(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1及び
図2は、実施形態に係る吊り架台の使用状態の一例を表す斜視図である。
図3は、実施形態に係る吊り架台の使用状態の一例を表す平面図である。
図4は、実施形態に係る吊り架台を表す斜視図である。
図1〜
図4に表したように、吊り架台10は、支持部12と、一対の固定部14と、を備える。吊り架台10の一部は、その内部に金属製の補強材70を備える(
図6参照)。
【0017】
吊り架台10は、建築躯体の土台2間に架け渡され、土台2に固定されて使用される。吊り架台10は、例えば、金属製である。吊り架台10には、例えば、鉄、ステンレス、又はアルミニウムなどの金属材料が用いられる。土台2は、例えば、1階の床を構築する大引きや、2階の床を構築する床梁などである。吊り架台10は、土台2間に架け渡され、土台2に固定された状態で、浴室ユニット4などの設備ユニットを支持する。設備ユニットは、浴室ユニット4に限ることなく、例えば、浴室、トイレ、洗面所、もしくはキッチンなどの衛生設備室に用いられる任意のユニットでよい。
【0018】
土台2には、例えば、複数の吊り架台10が並べて固定される。浴室ユニット4は、複数の吊り架台10によって支持される。このように、使用状態においては、複数の吊り架台10が合わせて用いられる。
図1〜
図3では、2つの吊り架台10を合わせて用いる例を示している。合わせて用いる吊り架台10の数は、2つに限ることなく、3つ以上でもよい。
【0019】
支持部12は、浴室ユニット4などの設備ユニットを支持する。換言すれば、支持部12は、浴室ユニット4が載置される部分である。支持部12は、1つの方向に延びる長尺状である。支持部12の延びる方向は、水平方向である。以下では、支持部12の延びる方向を、「長手方向」と称す。支持部12の下面から支持部12の上面12aに向かう方向を「上下方向」と称す。また、長手方向及び上下方向と直交する方向を、「幅方向」と称す。吊り架台10を架け渡す方向は、長手方向である。
【0020】
支持部12の上面12aには、受け皿16が設けられている。受け皿16は、浴室ユニット4の脚部4aを受ける(
図7参照)。受け皿16は、例えば、ネジ止めなどによって支持部12の上面12aに固定される。支持部12には、例えば、複数の受け皿16が設けられる。この例では、4つの受け皿16が、支持部12に設けられている。受け皿16の数は、任意の数でよい。また、受け皿16は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0021】
各固定部14は、支持部12の両端に設けられ、支持部12よりも上方に延び、土台2に固定される。各固定部14は、例えば、支持部12の長手方向の端部から上方に延びるアーム部14aと、アーム部14aの上端から外側に向かって水平方向(長手方向)に延びる係合部14bと、を有する。
【0022】
係合部14bは、土台2の上に係合する。係合部14bには、例えば、ネジを挿通するための貫通孔が設けられている。各固定部14は、係合部14bを土台2の上に係合させた状態で、係合部14bを土台2にネジ止めすることにより、土台2に固定される。各固定部14の固定方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。
【0023】
支持部12の長手方向の長さは、各固定部14の係合部14bを土台2の上に係合させた状態で、所定間隔で並べて配置される大引きや床梁などの土台2の間に架け渡される長さに設定される。これにより、各固定部14を土台2に固定した状態で、支持部12に浴室ユニット4を支持させることができる。支持部12は、長手方向の2つの端領域12cの間に位置する中央領域12bを有する。
【0024】
また、
図4に表したように、吊り架台10は、中央領域10aと、中央領域10aの両端の2つの端領域10bと、を有する。この例では、中央領域10aによって支持部12が構成され、2つの端領域10bによって一対の固定部14が構成される。
【0025】
図5は、実施形態に係る吊り架台の一部を表す断面図である。
図5は、
