(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれらに限られるものではない。
【0014】
[振込詐欺防止システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、
図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態である振込詐欺防止システム1の概要を説明するための図である。振込詐欺防止システム1は、コンピュータ10から構成され、振込詐欺であることを振込者に通知するコンピュータシステムである。
【0015】
コンピュータ10は、ATM(Automatic Teller Machine)や予め登録された振込者が所持する携帯端末とデータ通信可能に接続されたコンピュータ装置である。
【0016】
コンピュータ10は、ATMに設置されたカメラが撮影した振込者の画像を取得し、この画像を解析することにより、振込者が携帯端末で会話をしているか(第一条件)及び振込者がATMの画面を操作しているか(第二条件)の二つの条件を検知する。コンピュータ10は、この二つの条件を検知した場合、振込者がATMに対して行う操作が、振込詐欺の疑いがあると判断し、この振込者が操作するATM又はこの振込者の携帯端末を介して、振込詐欺の疑いがあることを通知する。
【0017】
なお、コンピュータ10は、この画像を解析することにより、振込者の年齢を推測し、上述した二つの条件に加えて、振込者が高齢者であるか(第三条件)を検知してもよい。この場合、コンピュータ10は、上述した二つの条件に第三条件を加えた三つの条件を検知した場合、振込詐欺の疑いがあると判断する。
【0018】
また、コンピュータ10は、ATMに設置されたマイクから、振込者の音声データを取得し、この音声データを解析することにより、振込者が予め設定された禁止ワード(「口座番号は?」、「いくら入れるの?」等の振込詐欺の常套句)を発しているか(第四条件)を検知してもよい。この場合、コンピュータ10は、上述した第一条件及び第二条件の二つの条件に、第四条件を加えた三つの条件を検知した場合又は上述した第一条件、第二条件及び第三条件に、第四条件を加えた四つの条件を検知した場合、振込詐欺の疑いがあると判断する。
【0019】
また、コンピュータ10は、振込詐欺の疑いがあることを振込者に通知した後に、実際に振込者がATMに対して行った操作が、振込詐欺であったか否かを示す正解データの入力を、振込者又はATMの管理者から受け付けてもよい。この場合、コンピュータ10は、この正解データに基づいて、振込詐欺の疑いがあると判断する類推精度を向上させ、次回以降の判断を向上させた類推精度に基づいて行う。
【0020】
振込詐欺防止システム1が実行する処理の概要について説明する。
【0021】
はじめに、コンピュータ10は、ATMに設置されたカメラが撮影した振込者の画像を取得する(ステップS01)。このとき、コンピュータ10は、この画像とともに、この画像の取得元であるATMの識別子(ATMを一意に特定可能な情報であり、ATMの管理番号、製造番号等)を併せて取得する。
【0022】
コンピュータ10は、取得した画像を解析する(ステップS02)。コンピュータ10は、この画像を解析し、画像の特徴点や(形状、輝度、色、輪郭等)や特徴量(画素値の平均、分散、ヒストグラム等)を抽出することにより、画像を解析する。コンピュータ10は、この解析の結果として、上述した第一条件及び第二条件の二つの条件を検知したか否かを判断する。また、コンピュータ10は、この解析の結果として、この画像に写り込んだ振込者及びこの振込者の氏名、端末装置のメールアドレスや電話番号等の情報を特定する。例えば、予め振込者の画像と、この振込者の上述した情報とを関連付けて登録しておき、今回の画像に写り込んだ振込者に関連付けられた振込者の情報を特定する。
【0023】
コンピュータ10は、上述した二つの条件を検知した場合に、振込詐欺の疑いがあると判断する(ステップS03)。
【0024】
なお、コンピュータ10は、画像の解析の結果として、振込者の年齢を推測し、上述した二つの条件に加えて、上述した第三条件を検知したか否かを判断してもよい。この場合、コンピュータ10は、第一条件、第二条件及び第三条件の三つの条件を検知した場合に、振込詐欺の疑いがあると判断する。
【0025】
また、コンピュータ10は、ATMに設置されたマイクが集音した音声を、振込者の音声データとして取得し、この音声データの解析の結果として上述した第四条件を検知したか否かを判断してもよい。この場合、コンピュータ10は、上述した第一条件、第二条件及び第四条件の三つの条件を検知した場合、又は、上述した第一条件、第二条件、第三条件及び第四条件の四つの条件を検知した場合、振込詐欺の疑いがあると判断する。
