(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記(a)成分を5質量%以上60質量%以下、下記(b)成分を3質量%以上30質量%以下、下記(c)成分を10質量%以上80質量%以下及び下記(d)成分を含有し、
〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下であり、
〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上0.5以下である、
繊維製品用洗浄剤組成物。
(a)成分:スルホン酸塩及び硫酸エステル塩から選ばれる親水基を有するアニオン界面活性剤
(b)成分:下記式(1)で求められる体積膨潤率が200%以上である膨潤性無機化合物
式(1) 体積膨潤率(%)=(L1/L2)×100
L1:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1000mg/kg水溶液(25℃)50mLに、(b)成分を0.5g添加後、24時間後の体積
L2:(b)成分0.5gの空気中での見掛けの体積
(c)成分:無機ナトリウム塩及び無機リチウム塩から選ばれる1種以上の無機塩
(d)成分:分子量が40以上400以下であり、下記式(2)で求められる体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物
式(2) 体積膨潤率の向上率(%)=(L3/L4)×100
L3:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg及び(d)成分を40mg/kg含む水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
L4:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
(c)成分中の、炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が、0質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
(c)成分中の、炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が、0質量%以上45質量%以下である、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
(c)成分中の、炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が、0質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
(c)成分が、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム及びケイ酸ナトリウムから選ばれる1種以上の無機塩である、請求項1〜5の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水での繊維製品の洗浄に用いられる繊維製品用洗浄剤組成物である、請求項1〜8の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
下記(a)成分を5質量%以上60質量%以下、下記(b)成分を3質量%以上30質量%以下、下記(c)成分を10質量%以上80質量%以下、及び下記(d)成分を含有する繊維製品用洗浄剤組成物と水とを混合してなり、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下であり、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上0.5以下である洗浄液で繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法。
(a)成分:スルホン酸塩及び硫酸エステル塩から選ばれる親水基を有するアニオン界面活性剤
(b)成分:下記式(1)で求められる体積膨潤率が200%以上である膨潤性無機化合物
式(1) 体積膨潤率(%)=(L1/L2)×100
L1:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1000mg/kg水溶液(25℃)に、(b)成分を0.5g添加後、24時間後の体積
L2:(b)成分0.5gの空気中での見掛けの体積
(c)成分:無機ナトリウム塩及び無機リチウム塩から選ばれる1種以上の無機塩
(d)成分:分子量が40以上400以下であり、下記式(2)で求められる体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物
式(2) 体積膨潤率の向上率(%)=(L3/L4)×100
L3:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg及び(d)成分を40mg/kg含む水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
L4:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
(c)成分中の、炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が、0質量%以上50質量%以下である、請求項10に記載の繊維製品の洗浄方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<繊維製品用洗浄剤組成物>
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、好ましくは、ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水での繊維製品の洗浄に用いられる繊維製品用洗浄剤組成物である。「ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水での繊維製品の洗浄」では、ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水が少なくとも洗浄液の調製に用いられ、好ましくは、すすぎにも前記硬度の水が用いられる。
【0015】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩から選ばれる親水基を有するアニオン界面活性剤である。本発明において、(a)成分のアニオン界面活性剤は、繊維製品の洗浄に使用する水と繊維製品を構成する糸間の界面張力を低下させる作用を有する化合物である。水と糸との間の界面張力の低下により、繊維製品を構成する糸と糸の間のメニスカス力が低下することで、糸と糸との接触頻度が上がり、糸と糸との間の摩擦が生じやすくなり、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物が又は繊維製品の洗浄方法を構成する要件による、繊維製品の洗浄作用が高まる。
【0016】
アニオン界面活性剤は、繊維製品が変形する際のせん断剛性値がより低下しやすい点で、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩から選ばれる親水基を有するアニオン界面活性剤である。
【0017】
(a)成分のアニオン界面活性剤の具体例としては、下記(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(a1)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a2)成分:炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a3)成分:アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩
【0018】
(a1)成分である、アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。せん断剛性値をより低下できる観点から、(a1)成分は、アルキル硫酸エステル塩、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましい。
【0019】
(a2)成分である、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下、及びアルキレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が10以上18以下、及びアルキレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。オキシアルキレン基としては炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基が挙げられる。炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。せん断剛性値をより低下できる観点から、(a2)成分は炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、アルキル基の炭素数が10以上18以下であり、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基の平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩がより好ましい。
【0020】
