ目からの遺伝子型判定によって決定した。
○ 処置群は、投与前に、無作為に割り当てた。
○ 投与順序は、処置群間で釣り合わせ、研究全体で維持した。
○ 投与の投与経路は、25ゲージの針を使用する、腹腔内(i.p.)注射とした。
○ ビヒクルまたはNS2は、i.p.注射によって、全身投与した。
試験品の調製および投与:
○ 投与の当日に、NS2およびビヒクルを室温にした。室温にしてから、25mgのNS2を1mLの100% DMSOに溶解することによって、NS2の作業用溶液(working solution)を作製し、25mg/mLの作業用溶液を得た。この作業用溶液は、動物投薬用室(the animal dosing suite)において無菌技法を使用して、室温で調製し、調製の1時間以内に使用した。
○ 投与体積は、変異体被験体と野生型被験体(注:SSADHヌルマウスの平均体重は、約4.9±0.9gであり、年齢を一致させた野生型同腹子の平均体重は、10.2±0.9gである)の両方の場合で、約0.4μL/g体重とした。DMSOの総用量は、体重で正規化する。
○ 残った作業用溶液は廃棄した。
動物のモニタリング:
総合的な健康は、すべてのマウスについて、屠殺するまで、ケージ−サイドで評価した。
○ 標準餌および水は、自由に摂取可能とした。
研究の終了:
○ 動物は、NS2またはビヒクル投与の8時間後に屠殺した。
○ 動物は、二酸化炭素投与(1〜2分間)により安楽死させた後、頚椎脱臼した。
○ 肝臓、腎臓および脳を収集した。生化学分析用に、液体窒素中で器官を急速凍結し、−80℃で保存した。
○ 血清収集のため、標準microtainer中に最終心臓血液試料を得た。血清を1,000rpm(2500×g)で10分間、遠心分離によって調製し、分析するまで−80℃で保存した。
【0350】
方法:
遺伝子型判定:
遺伝子型判定は、例えば、Hogemaら、2001年、Nat Genet 29巻:212〜216頁に記載されている通り行った。
【0351】
組織のホモジナイゼーション:
肝臓の場合、清浄な外科用カミソリを使用して、約100mgの凍結組織を生検し、冷リン酸緩衝食塩水(PBS、pH=7.4)の重量に対して5倍の秤量した体積を添加し、組織を機械式ホモジナイザーを用いて、ホモジナイズした。腎臓1個、および脳の半分(左)を秤量し、同じ方法(重量は、それぞれ約100mg)で調製した。
【0352】
NS2アッセイおよびNS2−SSA付加体アッセイ:
0.1%ギ酸を含有する冷アセトニトリル(900μL)を用いてホモジネート(100μL)をタンパク質沈殿させた。0.1%ギ酸を含有する冷アセトニトリル425μLを用いて血清試料(25μL)をタンパク質沈殿させた。試料を2,500×gで遠心分離し、次いで、上清を清浄な管に移し、窒素の一定した加熱流(50℃)下で乾燥させた。移動相A(0.1%ギ酸を含む水、LC−MS/MSグレードの試薬)100μL中で、試料を再構成した。NS2の較正用標準品は、ブランク血清または組織ホモジネートに既知の濃度でスパイクすることにより調製した。NS2とNS2−SSAの両方に関する最適フラグメンテーションデータを得るために、in situ研究を利用し、NS2とNS2−SSAは、237.0/218.9m/z(NS2)および321.1/167.9m/z(NS2−SSA)を使用して、多重反応モニタリング(MRM)により最終的に定量した。
【0353】
試料(3μL)をKinetix PFP UPLCカラム(2.1×50mm)に注入し、クロマトグラフィー分離は、最初に、95%移動相Aおよび5%移動相B(0.1%ギ酸を含むメタノール)を含むグラジエント法を用いて達成し、これを0.5分間、保持し、次いで、2.2分間かけて、95%移動相Bまで直線的に増加させて、0.5分間、一定に保持し、次いで、6秒間かけて初期条件に戻し、5分間の総稼働時間、初期条件に維持した。NS2の場合、237.0/218.9m/z、および321.1/167.9m/z(NS2−SSA)を使用して、多重反応モニタリングモードで操作したAPI Sciex 6500質量分析計に溶離液を導いた。
【0354】
SSA、GHB、D−2−HGアッセイ:
血漿および組織のホモジネートは、2015年5月11日に、Gajja Salomons教授(VU Medical Center、Amsterdam、オランダ)の研究室に送付した。SSA、GHBおよびD2HGのレベルは、以下の公開方法を使用し、Salomons研究室でアッセイした。1)「Stable isotope dilution analysis of 4-hydroxybutyric acid: an accurate method for quantification in physiological fluids and the prenatal diagnosis of 4-hydroxybutyric aciduria」、Gibsonら、1990年、Biomed Environ Mass Spectrom. 19巻(2号):89〜93頁;2)「Stable-isotope dilution analysis of D- and L-2-hydroxyglutaric acid: application to the detection and prenatal diagnosis of D- and L-2-hydroxyglutaric acidemias」、Gibsonら、1993年、Pediatr Res. 34巻(3号):277〜80頁;3)「Metabolism of gamma-hydroxybutyrate to d-2-hydroxyglutarate in mammals: further evidence for d-2-hydroxyglutarate transhydrogenase」、Struysら、2006年、Metabolism 55巻(3号):353〜8頁;4)「Determination of the GABA analogue succinic semialdehyde in urine and cerebrospinal fluid by dinitrophenylhydrazine derivatization and liquid chromatography-tandem mass spectrometry: application to SSADH deficiency」、Struysら、2005年、J Inherit Metab Dis. 28巻(6号):913〜20頁。