【0026】
コンピュータ10は、振込詐欺の疑いがあると判断した場合に、ATM又は携帯端末を介して、振込詐欺の疑いがあることを示す振込詐欺通知を、振込者に通知する(ステップS04)。コンピュータ10は、画像とともに取得したATMの識別子に基づいて、この振込詐欺通知を通知するATMを特定し、特定したATMにこの振込詐欺通知を表示させることにより、振込者に振込詐欺通知を通知する。また、コンピュータ10は、画像の解析の結果として特定した振込者の情報に基づいて、この振込詐欺通知を通知する端末装置を特定し、特定した振込詐欺通知を表示させることにより、振込者に振込詐欺通知を通知する。
【0027】
なお、コンピュータ10は、振込詐欺通知を通知した後に、実際に振込者がATMに対して行った操作が、振込詐欺であったか否かを示す正解データの入力を、振込者又はATMの管理者から受け付けてもよい。この場合、コンピュータ10は、この正解データに基づいて、振込詐欺の疑いがあると判断する類推精度を向上させ、次回以降の判断に用いる。
【0028】
以上が、振込詐欺防止システム1の概要である。
【0029】
[振込詐欺防止システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である振込詐欺防止システム1のシステム構成について説明する。
図2は、本発明の好適な実施形態である振込詐欺防止システム1のシステム構成を示す図である。振込詐欺防止システム1は、コンピュータ10から構成され、振込詐欺であることを振込者に通知するコンピュータシステムである。
【0030】
コンピュータ10は、後述の機能を備えた上述したコンピュータ装置である。
【0031】
[各機能の説明]
図3に基づいて、本発明の好適な実施形態である振込詐欺防止システム1の機能について説明する。
図3は、コンピュータ10の機能ブロック図を示す図である。
【0032】
コンピュータ10は、制御部11として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部12として、他の機器と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、コンピュータ10は、記憶部13として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、コンピュータ10は、処理部14として、画像や音声の解析処理、各種検知処理、各種判断処理等を実行する各種デバイス等を備える。
【0033】
コンピュータ10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部12と協働して、個人データ取得モジュール20、撮影データ取得モジュール21、音声データ取得モジュール22、通知モジュール23、正解データ受付モジュール24を実現する。また、コンピュータ10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部13と協働して、記憶モジュール30を実現する。また、コンピュータ10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部14と協働して、解析モジュール40、推測モジュール41、会話検知モジュール42、画面操作検知モジュール43、禁止ワード検知モジュール44、判断モジュール45、通知作成モジュール46、精度向上モジュール47を実現する。
【0034】
[個人情報登録処理]
図4に基づいて、振込詐欺防止システム1が実行する個人情報登録処理について説明する。
図4は、コンピュータ10が実行する個人情報登録処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0035】
個人データ取得モジュール20は、対象となるユーザ(振込者)の個人データを取得する(ステップS10)。ステップS10において、個人データ取得モジュール20は、このユーザの画像、氏名、メールアドレス、電話番号等の個人データを取得する。
【0036】
個人データについて説明する。まず、ユーザは、自身が所有する携帯端末やその他の端末装置により、自身の顔を撮影する。このとき、ユーザは、自身の顔の側面及び前面を撮影する。また、ユーザは、自身の氏名、メールアドレス、電話番号等を所定の入力フォームやメール等に入力する。ユーザは、こうして撮影した画像及び入力内容を、個人データとしてコンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この個人データを受信することにより、振込者の個人データを取得する。
