(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2の抜け落ち防止機構によれば、相手側コネクタをコネクタから上方に向かって抜去する際に、突当部の端面が上下方向と直交する横方向に移動して壁面と突き当たり、突当部の端面と壁面との間の摩擦力によって端子の抜け落ちや塑性変形が防止される。しかしながら、突当部を必要な距離だけ横方向に移動させて壁面と突き当てるためには、ハウジングや端子の形状及びサイズを正確に形成する必要があり、且つ、端子をハウジングの正確な位置に配置する必要がある。換言すれば、特許文献1及び特許文献2の抜け落ち防止機構は、製造ばらつきによって機能しないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、製造ばらつきを許容しつつ端子の抜け落ちや塑性変形を防止可能な構造を有するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタとして、
相手側コネクタと上下方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記コネクタは、ハウジングと、複数の端子とを備えており、
前記ハウジングは、保持部と、立設部とを有しており、
前記保持部は、前記端子を、前記上下方向と直交する第1方向に沿って並ぶようにして保持しており、
前記保持部と前記立設部とは、前記上下方向及び前記第1方向の双方と直交する第2方向において、互いに離れており、
前記立設部は、受止部を有しており、
前記端子の夫々は、被保持部と、バネ部と、接触部とを有しており、
前記被保持部は、前記保持部に保持されており、
前記バネ部は、前記被保持部から延びており、且つ、基底部と、上延部とを有しており、
前記上延部は、前記基底部から上方に延びており、
前記接触部は、前記上延部に支持されており、
前記上延部は、対向部と、反対部とを有しており、
前記対向部は、前記第2方向において前記立設部と対向しており、且つ、被受止部を有しており、
前記反対部は、前記第2方向において前記対向部と反対の位置にあり、
前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに嵌合した嵌合状態において、前記受止部は、前記被受止部の上に位置しており、且つ、前記上下方向において被受止部と対向している
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記上延部の一部は、前記第2方向において前記立設部に向かって張り出しており、これにより前記被受止部が形成されており、
前記被受止部は、前記上下方向及び前記第2方向の双方と交差している
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第2のコネクタであって、
前記被受止部は、前記第2方向において前記立設部に向かって、下方に傾斜しつつ延びている
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第1から第3までのいずれかのコネクタであって、
前記受止部は、前記上下方向及び前記第2方向の双方と交差している
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第4のコネクタであって、
前記受止部は、前記第2方向において前記保持部に向かって、上方に傾斜しつつ延びている
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第1から第5までのいずれかのコネクタであって、
前記上延部は、上側部と、下側部とを有しており、
前記上側部は、前記被受止部から上方に延びており、前記下側部は、前記被受止部から下方に延びており、
前記上下方向及び前記第2方向によって規定される面内において、前記上側部の厚さ寸法は、前記下側部の厚さ寸法よりも小さい
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第1から第6までのいずれかのコネクタであって、
前記嵌合状態において、前記被受止部は、前記受止部から離れている
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第1から第7までのいずれかのコネクタであって、
前記端子の夫々は、回路基板に固定される被固定部を有しており、
前記ハウジングは、側壁部を有しており、
前記側壁部は、前記被固定部の上に位置しており、前記コネクタを前記上下方向に沿って上方から見たとき、前記被固定部の夫々を少なくとも部分的に覆っている