(a3)成分である、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルカンスルホン酸塩、α−オレフィン部分の炭素数が10以上18以下のα−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下のα−スルホ脂肪酸塩、及び脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。せん断剛性値をより低下できる観点から、(a3)成分は、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィン部分の炭素数が10以上18以下のα−オレフィンスルホン酸塩、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上16以下のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0021】
(a)成分であるアニオン界面活性剤の塩としては、アルカリ金属及び炭素数2以上6以下のアルカノールアミンから選ばれる1種以上の化合物の塩が挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム及びカリウムから選ばれる1種以上の化合物が好ましい。炭素数2以上6以下のアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン及びN,N−ジメチルモノエタノールアミンが好ましい。
【0022】
(a)成分は、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含むことが好ましい。すなわち、本発明の維製品用洗浄剤組成物は、(a)成分として、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0023】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、(b)成分及び(c)成分による繊維製品のせん断剛性値をより低下させる観点から、該組成物中に(a)成分を、5質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは9質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、そして、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下含有する。
(a)成分の質量は、(a)成分の対イオンをナトリウムイオンに換算した値を用いるものとする。
【0024】
<(b)成分>
(b)成分は、下記式(1)で求められる体積膨潤率が200%以上である膨潤性無機化合物である。糸と糸の間で(b)成分が膨潤することで、糸と糸がより動きやすくなり、繊維製品のせん断剛性値が低下し、繊維製品に付着した汚れがより落ちやすくなり、洗浄性がより高まる効果を有する。
式(1) 体積膨潤率(%)=(L1/L2)×100
L1:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1000mg/kg水溶液(25℃)に、(b)成分を0.5g添加後、24時間後の体積
L2:(b)成分0.5gの空気中での見掛けの体積
【0025】
体積膨潤率は、具体的には、日本ベントナイト工業会標準試験方法「ベントナイト(粉状)の膨潤試験方法」(JBAS−104−77)に準じ、実施例に記載の測定方法で算出できる。体積膨潤率を試験する方法は当業者が容易に認知でき且つ測定することができる。
【0026】
(b)成分の膨潤性無機化合物の体積膨潤率は、とりわけ、糸と糸をより動きやすくし、繊維製品のせん断剛性値をより低下させることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める点で、200%以上であり、好ましくは250%以上であり、更に好ましくは300%以上であり、より好ましくは350%以上であり、より更に好ましくは400%以上であり、より更に好ましくは450%以上であり、より更に好ましくは500%以上であり、より更に好ましくは900%以上であり、より更に好ましくは950%以上であり、そして、好ましくは1500%以下である。
【0027】
(b)成分の膨潤性無機化合物としては、膨潤性の層状無機化合物が挙げられる。膨潤性の層状無機化合物としては、例えば膨潤性の粘土鉱物が挙げられる。粘土鉱物としては特に限定されないが、カチオン交換性層状シリケートであり、水膨潤性が著しく、(d)成分、例えば、カチオン性又は有極性の無機または有機物質を、結晶構造層間に抱持(インターカレート)して層間複合体を形成するものが好ましい。このような粘土鉱物の一例として膨潤性のスメクタイト及び膨潤性のベントナイトから選ばれる1種以上の膨潤性の粘土鉱物が挙げられる。膨潤性のスメクタイトは、粘土鉱物に属する一群のカチオン交換性層状シリケートであり、天然物としてはベントナイトの主成分として良く知られているモンモリロナイトの他、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイトなどが挙げられ、合成物として膨潤性弗素系雲母類などが挙げられる。これらの中では、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト及びモンモリロナイトが好ましく、モンモリロナイトがより好ましい。層状無機化合物や粘土鉱物についての膨潤性とは、前記の体積膨潤率を満たすことである。
【0028】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、糸と糸をより動きやすくし、繊維製品のせん断剛性値をより低下させることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める点で、該組成物中に(b)成分を、3質量%以上、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは6質量%以上、より更に好ましくは7質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは9質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、そして、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下含有する。
【0029】
<(c)成分>
(c)成分は、無機ナトリウム塩及び無機リチウム塩から選ばれる1種以上の無機塩である。本発明において、(c)成分は、(b)成分の膨潤を高める作用を有する。(b)成分である膨潤性無機化合物による、糸と糸をより動きやすくし、繊維製品のせん断剛性値をより低下させることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める点で、(c)成分は、無機リチウム塩が好ましい。
【0030】
無機ナトリウム塩及び無機リチウム塩から選ばれる1種以上の無機塩において、ナトリウム塩又はリチウム塩の対イオンとしては、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン及びケイ酸イオンから選ばれる1種以上のイオンが挙げられる。(b)成分をより膨潤させ、糸と糸をより動きやすくし、繊維製品のせん断剛性値をより低下させることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める点で、対イオンは、好ましくは炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン及びリン酸イオンから選ばれる対イオンであり、より好ましくは、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン及び硫酸水素イオンから選ばれる1種以上の対イオンである。
【0031】
無機ナトリウム塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上の無機ナトリウム塩が挙げられる。
無機リチウム塩としては、硫酸リチウム、硫酸水素リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム及び塩化リチウムから選ばれる1種以上の無機リチウム塩が挙げられる。
【0032】
(b)成分の膨潤を高める作用がより高い点から、(c)成分は、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム及びケイ酸ナトリウムから選ばれる1種以上の無機塩が好ましい。本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、(c)成分として、硫酸ナトリウム、及び硫酸リチウムから選ばれる1種以上の無機塩を含有するものであってよい。
【0033】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、(b)成分をより膨潤させ、糸と糸をより動きやすくし、繊維製品のせん断剛性値をより低下させることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める点で、該組成物中に(c)成分を、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、そして、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下含有する。
