特許第6959922号(P6959922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959922
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品のための端片
(51)【国際特許分類】
   A24F 13/02 20060101AFI20211025BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20211025BHJP
   A24F 13/16 20060101ALI20211025BHJP
   A24F 42/60 20200101ALI20211025BHJP
【FI】
   A24F13/02 A
   A24F47/00
   A24F13/16
   A24F42/60
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-533792(P2018-533792)
(86)(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公表番号】特表2019-505198(P2019-505198A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】IB2016057390
(87)【国際公開番号】WO2017115181
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年11月12日
(31)【優先権主張番号】15202949.2
(32)【優先日】2015年12月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ロホ−カルデロン ノエリア
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04289149(US,A)
【文献】 実開昭59−154092(JP,U)
【文献】 特表2015−509706(JP,A)
【文献】 実開平05−091392(JP,U)
【文献】 米国特許第03362415(US,A)
【文献】 特開昭63−214173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 13/02
A24F 47/00
A24F 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品の熱源の上に配置される端片であって、前記端片が、
前記エアロゾル発生物品を受けるように構成される穴を画定する本体と、
前記熱源の少なくとも一部分を囲むように、かつ空気が前記熱源にアクセスできるように構成され、壁と前記壁を貫通する1つ以上の開口部を含む、カゴと、
前記エアロゾル発生物品が、前記穴を通じて摺動するのに従って、前記熱源の遠位端と係合するように配置される停止部であって、前記熱源の前記遠位端が、前記カゴを越えて進むことを防ぐように構成される、停止部と、
前記停止部の下流かつ前記カゴの壁を貫通する1つ以上の開口部の上流にある前記カゴの内側表面から延在するシールであって、前記エアロゾル発生物品を囲み、かつ前記エアロゾル発生物品と接触するように配置され、また前記熱源から放出される燃焼生成物が前記エアロゾル発生物品を通して引き出された空気に混入することを防ぐように、または制限するように構成される、シールと、を含む、端片。
【請求項2】
前記カゴが、前記熱源の外径より大きい内径を有する穴を前記エアロゾル発生物品が前記穴を通じて摺動する方向に沿って画定し、前記停止部の少なくとも一部分が、前記摺動する方向に対して垂直な方向に前記穴の内径から前記穴の中心に向かって前記穴の半径より短い距離で延びている、請求項1に記載の端片。
【請求項3】
前記停止部が、前記カゴの遠位端と結合する、請求項1または2のいずれか1項に記載の端片。
【請求項4】
前記停止部が、前記カゴの少なくとも一部分と一体的に形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の端片。
【請求項5】
前記カゴが、壁を貫通する1つ以上の穴を画定する前記壁を含み、前記開口部が、前記シールの下流にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の端片。
【請求項6】
前記シールが、前記熱源の前記遠位端が前記停止部と係合した時に、前記熱源の下流の前記エアロゾル発生物品と係合するように配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の端片。
【請求項7】
前記カゴが、前記本体の周りに摺動可能に配置される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の端片。
【請求項8】
前記本体が、フランジを含み、前記カゴが、前記カゴが前記本体の上を遠位に進むのに従って、前記フランジと係合するように構成される近位停止部を含む、請求項7に記載の端片。
【請求項9】
前記本体が、締まりばめによって前記エアロゾル発生物品と係合するように構成される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の端片。
【請求項10】
前記エアロゾル発生物品が、前記端片内に受けられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の端片と、前記熱源を有する前記エアロゾル発生物品と、を含む組立品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生物品が、前記端片内に受けられ、前記エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生基体を含み、前記シールの下流の前記1つ以上の穴が、前記エアロゾル発生基体に隣接して配置される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の端片と、前記熱源を有する前記エアロゾル発生物品と、を含む組立品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生物品が、前記端片によって受けられるように構成される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の端片と、熱源を有する1つ以上のエアロゾル発生物品と、を含むキット。
【請求項13】
