(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959968
(24)【登録日】2021年10月12日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】シングルルーメンガス密封アクセスポートおよびシングルルーメン弁密封型アクセスポートを備えたガス循環システム用のマルチルーメン管セット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20211025BHJP
A61B 1/015 20060101ALI20211025BHJP
A61M 25/02 20060101ALI20211025BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B1/015 514
A61M25/02 500
A61M39/10 130
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-182046(P2019-182046)
(22)【出願日】2019年10月2日
(62)【分割の表示】特願2019-548471(P2019-548471)の分割
【原出願日】2018年2月23日
(65)【公開番号】特開2020-72830(P2020-72830A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】15/896,291
(32)【優先日】2018年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/468,417
(32)【優先日】2017年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルバー ミキヤ
(72)【発明者】
【氏名】ケイン マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アウゲリ マイケル ジェイ.
【審査官】
山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−505027(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0358070(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0178885(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0056064(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0171855(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/94
A61M39/10
A61B1/015
A61M25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腹腔内で内視鏡外科処置を実施するシステムであって、
a) 前記患者の前記腹腔に対するガス再循環を促進するための加圧ガスラインおよび戻りガスラインを有し、同軸の流路を持つコネクターを含む、デュアルルーメン部分と、送気用ガスを前記患者の前記腹腔に送達し、前記患者の前記腹腔内で定期的な圧力感知をするためのガス供給および感知ラインを有し、ルアータイプのコネクターを含む、シングルルーメン部分とを含み、前記デュアルルーメン部分の前記加圧ガスラインと連通する第一のフィルター付き流路と、前記デュアルルーメン部分の前記戻りガスラインと連通する第二のフィルター付き流路と、前記シングルルーメン部分の前記ガス供給および感知ラインと連通する第三のフィルター付き流路とを含むフィルターカートリッジ組立品と動作可能に関連づけられる、マルチルーメン管セットと、
b) 近位ハウジング部分と、該近位ハウジング部分から遠位に延び、かつ中央カニューレを画定する細長いシングルルーメン管状体部分とを有する第一のアクセスポートであって、該第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記管セットの前記加圧ガスラインと連通する入口経路と、前記管セットの前記戻りガスラインと連通する出口経路とを有し、前記近位ハウジング部分が、前記入口経路および前記出口経路を画定し前記近位ハウジング部分の側部に一体的に設けられたマニホールドコネクターを備え、前記入口および出口経路が前記マニホールドコネクター内で同軸に配置されており、前記マニホールドコネクターが前記管セットの前記デュアルルーメン部分の前記同軸の流路を持つコネクターと結合する、第一のアクセスポートと、
c) 近位ハウジング部分と、該近位ハウジング部分から延びるシングルルーメン管状体部分とを有し、前記第一のアクセスポートと独立して設けられた第二のアクセスポートであって、該第二のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記管セットの前記ガス供給および感知ラインと連通する入口経路を有し、前記入口経路と関連付けられたルアータイプの取り付け具が前記管セットの前記シングルルーメン部分のルアータイプのコネクターと結合される第二のアクセスポートとを含む、システム。
【請求項2】
