(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御システム1の構成を示す図である。本実施形態に係る車両制御システム1が搭載される車両は、例えば、四輪駆動可能な電気自動車で構成される。本実施形態に係る車両制御システム1は、後段で詳述するように、車両の運転を自動的に制御可能な構成を有し、国土交通省が規定するレベル3相当の自動運転を可能としている。
【0013】
図1に示されるように、車両制御システム1は、ECU10と、外界センシング装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、ナビゲーション装置40と、車両センサ50と、EPS(Electric Power Steering)61と、VSA(Vehicle Stability Assist)62と、AWD(All-Wheel-Drive)63と、ESB(Electric Servo Brake)64と、駆動力出力装置71と、ブレーキ装置72と、ステアリング装置73と、を備える。
【0014】
外界センシング装置20は、カメラ21と、レーダ(Radar)22と、ライダ(Lidar)23と、を備える。
【0015】
カメラ21は、自車両の任意の箇所に少なくとも一つ設けられ、自車両の周囲を撮像して画像情報を取得する。カメラ21は、単眼カメラ又はステレオカメラであり、例えばCCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラが用いられる。
【0016】
レーダ22は、自車両の任意の箇所に少なくとも一つ設けられ、自車両の周囲に存在する物体の位置(距離及び方位)を検出する。具体的には、レーダ22は、車両の周囲にミリ波等の電磁波を照射し、照射された電磁波が物体によって反射された反射波を検出することで、物体の位置を検出する。
【0017】
ライダ23は、自車両の任意の箇所に少なくとも一つ設けられ、自車両の周囲に存在する物体の位置(距離及び方位)や性質を検出する。具体的には、ライダ23は、車両の周囲にミリ波よりも短波長の電磁波(紫外光、可視光、近赤外光等の電磁波)をパルス状に照射し、照射された電磁波が物体によって散乱された散乱波を検出することで、レーダ22よりも遠距離に存在する物体の位置及び性質を検出する。
【0018】
外界センシング装置20は、先進運転支援システムADAS(Advanced Driver Assistance Systems)として機能する。具体的には、外界センシング装置20は、センサフュージョン技術によって、上述のカメラ21、レーダ22及びライダ23等で取得された各情報を総合的に評価し、より正確な情報を後段で詳述するECU10に出力する。
【0019】
HMI30は、運転者等に各種情報を提示するとともに、運転者等による入力操作を受け付けるインターフェースである。HMI30は、例えば、いずれも図示しない表示装置と、シートベルト装置と、ハンドルタッチセンサと、ドライバモニタカメラと、各種操作スイッチ等を備える。
【0020】
表示装置は、例えば画像を表示するとともに運転者等による操作を受け付けるタッチパネル式表示装置である。シートベルト装置は、例えばシートベルトプリテンショナーを含んで構成され、例えば車両故障等により運転者の意志によらずに自動運転から手動運転への切り替えが実行される際に、シートベルトを振動させて運転者に報知、警告する。ハンドルタッチセンサは、車両のステアリングホイールに設けられ、ステアリングホイールに対する運転者の接触及び運転者がステアリングホイールを握る圧力を検出する。ドライバモニタカメラは、運転者の顔及び上半身を撮像する。各種操作スイッチは、例えば自動運転の開始及び停止を指示するGUI式又は機械式の自動運転切替スイッチ等を含んで構成される。また、HMI30は、外部との通信機能を有する各種通信装置を含んでいてよい。
【0021】
ナビゲーション装置40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部41と、経路決定部42と、記憶部43と、を備える。また、ナビゲーション装置40は、運転者等がナビゲーション装置40を利用するための表示装置やスピーカ、操作スイッチ等を、上述のHMI30内に備える。
【0022】
GNSS受信部41は、GNSS衛星からの受信信号に基づいて、車両の位置を特定する。ただし、後段で詳述する車両センサ50からの取得情報により、車両の位置を特定してもよい。
【0023】