前記エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生基体を含み、前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル発生基体を燃焼することなく、前記熱源から前記エアロゾル発生基体へと熱を伝達するように構成される、請求項10もしくは請求項11に記載の組立品。
【請求項14】
前記エアロゾル発生基体がたばこを含む、請求項13に記載の組立品。
【請求項15】
前記エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生基体を含み、前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル発生基体を燃焼することなく、前記熱源から前記エアロゾル発生基体へと熱を伝達するように構成される、請求項12に記載のキット。
【請求項16】
前記エアロゾル発生基体がたばこを含む、請求項15に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生基体を加熱するための可燃性熱源を有するエアロゾル発生物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当技術分野において提唱されてきた。このような「加熱式」喫煙物品の1つの目的は、従来的な紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプのある特定の煙成分を低減することである。
【0003】
加熱式喫煙物品の1つの公知のタイプにおいて、エアロゾルは可燃性熱源から物理的に分離されたエアロゾル発生基体(例えば、たばこ含有基体)への熱伝達によって生成される。エアロゾル発生基体は可燃性熱源の中、周り、または下流に位置してもよい。使用時に、揮発性化合物は、可燃性熱源からの熱伝達によりエアロゾル発生基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは、凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0004】
エアロゾル発生物品(例えば、加熱式喫煙物品)は、可燃性熱源がブラインドであるように、構成されてもよく、そのことは、喫煙物品を通して引き出された空気に混入する熱源の燃焼から放出された揮発性化合物の量または数を制限しうる。ブラインド可燃性熱源を有する加熱式喫煙物品は、主に伝導によって熱をエアロゾル発生基体に伝達しうる。加熱式喫煙物品はまた、熱源が非ブラインドであるように構成されてもよい。非ブラインド可燃性熱源を有する加熱式喫煙物品は、主に熱源を通じて1つ以上の気流チャネルを通る対流によって、エアロゾル発生基体に熱を伝達し、それにより、熱源からの揮発性化合物が喫煙物品を通して引き出された空気に混入することを可能にする。加熱式喫煙物品の1つの目的は、燃焼を介して生成された一定の煙成分を減少することであるので、ブラインド熱源を用いる加熱式喫煙物品が好ましい。
【0005】
公開されたPCT特許出願WO−A2−2009/022232号は、非ブラインド熱源を有する加熱式喫煙物品の実施例を開示する。WO−A2−2009/022232号で開示される加熱式喫煙物品は、可燃性熱源、可燃性熱源の下流のエアロゾル発生基体と、可燃性熱源の後方部分およびエアロゾル発生基体の隣接する前方部分の周りにあり、かつそれらと接触する熱伝導性要素と、を備える。気流チャネルは、空気がマウスピースに向かって下流にチャネルを通して引き出されうるように、熱源を通って延在する。
【0006】
エアロゾル発生物品が、ブラインドまたは非ブラインド可燃性熱源を含むかどうかにかかわらず、熱源は、空気と直接的に接触して、適切に燃焼することを要求しうる。したがって、エアロゾル発生物品は、熱源が、使用時にユーザー、およびそれらの周囲に露出されるように、製造されうる。しかし、可燃性熱源の温度は、燃焼時に極めて高くなりうる。例えば、燃焼の間の熱源の温度は、600℃より高くなりうる。
【0007】
本発明の実施例の1つの目的は、可燃性熱源を有するエアロゾル発生物品のユーザーまたはそれらの環境がそれに露出されうる、露出される要素の温度を下げることである。本発明の実施例の別の目的は、ユーザーまたはそれらの環境がそれに露出されうる露出される要素の温度を減少する一方で、ブラインド熱源を維持することである。
【発明の概要】
【0008】
種々の態様において、本発明は、端片をエアロゾル発生物品の熱源にわたって位置決めすることを提供する。端片は、エアロゾル発生物品を受ける(例えば、摺動可能に受ける)ように構成される穴を画定する本体を含む。端片はまた、熱源の少なくとも一部分を囲むように、かつ空気が熱源にアクセスすることを可能にするように構成されるカゴを含む。端片は、エアロゾル発生物品が穴を通じて摺動するのに従って、熱源の遠位端と係合するように配置される停止部をさらに含む。停止部は、熱源の遠位端がカゴを越えて進むことを防ぐように構成される。端片は随意的に、停止部の下流のカゴの内側表面から延在するシールを含みうる。シールは、エアロゾル物品を囲み、かつエアロゾル物品と接触するように配置され、また熱源から放出された燃焼生成物がエアロゾル発生物品を通して引き出された空気に混入することを防ぐように、または制限するように構成される。
【0009】
「エアロゾル発生物品」という用語は、ユーザーにより吸入されうるエアロゾルを形成する揮発性化合物を放出するエアロゾル発生基体を含む物品を意味する。「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱されると揮発性化合物を放出することが可能な物質であって、エアロゾルを形成することができるものを意味する。本発明による物品のエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0010】
「遠位」「上流」「近位」および「下流」という用語は、エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品は、使用時にユーザーに送達するためにエアロゾルが物品を抜け出る近位端と、対向する遠位端と、を有する。エアロゾル発生物品の近位端は口側の端と呼ばれることもある。使用時に、エアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生物品の近位端を吸い込む。上流および下流という用語は、ユーザーが近位端を吸い込んだ時のエアロゾル発生物品を通るエアロゾルの移動の方向に関連する。
【0011】
