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特許6959791生活情報提供システム、生活情報提供方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959791
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】生活情報提供システム、生活情報提供方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20211025BHJP
【FI】
   G16H20/00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-152331(P2017-152331)
(22)【出願日】2017年8月7日
(65)【公開番号】特開2019-32641(P2019-32641A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 寛子
(72)【発明者】
【氏名】鍵屋 慎一
(72)【発明者】
【氏名】松葉佐 智子
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−101222(JP,A)
【文献】 特開平05−342288(JP,A)
【文献】 特開2001−074292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H10/00−80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの体温を測定した体温測定データを取得する体温取得部と、
アンケートに対するユーザからの回答データを取得する回答取得部と、
ユーザの血流を測定した血流測定データを取得する血流取得部と、
前記体温測定データと、前記血流測定データと、前記回答データとに基づいて、ユーザの入浴に関する推奨情報を生成する分析部と、
前記推奨情報を出力する出力部と、
を備え、
前記分析部は、
前記体温取得部によって取得された前記ユーザの過去の体温測定データに基づいて、前記ユーザの睡眠時の深部体温の低下幅の平均値を求め、
前記睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値未満か否か、および、当日の血流測定データにおける血流が血流閾値以上か否かを判断し、前記深部体温に関する判断結果よりも、前記血流に関する判断結果を優先する、
生活情報提供システム。
【請求項2】
前記体温取得部は、ユーザの深部体温の体温測定データを取得する請求項1に記載の生活情報提供システム。
【請求項3】
前記分析部は、所定の周期前に取得された前記回答データに基づいて、前記推奨情報を生成する請求項1または2に記載の生活情報提供システム。
【請求項4】
少なくとも前記体温取得部、前記回答取得部、および、前記出力部を備える端末装置と、
複数の前記端末装置から収集された前記回答データを蓄積する記憶部と、前記記憶部に蓄積された前記回答データに基づいて、前記推奨情報の生成に関わる所定の判定基準を補正する補正部と、を備えるサーバと、
を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の生活情報提供システム。
【請求項5】
前記分析部は、生活習慣に関するアンケートの統計データと、疲労に関するアンケートの統計データとに基づいて生成された分類情報に基づいて、ユーザを分類する請求項1から4のいずれか1項に記載の生活情報提供システム。
【請求項6】
コンピュータのプロセッサによって実行する生活情報提供方法であって、
ユーザの体温を測定した体温測定データを体温計から取得する工程と、
アンケートに対するユーザからの回答データをユーザの操作入力に応じて取得する工程と、
ユーザの血流を測定した血流測定データを血流計から取得する工程と、
前記体温測定データと、前記血流測定データと、前記回答データとに基づいて、ユーザの入浴に関する推奨情報を生成する工程と、
前記推奨情報を出力部に出力する工程と、
を含み、
前記推奨情報を生成する工程では、
取得された前記ユーザの過去の体温測定データに基づいて、前記ユーザの睡眠時の深部体温の低下幅の平均値を求め、
前記睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値未満か否か、および、当日の血流測定データにおける血流が血流閾値以上か否かを判断し、前記深部体温に関する判断結果よりも、前記血流に関する判断結果を優先する、
生活情報提供方法。
【請求項7】
コンピュータを、
ユーザの体温を測定した体温測定データを取得する体温取得部と、
アンケートに対するユーザからの回答データを取得する回答取得部と、
