(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抑制器コントローラは抑制器モードを判定し、前記抑制器モードが第1の抑制器モードである場合に、第1の抑制器スキームを適用し、前記抑制器モードが第2の抑制器モードである場合に、第2の抑制器スキームを適用するように構成されている、請求項2から6のいずれか一項に記載の聴覚装置。
前記主抑制部は、前記第1の抑制入力信号に基づく第2の主出力信号を形成するために、前記第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第2の主遅延と第2の主フィルタとを適用するように構成されており、
前記第2の主出力信号は、前記第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成する、請求項2から4のいずれか一項に従属する請求項1から7のいずれか一項に記載の聴覚装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
関連するときは図面を参照しつつ、本明細書で以下に種々の例示的な実施形態及び詳細を記載する。図面は、縮尺通りに描かれていてもよく、描かれていなくてもよく、同様の構造又は機能をもつ要素は、図面全体で同様の参照番号によって表されることを注記しておくべきである。図面は、実施形態の説明を容易にすることだけを意図していることも注記しておくべきである。図面は、発明の包括的な記載であることは意図しておらず、又は特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定するものであることは意図していない。これに加え、図示されている実施形態は、示されている全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の実施形態と関連して記載される態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、図示されていない場合であっても、又はそのように明確に記載されていない場合であっても、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0027】
聴覚装置は、補聴器、例えば、耳掛(BTE)型、耳穴(ITE)型、耳道(ITC)型、耳道レシーバ(RIC)型、又は、耳穴レシーバ(RITE)型の補聴器であってもよい。プロセッサは、ユーザの聴力損失を補償するような構成であってもよい。補聴器は、両耳用補聴器であってもよい。
【0028】
聴覚装置は、ヒアラブルであってもよい。ヒアラブルは、音声用、または、音声増幅用遠隔操作のための無線リンクを含む、耳内または耳上に装着されるあらゆるものとして定義される。
【0029】
聴覚装置は、第1の入力信号を提供するための入力モジュールを備える。入力モジュールは、第1のマイクロフォン信号を提供するための第1のマイクロフォンを備える。第1のマイクロフォン信号が第1の入力信号であってもよい。入力モジュールは、第2のマイクロフォン信号を提供するための第2のマイクロフォンを備えてもよい。入力モジュールは、ビームフォーム信号を提供するための第1のビームフォーマを備えてもよい。第1のビームフォーマは、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンに接続され、第1のマイクロフォン信号及び第2のマイクロフォン信号に基づくビームフォーム信号を提供するように構成されてもよい。第1のビームフォーマからのビームフォーム信号が第1の入力信号であってもよい。従って、入力モジュールは、第2のマイクロフォン及び第1のビームフォーマを任意で備える。ここで、第1のビームフォーマは、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンに接続され、第1の入力信号としての第1及び第2のマイクロフォン信号に基づくビームフォーム信号を提供するように構成されている。
【0030】
入力モジュールは、外耳道マイクロフォン信号を提供するための外耳道マイクロフォンを備えてもよい。
【0031】
聴覚装置は、第1の入力信号を処理し、当該第1の入力信号に基づくプロセッサ出力信号を提供するためのプロセッサを備えてもよい。
【0032】
聴覚装置は、第1の抑制入力信号、及び/又は、第2の抑制入力信号を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号を提供するためのコム抑制器を備える。コム抑制器は、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に第1の遅延を適用するように任意で構成されている。コム抑制器は、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、例えば第1のゲインを有する第1のフィルタを適用するように任意で構成されている。一つ以上の例示的な聴覚装置において、コム抑制器は、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第1の遅延及び/又第1のゲインを有する第1のフィルタを適用するように構成されている。コム抑制器の第1の遅延はd_1とも称し、コム抑制器の第1のゲインはg_1とも称する。一つ以上の例示的な聴覚装置では、第1のゲインg_1は−1に設定されてもよい。第1のゲインg_1は、−1から−0.5の範囲内にあってもよい。
【0033】
聴覚装置は、コム抑制器に接続される第1の加算器を備える。第1の加算器は、任意で、プロセッサ出力信号及び/又は第1の抑制出力信号の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号を提供するように構成されている。
【0034】
聴覚装置は、出力信号を音声出力信号に変換するレシーバを備える。出力信号は、第1の加算器出力信号及び/又は第2の加算器出力信号のような加算器出力に基づくものであってもよい。
【0035】
一つ以上の例示的な聴覚装置において、コム抑制器は、任意で、主抑制部を備える。
【0036】
主抑制部は、第1の抑制入力信号を受信するために入力モジュールに接続されている第1の主入力を有してもよい。このため、入力モジュールからの第1の入力信号が第1の抑制入力信号として使用されてもよい。主抑制部は、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第1の遅延としての第1の主遅延と、第1のゲインとしての第1の主ゲインと、を適用し、第1の抑制入力信号に基づく第1の主出力信号を形成するように構成されていてもよい。第1の主出力信号は、第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成する。
【0037】
例えば、第1の入力信号が第1の抑制入力信号である場合の第1の遅延は、プロセッサにおける遅延の約2倍であってもよい。即ち、第1の遅延は8msから20msの範囲内であってもよい。
【0038】
主抑制部は、第1の抑制入力信号を受信するためにプロセッサに接続されている第1の主入力を有してもよい。このため、プロセッサ出力信号が第1の抑制入力信号として使用されてもよい。主抑制部は、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第1の遅延としての第1の主遅延と、第1のゲインとしての第1の主ゲインと、を適用し、例えば第1の抑制入力信号に基づく第1の主出力信号を形成するように構成されてもよい。第1の主出力信号は、第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成するものである。
【0039】
例えば、プロセッサ出力信号が第1の抑制入力信号である場合の第1の遅延は、プロセッサにおける遅延と同程度であってもよい。即ち、第1の遅延は4msから10msの範囲内であってもよい。
【0040】
主抑制部は、第1の抑制入力信号としての第1の加算器出力信号を受信するために第1の加算器の出力に接続されている第1の主入力を有してもよい。主抑制部は、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第1の遅延としての第1の主遅延と、第1のゲインとしての第1の主ゲインと、を適用し、第1の抑制器入力に基づく第1の主出力信号を形成するように構成されてもよい。第1の主出力信号は、第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成する。
【0041】
