特許第6959698号(P6959698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959698アディティブ製造装置内の複数のスキャナの較正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959698
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】アディティブ製造装置内の複数のスキャナの較正方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20211025BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20211025BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20211025BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20211025BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20211025BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20211025BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20211025BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20211025BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20211025BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G01B11/25 H
   G01B11/24 K
   B29C64/153
   B29C64/268
   B29C64/386
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y50/00
   B22F3/105
   B22F3/16
【請求項の数】36
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-555904(P2018-555904)
(86)(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公表番号】特表2019-519760(P2019-519760A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(86)【国際出願番号】GB2017051137
(87)【国際公開番号】WO2017187147
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2020年2月21日
(31)【優先権主張番号】1607152.4
(32)【優先日】2016年4月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セリ ブラウン
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/083104(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0082668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
B29C 64/00−64/40
67/00−67/08
67/24−69/02
73/00−73/34
B29D 1/00−29/10
33/00
99/00
B33Y 10/00−99/00
B22F 1/00−8/00
C22C 1/04−/05
33/02
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスキャナを備えるアディティブ製造装置の属性を決定するための方法であって、前記複数のスキャナの少なくとも第1のスキャナは、材料が層内に固化される作業面に、対応する放射ビームを誘導するためのビーム操向オプティクスを備える方法において、1対の前記スキャナを制御することであって、それによって、前記対のうちの前記第1のスキャナが前記作業面内に特徴を形成するように前記放射ビームを誘導し、前記特徴は、前記対のうちの第2のスキャナの検出器の視野内にあり、前記検出器は、前記第2のスキャナの前記ビーム操向オプティクスによって補正される前記作業面から来る放射を検出するためのものである、制御することと、前記視野について前記第2のスキャナの前記検出器で少なくとも1つの検出器値を記録することと、および前記検出器値と、前記特徴を形成するときの、前記対のうちの前記第1のスキャナの前記操向オプティクスの位置決めから決定される予想検出器値との比較から前記アディティブ製造装置の属性を決定することと、を含む方法。
【請求項2】
前記特徴は、前記作業面内の前記放射ビームによって形成された溶融プールである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特徴が、表面内に切除され、または前記放射ビームを使用して前記作業面内で材料を固化することによって形成される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記特徴は、前記第2のスキャナの前記検出器の前記視野内の前記作業面内に形成された基準パターンを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記放射ビームは、前記第1のスキャナによって前記作業面内の材料上に誘導される構造光を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のスキャナを備えるアディティブ製造装置の属性を決定するための方法であって、少なくとも1つの前記スキャナは、材料が層内に化される作業面に、対応する放射ビームを誘導するためのものであり、各スキャナは、操向オプティクスと、前記操向オプティクスによって補正される前記作業面から来る放射を検出するための検出器とを備える方法において、1対の前記スキャナの第1のスキャナおよび第2のスキャナの前記操向オプティクスを制御することであって、それによって、前記第1のスキャナの前記検出器と前記第2のスキャナの前記検出器についての前記作業面の視野が少なくとも重畳するようにする、制御することと、対応する前記視野について前記第1のスキャナおよび前記第2のスキャナのそれぞれの前記検出器で少なくとも1つの検出器値を記録することと、および前記第1のスキャナおよび前記第2のスキャナによって記録される前記検出器値の比較から、前記アディティブ製造装置の属性を決定することと、を含む方法。
