特許第6959697号(P6959697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959697装置上のカバーを介してバックライトで照らす装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959697
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】装置上のカバーを介してバックライトで照らす装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20211025BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20211025BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G06F3/02 490
   H01H13/02 A
   H01H9/18 B
【請求項の数】23
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-536802(P2018-536802)
(86)(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公表番号】特表2019-503543(P2019-503543A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】US2017013817
(87)【国際公開番号】WO2017124109
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2019年10月25日
(31)【優先権主張番号】62/279,461
(32)【優先日】2016年1月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515347212
【氏名又は名称】ロヒンニ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コディ ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ハスカ
(72)【発明者】
【氏名】クリントン アダムス
(72)【発明者】
【氏名】ラーズ フシュケ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ボクマ
【審査官】 酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0234108(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0136573(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0083561(US,A1)
【文献】 特開2009−217997(JP,A)
【文献】 特開2008−130277(JP,A)
【文献】 特開2006−093110(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/068519(WO,A1)
【文献】 特表2003−529837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
H01H 13/02
H01H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーの上側から前記カバーの底部側まで前記カバーの厚みを貫いて延びる複数の穴を有するファブリックキーカバーであって、前記複数の穴は、集合的に所定の形状を形成するように配列される、ファブリックキーカバーと、
前記カバーの前記底部側に配置されるマスク層であって、前記マスク層の第1の領域は不透明であり、前記マスク層の第2の領域は、光が前記第2の領域を通って前記複数の穴に入ることを可能にする、マスク層と、
前記マスク層の下に配置され、光源から放射される光が前記マスク層の前記第2の領域を通って前記複数の穴に入るように置かれ、パッケージされていないLEDを含む前記光源と、
前記マスク層の下に配置される感知接触端子であって、前記端子は、キーストロークの動きを検出し、前記LEDが前記端子と前記端子の基部上の電子回路との間の電気的接触に干渉することのないように前記端子の内側に前記LEDを含む、感知接触端子と
を備えたことを特徴とするキーボードの装置。
【請求項2】