前記第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記入口経路からの加圧ガスを受けるため、かつ前記第一のアクセスポートの前記管状体部分の前記中央カニューレ内にガス密封ゾーンを生成し、前記患者の前記腹腔内で安定した圧力を維持するための環状ジェット組立品を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第二のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記第二のアクセスポートの前記管状体部分を密封するための機械的な弁を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一のアクセスポートが、前記第二のアクセスポートと併せて、前記患者の前記腹腔からの煙排出を実施するように適合され構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第一のアクセスポートが、前記腹腔への空気の混入および器具のアクセスを許容するように適合され構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
加圧ガスを前記管セットの前記加圧ガスラインに送達するための出口と、前記管セットの前記戻りラインから減圧ガスを受けるための入口を有するポンプを含み、外科手術ガス供給源から送気用ガスを前記管セットの前記ガス供給および感知ラインに送達するように構成された、ガス再循環装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が前記第一のアクセスポートの前記管状体部分から分離可能な請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記第一のアクセスポートの前記管状体部分と分離可能に係合するための正反対にあるばね付勢ラッチを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第一のアクセスポートの前記管状体部分が、前記第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分と分離可能に係合するための正反対にあるばね付勢ラッチを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
患者の腹腔内で内視鏡外科処置を実施するシステムであって、
a) 前記患者の前記腹腔に対するガス再循環を促進するための加圧ガスラインおよび戻りガスラインを有し、同軸の流路を持つコネクターを含む、デュアルルーメン部分と、送気用ガスを前記患者の前記腹腔に送達し、前記患者の前記腹腔内で定期的な圧力感知をするためのガス供給および感知ラインを有し、ルアータイプのコネクターを含む、シングルルーメン部分とを含み、前記デュアルルーメン部分の前記加圧ガスラインと連通する第一のフィルター付き流路と、前記デュアルルーメン部分の前記戻りガスラインと連通する第二のフィルター付き流路と、前記シングルルーメン部分の前記ガス供給および感知ラインと連通する第三のフィルター付き流路とを含むフィルターカートリッジ組立品と動作可能に関連付けられる、マルチルーメン管セットと、
b) 近位ハウジング部分と、該近位ハウジング部分から遠位に延び、かつ中央カニューレを画定する細長いシングルルーメン管状体部分とを有する第一のアクセスポートであって、該第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記管セットの前記加圧ガスラインと連通する入口経路および前記管セットの前記戻りガスラインと連通する出口経路を有し、該第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記入口経路からの加圧ガスを受けるため、かつ前記管状体部分の前記中央カニューレ内にガス密封ゾーンを生成し、前記患者の前記腹腔内での安定した圧力を維持するための環状ジェット組立品を収容し、前記近位ハウジング部分が、前記入口経路および前記出口経路を画定し前記近位ハウジング部分の側部に一体的に設けられたマニホールドコネクターを備え、前記入口および出口経路が前記マニホールドコネクター内で同軸に配置されており、前記マニホールドコネクターが前記管セットの前記デュアルルーメン部分の前記同軸の流路を持つコネクターと結合する、第一のアクセスポートと、
c) 近位ハウジングと、該近位ハウジング部分から延びるシングルルーメン管状体部分とを有し、前記第一のアクセスポートと独立して設けられた第二のアクセスポートであって、該第二のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、該第二のアクセスポートの前記管状体部分および前記管セットの前記ガス供給および感知ラインと連通する入口経路を密封するための機械的な弁を有し、前記入口経路と関連付けられたルアータイプの取り付け具が前記管セットの前記シングルルーメン部分のルアータイプのコネクターと結合される第二のアクセスポートとを備える、システム。
【請求項11】
前記第一のアクセスポートが、前記第二のアクセスポートと併せて、前記患者の前記腹腔からの煙排出を実施するように適合され構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第一のアクセスポートが、前記腹腔への空気の混入および器具のアクセスを許容するように適合され構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