コム抑制器は、例えば一つ以上のコントローラ入力信号に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている抑制器コントローラを備えてもよい。抑制器コントローラは、第1の入力信号に基づいて、主抑制部を制御するように構成されていてもよい。即ち、入力モジュールからの第1の入力信号が抑制器コントローラへのコントローラ入力信号として使用されてもよい。
【0042】
一般的に、抑制器コントローラは、入力モジュールからの第1の入力信号及び/又は第2の入力信号等の入力信号に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されてもよい。即ち、入力モジュールからの一つ以上の入力信号が、抑制器コントローラへのコントローラ入力信号として使用されてもよい。
【0043】
上述のように、入力モジュールは、外耳道入力信号を提供するための外耳道マイクロフォンを備えてもよい。抑制器コントローラは、入力モジュールからの外耳道入力信号である第2の入力信号に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されていてもよい。従って、外耳道マイクロフォンからの外耳道入力信号が、抑制器コントローラへのコントローラ入力信号として使用されてもよい。
【0044】
抑制器コントローラは、例えば第2の入力信号に基づいて、ユーザ自身の声が存在することを検出するように構成されていてもよく、ユーザ自身の声が存在することを検出する場合に、コム抑制を停止する(例えば第2の抑制器モード)。
【0045】
抑制器コントローラは、例えば第2の入力信号に基づいて、ユーザ自身の声が存在しないことを検出するように構成されてもよく、ユーザ自身の声が存在しないことを検出する場合に、コム抑制を実行する(例えば第1の抑制器モード)。
【0046】
抑制器コントローラは、プロセッサからの制御信号に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されていてもよい。プロセッサからの制御信号が、抑制器コントローラへのコントローラ入力信号として使用されてもよい。プロセッサからの制御信号は、プロセッサ内で適用される一つ以上のプロセッサゲインを示してもよい。制御信号は、プロセッサで適用されるプロセッサゲインG_1、G_2、…、G_Nの1つ以上に基づくゲインパラメータを含んでもよい。ゲインパラメータは、プロセッサゲイン又はプロセッサゲインのサブセットの関数であってもよい。例えば、ゲインパラメータはプロセッサゲインの最大値であってもよいし、平均値であってもよい。抑制器コントローラは、例えば、聴覚装置に、不要時にはコム抑制をOFFにすることを可能にさせることによって、電力効率の良いコム抑制を可能とする。不要時とは、例えば、(1又は複数の)プロセッサゲインが、コムフィルタリングの影響を圧倒するほど大きい場合である。
【0047】
抑制器コントローラは、入力モジュールからの一つ以上の入力信号及び/又はプロセッサからの制御信号等、一つ以上のコントローラ入力信号に基づいて、第1の遅延を決定するように構成されてもよい。プロセッサ出力信号は、コントローラ入力信号として使用されてもよいし、コントローラ入力信号を形成してもよい。
【0048】
抑制器コントローラは、入力モジュールからの一つ以上の入力信号及び/又はプロセッサからの制御信号等、一つ以上のコントローラ入力信号に基づいて、例えば第1のゲインである第1のフィルタを決定するように構成されてもよい。プロセッサ出力信号は、コントローラ入力信号として使用されてもよいし、コントローラ入力信号を形成してもよい。
【0049】
第1のゲインg_1は、例えば0.5〜1.0の範囲内にある音響経路のゲインと、同一又は実質的に同一(±10%)であってもよい。
【0050】
第1のゲインg_1は、音響経路と聴覚装置経路の差分と同一又は実質的に同一(±10%)であってもよい。即ち、g_1=g_acoustic-G
hearing deviceとなってもよい。例えば、聴覚装置のゲインが+20dBに設定され(動作し)、音響経路のゲインが−6dBである場合、g_1は−26dBとなる。
【0051】
コム抑制器の第1のゲインg_1は、以下のとおりであってもよい。
【0053】
式中、Gは、聴覚装置のゲインであってもよいし、又は、聴覚装置ゲインG_1、G_2,…のうちの一つ以上の関数であってもよい。
【0054】
第1の遅延d_1は、聴覚装置における遅延の2倍程度、又は、2倍であってもよい。例えば、第1の遅延d_1は、d_HDを聴覚装置における遅延として、1.8*d_HDから2.2*d_HDの範囲内であってもよい。
【0055】
第1の遅延d_1は、聴覚装置における遅延と同程度、又は、等しくてもよい。例えば、第1の遅延d_1は、d_HDを聴覚装置における遅延として、0.8*d_HDから1.2*d_HDの範囲内であってもよい。
【0056】
聴覚装置における遅延は、ハードウェア遅延と、聴覚装置処理に関連する遅延と、を含む。ハードウェア遅延の例としては、トランスデューサ及びD/Aコンバータによる遅延が挙げられる。
【0057】
抑制器コントローラは、抑制器モードを決定するように構成されていてもよく、抑制器モードが第1の抑制器モードの場合、第1の抑制器スキームを適用してもよい。抑制器コントローラは、抑制器モードが第2の抑制器モードの場合、第2の抑制器スキームを適用するように構成されていてもよい。第2の抑制器スキームは、第1の抑制器スキームとは異なる。抑制器スキームは、コム抑制器内で使用される(1以上の)遅延及び/又は(1以上の)ゲイン/(1以上の)フィルタ係数を定義するものであってもよい。第2の抑制器モード等の抑制器モードは、非抑制モードであってもよい。即ち、当該モードにおいては、第1の抑制出力信号が第1の加算器に供給されない、及び/又は、第1の抑制出力信号がゼロである。言い換えると、例えば第2の抑制器モードに対するプロセッサゲイン基準が満たされる場合に、抑制器コントローラはコム抑制を停止してもよい。プロセッサゲイン基準は、プロセッサの一つ以上のプロセッサゲインに基づくものであってもよい。例えば、プロセッサの第1のプロセッサゲイン(G_1とも称する)が第1のプロセッサ閾値を上回る場合、プロセッサゲイン基準が満たされてもよい(第2の抑制器モード)。
【0058】
例えば第2の抑制器モードに対する入力信号基準が満たされる場合に、抑制器コントローラは、コム抑制を停止してもよい。入力信号基準は、第1の入力信号及び/又は第2の入力信号等の入力モジュールからの一つ以上の入力信号に基づくものであってもよい。第1の入力信号及び/又は第2の入力信号の強度が、第1の強度閾値を上回る場合に、入力信号基準が満たされてもよい。
【0059】
聴覚装置は、環境検出器を備えてもよい。環境検出器は環境を示す出力信号を提供してもよい。環境検出器からの出力信号は、抑制器コントローラへのコントローラ入力信号として使用されてもよい。
【0060】
主抑制部は、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第2の主遅延及び/又は第2の主ゲインを有する第2の主フィルタを適用し、第1の抑制入力信号に基づく第2の主出力信号を形成するように構成されていてもよい。第2の主出力信号は、第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成してもよい。例えば、主抑制部は、第1の抑制出力信号を生成するために主出力信号を加算する抑制器加算器を備えてもよい。主抑制部は、第1の抑制入力信号にローパスフィルタリングをかけるため、ローパスフィルタを備えてもよい。
【0061】
主抑制部は、一つ以上のゲインユニットのそれぞれに接続される一つ以上の遅延ユニットを備えてもよい。(一つ以上の)遅延ユニットは、それぞれ、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に主遅延を適用してもよい。(一つ以上の)ゲインユニットは、それぞれ、(一つ以上の)遅延ユニットの内の対応するものからの遅延した第1の抑制入力信号に対して(一つ以上の)主ゲイン/(一つ以上の)主フィルタを適用してもよい。
【0062】
主抑制部は、第1の遅延ユニットと、第1のゲインユニットと、を備えていてもよい。第1の遅延ユニットは、第1の主遅延(第1の遅延)を、第1の抑制入力信号のローパス部分、ハイパス部分、バンドパス部分等の、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に適用してもよい。その後、第1のゲインユニットは、第1の遅延ユニットからの遅延した第1の抑制入力信号に対して、第1の主ゲイン/第1の主フィルタ(第1のゲイン)を適用してもよい。第1のゲインユニットの出力は、第1の主出力信号を形成する。第1の主出力信号は、第1の抑制出力信号を形成してもよい。第1の遅延ユニット/第1の遅延及び/又は第1のゲインユニット/第1のゲインは、任意で抑制器コントローラからの制御信号により制御される。第1の遅延ユニットは第1のゲインユニットの後段に配置されてもよい。即ち、第1のゲインユニットの出力が第1の遅延ユニットの入力に供給されてもよい。