本発明によるエアロゾル発生物品および端片の種々の態様は、可燃性熱源を含む現時点で入手可能なエアロゾル発生物品に関連する1つ以上の利点を持ちうる。例えば、本発明による端片は、喫煙者または喫煙者の周囲環境が高温の可燃性熱源と接触することから保護するための、使用がシンプルなバリアを提供しうる。熱源を囲む端片のカゴは、カゴの温度が燃焼した熱源の温度よりも低くなるように、熱源から分離されていてもよい。カゴはまた、燃焼した熱源と比較して、効率的に熱を放散してカゴの温度を下げるように構成されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による端片は、燃焼の間に熱源から放出された一定の数または量の揮発性化合物がエアロゾル発生物品を通して引き出され、またユーザーによって吸入される空気に混入することを防ぎ、または減少させるように構成される。端片は、カゴの内側表面から延在し、また熱源と、例えば、エアロゾル発生基体との間でエアロゾル発生物品を囲み、かつ封止するように配置されるシールを含み、それにより、燃焼の間に熱源から放出された揮発性化合物がエアロゾル発生物品を通して引き出された空気に混入することを制限しうる。本明細書で説明したエアロゾル発生物品の1つ以上の態様のさらなる利点は、本開示を読み理解することで当業者に明らかとなるであろう。
【0012】
本発明は、エアロゾル発生基体を加熱するための可燃性熱源を有するエアロゾル発生物品と、その熱源にわたって位置決めされる端片に関連する。端片は、熱源の少なくとも一部分を囲むように、かつ空気が熱源にアクセスすることを可能にするように構成されるカゴを含む。使用時に、カゴの温度は、燃焼の間、熱源よりも実質的に低い。したがって、エアロゾル発生物品のユーザーが晒されうる要素の温度は、低下する。
【0013】
端片は本体を含む。本体は、可燃性熱源を有するエアロゾル発生物品を摺動可能に受けるための穴を画定する。穴は、本体の内側表面を画定する。本体の内側表面の少なくとも一部分は、物品が穴に受けられた時にエアロゾル発生物品と係合することが好ましい。例えば、本体の内側表面は、締まりばめによってエアロゾル発生物品と係合するように構成される、1つ以上の戻り止めを画定しうる。さらに、または別の方法として、穴は、その長さに沿ってエアロゾル発生物品と係合するようにサイズ設定されうる。別の方法として、穴内に配置される1つ以上の追加的な要素が、エアロゾル発生物品と係合していてもよい。本体の内側表面がエアロゾル発生物品と係合するように構成されるかどうか、または穴内の追加的な要素がエアロゾル発生物品と係合するように構成されるかどうかにかかわらず、エアロゾル発生物品は、使用時に、本体に対して長手方向の位置に保持されることが好ましい。エアロゾル発生物品は、最小限の力で、穴に挿入可能であり、または穴から取り外し可能であることが好ましい。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーによって容易に、穴に挿入され、または穴から引き出されうる。
【0014】
本体は、適切な任意の材料または材料の組み合わせで形成されうる。例えば、本体は、熱可塑性ポリマーなどのポリマーを含む材料、またはアルミニウムもしくはステンレス鋼などの金属を含む材料、またはセラミック材料から形成されうる。さらに、または別の方法として、本体は、例えば、木製の材料またはカーボンファイバー材料またはガラスファイバー材料で形成されうる。本体を形成するために用いられうる好適なポリマー材料の例としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0015】
カゴおよび本体は、単一の部品から形成されうる。別の方法として、カゴおよび本体は別個の部品から形成されうる。カゴおよび本体は、別個の部品から形成されることが好ましい。
【0016】
カゴは、本体の周りに摺動可能に配置され、それによって、端片が保存時によりコンパクトなサイズを有し、また使用時に細長いサイズを有することができることが好ましい。摺動可能なカゴおよび本体は、カゴが偶発的に本体から滑り落ちることを防ぐように、構成されることが好ましい。例えば、本体は、カゴの近位停止部と係合して、またはカゴに取り付けられて、カゴが本体から遠位に滑り落ちることを防ぐ、遠位フランジを含んでもよい。本体はまた、例えば、近位停止部と係合して、カゴが本体から近位に滑り落ちることを防ぐ、近位フランジを含んでもよい。
【0017】
カゴは、長手方向軸およびエアロゾル発生物品の熱源の外径より大きい内径を有する穴を画定する。一部の実施例では、穴径は、エアロゾル発生物品の外径の長さと同様でありうる。物品は、穴内に摩擦ばめを用いて保持されうる。先細の開口部またはチャンバーが、提供され、それによりエアロゾル発生物品の挿入を容易にすることができる。本明細書に使用される場合、「直径」という用語は、可燃性熱源、エアロゾル発生物品、端片、またはその他の装置もしくは構成要素の横断方向での最大寸法を意味する。本明細書に使用される場合、「半径方向」および「横断方向」という用語は、長手方向に対して垂直な方向を記述するために使用される。使用時に、カゴは、熱源を少なくとも部分的に囲む。カゴは、熱源の長さに沿って熱源を囲むことが好ましい。カゴと熱源との間の距離、カゴの材料、カゴの厚さ、カゴの浸透性、およびその他の要素は、使用時に、熱源に対して最大温度を制御するように選択されてもよい。カゴは、熱源が燃焼し、かつカゴ内に配置されている時、熱源よりも実質的に低い最大温度に到達することが好ましい。例えば、カゴの露出された表面における温度は、熱源の表面の温度よりも少なくとも200℃低くありうる。カゴの露出された表面における温度は、熱源の表面の温度よりも少なくとも300℃低くありうることが好ましい。例えば、熱源の温度が約400℃である時、保持器の露出された表面は、約200℃より低く、好ましくは約150℃より低いことが好ましい。
【0018】
カゴは、任意の適切な距離だけ熱源から分離されうる。例えば、熱源とカゴとの間の半径方向隙間は、約0.2mm〜約3mmでありうる。熱源とカゴとの間の半径方向隙間は、約0.5mm〜約1mm、例えば、約1mm〜約2mmであることが好ましい。
【0019】
カゴは、適切な任意の材料または材料の組み合わせで作られうる。カゴを形成する材料は、耐熱性であることが好ましい。例えば、カゴは、約200℃以上の温度に耐えることができる材料から形成されうる。カゴは、ポリマー、またはアルミニウムもしくはステンレス鋼などの金属を含む材料、またはセラミック材料から形成されうる。さらに、または別の方法として、本体は、例えば、木製の材料またはカーボンファイバー材料またはガラスファイバー材料で形成されうる。本体を形成するために用いられうる好適なポリマー材料の例としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0020】
それからカゴが作られる材料は、十分に熱伝導性であり、十分に薄く、または十分な低密度をもち、それにより迅速に熱を放散することが好ましい。
【0021】