図4のA1−A2線断面を表す。
図5に表したように、中央領域10aは、矩形状の断面を有する筒状である。換言すれば、中央領域10aは、角パイプ状である。中央領域10aは、第1側板21と、第2側板22と、上板23と、下板24と、を有する。支持部12の中央領域12bは、吊り架台10の中央領域10aによって構成される。従って、支持部12の中央領域12bは、矩形状の断面を有する筒状であり、第1側板21と、第2側板22と、上板23と、下板24と、を有する。
【0026】
上板23は、下板24と対向する。上板23及び下板24は、水平な板状である。上板23及び下板24は、水平に配置される平行平板である。上板23及び下板24は、誤差程度の傾きを有していてもよい。「水平」とは、例えば、完全な水平を基準(0°)とした時に、各方向の傾きが、±2°以下の状態である。上板23は、例えば、支持部12の上面12aを形成する。受け皿16は、上板23に固定される。
【0027】
第1側板21は、上下方向に延び、上板23の幅方向の一端と、下板24の幅方向の一端と、を繋ぐ。第2側板22は、上下方向に延び、上板23の幅方向の他端と、下板24の幅方向の他端と、を繋ぐ。
【0028】
第1側板21及び第2側板22の上下方向の長さは、上板23及び下板24の幅方向の長さと実質的に同じである。すなわち、中央領域10aの断面形状は、正方形状である。第1側板21及び第2側板22の上下方向の長さは、例えば、上板23及び下板24の幅方向の長さよりも短くてもよい。
【0029】
図6は、実施形態に係る吊り架台の一部を表す断面図である。
図6は、
図4のB1−B2線断面を表す。
図6に表したように、各端領域10bのそれぞれは、折り畳み領域30を有する。折り畳み領域30は、第1屈曲部31と、第2屈曲部32と、上面部33と、下面部34と、を有する。一対の固定部14は、2つの端領域10bによって構成される。従って、各固定部14は、第1屈曲部31と、第2屈曲部32と、上面部33と、下面部34と、を有する折り畳み領域30を有する。上面部33は、下面部34と対向する。第1屈曲部31は、上面部33の幅方向の一端と、下面部34の幅方向の一端と、を繋ぐ。第2屈曲部32は、上面部33の幅方向の他端と、下面部34の幅方向の他端と、を繋ぐ。第1屈曲部31及び第2屈曲部32は、互いに接近するように内方に向かって凸状に屈曲する。
【0030】
折り畳み領域30には、金属製の補強材70が設けられている。補強材70は、折り畳み領域30の上面部33と下面部34との間に設けられている。つまり、補強材70は、折り畳み領域30の内部に設けられている。この例では、補強材70は、第1屈曲部31及び第2屈曲部32と下面部34との間に設けられている。補強材70は、第1屈曲部31及び第2屈曲部32と上面部33との間に設けられてもよい。補強材70は、第1屈曲部31及び第2屈曲部32と下面部34との間、及び、第1屈曲部31及び第2屈曲部32と上面部33との間の両方に設けられてもよい。
【0031】
補強材70には、例えば、鉄、ステンレス、又はアルミニウムなどの金属材料が用いられる。補強材70は、例えば、板(プレート)状である。補強材70の幅方向の長さは、例えば、上面部33又は下面部34の幅方向の長さよりも短い。補強材70は、幅方向に複数設けられてもよい。なお、補強材70は、板状以外の形状であってもよく、例えば、棒状であってもよい。
【0032】
図6に表したように、この例では、折り畳み領域30において、幅方向の中央部付近の高さを、幅方向の両端部の高さより高くしたビードが設けられている。このようなビードを設けることで、折り畳み領域30の長手方向の強度をさらに向上させることができる。ビードの高さH1は、例えば、0.5mm以上10mm以下である。ビードは、例えば、アーム部14a及び係合部14bに設けられる。ビードは、アーム部14a及び係合部14bのいずれか一方だけに設けられてもよい。ビードは、アーム部14a及び係合部14bの全体に設けられてもよいし、アーム部14a及び係合部14bの一部に設けられてもよい。ビードは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0033】