【請求項7】
前記視野は見かけ上範囲が一致する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
放射ビームが前記複数のスキャナのうちの1つによって前記視野内の前記作業面内の材料上に誘導されるとき、検出器値を記録することを含む請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記放射ビームのうちの1つを使用して形成された前記視野内の特徴に基づいて検出器値を記録することを含む請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記視野内に位置する基準パターンに基づいて検出器値を記録することを含む請求項6または7に記載の方法。
【請求項11】
前記基準パターンが、前記少なくとも1つの放射ビームを使用して形成される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基準パターンが、前記少なくとも1つの放射ビームを使用して、前記作業面内の表面を切除することによって、または前記作業面内で材料を固化することによって前記作業面内に形成される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基準パターンが構造光を使用して形成される請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記基準パターンが前記視野内にあるように、前記基準パターンが、前記アディティブ製造装置内に配置される基準アーティファクト上でプリフォームされる請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記基準パターンは少なくとも1つの周期的特徴を含み、前記方法は、前記第2のスキャナの前記検出器で前記基準パターンのイメージを取り込むこと、前記イメージから、前記基準パターンの測定された周期的特性を決定すること、および前記測定された周期的特性と基準周期的特性との比較に基づいて、前記第1のスキャナまたは前記第2のスキャナの制御のための補正を決定することを含む請求項10乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記基準周期的特性が、前記第1のスキャナの前記検出器によって取り込まれた前記基準パターンまたは前記基準パターンのイメージを形成するとき、前記第1のスキャナを駆動するために使用される命令から決定される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記周期的特性が、基準位相または前記対のうちの他のスキャナの前記検出器から測定された位相に対する、前記基準パターンの測定された位相ずれである請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記位相ずれが、前記検出器によって記録された前記検出器値のフーリエ解析を通じて決定される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記属性が、前記第1のスキャナおよび前記第2のスキャナからの、前記検出器値を含むデータを相互参照することによって決定される請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記属性が前記スキャナの属性である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記属性が、前記放射ビームのスポット、または前記放射ビームによって形成された特徴、および/または公称値からの前記検出器値から決定した作業面内の視野の、測定された位置またはサイズの違いである請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記属性が、前記作業面内の材料/表面の属性である請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記属性が、前記視野内の凝固された材料または未凝固の材料の高さ/位置、構築基体/構築プラットフォームの位置、または前記アディティブ製造プロセスを使用して構築すべきプリフォームされた部品の位置である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
公称値からの前記属性の違いを補正するように前記アディティブ製造装置を調節することを含む請求項1乃至23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記公称値からの前記属性の違いに基づいて、前記対のスキャナのうちの1つの前記操向オプティクスの少なくとも1つの位置を補正するための補正値、マップ、または関数を決定することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
公称値からの前記属性の違いを補正するように前記アディティブ製造装置を調節することを含み、
前記公称値からの前記属性の違いに基づいて、前記対のスキャナのうちの1つの前記操向オプティクスの少なくとも1つの位置を補正するための補正値、マップ、または関数を決定することを含み、
前記補正マップまたは関数が、公称位置に対する、前記第2のスキャナの前記検出器値から導出された、前記放射ビームの前記作業面内の測定された位置、または前記放射ビームによって生成された特徴の違いに基づいて決定される請求項に記載の方法。