カゴまたはカゴの1つ以上の部分は、十分な浸透性をもち、それにより、空気がカゴを通じて熱源にアクセスすることを可能にして、熱源の燃焼を維持することが好ましい。「浸透性」という用語は、空隙空間領域である表面または表面の一部の全体領域に対する割合を意味する。熱源を囲むカゴの少なくとも一部は、十分な浸透性をもち、それにより、好ましくは、カゴを通じて炎による熱源の点火を可能にすることが好ましい。カゴは、カゴの穴の断面積の80%〜100%である断面積をもつ開口部を画定する遠位面を含むことが好ましい。さらに、または別の方法として、カゴは、熱源の周りに放射状に配置される、貫通穴などの開口部を含む。好ましい実施形態では、カゴは、壁を通じて換気開口部をもつ概ね管状の壁を含む。いくつかの好ましい実施形態では、熱源を囲むカゴの部分の浸透性は、換気開口部または貫通穴が覆われない時にのみ、熱源の燃焼を維持するのに十分である。したがって、開口部は、覆われて、熱源を消火しうる。
【0022】
カゴは、熱源を消火することを促進するカバーを含んでもよい。例えば、カバーは、第一の位置から第二の位置まで移動可能なスリーブを含んでもよい。第一の位置において、スリーブは、カゴの開口部を覆わない。第二の位置において、スリーブは、開口部を覆い、熱源を消火することを促進しうる。別の実施例として、カバーは、カゴの本体の周りに、かつカゴの長手方向軸の周りに回転可能に配置される、リング要素を含みうる。リングは、適切に回転した時に、カゴの本体を貫通する開口部と整列される貫通穴を含みうる。整列された位置から離れたカゴの周りでのリングの回転は、カゴの本体を貫通する開口部を完全に、または部分的に塞いで、熱源を消火することを促進しうる。
【0023】
カゴは、熱源を囲む部分の下流の換気貫通穴を含むことが好ましい。そのような穴により、冷気がエアロゾル発生物品を通して引き出されることができることが好ましい。好ましい実施形態では、カゴは、カゴの遠位端と下流の換気開口部との間に非透過性の壁を含む。そのような壁は、熱源からのある量または数の燃焼生成物がエアロゾル発生物品内に引き出された空気に混入することを減少しうる。
【0024】
本発明による端片は、カゴの内側表面からカゴの穴内に延在するシールを含むことが好ましい。シールは、好ましくは、熱源の下流において、エアロゾル発生物品を囲み、かつそれと接触するように配置される。シールは、熱源から放出された燃焼生成物がエアロゾル発生物品を通して引き出された空気に混入することを防ぐように、または制限するように構成されうる。シールは、カゴの下流の換気開口部の上流に配置されることが好ましい。
【0025】
シールは、適切な任意の内径を有しうる。緩和状態におけるシールの内径は、エアロゾル発生物品の外径より小さいことが好ましい。エアロゾル発生物品が本発明による端片内に挿入されると、シールが偏向して、シールを通る物品の通過が可能となる。シールは、物品が端片内に完全に挿入された時に、エアロゾル発生物品に対して長手方向の位置にカゴを保持するように役立ちうる。
【0026】
シールは、任意の適切な方法で、カゴと一体的に形成されてもよく、またはカゴに取り付けられてもよい。シールは、適切な任意の材料または材料の組み合わせで形成されうる。シールは、熱源の近くに配置されるように構成されるので、シールは、耐熱性材料を含むことが好ましい。シールは、弾力性材料を含むことが好ましい。シールは、オーリングを含みうる。シールまたはその一部を形成するために使用されうる材料の実施例は、プラスチック材料および、例えば、ニトリルまたはフルオロカーボン(ビトン)材料などのエラストマーを含む。
【0027】
本発明による端片は、遠位停止部を含む。停止部は、エアロゾル発生物品が端片内に挿入された時に、熱源の遠位端と係合するように配置される。遠位停止部は、熱源の遠位端がカゴを越えて進むことを防ぐように構成される。遠位停止部は、エアロゾル発生物品が端片内において反対の意図しない方向に挿入されるのを防ぐように、構成され、かつ配置されることが好ましい。遠位停止部は、カゴの遠位端に配置されてもよく、カゴの穴の長手方向軸の方へ延在していてもよい。遠位停止部は、穴の半径より短い距離で、穴の長手方向軸の方へ延在することが好ましい。遠位停止部は、カゴに取り付けられてもよい。遠位停止部は、カゴと一体的に形成されることが好ましい。遠位停止部は、耐熱性である1つ以上の材料から形成されることが好ましい。例えば、停止部は、カゴに関して上述した1つ以上の耐熱性材料から形成されてもよい。停止部は、ステンレス鋼もしくはアルミニウムなどの金属材料、またはガラスもしくはセラミック材料から形成されることが好ましい。
【0028】
実施例において、本発明による端片は、熱源が最初に本体によって画定された穴内に挿入されて、熱源が遠位停止部と係合するまで、エアロゾル発生物品がその穴内に挿入されることを可能にするように構成され、それにより、カゴ内での物品の遠位へのさらなる移動が起こらないようになる。カゴが本体の上を摺動可能である場合、熱源が停止部と係合した後、カゴは、カゴが本体と係合してさらなる進行が防がれるまで、エアロゾル発生物品のさらなる遠位への進行によって本の上を遠位に進むことができる。物品の遠位への移動は、例えば、カゴの近位停止部が本体の遠位フランジと係合するまで、起こりうる。カゴの遠位部分における開口部により、エアロゾル発生物品が端片内に完全に挿入された時に、熱源の点火、続く熱源の燃焼、および燃焼ガスの排出を可能とする。カゴにおける開口部は、エアロゾル発生物品内に引き出された空気を、加熱されたエアロゾル発生基体を通じて、ユーザーの口内へと外部に送ることを許容する。エアロゾル発生物品を通して引き出された空気を外部に送る開口部は、シールによって、より遠位なカゴの開口部から分離されることが好ましい。カゴがカバーを含む場合、カバーは、移動して、カゴ内の遠位開口部を覆い、熱源の消火を促進することができる。
【0029】
カゴは、例えば、ユーザーがエアロゾル発生物品を使用することを終えた時に、ユーザーが可撓性の部分を押下して、熱源をつまむことができる、可撓性の部分を含んでもよい。
【0030】
本発明による端片は、可燃性熱源を有する任意の適切なエアロゾル発生物品と併用されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体であって、可燃性熱源により加熱されて、エアロゾル発生基体から1つ以上の揮発性化合物を放出しうる、エアロゾル発生基体を含む。
【0031】
本発明による端片と併用するためのエアロゾル発生物品は、任意の適切な可燃性熱源を含みうる。
【0032】