ユーザの血流を測定した血流測定データを取得する血流取得部と、
前記体温測定データと、前記血流測定データと、前記回答データとに基づいて、ユーザの入浴に関する推奨情報を生成する分析部と、
前記推奨情報を出力する出力部と、
して機能させ、
前記分析部を、
前記体温取得部によって取得された前記ユーザの過去の体温測定データに基づいて、前記ユーザの睡眠時の深部体温の低下幅の平均値を求め、
前記睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値未満か否か、および、当日の血流測定データにおける血流が血流閾値以上か否かを判断し、前記深部体温に関する判断結果よりも、前記血流に関する判断結果を優先する、
ように機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活に関する情報を出力する生活情報提供システム、生活情報提供方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活に関するアンケートに回答すると、生活の改善案が提案されるサービスが普及している。例えば、特許文献1には、眠りについてのアンケートへの回答、および、光電脈波センサや加速度センサの出力に基づいて、ユーザの睡眠状況を分析し、アドバイスとなるメッセージを出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5046364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のように、ユーザの疲労回復のため、睡眠の質を改善することは有効である。しかし、特許文献1に記載された光電脈波センサや加速度センサ、および、ユーザへのアンケートでは、適切な改善案が提案されない場合があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、睡眠に関する適切な改善案を提示することが可能な生活情報提供システム、生活情報提供方法、および、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の生活情報提供システムは、ユーザの体温を測定した体温測定データを取得する体温取得部と、アンケートに対するユーザからの回答データを取得する回答取得部と、ユーザの血流を測定した血流測定データを取得する血流取得部と、体温測定データと、血流測定データと、回答データとに基づいて、ユーザの入浴に関する推奨情報を生成する分析部と、推奨情報を出力する出力部と、を備え、分析部は、体温取得部によって取得されたユーザの過去の体温測定データに基づいて、ユーザの睡眠時の深部体温の低下幅の平均値を求め、睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値未満か否か、および、当日の血流測定データにおける血流が血流閾値以上か否かを判断し、深部体温に関する判断結果よりも、血流に関する判断結果を優先する
【0007】
体温取得部は、ユーザの深部体温の体温測定データを取得してもよい。
【0009】
分析部は、所定の周期前に取得された回答データに基づいて、推奨情報を生成してもよい。
【0010】
少なくとも体温取得部、回答取得部、および、出力部を備える端末装置と、複数の端末装置から収集された回答データを蓄積する記憶部と、記憶部に蓄積された回答データに基づいて、推奨情報の生成に関わる所定の判定基準を補正する補正部と、を備えるサーバと、を備えてもよい。
【0011】
分析部は、生活習慣に関するアンケートの統計データと、疲労に関するアンケートの統計データとに基づいて生成された分類情報に基づいて、ユーザを分類してもよい。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の生活情報提供方法は、コンピュータのプロセッサによって実行する生活情報提供方法であって、ユーザの体温を測定した体温測定データを体温計から取得する工程と、アンケートに対するユーザからの回答データをユーザの操作入力に応じて取得する工程と、ユーザの血流を測定した血流測定データを血流計から取得する工程と、体温測定データと、血流測定データと、回答データとに基づいて、ユーザの入浴に関する推奨情報を生成する工程と、推奨情報を出力部に出力する工程と、を含み、推奨情報を生成する工程では、取得されたユーザの過去の体温測定データに基づいて、ユーザの睡眠時の深部体温の低下幅の平均値を求め、睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値未満か否か、および、当日の血流測定データにおける血流が血流閾値以上か否かを判断し、深部体温に関する判断結果よりも、血流に関する判断結果を優先する。