前記複数の穴は、文字、数字、記号、画像、または図形のうちの1つの前記所定の形状の外周の内側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マスク層の前記第2の領域は、前記マスク層内の開口であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記マスク層の前記第2の領域の前記開口は、内側に前記複数の穴が形成される前記所定の形状の外周に揃えられて実質的に類似に形づくられた周縁形状を有することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記マスク層の前記第1の領域は、内側に前記カバー内の前記複数の穴が形成される前記所定の形状の外周の外側を光が通過することを阻止する大きさ及び形に合わせて作られていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記マスク層の前記第2の領域は半透明材料であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記マスク層の前記第2の領域は、蛍光体を含む材料を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記マスク層と前記光源の間に配置されるキーキャップ補強材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記キーキャップ補強材は半透明であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記キーキャップ補強材は蛍光体を備えることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記キーキャップ補強材の材料が前記光源からの前記光を拡散させることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記ファブリックキーカバー内の前記複数の穴の内面が、前記複数の穴を形成するレーザによって熔解されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の穴の各々の直径が、0.1mmから0.2mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記光源は、前記感知接触端子に隣接して配置されるLEDを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記光源は、前記感知接触端子の前記基部に隣接して配置される直接転写されたLEDを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記感知接触端子は、前記キーストロークの動きに反射的に応答する反射性ドームを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記光源は、12.5ミクロンから200ミクロンの範囲の高さを有するLEDを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ファブリックキーカバーはプラスチック材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記マスク層は前記カバーの裏側に印刷されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記マスク層は前記カバーの裏側にエッチングされることを特徴とする請求項1に記載
の装置。
【請求項21】
前記マスク層は着色された基板を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記カバーの前記上側の少なくとも一部を覆う透明フィルムまたは透明基板をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記透明フィルムまたは透明基板によって覆われる前記上側の前記一部は、内側に前記複数の穴が形成される前記所定の形状の外周の内側の領域を含むことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2016年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/279,461号に基づく優先権を主張し、この米国出願に記載された全ての記載内容を本出願に援用するものである。さらに、この出願は、2015年11月12日に出願された「Method and Apparatus for Transfer of Semiconductor Devices」と題する米国特許出願第14/939,896号に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【0002】