【請求項27】
公称値からの前記属性の違いを補正するように前記アディティブ製造装置を調節することを含み、
前記公称値からの前記属性の違いに基づいて、前記対のスキャナのうちの1つの前記操向オプティクスの少なくとも1つの位置を補正するための補正値、マップ、または関数を決定することを含み、
前記補正値、マップ、または関数は、公称位置に対する、前記第1のスキャナおよび前記第2のスキャナの前記検出器値から導出された、前記視野の測定された相対位置の違いに基づいて決定される請求項に記載の方法。
【請求項28】
前記アディティブ製造装置は3つ以上のスキャナを備え、前記方法は、前記3つ以上のスキャナのうちの複数の対のための前記方法を実施して、前記3つ以上のスキャナが共通の基準フレームに位置合せされるように各対の前記スキャナのうちの1つの前記操向オプティクスの前記少なくとも1つの位置を補正する補正値、マップ、または関数を生成することを含む請求項25乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のスキャナのうちの第1のスキャナの前記操向オプティクスを較正して第1の較正済みスキャナを提供すること、前記複数のスキャナのうちの他のスキャナのうちの1つまたは複数についての前記補正値、マップ、または関数を生成して、前記1つまたは複数のスキャナの前記操向オプティクスの位置決めを前記第1の較正済みスキャナと位置合せすることを含む請求項25乃至28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記検出器または各検出器は、少なくとも1つの次元の前記視野にわたる前記放射の強度の変動を測定するように配置された位置感応デバイス(PSD)を備える請求項1乃至29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記PSDが、2次元の前記視野にわたる前記放射の強度の変動を測定するように配置される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記比較が、前記第2のスキャナの前記PSDに関する強度分布の位置と、前記第1のスキャナの前記PSDに関する強度分布の予想位置または位置との比較を含む請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記作業面内の材料にわたって前記対のうちの前記第1のスキャナで前記放射ビームを誘導して溶融プールを形成すること、前記第2のスキャナの前記PSDに関する前記検出器値から、前記第2のスキャナの視野内の前記溶融プールの位置を決定すること、および前記視野内の前記溶融プールの前記位置に基づいて、前記第1のスキャナまたは前記第2のスキャナについての補正値、マップ、または関数を生成することを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
アディティブ製造装置を制御するためのコントローラであって、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の方法を実施するように配置されるコントローラ。
【請求項35】
層ごとに工作物を構築するためのアディティブ製造装置であって、
複数のスキャナであって、それぞれのスキャナが作業面内で材料を層内に固化するように放射ビームを誘導する、複数のスキャナと、請求項34に記載のコントローラと
を備えるアディティブ製造装置。
【請求項36】
命令をその上に有するデータキャリアであって、前記命令は、アディティブ製造装置を制御するためのコントローラによって実行されるとき、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の方法を前記コントローラに実施させる、データキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが作業面に放射ビームを誘導する複数のスキャナを備えるアディティブ製造装置内で測定を実施するための方法および装置に関する。限定はしないが、詳細には、本発明は、材料ベッド(例えば粉体または樹脂ベッド)を備えるアディティブ製造装置のスキャナを較正するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品を生成するためのアディティブ製造または急速プロトタイピング方法は、材料の層ごとの凝固を含む。選択的レーザ溶融(SLM)、選択的レーザ焼結(SLS)、電子ビーム溶融(eBeam)などの粉体ベッドシステムと、光造形などの樹脂浴ベースのシステムと、ワイヤアークアディティブ製造(WAAM)を含む、溶融物堆積法などの非粉体ベッドシステムとを含む、様々なアディティブ製造方法がある。
【0003】
選択的レーザ溶融では、粉体層が構築室内の粉体ベッド上に堆積し、レーザビームが、構築中の工作物の断面(スライス)に対応する粉体層の各部分にわたって走査される。レーザビームは、粉体を溶融または焼結して凝固層を形成する。層の選択的凝固の後、粉体ベッドが、新しく凝固された層の厚さだけ低くされ、必要に応じて、粉体の別の層が表面にわたって拡散され、凝固される。
【0004】
工作物を正確に形成するために、スキャナを較正しなければならない。
【0005】
多数の正方形セルがその上に印刷されたマイラシートをターゲット表面上に配置し、レーザビームで各セルをマークすることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。次いで、シートが、従来型デジタルスキャナでの走査によってデジタル形式に変換され、セルの重心に対するレーザマークの場所が使用され、そのセルについての補正係数が更新される。そのような較正が周期的に実施される。
【0006】