【0034】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、無機カリウム塩の含有量と、無機ナトリウム塩及び無機リチウム塩の合計量との質量比である、無機カリウム塩/(無機ナトリウム塩+無機リチウム塩)が、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.07以下であり、更に好ましくは0.05以下であり、より更に好ましくは0.03以下であり、より更に好ましくは0である。すなわち、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、無機カリウム塩を含有しないことが好ましい。
【0035】
一般的に、無機炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸リチウム及び炭酸カリウムから選ばれる1種以上、無機炭酸水素塩、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム及び炭酸水素カリウムから選ばれる1種以上、又は無機ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム、から選ばれる無機塩は、アルカリ剤として知られており、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める無機塩として知られている。
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、(c)成分の無機塩中の炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が50質量%以下であっても洗浄力を維持できる。ここで、前記炭酸塩は、炭酸ナトリウム及び炭酸リチウムであり、前記炭酸水素塩は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素リチウムであり、前記ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸リチウムである。
無機炭酸塩、無機炭酸水素塩及び無機ケイ酸塩から選ばれる無機塩を含有する繊維製品用洗浄剤組成物と水とを含む洗浄液で、繊維製品を手洗いする際に、使用者は、手肌にぬるつき感を感じる場合ある。使用者は、手洗い後に手肌に感じたぬるつき感を低減するために、新しい水で手肌をすすぐ行為を行う場合が多い。本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、該組成物中に含まれる(c)成分の無機塩中の炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が少なくても、繊維製品に付着した汚れた洗浄性を得ることが出来、そして手洗い後に手肌に感じたぬるつき感を新しい水ですすぐ場合にも、速やかにぬるつき感が低減できる。
上記の点を考慮した場合、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物中に含まれる(c)成分中の炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下であり、より更に好ましくは35質量%以下であり、より更に好ましくは30質量%以下であり、より更に好ましくは25質量%以下であり、より更に好ましくは20質量%以下であり、より更に好ましくは15質量%以下であり、より更に好ましくは10質量%以下であり、そして、好ましくは0質量%以上であり、0質量%であっても良い。
【0036】
<(d)成分>
(d)成分は、分子量が40以上400以下であり、下記式(2)で求められる体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物である。
式(2) 体積膨潤率の向上率(%)=(L3/L4)×100
L3:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg及び(d)成分を40mg/kg含む水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
L4:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
【0037】
(d)成分は、(b)成分の膨潤性無機化合物の体積膨潤率を向上させる化合物である。(d)成分の化合物は、前記の(c)成分と共に用いることで、膨潤性無機化合物の体積膨潤率を更に高める作用を有する。体積膨潤率の向上率のより具体的な算出方法は実施例に記載した。
【0038】
(d)成分の体積膨潤率の向上率は、糸と糸をより動きやすくし、繊維製品のせん断剛性値をより低下させることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める点で、110%以上であり、好ましくは115%以上であり、より好ましくは120%以上であり、更に好ましくは126%以上であり、より更に好ましくは130%以上であり、より更に好ましくは135%以上であり、そして、好ましくは200%以下であり、より好ましくは190%以下であり、更に好ましくは180%以下であり、より更に好ましくは170%以下であり、より更に好ましくは160%以下である。
【0039】
(d)成分の化合物は、特に限定されないが、(b)成分、例えば層状粘土鉱物のインターカレート剤が挙げられる。該インターカレート剤は、(b)成分、例えば層状粘土化合物にインターカレートする有機化合物を挙げることができる。
【0040】
(d)成分は、分子量が40以上400以下で、前記の体積膨潤率の向上率(%)が110%以上である化合物ならば、特に制限はない。(d)成分の具体的化合物としては、例えば下記の(d1)成分〜(d3)成分が挙げられる。
(d1)成分:炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基、水酸基及び炭素数8以上16以下の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤
(d2)成分:炭素数2以上8以下の1価アルコール及び炭素数2以上10以下の2価以上6価以下の多価アルコールから選ばれる1種以上の化合物
(d3)成分:炭素数4以上12以下の脂肪酸又はその塩
【0041】
〔(d1)成分〕
(d1)成分は、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基、水酸基及び炭素数8以上16以下の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤である。(d1)成分は、前記の体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物である。
(d1)成分による(b)成分の体積膨潤率の向上率の具体的な測定方法は、本発明の実施例に記載の方法で容易に求めることが出来る。
炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。(d1)成分は、オキシアルキレン基を、(d1)成分全体の分子量が400以下となる数を有する。オキシアルキレン基の数は、平均付加モル数として記述できる。(d1)成分のオキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。
(c)成分と併用することで、(b)成分の体積膨潤率をより向上できる点で、(d1)成分は、好ましくは、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基、水酸基及び炭素数8以上14以下の炭化水素基を有し、分子量が174以上400以下であり、体積膨潤率の向上率が110%以上であるノニオン界面活性剤である。
【0042】
〔(d2)成分〕
(d2)成分は、炭素数2以上8以下の1価アルコール及び炭素数2以上10以下の2価以上6価以下の多価アルコールから選ばれる1種以上の化合物である。(d2)成分は、前記の体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物である。
(b)成分の体積膨潤率をより向上できる点で、炭素数2以上8以下の1価アルコールの炭素数は、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上であり、そして、好ましくは7以下である。
炭素数2以上8以下の1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール及び2−エチルヘキサノールから選ばれる1種以上のアルコールが挙げられる。
炭素数2以上10以下の2価以上6価以下の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビトールから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0043】
〔(d3)成分〕
(d3)成分は、炭素数4以上12以下の脂肪酸又はその塩である。(d3)成分は、前記の体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物である。
(b)成分による洗浄性を更に高める点で、脂肪酸の炭素数は4以上であり、好ましくは6以上、そして、12以下であり、好ましくは10以下である。塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び炭素数1以上6以下のアルカノールアミン塩が挙げられる。
アルカリ金属塩はナトリウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩が挙げられる。炭素数1以上6以下のアルカノールアミン塩としては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルモノエタノールアミン塩、N−メチルジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩が挙げられる。