技術分野
以下の記述は、機器をバックライトで照らすことに関し、特にファブリック系のカバーを有するキーボードのキーをバックライトで照らすことに関する。さらに、本明細書中の原理は、ファブリック系または非ファブリック系のカバーを有する他の機器に適用してもよい。
【0003】
背景技術
キーボードなどの機器は、ファブリック系カバーまたは非ファブリック系カバーを有してもよい。ファブリック(例えば、綿、羊毛などの天然繊維ファブリック、またはポリエステル、アクリル、レーヨン、炭素繊維などの合成繊維ファブリック)は、多くの品目を被覆するのに広く使用されている。しかしながら、多くのファブリックはその素材構造が原因で、ファブリックカバーを有した機器をバックライトで照らすことは、効果または所望の結果を来すことが困難な場合がある。当然のことながら、同様の課題が他の非ファブリック素材にも存在する。
【0004】
機器をバックライトで照らすのに使用される光源に関しては、LEDが使用されている。現在のところ、バックライト用に実装されるLEDは、「パッケージされた」LEDである。「パッケージされた」という修飾語は、最終的なLEDに組み込まれている筐体及び保護機能と、同様に、パッケージ内のLEDを最終の回路に組み込むことを可能にするインタフェースも指す。特に、LEDまたは他の半導体機器の従来の製造工程は、半導体ウェハの処理から始まる。ウェハは、多数の「パッケージされていない」半導体機器に切り分けられる。「パッケージされていない」という修飾語は、保護機能のない、封入されていない半導体機器を指す。LEDの「パッケージング」は、LEDを、パッケージされていないLEDよりも実質的に厚くする。
【0005】
パッケージされていないLEDは非常に小さくなり得る。実際、LEDの高さは、12.5〜200ミクロン、または25〜100ミクロン、または50〜80ミクロンの範囲であり得る。
【0006】
発明を実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。図面において参照番号の最も左の桁(複数可)は、参照番号が最初に現れる図がどの図であるかを明らかにする。種々の図面での同じ参照番号の使用は、類似または同一の項目を示す。さらに、図面は、個々の図面内の個々の構成要素の相対的な大きさを近似的に示す描写を提供するものと見なしてもよい。しかしながら、図面は縮尺通りではなく、個々の図の中及び種々の図の間の双方で、個々の構成要素の相対的な大きさが描写されているものと異なる場合がある。特に、一部の図面が構成要素を特定の大きさまたは形状として描写する場合がある一方で、他の図面は、明瞭性を持たせるために、同じ構成要素をより大きい尺度で、または異なる形状で描写する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本願の一実施形態によるキーボードキー組立品の分解透視図を示す。
図2】本願の別の実施形態によるキーボードキー組立品の断面図を示す。
図3】本願の別の実施形態によるキーボードキー組立品の分解断面図を示す。
図4】バックライト付きのカバーを有する装置を製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
概要
この開示は、全般に、装置の表面被覆における画像、記号、文字、または他のデザインの背面照光式の照明を対象にする。多くの場合、本開示の特徴は、キーボードのキー(複数可)上のキートップ文字(例えば、画像、記号、文字、または他のデザイン)の照明に関して述べられ、キー(複数可)のカバーは、ファブリック素材または非ファブリック素材であってもよい。一般に、バックライトは、一人称視点から見てキートップ文字の背後に配置される1つ以上のパッケージされていないマイクロサイズのLEDによって実現され得るが、このことはキートップ文字(例えば、記号、文字、デザインなど)が、キートップ文字の後ろに位置する光源から照らされ、その光源の光が、キートップ文字を見ている個人に向かう方向に、キートップ文字を通って、拡散することを意味している。例えば、キーボード上のキーを点灯させる光源は、キーボードのキー(複数可)のキートップ文字を見ている個人の視点から見ると、キーのカバーの後ろにある。さらに、バックライト付き装置がキーボードでない場合も、光源は、装置を見ている個人の直視から同じように隠される。
【0009】
前述の通り、本明細書に記載される特徴の他の実装が考えられる。例えば、本明細書に記載される特徴は、衣服、ディスプレイ、横断幕、旗、装飾、看板、玩具、キーパッド、電子機器などを含む他の装置のカバー上のキートップ文字の照明に実装してもよい。さらに、ファブリック系のカバーを有するキーボードのキーの照明に関する本明細書に記載される特徴の概念及び設計は、多くの場合、非ファブリック系の素材の照明に同様に適用され得る。