経路決定部42は、例えばGNSS受信部41により特定された自車両の位置から、運転者等により入力された目的地までの経路を、後段で詳述する記憶部43に記憶された地図情報を参照して決定する。この経路決定部42により決定された経路は、上述のHMI30内の表示装置やスピーカ等により運転者等に経路案内される。
【0024】
記憶部43は、高精度な地図情報MPU(Map Position Unit)を記憶する。地図情報としては、例えば、道路の種別、道路の車線数、非常駐車帯の位置、車線の幅員、道路の勾配、道路の位置、車線カーブの曲率、車線の合流及び分岐ポイント位置、道路標識等の情報、交差点の位置情報、信号機の有無情報、停止線の位置情報、渋滞情報、他車情報等が含まれる。
【0025】
なお、ナビゲーション装置40は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の端末装置により構成されてもよい。また、ナビゲーション装置40は、いずれも図示しない各種セルラー網、車載専用通信ユニットTCU(Telematics Communication Unit)等を備え、クラウドサーバ等との間で送受信可能となっている。これにより、車両位置情報等が外部に送信される他、上述の地図情報が随時更新される。
【0026】
車両センサ50は、自車両の各種挙動を検出するための複数のセンサを備える。例えば、車両センサ50は、自車両の速度(車速)を検出する車速センサと、自車両の各車輪の速度を検出する車輪速センサと、自車両の加減速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサと、自車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、自車両の向きを検出する方位センサと、自車両の勾配を検出する勾配センサ等を備える。
【0027】
また、車両センサ50は、各種操作デバイスの操作量を検出する複数のセンサを備える。例えば、車両センサ50は、アクセルペダルの踏込(開度)量を検出するアクセルペダルセンサと、ステアリングホイールの操作量(操舵角)を検出する舵角センサと、操舵トルクを検出するトルクセンサと、ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキペダルセンサと、シフトレバーの位置を検出するシフトセンサ等を備える。
【0028】
EPS61は、いわゆる電動パワーステアリング装置である。EPS61は、図示しないEPS・ECUを備え、後段で詳述するECU10から出力される制御指令に従って、後述のステアリング装置73を制御することにより、車輪(操舵輪)の向きを変更する。
【0029】
VSA62は、いわゆる車両挙動安定化制御装置である。VSA62は、図示しないVSA・ECUを備え、制動操作時における車輪のロックを防ぐABS機能と、加速時等における車輪の空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)機能と、旋回時の横すべり等を抑制する機能と、自車両の衝突時に運転者の制動操作に関わらず緊急制動制御を行う機能と、を有する。VSA62は、これらの機能を実現するために、後述のESB64で発生した制動液圧を調整することにより、車両の挙動安定化を支援する。
【0030】
具体的には、VSA62は、上述の車速センサ、舵角センサ、ヨーレートセンサ及び横加速度センサにより検出される車速、操舵角、ヨーレート及び横加速度等に基づいて、後述のブレーキ装置72を制御する。具体的には、前後左右の車輪ごとのブレーキシリンダにブレーキ液圧を供給する液圧ユニットを制御することにより、各車輪の制動力を個別に制御して走行安定性を向上させる。
【0031】
AWD63は、いわゆる四輪駆動力自在制御システムであり、駆動力配分制御部として機能する。即ち、AWD63は、図示しないAWD・ECUを備え、前後輪と後輪左右の駆動力配分を自在に制御する。具体的には、AWD63は、車速センサ、舵角センサ、ヨーレートセンサ及び横加速度センサにより検出される車速、操舵角、ヨーレート及び横加速度等に基づいて、前後左右駆動力配分ユニット内の電磁クラッチや、駆動モータ等を制御することにより、前後左右の車輪間での駆動力の配分を変更する。
【0032】
また、タックイン抑制制御部15が有する駆動力配分制御部として機能するAWD63は、後段で詳述するように、運転者の意志によらずに運転切替制御部12により自動運転制御から手動運転制御に強制的に切り替えられたときに、車両の外径輪に配分される駆動力を小さくする駆動力配分制御を実行する。これについては、後段で詳述する。