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明のプログラムは、コンピュータを、ユーザの体温を測定した体温測定データを取得する体温取得部と、アンケートに対するユーザからの回答データを取得する回答取得部と、ユーザの血流を測定した血流測定データを取得する血流取得部と、体温測定データと、血流測定データと、回答データとに基づいて、ユーザの入浴に関する推奨情報を生成する分析部と、推奨情報を出力する出力部と、して機能させ、分析部を、体温取得部によって取得されたユーザの過去の体温測定データに基づいて、ユーザの睡眠時の深部体温の低下幅の平均値を求め、睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値未満か否か、および、当日の血流測定データにおける血流が血流閾値以上か否かを判断し、深部体温に関する判断結果よりも、血流に関する判断結果を優先する、ように機能させる
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、睡眠に関する適切な改善案を提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】情報伝達システムの概略的な構成を示す図である。
図2】携帯端末の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】サーバの概略的な構成を示すブロック図である。
図4】アンケート情報の設計について説明するための説明図である。
図5】アンケートの一例を示す図である。
図6】ユーザを5つのタイプに分類する分類処理における第1判定処理の流れを示すフローチャートである。
図7】ユーザを5つのタイプに分類する分類処理における第2判定処理の流れを示すフローチャートである。
図8】推奨情報の一例を示す図である。
図9】生活情報提供処理の流れを示すフローチャートである。
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、生活情報提供システム100の概略的な構成を示す図である。図1に示すように、生活情報提供システム100は、複数の携帯端末(端末装置)110と、通信回線140と、サーバ150とを含んで構成される。
【0018】
携帯端末110は、スマートフォン、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットコンピュータなどで構成される。携帯端末110は、無線により通信が可能であり、かつ、携帯可能である。ここでは、端末装置の一例として携帯端末110を挙げたが、無線もしくは有線により通信できれば、携帯端末110に替えて、例えば、据え置き型のパーソナルコンピュータが用いられてもよい。
【0019】
通信回線140は、携帯電話網やPHS網等を含む通信網である。サーバ150は、コンピュータなどで構成される。また、通信回線140を介して、携帯端末110とサーバ150との間の通信が確立される。
【0020】
(携帯端末110)
図2は、携帯端末110の概略的な構成を示すブロック図である。携帯端末110は、端末通信部112と、端末記憶部114と、表示部(出力部)116と、操作部118と、端末制御部120とを含んで構成される。端末通信部112は、サーバ150と通信回線140を通じた無線通信を確立する。また、端末通信部112は、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信により、不図示の体温計や血流計と無線通信を確立する。ただし、端末通信部112は、体温計や血流計と有線による通信を確立してもよい。ここで、体温計は、端末通信部112と通信可能であって、例えば、ユーザ10の深部体温(環境温度の影響を受けにくい身体深部の温度)を測定するものとするが、体温計が、ユーザ10の皮膚温を測定してもよい。また、血流計は、端末通信部112と通信可能であって、例えば、超音波やレーザなどにより、ユーザ10の血流量を測定する。
【0021】
端末記憶部114は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、携帯端末110に用いられるプログラムや各種データ(例えば、後述するアンケートに関するアンケート情報)を記憶する。表示部116は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。操作部118は、例えば、抵抗膜方式(感圧式)、静電容量方式、赤外遮光方式などのタッチパネルで構成され、表示部116の表面に対するユーザ10の操作入力を検知する。
【0022】
端末制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)で構成され、端末記憶部114に格納されたプログラムを用い、携帯端末110全体を制御する。また、端末制御部120は、端末通信制御部(取得部)122、端末記憶制御部124、表示制御部126、操作受付部128、回答取得部130、体温取得部132、血流取得部134、分析部136としても機能する。