ファブリックカバーまたは非ファブリックカバーを介する照明の例示的な実施形態
【0010】
図1は、ファブリック素材の一部を照明するための装置の少なくともいくつかの要素の分解図を示す。より具体的には、例えば、キーボード上のキーなどの装置100は、キートップ文字104を有するカバー102(例えば、キーキャップ)を備えてもよい。カバー102は、ポリマー系ファブリックなどのファブリック素材で全体が形成されていてもよく、または少なくとも部分的に含んでいてもよい。いくつかの例では、カバー102のファブリック素材は、天然繊維、合成繊維、または綿、絹、もしくは羊毛系ファブリックなどの混合タイプの素材であってもよく、これらのいずれも単独で使用してもよいし、またはポリエステル、アクリル、レーヨンなど、もしくは耐久性のあるファブリックタイプの製造が可能な他の素材と混合して使用してもよい。さらに、図1は、縁が方形をなして角が丸みを帯びた実質的に平面の外観を有するカバー102を示すが、装置100は、図示の構成に限定されず、所望の目的のために様々な形状及び寸法に形成してもよい。例えばカバー102は、波形、丸い形、球形、三角形、円筒形、またはその他の湾曲した形状及び/もしくは尖った形状をとってもよい。
【0011】
キートップ文字104は、個々の文字、数字、及び/または完全な語、句、もしくは一連の数字を含む文字または文字の集まりを示し得る。場合によっては、キートップ文字104は、機能を示すか、または特定の意味を伝えるために、句読点の形、顔文字及び/もしくは文化的な/普遍的な記号を含む記号、画像、デザイン、形状、または他の図形を示し得る。一実施例として図1のキートップ文字104は、文字「L」を示す。
【0012】
また、カバー102のキートップ文字104は、多数の方法で形成してもよい。いくつかの例では、キートップ文字104は、部品がカバー102に追加される付加タイプの工程を介して作成されてもよく、カバー102から材料が除去される除去工程を介して作成されてもよく、または材料除去と付加工程の組合せによって作成されてもよい。あるいは、キートップ文字104は成型工程によって形成されてもよく、その工程では、カバー102が成型され、成型されたカバー102内にキートップ文字104を含めるようにする。使用される方法にかかわらず、最終的な結果では、カバー102が、比較的不透明な部分の第1の領域と、比較的光を通過させる部分の第2の領域とを備えることとなる。いくつかの例では、半透明の第2の領域にキートップ文字104が含まれ、これによりキートップ文字104は不透明な第1の領域の真ん中で照明される。あるいは、キートップ文字104を第1の領域において不透明として表示させ、第2の領域においてキートップ文字104を囲んでカバー102を照らしたい場合がある。
【0013】
キートップ文字104を作成するための付加工程の実施形態の例は、塗料、ステッカー、印刷工程を経て塗布されるインク図画、半透明または不透明の物質の被覆、接着剤、フィルム、埋め込み成分などの層である別個の層104aを追加することを含む。使用され得る印刷工程には、インクジェット方式、レーザ方式、昇華方式などが含まれる。カバー102の上側のキートップ文字104aの図1の描写にもかかわらず、カバーの下側にキートップ文字104aを同じようにして作成するために、上記の付加タイプの工程を適切に使用してもよい。さらに、キートップ文字104aを所望のキートップ文字形状として示しているが、層104aを所望のキートップ文字形状の相補的なネガとして追加してもよい。
【0014】
除去工程によってキートップ文字104を作成するために、カバー102の材料を除去して、光が直接に放射されるか、またはカバー102の所定の部分を通ってより明るく拡散されるようにする。例えば、複数のマイクロサイズの穴106を、カバー102を貫いて作ることによって、少量の材料を除去してもよい。穴106は、複数の穴106の配置が、集合的に、照明される所望のキートップ文字104bの形状に相応するように、密な間隔で配列されて、所定の外周の範囲内に配置してもよい。例えば、図1の穴106は、文字「L」の所定の形状を指定する外周内に配列され、キートップ文字104bを形成する。同様に、装置の上面または底面のどちらか一方に複数の空洞を形成することによって材料を除去してもよく、空洞はカバー102を端から端まで完全に切り取らない。さらに、カバー102の上面または底面を、カバー102の厚さの少なくとも一部分が除去されて、所望のキートップ文字104bの形状を形成するように、エッチングしてもよい。このように、材料を除去する場合には、カバー102の一部分が薄くされるか、または完全に切り取られて、その部分を通る光の透過率を高める。さらに、所望のキートップ文字の所定の形状の全体を、カバー102から切り抜いてもよい。