加圧ガスを前記管セットの前記加圧ガスラインに送達するための出口と、前記管セットの前記戻りラインから減圧ガスを受けるための入口を有するポンプを含み、外科手術ガス供給源から送気用ガスを前記管セットの前記ガス供給および感知ラインに送達するように構成された、ガス再循環装置をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が前記第一のアクセスポートの前記管状体部分から分離可能な請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分が、前記第一のアクセスポートの前記管状体部分と分離可能に係合するための正反対にあるばね付勢ラッチを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第一のアクセスポートの前記管状体部分が、前記第一のアクセスポートの前記近位ハウジング部分と分離可能に係合するための正反対にあるばね付勢ラッチを含む、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年3月8日出願の米国仮特許出願第62/468,417号明細書、および2018年2月14日出願の米国特許出願番号第15/896,291号に対する優先権の利益を主張するものであり、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、内視鏡外科手術を対象とし、より具体的には、シングルルーメンガス密封アクセスポートと接続されたマルチルーメン管セットと、内視鏡外科処置または腹腔鏡外科処置の間に使用するためのシングルルーメン弁密封型アクセスポートとを備えた外科手術ガス循環システムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
腹腔鏡外科手技または「低侵襲」外科手技は、胆嚢摘除、虫垂切除、ヘルニア修復および腎摘出などの処置の実施において日常事になりつつある。このような処置の利点には、患者への外傷の減少、感染の機会の低減、および回復時間の短縮が含まれる。腹(腹膜)腔内でのこのような処置は、典型的には、トロカールまたはカニューレとして知られる装置を介して行われ、これは患者の腹腔内への腹腔鏡器具の導入を容易にする。
【0004】
さらに、このような処置には一般に、二酸化炭素などの加圧流体で腹腔を充填する、または腹腔に「送気」して、手術空間を作り出すことが関与し、これは気腹と呼ばれる。送気は、送気用流体を送達するために装備されたトロカールなどの外科手術アクセス装置によって、または送気用(ヴェレス)針などの別個の送気用装置によって、実施されうる。気腹を維持するために、送気用ガスの実質的な損失なく、外科手術器具が気腹内に導入されることが望ましい。
【0005】
典型的な腹腔鏡手術の間、外科医は、腹部に3、4カ所、通常それぞれ約12ミリメートルを超えない小さな切開を行い、これは典型的には外科手術アクセス装置自体によって、多くの場合、別個のインサータまたはその中に置かれたオブチュレータを使用してなされる。挿入後、オブチュレータは除去され、トロカールにより、腹腔内に挿入される器具のアクセスが可能になる。典型的なトロカールは、外科医が作業をする開かれた内部空間を確保できるように、腹腔に送気する経路を提供する。
【0006】
また、トロカールは、トロカールと使用されている外科手術器具の間の密封によって空洞内の圧力を維持する方法を提供しつつも、外科手術器具のために少なくとも最小量の移動の自由度を許容する必要がある。このような器具には、例えば、剪刀、把持器具、閉塞器具、焼灼装置、カメラ、光源およびその他の外科手術器具が含まれうる。密封要素または密封メカニズムは通常、腹腔から送気用ガスが漏れるのを防ぐために、トロカール上に提供される。これらの密封メカニズムは、トロカールを通過する外科手術器具の外部表面の周りを密封するために、比較的成形しやすい材料で作製されたダックビル型弁を備えることがよくある。
【0007】
ConMed Corporationの完全所有子会社であるSurgiQuest,Inc.は、例えば、米国特許第7,854,724号に記載されるように、従来的な機械的弁シールを必要とせずに、送気された外科手術空洞への簡単なアクセスを許容する、ユニークなガス密封外科手術アクセス装置を開発した。これらの装置は、内側管状体部
分および同軸の外側管状体部分を含むいくつかのネストされた構成要素から構成される。内側管状体部分は、患者の腹腔に従来的な腹腔鏡外科手術器具を導入するための中央ルーメンを画定し、外側管状体部分は、患者の腹腔に送気用ガスを送達し、腹腔内圧の定期的な感知を促進するための内側管状体部分を囲む環状ルーメンを画定する。
【0008】
前に開発されたこれらのデュアルルーメンガス密封アクセス装置は、従来的なシングルルーメン弁密封型アクセス装置よりも、著しい利益および改善を提供しつつも、腹腔鏡外科処置の実施においてある一定の不利益もある。特に、前に開発されたこれらのデュアルルーメンガス密封アクセス装置は、2つの同軸の管状体部分で構成されているため、アクセス装置の管状体の有効外径は、従来的なシングルルーメン弁密封型アクセス装置の管状体の有効外径よりもかなり大きい。
【0009】
例えば、デュアルルーメンガス密封アクセス装置の外径は、従来的なシングルルーメン弁密封型アクセス装置の外径より少なくとも2.0mm大きくてもよい。結果として、デュアルルーメンアクセス装置を腹腔内に導入するために必要な切開の長さは、従来的なシングルルーメン弁密封型アクセス装置を導入するために作られた典型的な切開よりも大きくなる。このより大きな切開は、患者の外傷の程度を増大しかねず、患者にとってより大きく目につく瘢痕、より大きな痛みや鎮痛剤、外科医にとってより困難な創傷閉鎖の原因となる。
【0010】