【0033】
ESB64は、図示しないESB・ECUを備え、後段で詳述するECU10から出力される制御指令に従って後述のブレーキ装置72を制御することで、車輪に制動力を発生させる。
【0034】
また、タックイン抑制制御部15が有する制動力制御部として機能するESB64は、後段で詳述するように、運転者の意志によらずに運転切替制御部12により自動運転制御から手動運転制御に強制的に切り替えられたときに、車両の外径輪に入力される制動力を大きくする制動力制御を実行する。これについては、後段で詳述する。
【0035】
駆動力出力装置71は、自車両の駆動源である電動機等で構成される。駆動力出力装置71は、後段で詳述するECU10から出力される制御指令に従って自車両が走行するための走行駆動力(トルク)を生成し、トランスミッションを介して各車輪に伝達する。
【0036】
ブレーキ装置72は、例えば油圧式ブレーキを併用する電動サーボブレーキで構成される。ブレーキ装置72は、後段で詳述するECU10から出力される制御指令に従って車輪を制動する。
【0037】
ステアリング装置73は、上述のEPS61により制御されて、車輪(操舵輪)の向きを変更する。
【0038】
次に、本実施形態に係る車両制御システム1が備えるECU10について詳しく説明する。
図1に示すように、ECU10は、自動運転制御部11と、運転切替制御部12と、手動運転制御部13と、目標旋回半径取得部14と、タックイン抑制制御部15と、を備える。
【0039】
自動運転制御部11は、第1CPU111と、第2CPU112と、を含んで構成される。
【0040】
第1CPU111は、外界認識部113と、自車位置認識部114と、行動計画生成部115と、異常判定部116と、を含んで構成される。
【0041】
外界認識部113は、上述の外界センシング装置20により取得される各種情報に基づいて、外界の物体(認識対象物)を認識するとともにその位置を認識する。具体的には、外界認識部113は、障害物、道路形状、信号機、ガードレール、電柱、周辺車両(速度や加速度等の走行状態、駐車状態含む)、レーンマーク、歩行者等を認識するとともにそれらの位置を認識する。
【0042】
自車位置認識部114は、上述のナビゲーション装置40により測定される自車両の位置情報と、上述の車両センサ50により検出される各種センサ情報とに基づいて、自車両の現在位置と姿勢を認識する。具体的には、自車位置認識部114は、地図情報とカメラ21により取得された画像とを比較することにより、自車両が走行している走行車線を認識するとともに、該走行車線に対する自車両の相対位置及び姿勢を認識する。
【0043】
行動計画生成部115は、自車両が目的地等に到達するまでの自動運転の行動計画を生成する。詳しくは、行動計画生成部115は、上述の外界認識部113で認識された外界情報と上述の自車位置認識部114で認識された自車位置情報とに基づいて、自車両の状況及び周辺状況に対応しつつ、上述の経路決定部42で決定された経路を走行できるように、自動運転の行動計画を生成する。
【0044】
具体的には、行動計画生成部115は、自車両が将来走行する目標軌道を生成する。より具体的には、行動計画生成部115は、目標軌道の候補を複数生成し、安全性と効率性の観点から、その時点での最適な目標軌道を選択する。また、行動計画生成部115は、後段で詳述する異常判定部116において、乗員又は自車両が異常状態であると判定された場合には、例えば、自車両を安全な位置(非常駐車帯、路側帯、路肩、パーキングエリア等)に停車させる行動計画を生成する。
【0045】
異常判定部116は、運転者及び自車両のうち少なくとも一方が異常状態であるか否かを判定する。運転者の異常状態とは、例えば体調悪化であり、乗員が寝ている状態や、病気等により意識不明な状態を含む。また、自車両の異常状態とは、自車両の故障等である。
【0046】
具体的には、異常判定部116は、上述のドライバモニタカメラで取得された画像を解析することで、運転者の異常状態を判定する。また、異常判定部116は、例えば自車両の故障等により運転者の意志によらずに自動運転から手動運転に強制的に切り替えられたときに、表示、音声あるいはシートベルトの振動等により運転者に対して警告を所定回数以上通知したにも拘わらず、運転者の手動運転操作が検出されない場合には、運転者が異常状態であると判定する。運転者の手動運転操作は、上述のハンドルタッチセンサ、アクセルペダルセンサ、ブレーキペダルセンサ等により検出される。
【0047】