【0355】
組織分析:
組織分析を行う科学者は、処置IDに対して盲検にした。これは、組織分析を行うため、(VU Medical Centerに送付した試料に関する)解剖シートから処置群の省略、および生存期に関するデータ記録にアクセスしなかったWashington State Universityの人材の使用により達成した。データをプロットし、統計分析を行う者は、遺伝子型および処置に対して盲検にしなかった。
【0356】
結果:
24時間(0.5、1、1.5、3、7、12、22時間)の単回用量のPK研究または8時間の処置研究の間に、死んだ動物はおらず、動物に対して何らかの毒性を示すこともなかった。
【0357】
予備的なPK研究では、NS2の薬物動態分析(
図1)およびNS2−SSA付加体形成の測定のため、被験体に、NS2の単回用量(10mg/kg;8時間の代謝産物研究において使用したものと同等の投与パラダイム)を投与した。これらの研究は、野生型C57Bl6マウス(n=21)のみで行った。動物に、i.p.でのボーラスとして10mg/kgのNS2を投与し、表示されている時点(方法は、上のプロトコールに従った)に採取した。NS2は、DMSO中で調製し(25mg/mL)、PBSに希釈して、100マイクロリットルの体積で投与した。マウスは、年齢が、41〜46日齢の範囲であった。
【0358】
脳および肝臓中のNS2、ならびに血清、脳および肝臓中のNS2−SSA付加体の量は、NS2−SSA付加体の正式な標準品が、入手できなかったので、内部標準に対して正規化した分析物のシグナル(PAR、またはピーク面積比)として表す。血清のNS2は、マイクロモル/リットルとして表す。
【0359】
図1に示すデータは、NS2に関して一次の薬物動態を示す。データにより、NS2は、i.p.投与後、急速に(0.5時間)ピーク血清濃度(43.1±15.4μM)に到達することが示されている。脳および肝臓中のピーク濃度は、血清中で観察されたものに類似しており(それぞれ、52.4±22.9および116±3.1)、ピーク濃度にやはり到達した。血清中のNS2レベルは、24時間までにLLOQ未満(LLOQ 50nM)に低下した。血清、脳および肝臓中のNS2−SSA付加体は、24時間の研究時間中、ほとんど最大レベルで維持された。
【0360】
NS2−SSA付加体の分析により、血清、脳および肝臓中のNS2−SSA付加体の形成が時間依存的に増加することが明らかになった。NS2の投与後、NS2−SSA付加体の最大レベルは、血清では3時間で、脳では8時間で、および肝臓では3時間で観察された。
【0361】
代謝産物研究では、野生型マウスとSSADHヌルマウスの両方に、単回用量のNS2(10mg/kg)をi.p.投与した。予備的なPK研究の経過中の血清、肝臓および脳中で観察されたNS2およびNS2−SSA付加体の濃度に基づいて、投与後、8時間の時点を組織採取に選択した。
【0362】
図2に示すように、NS2−SSA付加体は、野生型組織および変異体動物において見出された。野生型マウスとヌルマウスとの間の任意の測定値に有意差は存在しなかったが、付加体のレベルは、ヌルマウスに由来する肝臓ではより高い傾向があった。
図3は、SSADHノックアウトマウスにNS2を単回用量として投与した後の、NS2−SSA付加体の脳、肝臓および腎臓でのレベルの代替の図を示す。
【0363】
代謝産物研究における動物からの組織は、Gajja Salomons教授(VU Medical Center、Amsterdam)の研究室において、GHB、SSAおよびD−2−HG(以下の
図4を参照)について分析した。NS2により処置されたSSADHヌルマウスでは、肝臓中のGHBおよびD−2−HGが低下する傾向があったが、これらの代謝産物のレベルに統計的に有意な変化はなかった。
【0364】
図5は、10mg/kgのNS2またはビヒクル(IP)の1回投与を受けたSSADHヌルマウス(22〜23日齢)のGHB/SSAレベルおよびD−2−HG/SSAレベルを、野生型マウスのものと比較して示す。脳、肝臓および腎臓は、処置の8時間後に採取した(統計分析:スチューデントのt検定(
**P<0.01))。
【0365】
図6は、ビヒクルまたはNS2により処置した野生型マウスおよびSSADHヌルマウスからの組織中のNS2−SSA付加体のレベルを示す。
【0366】
議論:
この研究は、2段階で行った。第1に、野生型マウスにおいて、予備的な単回用量のi.p.での薬物動態研究を行い、NS2の薬物動態プロファイル、ならびにNS2−SSA付加体の形成速度および程度を評価した。これらのデータを使用して、第2の研究で組織分析のための時点を選択し、野生型マウスおよびSSADHヌルマウスにおける、SSAを含めた、選択された代謝産物の形成に対するNS2の効果を研究した。
【0367】
予備的な薬物動態研究では、NS2は、血清において典型的な薬物動態プロファイルを示し、単回投与後に、NS2の一次排出動態になることが実証された。脳および肝臓は、SSADH欠乏マウスにおける標的器官であので、それらの組織中でも、NS2を測定し、NS2は、脳への良好な浸透を有し、すべての組織において一次キネティクスを示した。脳および肝臓中のNS2は、急速に最大濃度に到達した後、24時間の研究期間中に維持されたレベルへ低下した。NS2−SSA付加体の形成も測定したが、正式な較正用標準品が入手できないので、データは、半定量的(semi-quanitative)としかみなすことができない。NS2−SSA付加体は、NS2投与後に検出され、恐らくは適度なSSADH活性を有する野生型マウスでさえも、NS2への共有結合性付加(covalent adduction)に利用可能な遊離SSAのプールが存在することを示した。3つの組織におけるピーク付加体形成のタイミングは、組織中のピークNS2濃度のタイミングにわずかに遅れているようであった。観察された付加体のレベルの維持は、24時間の研究時間中に観察された。これは、組織中で、付加体の一定した定常状態の生成、既に形成した付加体の安定性およびより遅いクリアランス、またはその両方を反映しうる。NS2−SSA付加体のレベルは、肝臓および血清では最高であり、脳ではより低かった。NS2のほぼ等しいレベルが血清、脳および肝臓中で観察されたので、脳中で観察されたレベルがより低いことは、NS2の脳へのアクセスが妨害されていることに起因し得ない。あるいは、肝臓および血清と比較して、より低いレベルのSSAが野生型マウスの脳中で観察される場合、血清および肝臓に比べて、より低いレベルの付加体が脳中で見られることが予期されうる。しかし、SSAは、この研究において独立して測定されなかったので、付加体のレベルが、脳中でより低い理由は直ちに明確ではない。