【0063】
主抑制部は、第2の遅延ユニットと、第2のゲインユニットと、を備えていてもよい。第2の遅延ユニットは、第2の主遅延(第2の遅延)を、第1の抑制入力信号のローパス部分、ハイパス部分、バンドパス部分等の、第1の抑制入力信号の少なくとも一部に適用してもよい。その後、第2のゲインユニットは、第2の遅延ユニットからの遅延した第1の抑制入力信号に対して、第2の主ゲイン/第2の主フィルタ(第2のゲイン)を適用してもよい。第2のゲインユニットの出力は、第2の主出力信号を形成する。第2の主出力信号は、第2の抑制出力信号を形成してもよい。第2の遅延ユニット/第2の遅延及び/又は第2のゲインユニット/第2のゲインは、任意で抑制器コントローラからの制御信号により制御される。第2の遅延ユニットは第2のゲインユニットの後段に配置されてもよい。即ち、第2のゲインユニットの出力が第2の遅延ユニットの入力に供給されてもよい。
【0064】
主抑制部は、抑制器加算器を備えていてもよい。抑制器加算器において、第1の主出力信号と第2の主出力信号とが加算、又はその他の手段で混合されて、第1の抑制出力信号が形成される。なお、主抑制部において、任意の数の遅延ユニット/ゲインユニットが実現されてもよいことが理解されよう。多数の遅延ユニット/ゲインユニットのペアを設けることで、周波数依存コム抑制が可能となる。第2の遅延ユニット/第2の遅延及び/又は第2のゲインユニット/第2のゲインは、任意で抑制器コントローラからの制御信号により制御される。
【0065】
聴覚装置は、フィルタバンクと、第2の加算器と、を備えていてもよい。フィルタバンクは、プロセッサ出力信号に対してフィルタリングを行って、少なくとも第1のフィルタ出力信号と第2のフィルタ出力信号とを形成するために、プロセッサに接続されていてもよい。第1の加算器は、第1のフィルタ出力信号を受信するように構成されていてもよい。即ち、第1のフィルタ出力信号が第1の加算器に供給されてもよい。第2の加算器は、第2のフィルタ出力信号と第1の加算器出力信号とを受信するように構成されていてもよい。即ち、第2のフィルタ出力信号は、第1の加算器出力信号とともに、第2の加算器に供給されてもよい。第2の加算器は、第2の加算器出力信号をレシーバに提供するためにレシーバに接続されていてもよい。これにより、コム抑制器は、選択された周波数又は(1又は複数の)周波数帯で動作することができる。第1のフィルタ出力信号は、例えば500Hzから1500Hzの範囲内にあるカットオフ周波数によるローパス信号であってもよい。第2のフィルタ出力信号は、例えばローパスフィルタのカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数によるハイパス信号であってもよい。
【0066】
聴覚装置を作動させる方法において、聴覚装置は、本明細書に記載の聴覚装置であってもよい。
【0067】
方法において、音響入力を第1の入力信号に変換するステップは、音声入力を第1のマイクロフォン信号と第2のマイクロフォン信号とに変換するステップと、第1のマイクロフォン信号と第2のマイクロフォン信号とに基づくビームフォーム信号を形成するステップと、を備えていてもよい。ビームフォーム信号は、第1の入力信号を形成する。
【0068】
方法において、第1の抑制入力信号は、第1の入力信号、第1の加算器出力信号、プロセッサ出力信号から選択されてもよい。従って、第1の抑制入力信号は、第1の入力信号、第1の加算器出力信号、又は、プロセッサ出力信号を含んでもよいし、第1の入力信号、第1の加算器出力信号、又は、プロセッサ出力信号に基づくものであってもよい。
【0069】
方法は、第1の遅延及び/又は例えば第1のゲインである第1のフィルタを制御するステップを含んでもよい。第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するステップは、入力モジュールからの入力信号及び/又はプロセッサからの制御信号に基づくものであってもよい。方法は、例えば入力モジュールからの入力信号及び/又はプロセッサからの制御信号に基づいて、第1の遅延及び/又は例えば第1のゲインである第1のフィルタを決定するステップを備えていてもよい。
【0070】
図1は例示的な聴覚装置を示す。この聴覚装置2は、第1の入力信号6を提供するための入力モジュール4を備える。入力モジュール4は、第1のマイクロフォン信号10を提供するための第1のマイクロフォン8を備える。第1のマイクロフォン信号10が第1の入力信号6として使用されてもよい。入力モジュール4は、第2のマイクロフォン12及び第1のビームフォーマ14を任意で備える。第1のビームフォーマ14は、第1のマイクロフォン8及び第2のマイクロフォン12に接続されている。第1のビームフォーマ14は、第1の入力信号6としての第1のビームフォーム信号16を提供するように構成されている。第1のビームフォーム信号16は、第1のマイクロフォン信号10及び第2のマイクロフォン信号18に基づく。
【0071】
聴覚装置2は、第1の入力信号6を処理し、第1の入力信号6に基づくプロセッサ出力信号22を提供するためのプロセッサ20を備える。
【0072】
聴覚装置2は、さらに、第1の抑制入力信号28を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号26を提供するためのコム抑制器24を備える。コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1と、第1のゲインg_1を有する第1のフィルタと、を適用するように構成されている。
【0073】
聴覚装置2は、コム抑制器24に接続される第1の加算器30を備える。第1の加算器30は、プロセッサ出力信号22及び第1の抑制出力信号26の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号32を提供するように構成されている。聴覚装置2は、第1の加算器出力信号32に基づく出力信号を音声出力信号に変換するレシーバ34を備える。
【0074】
コム抑制器24は主抑制部36を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28としての第1の入力信号6を受信するために入力モジュール4に接続されている愛1の主入力を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1としての第1の主遅延と、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインと、を適用するように構成されている。このため、第1の主出力信号が第1の抑制入力信号に基づいて形成される。聴覚装置2において、主抑制部36からの第1の主出力信号が第1の抑制出力信号26を形成する。
【0075】
第1のゲインg_1は、例えば0.5〜1.0の範囲である音響経路のゲインと同一である。
【0076】
第1の遅延d_1は、聴覚装置における遅延の2倍程度である。聴覚装置における遅延は、ハードウェア遅延と、聴覚装置処理に関連する遅延と、を含む。ハードウェア遅延の例としては、トランスデューサ及びD/Aコンバータによる遅延が挙げられる。
【0077】
図2は例示的な聴覚装置を示す。この聴覚装置2Aは、第1の入力信号6を提供するための入力モジュール4を備える。入力モジュール4は、第1のマイクロフォン信号10を提供するための第1のマイクロフォン8を備える。第1のマイクロフォン信号10が第1の入力信号6として使用されてもよい。入力モジュール4は、第2のマイクロフォン12及び第1のビームフォーマ14を任意で備える。第1のビームフォーマ14は、第1のマイクロフォン8及び第2のマイクロフォン12に接続される。第1のビームフォーマ14は、第1の入力信号6としてのビームフォーム信号16を提供するように構成されている。第1のビームフォーム信号16は、第1のマイクロフォン信号10及び第2のマイクロフォン信号18に基づく。
【0078】
聴覚装置2Aは、第1の入力信号6を処理するための、及び/又は、第1の入力信号6に基づくプロセッサ出力信号22を提供するための、プロセッサ20を備える。
【0079】
また、聴覚装置2Aは、第1の抑制入力信号28を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号26を提供するためのコム抑制器24を備える。コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1と、第1のゲインg_1を有する第1のフィルタと、を適用するように構成されてる。