また、異常判定部116は、上述の車両センサ50等で取得された各種センサ情報に基づいて、自車両の故障の有無を検知し、故障が検知された場合には自車両が異常状態であると判定する。
【0048】
第2CPU112は、車両制御部117を含んで構成される。この第2CPU112を構成する車両制御部117には、上述の第1CPU111で取得された外界情報、自車位置情報、行動計画及び異常情報が入力される。
【0049】
車両制御部117は、上述の自動運転切替スイッチから入力される自動運転開始/停止信号に応じて、自動運転を開始/停止させる。また、車両制御部117は、行動計画生成部115で生成された目標軌道に沿って目標速度で自車両が走行するように、上述のEPS61、VSA62、AWD63及びESB64等を介して、駆動力出力装置71、ブレーキ装置72及びステアリング装置73を制御する。
【0050】
運転切替制御部12は、上述の自動運転切替スイッチから入力される信号に応じて、自動運転及び手動運転の各運転モードを相互に切り替える。運転切替制御部12は、例えば、アクセルペダルやブレーキペダル、ステアリングホイール等に対する加速、減速又は操舵を指示する操作に基づいて、運転モードを切り替える。また、運転切替制御部12は、行動計画生成部115により生成された行動計画により設定された自動運転の終了予定地点付近等において、自動運転から手動運転への切り替えを実行する。また、自車両の故障等により上述の異常判定部116で異常状態であると判定された場合には、運転切替制御部12は、自動運転制御の実行を回避し、手動運転制御への切り替えを実行する。
【0051】
手動運転制御部13は、運転者による手動運転による自車両の走行に必要な制御を実行する。手動運転制御部13は、運転者によるステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル等の操作に基づいて、上述の駆動力出力装置71、ブレーキ装置72及びステアリング装置73等を制御する。
【0052】
目標旋回半径取得部14は、上述の記憶部43で記憶された地図情報に基づいて、車両の旋回走行時における目標旋回半径を取得する。より詳しくは、上述したように記憶部43に記憶されている、道路の種別、車線カーブの曲率や車線の幅員等の各種道路情報に基づいて、理想的な旋回半径を目標旋回半径として取得する。
【0053】
タックイン抑制制御部15は、車両の旋回走行中に運転者の意志によらずに自動運転制御から手動運転制御に強制的に切り替えられた場合において、運転者の意志に沿わないタックインの発生を抑制する。より詳しくは、このようなケースにおいて、アクセルペダルセンサにより取得されたアクセル開度が所定値以下(アクセルオフ状態含む)でかつアクセル開度変化量が所定値以上の場合に、車速センサにより取得された車速と前後加速度センサにより取得された車両減速度(前後加速度)と横加速度センサにより取得された横加速度に基づいて算出される実際の旋回半径と目標旋回半径との差が所定の閾値を超える場合には、タックイン抑制制御を実行する。なお、実際の旋回半径は、あらかじめ記憶されたマップ等で、定常加速度旋回時の旋回半径に対して、車速及び前後・横加速度から旋回半径減少方向のゲインをかける等することにより算出されるものとする。
【0054】
具体的には、タックイン抑制制御部15は、上述の駆動力配分制御部としてのAWD63と、上述の制動力制御部としてのESB64を有し、これら駆動力制御及び/又は制動力制御を実行することで、タックインの発生を抑制する。例えば、上述のケースにおいて、現在の車速及び前後加速度と横加速度に基づいて算出される旋回半径と目標旋回半径との差が所定の閾値を超える場合には、車両の外径輪に配分される駆動力を小さくする駆動力配分制御を実行する。あるいは、車両の外径輪に入力される制動力を大きくする制動力制御を実行する。さらには、これら駆動力配分制御と制動力制御とを併せて実行する。これにより、前後荷重移動による前後輪のコーナリングパワーの変化による回頭を左右の駆動力制御で抑止することができるため、運転者の意志に沿わないタックインの発生が抑制される。これについては、後段で詳述する。
【0055】
次に、以上の構成を備える本実施形態の車両制御システム1で実行される制御であって、車両の旋回走行中で運転者の意志によらない自動運転から手動運転への強制切り替え時におけるタックイン抑制制御について、
図2を参照して詳しく説明する。
【0056】
ここで、
図2は、車両の旋回走行中で運転者の意志によらない自動運転から手動運転への強制切り替え時におけるタックイン抑制制御の処理の手順を示すフローチャートである。