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタが相手側コネクタと嵌合した嵌合状態において、ハウジングの受止部は、端子の被受止部の上に位置しており、且つ、上下方向において被受止部と対向している。相手側コネクタをコネクタから抜去する際に、端子は、相手側コネクタから上方に向かう力を受ける。この力によって、被受止部は上方に移動して対向する受止部と突き当たり、これにより端子の抜け落ちや塑性変形が防止される。本発明によれば、相手側コネクタを抜去する際、被受止部を上下方向と直交する方向に移動させる必要がない。また、多少の製造ばらつきがあっても、嵌合状態において被受止部を受止部と対向させるのは容易である。即ち、本発明によれば、製造ばらつきを許容しつつ端子の抜け落ちや塑性変形を防止可能な構造を有するコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態によるコネクタ及び相手側コネクタを示す斜視図である。相手側コネクタはコネクタから離れている。相手側コネクタの相手側端子のうちの1つを破線内に描画している。
【
図2】
図1の相手側コネクタを示す斜視図である。相手側コネクタが搭載された相手側回路基板の相手側主面の一部の輪郭を破線で描画している。
【
図3】
図1のコネクタのハウジングを示す斜視図である。ハウジングの一部(破線で囲んだ2つの部分)を拡大して描画している。
【
図4】
図3のハウジングを示す別の斜視図である。ハウジングの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図5】
図3のハウジングを示す上面図である。ハウジングの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において隠れた途中壁の輪郭を1点鎖線で描画している。
【
図6】
図3のハウジングを示す底面図である。ハウジングの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図8】
図7のハウジングをVIII−VIII線に沿って示す断面図である。上側壁と途中壁との間の境界及び下端壁と途中壁との間の境界を破線で描画している。
【
図9】
図1のコネクタの端子のうちの1つを示す斜視図である。
【
図11】
図9の端子を示す側面図である。上側部と中間部との間の境界及び
下側部と中間部との間の境界を破線で描画している。
【
図13】
図1のコネクタを示す上面図である。コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において隠れた途中壁の輪郭を1点鎖線で描画している。
【
図14】
図13のコネクタを示す斜視図である。コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図15】
図13のコネクタをXV−XV線に沿って示す断面図である。コネクタが搭載された回路基板の主面の一部の輪郭を破線で描画している。
【
図16】
図1のコネクタ及び相手側コネクタを示す上面図である。コネクタは相手側コネクタと嵌合している。
【
図17】
図16のコネクタ及び相手側コネクタを示す側面図である。回路基板の主面の一部の輪郭と、相手側回路基板の相手側主面の一部の輪郭とを破線で描画している。
【
図18】
図17のコネクタ及び相手側コネクタをXVIII−XVIII線に沿って示す断面図である。コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図19】
図18のコネクタ及び相手側コネクタを示す断面図である。相手側コネクタはコネクタから抜去する途中の状態にある。コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図21】特許文献1のコネクタ及び相手側コネクタを示す断面図である。
【
図22】特許文献2のコネクタを部分的に切り欠いて2つの端子と共に示す斜視図である。
【
図23】特許文献2のコネクタ及び相手側コネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図16から
図18までを参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、相手側コネクタ60と上下方向(Z方向:嵌合方向)に沿って嵌合可能である。
図17を参照すると、コネクタ10は、使用時に回路基板70の主面72に搭載され、相手側コネクタ60は、使用時に相手側回路基板80の相手側主面82に搭載される。即ち、コネクタ10及び相手側コネクタ60の夫々は、基板コネクタである。また、コネクタ10は、レセプタクルであり、相手側コネクタ60は、プラグである。但し、本発明にこれに限られず、様々なコネクタに適用可能である。
【0019】
図1及び
図2を参照すると、相手側コネクタ60は、絶縁体からなる相手側ハウジング610と、導電体からなる複数の相手側端子630と、金属製の2つの相手側
ホールドダウン640とを備えている。
【0020】
