(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959657
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
A47G9/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-22257(P2019-22257)
(22)【出願日】2019年2月12日
(65)【公開番号】特開2020-127666(P2020-127666A)
(43)【公開日】2020年8月27日
【審査請求日】2020年10月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407457
【氏名又は名称】協和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】中村 直樹
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−321229(JP,A)
【文献】
特開2005−319250(JP,A)
【文献】
特開2006−051295(JP,A)
【文献】
特開2015−139509(JP,A)
【文献】
国際公開第2018/057572(WO,A1)
【文献】
特開2006−051335(JP,A)
【文献】
特表2019−531797(JP,A)
【文献】
特開2011−110266(JP,A)
【文献】
特開2006−246956(JP,A)
【文献】
特開2005−110702(JP,A)
【文献】
特開2005−152480(JP,A)
【文献】
特表2016−523667(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0271250(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3101489(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3094910(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
休息時に使用する枕であって、
使用者の頭部及び首部と対向する面に所定の深さの凹部を有し1種類の弾性素材のみか らなる本体部と、
熱可塑エラストマーからなり、複数の柱状貫通孔及び前記本体部側全体に固設され複数 の前記柱状貫通孔を覆設するシート部を有し前記凹部と前記シート部を介して固着され 使用者の頭部及び首部を支持する支持部を備えることを特徴とする枕。
【請求項2】
前記支持部が、前記本体部よりも高い反発弾性を有することを特徴とする請求項1に記 載の枕。
【請求項3】
前記本体部が発泡性ウレタンで形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2 に記載の枕。
【請求項4】
前記シート部が、通気性を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれ かに記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時や休憩時などの休息時に、使用者の頭部や首部を載置して使用する枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、就寝時や休憩時などの休息時において眠りの質を向上させることに意識が向けられており、それに伴って枕、布団、ベッドなどの寝具に対して使用者の注目も高まっている。
【0003】
枕については、寝心地の違いにより大きく眠りの質が影響されることから、種々の商品が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1において、フェザーを内包する袋体の外側に低反発ウレタンを有し、さらにその低反発ウレタンの外側表面にハニカム構造のシートを張り合わせた枕として利用するクッションが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたクッションでは、フェザー、低反発ウレタンとシート、カバーなどの複数の部材から構成されているので製造を行うに際して複数の工程を有するために、1つの商品を製造するために多くの時間が必要であり、さらにそのことと関連して製造コストが高くなるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明では、休息時において寝返りがうちやすく蒸れずに快適に眠れることにより眠りの質を向上させることができるとともに、その製造において構成部品の点数を少なくして製造工程に掛かる時間を短縮することができる枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕すなわち、本発明は、休息時に使用する枕であって、使用者の頭部及び首部と 対向する面に所定の深さの凹部を有し1種類の弾性素材のみからなる本体部と、熱可塑 エラストマーからなり、複数の柱状貫通孔及び前記本体部側
全体に固設され複数の前記 柱状貫通孔を覆設するシート部を有し前記凹部と
前記シート部を介して固着され使用者 の頭部及び首部を支持する支持部を備えることを特徴とする枕である。
【0010】
〔
2〕そして、前記支持部が、前記本体部よりも高い反発弾性を有することを特徴と する前記
〔1〕に記載の枕である。
【0011】
〔
3〕そして、前記本体部が発泡性ウレタンで形成されていることを特徴とする前記 〔1〕
又は前記
〔2〕に記載の枕である。
【0012】
〔4〕そして、前記シート部が、通気性を有していることを特徴とする前記
〔1〕か ら前記〔