(d3)成分の質量は酸型に換算した値を用いるものとする。
【0044】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、(b)成分の体積膨潤率をより高くし、糸と糸をより動きやすくし、繊維製品のせん断剛性値をより低下させることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を高める点で、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下である。(b)成分の体積膨潤率をより高める点で、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.015以上であり、更に好ましくは0.02以上であり、より更に好ましくは0.03以上であり、より更に好ましくは0.04以上であり、そして、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.8以下であり、更に好ましくは0.7以下であり、より更に好ましくは0.6以下であり、より更に好ましくは0.5以下であり、より更に好ましくは0.4以下であり、より更に好ましくは0.3以下であり、より更に好ましくは0.2以下である。
【0045】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、(d)成分を、繊維製品に付着した汚れ、とりわけ繊維製品を構成する糸と糸の交差部の凹部に付着した汚れの洗浄作用をより高める点で、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上2以下である。(b)成分の体積膨潤率をより高めることで、繊維製品の洗浄性がより高くなる点で、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比は、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.03以上であり、更に好ましくは0.04以上であり、より更に好ましくは0.05以上であり、そして、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.6以下であり、更に好ましくは1.4以下であり、より更に好ましくは1.2以下であり、より更に好ましくは1.0以下であり、より更に好ましくは0.9以下であり、より更に好ましくは0.8以下であり、より更に好ましくは0.7以下であり、より更に好ましくは0.6以下であり、より更に好ましくは0.5以下である。
【0046】
<洗浄に使用する水>
本発明繊維製品用洗浄剤組成物は、水による繊維製品の洗浄、好ましくは、ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水での繊維製品の洗浄に用いられる。すなわち、本発明繊維製品用洗浄剤組成物は、好ましくはドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水と混合した洗浄液として繊維製品の洗浄に用いられる。
本発明者は、硬度成分として知られているカルシウムやマグネシウムを、前記の膨潤性無機化合物が洗浄液中で化合物内に取り込むことで、体積膨潤率が低下し、繊維製品のせん断構成値を低下させることを見出した。(b)成分である特定の体積膨潤率を有する膨潤性無機化合物の膨潤を阻害しにくい点から、洗浄に使用する水のドイツ硬度は、好ましくは12°dH未満であり、より好ましくは11°dH以下であり、更に好ましくは10°dH以下であり、そして、好ましくは0°dH以上である。当該水の硬度は、0°dHであっても良い。洗浄に使用する水のドイツ硬度が上記の範囲において、本発明の効果が享受できる。なお、洗浄に使用する水は、洗浄液の調製に用いる水、すすぎに用いる水、又はその両方であってよい。
【0047】
本明細書におけるドイツ硬度(°dH)とは、水中におけるカルシウム及びマグネシウムの濃度を、CaCO
3換算濃度で1mg/L(ppm)=約0.056°dH(1°dH=17.8ppm)で表したものを指す。洗浄に使用される水のドイツ硬度の調整は、例えば、本明細書の実施例に記載の方法のように、硬度成分の種類や添加量から計算される値に基づいて行うことができる。また、洗浄に使用される水として、水道水等の硬度が不明の水を用いる場合には、水のドイツ硬度は、下記に記載のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を使用したキレート滴定法で求められる。
【0048】
本明細書における水のドイツ硬度の具体的な測定方法を下記に示す。
<水のドイツ硬度の測定方法>
〔試薬〕
・0.01mol/l EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/l水溶液(滴定用溶液、0.01 M EDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、イオン交換水で全量を1000mlとした溶液)
〔ドイツ硬度の測定〕
(1)試料となる水20mlをホールピペットでコニカルビーカーに採取する。
(2)硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加する。
(3)Universal BT指示薬を0.5ml添加する。添加後の溶液が赤紫色であることを確認する。
(4)コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/l EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とする。
(5)全硬度は下記の算出式で求める。
硬度(°dH)=T×0.01×F×56.0774×100/A
T:0.01mol/l EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/l EDTA・2Na溶液のファクター
【0049】
<その他の成分等>
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物には、本発明の効果に影響を与えない範囲で洗浄剤の成分として公知の成分を配合することができる。具体的には、水、漂白剤(過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤、還元剤、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料、酵素(アルカリプロテアーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペプチナーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ等)、着色剤、金属イオン封鎖剤(ゼオライト等)、カルボキシル基を含むポリマー(カルボキシル基の数は平均で20個以上)が挙げられる。
カルボキシル基を含むポリマーとしては、ポリアクリル酸又はその塩が挙げられる。ポリアクリル酸又はその塩の重量平均分子量は1500以上10000以下が好ましい。カルボキシル基を含むポリマーの含有量は、組成物中、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。カルボキシル基を含むポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用い、重量平均分子量が既知のポリエチレングリコールを標品として測定することができる。
【0050】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物に含まれる(b)成分である膨潤性無機化合物は、洗浄に使用される水に含まれる硬度成分によって、膨潤度が変わる場合がある。洗浄に使用される水の硬度が変化しても(b)成分の体積膨潤率を維持し、せん断剛性値Gが高くなるのを抑制する観点から、ゼオライト及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上の金属イオン捕捉剤を含有することが好ましい。ゼオライト及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上の金属イオン捕捉剤は、一般的には、アニオン界面活性剤による洗浄力が洗浄に使用される水の硬度成分と結合することで、アニオン界面活性剤の洗浄性が低下することを抑制する目的で使用される。しかしながら、本発明においては、(b)成分である膨潤性無機化合物の体積膨潤率を維持する作用を有する。
【0051】
ゼオライトは結晶性アルミノ珪酸塩とも呼ばれる。具体的なゼオライトとして、A型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノ珪酸塩を含有できる。その平均一次粒子径は好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。結晶性アルミノ珪酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名「トヨビルダー」:東ソー(株)製、JIS K 5101法による吸油能:40mL/100g以上)が好ましい。その他に、P型(例えば、商品名「Doucil A24」、「ZSEO64」等;いずれもCrosfield社製;吸油能60〜150mL/100g)、X型(例えば、商品名「WessalithXD」、;Degussa社製;吸油能80〜100mL/100g)、国際公開第9842622号記載のハイブリッドゼオライトも好適なものとして挙げられる。