また、米国特許公開公報2014/0358070A1には、吹送用及び手術作業環境からの吹送流体の再循環用のシステムが開示されている。システムは、制御ユニットとトロカールを備えている。制御ユニットは、a)前記システムを通じて吹送流体を循環させるように適合及び構成された流体ポンプと、b)前記流体ポンプの出力と流体連通し、かつ前記制御ユニットの出力ポートに加圧された吹送流体を送り込むように構成及び適合された供給導管と、c)前記流体ポンプに吹送流体を送り込むため前記流体ポンプの入力と流体連通し、且つ前記制御ユニットの入力ポートに吹送流体を戻すように構成及び適合された回収導管と、d)吹送ガス供給部、前記供給導管及び前記回収導管と流体連通する圧力制御弁であって、i)低圧制御信号に対して開放することにより応答し、それにより前記供給導管と前記回収導管との互いの流体連通が設けられ、前記周囲環境からの空気の取込みが減少し、及び前記吹送ガス供給部の前記回収導管との流体連通が設けられて、前記システム内の吹送ガスの濃度が上昇し、ii)第1の高圧制御信号に対して開放することにより応答し、それにより前記供給導管と前記回収導管との互いの流体連通が設けられ、及びiii)前記第1の高圧制御信号より高い圧力に対応する第2の高圧制御信号に対してダンプ弁をさらに開放することにより応答し、それにより前記システムから圧力が解放される、ように適合及び構成された圧力制御弁と、を有する。トロカールは、a)ルーメンを中に画定する細長本体と、b)前記ルーメンに加圧流体を誘導するため前記本体と動作可能に連係するノズルと、c)使用済み吹送流体を捕集するように適合及び構成された流体回収プレナムと、d)前記ノズルに加圧された吹送流体の流れを送り込むための、前記ノズルと流体連通するノズル供給ポートであって、前記制御ユニットの出力ポートから加圧された吹送流体を受け取るように適合及び構成されたノズル供給ポートと、e)前記流体回収プレナムと流体連通する流体回収ポートであって、吹送流体を前記トロカールから前記制御ユニットの入力ポートに戻すように適合及び構成された流体回収ポートとを有する。
よって、前に開発されたデュアルルーメンガス密封アクセス装置(米国特許第7,854,724号
、米国特許公開公報2014/0358070A1に開示されるものなど)に関連した不利益を克服しつつ、従来的なシングルルーメン弁密封型アクセス装置と比較して実質的な利益を維持する、ガス密封外科手術アクセス装置を提供できれば有益である。
本発明は、こうした新規のアクセス装置および内視鏡外科手術で使用するための装置用にフィルター付き管セットを提供するが、これは以下で詳細に記述されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、患者の外科手術空洞内での内視鏡外科処置または腹腔鏡外科処置を実施するための新しい有用なシステムを対象とする。システムは、デュアルルーメン部分およびシングルルーメン部分を含むマルチルーメン管セットを含む。管セットのデュアルルーメン部分は、加圧ガスラインおよび戻りガスラインを有し、これらは共に、患者の外科手術空洞に対するガス再循環を促進する。管セットのシングルルーメン部分は、患者の外科手術空洞に送気用ガスを送達するための、また患者の外科手術空洞内の圧力を定期的に感知するための、ガス供給および感知ラインを有する。管セットは、マルチパスフィルターカートリッジ組立品と動作可能に関連付けられることが好ましい。
【0012】
システムはさらに、近位ハウジング部分を有する第一のアクセスポートと、近位ハウジング部分から遠位に延び、かつ中央カニューレまたは穴を画定する、細長い管状体部分とを含む。第一のアクセスポートの近位ハウジング部分は、管セットの加圧ガスラインと連通するための入口経路と、管セットの戻りガスラインと連通するための出口経路とを有する。近位ハウジング部分は、入口経路から加圧ガスを受けるため、かつ本体部分の中央カニューレ内のガス密封ゾーンを生成するための環状ジェット組立品を収容し、患者の外科手術空洞内に安定した圧力を維持する。
【0013】
システムはまた、近位ハウジング部分と、近位ハウジング部分から延びる管状体部分とを有する第二のアクセスポートを含む。第二のアクセスポートの近位ハウジング部分は、管状体部分を密封するための機械的な弁と、管セットのガス供給および感知ラインと連通するための入口経路とを収容する。
【0014】
第一のアクセスポートは、第二のアクセスポートと併せて、患者の外科手術空洞からの煙排出を実施するよう適合され構成されることが好ましい。本発明の一実施形態では、第一のアクセスポートは、空気の混入、緊急時の空洞圧力放出、および外科処置中の中央カニューレへの器具のアクセスを可能にするように適合され構成される。本発明の一実施形態において、第一のアクセスポートは、空気の混入、緊急時の空洞圧力放出を可能にするが、中央カニューレへの、および/またはそれを通した器具のアクセスを許容しないように適合され構成される。これに関して、カニューレの中央の穴は、それを通した器具のアクセスを防止するように、形状、寸法、ルーバー、または別の方法で構成されうる。
【0015】
別の実施形態において、第一のアクセスポートは、その管状体部分と選択的に結合されるよう適合された近位ハウジング部分を含み、また管状体部分は、ロボット外科手術システム(例えば、Intuitive Surgical,Inc.製のDa Vinciロボットシステム)によって操作されるように構成されている。例えば、近位ハウジング部分は、正反対に位置する一対の片持ちまたはバネ式のロックタブまたはこれに類するものによって、管状体部分に選択的に連結されうる。ロックタブは、近位ハウジング部分または管状体部分上に提供されうる。管状体部分は、ロボットマニピュレータが外科処置中に腹部ポートを把持し移動できるようにするための把持フランジを含む。
【0016】
別の方法として、この実施形態において、第一のアクセスポートは、その管状体部分と選択的に結合されるように適合される近位ハウジング部分を含み、管状体部分は専有設計であるか、または管状体部分は非専有設計である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、近位ハウジング部分は、アクセスポートのガス入口経路およびガス出口経路を画定するマニホールドを含む。入口経路および出口経路は、マニホールド内に同心円状に配置され、管セットのデュアルルーメン部分は、マニホールドと結合するための同軸コネクターを含むことが好ましい。別の方法として、入口経路と出口経路はマニホールド内で平行に配置され、管セットのデュアルルーメン部分はマニホールドと結合するための適切なコネクターを含む。比較すると、管セットのシングルルーメン部分は、第二のアクセスポートの入口経路と関連付けられた従来のルアータイプの取り付け具と結合するためのルアータイプのコネクターを含みうる。