可燃性熱源は、ブラインド可燃性熱源であることが好ましい。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、いかなる気流チャネルも含まず、吸入空気をエアロゾル発生基体に提供する熱源を記述する。ブラインド可燃性熱源において、ブラインド可燃性熱源からエアロゾル発生基体への熱伝達は、伝導によって主に生じ、強制対流によるエアロゾル発生基体の加熱は最小にされる、または減少される。ブラインド可燃性熱源を通しての任意の気流チャネルの欠如は、ユーザーがたばこを吸う間のブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に阻止または抑制する。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル発生基体の温度におけるスパイクを実質的に阻止または抑制する。ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を阻止または抑制すること、およびそのようにしてエアロゾル発生基体における過剰な温度上昇を阻止または抑制することによって、激しくたばこを吸う状況下でエアロゾル発生基体の燃焼または熱分解が有利に回避されうる。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。また、ブラインド可燃性熱源の封入は、ブラインド可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物並びにその他の材料が、その使用中にエアロゾル発生物品を通して吸い込まれる空気に入るのを有利に実質的に阻止または抑制しうる。
【0033】
別の方法として、可燃性熱源は、エアロゾル発生基体へと熱源を通る1つ以上の吸入気流経路を提供する少なくとも1つの長手方向の気流チャネルを備える。この吸入気流チャネルは、ユーザーによる吸入のためにエアロゾル発生物品を通して空気が引き出されうる、熱源の長さに沿って延在しうる。1つ以上の長手方向の吸入気流チャネルを含むこのような熱源は、本明細書では「非ブラインド」熱源と呼ばれる。
【0034】
可燃性熱源は、炭素含有量が可燃性熱源の乾燥質量で少なくとも約35パーセントの炭素質熱源であることが好ましく、少なくとも約40パーセントの炭素質熱源であることがより好ましく、少なくとも約45パーセントの炭素質熱源であることが最も好ましい。可燃性熱源が炭素質熱源である場合、可燃性熱源は1つ以上の好適な炭素含有材料から形成されてもよい。「炭素質」という用語は、炭素を含む材料を意味する。
【0035】
可燃性熱源は、炭素含有量が少なくとも約50パーセントである可燃性炭素ベース熱源であってもよい。例えば、可燃性熱源は、炭素含有量が可燃性熱源の乾燥質量で、少なくとも約60パーセント、または少なくとも約70パーセント、もしくは少なくとも約80パーセントである可燃性炭素ベース熱源であってもよい。「炭素ベース」という用語は、主に炭素から成る材料であって、材料の乾燥質量で、少なくとも約50パーセントが炭素である材料を意味する。
【0036】
1つ以上の結合剤を、1つ以上の炭素含有材料と組み合わせて、炭素質熱源を形成してもよい。可燃性熱源は、1つ以上の有機結合剤、1つ以上の無機結合剤、または1つ以上の有機結合剤と1つ以上の無機結合剤との組み合わせを含みうる。
【0037】
1つ以上の結合剤の代わりに、またはそれに加えて、可燃性熱源は、可燃性熱源の特性を改善するために1つ以上の添加剤を含みうる。適切な添加剤は、可燃性熱源の圧密を促進する添加剤(例えば、焼結助剤)、可燃性熱源の点火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、ジルコニウムおよびその組み合わせなどの酸化剤)、可燃性熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、カリウム、およびクエン酸カリウムなどのカリウム塩)、ならびに可燃性熱源の燃焼によって生成される1つ以上のガスの分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe23およびAl23などの触媒)を含むが、これに限定されない。エアロゾル発生物品のための可燃性熱源、およびこうした熱源を製造するための方法は、当技術で公知であり、例えば、US−A−5,040,552号およびUS−A−5,595,577号に記載がある。
【0038】
可燃性熱源の見掛け密度は、約0.8g/cm3〜約1.1g/cm3であることが好ましい。可燃性熱源の質量は約300mg〜約500mgであることが好ましく、約400mg〜約450mgであることがより好ましい。可燃性熱源の長さは、約7mm〜約17mmであることが好ましく、約7mm〜約15mmであることがより好ましく、約7mm〜約13mmであることが最も好ましい。本発明による可燃性熱源の直径は、約5mm〜約9mmであることが好ましく、約7mm〜約8mmであることがさらに好ましい。
【0039】
可燃性熱源の直径は実質的に一様であることが好ましい。ところが、可燃性熱源は、別の方法として、可燃性熱源の前端面と後端面のうちの一方の直径がその前端面と後端面のうちのもう一方の直径より大きくなるような先細りであってもよい。例えば、可燃性熱源は、可燃性熱源の後端面の直径が、可燃性熱源の前端面の直径より大きくなるような先細りであってもよい。可燃性熱源は実質的に円筒形であることが好ましい。可燃性熱源は、実質的に円形断面または実質的に楕円形断面の円筒形可燃性熱源であってもよい。特に好ましい実施形態において、可燃性熱源は実質的に円形断面の実質的に円筒可燃性熱源である。
【0040】
本発明による端片と併用するためのエアロゾル発生物品は、任意のエアロゾル発生基体を含みうる。
【0041】
エアロゾル発生基体は、少なくとも1つのエアロゾル形成体および加熱に反応して揮発性化合物を放出することができる材料を含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、湿潤剤、風味剤、結合剤およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、その他の添加剤および成分を含んでもよい。エアロゾル発生基体はニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生基体はたばこを含むことがより好ましい。
【0042】
少なくとも1つのエアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成剤は当業界で周知であり、例えば、多価アルコール、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセタート、ジアセタートまたはトリアセタートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。本明細書におけるエアロゾル発生物品における使用のための好ましいエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、および最も好ましいグリセリンなどの、多価アルコールまたはこれらの混合物である。