【0052】
トリポリリン酸塩中の対イオンとしては、アルカリ金属イオンが挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン及びカリウムイオンから選ばれるイオンがより好ましい。全対イオン中、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの質量比は、70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。トリポリリン酸塩と組み合わせてオルトリン酸塩及びピロリン酸塩を使用することができる。トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩の量、及びピロリン酸塩の質量比は、トリポリリン酸塩/オルトリン酸塩/ピロリン酸塩=(80質量部以上97質量部以下)/(1質量部以上10質量部以下)/(2質量部以上10質量部以下)が好適である(量は無水物として計算、3つの質量部の合計は100質量部)。
【0053】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物中の、ゼオライト及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上の金属イオン捕捉剤の含有割合は、洗浄に使用する水が硬度成分を含む水であったとしても、(b)成分である膨潤性無機化合物の体積膨潤率を維持し、せん断剛性値Gが高くなるのを抑制する観点から、該金属イオン封鎖剤の含有量と(b)成分の質量比である、金属イオン封鎖剤の含有量/(b)成分の含有量が、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.1以上であり、更に好ましくは0.2以上であり、より更に好ましくは0.3以上であり、より更に好ましくは0.4以上であり、より更に好ましくは0.5以上であり、より更に好ましくは0.6以上であり、より更に好ましくは0.7以上であり、そして、好ましくは30以下であり、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは10以下であり、より更に好ましくは5以下であり、より更に好ましくは3以下であり、より更に好ましくは2以下であり、より更に好ましくは1.5以下である。
【0054】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物中の、ゼオライト及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上の金属イオン捕捉剤の含有量は、洗浄に使用する水が硬度成分を含む水であったとしても、(b)成分である膨潤性無機化合物の体積膨潤率を維持し、せん断剛性値Gが高くなるのを抑制する観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは3質量%以上であり、より更に好ましくは4質量%以上であり、より更に好ましくは5質量%以上であり、より更に好ましくは6質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、より更に好ましくは15質量%以下であり、より更に好ましくは10質量%以下である。
【0055】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、手洗い用として好適である。手洗いの方法としては、繊維製品を手でもみ洗いする方法、繊維製品同士を手で擦り合わせる方法、繊維製品を繊維束を植毛したブラシなどの道具を用いて擦り洗いする方法などが挙げられる。手洗いの場合、油汚れに対する洗浄力の向上の観点から、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは1g以上、より好ましくは2g以上、更に好ましくは3g以上であり、そして、好ましくは30g以下、より好ましくは20g以下、更に好ましくは10g以下の濃度で用いられる。
【0056】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、目的に応じて洗濯機でも使用できる。洗濯機での洗濯の場合、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは0.6g以上、より好ましくは1g以上、更に好ましくは1.5g以上、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは7g以下、更に好ましくは3g以下の濃度で用いられる。
【0057】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物の形態は、粉末、液体、ペースト、スラリーの何れであっても良い。本発明の繊維製品用洗浄剤組成物を粉末として製造する方法は、特に限られるものではないが、例えば押し出し造粒法、圧縮造粒法、溶融造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法、撹拌造粒法、液晶造粒法、真空凍結乾燥造粒法、ドライ中和造粒法などが挙げられ、これらの製造方法を単一または組み合わせて使用しても良い。
【0058】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を合計で、好ましくは19質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、含有する。
【0059】
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、衣類、タオル、寝具、寝具用の繊維製品(シーツ、枕カバーなど)などの繊維製品の洗浄に用いられる。これら以外の洗濯が可能な繊維製品も対象とすることができる。
【0060】
本発明は、前記(a)成分、前記(b)成分、前記(c)成分及び前記(d)成分を混合する、好ましくはドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水での繊維製品の洗浄に用いられる、繊維製品用洗浄剤組成物の製造方法であって、
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、混合する全成分中、(a)成分が5質量%以上60質量%以下、(b)成分が3質量%以上30質量%以下、(c)成分が10質量%以上80質量%以下となるように混合し、
(d)成分を、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上2以下となるように混合する、
繊維製品用洗浄剤組成物の製造方法を提供する。この製造方法には、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0061】
また、本発明は、(a)成分を5質量%以上60質量%以下、下記(b)成分を3質量%以上30質量%以下、下記(c)成分を10質量%以上80質量%以下及び下記(d)成分を含有し、
〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下であり、
〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上2以下である組成物の、好ましくは、ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水での繊維製品の洗浄に用いられる繊維製品用洗浄剤組成物としての使用を提供する。この使用には、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0062】
<繊維製品の洗浄方法>
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物を用いた洗浄方法として、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物と水とを混合して得た洗浄液を用いて、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法が挙げられる。
より詳細には、前記(a)成分を5質量%以上60質量%以下、前記(b)成分を3質量%以上30質量%以下、前記(c)成分を10質量%以上80質量%以下、及び前記(d)成分を含有する繊維製品用洗浄剤組成物と水とを混合してなり、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下であり、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上2以下である洗浄液中で繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法である。この洗浄方法での洗浄液は、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物と、水とを混合して得ることが出来る。水は好ましくは、ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水である。
洗浄液における(a)成分、(b)成分、及び(c)成分のそれぞれの好ましい質量%は、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物と同じである。また、洗浄液における〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比、及び〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比は、それぞれ、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物と同じである。