【0015】
場合によっては、材料除去の方法には、打抜き、切削、及び/またはレーザの使用が含まれる。例えば、穴106は、カバー102の上側からカバー102の底部側まで、カバー102を貫いて延びるように、レーザを用いて形成されてもよい。穴106は、例えば、直径が0.1mmから0.2mmに及んでもよく、またはより小さくても、より大きくてもよい。
【0016】
前述の通り、キートップ文字104は、材料除去と付加工程の組合せによって作られてもよい。このように、材料をカバー102から除去した場合、材料を除去したカバーの部分をバックライトが照らすときに、バックライトの拡散及び増強に効果的な追加の材料によって、材料を除去した空間を充填し、覆い、または被覆してもよい。
【0017】
さらに、キートップ文字104の照明に関して、図1に示すように装置100は、キートップ文字104a及び/またはキートップ文字104bに加えて、もしくはその代わりに、ステンシルマスク層108を備えてもよい。マスク層108は、暗色/遮光の基板(例えば、薄膜など)を備えてもよく、その基板の一部を除去して、それによって基板内に開口108aを形成する。開口108aは、カバー102内のキートップ文字104の形状の周囲と形状及び寸法がちょうど一致してもよく、または開口108aの形状及び寸法は、照明の量を増加もしくは減少させるように、キートップ文字104の形状の周囲よりも大きくても、もしくは小さくてもよい。マスク層108は、カバー102の下側に接着されていてもよいし、またはカバー102の下側に別の方法で配置されてもよい。
【0018】
図示のように、装置100は、キーキャップ補強材110をさらに備えてもよい。補強材110は、光を通過させる特性を保ちながらも、透明な材料で形成されていてもよいし、または代わりに、色を帯びた、もしくは着色された材料で形成されていてもよい。繊細な構成部品の安定性及び保護をもたらすことのほかに、補強材110は、光拡散素子としてさらに機能し得る。すなわち、補強材110は、光の拡散を強めるように、テクスチャード加工されるか、着色されるか、形成されるか、または成形されてもよい。さらに、補強材110は、光がキートップ文字104を通過する前に光に変更を加える蛍光体及び/または他の要素を備えてもよい。そのうえ、補強材110は、半透明の中央部分と、不透明または十分に半透明ではない側縁を有してもよい。いくつかの例では、補強材110は、中央部分が縁部分よりも明るい2つの異なった色の材料で形成されてもよく、例えば、白色プラスチックの平面中央が黒色のプラスチックリングまたはプラスチック外周部に合わせて形づくられる。他の例では、補強材110は、単一の透光性材料、例えば白色プラスチックから形成され、その側縁が被覆され、塗装され、着色され、またはさもなければ暗い物質でマスキングされ得る。補強材110のこのような実施形態は、いくらかの遮光性をもたらす場合があり、装置の望ましくない領域からの光の漏れを防止するのに役立ち得る。
【0019】
装置100は、装置100のカバー102に力が加えられたときに回路素子(図示せず)と接続する、電気的に接続された反射性感知接触端子であるドーム112をさらに備えてもよい。ドーム112自体は、一方の側から他方の側に端子を横切って延びて、一般的なドーム形の輪郭を形成する1つ以上の可撓性の横断支持部材114を備えてもよい。便宜上、本願において、ドーム112は本明細書では「端子」とも呼ばれ得ることに留意されたい。加えられた力を受けて、ドーム112の横断支持部材114が弾性的に撓んで回路素子と接触して、信号が中継されてキートップ文字104の企図された機能を出力する。したがって図1の実施形態の例では、カバー102に加えられた力が、接続されたコンピューティング機器に信号を中継して、文字「L」を出力する。本明細書では、キーボードまたは他の電子回路に関連する機能性に関するさらなる詳細は提供されない。
【0020】
キートップ文字104の照明は、1つ以上の光源116の選択的な配置によって実現される。図1に示すように、光源116は、ドーム112の外周の周囲内、またはドーム112の外周の外側に配置されてもよい。光源116は、装置100に設けられた1つ以上の回路素子への直接または間接の取り付けによって電力が供給されるパッケージされていないLEDを備えてもよい。パッケージされていないLEDは、米国出願第14/939,896号に記載された方法及び装置による直接転写を含む任意の適切な手段によって配置してもよい。光源116の配置の位置に関するさらなる詳細は、本明細書で図3に関して以下にさらに説明する。