図2を参照すると、相手側ハウジング610は、相手側受容部612と、周壁部620とを有している。相手側受容部612は、XY平面において周壁部620によって囲まれた空間である。周壁部620は、2つの相手側保持部622を有している。相手側保持部622の夫々は、相手側端子630を、ピッチ方向(X方向:第1方向)に沿って並ぶようにして保持している。
図1及び
図2を参照すると、相手側端子630の夫々は、相手側被固定部632と、相手側接触部636とを有している。相手側被固定部632は、相手側コネクタ60の使用時に、相手側主面82の導体パッド(図示せず)に半田付け等によって固定され接続される。相手側接触部636は、相手側受容部612の内部及び相手側ハウジング610の外部に露出している。2つの相手側
ホールドダウン640は、周壁部620のX方向における両端部に夫々取り付けられている。
【0021】
図1を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10は、絶縁体からなるハウジング20と、導電体からなる複数の端子30と、金属製の2つのホールドダウン40とを備えている。
【0022】
図3から
図7までに示されるように、ハウジング20は、底部210と、2つの側壁部220と、2つの保持部230と、2つの端壁部240と、立設部250とを有している。底部210は、ハウジング20の下端(−Z側の端)に位置している。2つの側壁部220は、X方向に沿って互いに平行に延びている。保持部230は、側壁部220に夫々対応して設けられている。保持部230の夫々は、対応する側壁部220の幅方向(Y方向:第2方向)の内側に位置している。端壁部240は、ハウジング20のX方向における両端に夫々位置している。立設部250は、ハウジング20のY方向における中間部に位置しており、X方向に延びている。
【0023】
図1を参照すると、端子30の夫々は、ハウジング20の保持部230に圧入されて保持されており、Y方向において保持部230から立設部250に向かって延びている。2つのホールドダウン40は、端壁部240に夫々取り付けられている。
【0024】
コネクタ10には、受容部12が形成されている。受容部12は、下方(−Z方向)に凹んだ凹部である。受容部12は、XY平面において側壁部220及び端壁部240に囲まれており、XY平面において立設部250を囲んでいる。保持部230の夫々と立設部250とは、Y方向において、受容部12を挟んで互いに離れている。
図1、
図2及び
図18を参照すると、コネクタ10が、相手側コネクタ60と嵌合する際、相手側コネクタ60の周壁部620は、コネクタ10の受容部12に受容され、コネクタ10の立設部250は、相手側コネクタ60の相手側受容部612に受容される。
【0025】
図1を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10は、上述した構造を有しており、全体としてX方向に長くY方向に短い箱形状を有している。但し、本発明は、これに限られず、コネクタ10は、相手側コネクタ60と嵌合可能な限り、様々に変形可能である。例えば、コネクタ10は、ホールドダウン40を備えていなくてもよい。一方、コネクタ10は、上述の部材に加えて様々な部材を備えていてもよい。また、ハウジング20は、側壁部220と保持部230とからなる組を1つのみ有していてもよい。
【0026】
以下、コネクタ10におけるハウジング20(特に保持部230及び立設部250)及び端子30の構造について詳細に説明する。
【0027】
図3から
図6までに示されるように、保持部230は、複数の保持溝232と、複数の受止壁234とを有している。
【0028】
保持溝232の夫々は、保持部230に設けられたZ方向に延びる溝である。保持溝232の夫々は、上方(+Z方向)、下方及び
立設部250に向かって(即ち、Y方向内側に向かって)開口している。保持部230のうち保持溝232よりもY方向内側に位置する部位は、X方向において保持溝232に向かって張り出しており、これにより受止壁234が形成されている。受止壁234は、保持溝232の夫々について2つ設けられており、保持溝232と受容部12との間に位置している。
【0029】
図3及び
図5に示されるように、立設部250は、中間壁282と、複数の仕切り壁284とを有している。中間壁282は、立設部250のX方向における両端の間を、X方向に沿って直線状に延びている。仕切り壁284は、中間壁282のY方向における両側に設けられている。中間壁282のY方向における各側において、仕切り壁284のうちの2つは中間壁282のX方向における両端に夫々設けられており、残りの仕切り壁284は、X方向における両端の間に等間隔に設けられている。仕切り壁284の夫々は、中間壁282から保持部230に向かって(即ち、Y方向外側に向かって)延びている。
【0030】
図3から