図7は、実施形態に係る吊り架台の使用状態の一例を表す部分断面図である。
図7は、
図3のC1−C2線断面を表す。
図7に表したように、各固定部14のそれぞれは、支持部12と一体に形成されている。換言すれば、各固定部14のそれぞれは、支持部12と連続している。同様に、各端領域10bのそれぞれは、中央領域10aと連続している。上面部33は、上板23から連なるように延びる。下面部34は、下板24から連なるように延びる。第1屈曲部31は、第1側板21から連なるように延びる。第2屈曲部32は、第2側板22から連なるように延びる。
【0034】
各固定部14は、支持部12の両端部を折り曲げることによって形成される。第1側板21及び第2側板22を折り曲げて第1屈曲部31及び第2屈曲部32を形成する際に、第1側板21及び第2側板22の上下方向の長さが、上板23及び下板24の幅方向の長さよりも長いと、例えば、第1屈曲部31及び第2屈曲部32に折り重なる部分が生じてしまうなど、第1屈曲部31及び第2屈曲部32を形成し難くなってしまう。従って、上述のように、第1側板21及び第2側板22の上下方向の長さは、上板23及び下板24の幅方向の長さ以下であることが好ましい。
【0035】
図7に表したように、各固定部14のアーム部14aは、土台2と浴室ユニット4との間に空く隙間CLに挿通する必要がある。この際、隙間CLは、比較的狭い。隙間CLは、例えば、2cm以上10cm以下である。従って、各固定部14の厚さ(上面及び下面に対して垂直な方向の長さ)は、極力薄くすることが好ましい。各固定部14の厚さT2(
図6参照)は、例えば、支持部12の厚さT1(
図5参照)の半分以下である。換言すれば、各端領域10bの厚さは、中央領域10aの厚さの半分以下である。これにより、各固定部14の厚さを適切に抑えつつ、各固定部14の強度の低下を抑制できる。また、隙間CLを狭くすることもできる。支持部12の厚さT1は、例えば、3cm以上20cm以下である。各固定部14の厚さT2は、例えば、0.5cm以上2cm以下である。
【0036】
図7に表したように、補強材70は、折り畳み領域30の長手方向の一端から他端まで連続的に設けられている。このように、折り畳み領域30の長手方向の全体に連続的に補強材70を設けることで、折り畳み領域30の一部だけに補強材70を設ける場合や、断続的に補強材70を設ける場合と比べて、吊り架台10の長手方向の強度をより向上させ、吊り架台10のたわみを抑制することができる。また、補強材70は、厚さ方向に複数設けられてもよく、この場合は、複数の補強材70の合計の厚さを補強材70の厚さT3(
図6参照)とみなす。
【0037】
図8(a)〜
図8(d)は、実施形態に係る吊り架台の製造工程の一例を表す説明図である。
図8(a)〜
図8(d)に表したように、吊り架台10の製造には、例えば、矩形状の断面を有する金属製の角パイプ100及び補強材70が用いられる。
図8(a)及び
図8(c)は、角パイプ100の端部100aを幅方向側から見た状態を表している。
図8(b)及び
図8(d)は、角パイプ100の端部100aを長手方向側から見た状態を表している。
【0038】
吊り架台10の製造においては、まず、
図8(a)〜
図8(d)に表したように、角パイプ100の両端部100aにおいて、相対する一対の側板121、122が互いに接近するように、一対の側板121、122を内方に向かって凸状に屈曲させ、折り畳み領域30を形成する。このとき、内部の折り畳み領域30となる位置における角パイプ100の内部に、金属製の補強材70を挿入(インサート)する。
【0039】
例えば、
図8(b)に表したように、側板121、122の上下方向の中央付近を外側から内方に向かって押圧する。同時に、端部100aの上板123を左右方向において実質的に均等な力で下方に押圧するとともに、端部100aの下板124を左右方向において実質的に均等な力で上方に押圧する。換言すれば、端部100aに対し、両側方から力を加えて側板121、122を内側に折り畳みつつ、端部100aを上下方向にプレスする。これにより、
図8(c)及び