洗浄液は、(a)〜(d)成分及び水以外の成分を含有することができる。
【0063】
洗浄液のpHは、好ましくは3.0以上10.5以下である。洗浄液のpHは、(b)成分の体積膨潤率が高くなることで、繊維製品に付着した汚れの洗浄性がより高まる点で、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、より更に好ましくは5.0以上、より更に好ましくは5.5以上、そして、好ましくは10.5以下である。また、本発明の洗浄方法によれば、洗浄液のpHが3.0以上7.5以下のような弱酸性から中性の洗浄液であっても、洗浄液のpHが10.5に近い弱アルカリ条件下での洗浄方法と同等の優れた洗浄力を有することができる。
本発明の洗浄液のpHは、例えば、ガラス電極を用いて測定することができる。pHは、洗浄を行う際の洗浄液の温度で測定されたものであるが、25℃で測定されたものであってよい。
【0064】
本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液を含んだ繊維製品を手洗いすることが好ましい。
手洗いの方法としては、繊維製品を手でもみ洗いする方法、繊維製品同士を手で擦り合わせる方法、繊維製品を繊維束を植毛したブラシなどの道具を用いて擦り洗いする方法などが挙げられる。
手洗いの場合、油汚れに対する洗浄力の向上の観点から、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは1g以上、より好ましくは2g以上、更に好ましくは3g以上、そして、好ましくは30g以下、より好ましくは20g以下、更に好ましくは10g以下の濃度で用いられる。
【0065】
本発明の繊維製品の洗浄方法では、繊維製品を洗濯機で洗浄することもできる。洗濯機での洗浄の場合、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは0.6g以上、より好ましくは1g以上、更に好ましくは1.5g以上、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは7g以下、更に好ましくは3g以下の濃度で用いられる。
【0066】
本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液と繊維製品とを最初に接触させてから10分以上60分以下経過後に、繊維製品を洗浄することが好ましい。
本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液と繊維製品を最初に接触させてから10分以上60分以下経過後に、繊維製品を手洗い洗浄することが好ましい。例えば、本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液に10分以上60分以下浸漬した後、繊維製品を手洗い洗浄することができる。
【0067】
洗浄液の調製に用いる水のアルカリ度は、0mg/L以上200mg/L以下から選択できる。
また、洗浄液の調製に用いる水のドイツ硬度は、好ましくは12°dH未満であり、より好ましくは11°dH未満であり、更に好ましくは10°dH未満であり、そして、好ましくは0°dH以上である。当該水の硬度は、0°dHであっても良い。
よって、洗浄液の調製に用いる水は、アルカリ度0mg/L以上200mg/L以下、好ましくは、ドイツ硬度12°dH未満以下の水が挙げられる。
【0068】
本発明の洗浄方法は、洗浄後の繊維製品を水ですすぐ工程を有することができる。すすぎに用いる水は、前記のドイツ硬度を有することが好ましい。すすぎに用いる水は、前記のアルカリ度を有することが好ましい。すすぎに用いる水は、前記のドイツ硬度及びアルカリ度を有することが好ましい。
【0069】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、衣類、タオル、寝具、寝具用の繊維製品(シーツ、枕カバーなど)などの繊維製品の洗浄に用いられる。これら以外の洗濯が可能な繊維製品も対象とすることができる。
【0070】
本発明は、水で湿潤した繊維製品のせん断剛性値を低下させる方法である。すなわち、前記(a)成分を5質量%以上60質量%以下、前記(b)成分を3質量%以上30質量%以下、前記(c)成分を10質量%以上80質量%以下、及び前記(d)成分を含有する繊維製品用洗浄剤組成物とドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水とを混合してなり、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下であり、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上2以下である洗浄液を、繊維製品に接触させることにより、繊維製品のせん断剛性値を低下させる繊維製品の処理方法である。
【0071】
本発明は、以下の繊維製品用洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法を開示する。以下の態様には、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物及び繊維製品用の洗浄方法で述べた事項を適宜適用することができる。
<1>
下記(a)成分を5質量%以上60質量%以下、下記(b)成分を3質量%以上30質量%以下、下記(c)成分を10質量%以上80質量%以下及び下記(d)成分を含有し、
〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下であり、
〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上2以下である、
繊維製品用洗浄剤組成物。
(a)成分:スルホン酸塩及び硫酸エステル塩から選ばれる親水基を有するアニオン界面活性剤
(b)成分:下記式(1)で求められる体積膨潤率が200%以上である膨潤性無機化合物
式(1) 体積膨潤率(%)=(L1/L2)×100
L1:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1000mg/kg水溶液(25℃)50mLに、(b)成分を0.5g添加後、24時間後の体積
L2:(b)成分0.5gの空気中での見掛けの体積
(c)成分:無機ナトリウム塩及び無機リチウム塩から選ばれる1種以上の無機塩
(d)成分:分子量が40以上400以下であり、下記式(2)で求められる体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物
式(2) 体積膨潤率の向上率(%)=(L3/L4)×100
L3:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg及び(d)成分を40mg/kg含む水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
L4:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
【0072】
<2>
(c)成分中の、炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が、0質量%以上50質量%以下である、<1>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0073】
<3>
(c)成分中の炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合は、45質量%以下であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下であり、より更に好ましくは25質量%以下であり、より更に好ましくは20質量%以下であり、より更に好ましくは15質量%以下であり、より更に好ましくは10質量%以下である、又は0質量%である、<1>又は<2>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0074】
<4>
(a)成分が、下記(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、<1>〜<3>の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
(a1)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a2)成分:炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a3)成分:アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩
【0075】
<5>
(a1)成分が、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、<4>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0076】
<6>
(a2)成分が、アルキル基の炭素数が10以上18以下であり、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基の平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩である、<4>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0077】
<7>