【0021】
図2には、バックライト付きキーボード200の断面の断面図が示される。さらに、キーボード200の単一のキー202の断面側面図を強調して提供する。キー202の構造の具体的な要素として基部204が備わっており、基部204は、キーボード200の態様を相互作用させ、かつこの態様に電力を供給するための電子回路素子(図示せず)を備えてもよい。したがって、基部204は、基部上のキー202の構造を支持する基礎としての機能を果たし得る。キー202は、ドーム206、ドームケージ208、ドームカバーシート210、キー補強材212、及びカバー214をさらに備えてもよい。
【0022】
ドーム206は、上述した端子112のように、感知接触端子として機能する。ドーム206は、枠付きドームケージ208によって、ドームの側部を取り巻かれるか、または囲まれてもよい。例えばいくつかの例では、ドームケージ208は、矩形形状、または円形形状、またはドーム206が、ドーム206の全ての側面が取り囲まれるか、もしくは閉じ込められるように、閉じた形状を形成するように接続される複数の側面を有する他の形状であってもよい。ドームケージ208は、ドーム206に対する損傷からの保護を確保するために構造的に堅固である頑丈な材料であってもよい。ドームケージ208は、短い脚柱に載る形のフレームとして形成されてもよく(図3参照)、ドームケージ208は、ドーム206の頂部に力を加えることができるように、ドームケージ208の上側が開いている。あるいは、ドームケージ208の側面は、ドーム206の周りの全てのところで側面の高さが一貫しているので、堅牢な壁のようになり得る。また一方、ドームカバーシート210は、ドーム206を覆うようにドームケージ208の開放された頂部の上に配置されており、それによってドーム206とキー補強材212の間の直接の接触を防止し得る。さらに、キー補強材212はカバー214によって覆われて、キー202と隣接するキー(K)の間の障壁が、フレーム216によって支持されてもよい。
【0023】
本出願で使用されるマイクロサイズの光源のため、25〜50ミクロンの間の大きさがあるパッケージされていないLEDなどの光源が配置され得る場所は多数存在する。さらに、米国出願第14/939,896号に記載されるように、各光源は、装置の構成部品上に配置される薄い導電性トレースを介して給電され、かつ電気的に接続され得る。したがって、いくつかの配置が可能である。図3のキー202の分解断面300の以下の説明において、用語「光源」(「a」が前に付いているか否かにかかわらず)の使用は、1つ以上の光源を意味し得る。さらに、以下の光源配置の説明のうちの任意の1つまたは複数の組合せが、装置のバックライトの所望の強度に従って実施されてもよいことが企図される。そのため、キー202の基部204が、その上に配置されてドーム206の下に位置するように配置される光源302を有し得る配置の説明文は、参照番号302で示されるブロックが、単一の光源であっても複数の光源を表わしてもよく、その全てがドーム206の外周によって画定される周囲の内側のどこかに含まれるということを示す。したがって、光源302はドームの中央に描かれているが、光源(複数可)302は、実際には中央からずれていて、カバー214に力が加えられるときに、光源(複数可)302がドーム206と基部204上の電子回路との間の電気的接触に干渉することのないドームの下に分散していてもよい。
【0024】
追加の潜在的な光源配置には次のものが含まれ得る。ドーム206とドームケージ208の間の基部204上の光源304、ドームケージ208の外側を囲む基部304上の光源306、ドームケージ208に埋め込まれた光源308、ドームケージ308上に配置された光源310、ドームカバーシート210上に配置された光源312、キー補強材212の下部に配置された光源314、キー補強材212上に配置された光源316、及び/またはカバー214の下面に直接配置された光源318である。一例では、一連の光源を、カバー214の上または下にキートップ文字の形状と直接に揃えて配置してもよい。潜在的な光源配置の上記の説明は、光源(302〜318)が、様々な構成部品の「下にある」、「中にある」、「周囲にある」、「上にある」、「中に埋め込まれる」または「下部にある」を表すが、光源が、個々の構成部品のそれぞれに対して様々な他の方法で配置されてもよいことが、本発明者らによってさらに企図されていることに留意されたい。すなわち、例えば光源が構成部品の「上にある」と記載されている場合、光源は、代替的にまたは追加的に、可能であれば構成部品の「中に埋め込まれる」、「下部にある」、「中にある」などであってもよい。