【0368】
NS2レベルは、投与後8時間で依然として高く、NS2付加体のレベルは、投与後8時間までにピークに達していたので、代謝産物研究に関する採取時点として8時間を選択した。この8時間の代謝産物研究において、SSADHの欠乏マウスを使用して、NS2の単回用量を投与すると、GHB、SSAおよびD−2ーHG(D−2−ヒドロキシグルタル酸)のレベルがモジュレートされるかどうかを決定した。NS2は、SSA、および、したがって、SSAから生じると仮定されるGHB、D−2−HG、さらにはDHHA(4,5−ジヒドロキシヘキサン酸;この研究では測定せず)も標的として、それらのレベルをモジュレートすることができうると考えられる。同時に、NS2−SSA付加体の質的な量は、同一組織中で推定した。
【0369】
予備的なPK研究のように、NS2−SSA付加体は、野生型マウスの脳および肝臓で検出された。それらは、第3の標的器官である腎臓でもやはり検出された。SSADHヌルマウスのこれら3つの標的器官でも、同様のレベルで検出された。
【0370】
野生型の相当物と比較すると、SSADHヌルマウスの脳において、SSAのレベルは明確により高いが、野生型マウスとSSADHヌルマウスの肝臓および腎臓のSSAレベルを比較すると、明確な関係は得られなかった。対照的に、予期される通り、野生型同腹子と比べて、SSADHヌルマウスの脳、肝臓および腎臓において、GHBとD−2−HGどちらも高いレベルが観察された。
【0371】
肝臓中のGHBとD−2−HGのどちらのレベルもより低いという、NS2処置SSADHヌルマウスの観察された傾向は、統計的に有意ではないものの(恐らくは、群のサイズが非常に小さいため)、過剰の遊離SSAの付加(adduction)によって、SSADH欠乏症の病理において役割を果たすという仮説が立てられている代謝産物のレベルを低下させるNS2の潜在力を、興味深いことに最初に垣間見たものである。これらのデータは、関与する代謝経路の複雑さと相まって、SSADHにおけるNS2のさらなる研究を支持する。
【0372】
結論:
NS2は、i.p.投与後に、末梢循環に迅速に入ることができること、ならびに脳および肝臓を迅速に浸透することができると結論付けられる。NS2は、野生型マウスとSSADHヌルマウスの両方で、既知の標的器官において、SSAとin vivoでコンジュゲートすることが示された。薬物を単回だけ投与した後、NS2によって媒介される肝臓中のGHBおよびD−2−HGの低減の可能性を示唆する、本明細書において記載されている初期データは、SSADHにおいて、NS2のさらなる研究を支持する。このモデルにおける今後の研究は、適度な標的曝露を確実にするよう、用量設定フェーズおよび投与の繰り返しを包含することを意図しており、結果の適切な解釈可能性を確実とするため、より大きな群のサイズを含む。
【0373】
(実施例15)
NS2を使用する、筋線維芽細胞表現型への線維芽細胞活性化の阻害
この研究は、線維化のモデル系である、休止している線維芽細胞の活性化された筋線維芽細胞表現型へのin vitro活性化に対する、NS2の効果を検査した。ここではNS2は、線維芽細胞の筋線維芽細胞表現型への活性化を制限することが示されている。この阻害に関与する経路の検査は、心臓線維芽細胞のNS2処理により、線維芽細胞の活性化およびその後の線維化をもたらす、炎症カスケードにおける重要なステップである、NFκBの核への移行が制限されることを示唆する。これらのデータは、損傷組織における線維芽細胞の活性化を制限するためのNS2の使用は、線維化および瘢痕化を制限する一助となりうることを示唆する。
【0374】
方法:
新生児線維芽細胞の単離。新生児ラットからの30個の心臓を細かく切り、消化させた(Neonatal Cardiomyocyte Isolation System、LK003303、Worthington)。組織の消化および細胞解離の後、細胞懸濁液を35mmの皿、または24−ウェルプレートのウェル中のカバーグラス上に蒔いた。細胞懸濁液に血清不含のDMEMを添加し、細胞を2時間、接着させた。2時間後、細胞懸濁液を除去し、接着細胞に10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するDMEMを与えた。細胞は、処理前の24時間、DMEM+10%のFBS中で維持した。処理持続時間は24時間とした。
【0375】
投与。細胞試料を2つの群に分割し、H
2O
2で刺激したか、またはH
2O
2で刺激しなかった。各群は、DMEM中で4つの試験条件を有した(対照、10uMのNS2、100uMのNS2および1mMのNS2)。H
2O
2で処理した細胞は、ウェル中、0.001%の最終濃度を含有した。9.5% Captisol(登録商標)に薬物を溶解し、5mg/mlのストック濃度にした。1mMのNS2および対照ウェル中のCaptisol(登録商標)の最終濃度は、0.95%とした。100uMおよび10uMのNS2ウェル中のCaptisol(登録商標)の最終濃度は、それぞれ、0.095%および0.0095%とした。細胞を24時間、処理し、次いで、免疫染色するために固定するか、またはウエスタンブロット分析のための溶解物として収集した。
【0376】