【0043】
加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料は、植物由来材料の装填でもよい。加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料は、均質化した植物由来材料の装填でもよい。例えば、エアロゾル発生基体は、植物に由来する1つ以上の材料を含んでもよく、たばこ、茶(例えば緑茶)、ハッカ、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、ビジョザクラ、およびタラゴンを含むが限定されない。加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料は、たばこ由来材料の装填であることが好ましく、均質化したたばこ由来材料の装填であることが最も好ましい。
【0044】
エアロゾル発生基体は、紙またはその他のラッパーによって取り囲まれる加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料を含むプラグまたはセグメントの形態としうる。前述のように、エアロゾル発生基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体はエアロゾル発生基体であると見なされる。エアロゾル発生基体の長さは約5mm〜約20mmであることが好ましい。エアロゾル発生基体の長さは約6mm〜約15mmであることが好ましく、またはその長さは約7mm〜約12mmであることが好ましい。好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体はプラグラップに包まれるたばこ由来材料のプラグを備える。特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体はプラグラップに包まれる均質化したたばこ由来材料のプラグを備える。
【0045】
本発明による端片は、任意の適切なエアロゾル発生物品と併用されうる。
【0046】
本発明による端片と併用するためのエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体の周囲に1つ以上の空気吸込み口を含みうる。このような実施形態において、使用において、冷気は、空気吸い込み口を通ってエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体に吸い込まれる。空気吸い込み口を通ってエアロゾル発生基体に吸い込まれる空気は、エアロゾル発生基体からエアロゾル発生物品を通って下流に通過し、マウスピースまたはその近位端を通ってエアロゾル発生物品を出る。
【0047】
こうした実施形態では、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル発生基体の周辺の周りで1つ以上の空気吸込み口を通って引き出された冷気は、エアロゾル発生基体の温度を有利に低下させる。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル発生基体の温度におけるスパイクを有利にも実質的に阻止または抑制する。本明細書に使用される「冷気」という用語は、ユーザーがたばこを吸う際に可燃性熱源によって有意に加熱されない周囲空気を記述するために使用される。
【0048】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル発生基体の少なくとも前方部分との両方の周りにある、およびそれらと直に接触した熱伝導性要素を備えてもよい。熱伝導性要素は、可燃性熱源とエアロゾル発生基体との間に熱リンクを提供し、有利なことに、許容可能なエアロゾルを提供するために可燃性熱源からエアロゾル発生基体への適切な熱伝達を容易にするのに役立つ。
【0049】
本明細書における使用のための適切な熱伝導性要素としては、金属箔ラッパー(例えば、アルミ箔ラッパー、鋼鉄ラッパー、鉄箔ラッパー、および銅箔ラッパーなど)、および金属合金箔ラッパーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、その近位端に位置するマウスピースを備えることが好ましい。マウスピースは濾過効率が低いことが好ましく、濾過効率が非常に低いことがより好ましい。マウスピースは単一のセグメントであっても、または構成要素マウスピースであってもよい。あるいは、マウスピースはマルチセグメントマウスピースであっても、または複数構成要素マウスピースであってもよい。
【0051】
マウスピースは、適切な公知の濾過材料を含む1つ以上のセグメントを含むフィルターを含んでもよい。適切な濾過材料は当技術分野で公知であり、酢酸セルロースおよび紙を含むが、これらに限定されない。別の方法としてまたは追加的に、マウスピースは吸収剤、吸着剤、風味剤、およびその他のエアロゾル変性剤および添加剤またはその組み合わせを含む1つ以上のセグメントを含みうる。
【0052】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体とマウスピースとの間に移動要素またはスペーサー要素を好ましくはさらに含む。移動要素はエアロゾル発生基体およびマウスピースの一方または両方に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル発生基体およびマウスピースの一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0053】
移動要素の封入は、可燃性熱源からエアロゾル発生基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却を有利に可能にする。移動要素の包含は、エアロゾル発生物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択により所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することも有利に可能にする。
【0054】
移動要素の長さは、約7mm〜約50mm、例えば約10mm〜約45mm、または約15mm〜約30mmであってもよい。移動要素の長さは、エアロゾル発生物品の所望の全長およびエアロゾル発生物品内のその他の成分の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0055】