急速プロトタイピングシステムのためのレーザビームの偏向制御を較正するための方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。テストパターンを生成するために感光媒体が所定の位置でレーザビームに露出される。カメラでテストパターンの対応するパターン部分を生成するように、生成されたテストパターンにわたってビデオカメラが漸進的に移動する。全パターンに対するデジタル化パターン部分を構成するために評価プログラムが使用される。全パターンのピクチャ座標が、写真製版式に生成された基準パターンのデジタル化座標と比較される。レーザビームを偏向させるためのスキャナの制御のために必要とされる補正テーブルが、比較に基づいて修正される。
【0007】
急速プロトタイピングシステム内の放射デバイスの制御を較正するための方法が開示されており、較正プレートが急速プロトタイピングシステム内の定義済みの位置に配置される(例えば、特許文献3参照。)。較正プレートは、第1の領域と、第1の領域とは別の第2の領域とを有する上面を有する。第1の領域は、光学的に検出可能な基準クロスを備え、第2の領域は、放射デバイスの放射に感応する媒体を有する。位置座標データによって定義される所定の所望の位置で放射に媒体を露出することによって、クロスのテストパターンが生成される。第1の領域および第2の領域が、例えばピクセルスキャナ、ビデオカメラ、またはデジタルカメラによってデジタル化され、基準クロスとテストパターンのクロスとを比較することから、補正データが計算される。
【0008】
急速プロトタイピングシステム内で使用されるデジタル光プロジェクタの幾何学的ひずみを補正するための方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。各デジタル光プロジェクタによって作成される未補償のテストパターンを閲覧するためにカメラが使用される。それぞれの未補償のテストパターンが理想的なテストパターンと比較され、パターン補正マップが生成される。
【0009】
第1のスキャナおよび第2のスキャナを備える、3次元工作物の生成生産のためのデバイスの自動較正の方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。材料またはターゲットの適用される層上で、第1のテストパターンが第1のスキャナを使用して生成され、第2のテストパターンが第2のスキャナを使用して生成される。第1のテストパターンおよび第2のテストパターンは、特定の格子定数を有する特定の格子パターンまたはドットパターンでよい。第1のテストパターンおよび第2のテストパターンのイメージを取り込み、制御デバイスのメモリ内に記憶された基準パターンと、第1のテストパターンおよび第2のテストパターンとを比較するために、較正されたカメラが使用される。第1のスキャナおよび第2のスキャナは、対応するテストパターンの基準パターンからの逸脱が所望の値未満となるように較正される。較正方法は、自己相関方法またはマッチング方法を含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第94/15265号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5832415号明細書
【特許文献3】米国特許第6483596号明細書
【特許文献4】EP第2186625号
【特許文献5】国際公開第2014/180971号
【特許文献6】GB特許出願第1604728.4号
【特許文献7】国際公開第2010/007396号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
マルチビームアディティブ製造装置のスキャナを自動的に較正する方法を提供することが望ましい。構築中に生じることがある熱ドリフトについてスキャナを較正するための方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、複数のスキャナを備えるアディティブ製造装置の属性を決定するための方法が提供され、複数のスキャナの少なくとも第1のスキャナは、料が層内に固化される作業面に、対応する放射ビームを誘導するためのビーム操向オプティクスを備え、方法は、1対のスキャナ制御することであって、それによって、対のうちの第1のスキャナが作業面内に特徴を形成するように放射ビームを誘導し、特徴は、対のうちの第2のスキャナの検出器の視野内にあり、検出器は、第2のスキャナのビーム操向オプティクスによって補正される作業面から来る放射を検出するためのものである、制御することと、視野について第2のスキャナの検出器で少なくとも1つの検出器値を記録することと、および検出器値と、特徴を形成するときの、対のうちの第1のスキャナの操向オプティクスの位置決めから決定される予想検出器値との比較からアディティブ製造装置の属性を決定することと、を含む。
【0013】
特徴は、レーザスポットなどの放射プロファイル、または作業面内の放射ビームによって形成された溶融プールでよい。特徴は、作業面内の表面の材料を切除することによって、または放射ビームを使用して作業面で材料を固化することによって形成された特徴でよい。特徴は、第1のスキャナによって誘導された放射ビームを使用して、視野内の作業面内の表面上で形成された基準パターンでよい。放射ビームは、第1のスキャナによって作業面内の表面上に誘導された構造光でよい。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、複数のスキャナを備えるアディティブ製造装置の属性を決定するための方法が提供され、少なくとも1つのスキャナは、材料が層内に個化される作業面に、対応する放射ビームを誘導するためのものであり、各スキャナは、向オプティクスと、向オプティクスによって補正される作業面から来る放射を検出するための検出器とを備え、方法は、1対のスキャナの第1のスキャナおよび第2のスキャナの向オプティクスを制御することであって、それによって、第1のスキャナの検出器と第2のスキャナの検出器についての作業面の視野が少なくとも重畳し、好ましくは見かけ上範囲が一致するようにする、制御することと、対応する視野について第1のスキャナおよび第2のスキャナのそれぞれの検出器で少なくとも1つの検出器値を記録することと、および第1のスキャナおよび第2のスキャナによって記録される検出器値の比較から、アディティブ製造装置の属性を決定することと、を含む。