図8(d)に表したように、側板121、122を屈曲させた状態で、角パイプ100の端部100aを押し潰すことができる。また、折り畳み領域30の上面部33と下面部34との間に補強材70を挟みこむことができる。また、この際、角パイプ100の両端部100aの厚さを、例えば、角パイプ100の中央部100bの厚さの半分以下にする。これにより、中央部100bから中央領域10aが形成され、両端部100aから各端領域10bが形成される。
【0040】
この後、両端部100aを角パイプ100の中央部100bに対して上方(略直角)に折り曲げることにより、支持部12を中央部100bから形成し、各固定部14を両端部100aから形成する(
図7参照)。より詳しくは、両端部100aを上方に略直角に折り曲げてアーム部14aを形成するとともに、このアーム部14aのうち、中央部100bに対して反対側に位置する一部をさらに水平方向に折り曲げて係合部14bを形成する。この後、必要に応じて支持部12の上面12a(上板23)に受け皿16を固定する。これにより、角パイプ100及び補強材70から吊り架台10が製造される。略直角とは、85°以上95°以下の範囲を指す。
【0041】
側板121、122を屈曲させる工程は、角パイプ100の一方の端部100aにおいて側板121、122を屈曲させた後に、他方の端部100aの側板121、122を屈曲させてもよい。あるいは、角パイプ100の両端部100aにおいて側板121、122を実質的に同時に屈曲させてもよい。
【0042】
また、両端部100aを略直角に折り曲げる工程は、角パイプ100の一方の端部100aを折り曲げた後に、他方の端部100aを折り曲げてもよいし、両端部100aを実質的に同時に折り曲げてもよい。例えば、金型を用いたプレス加工などにより、両端部100aを略直角に折り曲げる工程は、側板121、122を屈曲させる工程と実質的に同時に行ってもよい。
【0043】
上記のビードを設ける場合は、例えば、アーム部14a及び係合部14bを形成した後に、プレスによりアーム部14a及び係合部14bにビードを設ける。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態に係る吊り架台10及びその製造方法によれば、支持部12と一対の固定部14とが一体で構成された吊り架台10において、折り畳み領域30を形成して吊り架台10の端領域10b(固定部14)を薄くするとともに、折り畳み領域30に金属製の補強材70を設けることで、吊り架台10の長手方向の強度を向上させることができる。つまり、固定部14に金属製の補強材70がインサートされているため、支持部12と一対の固定部14とを一体に構成するように角パイプ100の側板121、122を互いに接近するように屈曲させ吊り架台10の固定部14の長手方向に対する厚みを薄くした場合においても、吊り架台10の長手方向に対しても強度を確保することができる。従って、洗い場の床面の横揺れ及び沈み込みを抑制することができる。また、施工現場などの足場の悪い環境下で補強材を追加する必要がないため、施工性に優れる。
【0045】
また、本実施形態に係る吊り架台10及びその製造方法によれば、支持部12と一対の固定部14とを一体に構成しているため、別体に構成する場合に比べて、組み立ての手間などを削減し、より簡単に吊り架台10を製造することができる。また、2つの端領域10bの上面部33、下面部34、第1屈曲部31、及び第2屈曲部32のそれぞれが、中央領域10aの上板23、下板24、第1側板21、及び第2側板22のそれぞれと連なるように延びている。このため、例えば、吊り架台10の製造にあたって、剛性の高い金属製の角パイプ100を用いる場合には、角パイプ100の両端部100aを折り曲げて加工するだけで吊り架台10を製造することができる。従って、角パイプ100と別部材を組み合わせて吊り架台を製造する場合よりも、より簡単に吊り架台10を製造することができる。また、角パイプ100と別部材を組み合わせて吊り架台を製造する場合よりも、部材コストを低減させることができる。
【0046】