【0080】
聴覚装置2Aは、コム抑制器24に接続される第1の加算器30を備える。第1の加算器30は、プロセッサ出力信号22及び第1の抑制出力信号26の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号32を提供するように構成されている。聴覚装置2Aは、第1の加算器出力信号32に基づく出力信号を音声出力信号に変換するためのレシーバ34を備える。
【0081】
コム抑制器24は主抑制部36を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28としてのプロセッサ出力信号22を受信するためにプロセッサ20に接続されている第1の主入力を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1としての第1の主遅延と、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインと、を適用するように構成されてる。これにより、第1の主出力信号が第1の抑制入力信号に基づいて形成される。聴覚装置2Aにおいて、主抑制部36からの第1の主出力信号が第1の抑制出力信号26を形成する。
【0082】
第1のゲインg_1は、音響経路と聴覚装置経路の差分である。即ちg_1=g_acoustic-G
hearing deviceとなる。例えば、聴覚装置のゲインが+20dBに設定され(動作し)、音響経路のゲインが−6dBである場合、g_1は−26dBとなる。
【0083】
第1の遅延d_1は、聴覚装置における遅延と同程度である、又は、等しい。聴覚装置における遅延は、ハードウェア遅延と、聴覚装置処理に関連する遅延と、を含む。ハードウェア遅延の例としては、トランスデューサ及びD/Aコンバータによる遅延が挙げられる。
【0084】
図3は例示的な聴覚装置を示す。この聴覚装置2Bは、第1の入力信号6を提供するための入力モジュール4を備える。入力モジュール4は、第1のマイクロフォン信号10を提供するための第1のマイクロフォン8を備える。第1のマイクロフォン信号10が第1の入力信号6として使用されてもよい。入力モジュール4は、第2のマイクロフォン12及び第1のビームフォーマ14を任意で備える。第1のビームフォーマ14は、第1のマイクロフォン8及び第2のマイクロフォン12に接続される。第1のビームフォーマ14は、第1の入力信号6としてのビームフォーム信号16を提供するように構成されている。第1のビームフォーム信号16は、第1のマイクロフォン信号10及び第2のマイクロフォン信号18に基づく。
【0085】
聴覚装置2Bは、第1の入力信号6を処理するための、及び/又は、第1の入力信号6に基づくプロセッサ出力信号22を提供するための、プロセッサ20を備える。
【0086】
また、聴覚装置2Bは、第1の抑制入力信号28を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号26を提供するためのコム抑制器24を備える。コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1と、第1のゲインg_1を有する第1のフィルタと、を適用するように構成されている。
【0087】
聴覚装置2Bは、コム抑制器24に接続される第1の加算器30を備える。第1の加算器30は、プロセッサ出力信号22及び第1の抑制出力信号26の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号32を提供するように構成されている。聴覚装置2Bは、第1の加算器出力信号32に基づく出力信号を音声出力信号に変換するためのレシーバ34を備える。
【0088】
コム抑制器24は主抑制部36を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28としての第1の加算器出力信号32を受信するために第1の加算器30に接続されている、第1の主入力を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1としての第1の主遅延と、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインと、を適用するように構成されている。このため、第1の主出力信号が第1の抑制入力信号に基づいて形成される。聴覚装置2Bにおいて、主抑制部36からの第1の主出力信号が第1の抑制出力信号26を形成する。
【0089】
コムフィルタリングの影響低減のため、聴覚装置2Bの合計伝達関数のパワースペクトルを以下の式のようにして、オールパスフィルタのように平坦にすることが求められる。
【0091】
ゲインg<1という条件であれば、この式を以下のように展開できる。
【0094】
上述の伝達関数の式では、右辺の第1項は、直接音のリークを表し、第2項は処理された音を表す。最終項は、フィードバックループのコム効果抑制による生成音を表す。右辺をH
1(ω)とすると、以下のとおりとなる。
【0097】
H
1(ω)から直接音要素を取り除いたH
1(ω)の残りの要素が、応答の大きさを一定にするために必要となる。サウンドプロセッサの伝達関数は(g * g-1)/ge
-jωτとなり、ゲインはG=(1-g
2)/gとなる。
【0098】
H
1(ω)の合計ゲインは1/g、即ち聴覚装置処理のゲインとなる。ゲインgは、コム抑制器の第1のゲインである。従って、第1の遅延d_1、即ちτはビームフォーミング及びサウンドプロセッサ等の信号プロセッサの合計遅延と等しい。第1のゲインg_1はgと等しい。安定性のため、ゲインgは任意で1.0未満であってもよい。従って、補聴器は所定のゲインを有する。例えば、聴覚装置に対する1dBのゲインは、g=0.89と等価である。
【0099】
第1のゲインg_1は以下のように表されてもよい。
【0101】
式中、Gは聴覚装置のゲインであるか、一つ以上の聴覚装置ゲインG_1、G_2,…の関数である。
【0102】
図4は例示的な聴覚装置を示す。この聴覚装置2Cは、第1の入力信号6を提供するための入力モジュール4を備える。入力モジュール4は、第1のマイクロフォン信号10を提供するための第1のマイクロフォン8を備える。第1のマイクロフォン信号10が第1の入力信号6として使用されてもよい。入力モジュール4は、第2のマイクロフォン12及び第1のビームフォーマ14を任意で備える。第1のビームフォーマ14は、第1のマイクロフォン8及び第2のマイクロフォン12に接続される。第1のビームフォーマ14は、第1の入力信号6としてのビームフォーム信号16を提供するように構成されている。第1のビームフォーム信号16は、第1のマイクロフォン信号10及び第2のマイクロフォン信号18に基づく。
【0103】
聴覚装置2Cは、第1の入力信号6を処理するための、及び/又は、第1の入力信号6に基づくプロセッサ出力信号22を提供するための、プロセッサ20を備える。
【0104】
また、聴覚装置2Cは、第1の抑制入力信号28を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号26を提供するためのコム抑制器24を備える。コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1と、第1のゲインg_1を有する第1のフィルタと、を適用するように構成されている。
【0105】
聴覚装置2Cは、コム抑制器24に接続される第1の加算器30を備える。第1の加算器30は、プロセッサ出力信号22及び第1の抑制出力信号26の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号32を提供するように構成されている。聴覚装置2Cは、第1の加算器出力信号32に基づく出力信号を音声出力信号に変換するためのレシーバ34を備える。
【0106】
コム抑制器24は、主抑制部36を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28としての第1の入力信号6を受信するために入力モジュール4に接続されている第1の主入力を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1としての第1の主遅延と、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインと、を適用するように構成されている。このため、第1の主出力信号が第1の抑制入力信号に基づいて形成される。聴覚装置2Cにおいて、主抑制部36からの第1の主出力信号が第1の抑制出力信号26を形成する。