(a3)成分が、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルカンスルホン酸塩、α−オレフィン部分の炭素数が10以上18以下のα−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下のα−スルホ脂肪酸塩、及び脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、<4>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0078】
<8>
(a3)成分が、アルキル基の炭素数が11以上16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、<7>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0079】
<9>
(b)成分が、膨潤性の層状無機化合物である、<1>〜<8>の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0080】
<10>
膨潤性の層状無機化合物が、膨潤性の粘土鉱物である、<9>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0081】
<11>
膨潤性の粘土鉱物が、膨潤性のスメクタイト及び膨潤性のベントナイトから選ばれる1種以上の膨潤性の粘土鉱物である、<10>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0082】
<12>
(c)成分が、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム及びケイ酸ナトリウムから選ばれる1種以上の無機塩である、<1>〜<11>の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0083】
<13>
(d)成分が、(b)成分のインターカレート剤である、<1>〜<12>の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0084】
<14>
(d)成分が、下記(d1)成分〜(d3)成分から選ばれる1種以上の化合物である、<1>〜<13>の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
(d1)成分:炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基、水酸基及び炭素数8以上16以下の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤
(d2)成分:炭素数2以上8以下の1価アルコール及び炭素数2以上10以下の2価以上6価以下の多価アルコールから選ばれる1種以上の化合物
(d3)成分:炭素数4以上12以下の脂肪酸又はその塩
【0085】
<15>
(d1)成分が、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基、水酸基及び炭素数8以上14以下の炭化水素基を有し、分子量が174以上400以下であり、体積膨潤率の向上率が110%以上であるノニオン界面活性剤である、<14>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0086】
<16>
(d1)成分において、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基である、<14>又は<15>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0087】
<17>
(d2)成分において、炭素数2以上8以下の1価アルコールが、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール及び2−エチルヘキサノールから選ばれる1種以上のアルコールである、<14>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0088】
<18>
(d2)成分において、炭素数2以上10以下の2価以上6価以下の多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビトールから選ばれる1種以上の化合物である、<17>に記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0089】
<19>
ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水での繊維製品の洗浄に用いられる繊維製品用洗浄剤組成物である、<1>〜<18>の何れかに記載の繊維製品用洗浄剤組成物。
【0090】
<20>
下記(a)成分を5質量%以上60質量%以下、下記(b)成分を3質量%以上30質量%以下、下記(c)成分を10質量%以上80質量%以下、及び下記(d)成分を含有する繊維製品用洗浄剤組成物と水とを混合してなり、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比が0を超え1以下であり、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比が0.01以上2以下である洗浄液で繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法。
(a)成分:スルホン酸塩及び硫酸エステル塩から選ばれる親水基を有するアニオン界面活性剤
(b)成分:下記式(1)で求められる体積膨潤率が200%以上である膨潤性無機化合物
式(1) 体積膨潤率(%)=(L1/L2)×100
L1:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1000mg/kg水溶液(25℃)に、(b)成分を0.5g添加後、24時間後の体積
L2:(b)成分0.5gの空気中での見掛けの体積
(c)成分:無機ナトリウム塩及び無機リチウム塩から選ばれる1種以上の無機塩
(d)成分:分子量が40以上400以下であり、下記式(2)で求められる体積膨潤率の向上率が110%以上である化合物
式(2) 体積膨潤率の向上率(%)=(L3/L4)×100
L3:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg及び(d)成分を40mg/kg含む水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
L4:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1000mg/kg水溶液(25℃)50mLに、ベントナイトを0.5g添加後、24時間後の体積
【0091】
<21>
(c)成分中の、炭酸塩、炭酸水素塩及びケイ酸塩から選ばれる1種以上の無機塩の含有割合が、0質量%以上50質量%以下である、<20>に記載の繊維製品の洗浄方法。
【0092】
<22>
洗浄液を含んだ繊維製品を手洗いする、<20>又は<21>に記載の繊維製品の洗浄方法。
【0093】
<23>
洗浄液と繊維製品を最初に接触させてから10分以上60分以下経過後に、繊維製品を洗浄する<20>〜<22>の何れかに記載の繊維製品の洗浄方法。
【0094】
<24>
繊維製品用洗浄剤組成物が<1>〜<19>の何れか1項記載の繊維製品用洗浄剤組成物である、<20>〜<23>の何れか1項記載の繊維製品の洗浄方法。
【0095】
<25>
水が、ドイツ硬度が0°dH以上12°dH未満の水である、<20>〜<24>の何れか1項記載の繊維製品の洗浄方法。
【実施例】
【0096】
下記の配合成分を用いて、表1、表2に示す繊維製品用洗浄剤組成物を調製した。
表中、(d)/(a)(質量比)は、〔(d)成分の含有量〕/〔(a)成分の含有量〕の質量比であり、(d)/(b)(質量比)は、〔(d)成分の含有量〕/〔(b)成分の含有量〕の質量比である。
【0097】
〔配合成分〕
<(a)成分>
(a−1)成分:ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15(花王(株)製)
(a−2)成分:ラウリル硫酸ナトリウム(エマール10G(花王(株)製))
(a−3)成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エマール270J(花王(株)製)
【0098】
<(b)成分>
(b)成分の体積膨潤率を、表中の各成分の符号の次のカッコ内に示した。
(b−1)成分:ベントナイト(黒崎白土工業株式会社製)
(b−2)成分:サポナイト(スメクトンSA、クニミネ工業株式会社製)
(b−3)成分:ヘクトライト(合成ヘクトライト、親水性、和光純薬工業(株)製)
(b−4)成分:スティーブンサイト(スメクトンST、クニミネ工業株式会社製)
(b−5)成分:膨潤性雲母(ソマシフME-100、コープケミカル株式会社)
【0099】
<(b’)成分:(b)成分の比較化合物>
(b’)成分の体積膨潤率を、表中の各成分の符号の次のカッコ内に示した。
(b’−1)成分;ベントナイト(カルシウム型)
(b’−2)成分;カオリン(和光純薬工業(株))
(b’−3)成分;バーミキュライト(コーナン株式会社、355μmの篩通過したものを使用)
(b’−4)成分;非膨潤性雲母(MK100、コープケミカル株式会社)
【0100】
<(c)成分>
(c−1)成分:硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
(c−2)成分:硫酸リチウム(和光純薬工業(株)製)
(c−3)成分:炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