図2に示されるタックイン抑制制御処理は、自動運転制御中において所定の周期で繰り返し実行される。
【0057】
ステップS1では、自車両が自動運転制御中であるか否かを判別する。この判別がYESであればステップS2に進み、NOであれば本処理を終了する。
【0058】
ステップS2では、地図情報に基づいて目標旋回半径を算出して取得する。取得後、ステップS3に進む。
【0059】
ステップS3では、自車両が旋回走行中であるか否かを判別する。この判別がYESであればステップS4に進み、NOであれば本処理を終了する。
【0060】
ステップS4では、自動運転制御から手動運転制御への強制切り替えを判断、実行する。例えば、運転者の意志によらずに、自車両の故障等により強制的に自動運転制御から手動運転制御への切り替えを実行後、所定時間未経過であればステップS5に進み、所定時間が経過していれば本処理を終了する。
【0061】
ステップS5では、アクセルペダルセンサにより取得されるアクセル開度が所定値以下かつアクセル開度変化量が所定値以上であるか否かを判別する。この判別がYESであればステップS6に進み、NOであれば本処理を終了する。
【0062】
ステップS6では、車速センサにより取得される車速及び前後・横加速度に基づいて算出される旋回半径と、ステップS2で取得した目標旋回半径との差が、所定の閾値を超えるか否かを判別する。この判別がYESであればステップS7に進み、NOであれば本処理を終了する。
【0063】
ステップS7では、自車両の外径輪に回生ブレーキ又は駆動力配分を実行し、本処理を終了する。
【0064】
以上説明した本実施形態に係る車両制御システム1によれば、以下の効果が奏される。
【0065】
本実施形態に係る車両制御システムでは、地図情報を記憶する記憶部と、地図情報に基づいて車両の旋回走行時における目標旋回半径を取得する目標旋回半径取得部を設ける。そして、車両の旋回走行中に運転者の意志によらずに自動運転制御から手動運転制御に強制的に切り替えられたときにおいて、アクセル開度が所定値以下でアクセル開度変化量が所定以上でありかつ車速及び前後・横加速度に基づいて算出される旋回半径と目標旋回半径との差が所定の閾値を超える場合には、外径輪に入力される駆動力及び/又は制動力を制御することでタックインが発生するのを抑制するタックイン抑制制御部を設ける。
これにより、車両の旋回走行中において運転者の意志によらずに自動運転から手動運転に切り替えられたときに、運転者の意志に反したタックインの発生を抑制できる。
【0066】
上述のタックイン発生の抑制効果について、以下に詳しく説明する。
通常、手動運転で旋回走行中に運転者がアクセルオフ(アクセルペダルの踏み込み操作の入力がゼロ)等の操作をした場合には、これは運転者のタックイン意志であり、駆動力が抜けることで車両にタックインが発生する。これに対して、自車両が旋回走行中に、自車両の故障等により運転者の意志によらずに自動運転から手動運転に切り替えられたときに運転者がアクセルペダルを踏み込まないおそれがあり、この場合には運転者にタックイン意志が無いにも拘わらず、車両にタックインが発生する。
【0067】
そこで、本実施形態によれば、自車両の旋回走行時で自動運転から手動運転への切り替わり喚起中に、アクセル開度が所定値以下(アクセルオフ状態含む)でアクセル開度変化量が所定値以上である場合には、運転者の意志に沿わないタックイン状態が発生すると予想されるため、記憶部に記憶された地図情報に基づいて目標旋回半径を取得し、現在の車速と前後・横加速度から算出される旋回半径と目標旋回半径との差が所定の閾値を超える場合には、外径輪に入力される駆動力及び/又は制動力を制御する。これにより、車両にタックインが発生するのを抑制することができる。
【0068】
具体的には、上述のタックイン抑制制御として、外径輪に配分される駆動力を小さくする駆動力配分制御を実行する。あるいは、上述のタックイン抑制制御として、外径輪に入力される制動力を大きくする制動力制御を実行する。これら駆動力配分制御及び制動力制御いずれの制御によっても、車両にタックインが発生するのをより確実に抑制することができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0070】
例えば上記実施形態では、車両制御システム1を搭載する車両として電気自動車両を例に挙げて説明したが、エンジン車両やハイブリッド車両、燃料電池車両等に車両制御システム1を搭載してもよい。