【0037】
なお、振込者の顔は、側面又は前面の何れか一方であってもよい。また、個人データとして入力される項目はその他の項目があってもよく、上述したものは一例である。
【0038】
記憶モジュール30は、取得した個人データに基づいて、振込者の個人情報を登録して記憶する(ステップS11)。ステップS11において、記憶モジュール30は、ユーザの画像と、ユーザの入力内容とを対応付けて、振込者の個人情報を登録する。コンピュータ10は、この処理により登録した振込者の個人情報を、後述する振込詐欺防止処理において利用する。
【0040】
[振込詐欺防止処理]
図5及び
図6に基づいて、振込詐欺防止システム1が実行する振込詐欺防止処理について説明する。
図5及び
図6は、コンピュータ10が実行する振込詐欺防止処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について本処理に併せて説明する。
【0041】
はじめに、撮影データ取得モジュール21は、ATMに設置されたカメラが撮影した振込者の画像及びこのATMの識別子を撮影データとして取得する(ステップS20)。ステップS20において、撮影データ取得モジュール21は、振込者の全身又は上半身が写り込んだ動画や静止画等の画像及びこのATMの識別子を併せて取得する。
【0042】
音声データ取得モジュール22は、ATMに設置されたマイクが集音した振込者の音声及びこのATMの識別子を音声データとして取得する(ステップS21)。ステップS21において、音声データ取得モジュール22は、振込者が発した音声及びこのATMの識別子を併せて取得する。
【0043】
上述したステップS20及びS21の処理は、同一のATMから取得する処理である。すなわち、これらの処理は、一のATMに設置されたカメラが撮影した画像及びこの一のATMに設置されたマイクが集音した音声を取得する処理である。
【0044】
なお、コンピュータ10は、ATMから撮影データのみを取得し、音声データを取得しない構成であってもよい。この場合、後述するコンピュータ10が実行する処理及び判断において、音声データに関連する処理及び判断を省略し、撮影データに関連する処理及び判断のみを実行すればよい。
【0045】
解析モジュール40は、取得した画像を解析する(ステップS22)。ステップS22において、解析モジュール40は、この画像の特徴点や特徴量を抽出することにより、画像を解析する。例えば、解析モジュール40は、画像の特徴点として、画像に写り込んだものの形状や輪郭を抽出し、顔認識技術により、この画像に対象となる振込者が写り込んでいるか否かを解析する。また、解析モジュール40は、抽出した形状や輪郭に基づいて、振込者が携帯端末を保持しているか否かを解析する。また、解析モジュール40は、抽出した形状や輪郭に基づいて、振込者の手がATMの画面を操作しているか否かを解析する。加えて、推測モジュール41は、振込者が写り込んでいる場合、抽出した特徴点や特徴量に基づいた顔認識技術により、この振込者の年齢を推測する。
【0046】
また、解析モジュール40は、画像の解析として、この画像に写り込んだ振込者の画像と、登録された個人情報に含まれるユーザの画像とを照合することにより、この振込者の個人情報を解析する。解析モジュール40は、画像に写り込んだ振込者の画像の特徴点や特徴量と、登録された個人情報に含まれるユーザの画像の特徴点や特徴量とを照合することにより、この振込者がどのユーザに該当するかを特定し、この特定したユーザに対応付けられた個人情報を特定することにより、振込者の個人情報を特定する。
【0047】
すなわち、解析モジュール40は、振込者が携帯端末で会話中(第一条件)、振込者がATMの画面操作中(第二条件)及び振込者が高齢者(第三条件)の三つの条件を其々解析する。
【0048】
図7に基づいて、解析モジュール40が実行する画像の解析について説明する。
図7は、解析モジュール40が解析する画像200の一例を示す図である。
図7において、画像200には、振込者210及びATM操作画面220が写り込んでいる。解析モジュール40は、この画像200を解析することにより、まず、振込者210の有無を解析する。解析モジュール40は、解析の結果、振込者210が画像200に存在した場合、この振込者210の顔230の近傍(口元や耳元等)に携帯端末240の有無を解析する。また、解析モジュール40は、顔230を解析し、振込者210の年齢を解析する。解析モジュール40は、解析の結果、顔230の近傍に携帯端末240が存在した場合、振込者210の手250の位置と、ATM操作画面220の位置関係を解析する。