図6までに示されるように、立設部250は、複数の端子受容部252を有している。端子受容部252の夫々は、X方向において隣り合う2つの仕切り壁284の間に位置する空間である。端子受容部252は、保持部230の保持溝232に夫々対応して設けられている。端子受容部252の夫々は、X方向において、対応する保持溝232と同じ位置にある。端子受容部252の夫々は、Z方向において上方及び下方に開口している。また、互いに対応する保持溝232と端子受容部252との間の空間も上方及び下方に開口している。
【0031】
本実施の形態において、端子受容部252は、2つの保持部230に対応して2列形成されている。端子受容部252は、各列においてX方向に並んでいる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、端子受容部252は、各列において1つだけ設けられていてもよい。また、端子受容部252の列は、1列だけ形成されていてもよい。この場合、ハウジング20は、2つの保持部230のうちの一方のみを有していればよい。
【0032】
図3及び
図4を参照すると、立設部250は、複数の対向壁260を有している。対向壁260の夫々は、中間壁282の一部であり、X方向において隣り合う2つの仕切り壁284の間に位置する部位である。即ち、対向壁260の夫々は、Y方向において2つの端子受容部252の間に位置している。
【0033】
図8に示されるように、対向壁260の夫々は、下側壁262と、途中壁264と、上側壁266とを有している。下側壁262は、ハウジング20の底部210から、Y方向において一定の幅寸法を保ちつつ上方に延びている。途中壁264は、下側壁262の上端(+Z側の端)から、Y方向両側に張り出しつつ上方に延びている。上側壁266は、途中壁264の上端から、Y方向において一定の幅寸法を保ちつつ上方に延びている。
【0034】
図4及び
図8を参照すると、立設部250は、複数の受止部270を有している。本実施の形態によれば、途中壁264のY方向両側の斜面の夫々が、受止部270として機能する。但し、本発明は、これに限られず、後述するように、対向壁260の様々な部位を受止部270として使用可能である。
【0035】
図1を参照すると、本実施の形態において、端子30は、互いに同じ形状及びサイズを有している。即ち、コネクタ10の複数の端子30は、同一の部品である。本発明は、これに限られず、端子30は、互いに多少異なった形状及びサイズを有していてもよい。但し、部品の種類を削減するという観点からは、本実施の形態が好ましい。
【0036】
図9から
図12までを参照すると、端子30の夫々は、曲げを有する1枚の金属板である。但し、本発明は、これに限られず、端子30の夫々は、複数の部材から形成されていてもよい。
【0037】
端子30の夫々は、被固定部310と、被保持部320と、連結部330と、バネ部340と、接触部390とを有している。被保持部320は、Z方向に沿って延びており、X方向両側に突出した2つの圧入突起322を有している。被固定部310は、被保持部320の下端からY方向外側に向かって延びている。連結部330は、被保持部320の上端からY方向内側に向かって延びている。バネ部340は、連結部330のY方向内側の端から、全体としてU字形状を描きつつ、Y方向内側に向かって延びている。接触部390は、バネ部340に支持されている。
【0038】
図9から
図11までを参照すると、バネ部340は、下延部350と、基底部360と、上延部370とを有している。下延部350は、連結部330のY方向内側の端から、下方に延びており、Y方向内側に張り出した接点部352を有している。基底部360は、下延部350の下端からY方向内側に向かって延びている。上延部370は、基底部360のY方向内側の端から、上方に延びている。詳しくは、上延部370は、下側部372と、中間部374と、上側部376とを有している。下側部372は、基底部360のY方向内側の端から、上方に延びている。中間部374は、下側部372の上端から上方に延びている。上側部376は、中間部374の上端から上方に延びた後、Y方向外側に張り出しつつ下方に延びており、これにより接触部390が形成されている。
【0039】
上述のように形成されたバネ部340は、YZ平面において弾性変形可能である。接触部390は、上延部370に支持されており、主としてY方向において移動可能である。本実施の形態において、バネ部340は、連結部330を介して被保持部320から延びている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、バネ部340は、被保持部320から直接延びていてもよい。一方、バネ部340は、連結部330に加えて更に別の部位を介して被保持部320から延びていてもよい。
【0040】