【0015】
第2の態様の方法は、放射ビームが複数のスキャナのうちの1つによって視野内の作業面内の材料上に誘導されるとき、検出器値を記録すること、および/または視野内の作業面内に配置された、基準パターンなどの特徴によって生成された検出器値を記録することを含むことができる。
【0016】
放射ビームのうちの1つを使用して、作業面内の表面上に特徴を形成することができる。材料を切除することによって、および/または作業面内で材料を固化することによって特徴を形成することができる。構造光パターンなどの検出可能な放射の、作業面内の材料に対する投射によって特徴を形成することができる。検出可能な放射の投射は、第1の向きの第1の波長の第1の構造光パターンと、第2の異なる方向に向く、第2の異なる波長の第2の構造光パターンとを含むことができる。第1のスキャナおよび第2のスキャナは、光の第1の波長と第2の波長の両方を検出することのできる検出器を備えることができる。
【0017】
方法は、基準パターンが視野内の作業面内に配置されるように、基準パターンを含む基準アーティファクトをアディティブ製造装置内に配置することを含むことができる。
【0018】
このようにして、対の2つのスキャナからのデータを相互参照することによって、アディティブ製造装置の属性を決定することができる。例えば、データを相互参照して、スキャナの一方を他方のスキャナに対して較正することができる。属性は、放射ビームのスポット、放射ビームによって形成された特徴、および/または公称値からの検出器値から決定した作業面内の視野の、測定された位置またはサイズの違いなどのスキャナの属性でよい。あるいは、例えば三角測量を使用してデータを相互参照して、視野内の凝固された材料または未凝固の材料の高さ/位置などの、作業面内の材料/表面の属性、構築基体/構築プラットフォームの位置、またはアディティブ製造プロセスを使用して構築すべきプリフォームされた部品の位置を決定することができる。
【0019】
方法は、公称値からの属性の違いを補正するようにアディティブ製造装置を調節することを含むことができる。例えば、公称値からの属性の違いに基づいて、対のスキャナのうちの1つの操向オプティクスの少なくとも1つの位置を補正するための補正値、関数、またはマップを決定することができる。補正値、関数、またはマップは、公称位置に対する、検出器値から導出された、放射ビームの作業面内の測定された位置、または放射ビームによって生成された特徴に基づくことができる。補正値、関数、またはマップは、公称位置と比較した、検出器値から導出された、視野の測定された相対位置に基づくことができる。
【0020】
アディティブ製造装置は3つ以上のスキャナを備えることができ、方法は、3つ以上のスキャナのうちの複数の対について方法を実施して、3つ以上のスキャナが共通の基準フレームに位置合せされるように各対のスキャナのうちの1つについての補正値、関数、またはマップを生成することを含む。
【0021】
方法は、複数のスキャナのうちの第1のスキャナの操向オプティクスを較正して第1の較正済みスキャナを提供すること、(前述の方法で)複数のスキャナのうちの他のスキャナのうちの1つまたは複数についての補正値、関数、またはマップを生成し、1つまたは複数のスキャナの操向オプティクスの位置決めを第1の較正済みスキャナと位置合せすることを含むことができる。異なる方法を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる未公開の特許文献6に記載の方法を使用して、第1の較正済みスキャナを較正することができる。
【0022】
検出器は、1次元、または好ましくは2次元の視野にわたる放射の強度の変動を測定することのできる位置感応デバイス(PSD)を備えることができる。PSDは、電荷結合デバイス(CCD)や相補型金属酸化物半導体デバイス(CMOS)などの、放射に感応する等方性センサまたはディスクリート素子の2次元アレイを備えることができる。比較は、第2のスキャナのPSDにわたる放射強度と、第1のスキャナのPSDにわたる予想位置または放射強度との比較を含むことができる。
【0023】
方法は、作業面内の材料にわたって対のうちの第1のスキャナで放射ビームを誘導して溶融プールを形成すること、第2のスキャナのPSDに関する検出器値から、第2のスキャナの視野内の溶融プールの位置を決定すること、および視野内の溶融プールの位置に基づいて、第1のスキャナまたは第2のスキャナについての補正値、関数、またはマップを生成することを含むことができる。溶融プールは、周囲の未溶融材料と容易に区別することのできる特有の特徴を提供し、放射ビームの光の波長とは異なる波長の放射を放射する。したがって、フィルタを使用して、放射ビームの後方反射光が検出器に入射しないように、溶融プールから放射された放射を後方反射光から分離することができる。スキャナの補正の基となる特徴としての溶融プールの使用は、構築中のスキャナの補正を可能にし、例えば、スキャナの温度が変化するときの熱効果による、スキャナによって誘導される放射ビームの位置のドリフティングを補正することができる。構築の開始時に、スキャナは、比較的冷たいことがあるが、高出力レーザビームなどの放射ビームがそこを通過して作業面内の材料を溶融する際に加熱することがある。
【0024】
方法は、第2のスキャナのPSDに関する検出器値から、第2のスキャナの視野内の特徴の位置を決定すること、および視野内の特徴の位置に基づいて、第1のスキャナまたは第2のスキャナについての補正値、関数、またはマップを生成することを含むことができる。
【0025】
基準パターンは、第2のスキャナの検出器で基準パターンのイメージを取り込む、少なくとも1つの周期的特徴を含むことができ、方法は、イメージから、基準パターンの測定された周期的特性を決定すること、および測定された周期的特性と基準周期的特性との比較に基づいて、第1のスキャナまたは第2のスキャナの制御のための補正値、関数、またはマップを決定することを含む。対のうちの他のスキャナの検出器によって取り込まれた基準パターンまたは基準パターンのイメージを形成するとき、対のうちの他のスキャナを駆動するために使用される命令から、基準周期的特性を決定することができる。