移動要素は少なくとも1つの端の開いた管状中空体を備えることが好ましい。このような実施形態では、使用において、エアロゾル発生物品の中へと引き出される空気は、それがエアロゾル発生基体からマウスピースへとエアロゾル発生物品を通って下流に通過する時に、少なくとも1つの端の開いた管状中空体を通って通過する。移動要素は、可燃性熱源からエアロゾル発生基体への熱の移動によって生成されるエアロゾルの温度で実質的に熱安定している1つ以上の適切な材料から形成される少なくとも1つの端の開いた管状中空体を含んでいてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙、ボール紙、プラスチック、このような酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0056】
別の方法としてまたは追加的に、本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体とマウスピースとの間にエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長手方向に延在する流路を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は、金属箔、重合体材料および実質的に非多孔性の紙またはボール紙から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。一定の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater−Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含みうることが好ましい。
【0057】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体および熱源または熱源ホルダーの少なくとも後方部分を囲む外側ラッパーを含む。外側ラッパーは、エアロゾル発生物品の組立時に、エアロゾル発生物品の熱源および熱源ホルダーならびにエアロゾル発生基体を握持するべきである。外側ラッパーは、エアロゾル発生基体と、熱源および熱源ホルダーの少なくとも後方部分と、エアロゾル発生基体の下流のエアロゾル発生物品の任意のその他の構成要素と、を囲むことが好ましい。外側ラッパーは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙巻たばこ用紙を含むが、これに限定されない。別の方法としてまたは追加的に、マウスピースはチッピングペーパーによって囲まれてもよい。本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、周知の方法および機械を使用して組み立てられてもよい。
【0058】
エアロゾル発生物品は、形状において実質的に円筒状でもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと実質的に直交する長さと円周を持つ。エアロゾル発生基体は、実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル発生基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生基体はまた、長さと、この長さと実質的に直交する円周と、も持つ。エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の長さがエアロゾル発生物品内の気流の方向と実質的に平行であるように、エアロゾル発生物品内に位置しうる。移動するセクションまたは要素は実質的に細長くてもよい。
【0059】
エアロゾル発生物品は、望ましい任意の長さを持ちうる。例えば、エアロゾル発生物品の全長は、およそ65mm〜およそ100mmとしうる。エアロゾル発生物品は、望ましい任意の外径を持ちうる。例えば、エアロゾル発生物品の外径は、およそ5mm〜およそ12mmとしうる。
【0060】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を持つ。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0061】
単数形(「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」)は本明細書で使用される場合、複数形の対象を有する実施形態を含蓄するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0062】
「または」は一般的に、本明細書で使用される場合、「および/または」を含めた意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の1つまたはすべて、または列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0063】
「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは本明細書で使用される場合、制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これに限定されない」を意味する。「から本質的に成る」、「から成る」、およびこれに類するものは、「含む」およびこれに類するものに包摂されることが理解されるであろう。
【0064】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定のメリットをもたらし得る本発明の実施形態を指す。ただし、同一またはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものでありうる。その上、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外するものではない。
本開示で説明される1つ以上の態様を図示する図面をこれから参照する。ただし、図面に描かれていないその他の態様が本開示の範囲および精神に則るものと理解される。図内で使用されている類似した番号は、類似した構成要素、工程、およびこれに類するものに言及する。ただし、所定の図で一つの構成要素を指すために一つの番号を使用することは、別の図で同じ番号が付けられたその構成要素を制限するものではないことが理解される。さらに、異なる図面において構成要素を指すために異なる番号を使用することは、その異なる番号の付いた構成要素が他の番号の付いた構成要素と同一または類似したものであり得ないことを示すことを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1は、内部要素が見えるように部分的に開いたラッパー110を有する例示のエアロゾル発生物品100の概略透視図である。