さらに、端領域10bの第1屈曲部31及び第2屈曲部32は、互いに接近するように内方に向かって凸状に屈曲しているため、厚さを抑えつつ、吊り架台10により高い強度を持たせることができる。例えば、施工作業者が支持部12の上に載って移動する際などに、吊り架台10に作用する捻りに対して吊り架台10をより変形し難くすることができる。
【0047】
例えば、第1屈曲部31及び第2屈曲部32を、互いに離間するように外方に向かって凸状に屈曲させることも考えられる。この場合、角パイプ100の内側から外側に向かって押圧しなければならず、製造が難しくなってしまう。例えば、第1屈曲部31及び第2屈曲部32の寸法管理が難しくなってしまう。また、外方に屈曲させた場合には、内方に屈曲させた場合よりも第1屈曲部31及び第2屈曲部32の分だけ厚さが薄くなってしまい、端領域10bの強度が低下してしまう。このように、内方に屈曲させた場合には、外方に屈曲させた場合よりも、第1屈曲部31及び第2屈曲部32を製造し易くすることができるとともに、端領域10bの強度をより向上させることができる。
【0048】
また、吊り架台10では、2つの端領域10bの厚さが、中央領域10aの厚さの半分以下である。これにより、端領域10bの厚さを適切に抑えつつ、端領域10bにより高い強度を持たせることができる。
【0049】
図9は、実施形態に係る吊り架台の変形例の一部を表す断面図である。
図6では、端領域10bの内部に実質的に隙間が空いていない状態を表している。これに限ることなく、
図9に表したように、端領域10bは、第1屈曲部31と上面部33との間に隙間AG1を有してもよい。端領域10bは、第1屈曲部31と下面部34と補強材70との間に隙間AG2を有してもよい。端領域10bは、2つに屈曲した第1屈曲部31の内側に隙間AG3を有してもよい。端領域10bは、第2屈曲部32と上面部33との間に隙間AG4を有してもよい。端領域10bは、第2屈曲部32と下面部34と補強材70との間に隙間AG5を有してもよい。端領域10bは、2つに屈曲した第2屈曲部32の内側に隙間AG6を有してもよい。さらに、端領域10bは、第1屈曲部31と第2屈曲部32との間に隙間AG7を有してもよい。
【0050】
図9では、端領域10bが、隙間AG1〜AG7のそれぞれを有している。端領域10bに設けられる隙間AG1〜AG7は、いずれか1つのみでもよい。すなわち、端領域10bは、隙間AG1〜AG7のいずれかを有してもよいし、隙間AG1〜AG7を有していなくてもよい。なお、この変形例において、ビードが設けられていてもよい。
【0051】
図10及び
図11は、実施形態に係る吊り架台の変形例の一部を表す断面図である。
図10及び
図11に表したように、この例では、固定部14が、支持部12の水平レベルを調整可能とする調整部50を有する。
【0052】
調整部50は、例えば、固定部14の係合部14bを上下方向に貫通する貫通孔51と、下面部34の下面に貫通孔51と対向して設けられた雌ネジ部52と、を有する。なお、貫通孔51が設けられる位置に補強材70がある場合、貫通孔51は、補強材70も貫通するように設けられる。雌ネジ部52は、例えば、下面部34の下面に溶接で取り付けられたナットである。貫通孔51の幅方向の両側には、固定用のネジを挿通するための一対の貫通孔54が設けられている。
【0053】
図11に表したように、貫通孔51及び雌ネジ部52には、雄ネジ56が挿通される。雄ネジ56は、雌ネジ部52と螺合する。雄ネジ56の雌ネジ部52よりも下方に突出した部分は、土台2に当接する。従って、雄ネジ56を回転させて、雄ネジ56の雌ネジ部52よりも下方に突出する部分の長さを各固定部14のそれぞれで行うことにより、支持部12の水平レベルθを調整することができる。水平レベルθは、換言すれば、支持部12の幅方向を軸とする傾きである。
【0054】
このように、調整部50で支持部12の水平レベルθを調整した後、各貫通孔54に固定用のネジを挿通して各固定部14を土台2に固定する。これにより、支持部12をより水平にすることができる。従って、浴室ユニット4などの設備ユニットをより適切に支持することができる。調整部50の構成は、上記に限ることなく、支持部12の水平レベルθを調整可能な任意の構成でよい。
【0055】
図12(a)及び