図12を参照すると、本実施の形態において、バネ部340のX方向における幅寸法は、略一定である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、バネ部340には、X方向に突出する部位が設けられていてもよい。但し、バネ部340全体を均一に弾性変形させるという観点からは、本実施の形態が好ましい。
【0041】
図9から
図11までを参照すると、上延部370は、対向部382と、反対部384とを有している。対向部382及び反対部384は、上延部370のY方向における両側に夫々位置している。即ち、反対部384は、Y方向において対向部382と反対の位置にある。より具体的には、本実施の形態において、対向部382は、上延部370のY方向内側の面(対向面)であり、反対部384は、上延部370のY方向外側の面(反対面)である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、対向部382及び反対部384の夫々は、上延部370に形成された線状に延びる部位であってもよい。
【0042】
対向部382は、被受止部386を有している。上側部376は、被受止部386から上方に延びており、下側部372は、被受止部386から下方に延びている。
図11を参照すると、Y方向及びZ方向によって規定されるYZ面内において、上側部376の厚さ寸法(TU)は、下側部372の厚さ寸法(TL)よりも小さい。この結果、対向部382は、中間部374においてY方向内側に張り出しており、これにより被受止部386が形成されている。
【0043】
本実施の形態によれば、中間部374に形成された張出面が被受止部386として機能する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、上側部376の厚さ寸法(TU)は、下側部372の厚さ寸法(TL)と同じであってもよい。加えて、中間部374は、YZ平面において、上側部376及び下側部372の夫々に対して斜交していてもよい。この場合、中間部374の傾斜した上面(+Z側の面)が被受止部386として機能する。更に、後述するように、上延部370の様々な部位を被受止部386として使用可能である。
【0044】
図13及び
図14を参照すると、ハウジング20の保持部230の夫々は、端子30を、X方向に沿って並ぶようにして保持している。詳しくは、保持部230の保持溝232は、端子30に夫々対応して設けられている。端子30の夫々は、対応する保持溝232に被保持部320を圧入するようにして、ハウジング20に下方から取り付けられている。即ち、端子30の夫々において、被保持部320は、保持部230に保持されている。
図14及び
図15を参照すると、このとき、端子30の夫々において、下延部350は、受止壁234のY方向内側の面と接触しており、接点部352は、Y方向外側に殆ど移動できない。
【0045】
本実施の形態において、端子30は、上述のようにしてハウジング20に取り付けられており、X方向に並ぶ2列に分けられている。一方の列に並べられた端子30は、他方の列に並べられた端子30とXZ平面について鏡対称になるように配置されている。端子30の夫々において、基底部360は、ハウジング20の下方に露出している。また、端子30の夫々において、被固定部310は、ハウジング20の側壁部220の下をY方向に通過してハウジング20のY方向外側まで延びている。
【0046】
本実施の形態において、側壁部220は、被固定部310の上に位置しており、コネクタ10をZ方向に沿って上方から見たとき、被固定部310の夫々を少なくとも部分的に覆っている。換言すれば、側壁部220は、被固定部310の夫々を、上方から部分的に覆っている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、端子30の夫々は、ハウジング20に上方から取り付けられていてもよい。この場合、被固定部310全体が上方に露出していてもよい。一方、側壁部220は、被固定部310の夫々を、上方から完全に覆っていてもよい。
【0047】
図15を参照すると、端子30の夫々において、対向部382は、端子受容部252の内部に位置している。一方、接触部390は、受容部12の内部に突出している。対向部382の被受止部386は、接触部390の移動に伴い、受容部12の内部を主としてY方向に移動できる。
【0048】
図15を参照すると、コネクタ10が回路基板70の主面72に搭載されたとき、被固定部310は、主面72の導体パッド(図示せず)に半田付け等によって固定され接続される。コネクタ10が相手側コネクタ60(
図1参照)と嵌合していない未嵌合状態において、端子30のバネ部340は、ハウジング20及び主面72から離れており、下延部350の一部を除き、全体的に弾性変形可能である。
【0049】