免疫染色。処理の24時間後、カバーグラス上の細胞をPBSで2回、すすぎ、1%パラホルムアルデヒド中で10分間、固定し、次いで、免疫染色するためにPBS中ですすいだ。細胞は、PBS中の0.1% Triton−X100中で18分間、透過処理し、次いで、PBS中で3回、それぞれ15分間、すすいだ。すすぎ後、カバーグラスを、Image−IT FX Signal Enhancer(Invitrogen)中でインキュベートし、画像のバックグラウンド強度を低下させた。続いて、PBSで15分間、3回、細胞を洗浄した後、10%正常ヤギ血清細胞(Normal Goat Serum Cells)および0.05% Triton−X100中で1時間、ブロッキングし、次いで、2%正常ヤギ血清および0.05% Triton−X100を含むPBSに希釈した一次抗体と一緒に、4℃で一晩、インキュベートした。抗体は、以下の濃度で適用した:アルファ−平滑筋アクチン 1:200(V5228、Sigma−Aldrich)、ビメンチン 1:200(V6630、Sigma−Aldrich)およびNFκB 1:200(C−20、Santa Cruz Biotech)。一晩インキュベートした後、カバーグラスを10分間かけて室温にし、次いで、15分間、PBS中ですすいだ。二次抗体(PBS中、1:100、A−21127およびA−21136、Life Technologies)と一緒に暗所で1時間、インキュベートした後、カバーグラスをPBS中、15分間、3回、すすぎ、DAPI(Invitrogen、1:600)と一緒に暗所で10分間、インキュベートし、次いで、PBS中で3回、すすいだ。次いで、カバーグラスを、上下を反対にしてガラススライドの上にマウントし、10×エアレンズを備えた、Leica SP8共焦点顕微鏡を使用して検査した。画像を記載されている通りに撮影し、チャネルに分割した。核内またはサイトゾル内にNFκBが存在するかどうかを決定するため、各チャネルを目でよく調べた。
【0377】
ウエスタンブロット。全細胞溶解物をウェスタンブロッティングに使用した。核およびサイトゾル画分は調製しなかった。35mmのプレート中でプレート培養した細胞からDMEMを除去し、細胞をPBS中で素早くすすぎ、次いで、500ulの冷RIPA緩衝液中、4℃で20〜30分間、穏やかに振盪しながらインキュベートした。RIPAインキュベーション後、セルスクレーパーを使用して皿から細胞をこすり取り、−80℃で一晩、凍結させて、細胞溶解を増加させた。一旦、解凍すると、細胞を最大出力の80%で1分間、超音波処理した(Biologics Model 150B/T)。試料を4℃で10分間、13Kで遠心分離し、次いで、ゲル電気泳動による分析のため、ペレットから上清を分離した。BCAタンパク質分析を行って総タンパク質を決定し、0.2ug/uLに試料を正規化し、次いで、Novex 8% Boltゲルに載せた。ゲルをMOPS緩衝液中、200Vで35分間、またはより低い分子量のバンドが、ゲルの底部に到達するまで泳動した。次いで、タンパク質をHybond 0.45uMニトロセルロース(GE Healthcare)に1時間、移した。5% BSA/TBSt中、室温で1時間、ブロットをブロッキングした。続いて、本発明者らは、免疫標識化に関して上で記載した通り、一次抗体と一緒にブロットをインキュベートした(ブロッキング溶液中、4℃で72時間、ビメンチン、1:20K;α−SMA、1:500;ビンキュリン、1:60K、NFκB 1:200および1L−1β 1:200(Santa Cruz Biotech))。ブロットは、TBSt中で15分間、3回、洗浄した。TBst中の二次抗体(AB97040、Abcam、1:30K)を室温で1時間、適用した。ブロットをAdvansta WesternBright(商標)ECL試薬(E−1119−50、Bioexpress)に曝露させた。ブロットは、Bio−Rad Chemidocシステムを使用して、デジタル方式で展開した。
【0378】
統計分析。スチューデントt検定(両側);有意性は、p<0.05およびp<0.01で評価した。
【0379】
結果:
NS2は、線維芽細胞の筋線維芽細胞表現型への活性化を阻害する
免疫組織化学検査。
培養物中の線維芽細胞は、任意の有害な物質による刺激があるかに関わらず、およそ24時間の間増殖し、筋線維芽細胞表現型に形質転換することが公知である。線維芽細胞のH
2O
2による処理は、この形質転換速度を増加させることが公知である。非刺激心臓線維芽細胞、またはH
2O
2刺激心臓線維芽細胞の活性化は、線維芽細胞に対するマーカーとしてのビメンチン(赤色)および活性化された筋線維芽細胞に対するマーカーとしてのアルファ−平滑筋アクチン(α−SMA;緑色)を使用して検査した(
図7)。プレート培養では、線維芽細胞は、ビメンチンポジティブ細胞質を有する小円形細胞であるが、免疫染色で検出可能なα−SMAは皆無かそれに近いものである(
図7A)。ビヒクル単独を含む培地中で24時間、インキュベートした後、非刺激細胞はより平坦に見え、いくつかの糸状仮足を有しており、運動型の細胞タイプであることを示している。さらに、細胞は、自発的に、α−SMAポジティブ細胞に変換し始め、筋線維芽細胞表現型への活性化を示す(
図7B)。H
2O
2で刺激した細胞はまた、培養物中、24時間後、α−SMAの発現も示した(
図7C)。
【0380】
NS2処理により線維芽細胞の筋線維芽細胞への形質転換を制限することができるかどうかを決定するため、培養した細胞を、10μM、100μMまたは1mMのNS2で処理し、未処理であるが、ビヒクル単独中でインキュベートした細胞と比較した(
図8)。未処理細胞をプレート培養して24時間後、細胞は、α−SMAの存在を示す(
図8A)。10μMのNS2によるこれらの細胞の処理は、α−SMA生成に対してほとんど効果を有さないようであった(
図8B)。対照的に、100μMのNS2による処理は、α−SMAの生成を阻害した一方、細胞の増殖を制限しなかった(
図8C)。NS2のレベルを1mMに増加させると、やはりα−SMAの生成を制限するようであったが、細胞を増殖させないか、細胞死を起こさせるかの何れかであった。わずかに残る細胞は、活性化されていない線維芽細胞表現型であるようであった。より倍率の高い画像により、活性化された筋線維芽細胞の細胞形状は平坦であり、複数の接触点を有することが示され(
図8E)、これは、10μMのNS2処理では変化しない(
図8F)。NS2を100μMまで増加させると、活性化された筋線維芽細胞(
図8G)よりも、活性化されていない線維芽細胞の形態(
図7を参照)にむしろ近い形態を有する細胞をもたらした。1mMのNS2で処理した細胞の画像(
図8H)により、未処理細胞のウェルにおいて、またはビヒクル(0.95% Captisol6)、10μMまたは100μMのNS2で処理した細胞を含有するウェルにおいて観察された細胞よりも、少ない細胞を示した。細胞が増殖しなかったか、または死んだかどうかは決定しなかった。