【0023】
端末通信制御部122は、端末通信部112を制御し、後述する回答データ、体温測定データ(例えば、後述するように、数日間、睡眠前の数時間から起床後までの間に、所定間隔で複数回測定されたもの)、血流測定データ(例えば、数日間、睡眠の数時間前に測定されたもの)をサーバ150に送信する。また、端末通信制御部122は、端末通信部112を制御し、サーバ150から後述する補正情報を受信する。端末記憶制御部124は、サーバ150から送信されたデータ(例えば、補正情報)を端末記憶部114に記憶させる。表示制御部126は、表示部116にアンケートなどを表示させる。操作受付部128は、例えば、操作部118を介して、ユーザ10の操作入力を受け付ける。回答取得部130は、操作入力に応じて、アンケートに対するユーザ10からの回答データを取得(生成)する。
【0024】
体温取得部132は、体温計によって測定されたユーザ10の体温測定データを、端末通信部112による通信を介して取得する。血流取得部134は、血流計によって測定されたユーザ10の血流測定データを、端末通信部112による通信を介して取得する。分析部136は、体温測定データ、血流測定データ、および、回答データに基づいて、ユーザ10の入浴に関する推奨情報を生成する。回答取得部130、体温取得部132、血流取得部134、分析部136の処理については、後に詳述する。
【0025】
(サーバ150)
図3は、サーバ150の概略的な構成を示すブロック図である。サーバ150は、サーバ通信部152と、サーバ記憶部(記憶部)154と、サーバ制御部156とを含んで構成される。サーバ通信部152は、携帯端末110と通信回線140を通じた無線通信を確立する。サーバ記憶部154は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、サーバ150に用いられるプログラムや各種データを記憶する。
【0026】
サーバ制御部156は、CPUやDSPで構成され、サーバ記憶部154に格納されたプログラムを用い、サーバ150全体を制御する。また、サーバ制御部156は、サーバ通信制御部160、サーバ記憶制御部162、補正部164としても機能する。
【0027】
サーバ通信制御部160は、サーバ通信部152を制御し、携帯端末110との通信を遂行する。サーバ記憶制御部162は、複数の携帯端末110から送信(収集)されたデータ(例えば、回答データ)をサーバ記憶部154に記憶(蓄積)させる。補正部164は、サーバ記憶部154に蓄積された体温測定データ、および、回答データに基づいて、推奨情報の生成に関わる所定の判定基準を補正する。補正部164の処理については、後に詳述する。
【0028】
図4は、アンケート情報の設計について説明するための説明図である。図5は、アンケートの一例を示す図である。図5では、アンケートと、アンケートに対する回答が記載されている。上記のように、アンケート情報は、端末記憶部114に予め記憶されているものであり、例えば、図5に示すように、複数(ここでは12)の設問により構成される。
【0029】
携帯端末110の表示制御部126は、例えば、端末記憶部114に記憶されたアンケート情報に基づいて、図5に示すアンケートを表示部116に表示させる。ここで、アンケート情報において、アンケートの設問は、「仕事過多」、「対人関係」、「生活乱れ」、「メリハリ」、「睡眠」、「パソコン」のいずれかの分野に分類される。すなわち、設問と分野名とが関連付けられている。
【0030】
アンケート情報は、以下のように設計されたものである。すなわち、被験者に対して、疲労に関するアンケートに回答させる。疲労に関するアンケートは、図4に示すように、疲労度チェックリストと、主観的な疲労度に関する設問とを含んで構成される。
【0031】
疲労度チェックリストでは、例えば、身体的疲労と精神的疲労の2種類について、それぞれ複数項目の設問が設けられる。身体的疲労については、例えば、「微熱がある」、「疲れた感じ、だるい感じがある」といった設問がある。精神的疲労については、例えば、「よく眠れない」、「憂鬱な気分になる」といった設問がある。身体的疲労についての設問は、精神的疲労についての設問よりも、身体に関する影響が大きい事項についての設問となっている。各設問に対する回答に応じて点数が加点され、合計点数の大きさが疲労度の大きさとなって表れる。
【0032】
主観的な疲労度についての設問は、身体的疲労と精神的疲労の2種類について、被験者が疲労を感じているかを直接問うものである。主観的な疲労度についての設問では、疲労度に応じて、例えば、1〜5の数値(例えば、疲労度が大きいほど数値が大きい)を選択させる。
【0033】