【0107】
第1の遅延d_1と、第1のゲインg_1は、聴覚装置2Bと同様である。
【0108】
聴覚装置2Cのコム抑制器24は、主抑制部36に接続され、制御信号42を介して主抑制部36の第1の遅延d_1及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている抑制器コントローラ40を備える。一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の遅延は、例えば製造段階にて事前に設定され、抑制器コントローラは、主抑制部の第1のフィルタ(第1のゲイン)を制御するように構成されている。任意であるが、
図4に示されるように、第1の抑制入力信号28はコントローラ入力信号として抑制器コントローラ40に供給され、抑制器コントローラ40は、第1の抑制入力信号28に基づいて、主抑制部36を制御するように構成されている。
【0109】
聴覚装置2Cにおいて、入力モジュール4は、外耳道入力信号46を提供するための外耳道マイクロフォン44を任意で備える。外耳道入力信号46は、入力モジュール4からの第2の入力信号48を形成する。第2の入力信号48は、第2の抑制入力信号50としてコム抑制器24(抑制器コントローラ40)に供給される。抑制器コントローラ40は、入力モジュール4からの第2の入力信号48(第2の抑制入力信号50)に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、外耳道入力信号46は、抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0110】
聴覚装置2Cにおいて、プロセッサ20は、プロセッサ20から、制御信号52をコム抑制器24に送るために、コム抑制器24に接続されている。制御信号52がプロセッサ20において適用されるプロセッサゲインG_1、G_2、…、G_Nの1つ以上を示すことは有利である(Nは、補聴器処理における周波数帯の数である)。任意であるが、抑制器コントローラ40は、プロセッサ20からの制御信号52に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、プロセッサ20からの制御信号52は抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0111】
図5は例示的な聴覚装置を示す。聴覚装置2Dは、第1の入力信号6を提供するための入力モジュール4を備える。入力モジュール4は、第1のマイクロフォン信号10を提供するための第1のマイクロフォン8を備える。第1のマイクロフォン信号10が第1の入力信号6として使用されてもよい。入力モジュール4は、第2のマイクロフォン12及び第1のビームフォーマ14を任意で備える。第1のビームフォーマ14は、第1のマイクロフォン8及び第2のマイクロフォン12に接続される。第1のビームフォーマ14は、第1の入力信号6としてのビームフォーム信号16を提供するように構成されている。第1のビームフォーム信号16は、第1のマイクロフォン信号10及び第2のマイクロフォン信号18に基づく。
【0112】
聴覚装置2Dは、第1の入力信号6を処理するための、及び/又は、第1の入力信号6に基づくプロセッサ出力信号22を提供するための、プロセッサ20を備える。
【0113】
また、聴覚装置2Dは、第1の抑制入力信号28を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号26を提供するためのコム抑制器24を備える。コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1と、第1のゲインg_1を有する第1のフィルタと、を適用するように構成されている。
【0114】
聴覚装置2Dは、コム抑制器24に接続される第1の加算器30を備える。第1の加算器30は、プロセッサ出力信号22及び第1の抑制出力信号26の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号32を提供するように構成されている。聴覚装置2Dは、第1の加算器出力信号32に基づく出力信号を音声出力信号に変換するためのレシーバ34を備える。
【0115】
コム抑制器24は主抑制部36を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28としての第1の加算器出力信号32を受信するために第1の加算器30に接続されている第1の主入力を備える。主抑制部36は、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に、第1の遅延d_1としての第1の主遅延と、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインと、を適用するように構成されている。このため、第1の主出力信号が第1の抑制入力信号に基づいて形成される。聴覚装置2Dにおいて、主抑制部36からの第1の主出力信号が第1の抑制出力信号26を形成する。
【0116】
聴覚装置2Dのコム抑制器24は、抑制器コントローラ40を備える。抑制器コントローラ40は、主抑制部36に接続され、制御信号42を介して主抑制部36の第1の遅延d_1及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の遅延は、例えば製造段階にて事前に設定され、抑制器コントローラは主抑制部の第1のフィルタ(第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0117】
聴覚装置2Dにおいて、入力モジュール4は、外耳道入力信号46を提供するための外耳道マイクロフォン44を任意で備える。外耳道入力信号46は、入力モジュール4からの第2の入力信号48を形成する。第2の入力信号48は、第2の抑制入力信号50としてコム抑制器24(抑制器コントローラ40)に供給される。抑制器コントローラ40は、入力モジュール4からの第2の入力信号48(第2の抑制入力信号50)に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、外耳道入力信号46は、抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0118】
聴覚装置2Dにおいて、プロセッサ20は、プロセッサ20から、制御信号52を第3抑制器入力信号としてコム抑制器24に送るために、コム抑制器24に接続されている。制御信号52がプロセッサ20において適用されるプロセッサゲインG_1、G_2、…、G_Nの1つ以上を示すことは有利である(Nは、補聴器処理における周波数帯の数である)。任意であるが、抑制器コントローラ40は、プロセッサ20からの制御信号52に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、プロセッサ20からの制御信号52は抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0119】
任意であるが、
図5に示されるように、入力モジュールからの第1の入力信号6が、抑制器コントローラ40にコントローラ入力信号(コム抑制器24への第4の抑制入力信号)として供給され、抑制器コントローラ40は、第1の入力信号6に基づいて、主抑制部36(第1の遅延及び/又は第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0120】
図6は例示的な聴覚装置を示す。この聴覚装置2Eは、コム抑制器におけるコントローラ入力信号として、プロセッサ出力信号22を使用する。コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28として第1の加算器出力信号32を受信する。コム抑制器24は、抑制器コントローラ40を備える。抑制器コントローラ40は、主抑制部36に接続され、制御信号42を介して、主抑制部36の第1の遅延d_1及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の遅延は、例えば製造段階にて事前に設定され、抑制器コントローラは主抑制部の第1のフィルタ(第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0121】