【0381】
H
2O
2による心臓線維芽細胞の刺激は、非常に類似した結果を示した(
図9)。H
2O
2で刺激されたが、NS2により処理されていない細胞は、α−SMAの強力な活性化を示す(
図9A)。非刺激細胞での場合のように、10μMのNS2でしか処理されていない細胞は、α−SMAの生成、または筋線維芽細胞表現型に一致する形態の変化に対してほとんど効果がないことを示した(
図9B)。H
2O
2刺激心臓線維芽細胞の100μMのNS2による処理により、α−SMA生成がはっきりと阻害された(
図9C)。1mMのNS2による処理後、細胞(H
2O
2で刺激された、またはされていない)は、活性化されていない線維芽細胞の形態を示したが、これらの細胞において、α−SMAがいくつか観察された(
図9D)。この結果に対する考えられる理由の1つは、1mMのNS2により、正常な線維芽細胞の活性化と関連しない細胞傷害がもたらされることであるが、この仮説を試験する、またはこのことに対する別の理由を示唆する実験は行わなかった。H
2O
2で刺激されていない細胞での場合のように、NS2処理は、活性化に関連する形態学的変化を制限した(
図9E−NS2なし;
図9F−10μMのNS2;
図9G−100μMのNS2;および
図9H−1mMのNS2)。
【0382】
α−SMAのウエスタンブロット。
心臓線維芽細胞は、ウエスタンブロット分析用の細胞溶解物を収集するため、35mmの皿の上に蒔いた。プレートは、免疫染色のためにプレート培養した細胞と同じ方法で処理した。すなわち、細胞を2つの群に分け(非刺激、またはH
2O
2刺激)、次いで、10μM、100μMまたは1mMのNS2のいずれかで処理した。ブロットは、α−SMAについて染色した(
図10)。分析のためのブロットの正規化を確実にするためのハウスキーピングタンパク質を見出すための試みとして、ブロットはまた、GAPDH、ビンキュリンまたはアクチニンについても対比染色した。不運なことに、検査したすべてのハウスキーピングタンパク質は、培養条件によって、NS2の存在によって、またはその両方によるかのいずれかで変化した。試料はすべて、タンパク質レベルについてアッセイし、同等のタンパク質を0、10μM、100μMのNS2にロードした一方、これらの試料中で見出されたタンパク質の量は少ないので、1mMのNS2試料には半分の量のタンパク質をロードした。1mMで処理された細胞中のタンパク質の量が低いので、データに疑念が生じるが、完全性の分析に含める。非刺激心臓線維芽細胞では、対照と比較して、NS2処理により、α−SMAの有意な減少をもたらした(
図10B)。H
2O
2刺激心臓線維芽細胞では、10μMのNS2では有意な変化はなかったが、NS2の用量を増加させると、α−SMAのさらなる減少がもたらされ、これは有意であった(p<0.01)。1mMのNS2で処理した皿に残存した細胞のレベルが低いことにより、α−SMAに関するデータは、有効ではない可能性があるが、免疫染色において細胞の外観に基づくと、より多くの細胞を用いて、さらなるウエスタンブロットを行われれば、支持される可能性があると思われる。
図10Aのウエスタンブロット分析で分析された試料は、以下の通りである:レーン1−ビヒクル対照;レーン2−非刺激で、10μMのNS2による処理;レーン3−非刺激で、100μMのNS2による処理;レーン4−非刺激で、1mMのNS2による処理;レーン5−H
2O
2刺激ビヒクル対照;レーン6−H
2O
2刺激で、10μMのNS2による処理;レーン7−H
2O
2刺激で、100μMのNS2による処理;レーン8−H
2O
2刺激で、1mMのNS2による処理。
【0383】
核へのNFκBの移行に対するNS2の効果。
細胞におけるインフラマソームの活性化は、いくつかの刺激により引き金がひかれるが、すべての上流経路はNFκBに集中し、炎症促進性遺伝子の活性化に関与する、細胞核へのNFκBの移行をもたらす。NS2がNFκBの移行を遮断するかどうかを決定するため、本発明者らは、NS2で処理し、培養した線維芽細胞を検査し、核内におけるNFκBの局在化を探した(
図11A)。24時間培養した細胞(H
2O
2で刺激されていない)は、細胞の大部分(76.6%)の核において、NFκBレベルが高いことを示した。NS2による処理により、細胞核におけるNFκBの局在化は、10μMのNS2処理細胞では30.7%に、および100μMのNS2処理細胞では35.7%に有意に低下した。1mMのNS2処理群では、核NFκBを有する細胞は存在しなかったが、やはり、これらの試料では細胞はほとんど存在せず、したがって、結果は、この用量では決定的なものではない(
図11B、p<0.05)。
【0384】
NFκBレベルに対するNS2の効果。
概して、核へのNFκBの喪失が、全体としてタンパク質の喪失によるかどうかを決定するため、NFκBのレベルを、ウエスタンブロットによって検査した(
図12A)。細胞質タンパク質レベルを主に検出する、全細胞溶解物のウエスタンブロット分析により、NS2は、非刺激細胞においてNFκBを有意に低下させることが示された(
図12B)。H
2O
2刺激細胞では、100μMまたは1mMのNS2の処理だけが、NFκBの有意な低下を示したが、ここでの他の分析と同様に、1mMの用量は、信頼性のあるデータをもたらさない可能性がある(
図12B)。これらのデータは、NFκBの移行の喪失の少なくとも一部が、非刺激細胞におけるタンパク質の喪失によることを示唆している。
図12Aのウエスタンブロット分析で分析された試料は、以下の通りである:レーン1−ビヒクル対照;レーン2−非刺激で、10μMのNS2による処理;レーン3−非刺激(untimulated)で、100μMのNS2による処理;レーン4−非刺激で、1mMのNS2による処理;レーン5−H
2O
2刺激ビヒクル対照;レーン6−H
2O
2刺激で、10μMのNS2による処理;レーン7−H
2O
2刺激で、100μMのNS2による処理;およびレーン8−H
2O
2刺激で、1mMのNS2による処理。
【0385】
インターロイキン1−β発現は、心臓線維芽細胞のNS2処理によって阻害される。