3〕のいずれかに記載の枕である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の枕により、休息時において寝返りがうちやすく蒸れずに快適に眠れることにより眠りの質を向上させることができるとともに、その製造において構成部品の点数を少なくして製造工程に掛かる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の枕の一の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の枕の一の実施形態を示すA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に関する実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本考案を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本考案は、以下の説明において特に考案を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明の枕は、本体部1、支持部2など少ない部材から構成されているので、少ない工程で製造することができ、製造工程に掛かる時間を短縮することができる。
【0017】
本体部1は、枕の土台となる部材であり、使用者の頭部及び首部を直接又は間接的に支える部材である。本体部1において、使用者の頭部及び首部と対向する面である上面1aには、
図1に示すように、短手方向に窪むように湾曲し使用者の頭部を支える湾曲部12と、湾曲部12から滑らかに接続して盛り上がり使用者の首部を支える隆起部13を有している。このように湾曲部12と隆起部13を備えることにより、使用者の頭部及び首部を所定の角度で支えることできるため、使用者の気道が塞がれにくくて呼吸しやすいため快適に眠ることができる。
【0018】
そして、本体部1の上面1aには、湾曲部12の一部から隆起部13の一部に亘って、所定の深さの凹部11を有している。
図1に示すように、本実施形態では、平面視で湾曲部12から隆起部13に亘ってコの字状に凹部11が設けられている。凹部11には支持部2が固着され、本体部1と支持部2が一体化される。また、本体部1の上面1aは、支持部2の上面2aとおおよそ段差がなくフラット、すなわち面一になっている。
【0019】
本体部1は、1種類の弾性素材のみから形成されている。弾性素材は、例えば、軟質の発泡性ウレタンなどであることが好ましい。弾性素材が発泡性ウレタンであれば、その原材料を所定の型枠に載置された支持部2に対して流し込むことにより枕を製造することができるので製造工程に掛かる時間を短縮することができる。また、弾性素材が発泡性ウレタンであれば、変形しながらも所定の反発弾性を有しているため、使用者の頭部の重さに応じて適度に沈み込んだときに頭部を安定して保持することができる。
【0020】
支持部2は、使用者の頭部及び首部を支持する部材であり、複数の柱状貫通孔21を有する。そして、支持部2は、本体部1の凹部11に直接的又は間接的に固着される。
【0021】
柱状貫通孔21は、支持部2の厚み方向に沿って、支持部2に穿設されている孔である。柱状貫通孔21を設けて支持部2に立体的な空間を確保することにより、支持部2が通気性を有することとなり、使用者の頭部や首部から発せられる水分で蒸れることなく快適に眠ることができる。また、柱状貫通孔21を設けることにより、使用者の頭部や首によって支持部2に掛かる負荷を分散することで、局所的な弾性の喪失を防止して支持部2の寿命を延ばし、ひいては枕の寿命を延ばすことができる。本実施形態では、
図1に示すように、柱状貫通孔21は六角形状を有しており、ハチの巣状に設けられている。柱状貫通孔21は、本実施形態では六角形状であるが、他の実施形態において四角形状として格子状に設けることもでき、三角形、八角形など他の多角形状として設けたり、また、円柱形状、楕円形状などの外周が曲面となる形状として設けたりすることもできる。
【0022】
支持部2の材料は、本体部1と同様に弾性素材であることが好ましい。そして、使用者の頭部及び首部を載置したときに、柱状貫通孔21の通気性を確保するために柱状貫通孔21が潰れて完全に塞がれない程度の硬さであり、使用者の頭部及び首部が沈み込み過ぎず使用者が寝返りを打ちやすい程度の硬さであるために、所定の反発弾性を有するゲル状で形成されていることが好ましい。そして、支持部2は、とりわけ使用者の頭部及び首部が沈み込み過ぎず使用者が寝返りを打ちやすくするために、本体部1よりも高い反発弾性を有することが好ましい。
【0023】
支持部2の材料は、具体的には、スチレン系、オレフィン/アルケン系、塩化ビニル系、ウレタン系、エステル系、アミド系などの熱可塑性エラストマー(TPE)であることが好ましい。このような材料を用いると、射出成形によって支持部2を形成することができるので迅速に加工を行うこともできる。また、必要に応じて、それら材料に顔料、染料などを配合して着色することもできる。
【0024】
また、支持部2において、底面、すなわち本体部1側の面に複数の柱状貫通孔21を覆って設けられるシート部22が固設されている。シート部22は、支持部2の底面全体に設けられていることが好ましい。シート部22により、枕を製造する際に、所定の型枠に載置された支持部2に対して本体部1の原材料流し込むときに、それら原材料が柱状貫通孔21にまで流れ込むことを防止することができるので、柱状貫通孔21をそのままの形状で確保することができる。また、シート部22により、本体部1の説明でも述べたような製造方法を採用することができ製造工程に掛かる時間を短縮することができる。
【0025】
また、シート部22が、通気性を有していることが好ましい。シート部22が通気性を有することにより、使用者の頭部や首部から発せられる水分を本体部1に拡散することができる。また、上述したように、所定の型枠に載置された支持部2に対して本体部1の原材料流し込んで製造する際に、本体部1の原材料とシート部22の間に空気溜まりが生じにくいため、本体部1の原材料とシート部22をより密着することができ、本体部1の凹部11と支持部2を剥がれにくいようにすることができる。こうして、支持部2の側面においては、本体部1の凹部11の壁面と直接的に固着され、支持部2の底面においては、本体部1の凹部11にシート部22を介して間接的に固着されることとなる。
【0026】
シート部22に通気性を持たせるために、シート部22は、具体的には、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、セルロース繊維、アラミド繊維などの材料を用いた不織布又は織布として形成されることが好ましい。そして、シート部22は、支持部2の底面に、熱融着又は接着剤などの固着手段によって固着されている。
【符号の説明】
【0027】
1・・・本体部
11・・・凹部
12・・・湾曲部
13・・・隆起部
1a・・・上面
2・・・支持部
21・・・柱状貫通孔
22・・・シート部
2a・・・上面