(c−4)成分:ケイ酸ナトリウム(43質量%ケイ酸ナトリウム水溶液(TOKUYAMA SIAM SILICA CO.,LTD製)、表中には有効分の質量%を示した。)
【0101】
<(c’)成分:(c)成分の比較化合物>
(c’−1)成分:硫酸カリウム(和光純薬工業(株)製)
【0102】
<(d)成分>
(d)成分の体積膨潤率の向上率を、表中の各成分の符号の次のカッコ内に示した。
(d1−1)成分:ポリオキシエチレン(2)アルキルエーテル(アルキル基は、ラウリル基/ミリスチル基=75/25(質量比)の混合アルキル基)(カッコ内の数字は平均付加モル数、以下同様)。
(d1−2)成分:ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル
(d2−1)成分:エチレングリコール(丸善石油化学株式会社製)
(d2−2)成分:プロピレングリコール(旭硝子株式会社製)
(d3−1)成分:カプリン酸
【0103】
<(d’)成分:(d)成分の比較化合物>
(d’)成分の体積膨潤率の向上率を、表中の各成分の符号の次のカッコ内に示した。(d’−1)成分:ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル
【0104】
<イオン交換水>
イオン交換水。前記の(a)成分〜(d)成分からのキャリーオーバーの水を含む繊維製品用洗浄剤組成物中の水の含有量である。
<その他の成分>
ゼオライト〔4A型ゼオライト、平均粒子径3μm(東ソー(株)製)〕
【0105】
〔(b)成分又は(b’)成分の体積膨潤率の測定方法〕
50mL容量の共栓付比色管(IWAKI COLOR−TUBE50S)に、1000mg/kgの濃度のラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液50mLを投入した。ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液の温度は25℃であった。次に、(b)成分又は(b’)成分0.5gを10回に分けて、ガラス管の壁面に付着しないようにガラス管内に投入した。25℃±0.5℃の温度範囲で24時間静置後の堆積物の高さ(L1h、mm)を測定した。また、別途前記の50mL容量の耐熱ガラス管に(b)成分又は(b’)成分のみ0.5gを10回に分けて、ガラス管の壁面に付着しないようにガラス管内に投入した。25℃±0.5℃の温度範囲で24時間静置後の堆積物の高さ(L2h、mm)を測定した。ガラス管内の内側の底面の面積が一定であることから、体積膨潤率は高さの数値から算出できる。すなわち、下記式(1’)で算出した値は、前記式(1)の体積膨潤率(%)と一致する。
式(1’) 体積膨潤率(%)=(L1h/L2h)×100
なお、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、ネオペレックスG−15(花王(株)製)を使用した。また、水はイオン交換水を使用した。
【0106】
〔体積膨潤率の向上率の算出方法〕
50mL容量の共栓付比色管(IWAKI COLOR−TUBE50S)にラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15(花王(株)製)1000mg/kg及び(d)成分又は(d’)成分40mg/kgの濃度で含む水溶液(水はイオン交換水を使用)50mL(25℃)を投入した。次にベントナイト(黒崎白土工業株式会社製)0.5gをガラス管の内壁に付着しないように10回に分けて添加し、25℃±0.5℃の温度範囲で24時間静置した後の堆積物の高さ(L3h、mm)を測定した。また、前記と同じ耐熱ガラス管(IWAKI TE−32 GLASS)にラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15(花王(株)製)1000mg/kg水溶液(水はイオン交換水を使用)50mL(25℃)を投入した。次にベントナイト(黒崎白土工業株式会社製)0.5gをガラス管の内壁に付着しないように10回に分けて添加し、25℃±0.5℃の温度範囲で24時間静置した後の堆積物の高さ(L4h、mm)を測定した。ガラス管内の内側の底面の面積が一定であることから、体積膨潤率は高さの数値から算出できる。すなわち、下記式(2’)で算出した値は、前記式(2)の体積膨潤率の向上率(%)と一致する。
式(2’) 体積膨潤率の向上率(%)=(L3h/L4h)×100
【0107】
<評価用試験布の調製>
[1]評価用試験布の前処理
T/Cブロード布(ポリエステル65%/綿35%、未染着布、染色試材(株)谷頭商店製)2.0kgをノニオン界面活性剤(エマルゲン108、花王(株))200mg/kg、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株))400mg/kgの濃度で5回繰り返し洗濯した(水量40リットル、洗い6分、注水すすぎ2回、脱水3分、洗濯機:NA−F70PX9、Panasonic(株)製)。前記の洗濯後にT/Cブロード布を二槽式洗濯機(株式会社東芝、銀河VH−360S1)で泡がなくなるまで注水すすぎを行った。脱水槽にて5分脱水後、自然乾燥を行い、20cm(緯糸方向)×30cm(経糸方向)に裁断し、評価用試験布[1]とした。
【0108】
[2]洗浄力評価用試験布の調製
前記の評価用試験布[1]を直径7cmの円形の物体にかぶせ、輪ゴムで固定したものを人の首に擦りつけることで円状の汚れを得ることができる。この試験布を洗浄力評価用試験布[2]とした。
【0109】
[3]せん断剛性値の測定方法
表1又は表2の繊維製品用洗浄剤組成物1gをイオン交換水5リットル(5kg)が入った5リットルのガラス製ビーカーに投入し、長さ5cmのスターラービースで撹拌し(100r/min、10分)、試験液を調製した。試験液の温度は25℃であった。上記試験液52gを100mlガラス製ビーカーに入れ、前記の評価用試験布[1]2枚(13g)を浸漬した。30分後に評価用試験布[1]を取り出し、含水率150重量%に調整し、自動化引張り・せん断試験機(KES−FB1−AUTO−A、 カトーテック(株)製)にて、せん断剛性G値を測定した。結果を表1、2に示した。なお、一部の比較例では、イオン交換水に代えて、ドイツ硬度が12°dHの水を用いた。
・測定条件
最大せん断ずり量:±8°、せん断ずり速度:0.5°/sec、引張り張力:200gf(10g/cm)、布の向き:経糸方向、測定せん断ずり量:±0.5−2.5°の範囲。
イオン交換水のみで測定した値を基準とした。基準値の値は1.46gf/cm・degであった。
また、Δせん断剛性値は、下記式で算出される値である。
Δせん断剛性値=(基準のせん断剛性値)−(実施例又は比較例のせん断剛性値)
せん断剛性G値は、小さいほど好ましく、この評価条件では、0.90gf/cm・deg以下が好ましい。また、Δせん断剛性値は、大きいほど好ましい。
【0110】
[4]洗浄力の評価方法
・洗浄試験方法
表1又は表2の繊維製品用洗浄剤組成物1gをイオン交換水5リットル(5kg)が入った5リットルのガラス製ビーカーに投入し、長さ5cmのスターラービースで撹拌し(100r/min、10分)、試験液を調製した。なお、一部の比較例では、試験液は、イオン交換水に代えて、ドイツ硬度が12°dHの水を用いて調製した。試験液の温度は25℃であった。上記試験液52gを100mlガラス製ビーカーに入れ、前記の洗浄力評価用試験布[2]2枚(13g)を浸漬した。30分後に布を取り出し、洗いシンク上で市販の洗濯ブラシ(ブラシの長さは3cm、ブラシの材質はポリプロピレン、ブラシ部分の見かけの面積は11cm
2)を用いて10回ブラシ掛けを行った。ブラシ後、汚染布を洗面器に張った水道水に入れ、よくすすぎを行い、自然乾燥した。尚、本願実施例に記載の比較例1に記載の洗浄率が50%になるようなブラシ掛けと同じブラシ掛けで、他の実施例及び比較例を評価した。
・洗浄率の算出方法
洗浄前後の汚染布を市販のスキャナー(セイコーエプソン株式会社製, GT−X820, 8bit, 600dpi)でスキャンすることでデジタル画像化し、画像解析ソフトImageJを用いて解析した。非汚染部、及び洗浄前後の汚染部のグレー値を算出し、洗浄率(%)を下記式で算出した。非汚染部は、前記評価用試験布[2]の汚れていない部分を採用した。結果を表1、2に示した。
【0111】
【数1】
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
前記の[4]洗浄力の評価方法における試験液に両手を手首まで浸漬し1分間静置後に、ビーカー内の水を新しい水に置き換え、水中で左右の手の甲や手の平を一定の動作で擦り合わせて、手をすすぐ操作を行った。手を擦り合わせる際の手肌のぬるつき感の減少度合は、実施例20〜26の中では、実施例20が最も速くぬるつき感が感じなくなり、次いで、実施例21、22、23、24、25、26のように(c)成分中の炭酸塩及びケイ酸塩の合計の含有割合が多くなるほど、手洗い洗浄後の手肌を、新しい水ですすいだ時の手肌に感じるぬるつき感が感じなるなる時間が遅くなった。また、実施例11と26のぬるつき感が感じなくなる時間は同等であった。また、実施例1〜10、実施例12〜19でも手をすすぐ際のぬるつき感の減少度合は実施例20と同等であった。これらの実施例において洗浄率の値が高い程、より優れた洗浄性であることを意味するが、いずれの実施例も、例えば比較例1と比べても繊維製品に付着した汚れの洗浄性に優れていた。本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、洗浄作用に優れた無機炭酸塩、無機炭酸水素塩及び無機ケイ酸塩のようなアルカリ剤の含有量が少なくても優れた洗浄作用を有する。