図12(b)は、実施形態に係る吊り架台の変形例の一部を表す断面図である。
上記実施形態では、中央領域10aで支持部12を構成し、端領域10bで固定部14を構成している。つまり、支持部12の長手方向の端領域12c及び中央領域12bの両方が矩形状の断面を有する筒状であり、固定部14の全体が内側に折り畳まれている。これに限ることなく、
図12(a)に表したように、中央領域10aは、支持部12と固定部14の一部とを構成してもよい。つまり、支持部12の端領域12c及び中央領域12bの両方並びに固定部14の一部が矩形状の断面を有する筒状であり、固定部14の別の一部が内側に折り畳まれていてもよい。これとは反対に、
図12(b)に表したように、端領域10bで固定部14と支持部12の一部とを構成してもよい。つまり、支持部12の中央領域12bが矩形状の断面を有する筒状であり、支持部12の端領域12c及び固定部14の全体が内側に折り畳まれていてもよい。また、固定部14は、必ずしも係合部14bを有していなくてもよい。固定部14は、少なくとも支持部12よりも上方に延びていればよい。
【0056】
図12(a)に表したように、中央領域10aが支持部12と固定部14の一部とを構成している場合、補強材70は、例えば、固定部14のうち端領域10bの折り畳み領域30で形成された部分に設けられる。また、この場合、固定部14のうち端領域10bの折り畳み領域30で形成された部分にビードが設けられてもよい。
【0057】
一方、
図12(b)に表したように、端領域10bで固定部14と支持部12の一部とを構成している場合、補強材70は、例えば、固定部14と、支持部12のうち端領域10bの折り畳み領域30で形成された部分と、に設けられる。また、この場合、固定部14と、支持部12のうち端領域10bの折り畳み領域30で形成された部分と、にビードが設けられてもよい。
【0058】
図13は、実施形態に係る吊り架台の変形例の一部を表す断面図である。
図13に表したように、補強材70は、折り畳み領域30のうち、長手方向又は上下方向に大きく折り曲げられている部分にのみ設けられてもよい。この例では、補強材70は、折り畳み領域30のうち、支持部12と固定部14との境目である角部30x、及び、アーム部14aと係合部14bとの境目である角部30yにのみ設けられている。角部30xでは、上面部33が長手方向から上方向に約90°折り曲げられている。角部30yでは、上面部33が上下方向から長手方向に約90°折り曲げられている。補強材70は、角部30x及び角部30yに、それぞれ別々に設けられている。なお、補強材70は、角部30xのみに設けられてもよいし、角部30yのみに設けられてもよい。
【0059】
このように、大きく折り曲げられている部分では、特に高い強度が求められる。従って、このような折り曲げ部分に補強材70を設けることで、吊り架台10の長手方向の強度をより向上させることができる。
【0060】
図14(a)及び
図14(b)は、実施形態に係る吊り架台の変形例の一部を表す説明図である。
図14(a)は、実施形態に係る吊り架台の変形例の一部を表す斜視図である。
図14(b)は、
図14(a)のD1−D2線断面を表す。
【0061】
図14(a)及び
図14(b)に表したように、この例では、固定部14において、厚さ方向に固定部14を貫通するリベット60が設けられている。なお、リベット60が設けられる位置に補強材70がある場合、リベット60は、補強材70も貫通するように設けられる。リベット60は、補強部(揺れ抑制手段)として機能する。リベット60を設けることで、折り畳み領域30の第1屈曲部31及び第2屈曲部32が開くことを抑制できる。
【0062】
リベット60は、例えば、固定部14のアーム部14aに設けられる。リベット60は、アーム部14aの第1屈曲部31側及び第2屈曲部32側の両方に設けられる。上記のビードが設けられる場合、例えば、リベット60は、ビードよりも幅方向の端部側に設けられる。この例では、リベット60は、固定部14のアーム部14aに沿って複数設けられている。リベット60の数は、任意の数でよい。また、リベット60は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0063】