図18を参照すると、コネクタ10と相手側コネクタ60とが互いに嵌合した嵌合状態において、端子30のバネ部340は弾性変形し、接触部390は、相手側端子630の相手側接触部636と接触する。これにより、コネクタ10は、相手側コネクタ60と電気的に接続される。本実施の形態によれば、嵌合状態において、相手側接触部636は、接点部352と接触部390との間に挟み込まれ、接点部352及び接触部390の夫々と接触する。本発明は、これに限られず、端子30は、接点部352を有していなくてもよい。この場合、嵌合状態において、相手側接触部636は、接触部390のみと接触する。但し、コネクタ10を、相手側コネクタ60と確実に接続させるという観点からは、本実施の形態が好ましい。
【0050】
図15を参照すると、未嵌合状態における端子30の対向部382は、Y方向において立設部250の対向壁260から離れており且つ対向壁260と対向している。
図18を参照すると、嵌合状態において、端子30の接触部390は、相手側端子630に押圧されてY方向内側に移動する。このとき、対向部382の被受止部386は、接触部390の移動に伴い、対向壁260に向かって移動する。このため、嵌合状態において、受止部270は、端子30の被受止部386の上に位置しており、且つ、Z方向において被受止部386と対向している。
【0051】
図19を参照すると、相手側コネクタ60をコネクタ10から抜去する際に、端子30は、相手側コネクタ60の相手側端子630から上方に向かう力(抜去力)を受ける。この抜去力によって、被受止部386は、上方に移動して対向する受止部270と突き当たり、バネ部340の弾性変形を停止させる。即ち、端子30の塑性変形が防止される。
【0052】
詳しくは、本実施の形態において、被固定部310は、側壁部220によって上方から覆われている。従って、端子30に加わる抜去力が大きくても、端子30がハウジング20から抜け落ちることは殆どない。但し、被受止部386及び受止部270のようにバネ部340の弾性変形を規制する部位が設けられていない場合、抜去力によってバネ部340が上方に大きく引き延ばされ、これによりバネ部340が塑性変形するおそれがある。本実施の形態によれば、このような塑性変形が防止される。また、被固定部310全体が、上方に露出している構造(図示せず)においては、被受止部386は、受止部270と突き当たり、これにより端子30の抜け落ちが防止される。
【0053】
本発明によれば、相手側コネクタ60を抜去する際、被受止部386をZ方向と直交する方向に移動させる必要がない。一方、
図15及び
図18を参照すると、嵌合状態において被受止部386をY方向内側に移動させるのは容易である。例えば、未嵌合状態における端子30の接点部352と接触部390との間のY方向における距離を、相手側接触部636が埋め込まれた周壁部620のY方向におけるサイズよりも小さくすればよい。端子30を上述のように構成することで、多少の製造ばらつきがあっても、嵌合状態において被受止部386をY方向内側に移動させてZ方向において受止部270と対向させるのは容易である。即ち、本発明によれば、製造ばらつきを許容しつつ端子30の抜け落ちや塑性変形を防止可能な構造を有するコネクタ10を提供できる。
【0054】
本実施の形態によれば、嵌合状態において、接点部352がY方向外側に向かって殆ど移動しないため、被受止部386は、Y方向内側に向かって確実に移動する。但し、本発明は、これに限られず、接点部352は、Y方向外側に向かって多少移動してもよい。
【0055】
図15を参照すると、本実施の形態によれば、端子30の上延部370の一部は、Y方向において立設部250の対向壁260に向かって張り出しており、これにより被受止部386が形成されている。被受止部386は、Y方向及びZ方向の双方と交差する斜面である。また、受止部270は、Y方向及びZ方向の双方と交差する斜面である。
図15及び
図18を参照すると、被受止部386は、受止部270と対応して傾斜している。詳しくは、被受止部386は、Y方向において立設部250に向かって、下方に傾斜しつつ延びている。受止部270は、Y方向において保持部230に向かって、上方に傾斜しつつ延びている。
【0056】
本実施の形態の受止部270及び被受止部386は、上述の構造を有しているため、被受止部386は、嵌合状態において、スムーズに受止部270の下方に移動する。加えて、
図19を参照すると、被受止部386は、相手側コネクタ60をコネクタ10から抜去する際に、受止部270と確実に突き当たる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、受止部270は、Z方向と直交する水平面であってもよい。また、受止部270及び被受止部386の構造は、例えば後述するように変形可能である。
【0057】
図15及び