疲労度チェックリストに対する回答から、被験者の客観的な疲労度が推定される。客観的な疲労度と、主観的な疲労度についての設問に対する回答とを併せて分析することで、被験者の疲労度が総合的に推定される。
【0034】
また、被験者に対して、生活習慣に関するアンケート(大)に回答させる。生活習慣に関するアンケート(大)は、図5に示すアンケート(後述する生活習慣に関するアンケート(小))と同様、「仕事過多」、「対人関係」、「生活乱れ」、「メリハリ」、「睡眠」、「パソコン」のいずれかの分野に分類される。また、「5:当てはまる」、「4:やや当てはまる」、「3:どちらでもない」、「2:あまり当てはまらない」、「1:当てはまらない」のように、回答内容に点数が関連付けられている。設問に対する回答を行うと、回答内容に関連付いた点数が加点される。
【0035】
被験者に対して行われる生活習慣に関するアンケート(大)では、40の設問が設けられる。こうして得られた生活習慣に関するアンケート(大)の統計データについて、所謂クラスタ分析が行われ、図5に示すように、12の設問が抽出される。具体的には、統計データにおいて、例えば、「仕事過多」の分野の分野得点が高い被験者が選択される。これらの被験者の回答について、「仕事過多」の分野の中で、特に得点が高い傾向がある設問が2つ抽出される。他の5つの分野についても、同様に2つずつ設問が抽出される。こうして、40の設問から12の設問が抽出される。
【0036】
生活習慣に関するアンケート(小)は、抽出された12の設問で構成され、アンケート情報として携帯端末110の端末記憶部114に記憶される。上記のように、表示制御部126は、例えば、端末記憶部114に記憶されたアンケート情報に基づいて、図5に示すアンケートを表示部116に表示させる。操作受付部128は、例えば、操作部118を介して、ユーザ10の操作入力を受け付ける。回答取得部130は、回答の完了を示す操作入力に応じて、アンケートに対する回答を示す回答データを生成する。
【0037】
このように、本実施形態では、生活習慣に関するアンケート(大)よりも、設問数の少ないアンケート(生活習慣に関するアンケート(小))が表示部116に表示される。そのため、アンケートの回答に対するユーザ10の負担を軽減することができる。
【0038】
また、生活習慣に関するアンケート(小)の統計データと、疲労に関するアンケートの統計データ(推定された被験者の疲労度)とは、予め比較検証される。例えば、生活習慣に関するアンケート(小)において、特定の分野の分野得点(点数の合計)が閾値以上であれば、疲労度の高さが被験者の上位○○%以内に入るといった分析がなされる。このような分析により、生活習慣に関するアンケート(小)に対する回答に基づいて、ユーザ10の疲労度を推定することが可能となる。
【0039】
ユーザ10は、疲労度に応じて5つのタイプ「仕事頑張り過ぎタイプ」、「疲れ慢性タイプ」、「疲れ無頓着タイプ」、「疲れコントロールタイプ」、「予防意識高めタイプ」に分類される。ユーザ10は、生活習慣に関するアンケート(小)に対する回答に基づいて、5つのタイプのいずれかに分類される。
【0040】
このように、生活習慣に関するアンケート(小)の統計データと、疲労に関するアンケートの統計データとに基づいて、ユーザ10を5つのタイプのいずれかに分類する分類情報が生成される。分類情報には、5つのタイプそれぞれについて、ユーザ10が分類される所定の判定基準が設けられる。以下、分類情報の判定基準について、図6図7を用いて説明する。
【0041】
図6は、ユーザ10を5つのタイプに分類する分類処理における第1判定処理の流れを示すフローチャートである。上記のように、携帯端末110の表示制御部126が、図5に示すアンケートを表示部116に表示させた後、操作部118を介してユーザ10が回答の操作入力を行うと、図6に示す処理が行われる。
【0042】
(S200)
分析部136は、回答データを分析し、総合得点が35点以上であるか、または、分野得点が8点以上の分野が3つ以上あるかを判定する。総合得点が35点以上であるか、または、分野得点が8点以上の分野が3つ以上ある場合、S202に処理を移す。総合得点が35点未満であって、分野得点が8点以上の分野が3つ未満の場合、S204に処理を移す。
【0043】
(S202)
分析部136は、「睡眠」の分野得点が7点以上であるか否かを判定する。「睡眠」の分野得点が7点以上である場合、S208に処理を移し、「睡眠」の分野得点が7点未満である場合、S206に処理を移す。
【0044】
(S204)
分析部136は、「メリハリ」の分野得点が8点以上であるか否かを判定する。「メリハリ」の分野得点が8点以上である場合、S208に処理を移し、「メリハリ」の分野得点が8点未満である場合、S210に処理を移す。
【0045】
(S206)
分析部136は、ユーザ10を「仕事頑張り過ぎタイプ」に分類して、当該第1判定処理を終了する。