【0025】
潜在的な光源配置の上記説明と関連して、(光放射の変更のための)蛍光体塗布の複数の実施形態が考えられる。一般に蛍光体は、光源から放射される光の色及び分散を変更するために用いてもよい。したがって蛍光体は、構成部品またはそれら構成部品の部分の中または上に塗布してもよく、光がその部分を通って照ってもよい。場合によっては、蛍光体は、光源(複数可)302〜318上に直接塗布してもよく、及び/またはドームケージ208、ドームカバーシート210、キー補強材212、もしくはカバー214の材料上に塗布するか、もしくはそれらの材料に混合して適用してもよい。例えば、蛍光体は、ドームケージ208の1つ以上の上面に塗布されてもよく(明示されていない)、1つ以上のパッケージされていないLEDなどの光源が、基部上の薄い回路に接続されて、ドームケージ208の1つ以上の側面の真下に並べられてもよい。
【0026】
図4は、バックライト付きとなるキーボードのキーなどの装置を作成する方法400を示す。特に、方法400には、装置用のカバー402を形成することを含んでもよい。例えば場合によっては、ステップ402には、キーボード機器のキー用のファブリックキーカバーを形成することを含んでもよい。カバーの形成には、カバー上に第1の不透明領域を作成すること、及びカバー404上に第2の半透明領域を作成することを含んでもよい。第1の領域及び第2の領域の作成は、単一の動作で実行されてもよく、または2つ以上の動作を伴ってもよい。カバーの形成には、カバー406の第1の領域及び第2の領域の一方にキートップ文字を作成することをさらに含んでもよい。キートップ文字を部分的に第1の領域に形成して、部分的に第2の領域に形成し得る可能性があることに留意されたい。さらに、キートップ文字は、上述したような多くの方法によって形成してもよい。いくつかの例では、キートップ文字は、色素昇華などの添加工程408によって、レーザや任意の適切な切削もしくはエッチング機器を使用する材料除去工程410によって、または添加工程と材料除去工程の組合せ412によって形成してもよい。
【0027】
ステップ414において、複数の光源を装置のカバーの下または後ろに電気的に接続し得る。例えば、キーボード機器では、キーの半透明領域をカバーの下から照明するために、複数の光源をファブリックキーカバーの下に電気的に接続し得る。他の装置においても、光源はカバーの半透明領域を照明する。
【0028】
方法400には、構造用部品の材料及び/または装置の光源の中または上に蛍光体を塗布するステップ416をさらに含んでもよい。蛍光体の塗布は、光源を装置に組み込む前を含めて、方法400の他のステップに対して任意の順序で実行してもよい。いくつかの例では、図2及び図3のキー(複数可)の1つ以上の構成部品は、材料組成物中または構成部品(複数可)上に蛍光体を備えてもよい(すなわち、構成部品(複数可)の表面に、噴霧、印刷、被覆、浸漬、熱成形などによって堆積させる)。
例示的条項
【0029】
A:カバーの上側から前記カバーの底部側まで前記カバーの厚みを貫いて延びる複数の穴を有し、前記複数の穴が集合的に所定の形状を形成するように配列される前記ファブリックキーカバーと、前記カバーの底部側に配置されるマスク層であって、前記マスク層の第1の領域は不透明であり、前記マスク層の第2の領域は、光が前記第2の領域を通って前記複数の穴に入ることを可能にする前記マスク層と、前記マスク層の下に配置されて、光源から放射される光が前記マスク層の前記第2の領域を通って前記複数の穴に入るように配置される前記光源と、前記マスク層の下に配置され、キーストロークの動きを検出する感知接触端子とを備える、キーボード装置。
【0030】
B:前記複数の穴は、文字、数字、記号、画像、または図形のうちの1つの前記所定の形状の外周の内側に形成される、段落Aに記載の装置。
【0031】
C:前記マスク層の前記第2の領域は、前記マスク層内の開口である、段落A〜Bのいずれかに記載の装置。
【0032】
D:前記マスク層の前記第2の領域の前記開口は、内側に前記複数の穴が形成される前記所定の形状の外周に揃えられて実質的に類似に形づくられた周縁形状を有する、段落A〜Cのいずれかに記載の装置。
【0033】
E:前記マスク層の前記第1の領域は、内側に前記カバー内の前記複数の穴が形成される前記所定の形状の外周の外側を光が通過することを阻止する大きさ及び形に合わせて作られている、段落A〜Dのいずれかに記載の装置。
【0034】
F:前記マスク層の前記第2の領域は半透明材料である、段落A〜Eのいずれかに記載の装置。
【0035】
G:前記マスク層の前記第2の領域は、蛍光体を含む材料を備える、段落A〜Fのいずれかに記載の装置。
【0036】