NFκBの核への移行により、インターロイキン−1β(IL−1β)を含めた、いくつかの炎症促進性サイトカインのアップレギュレーションがもたらされ、これは、線維芽細胞を刺激して、筋線維芽細胞へと形質転換することができる(Baumら、2012年、Front. Physiol. 3巻:272頁(電子ジャーナル))。NS2によるNFκBの移行の遮断が、この経路に機能的な影響を有するかどうかを決定するため、IL−1βレベルに対するNS2処理の効果を、非刺激心臓線維芽細胞とH
2O
2刺激心臓線維芽細胞の両方で検査した。非刺激細胞とH
2O
2刺激細胞のどちらも、プレート培養後の24時間までに、IL−1βの高い発現を示すことが見出された(
図13)。非刺激細胞およびH
2O
2刺激細胞は、NS2処理後に、IL−1βレベルが有意な低下を示した(
図13B)(p<0.01)。これらのデータは、NS2が、NFκB移行を遮断することにより炎症経路、およびその後のIL−1βのアップレギュレーションを変化させることを示唆している。この炎症促進性経路のシャットダウンは、線維芽細胞の筋線維芽細胞表現型への活性化(activation of fibroblasts myofibroblast phenotype)の阻害における役割を果たしている可能性がある。
図13Aのウエスタンブロット分析で分析された試料は、以下の通りである:レーン1−ビヒクル対照;レーン2−非刺激で、10uMのNS2による処理;レーン3−非刺激で、100uMのNS2による処理;レーン4−非刺激で、1mMのNS2による処理;レーン5−H
2O
2刺激ビヒクル対照;レーン6−H
2O
2刺激で、10uMのNS2による処理;レーン7−H
2O
2刺激で、100uMのNS2による処理;およびレーン8−H
2O
2刺激で、1mMのNS2による処理。
【0386】
心臓線維芽細胞における、MAPKシグナル伝達経路の活性化に対するNS2の効果。
MAPK経路の活性化は、筋線維芽細胞の活性化に既に関係があるとされている(Dolmatovaら、2012年、Am. J. Physiol Heart Circ Physiol 303巻(10号):H1208〜1218頁)。これらの経路がこれらの特定の細胞、すなわち心臓線維芽細胞に関与しているかどうかを決定するため、ERK、JNKおよびp38のレベルおよびリン酸化状態を検査した(
図14)。たった1つのウエスタンブロットしか成功しなかったので、信頼性のある分析は不可能であった。p38に対する抗体の働きは非常に乏しく、したがって、p38のウエスタンブロットから情報を確認することはできなかった。JNK−pJNKのウエスタンブロットは、いかなるレベルのNS2処理の場合でも変化を示さなかった。ERK/pERKは、ERKリン酸化のレベルの変化を示したが、単一のウエスタンブロットだけでは、明確に結論することはできなかった。しかし、細胞の溶解中に酵素のリン酸化状態を保存する、ホスファターゼ阻害剤は、細胞溶解緩衝液中に存在しないので、MAPキナーゼアイソフォームのリン酸化状態の変化に関する結論を引き出すことはできない。
図14A〜Cのウエスタンブロット分析で分析された試料は、以下の通りである:レーン1−ビヒクル対照;レーン2−非刺激で、10uMのNS2による処理;レーン3−非刺激で、100uMのNS2による処理;レーン4−非刺激で、1mMのNS2による処理;レーン5−H
2O
2刺激ビヒクル対照;レーン6−H
2O
2刺激で、10uMのNS2による処理;レーン7−H
2O
2刺激で、100uMのNS2による処理;レーン8−H
2O
2刺激で、1mMのNS2による処理。
【0387】
議論:
低分子アルデヒドトラップであるNS2を使用する研究により、該トラップによるアルデヒドのスカベンジは、炎症促進性サイトカインの活性化を低下させることが示された。マウスにおける炎症のLPSモデルでは、NS2による処置により、抗炎症性サイトカインであるインターロイキン10(IL−10)のレベルの有意な増加を伴って、IL−1β、IL−17およびTGF−βの活性化が有意に低下した。より重要なことに、ハムスターの頬袋の照射により引き起こされる炎症の口腔粘膜炎モデルでは、NS2による処置により、傷害からの回復速度の有意な増加をもたらし、傷害部位における全体的な線維化が経時的に低下した。ネズミのLPSモデルにおいて、NS2がIL−1βの活性化を制限することを示した以前の研究に基づくと、NS2が細胞の核へのNFκBの移行を制限することにより働くと予測される。この機構は、線維芽細胞の筋線維芽細胞表現型への活性化を制限するNS2の能力において働くということが、本明細書において示されている。この活性化モデルは、NS2の類似体の活性をさらに試験するための理想となりうる。
【0388】
培養した線維芽細胞は、活性化された筋線維芽細胞表現型への自己形質転換を示す。この形質転換は、従来から、それらが蒔かれている細胞培養用皿またはカバーグラスのプラスチックへの焦点接着部位の相互作用によるものと考えられる。細胞は、プラスチックとの接触を傷害と「とらえ」、傷害経路、例えば、炎症経路およびMAPKシグナル伝達経路をアップレギュレートする。これにより、細胞形状の変化、運動性の増加、焦点接着の存在およびα−SMAの存在の増加がもたらされる。α−SMAは、活性化された筋線維芽細胞表現型のマーカーである。実際、α−SMAは、線維芽細胞の活性化に対する、「ゴールドスタンダード」マーカーと考えられる。10μMのNS2による処理後の細胞における、α−SMAタンパク質レベルのウエスタンブロット分析は、α−SMAタンパク質レベルの有意な低下を示した。全体的な細胞タンパク質レベルは、10μMのNS2による処理後には低下しなかった。ウエスタンブロットデータは、より大きな試料サイズにわたって何が起こっているかをより示すものである。これらのデータの全体は、NS2がα−SMAを阻害することを明確に示しており、NS2が、線維芽細胞の筋線維芽細胞への活性化を遮断する役割を有することを示している。
【0389】
インフラマソーム活性化に対するNS2の効果の検査により、NS2が、線維芽細胞の活性化を引き起こすことが以前に示された、炎症促進性サイトカインIL−1βの早期事象である、影響を受けた細胞の核へのNFκBの移行を有意に低下させることが示された。移行のこの喪失は、線維芽細胞の活性化を引き起こすことが以前に(previsouly)示された、炎症促進性サイトカインIL−1bの有意なダウンレギュレーションをもたらした。まとめると、NS2が、線維芽細胞の活性化を制限する能力は、NFκBのレベルでインフラマソーム活性化を遮断することによるもののようである。MAPKアイソフォームのリン酸化状態の分析は、技術的な困難によって妨げられた。しかし、これらの酵素は、線維化過程において、早期に活性化されることが多いので、今後の研究は、やはりかなり早い時点における、MAPKアイソフォームのリン酸化を調査すべきである。