図18を参照すると、本実施の形態によれば、未嵌合状態及び嵌合状態のいずれの状態においても、被受止部386は、受止部270から離れている。即ち、被受止部386が受止部270と突き当たることによるバネ性の劣化が防止されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、嵌合状態において、被受止部386は、受止部270と接触していてもよい。
【0058】
図15を参照すると、本実施の形態によれば、未嵌合状態において被受止部386を上方から覆う部位を立設部250に設ける必要がない。このため、バネ部340のバネ長を長くしつつ、コネクタ10を低背にできる。
図17を参照すると、嵌合状態において回路基板70の主面72と相手側回路基板80の相手側主面82との間の距離を短くできる。
【0059】
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、例えば以下に説明するように様々に変形可能である。
【0060】
図20を参照すると、変形例によるコネクタ10Aは、絶縁体からなるハウジング20Aと、導電体からなる複数の端子30Aとを備えている。
【0061】
ハウジング20Aは、ハウジング20(
図3参照)と同様な構造を有している。例えば、ハウジング20Aは、2つの側壁部220Aと、2つの保持部230Aと、立設部250Aとを有している。2つの側壁部220Aは、X方向に沿って互いに平行に延びている。保持部230Aは、側壁部220Aに夫々対応して設けられている。保持部230Aの夫々には、複数の保持溝232が形成されている。立設部250Aは、ハウジング20AのY方向における中間部に位置しており、X方向に沿って延びている。
【0062】
ハウジング20Aは、ハウジング20(
図3参照)の端子受容部252(
図3参照)と同様に形成された複数の端子受容部252Aを有している。立設部250Aは、ハウジング20の対向壁260(
図3参照)と同様に形成された複数の対向壁260Aを有している。但し、対向壁260Aの夫々は、対向壁260と異なり、下側壁262Aと、上側壁266Aとを有する一方、途中壁264(
図8参照)を有していない。下側壁262Aは、ハウジング20Aの下端から、Y方向において一定の幅寸法を保ちつつ上方に延びている。上側壁266Aは、下側壁262Aの上端から、Y方向両側に張り出しつつ上方に延びている。
【0063】
上述のように形成された立設部250Aは、複数の受止部270Aを有している。本変形例においては、上側壁266AのY方向両側の斜面の夫々が、受止部270Aとして機能する。
【0064】
端子30Aの夫々は、端子30(
図9参照)と同様な構造を有している。より具体的には、端子30Aの夫々は、被固定部310Aと、被保持部320Aと、バネ部340Aと、接触部390Aとを有している。被保持部320Aは、Z方向に沿って延びている。被固定部310Aは、被保持部320Aの下端からY方向外側に向かって延びている。バネ部340Aは、被保持部320Aの上端から、全体としてU字形状を描きつつ、Y方向内側に向かって延びている。接触部390Aは、バネ部340Aに支持されている。
【0065】
バネ部340Aは、端子30(
図9参照)のバネ部340(
図9参照)と同様に、基底部360Aと、上延部370Aとを有している。上延部370Aは、基底部360AのY方向内側の端から、上方に延びている。上延部370Aの上部は、上方に延びた後、
Y方向外側に張り出しつつ下方に延びており、これにより接触部390Aが形成されている。
【0066】
ハウジング20Aの保持部230Aの夫々は、端子30Aを、X方向に沿って並ぶようにして保持している。端子30Aの夫々において、基底部360Aは、ハウジング20Aの下方に露出している。また、側壁部220Aは、被固定部310Aの夫々を、上方から覆っている。コネクタ10Aが相手側コネクタ(図示せず)と嵌合していない未嵌合状態において、端子30Aのバネ部340Aは、全体的に弾性変形可能である。
【0067】
端子30Aの夫々において、上延部370Aは、対向部382Aと、反対部384Aとを有している。対向部382Aは、Y方向において立設部250Aの対向壁260Aと対向しており、反対部384Aは、Y方向において対向部382Aと反対の位置にある。対向部382Aは、被受止部386Aを有している。本変形例においては、対向部382Aの上端近傍の部位が被受止部386Aとして機能する。
【0068】
本変形例においても、被受止部386Aは、嵌合状態(図示せず)において、スムーズに受止部270Aの下方に移動する。即ち、嵌合状態において、受止部270Aは、被受止部386Aの上に位置しており、且つ、Z方向において被受止部386Aと対向している。相手側コネクタ(図示せず)をコネクタ10Aから抜去する際に、端子30Aは、相手側コネクタから上方に向かう力(抜去力)を受ける。この抜去力によって、被受止部386Aは上方に移動して対向する受止部270Aと突き当たり、これにより端子30Aの塑性変形が防止される。