【0046】
(S208)
分析部136は、ユーザ10を「疲れ慢性タイプ」に分類して、当該第1判定処理を終了する。
【0047】
(S210)
分析部136は、第2判定処理を行った後、当該第1判定処理を終了する。
【0048】
図7は、ユーザ10を5つのタイプに分類する分類処理における第2判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
(S212)
分析部136は、「メリハリ」の分野得点が3点以下であるか否かを判定する。「メリハリ」の分野得点が3点以下である場合、S214に処理を移し、「メリハリ」の分野得点が3点より大きい場合、S228に処理を移す。
【0050】
(S214)
分析部136は、全ての分野得点が5〜7点であるか否かを判定する。全ての分野得点が5〜7点である場合、S224に処理を移す。全ての分野得点が5〜7点でない場合、S216に処理を移す。
【0051】
(S216)
分析部136は、総合得点が33点以上であるか否かを判定する。総合得点が33点以上である場合、S218に処理を移す。総合得点が33点未満である場合、S222に処理を移す。
【0052】
(S218)
分析部136は、分野名「パソコン」における利用時間に関する設問についての点数が5点であるか否かを判定する。分野名「パソコン」における利用時間に関する設問についての点数が5点である場合、S224に処理を移す。分野名「パソコン」における利用時間に関する設問についての点数が5点未満である場合、S220に処理を移す。
【0053】
(S220)
分析部136は、「生活乱れ」の分野得点、または、「対人関係」の分野得点が5点以下であるか否かを判定する。「生活乱れ」の分野得点、または、「対人関係」の分野得点が5点以下である場合、S226に処理を移す。「生活乱れ」の分野得点、および、「対人関係」の分野得点が、いずれも5点より大きい場合、S224に処理を移す。
【0054】
(S222)
分析部136は、「メリハリ」の分野得点が6点以上であるか否かを判定する。「メリハリ」の分野得点が6点以上である場合、S226に処理を移す。「メリハリ」の分野得点が6点未満である場合、S228に処理を移す。
【0055】
(S224)
分析部136は、ユーザ10を「疲れ無頓着タイプ」に分類して、当該第2判定処理を終了する。
【0056】
(S226)
分析部136は、ユーザ10を「疲れコントロールタイプ」に分類して、当該第2判定処理を終了する。
【0057】
(S228)
分析部136は、ユーザ10を「予防意識高めタイプ」に分類して、当該第2判定処理を終了する。
【0058】
分析部136は、上記のように、分類情報の判定基準と、回答データに基づいてユーザ10を5つのタイプに分類すると、ユーザ10の入浴に関する推奨情報を生成する。
【0059】
図8は、推奨情報の一例を示す図である。ここでは、推奨情報として解決方法が表示される場合を例に挙げて説明する。図8中、丸(○)は、推奨される解決方法であり、二重丸(◎)は、丸よりも強く推奨される解決方法である。図8に示すように、推奨情報では、ユーザ10の5つのタイプ別に解決方法が設けられる。
【0060】
例えば、解決方法としては、「予防」、「解消」の2種類が設けられる。「予防」の解決方法は、「浴槽習慣で疲れ予防」、「最適な入浴方法でよりよい睡眠」である。「解消」の解決方法は、「肩こりに効く「40℃10分の全身浴」」、「眼精疲労の解消には「42℃のシャワー浴」」、「脳の疲れ解消には「全身浴」」、「すっきり朝の目覚めには「シャワー浴」」である。
【0061】
端末記憶部114には、図8に示す解決方法と、関連情報が記憶されている。関連情報では、5つのタイプが、それぞれ、図8中、丸や二重丸で示される解決方法に関連付けられている。分析部136は、アンケートの回答データに基づいてユーザ10を5つのタイプのいずれかに分類すると、分類されたタイプと関連情報とに基づいて、分類されたタイプに関連付けられた解決方法を特定する。表示制御部126は、特定された解決方法(推奨情報)を表示部116に表示させる。表示制御部126は、二重丸となっている解決方法について、丸となっている解決方法よりも、強く推奨する表示態様で表示部116に表示させる。
【0062】
図8に示すように、解決方法は主に入浴に関するものである。適切な入浴習慣を身に着けることで、睡眠の質が向上し、ユーザ10の疲労回復が図られる。すなわち、入浴に関する解決方法は、睡眠に関する改善案となっている。
【0063】
本実施形態では、睡眠に関するより適切な改善案を提示するため、分析部136に加えて、携帯端末110の体温取得部132、血流取得部134、および、サーバ150の補正部164が設けられる。
【0064】