【0026】
基準パターンの周期的特性に基づく補正によって、より正確な補正データを決定することができる。具体的には、周期的特性が、検出器に関する幾何学的特徴のうちの単一の特徴の解像度に依存するのではなく、複数の幾何学的特徴から決定された情報(例えば、幾何学的特徴のうちの複数の特徴にわたって平均された情報)に基づくので、幾何学的特徴または溶融プールの位置よりも高い精度で周期的特性を決定することができる。
【0027】
周期的特性は、基準位相または対のうちの他のスキャナの検出器から測定された位相に対する、基準パターンの測定された位相ずれでよい。基準パターンの位相は、基準パターンを形成するときの放射ビームの位置の誤差、および/または視野を位置決めする際の誤差を示すことができ、補正値、関数、またはマップを位相ずれから決定し、第1のスキャナまたは第2のスキャナの操向オプティクスの位置決めを補正することができる。
【0028】
イメージのフーリエ解析を通じて位相ずれを決定することができる。基準周波数での基準パターンのイメージの離散フーリエ変換を実施し、基準位相から得られる周波数成分の位相ずれを決定することによって、位相ずれを決定することができる。基準パターンに対する視野の複数の異なる位置のそれぞれについて、位相ずれについての値を決定することができる。
【0029】
基準パターンは、第1の方向に反復される第1の幾何学的特徴を含む第1のパターンと、第1の方向と垂直な第2の方向に反復される第2の幾何学的特徴を含む第2のパターンとを含むことができる。第1の幾何学的特徴と第2の幾何学的特徴とは同一でよく(しかし、対応する第1の方向および第2の方向に回転される)、または異なるものでよい。第1の方向および第2の方向のそれぞれは、スキャナの異なる操向オプティクスによって放射ビームが移動される空間方向に対応することができる。各パターンの幾何学的特徴の間の重複なしに、第1のパターンおよび第2のパターンを散在させることができる。
【0030】
基準パターンは一連の平行線を含むことができる。基準パターンは、第1の方向に反復する平行線の少なくとも1つの第1のセットと、第2の方向に反復する平行線の少なくとも1つの第2のセットとを含むことができる。平行線の第1のセットは、第1の方向と第2の方向の両方に作業面にわたって第2のセットの平行線と交互となることができる。
【0031】
本発明の第3の態様によれば、アディティブ製造装置を制御するためのコントローラが提供され、コントローラは、本発明の第1の態様または第2の態様の方法を実施するように配置される。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、作業面内で材料を固化するように放射ビームをそれぞれ誘導する複数のスキャナと、本発明の第3の態様によるコントローラとを備える、層ごとに工作物を構築するためのアディティブ製造装置が提供される。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、命令をその上に有するデータキャリアが提供され、命令は、アディティブ製造装置を制御するためのコントローラによって実行されるとき、本発明の第1の態様または第2の態様の方法をコントローラに実施させる。
【0034】
データキャリアは、非一時的データキャリア、例えばフロッピィディスク、CD−ROM、DVD ROM/RAM(−R/−RWおよび+R/+RWを含む)、HD DVD、Blu−ray(商標)ディスク、メモリ(メモリスティック(商標)、SDカード、コンパクトフラッシュカードなど)、ディスクドライブ(ハードディスクドライブなど)、テープ、任意の磁気/光ストレージ、またはワイヤもしくは光ファイバ上の信号、または無線信号などの一時的データキャリア、例えばワイヤードまたは無線ネットワークを介して送られる信号(インターネットダウンロード、FTP転送など)などの、機械に命令を提供するための適切な媒体でよい。
【0035】
本発明の第6の態様によれば、複数のスキャナを備えるアディティブ製造装置の属性を決定するための方法が提供され、複数のスキャナの各スキャナは、作業面にエネルギー源を誘導して、その上に材料を固化するための位置決め要素を備え、方法は、1対のスキャナの位置決め要素を制御することであって、それによって、対のうちの第1のスキャナが、対応するエネルギー源を、対のうちの第2のスキャナの検出器の視野内の作業面上に誘導し、検出器は、作業面から来る放射を検出するためのものであり、エネルギー源を配置するために使用される第2のスキャナの位置決め要素を使用して、作業面に対して位置決めされるように配置される、制御することと、視野について第2のスキャナの検出器で少なくとも1つの検出器値を記録することと、および検出器値と、対のうちの第1のスキャナによるエネルギー源の位置決めから決定される予想検出器値との比較からアディティブ製造装置の属性を決定することと、を含む。
【0036】
エネルギー源はプラズマアークでよく、スキャナは、ワイヤアークアディティブ製造装置の堆積ヘッドでよい。位置決め要素は、作業面に対して堆積ヘッドを位置決めするためのロボットまたはガントリーシステムを備えることができる。
【0037】
本発明の第7の態様によれば、アディティブ製造装置を制御するためのコントローラが提供され、コントローラは、本発明の第6の態様の方法を実施するように配置される。
【0038】
本発明の第8の態様によれば、作業面上に材料を固化するためにエネルギー源をそれぞれが誘導するための複数のスキャナと、本発明の第7の態様によるコントローラとを備える、層ごとに工作物を構築するためのアディティブ製造装置が提供される。
【0039】
本発明の第9の態様によれば、命令をその上に有するデータキャリアが提供され、命令は、アディティブ製造装置を制御するためのコントローラによって実行されるとき、本発明の第6の態様の方法をコントローラに実施させる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態によるアディティブ製造装置を示す図である。
図2図1に示されるアディティブ製造装置の平面図である。
図3】本発明によるアディティブ製造装置の1対のスキャナに関するデータを取り込むための実施形態を示す図である。