【0018】
システムはさらに、加圧ガスを管セットに送達するための出口を有するポンプと、管セットの戻りラインからフィルターカートリッジ組立品を通して減圧ガスを受ける入口とを含むガス再循環装置を含む。装置はまた、例えば、同一出願人による米国特許第9,375,539号に開示されている通り、送気用ガスをガス供給源から管セットのガス供給および感知ラインに送達するように構成される。本発明の好ましい実施形態によると、ガス再循環装置は、二分岐マルチルーメン管セットの存在を検出するように適合し構成され、かつ異なるタイプの管セットと区別できるソフトウェアを備えたプログラム可能コントローラを含みうる。
【0019】
本発明はまた、患者の外科手術空洞内で内視鏡外科処置を実施するための新規かつ有用な外科手術アクセスポートを対象とし、これは、近位ハウジング部分と、近位ハウジング部分から遠位に延び、中央カニューレまたは穴を画定する、細長い管状体部分とを含む。近位ハウジング部分は、管セットの加圧ガスラインと連通するための入口経路と、管セットの戻りガスラインと連通するための出口経路とを有する。近位ハウジング部分は、入口経路から加圧ガスを受けるため、かつ本体部分の中央カニューレ内のガス密封ゾーンを生成するための環状ジェット組立品を収容し、患者の外科手術空洞内に安定した圧力を維持する。
【0020】
本発明はまた、患者の外科手術空洞内で内視鏡外科処置を実施するための新規かつ有用
なマルチルーメン管セットを対象とし、これは、マルチパスフィルターカートリッジ組立品と、フィルターカートリッジ組立品と連通し、患者の外科手術空洞に関するガス再循環を促進するための加圧ガスラインおよび戻りガスラインを有するデュアルルーメン部分と、フィルターカートリッジ組立品と連通し、患者の外科手術空洞に送気用ガスを送達するため、かつ患者の外科手術空洞内の圧力を定期的に感知するためのガス供給および感知ラインを有するシングルルーメン部分とを含む。管セットのデュアルルーメン部分は、ユニークな同軸コネクターを含み、また管セットのシングルルーメン部分は、従来的ルアータイプのコネクターを含みうることが好ましい。
【0021】
本発明はまた、患者の外科手術空洞内の内視鏡外科処置を実施するために、分離可能二部品弁密封型外科手術アクセスポートを改良する新規の方法を対象とする。方法は、シングルルーメン管状体部分に取り外し可能なように係合された弁密封型近位ハウジング部分を有する分離可能二部品外科手術アクセスポートを取得する工程を含む。
【0022】
方法はさらに、弁密封型近位ハウジング部分をシングルルーメン管状体部分から取り外してから、ガス密封近位ハウジング部分をシングルルーメン管状体部分に取り付ける工程を含み、ここで、管状体部分はロボット外科手術システムによって操作されるように構成されてもよい。方法はさらに、ガス密封近位ハウジング部分を加圧ガス供給源に接続して、シングルルーメン管状体部分の中央カニューレ内にガス密封ゾーンを生成し、患者の外科手術空洞内に安定した圧力を維持する工程を含む。
【0023】
本発明はまた、患者の外科手術空洞内の内視鏡外科処置を実施するために、分離可能二部品弁密封型外科手術アクセスポートの再利用可能な部分を改良する方法を対象とする。方法は、再利用可能なシングルルーメン管状体部分に取り外し可能なように係合された弁密封型近位ハウジング部分を通常有する、外科手術アクセスポートの再利用可能な部分を取得する工程を含む。
【0024】
方法は、ガス密封近位ハウジング部分を再利用可能なシングルルーメン管状体部分に取り付ける工程をさらに含み、再利用可能な管状体部分は、ロボット外科手術システムによる操作のために構成されうる。方法はさらに、ガス密封近位ハウジング部分を加圧ガス供給源に接続して、再利用可能なシングルルーメン管状体部分の中央カニューレ内にガス密封ゾーンを生成し、患者の外科手術空洞内に安定した圧力を維持する工程を含む。
【0025】
本発明のガス循環システムおよびシングルルーメンガス密封アクセス装置のこれらの特徴およびその他の特徴は、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を図面の以下の簡単な説明と併せ読むことで当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
当業者が、本発明のガス循環システムおよびガス密封腹部アクセス装置を、過度の実験をすることなく作製して使用する方法を簡単に理解できるように、その好ましい実施形態を以下の図を参照しながら本明細書で詳細に説明する。
【0027】
【
図1】
図1は、腹腔鏡外科処置の実施中に使用されている本発明のガス循環システムの斜視図であり、ここでガス循環システムは、患者の腹腔内の安定した気腹を維持するように、かつ腹腔からの煙排出を促進するように構成された、シングルルーメンガス密封アクセスポートに結合するデュアルルーメン部分と、送気および腹腔内圧感知ために構成されたシングルルーメン弁密封型アクセスポートに結合するシングルルーメン部分とを有する、フィルター付きマルチルーメン管セットを含む。
【
図2】
図2は、
図1に示すガス循環システムの斜視図であり、フィルターカートリッジ組立品と、シングルルーメンガス密封アクセスポートに結合するデュアルルーメン部分、およびシングルルーメン弁密封型アクセスポートに結合するシングルルーメン部分を有するフィルター付きマルチルーメン管セットとを含む。
【
図3】