上記のように、体温取得部132は、体温計によって測定されたユーザ10の体温測定データを、端末通信部112による通信を介して取得する。血流取得部134は、血流計によって測定されたユーザ10の血流測定データを、端末通信部112による通信を介して取得する。
【0065】
分析部136は、体温測定データおよび血流測定データに基づいて、ユーザの入浴に関する推奨情報を特定する。例えば、ユーザ10の体温(特に深部体温)は、睡眠の質への影響が大きい。
【0066】
そこで、分析部136は、体温測定データによって、ユーザ10の体温変化を特定する。体温測定データは、例えば、数日間、睡眠前の数時間から起床後まで、所定間隔で複数回測定されて生成されたものとする。分析部136は、測定された過去の体温測定データにおいて、睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値未満である場合、図8に示す解決方法「脳の疲れ解消には「全身浴」」の推奨度合いを強める。体温閾値は、例えば、予め適切な値が設定される。
【0067】
例えば、ユーザ10が「疲れ無頓着タイプ」の場合、解決方法「脳の疲れ解消には「全身浴」」は、本来、丸となっているが、当該解決方法の推奨度合いが強められて二重丸として扱われる。表示制御部126は、体温測定データを勘案しない場合に比べて、当該解決方法を強く推奨する表示態様で表示部116に表示させる。
【0068】
例えば、ユーザ10が「予防意識高めタイプ」の場合、解決方法「脳の疲れ解消には「全身浴」」は、本来、推奨されていないが、当該解決方法が推奨されて丸として扱われる。表示制御部126は、当該解決方法を表示部116に表示させる。
【0069】
睡眠時の深部体温の低下幅が小さい場合、浅い睡眠が多くなることが分かっている。深部体温の低下幅を大きくするには、入浴によって就寝の一定時刻より前に体温を上昇させることが効果的である。そこで、上記のように、例えば、解決方法「脳の疲れ解消には「全身浴」」の推奨度合いを強めたり、本来表示されない解決方法「脳の疲れ解消には「全身浴」」を表示させることで、体温を上昇させて、睡眠の質の向上を図ることができる。
【0070】
また、分析部136は、血流測定データによって、ユーザ10の体温変化を推定する。血流測定データは、数日間、睡眠の数時間前に測定されているとする。分析部136は、過去の数日間の血流測定データと、体温測定データとを対比させ、血流が血流閾値よりも高い場合に、睡眠時の深部体温の低下幅が体温閾値未満となるといった傾向を特定する。血流閾値は、例えば、ユーザ10の数日間の血流測定データと、体温測定データを分析して決定される。
【0071】
血流は深部体温への影響が大きく、血流が大きいほど、深部体温が上昇し易いことが知られている。そのため、上記のように、測定された過去の体温測定データにおいて、睡眠時の深部体温の低下幅の平均値が体温閾値以上であっても、当日の血流が大きいと、深部体温が低下せずに、睡眠時の深部体温の低下幅が小さくなることがある。
【0072】
分析部136は、血流測定データにおける血流が血流閾値以上である場合、睡眠時の深部体温の低下幅の過去の平均値が体温閾値以上であっても、図8に示す解決方法「脳の疲れ解消には「全身浴」」の推奨度合いを強める。血流測定データを用いることで、より適切な推奨情報を提供することができる。
【0073】
このように、分析部136は、体温測定データと、回答データと、血流測定データとに基づいて、推奨される解決方法を選択して推奨情報とする。表示部116は、体温測定データと、回答データと、血流測定データとに基づいた推奨情報(推奨される解決方法)を表示する。
【0074】
また、分析部136は、所定の周期前に取得された回答データに基づいて、推奨情報を生成する。所定の周期は、昨日ではなく、例えば、1週間、1か月、1年などである。ユーザ10には、例えば、週末や月末に疲労が大きくなったり、季節の変わり目に疲労を感じやすくなり体調を崩す場合がある。分析部136は、過去の回答データに基づいて、ユーザ10のこのような傾向を分析する。
【0075】
そして、分析部136は、例えば、週末に疲労が大きくなる傾向があると判定すると、週末になったとき、ユーザ10からアンケートに対する回答の操作入力がなくとも、先週の回答データに基づいて、推奨情報を特定する。表示制御部126は、特定された推奨情報を表示部116に表示させる。
【0076】
このように、所定の周期前に取得された回答データに基づいて、推奨情報を生成することで、アンケートの回答に対するユーザ10の負担を軽減しつつ、疲労しているユーザ10に適切な推奨情報を提供することができる。
【0077】
また、上記のように、サーバ150のサーバ記憶制御部162は、携帯端末110から送信されたデータ(例えば、回答データ)をサーバ記憶部154に記憶(蓄積)させる。補正部164は、サーバ記憶部154に蓄積された体温測定データ、および、回答データに基づいて、推奨情報の生成に関わる判定基準を補正する。
【0078】