図2図2は、例示の端片200内に配置された例示のエアロゾル発生物品100の概略断面図である。
図3図3は、例示の端片200によって部分的に受けられた例示のエアロゾル発生物品100の概略断面図である。
図4図4は、例示の端片200によって完全に受けられた例示のエアロゾル発生物品100の概略断面図である。
図5図5は、例示の端片200の概略斜視図である。
【0066】
概略図の縮尺は必ずしも正確なものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0067】
ここで図1を参照すると、エアロゾル発生物品100は、近位端103と遠位端105との間に延在する。エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生物品100の遠位端105に配置される可燃性熱源102と、可燃性熱源102の下流のエアロゾル発生基体104と、エアロゾル発生基体104の下流にあり、かつエアロゾル発生物品100の近位端103に配置されるマウスピース106と、を含む。
【0068】
エアロゾル発生物品100は、連続的に隣接して同軸に配列された、可燃性熱源102、エアロゾル発生基体104、エアロゾル冷却要素107、細長い膨張室または移動要素108、およびマウスピース106を備え、これらが、例えば、紙巻たばこ用紙の外側ラッパー110内で包まれる。可燃性熱源102は円筒形である。
【0069】
エアロゾル発生基体104は、可燃性熱源102のすぐ下流に位置し、例えば、エアロゾル形成体としてのグリセリンを含みフィルタープラグラップで囲まれた、均質化したたばこ材料の円筒形プラグを含む。アルミ箔の管から成る熱伝導性要素112は、可燃性熱源102の後方部分およびエアロゾル発生基体104の隣接した前方部分を囲み、それらに接触する。細長い膨張室108は、エアロゾル発生基体104の下流に位置し、円筒形のボール紙の開いた管を備える。マウスピース106は、膨張室108の下流に位置し、フィルタープラグラップで囲まれた酢酸セルローストウ109の円筒形プラグを含む。
【0070】
使用時、ユーザーは、エアロゾル発生基体を加熱してエアロゾルを生成する可燃性熱源に点火する。ユーザーがマウスピース106を吸いこむと、空気がエアロゾル発生基体104を通り、紙巻たばこ用紙110内の、かつエアロゾル発生基体104に隣接する空気吸込み口の穴113を通り、膨張室108を通り、マウスピース106を通り、ユーザーの口の中に引き込まれる。
【0071】
ここで図2を参照すると、エアロゾル発生物品100は、端片200内に配置されている。端片200は、本体210、カゴ220、シール230、および停止部240を含む。本体210は、その中にエアロゾル発生物品100が摺動可能に受けられる穴を画定する。図2では、カゴ220は、本体210の延長部である。カゴ210は、エアロゾル発生物品100の熱源102の一部を囲む。空気は、カゴ220と熱源102との間の隙間によって、近位面を通じて熱源にアクセスしうる。シール230に遠位なカゴ220の一部は、追加的な換気のためにカゴの壁を通って延在する開口部(図示せず)を含みうる。カゴ220の近位部分は、カゴの壁を貫通する1つ以上の換気穴222を含み、それにより冷気をシール230の下流に引き出すことができる。シール230は、停止部240の下流のカゴ220の内側表面から延在する。シールは、熱源102の下流のエアロゾル発生物品100を囲み、かつそれと接触するように配置される。停止部240は、エアロゾル発生物品100が本体210の穴を通じて摺動するのに従って、熱源102の遠位端と係合するように配置され、また熱源102の遠位端がカゴ220を越えて進むことを防ぐように構成される。停止部220は、カゴ220の遠位端部に配置され、またカゴの長手方向軸に対して十分な距離延在し、エアロゾル発生物品が端片200を通じて進行するのに従って、熱源102と係合する。停止部240は、カゴ220と結合し、または一体的に形成されうる。
【0072】
ここで図3および図4を参照すると、エアロゾル発生物品100は、端片内に部分的に挿入された状態で示され(図3)、また端片内に完全に挿入された状態(図4)で示されている。示されるカゴ220は、本体210の周りに摺動可能に配置される。示される本体210は、遠位フランジ212および近位フランジ214を有し、カゴは、本体210の近位フランジ214および遠位フランジ212と相互作用するように構成される近位停止部228を有し、それにより、カゴ220が本体210から滑り落ちることを防ぐ。エアロゾル発生物品100が本体210によって画定された穴内へ摺動し、またその穴を通じて進行すると、熱源102は、遠位停止部240と係合し、近位停止部228が遠位フランジ212と係合するまで、カゴ220は、本体210を越えて遠位に摺動する。図2に示す端片と同様に、図3および図4に示す端片はまた、カゴ220の内側表面から延在し、熱源102の下流のエアロゾル発生物品100と密封するように係合する、シール230を含む。図3および図4に示すカゴ220は、1つ以上の換気穴222を含み、それにより冷気をシール230の下流に引き出すことができる。冷気は、空気吸込み口穴113を通じて、エアロゾル発生基体(図示せず)を通り、エアロゾル発生物品110を通じて、ユーザーの口内へと引き出されうる。
【0073】
ここで図5を参照すると、例示の端片200の概略斜視図が示される。端片200は、エアロゾル発生物品を摺動可能に受けるように構成される穴(図示せず)を有する、本体210の周りで摺動可能なカゴ220を含む。シール230は、カゴ220の内側表面から延在し、熱源の下流のエアロゾル発生物品と密封して係合するように構成され、かつ配置される。端片は、熱源がカゴ220の遠位端を越えて延びることを防ぐように構成され、かつ配置される停止部240を含む。カゴ220は、シール230の下流の複数の換気穴222と、シール230の上流の複数の換気穴と、を含む。
【0074】
このように、エアロゾル発生物品のための端片のための、方法、システム、装置、組立品、および物品が記載される。本発明の様々な修正および変形が、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。本発明は特定の好ましい実施形態に関連して記述してきたが、当然のことながら、本発明は主張の通り、こうした特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。実際に、機械製作技術およびエアロゾル発生物品製造または関連分野の当業者にとって明らかである、本発明を実施するための記述された方法の様々な改良は、以下の特許請求の範囲内に収まるものであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5