図3は、本発明のフィルター付きマルチルーメン管セットの斜視図であり、従来のルアーコネクターは、管セットのシングルルーメン部分と関連付けられ、同心流路を有するデュアルルーメンコネクターは、管セットのデュアルルーメン部分と関連付けられている。
【
図3A】
図3Aは、本発明の別のマルチルーメン管セットの斜視図であり、デュアルルーメン部分は二分岐であり、それぞれの管は別個のコネクターを持つ。
【
図4】
図4は、
図3に示したフィルターカートリッジ組立品上の管取り付け具の局所的拡大斜視図であり、図示を容易にするために部品が分離されている。
【
図5】
図5は、本発明の好ましい実施形態に従って構成されたシングルルーメンガス密封アクセスポートの斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、
図5の実施形態と類似したシングルルーメンガス密封アクセスポートのハウジング部分の斜視図であるが、マニホールドの入口経路および出口経路の配置が異なる。
【
図6】
図6は、
図5に示したシングルルーメンガス密封アクセスポートを分解斜視図で示し、図示を容易にするために部品が分離されている。
【
図7】
図7は、
図6に示した環状ジェット組立品の斜視図であり、図示を容易にするために部品が分離されている。
【
図8】
図8は、
図5の線8−8に沿って切り取られたシングルルーメンガス密封アクセスポートの断面図であり、
図7に示す環状ジェット組立品を収容する近位ハウジング部分の内部を図示したもので、これはカニューレの中央の穴内にガス密封ゾーンを形成し、患者の外科手術空洞内に安定した圧力を維持する。
【
図9】
図9は、外径D
2を有する
図5のシングルルーメンガス密封アクセスポートの遠位端部分の局所的拡大図である。
【
図10】
図10は、外径D
1を有する先行技術のデュアルルーメンガス密封アクセスポートの遠位端部分の局所的拡大図である。
【
図11】
図11は、カニューレの中央の穴への器具のアクセスを許容することなく、空気の混入および緊急時の圧力放出のために構成されたスロット付きまたはルーバー付き端キャップを持つ本発明の好ましい実施形態に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールの斜視図である。
【
図13】
図13は、非線形管状体部分を持つ、
図11に記載のシングルルーメンガス密封トロカールの別の実施形態の斜視図である。
【
図14】
図14は、カニューレの中央の穴を通して器具のアクセスを許容することなく、空気の混入および緊急時の圧力放出のために構成された本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールの別の実施形態の斜視図であり、ここでトロカールはカニューレを通した外科手術空洞への手術器具の通過を防止するための閉じたオブチュレータ先端を含む。
【
図15】
図15は、
図14のガス密封トロカールの分解斜視図であり、図示を容易にするために部品が分離されている。
【
図16】
図16および17は、本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールの別の実施形態の斜視図であり、ここでトロカールは、それを通して器具が通過するのを防止するために寸法設定された中央カニューレまたは穴を有する管状体部分を含み、これはオブチュレータへのアクセスを許容する。
【
図17】
図16および17は、本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールの別の実施形態の斜視図であり、ここでトロカールは、それを通して器具が通過するのを防止するために寸法設定された中央カニューレまたは穴を有する管状体部分を含み、これはオブチュレータへのアクセスを許容する。
【
図18】
図18は、本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールの別の実施形態の側面図であり、ここで、トロカールは、それを通して器具が通過するのを防止する形状の楕円形断面を持つ管状体部分を備え、これはオブチュレータへのアクセスを許容し、また保持目的のために接着パッドを含む。
【
図19】
図19は、オブチュレータの導入中の、
図18に示したシングルルーメンガス密封トロカールの斜視図である。
【
図20】
図20は、
図19の線20−20に沿って切り取ったトロカールの本体部分の断面図である。
【
図21】
図21〜24は、カニューレの中央の穴に装置のアクセスを許可することなく、空気の混入および緊急時の圧力放出のために構成された本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールのさらに別の実施形態を図示したものであり、ここでトロカールは、オブチュレータが装置から取り外された時、閉じてロックされた位置に移動するように取り付けられた、機械的に作動するスロット付きまたはルーバー付き端キャップを含む。
【
図22】
図21〜24は、カニューレの中央の穴に装置のアクセスを許可することなく、空気の混入および緊急時の圧力放出のために構成された本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールのさらに別の実施形態を図示したものであり、ここでトロカールは、オブチュレータが装置から取り外された時、閉じてロックされた位置に移動するように取り付けられた、機械的に作動するスロット付きまたはルーバー付き端キャップを含む。
【
図23】
図21〜24は、カニューレの中央の穴に装置のアクセスを許可することなく、空気の混入および緊急時の圧力放出のために構成された本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールのさらに別の実施形態を図示したものであり、ここでトロカールは、オブチュレータが装置から取り外された時、閉じてロックされた位置に移動するように取り付けられた、機械的に作動するスロット付きまたはルーバー付き端キャップを含む。