ここで、推奨情報の生成に関わる判定基準は、上記の分類情報の判定基準である。すなわち、図6図7に示す総合得点や分野得点、該当する設問への回答の得点、該当する分野の数などの閾値(例えば、S200の「35点」、「8点」、「3つ」)などである。
【0079】
例えば、不特定のユーザ10に対して低頻度で、通常の12の設問の他に、上記の疲労に関するアンケートを行う。補正部164は、疲労に関するアンケートへの回答データに基づいて初期の統計データを修正し、分類情報の判定基準を補正する。補正部164は、定期的に分類情報の判定基準を補正し、補正された分類情報の判定基準を、携帯端末110に配信する。携帯端末110では、古い分類情報の判定基準が、配信された分類情報の判定基準に更新される。
【0080】
このように、サーバ150の補正部164によって判定基準を随時補正することで、ユーザ10は、より適切なタイプに分類される。システムの運用後、時世や年代などのユーザ10の経年変化に低コストで対応することが可能となる。
【0081】
図9は、生活情報提供処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
(S300)
体温取得部132は、体温計によって測定されたユーザ10の体温測定データを、端末通信部112による通信を介して取得する。
【0083】
(S302)
血流取得部134は、血流計によって測定されたユーザ10の血流測定データを、端末通信部112による通信を介して取得する。
【0084】
(S304)
回答取得部130は、操作入力に応じて、アンケートに対するユーザ10からの回答データを取得する。
【0085】
(S306)
分析部136は、体温測定データと回答データとに基づいて、ユーザ10の入浴に関する推奨情報を生成する。
【0086】
(S308)
表示制御部126は、解決方法(推奨情報)を表示部116に表示させる。
【0087】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0088】
また、コンピュータを、上記の実施形態の生活情報提供システム100、携帯端末110、および、サーバ150のいずれかとして機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0089】
例えば、上述した実施形態では、生活情報提供システム100には、サーバ150が含まれる場合について説明した。ただし、サーバ150は必須の構成ではない。生活情報提供システム100として、携帯端末110がスタンドアロンで機能してもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、血流取得部134が設けられる場合について説明したが、血流取得部134は、必須の構成ではない。推奨情報は、血流測定データに基づいたものでなくともよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、分析部136は、所定の周期前に取得された回答データに基づいて推奨情報を生成する場合について説明した。ただし、分析部136が、所定の周期前に取得された回答データに基づいて推奨情報を生成する構成は、必須ではない。
【0092】
また、上述した実施形態では、サーバ150に補正部164を備える場合について説明した。ただし、補正部164は、必須の構成ではない。分類情報の判定基準は、補正部164によって補正されなくともよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、分析部136は、生活習慣に関するアンケート(小)の統計データと、疲労に関するアンケートの統計データとに基づいて生成された分類情報に基づいて、ユーザを分類する場合について説明した。ただし、分類情報は、どのように生成されていてもよい。しかし、分類情報が、生活習慣に関するアンケート(小)の統計データと、疲労に関するアンケートの統計データとに基づいて生成されることで、ユーザ10は、疲労に関するアンケートに答えずとも、生活習慣に関するアンケート(小)に答えるだけで、推奨情報の提供を受けることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、生活に関する情報を出力する生活情報提供システム、生活情報提供方法、および、プログラムに利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 ユーザ
100 生活情報提供システム
110 携帯端末(端末装置)
116 表示部(出力部)
130 回答取得部
132 体温取得部
134 血流取得部
136 分析部
150 サーバ
154 サーバ記憶部(記憶部)
164 補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9