リベット60は、例えば、角パイプ100を上下方向にプレスして内側に折り畳み、アーム部14a及び係合部14bを形成した後に、アーム部14aに設けられる。リベット60は、角パイプ100を上下方向にプレスして内側に折り畳んだ後、アーム部14a及び係合部14bを形成する前に、アーム部14aとなる位置に設けられてもよい。ビードを設ける場合は、ビードを設ける前にリベット60を設けてもよいし、ビードを設けた後にリベット60を設けてもよい。
【0064】
第1屈曲部31及び第2屈曲部32が開かないようにボルトナットなどを設けて、補強部とすることもできる。また、第1屈曲部31及び第2屈曲部32が開かないように第1屈曲部31及び第2屈曲部32をそれぞれ点溶接して、補強部とすることもできる。また、これらの補強部を組み合わせてもよい。
【0065】
このような補強部を設けることにより、例えば、第1屈曲部31及び第2屈曲部32が開くことを抑制できる。従って、第1屈曲部31及び第2屈曲部32が開くことで固定部14の強度が低下することを抑制できる。吊り架台10の端領域10bに、より高い強度を持たせることができる。これにより、浴室ユニット4などの揺れや沈み込みをさらに抑制することができる。
【0066】
補強部は、固定部14のアーム部14a及び係合部14bの両方に設けられてもよい。アーム部14a及び係合部14bの両方に補強部を設けることで、固定部14の全体に、より高い強度を持たせることができる。これにより、長手方向の床の揺れや床の沈み込みをより確実に抑制することができる。
【0067】
図15は、実施形態に係る吊り架台の変形例を表す側面図である。
図15に表したように、この例では、2つの端領域10bに設けられた一対の固定部14x及び14yのうち、固定部14xだけが上下方向にプレスされ内側に折り畳まれている。換言すれば、2つの端領域10bのうち一方にだけ、第1屈曲部31と、第2屈曲部32と、上面部33と、下面部34と、を有する折り畳み領域30が設けられている。固定部14xでは、上記と同様に、上下方向にプレスされ内側に折り畳まれた角パイプ100の端部100aにより、アーム部14aと、係合部14bと、が形成されている。また、固定部14x(折り畳み領域30)の内部には、補強材70が設けられている。一方、固定部14yでは、上下方向にプレスされていない角パイプ100の端部100aにより、緩やかにカーブしたアーム部14a(揺れ抑制手段)と、係合部14bと、が形成されている。
【0068】
固定部14xは、上記と同様の方法で形成することができる。固定部14yは、角パイプ100の端部100aを上下方向にプレスしない以外は、上記と同様の方法で形成することができる。換言すれば、角パイプ100の両端部100aのうち一方においてだけ、相対する一対の側板121、122が互いに接近するように、一対の側板121、122を内方に向かって凸状に屈曲させ、折り畳み領域30を形成する。また、折り畳み領域30を形成する工程において、角パイプ100の内部の折り畳み領域30となる位置に、金属製の補強材70を挿入する。
【0069】
固定部14yは、浴槽が設置される側の固定部である。浴槽が設置される側では、洗い場が設置される側と比較して、土台2と浴室ユニット4との間に空く隙間CLを広くとることができる場合がある。一方、洗い場が設置される側は、使用者が土台2と浴室ユニット4との間まで足などを載せる可能性のある洗い場床を載置するために、土台2と浴室ユニット4との間に空く隙間CLは小さい方が好ましい。例えばこのような場合には、浴槽が設置される側の固定部14を、固定部14yのような構造とすることができる。固定部14yのように、角パイプ100の端部100aを薄くせずに緩やかにカーブさせた形状とすることで、吊り架台10の端領域10bに、より高い強度を持たせることができる。これにより、浴室ユニット4などの揺れや沈み込みを抑制することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、吊り架台10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。