聴覚装置2Eにおいて、入力モジュール4は、外耳道入力信号46を提供するための外耳道マイクロフォン44を任意で備える。外耳道入力信号46は、入力モジュール4からの第2の入力信号48を形成する。第2の入力信号48は、第2の抑制入力信号50としてコム抑制器24(抑制器コントローラ40)に供給される。抑制器コントローラ40は、入力モジュール4からの第2の入力信号48(第2の抑制入力信号50)に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、外耳道入力信号46は、抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0122】
聴覚装置2Eにおいて、プロセッサ20は、プロセッサ20から、制御信号52を第3抑制器入力信号としてコム抑制器24に送るために、コム抑制器24に接続されている。制御信号52がプロセッサ20において適用されるプロセッサゲインG_1、G_2、…、G_Nの1つ以上を示すことは有利である(Nは、補聴器処理における周波数帯の数である)。任意であるが、抑制器コントローラ40はプロセッサ20からの制御信号52に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、プロセッサ20からの制御信号52は抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0123】
任意であるが、
図6に示されるように、プロセッサ20からのプロセッサ出力信号22が、抑制器コントローラ40にコントローラ入力信号(コム抑制器24への第4の抑制入力信号)として供給され、抑制器コントローラ40は、プロセッサ出力信号22に基づいて、主抑制部36(第1の遅延及び/又は第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0124】
図7は例示的な聴覚装置を示す。この聴覚装置2Fは、コム抑制器24におけるコントローラ入力信号として、制御信号52及び第1の入力信号6を使用する。コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28としてプロセッサ出力信号22を受信する。コム抑制器24は、抑制器コントローラ40を備える。抑制器コントローラ40は、主抑制部36に接続され、制御信号42を介して、主抑制部36の第1の遅延d_1及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の遅延は、例えば製造段階にて事前に設定され、抑制器コントローラは主抑制部の第1のフィルタ(第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0125】
聴覚装置2Fにおいて、入力モジュール4は、外耳道入力信号46を提供するための外耳道マイクロフォン44を任意で備える。外耳道入力信号46は、入力モジュール4からの第2の入力信号48を形成する。第2の入力信号48は、第2の抑制入力信号50としてコム抑制器24(抑制器コントローラ40)に供給される。抑制器コントローラ40は、入力モジュール4からの第2の入力信号48(第2の抑制入力信号50)に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、外耳道入力信号46は、抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0126】
聴覚装置2Fにおいて、プロセッサ20は、プロセッサ20から、制御信号52を第3抑制器入力信号としてコム抑制器24に送るために、コム抑制器24に接続されている。制御信号52がプロセッサ20において適用されるプロセッサゲインG_1、G_2、…、G_Nの1つ以上を示すことは有利である(Nは、補聴器処理における周波数帯の数である)。任意であるが、抑制器コントローラ40は、プロセッサ20からの制御信号52に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、プロセッサ20からの制御信号52は抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0127】
任意であるが、
図7に示されるように、入力モジュール4からの第1の入力信号6が、抑制器コントローラ40にコントローラ入力信号(コム抑制器24への第4の抑制入力信号)として供給され、抑制器コントローラ40は、第1の入力信号6に基づいて、主抑制部36(第1の遅延及び/又は第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0128】
図8は例示的な聴覚装置を示す。この聴覚装置2Gは、フィルタバンク54と、第2の加算器56と、を備える。フィルタバンク54は、プロセッサ出力信号22を受信し、プロセッサ出力信号22に対してフィルタリングを行って、少なくとも第1のフィルタ出力信号58と第2のフィルタ出力信号60とを形成するために、プロセッサ20に接続されている入力を有する。第1の加算器30は、第1のフィルタ出力信号58を受信するように構成されている。即ち、第1のフィルタ出力信号58は第1の加算器30に供給される。第2の加算器56は、第2のフィルタ出力信号60と第1の加算器出力信号とを受信するように構成されている。即ち、第2のフィルタ出力信号60は、第1の加算器出力信号32とともに、第2の加算器56に供給される。第2の加算器56は、第2の加算器出力信号62をレシーバに提供するためにレシーバ34に接続されている。第1のフィルタ出力信号58は、例えば500Hzから1500Hzの範囲内にあるカットオフ周波数によるローパス信号である。第2のフィルタ出力信号60は、例えばローパスフィルタのカットオフ周波数と同一のカットオフ周波数によるハイパス信号である。
【0129】
コム抑制器24は、第1の抑制入力信号28として第1の加算器出力信号32を受信する。コム抑制器24は、抑制器コントローラ40を備える。抑制器コントローラ40は、主抑制部36に接続されており、制御信号42を介して主抑制部36の第1の遅延d_1及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の遅延は、例えば製造段階にて事前に設定され、抑制器コントローラは主抑制部の第1のフィルタ(第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0130】
聴覚装置2Gにおいて、入力モジュール4は、外耳道入力信号46を提供するための外耳道マイクロフォン44を任意で備える。外耳道入力信号46は、入力モジュール4からの第2の入力信号48を形成する。第2の入力信号48は、第2の抑制入力信号50としてコム抑制器24(抑制器コントローラ40)に供給される。抑制器コントローラ40は、入力モジュール4からの第2の入力信号48(第2の抑制入力信号50)に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、外耳道入力信号46は、抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0131】
聴覚装置2Gにおいて、プロセッサ20は、プロセッサ20から、制御信号52を第3抑制器入力信号としてコム抑制器24に送るために、コム抑制器24に接続されている。制御信号52がプロセッサ20において適用されるプロセッサゲインG_1、G_2、…、G_Nの1つ以上を示すことは有利である(Nは、補聴器処理における周波数帯の数である)。任意であるが、抑制器コントローラ40は、プロセッサ20からの制御信号52に基づいて、第1の遅延及び/又は第1のフィルタを制御するように構成されている。従って、プロセッサ20からの制御信号52は抑制器コントローラ40へのコントローラ入力信号を形成してもよい。
【0132】
任意であるが、
図8に示されるように、入力モジュール4からの第1の入力信号6が、抑制器コントローラ40にコントローラ入力信号(コム抑制器24への第4の抑制入力信号)として供給され、抑制器コントローラ40は、第1の入力信号6に基づいて、主抑制部36(第1の遅延及び/又は第1のゲイン)を制御するように構成されている。
【0133】
例えば聴覚装置2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2Gのうちの一つ以上における抑制器コントローラ40は、抑制器モードを判定し、抑制器モードが第1の抑制器モードである場合に、主抑制部において第1の抑制器スキームを適用し、抑制器モードが第2の抑制器モードである場合に、主抑制部において第2の抑制器スキームを適用するように構成されている。
【0134】
図9は、例えば、聴覚装置2、2A、2Bの例示的な主抑制部36を示す。主抑制部36は、第1の遅延ユニット64と、第1のゲインユニット66と、を備える。第1の遅延ユニット64は、第1の遅延d_1としての第1の主遅延を第1の抑制入力信号28に適用する。その後、第1のゲインユニット66は、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインを遅延した第1の抑制入力信号に適用する。第1のゲインユニット66の出力は、第1の抑制出力信号26を形成する。