図4】スキャナの操向オプティクスを較正するための、本発明の一実施形態による基準パターンである。
図5】本発明の別の実施形態による基準パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および2を参照すると、本発明の一実施形態によるアディティブ製造装置が、構築体積117を画定するパーティション115、116をその中に有する構築室101を備える。構築プラットフォーム102は構築体積117内で下降可能である。工作物が粉体の選択的レーザ溶融によって構築されるとき、構築プラットフォーム102は、粉体ベッド104および工作物103を支持する。工作物103の連続する層が形成されるにつれて、プラットフォーム102は、構築体積117内でモータの制御下で下げられる。
【0042】
配量装置108およびワイパ109によって工作物103が構築されるにつれて、粉体104の層が形成される。例えば、配量装置108は、特許文献7に記載されている装置でよい。配量装置108は、パーティション115によって画定される上面115a上に粉体を配量し、ワイパ109によって粉体ベッドにわたって拡散される。ワイパ109の下縁部の位置が、粉体が固化される作業面110を画定する。
【0043】
複数のレーザモジュール105a、105b、105c、および105dが、粉体104を溶融させるためのレーザビーム118a、118b、118c、118dを生成し、レーザビーム118a、118b、118c、188dは、対応する光モジュール106a、106b、106c、106dによって必要とされる通りに誘導される。レーザビーム118a、118b、118c、118dは、共通レーザウィンドウ107を通じて進入する。各光モジュールは、作業面にわたって垂直方向にレーザビーム118を操向するための、ガルバノメータ上に取り付けられた2つのミラーなどの操向オプティクス121と、レーザビーム118の焦点を変更するための、2つの可動レンズなどの集束オプティクス120とを備える。スキャナは、レーザビーム118が作業面にわたって移動するとき、レーザビーム118の焦点位置が同一平面内にとどまるように制御される。動的集束素子を使用してレーザビームの焦点位置を平面内に維持するのではなく、fシータレンズを使用することができる。
【0044】
各光モジュール106a、106b、106c、106dは、レーザビーム118を反射し、粉体ベッド104の作業面から来る放射の波長を透過するビームスプリッタ122を備える。レーザビームの波長とは異なる波長を透過するようにビームスプリッタ122を構成することができる。ビームスプリッタ122を通過する放射は、光検出器素子の2次元アレイの形の検出器123によって撮像される。光学系は、放射が検出器123に入射する前に、注目していない波長を除去する別のフィルタを備えることができる。例えば、可視光だけが、注目の対象、またはベッド104/溶融プールからの熱放射から生じる赤外線スペクトル内の光であり得る。
【0045】
粉体ベッド104の作業面110を照射するための適切な照明(図示せず)を設けることができる。
【0046】
プロセッサ161およびメモリ162を備えるコントローラ140が、アディティブ製造装置のモジュール、すなわちレーザモジュール105a、105b、105c、105d、光モジュール106a、106b、16c、106d、構築プラットフォーム102、配量装置108、ワイパ109、および検出器123a、123b、123c、123dと通信する。コントローラ140は、以下で説明するように、メモリ162内に記憶されたソフトウェアに基づいてこれらのモジュールを制御する。
【0047】
図3および4を参照すると、周知の方法、または、例えば、参照により本明細書に組み込まれる特許文献6に記載の方法を使用して、光モジュール106のうちの第1のものを較正することができる。次いで、残りの複数の光モジュール106の較正が、既に較正されている光モジュール106に対する比較を通じて実施される。図3は、これを行なうことのできる4つの方式を示す。
【0048】
第1の方法では、光モジュール106のうちの較正済みのものが、対応するレーザビーム118を作業面110上の定義済みのx、y位置に誘導し、溶融プール203を形成する。未較正の光モジュール106のうちの少なくとも1つ、恐らくはすべてが、同一の位置に誘導される。このようにして、溶融プール202は、未較正のモジュールの検出器123または各検出器123の視野201内にある。較正済み光モジュールおよび未較正の光モジュールが、見かけ上は同一の位置に誘導されるので、光モジュール106が位置合せされた場合、溶融プール202は視野の中心に現れるはずである。しかしながら、光モジュール106の間の位置合せ不良がある場合、溶融プール202は、中心から外れて現れることがある。
【0049】
溶融プール202のイメージが、未較正の光モジュール106またはそれぞれの未較正の光モジュール106の検出器123上で取り込まれ、代表的信号がコントローラ140に送られる。コントローラ140は、検出器123の2次元アレイ上の溶融プール202の中心の場所を決定し、較正済み光モジュール106と未較正の光モジュール106との位置合せ不良を補正するための補正値を決定する。このプロセスを作業面110にわたる複数の場所について反復して、補正マップを構築し、または作業面110上のレーザビーム118の異なる位置についての操向オプティクス121の位置の補正を決定することのできる補正関数を決定することができる。構築前および/または構築中にプロセスを実施することができる。具体的には、光モジュール106の相対的位置精度が、光モジュール106の加熱(恐らくは示差加熱)のために構築中にドリフトすることがある。構築中に行われる調節は、構築中のこの熱ドリフトを補正することができる。
【0050】