H:前記マスク層と前記光源の間に配置されるキーキャップ補強材をさらに備える、段落A〜Gのいずれかに記載の装置。
【0037】
I:前記キーキャップ補強材は半透明である、段落A〜Hのいずれかに記載の装置。
【0038】
J:前記キーキャップ補強材は蛍光体を備える、段落A〜Iのいずれかに記載の装置。
【0039】
K:前記キーキャップ補強材の材料が前記光源からの前記光を拡散させる、段落A〜Jのいずれかに記載の装置。
【0040】
L:前記ファブリックキーカバー内の前記複数の穴の内面が、前記複数の穴を形成するレーザによって熔解される、段落A〜Kのいずれかに記載の装置。
【0041】
M:前記複数の穴の各々の直径が、0.1mmから0.2mmの範囲である、段落A〜Lのいずれかに記載の装置。
【0042】
N:前記光源は、前記感知接触端子に隣接して配置されるLEDを備える、段落A〜Mのいずれかに記載の装置。
【0043】
O:前記光源は、前記感知接触端子の基部に隣接して配置される直接転写されたLEDを備える、段落A〜Nのいずれかに記載の装置。
【0044】
P:前記感知接触端子は、前記キーストロークの動きに反射的に応答する反射性ドームを含む、段落A〜Oのいずれかに記載の装置。
【0045】
Q:前記光源は、12.5ミクロンから200ミクロンの範囲の高さを有するLEDを備える、段落A〜Pのいずれかに記載の装置。
【0046】
R:前記ファブリックキーカバーはプラスチック材料を含む、段落A〜Qのいずれかに記載の装置。
【0047】
S:前記マスク層は前記カバーの裏側に印刷される、段落A〜Rのいずれかに記載の装置。
【0048】
T:前記マスク層は前記カバーの裏側にエッチングされる、段落A〜Sのいずれかに記載の装置。
【0049】
U:前記マスク層は着色された基板を備える、段落A〜Tのいずれかに記載の装置。
【0050】
V:前記カバーの前記上側の少なくとも一部分を覆う透明フィルムまたは透明基板をさらに備える、段落A〜Uのいずれかに記載の装置。
【0051】
W:前記透明フィルムまたは前記透明基板によって覆われる前記上側の前記部分は、内側に前記複数の穴が形成される前記所定の形状の外周の内側の領域を含む、段落A〜Vのいずれかに記載の装置。
【0052】
X:所定の形状に形成されてカバーの上側から視認可能であるキートップ文字を有する前記カバーであって、前記カバーの第1の領域は不透明であり、前記カバーの第2の領域は照明されるために半透明であり、前記キートップ文字は、前記第1の領域及び前記第2の領域のうちの一方に位置している前記カバーと、前記カバーの下に配置されて、光源から放射される光が前記カバーの前記第2の領域を通って前記キートップ文字を示すように配置される前記光源と、前記カバーの下に配置される感知接触端子であって、前記光源が前記端子の実装スペースの内周の内側に配置される前記感知接触端子とを備える、装置。
【0053】
Y:前記カバーは繊維質のファブリックを備える、段落Xに記載の装置。
【0054】
Z:前記キートップ文字は、昇華方式の印刷によって前記ファブリックの繊維に印刷される、段落X〜Yのいずれかに記載の装置。
【0055】
AA:キーボード機器のキー用のファブリックキーカバーを形成することであって、前記形成することが、前記カバー上に第1の不透明領域を作成すること、及び前記カバー上に第2の半透明領域を作成すること、ならびに前記キーカバーの前記第1の領域及び前記第2の領域のうちの一方にキートップ文字を作成することを含む、前記形成することと、前記ファブリックキーカバーの下に複数の光源を電気的に接続することとを含む、方法。
【0056】
AB:前記キーの構造用部品の材料の中または上に蛍光体を塗布することをさらに含む、段落AAに記載の方法。
【0057】
AC:前記キートップ文字を前記作成することは、昇華方式の印刷によって前記キートップ文字を印刷することを含む、段落AA〜ABのいずれかに記載の方法。
【0058】
AD:前記キートップ文字を前記作成することは、前記キーカバーから材料を除去することを含む、段落AA〜ACのいずれかに記載の方法。
【0059】
AE:前記キーカバーから材料を前記除去することは、前記キーカバーを貫いてエッチングするか、または切り取るために、前記キーカバーにレーザを照射することを含む、段落AA〜ADのいずれかに記載の方法。
結論
【0060】
いくつかの実施形態は、構造的特徴及び/または方法論的動作に特有の文言で説明されているが、特許請求の範囲は、必ずしも説明した特定の特徴または動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の特徴及び動作は、特許請求される主題を実施する例示的な形態として開示される。
図1
図2
図3
図4