【0135】
図1に示す聴覚装置2等の一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の主遅延は、聴覚装置における遅延の約2倍である。例えば、第1の主遅延は、4msから20msの範囲内であり、及び/又は、第1の主ゲインは、−1.5から−0.2の範囲内であって、例えば−1.1から−0.5の範囲内である。
【0136】
図2に示す聴覚装置2A等の一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の主遅延は、聴覚装置における遅延と同程度である。例えば、第1の主遅延は、2msから10msの範囲内であり、及び/又は、第1の主ゲインは、−1.5から−0.2の範囲内であって、例えば−1.1から−0.5の範囲内である。
【0137】
一つ以上の聴覚装置において、聴覚装置における遅延は、1msから2msの範囲内等、0.5msから2msの範囲内である。一つ以上の聴覚装置において、聴覚装置における遅延は、2msから10msの範囲内である。
【0138】
図3に示す聴覚装置2B等の一つ以上の例示的な聴覚装置において、第1の主遅延は、プロセッサ及びビームフォーミング処理における遅延と同程度である。例えば、第1の主遅延は2msから10msの範囲内であり、及び/又は、第1の主ゲインはg_1=(-G+√(G
2+4))/2として表される。式中、Gは聴覚装置のゲイン、又は、一つ以上の聴覚装置ゲインG_1、G_2,…の内の一つ以上の関数である。従って、第1のゲインは、一つ以上の聴覚装置ゲインの関数として与えられてもよい。
【0139】
図10は、例えば、聴覚装置2C、2D、2E、2F、2Gの例示的な主抑制部36を示す。主抑制部36は、第1の遅延ユニット64と、第1のゲインユニット66と、を備える。第1の遅延ユニット64は、第1の遅延d_1としての第1の主遅延を第1の抑制入力信号28に適用する。その後、第1のゲインユニット66は、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインを、遅延した第1の抑制入力信号に適用する。第1のゲインユニット66の出力は、第1の抑制出力信号26を形成する。第1の遅延ユニット64/第1の遅延d_1及び/又は第1のゲインユニット66/第1のゲインg_1は、抑制器コントローラからの制御信号42により制御される。
【0140】
図11は、例えば聴覚装置2C、2D、2E、2F、2Gの例示的な主抑制部36を示す。主抑制部36は、第1の遅延ユニット64と、第1のゲインユニット66と、を備える。第1の遅延ユニット64は、第1の遅延d_1としての第1の主遅延を、第1の抑制入力信号28に適用する。その後、第1のゲインユニット66は、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインを、遅延した第1の抑制入力信号に適用する。第1のゲインユニット66の出力は、第1の抑制出力信号26を形成する。第1のゲインユニット66/第1のゲインg_1は、抑制器コントローラからの制御信号42により制御される。
【0141】
図12は、例えば聴覚装置2C、2D、2E、2F、2Gの例示的な主抑制部36を示す。主抑制部36は、第1の遅延ユニット64と、第1のゲインユニット66と、を備える。第1の遅延ユニット64は、第1の遅延d_1としての第1の主遅延を、第1の抑制入力信号28に適用する。その後、第1のゲインユニット66は、第1のゲインg_1としての第1の主ゲインを、遅延した第1の抑制入力信号に適用する。第1のゲインユニット66の出力は、第1の主出力信号67を形成する。任意で、第1の遅延ユニット64/第1の遅延d_1及び/又は第1のゲインユニット66/第1のゲインg_1は、抑制器コントローラからの制御信号42により制御される。主抑制部36は、第2の遅延ユニット68と、第2のゲインユニット70と、を備える。第2の遅延ユニット68は、第2の主遅延を、第1の抑制入力信号28の少なくとも一部に適用する。その後、第2のゲインユニット70は、第2の主ゲイン/第2の主フィルタを、第2の遅延ユニット68からの遅延した第1の抑制入力信号に適用する。第2のゲインユニット70の出力は、第2の主出力信号72を形成する。第1の主出力信号67と第2の主出力信号72とは、抑制器加算器74において加算され、第1の抑制出力信号26が形成される。なお、主プロセッサ部分において、任意の数の遅延ユニット/ゲインユニットが実現されてもよいことが理解されよう。第2の遅延ユニット68/第2の遅延、及び/又は、第2のゲインユニット70/第2のゲインは、任意で抑制器コントローラからの制御信号42により制御される。
【0142】
図13は、聴覚装置2のコム抑制を示す。
図13B)は、聴覚装置2の処理部を示し、
図13C)は、聴覚装置2のコム抑制部を示す。主抑制部36において適用される(任意で、周波数依存である)ゲインは、鼓膜82において、第1の抑制出力信号26により生成される音圧80が、鼓膜82における直接音84の大きさと等しくなるように選択されるべきである。プロセッサ出力信号22は、鼓膜82における音圧86を生成する。
【0143】
直接音84は、外耳道、及び、その内部のあらゆる障害物により周波数が増幅(減衰)される。収音88から鼓膜82までの間の増幅を、g
Direct(ω)とも称し、直接音要素の位相をα
Direct=0と称する。
【0144】
マイクロフォン8,12による収音からレシーバ34による音声生成との間の信号処理により、処理遅延が生じる。これを直接音の位相に対するΔφ
Delay(ω)と表す。この遅延は周波数依存であり得る。レシーバ34と鼓膜82との間の位相シフトは、耳道の寸法/長さが波長よりも大幅に小さいことで、無視できる。
【0145】
従って、
図13B)における処理部では、g
Processed=g
Direct+
Δg
Delay(ω)及びg
Processed(ω)となる。
【0146】
図13C)のコム抑制部に対して、第1の抑制入力信号28は聴覚装置の処理遅延の2倍遅延されるべきである。信号は、フィルタを適用することで、直接音84に一致する。フィルタは、補償対象信号を直接音信号に一致させるものである。さらに、信号は反転されるべきである。
【0147】
従って、g
comb suppressor(ω)=−g
Direct(ω)が成立する。式中、g
comb suppressor(ω)は主抑制部36における周波数依存ゲインである。
図13では、記載されたゲインが全て振幅で示されており、dB単位ではない。さらに、
図13では、全てのゲインと位相は、収音88における信号に対する、鼓膜82で収音された信号の関係として定義される。
【0148】
以下の項目のいずれかに係る聴覚装置および方法もまた開示される。
【0149】
(項目1)第1の入力信号を提供するための入力モジュールであって、第1のマイクロフォンを備える前記入力モジュールと、前記第1の入力信号に基づくプロセッサ出力信号を提供するためのプロセッサと、第1の抑制入力信号を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号を提供するためのコム抑制器と、前記コム抑制器に接続されている第1の加算器であって、前記プロセッサ出力信号及び前記第1の抑制出力信号の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号を提供するように構成されている前記第1の加算器と、前記第1の加算器出力信号に基づく出力信号を音声出力信号に変換するためのレシーバと、を備え、前記コム抑制器は、前記第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第1の遅延と、第1のゲインを有する第1のフィルタと、を適用するように構成されている、聴覚装置。
【0150】
(項目2)前記コム抑制器は、主抑制部を備え、前記主抑制部は、前記第1の抑制入力信号を受信するために、前記入力モジュールに接続されている第1の主入力を備え、前記主抑制部は、第1の主出力信号を形成するために、前記第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、前記第1の遅延としての第1の主遅延と、前記第1のゲインとしての第1の主ゲインと、を適用するように構成されており、前記第1の主出力信号は、前記第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成する、項目1に記載の聴覚装置。