【
図24】
図21〜24は、カニューレの中央の穴に装置のアクセスを許可することなく、空気の混入および緊急時の圧力放出のために構成された本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールのさらに別の実施形態を図示したものであり、ここでトロカールは、オブチュレータが装置から取り外された時、閉じてロックされた位置に移動するように取り付けられた、機械的に作動するスロット付きまたはルーバー付き端キャップを含む。
【
図25】
図25は、本発明に従い構成されたガス循環システムの斜視図であり、ロボット支援外科処置中に使用するように適合し構成されており、これは、フィルター付きマルチルーメン管セットと、着脱可能なハウジング部分を有する二部品シングルルーメンガス密封アクセスポートと、着脱可能なハウジング部分を有する二部品シングルルーメン弁密封型アクセスポートを含む。
【
図26】
図26は、ロボット操作のために構成された再利用可能な遠位カニューレ部分と、ガス密封、ガス再循環および煙排出のために構成された着脱可能なハウジング部分とを含む、
図25に示されるシングルルーメンガス密封アクセスポートの斜視図である。
【
図27】
図27は、
図26のシングルルーメンガス密封アクセスポートの分解斜視図であり、図示を容易にするために、ハウジング部分は、再利用可能なカニューレまたは管状体部分から分離されている。
【
図27A】
図27Aは、
図26のシングルルーメンガス密封アクセスポートの代替的なバージョンの分解斜視図であり、マニホールドは同心コネクターとは対照的な平行なコネクターを含む。
【
図28】
図28は、
図26のシングルルーメンガス密封アクセスポートの分離可能ハウジング部分の側面図である。
【
図29】
図29は、
図26のシングルルーメンガス密封アクセスポートの分離可能ハウジング部分の分解斜視図であり、図示を容易にするために、その構成要素部品が分離されている。
【
図30】
図30は、
図28の線30−30に沿って切り取られたシングルルーメンガス密封アクセスポートの分離可能ハウジング部分の断面図である。
【
図31】
図31は、本発明に従い構成されたガス循環システムの斜視図であり、内視鏡外科処置中または腹腔鏡外科処置中に使用するように適合し構成されており、これは、フィルター付きマルチルーメン管セットと、着脱可能なハウジング部分を有するシングルルーメンガス密封アクセスポートと、着脱可能なハウジング部分を有するシングルルーメン弁密封型アクセスポートを含む。
【
図32】
図32は、遠位カニューレ部分と、ガス密封、ガス再循環および煙排出のために構成された着脱可能なハウジング部分とを含む、
図31に示したシングルルーメンガス密封アクセスポートの斜視図である。
【
図33】
図33は、
図32のシングルルーメンガス密封アクセスポートの分解斜視図であり、図示しやすいようにハウジング部分が管状体部分から分離されている。
【
図34】
図34は、
図32のシングルルーメンガス密封アクセスポートの分離可能ハウジング部分の分解斜視図であり、図示を容易にするために、その構成要素部品が分離されている。
【
図35】
図35〜38は、分離可能二部品弁密封型アクセスポートを改造して患者の外科手術空洞における内視鏡外科処置を実施するための方法ステップを図示したものである。
図35は、シングルルーメン管状体部分に分離可能なように係合された弁密封型近位ハウジング部分を持つ分離可能な二部品アクセスポートを示す。
【
図36】
図36は、アクセスポートのシングルルーメン管状体部分から弁密封型近位ハウジング部分を分離する工程を示す。
【
図37】
図37は、ガス密封近位ハウジング部分を前記アクセスポートの前記シングルルーメン管状体部分に取り付ける工程を示す。
【
図38】
図38は、
図32に示す通り、完全に組み立てられたシングルルーメンガス密封アクセスポートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで図面を参照する。その際、同様の参照番号は本発明の類似の構造要素および特徴を識別する。
図1には、患者の外科手術空洞において内視鏡外科処置を実施するための、より具体的には、患者の腹腔内において腹腔鏡外科処置を実施するための、ガス循環システムが図示されており、これは、本開示の好ましい実施形態に従って構成され、全体を参照番号10で示す。
【0029】
ガス循環システム10は、プログラム可能マルチモーダルガス送達システム12と連携するように特別に設計されている。ガス送達システム12は、同一出願人による米国特許第9,375,539号に記載されるタイプのシステムであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ガス送達システム12は、動作パラメータを設定するためのグラフィカルユーザーインターフェース14、および患者の外科手術空洞に関して加圧ガスの再循環を促進するためのポンプ16を含む。ガス送達システム12は、患者の外科手術空洞に送気用ガスを送達するための外科手術ガス18の供給源に接続される。
【0030】
手短には、ガス循環システム10は、デュアルルーメン部分22およびシングルルーメン部分24を含むフィルター付きマルチルーメン管セット20と、管セット20のデュアルルーメン部分22に動作可能に接続された第一のガス密封シングルルーメンアクセスポート26と、管セット20のシングルルーメン部分24に動作可能に接続された第二の弁密封型シングルルーメンアクセスポート28とを含む。ガス循環システム10のこれらの構成要素のそれぞれ、およびそれらの変形については、以下でより詳細に説明する。
【0031】
マルチルーメン管セット