【0049】
なお、解析モジュール40が実行する画像の解析の順序は適宜変更可能であり、上述した第一条件、第二条件及び第三条件を其々解析する構成であればよい。
【0050】
解析モジュール40は、取得した音声を解析する(ステップS23)。ステップS23において、解析モジュール40は、この音声の波形を解析することにより、振込者の音声を解析する。解析モジュール40は、この振込者の音声に、予め設定された禁止ワードの有無(第四条件)を解析する。
【0051】
なお、上述したステップS22及びS23の処理において、解析モジュール40は、上述した第一条件、第二条件、第三条件及び第四条件の四つの条件のうち、少なくとも第一条件及び第二条件を解析する構成であればよい。すなわち、解析モジュール40は、第一条件及び第二条件の二つの条件を解析する構成や、第一条件、第二条件及び第三条件の三つの条件を解析する構成や、第一条件、第二条件及び第四条件の三つの条件を解析する構成であってもよい。
【0052】
<第一条件の検知>
会話検知モジュール42は、解析の結果、振込者が携帯端末で会話しているか否かを検知する(ステップS24)。ステップS24において、上述した例では、会話検知モジュール42は、振込者210の顔230の近傍に携帯端末240が存在することを検知したか否かに基づいて、振込者210が携帯端末240で会話しているか否かを検知する。
【0053】
ステップS24において、会話検知モジュール42は、解析の結果、振込者が携帯端末で会話していないことを検知した場合(ステップS24 NO)、すなわち、振込者210の顔230の近傍に携帯端末240が存在していない場合、判断モジュール45は、振込詐欺の疑いは少ないと判断し、本処理を終了する。
【0054】
<第二条件の検知>
一方、ステップS24において、会話検知モジュール42は、解析の結果、振込者が携帯端末で会話していることを検知した場合(ステップS24 YES)、すなわち、振込者210の顔230の近傍に、携帯端末240が存在している場合、画面操作検知モジュール43は、振込者がATMの画面を操作しているか否かを判断する(ステップS25)。ステップS25において、上述した例では、画面操作検知モジュール43は、振込者210の手250の位置が、ATM操作画面220を操作する位置に存在することを検知したか否かに基づいて、振込者210がATMの画面を操作しているか否かを検知する。
【0055】
ステップS25において、画面操作検知モジュール43は、解析の結果、振込者がATMの画面を操作していないことを検知した場合(ステップS25 NO)、すなわち、振込者210の手250の位置が、ATM操作画面220を操作する位置に存在していない場合、判断モジュール45は、振込詐欺の疑いは少ないと判断し、本処理を終了する。
【0056】
<第三条件の検知>
一方、ステップS25において、画面操作検知モジュール43は、解析の結果、振込者がATMの画面を操作していることを検知した場合(ステップS25 YES)、すなわち、振込者210の手250の位置が、ATM操作画面220を操作する位置に存在している場合、推測モジュール41は、解析した振込者の年齢を推測する(ステップS26)。ステップS26において、上述した例では、推測モジュール41は、解析モジュール40が解析した振込者210の顔230の解析結果に基づいて、この振込者210の年齢を推測する。
【0057】
推測モジュール41は、推測した振込者の年齢が高齢者に該当する年齢であるか否かを判断する(ステップS27)。ステップS27において、上述した例では、推測モジュール41は、推測した振込者210の年齢が、60歳以上であるか否かに基づいて、この判断を行う。これは、振込詐欺の主な被害者の年齢構成が、60歳以上であるためである。なお、高齢者に該当する年齢は適宜変更可能である。
【0058】
ステップS27において、推測モジュール41は、高齢者に該当しない年齢であると判断した場合(ステップS27 NO)、判断モジュール45は、振込詐欺の疑いは少ないと判断し、本処理を終了する。
【0059】
<第四条件の検知>
一方、ステップS27において、推測モジュール41は、高齢者に該当する年齢であると判断した場合(ステップS27 YES)、禁止ワード検知モジュール44は、解析の結果、禁止ワードを検知したか否かを判断する(ステップS28)。ステップS28において、禁止ワード検知モジュール44は、取得した振込者の音声を解析した結果、この音声に、予め登録された禁止ワードが含まれているか否かを判断する。
【0060】