【0151】
(項目3)前記コム抑制器は、主抑制部を備え、前記主抑制部は、前記第1の抑制入力信号を受信するために、前記プロセッサに接続されている第1の主入力を備え、前記主抑制部は、第1の主出力信号を形成するために、前記第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、前記第1の遅延としての第1の主遅延と、前記第1のゲインとしての第1の主ゲインと、を適用するように構成されており、前記第1の主出力信号は、前記第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成する、項目1に記載の聴覚装置。
【0152】
(項目4)前記コム抑制器は、主抑制部を備え、前記主抑制部は、前記第1の抑制入力信号を受信するために、前記第1の加算器の出力に接続されている第1の主入力を備え、前記主抑制部は、第1の主出力信号を形成するために、前記第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、前記第1の遅延としての第1の主遅延と、前記第1のゲインとしての第1の主ゲインと、を適用するように構成されおり、前記第1の主出力信号は、前記第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成する、項目1に記載の聴覚装置。
【0153】
(項目5)前記コム抑制器は、前記第1の遅延及び前記第1のフィルタを制御するように構成されている抑制器コントローラを備える、項目1から4のいずれか一項に記載の聴覚装置。
【0154】
(項目6)前記コム抑制器は、抑制器コントローラを備え、前記抑制器コントローラは、前記第1の入力信号に基づいて、前記主抑制部を制御するように構成されている、項目2から4のいずれか一項に従属する聴覚装置。
【0155】
(項目7)前記抑制器コントローラは、前記第1の遅延及び前記第1のフィルタを制御するように構成されている、項目6に記載の聴覚装置。
【0156】
(項目8)前記入力モジュールは、外耳道入力信号を提供するための外耳道マイクロフォンを備え、前記抑制器コントローラは、前記入力モジュールからの第2の入力信号に基づいて、前記第1の遅延及び前記第1のフィルタを制御するように構成されており、前記外耳道入力信号が前記第2の入力信号である、項目7に記載の聴覚装置。
【0157】
(項目9)前記抑制器コントローラは、前記プロセッサからの制御信号に基づいて、前記第1の遅延及び前記第1のフィルタを制御するように構成されている、項目5に記載の聴覚装置。
【0158】
(項目10)前記コム抑制器は、抑制器コントローラを備え、前記抑制器コントローラは抑制器モードを判定し、前記抑制器モードが第1の抑制器モードである場合に、第1の抑制器スキームを適用し、前記抑制器モードが第2の抑制器モードである場合に、第2の抑制器スキームを適用するように構成されている、項目1から4のいずれか一項に記載の聴覚装置。
【0159】
(項目11)前記主抑制部は、第2の主出力信号を形成するために、前記第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第2の主遅延と第2の主フィルタとを適用するように構成されており、前記第2の主出力信号は、前記第1の抑制出力信号の少なくとも一部を形成する、項目2から4のいずれか一項に記載の聴覚装置。
【0160】
(項目12)前記入力モジュールは、第2のマイクロフォンと第1のビームフォーマとを備え、前記第1のビームフォーマは、前記第1のマイクロフォン及び前記第2のマイクロフォンに接続されており、前記第1の入力信号としての第1及び第2のマイクロフォン信号に基づくビームフォーム信号を提供するように構成されている、項目1から4のいずれか一項に記載の聴覚装置。
【0161】
(項目13)前記聴覚装置は、フィルタバンクと第2の加算器とを備え、前記フィルタバンクは、前記プロセッサ出力信号をフィルタリングして少なくとも第1のフィルタ出力信号と第2のフィルタ出力信号とを形成するために、前記プロセッサに接続されており、前記第1の加算器は、前記第1のフィルタ出力信号を受信するように構成されており、前記第2の加算器は、前記第2のフィルタ出力信号と前記第1の加算器出力信号とを受信するように構成されており、前記第2の加算器は、前記レシーバに第2の加算器出力信号を提供するために前記レシーバに接続されている、項目1から4のいずれか一項に記載の聴覚装置。
【0162】
(項目14)入力モジュール及びプロセッサを備える聴覚装置を作動させる方法であって、音声入力を第1の入力信号に変換するステップと、前記第1の入力信号に基づくプロセッサ出力信号を提供するステップと、第1の抑制入力信号を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号を提供するステップであって、第1の遅延と、第1のゲインを有する第1のフィルタと、を第1の抑制入力信号の少なくとも一部に適用する、ステップと、前記プロセッサ出力信号の少なくとも一部と、前記第1の抑制出力信号と、に基づく第1の加算器出力信号を提供するステップと、前記第1の加算器出力信号に基づく出力信号を音声信号に変換するステップと、を備える方法
【0163】
(項目15)前記第1の抑制入力信号は、前記第1の入力信号を備える、又は、前記第1の入力信号に基づく、項目14に記載の方法。
【0164】
(項目16)前記第1の抑制入力信号は、前記第1の加算器出力信号を備える、又は、前記第1の加算器出力信号に基づく、項目14又は15に記載の方法。
【0165】
(項目17)前記第1の抑制入力信号は、前記プロセッサ出力信号を備える、又は、前記プロセッサ出力信号に基づく、項目14から16のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
(項目18)方法は、さらに、前記入力モジュールからの入力信号に基づいて、前記第1の遅延及び前記第1のフィルタを制御するステップを備える、項目14から17のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
(項目19)方法は、さらに、前記プロセッサからの入力信号に基づいて、前記第1の遅延及び前記第1のフィルタを制御するステップを備える、項目14から18のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
(項目20)第1の入力信号を提供するための入力モジュールであって、第1のマイクロフォンを備える前記入力モジュールと、前記第1の入力信号に基づくプロセッサ出力信号を提供するためのプロセッサと、第1の抑制入力信号を含む一つ以上の抑制入力信号に基づく第1の抑制出力信号を提供するための抑制器と、抑制器に接続されている第1の加算器であって、前記プロセッサ出力信号及び前記第1の抑制出力信号の少なくとも一部に基づく第1の加算器出力信号を提供するように構成されている前記第1の加算器と、前記第1の加算器出力信号に基づく出力信号を音声出力信号に変換するレシーバと、を備え、前記抑制器は、前記第1の抑制入力信号の少なくとも一部に、第1の遅延と、第1のゲインを有する第1のフィルタと、を適用するように構成されている、聴覚装置。
【0169】
(項目21)前記抑制器は、コム抑制器を備える、項目20に記載の聴覚装置。
【0170】
「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等の用語が使用されているが、特に順番を示すわけではなく、各要素の識別のために使用されている。また、第1、第2等の用語の使用は何らかの順序や重要性を示すものではなく、各要素を互いに識別するために使用される。また、本明細書及びその他で使用される第1及び第2のような用語は、あくまで名称として付されるものであって、何らかの特定の空間的、時間的順序を示すものではない。さらに、第1(2)の要素という名称が付されていても、必ずしも第2(1)の要素の存在が示唆されているわけではない。
【0171】
特徴を示し、記載してきたが、これらの特徴は、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図していないことが理解され、特許請求の範囲に記載された発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更および改変が行われてもよいことが当業者に明らかになるだろう。従って、明細書および図面は、限定するという観点ではなく、実例であると考えるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替例、改変および均等物を包含することを意図している。