【0390】
過酸化水素による刺激。
ここで行われた研究の大部分において、細胞は2種の条件下で試験した。第1は非刺激細胞であった。この細胞は、培養物において経時的に自己活性化する。H
2O
2の添加により、細胞のより迅速な活性化、および活性化の増大が引き起こされる。心臓線維芽細胞のH
2O
2刺激を用いる研究では、NS2による処理により、α−SMAレベルおよびNFκBレベルの変化が、一貫して制限されなかった。これは、培地中にH
2O
2が継続的に存在していることによる可能性があり、これにより、間断のない活性化がもたらされる。非刺激細胞は、よりゆっくりと、およびより低い程度に活性化し、NS2が、移行およびその後のインフラマソームの活性化を遮断するための時間を与える。線維芽細胞を使用する今後の研究において、細胞をH
2O
2に曝露させることにより経路を過剰刺激することによるよりもむしろ、非刺激細胞を使用することにより、より一貫した、生理学的に関連するデータが達成される可能性がある。
【0391】
薬物類似体を研究するためのモデルとしての線維芽細胞の活性化。
培養した線維芽細胞を得るのは容易であり、培養するのは容易であり、処理するのは容易である。細胞は、一緒に働くには比較的数が少ない細胞をもたらす、本明細書に記載されている方法によって、または一緒にした新生児の「赤色の組織」(心臓、肺、肝臓)からそれらを抽出することによって得ることができる。さらに、線維芽細胞は、in vitroの細胞の中心的な供給元である、ATCCから購入することができる(www.atcc.org)。ATCCは、ネズミおよびヒトの両方の、表皮、膀胱、子宮および他の供給源に由来する線維芽細胞の供給元となりうる。様々な起源の線維芽細胞のいくつかにおける、α−SMAに関する文献での研究に基づくと、NS2による最初の試験は、新しい細胞タイプにおける活性を確認するために繰り返すことが必要であるが、この研究において認められたものと同様の様式で働くことに疑問の余地はほとんどない。これらの細胞において、活性化を決定するのは容易であり、このことは、NS2またはNS2の任意の類似体が働いているかどうかを決定するのを簡単にする。単純な比色分析アッセイは、培養した線維芽細胞、およびα−SMAを対象とする抗体に基づいて開発することができる。このアッセイを小型化および自動化することができ、これにより、このアッセイは、線維芽細胞の活性化を制限すると考えられる任意の化合物の活性を試験するための単純かつ安価なモデルになる。自動化アッセイの結果の確認は、やはり簡単であり、数回のウエスタンブロットおよび/またはNFκBの移行の顕微鏡分析しか必要としない。さらに、核抽出物の研究は、化合物がNFκBの移行を制限するかどうかを決定するために行うこともできる。
【0392】
結論:
これらの上述の研究により、NS2は、核へのNFκBの移行を遮断することにより、線維芽細胞の筋線維芽細胞表現型への活性化を制限し、こうして、炎症促進性経路の活性化、およびその後の線維化を制限することが示される。さらに、これらの研究は、NS2に類似した活性を有し得る他の化合物を同定するための単純モデルを与える。動物モデルに対するさらなる研究を使用して、NS2が、線維芽細胞の活性化をin vivoで制限することができるかどうか、および傷害に基づく線維化を制限することができるかどうかを確認することができる。
【0393】
(実施例15)
経時的な、アルデヒド付加体の形成、4HNEの消費および平衡に関するアッセイ結果
5つの化合物を検査した:
【0394】
2−(3−アミノキノリン−2−イル)プロパン−2−オール
【0395】
2−(3−アミノ−5−クロロキノリン−2イル)プロパン−2−オール
【0396】
2−(3−アミノ−7−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール
【0397】
2−(3−アミノ−8−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール
【0398】
2−(3−アミノ−6−ブロモキノリン−2−イル)プロパン−2−オール
【0399】
比較のために、NS2も検査した。
【0400】
図15は、NS2および例示的な化合物に関する、23時間の期間にわたる、アルデヒド付加体の形成速度を示す。試料はすべて、結合していることが見出されたが(生成物のHPLCピークは経時的に陽性増加)、1つは、他のものほど十分に結合していない。これが、不十分な解離(シクロデキストリンから)か、またはアルデヒドとの乏しい相互作用の結果であるかどうかを結論付けることはできない。この期間にわたる最良の適合線は、データに対する優れた適合性をもたらす。結合キネティクスの概数として、生成物ピークの増加速度を使用することができる。しかし、生成物ピークの増加速度により、解離のキネティクス(シクロデキストリンから)と結合のキネティクスとを分ける、いかなる方式も提供されない。生成物ピークの増加速度は、NS2を含めた、検査した試料のそれぞれの相対的な順位付けをするために使用することができる。データをまず、7時間の時間枠にわたって評価した。これにより、最も有効なものから最も有効性の低いものまで、以下の順位となった。
1. 2−(3−アミノキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント3.68、R.Sq.0.993)
2. NS−2(グラジエント2.22、R.Sq.0.996)
3. 2−(3−アミノ−7−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント2.02、R.Sq.0.984)
4. 2−(3−アミノ−6−ブロモキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント1.63、R.Sq.0.983)
5. 2−(3−アミノ−8−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント1.18、R.Sq.0.997)