ステップS28において、禁止ワード検知モジュール44は、禁止ワードを検知していないと判断した場合(ステップS28 NO)、すなわち、振込者の音声に禁止ワードが含まれていないと判断した場合、判断モジュール45は、振込詐欺の疑いは少ないと判断し、本処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS28において、禁止ワード検知モジュール44は、禁止ワードを検知したと判断した場合(ステップS28 YES)、判断モジュール45は、振込者に振込詐欺の疑いがあると判断する(ステップS29)。
【0062】
なお、上述したステップS24−S29の処理において、コンピュータ10は、第一条件、第二条件、第三条件及び第四条件の四つの条件に基づいて、振込者に振込詐欺の疑いがあるか否かを判断しているが、上述した通り、この判断を、少なくとも第一条件及び第二条件に基づいて実行してもよい。また、上述したステップS24−S29の処理は、その順番を適宜変更可能である。
【0063】
通知作成モジュール46は、振込詐欺の疑いがあることを振込者に通知する振込詐欺通知を作成する(ステップS30)。ステップS30において、通知作成モジュール46は、振込詐欺通知として、振込者が行おうとしているATMの操作が、振込詐欺によるものである旨のメッセージを作成する。このとき、通知作成モジュール46が作成するメッセージとしては、例えば、「貴方が行おうとしている操作は、振込詐欺の疑いがあります。窓口までご相談下さい」といったように、振込者に振込詐欺の可能性が高いことを通知するものである。
【0064】
通知作成モジュール46は、ATMに振込詐欺通知を通知する場合、上述したメッセージを、ATMの操作画面に表示させるともに、振込者がATMの操作画面を操作不可能な状態に変更するために必要なデータ形式として振込詐欺通知を作成する。また通知作成モジュール46は、上述したメッセージを、ATMに設置されたスピーカに放音させるともに、振込者がATMの操作画面を操作不可能な状態に変更するために必要なデータ形式として振込詐欺通知を作成する。
【0065】
また、通知作成モジュール46は、携帯端末に振込詐欺通知を通知する場合、上述したメッセージを、メールやSMS(Short Message Service)として作成するとともに、振込者が携帯端末の通話を終了させるために必要なコマンドを振込詐欺通知として作成する。また、通知作成モジュール46は、上述したメッセージを、携帯端末に設けられたスピーカに放音させるために必要なデータ形式として作成するとともに、振込者が携帯端末の通話を終了させるために必要なコマンドを振込詐欺通知として作成する。
【0066】
通知モジュール23は、ATM又は携帯端末を介して、作成した振込詐欺通知を、この振込者に通知する(ステップS31)。ステップS31において、ATMを介して、振込詐欺通知を振込者に通知する場合、通知モジュール23は、取得した撮影データに含まれるATMの識別子に基づいて、振込詐欺通知を通知するATMを特定し、この特定したATMに振込詐欺通知を通知する。ATMは、この通知された振込詐欺通知を出力する。例えば、振込詐欺通知がメッセージである場合、ATMの操作画面を、このメッセージに切り替えて表示することにより、振込詐欺通知を振込者に通知する。また、例えば、振込詐欺通知が音声である場合、ATMの操作画面を振込者が操作不可能な状態に変更し、ATMに設置されたスピーカからこの振込詐欺通知を放音することにより、振込詐欺通知を振込者に通知する。加えて、通知モジュール23は、この振込詐欺通知をこのATMを介して通知する際、振込者が行っている振込操作を一時停止させ、振込に必要な処理を一時停止させるコマンドを併せてこのATMに送信する。ATMは、上述した処理に併せて、このコマンドに基づいた処理を実行する。
【0067】
また、ステップS31において、携帯端末を介して、振込詐欺通知を振込者に通知する場合、通知モジュール23は、特定した振込者の個人情報に基づいて、振込詐欺通知を通知する端末装置を特定し、この特定した端末装置に、振込詐欺通知を通知する。携帯端末は、この通知された振込詐欺通知を出力する。通知モジュール23は、例えば、振込詐欺通知がメッセージである場合、特定した個人情報に含まれるメールアドレス宛てに、作成したメールを送信するとともに、上述したコマンドを端末装置に送信する。携帯端末は、このメールを受信した際、通話を終了させ、このメッセージを表示することにより、振込詐欺通知を振込者に通知する。また、振込詐欺通知が音声である場合、通知モジュール23は、特定した端末装置に上述したコマンドを送信するとともに、この端末装置に発呼する。携帯端末は、このコマンドを受信した際、通話を終了させ、新たな通話を開始し、この振込詐欺通知を、スピーカから放音することにより、振込詐欺通知を振込者に通知する。また、通知モジュール23は、この振込詐欺通知を携帯端末を介して通知する際、取得した撮影データに含まれるATMの識別子に基づいて、振込詐欺通知を通知するATMを特定し、この特定したATMに、振込者が行っている振込操作を一時停止させ、振込に必要な処理を一時停止させるコマンドを併せて送信する。ATMは、このコマンドに基づいた処理を実行する。