別の実施形態では、較正済み光モジュール106が使用され、例えば作業面内の基体の表面を切除することによって、または粉体を固化することによって基体を構築することによって、作業面110上の特徴が形成される。この実施形態では、特徴は、等間隔に配置された平行線の複数の正方形を含む基準パターン205を含み、正方形のうちのいくつかは、x方向に間隔を置いて配置された線を有し、正方形のうちの他のものは、y方向に間隔を置いて配置された線を有する。視野204が基準パターン204を包含し、見かけ上は基準パターン205の中心に置かれるように、未較正の光モジュール106が配置される。未較正の光モジュール106の検出器123上に記録される基準パターン205のイメージが使用され、公称位置に対する視野の実際の位置が決定される。未較正の光モジュール106についての補正値が、実際の位置と公称位置との間の差に基づいて決定され、前と同様に、作業面110上の複数の位置について決定された補正値に基づいて、補正マップまたは補正関数を決定することができる。
【0051】
基準パターン205内の平行線の既知の基準周波数で基準パターン205のイメージの離散フーリエ変換(DFT)を実施することによって、視野内の基準パターンの位置を決定することができる。この実施形態では、検出器123上に記録された基準パターンのイメージに、検出器123からのイメージの中心点に中心が置かれる、デジタルに生成された正弦表現および余弦表現を掛けることによってDFTが実施される。平行線の各領域について、イメージ内の基準パターンの位相が決定される。x方向に繰り返される特徴を有するパターンを有する領域について、x方向の位相ずれが決定され、y方向に繰り返される特徴を有するパターンを有する領域について、y方向の位相ずれが決定される。
【0052】
位相ずれは、イメージに正弦表現および余弦表現を掛けることによって得られる2つの値の商のarctanから決定される。
【0053】
xおよびyの位相ずれは、未較正の光モジュールを較正済み光モジュールと位置合せするための補正値を与える。
【0054】
図5は、xとyの両方の、相互接続された周期的特徴を含む代替基準パターンを示す。
【0055】
別の実施形態では、その上に基準パターンを有する基準アーティファクト207がアディティブ製造装置内に配置され、作業面110内に基準パターンが配置される。基準パターンは、等間隔に配置された平行線の複数の領域、この実施形態では正方形208a、208bを含み、正方形208aのうちのいくつかは、x方向に間隔を置いて配置される線を有し、正方形208bのうちの他のものは、y方向に間隔を置いて配置される線を有する。較正済み光モジュール106および未較正の光モジュール106が、基準パターンを含む、作業面110上の見かけ上は同一の場所に駆動される。そうする際に、2つの光モジュール106の視野208、209が重畳する。光モジュールの検出器123によって取り込まれる基準パターンのイメージが比較され、未較正の光モジュール106を較正済み光モジュール106と位置合せするために補正値が決定される。(例えば、前述と同様に計算された)2つのイメージ間の基準パターンの位相ずれを計算することによって補正値を決定することができ、補正は、計算された位相ずれに基づく。
【0056】
さらに別の実施形態では、基準パターン213などの特徴が、光モジュール106のうちの別のもの、または構造光パターンを作業面110上に投射するためのデバイス124などの別のデバイスを使用して、作業面110上に形成される。視野211、212が特徴/基準パターンを含むように、較正済み光モジュールおよび未較正の光モジュール106は、作業面110上の見かけ上は同一の場所に移動するように前と同様に制御され、検出器123によって取り込まれたイメージが比較されて、未較正の光モジュール123についての補正値がそれから決定されるところの2つのイメージ間の基準パターン213の位相ずれが決定される。
【0057】
まず第1の基準パターン213を、視野211、212内の作業レーン110上に投射することができ、第1の基準パターン213は、第1の方向xに反復される特徴を有し、次いで、第2の基準パターンを視野211、212内の作業レーン110上に投射することができ、第2の基準パターン213は、第1の方向と垂直な第2の方向yに反復する特徴を有する。
【0058】
あるいは、第1の基準パターンおよび第2の基準パターンを視野211、212内に並べて投射することができる。さらに別の実施形態では、光モジュール106の検出器123は、複数の波長を検出することができ、第1の基準パターンおよび第2の基準パターンが、光の異なる波長を使用して、視野211、212内の作業面110上の同一の(または少なくとも重畳する)位置上に投射される。このようにして、同時に複数の軸で、視野211、211の位置決めに関する情報を取り込むことが可能である。
【0059】
別の実施形態では、基準アーティファクトなどの特徴は、アディティブ製造装置の永続的な特徴でよい。
【0060】
構造光が別々のデバイス124によって投射されるのではなく、光モジュール自体が作業面110内の構造光パターンを生成することができるように、光モジュール106のうちの少なくとも1つの中に光学素子を設けることができる。材料を固化するために使用されるレーザビーム118を使用して、構造光パターンを形成することができ、または光モジュール106内に別々の光源を設けることができる。
【0061】
光モジュール106a、160b、106c、106dが較正された後に、光モジュールを使用して、三角測量を通じて作業面110上の特徴の位置を決定することができる。例えば、構築プラットフォーム102上に配置された構築プレートまたは構築プラットフォーム102の位置を、作業面にわたって複数の場所で測定することができ、測定された位置に基づいて、構築プレート/構築プラットフォームの高さを合わせることができる。光モジュールを使用して、アディティブ製造装置を使用して構築すべき1つまたは複数のプリフォームされた部品の位置を測定することができ、位置を、測定値に基づいて所望の向きに調節することができる。較正済み光モジュール106を使用して、粉体ベッドの高さを測定することができる。
【0062】
本明細書で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に対する修正および変更を行なうことができることを理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5