6. 2−(3−アミノ−5−クロロキノリン−2イル)プロパン−2−オール(グラジエント0.86、R.Sq.0.983)
【0401】
枠を23時間まで広げた場合、同様の結果が得られた。しかし、化合物のうちの2つは、この文脈では、より低いR.Sq.値をもたらした。
1. 2−(3−アミノキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント1.99、R.Sq.0.893)
2. NS−2(グラジエント1.33、R.Sq.0.979)
3. 2−(3−アミノ−7−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント1.21、R.Sq.0.927)
4. 2−(3−アミノ−6−ブロモキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント1.16、R.Sq.0.969)
5. 2−(3−アミノ−8−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント0.81、R.Sq.0.967)
6. 2−(3−アミノ−5−クロロキノリン−2イル)プロパン−2−オール(グラジエント0.44、R.Sq.0.967)
【0402】
考えられる説明の1つは、2つの動力学構成成分(解離および結合)はもはやバランスがとられておらず、1つが律速因子であることである。フォローアップ実験は、傾きの変化が発生するところ(これは、解離および結合の動力学構成成分を分離するためのアクセスポイントを与える可能性がありうる)を確定するために、60〜70回を超える注射で1つの試料を厳密に追跡することである。
【0403】
図16は、NS2および他の例示的な化合物に関する、経時的(23時間の形成期間)な4HNEの消費を示す。6つのうちの5つの試料が、4HNEの消費を示している。1つの試料である(2−(3−アミノキノリン−2−イル)プロパン−2−オール)は、現在の方法を使用すると、4HNEのHPLCピークと重なる。この期間にわたる最良の適合線は、生成物の形成データよりも、データへの適合性に乏しい。4HNEの消費速度を、結合キネティクスの概数として使用することができる。前の通り、データは、解離のキネティクス(シクロデキストリンから)と結合のキネティクスとを分ける、いかなる方式も提供しない。データを使用して、NS−2は含むが、2−(3−アミノキノリン−2−イル)プロパン−2−オールを除外して、検査した試料のそれぞれの相対的な順位付けを行った。最初の7時間の間に、データは、最も有効なものから最も有効性の低いものまで、以下の順位をもたらした(254nmでの分析):
1. NS−2(グラジエント −0.15、R.Sq.0.903)
2. 2−(3−アミノ−7−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.06、R.Sq.0.991)
3. 2−(3−アミノ−5−クロロキノリン−2イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.05、R.Sq.0.898)
4. 2−(3−アミノ−6−ブロモキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.04、R.Sq.0.971)
5. 2−(3−アミノ−8−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.01、R.Sq.0.461)
【0404】
23時間における分析により、最も有効なものから最も有効性の低いものまで、以下の順位をもたらした。
1. 2−(3−アミノ−7−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.05、R.Sq.0.986)
2. 2−(3−アミノ−5−クロロキノリン−2イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.04、R.Sq.0.979)
3. NS−2(グラジエント −0.04、R.Sq.0.741)
4. 2−(3−アミノ−6−ブロモキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.04、R.Sq.0.994)
5. 2−(3−アミノ−8−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オール(グラジエント −0.02、R.Sq.0.925)
【0405】
太字の数の間の差異は、非常に小さいことに留意されたい(グラジエントの数値は、示されている値に四捨五入した)。
【0406】
以下の表は、上記のデータをまとめたものである:
【表2-2】
【0407】
図17は、化合物が平衡に到達したかどうかを測定するために、NS2および本発明の例示的な化合物に関して、1週間の期間にわたるアルデヒド付加体の形成速度を示す。5つの試料のうちの3つが、この期間の間に平衡に到達した。
【0408】
図18は、この期間の間に化合物が平衡に到達したかどうかを測定するために、NS2および本発明の例示的な化合物に関して、1週間の期間にわたる4HNEの消費を示す。試料は、恐らく別の分解経路のために、HNE量の継続的な低下を伴って、平衡に到達したようであった。これは、HNEの減少は、少なくとも2−(3−アミノ−8 クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オールおよび2−(3−アミノ−7−クロロキノリン−2−イル)プロパン−2−オールの場合、付加体の対応する増加よりも大きいからである(
図17に示されている)。
【0409】
本出願において列挙されている、すべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、あたかも各個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書が、すべての目的のために、参照により組み込まれることが個々に示されているかのごとく、同じ程度に、すべての目的のため、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。