【0068】
図8に基づいて、通知モジュール23がATMを介して通知する振込詐欺通知について説明する。
図8は、通知モジュール23がATMを介して通知した振込詐欺通知300の一例を示す図である。
図8において、通知モジュール23は、振込詐欺通知300をATMの操作画面に通知する。このとき、ATMは、振込詐欺通知300を、通常の操作画面から画面を切り替えて表示する。ATMは、この振込詐欺通知300として、通常のATMの操作画面とは異なる背景色(本例では、ハッチングによりこれを示す)及び通常のATMの操作画面とは異なるメッセージ310を表示する。ATMは、このような背景色及び「貴方が行おうとしている操作は、振込詐欺の疑いがあります。窓口までご相談下さい」とのメッセージ310を振込詐欺通知300として表示する。振込者は、この振込詐欺通知画面300を閲覧することにより、自身が振込詐欺の被害にあっていることを認識することが可能となる。このとき、ATMは、振込に必要な処理を一時停止している。なお、メッセージ310の内容及び背景色は適宜変更可能である。また、背景色は必ずしも通常と異なる必要はない。
【0069】
通知モジュール23は、携帯端末に対しても同様の振込詐欺通知を表示させることにより、携帯端末を介して振込詐欺通知を通知する。このとき、ATMは、振込に必要な処理を一時停止している。
【0070】
正解データ受付モジュール24は、振込詐欺通知を通知した後に、実際に、今回振込者が行っている振込の内容が、振込詐欺であったか否かを示す正解データを取得する(ステップS32)。ステップS32において、正解データ受付モジュール24は、上述した振込詐欺通知を通知したATMの管理者がこのATMに入力した正解データ、このATMの管理者が所持する端末装置により入力された正解データ又は振込詐欺通知を通知した携帯端末により入力された正解データを取得する。正解データ受付モジュール24は、このように、正解データを取得することにより、正解データの入力を受け付ける。
【0071】
正解データの入力としては、例えば、振込詐欺通知の後に、携帯端末、ATM又は上述した端末装置が、今回の振込が振込詐欺か否かの質問(「振込詐欺でしたか?」等)を表示し、この質問に対する回答(YES/NO)を受け付けることにより行われる。正解データ受付モジュール24は、この回答が「YES」である場合、正の正解データとして、この回答が「NO」である場合、負の正解データとして、其々、正解データを受け付ける。
【0072】
精度向上モジュール47は、この受け付けた正解データを学習し、次回以降の振込詐欺の判断時に、上述した四つの条件の類推精度を向上させる(ステップS33)。ステップS33において、精度向上モジュール47は、受け付けた正解データが、負の正解データであった場合、振込詐欺に対する判断が不正確であったと判断し、振込詐欺の判断の類推精度を向上させる。ここで、精度向上モジュール47は、この類推精度を向上させるために、解析モジュール40が実行する、上述した第一条件、第二条件及び第三条件に必要な画像の解析精度を向上させる。例えば、特徴点や特徴量の抽出量の向上、振込者とATMの操作画面との位置関係の解析精度の向上を実行する。また、精度向上モジュール47は、この類推精度を向上させるために、解析モジュール40が実行する、上述した第四条件に必要な音声の解析精度を向上させる。例えば、禁止ワードの追加や細分化、音声認識の精度向上を実行する。
【0073】
精度向上モジュール47は、受け付けた正解データが、正の正解データであった場合、振込詐欺に対する判断が正確であったと判断し、振込詐欺の判断の類推精度を現状のまま維持する。
【0074】
なお、精度向上モジュール47は、少なくとも上述した第一条件及び第二条件の類推精度を向上させる構成であればよい。また、精度向上モジュール47は、これら二つの条件に加えて、振込詐欺の判断に第三条件又は第四条件の何れか又は双方を用いる場合には、用いた条件の類推精度を向上させる構成であればよい。
【0076】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。