図2〜4を参照すると、本発明のガス循環システム10は、デュアルルーメン部分22およびシングルルーメン部分24を含む、全体が参照番号20で示されるフィルター付きマルチルーメン管セットを含む。デュアルルーメン部分22は、患者の外科手術空洞に対するガス再循環を促進するための加圧ガスライン30および戻りガスライン32を有する。シングルルーメン部分24は、患者の外科手術空洞に送気用ガスを送達するための、また患者の外科手術空洞内の圧力を定期的に感知するための、ガス供給および感知ライン34を有する。
【0032】
管セット20は、マルチパスフィルターカートリッジ組立品36と動作可能に関連付けられる。より具体的には、管セット20のガスラインは、フィルターカートリッジ組立品36の端キャップ40の取り付け具38から延びる。このタイプのフィルターカートリッジ組立品は、例えば、同一出願人による米国特許第9,067,030号に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。フィルターカートリッジ組立品36は、単回使用のために設計されることが好ましく、したがって使い捨てである。
図1に図示され、同一出願人による米国特許第9,375,539号に記述されているマルチモーダルガス送達システム12と連携するように特に設計されている。
【0033】
本明細書には図示しないが、フィルターカートリッジ組立品36は、管セット20のデュアルルーメン部分22の加圧ガスライン30と連通する第一のフィルター付き流路と、管セット20のデュアルルーメン部分22の戻りガスライン32と連通する第二のフィルター付き流路と、管セット20のシングルルーメン部分24のガス供給および感知ライン34と連通する第三のフィルター付き流路を含む。
【0034】
図2、3および3Aに示すように、管セット20のシングルルーメン部分24は、弁密封型アクセスポート28上のルアー接続25に接続するための標準的なルアータイプコネクター44を含む。管セット20のデュアルルーメン部分22は、ガス密封アクセス部分26上のデュアルルーメンマニホールドコネクター60と嵌合するための同軸の流路を有するデュアルルーメンマニホールドコネクター42を含む。本発明の好ましい実施形態において、管セット20のデュアルルーメン部分22は、
図4で最もよく分かるように、結合された押出品として少なくとも部分的に形成される。別の方法として、
図3Aに示すように、管セット20のデュアルルーメン部分22は、2つの別個のガスライン30および32に遠位で分岐されてもよく、例えば
図14に示すように、それぞれ対応して構成されたアクセスポートマニホールドと嵌合するためのコネクターを有する。
【0035】
シングルルーメンガス密封アクセスポート
図1および
図2を
図5〜9と併せて参照し続けると、循環システム10は、内視鏡外科処置中に患者の外科手術空洞へのガス密封アクセスを提供するよう適合され構成されたガス密封シングルルーメンアクセスポート26を含む。これに関して、アクセスポート26は、例えば、同一出願人による米国特許第7,854,724号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているデュアルルーメントロカール組立品と類似して機能する。しかしながら、アクセスポート26は、一つの中央ルーメンのみが存在するという点で、米国特許第7,854,724号に開示されているトロカール組立品とは有意に異なる。
【0036】
本発明のアクセスポート26は、例えば、先行技術の
図10に示されるように、中央ルーメンを囲む第二の環状ルーメンを持たない。したがって、アクセスポート26は、患者の外科手術空洞に送気用ガスを送達することも、空洞圧力を感知することもできない。むしろ、アクセスポート26は、外科手術空洞からの煙排出および安定した空洞圧力の維持を促進しつつ、ガス密封された器具アクセスを提供するように構成されている。アクセス
ポート26は、
図5〜9に関して以下でより詳細に説明される。
【0037】
ここで
図5〜9を参照すると、本発明のシングルルーメンガス密封アクセスポート26により詳細に図示されており、これは、近位ハウジング部分50と、近位ハウジング部分50から遠位に延び、かつ中央カニューレ54を画定する細長い管状体部分52を含む。アクセスポート26の近位ハウジング部分50は、管セット20の加圧ガスライン30と連通するための入口経路56と、管セット20の戻りガスライン32と連通するための出口経路58とを有する。
【0038】
より具体的には、
図5および8で最もよく分かるように、アクセスポート26内のガス流を管理するために、近位ハウジング部分50は、マニホールド60内に同心に配置される入口経路56および出口経路58を画定するマニホールド60を含む。管セット20のデュアルルーメン部分22は、
図2で最もよく分かるように、近位ハウジング部分50のマニホールド60と結合するための同軸コネクター42を含む。このタイプのデュアルルーメンが連結された接続が、例えば、同一出願人による米国特許出願公開第2017/0361084号の
図21に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の方法として、シングルルーメンガス密封アクセスポート26は、
図5Aに示すように、2つの独立した平行なコネクター56および58を有するマニホールド60を有してもよい。
【0039】
図6および8を参照すると、アクセスポート26の近位ハウジング部分50は、
図7で最もよく分かるように、二部品環状ジェット組立品64を収容するための内部チャンバー62を画定する。端キャップ76は、内部チャンバー62を覆い、中央カニューレ54の入口経路を画定する。環状ジェット組立品64は、入口経路56から加圧ガスを受け、管状体部分52の中央カニューレ54内にガスまたは空気密封ゾーンを生成して、患者の外科手術空洞内の安定した圧力を維持するように適合され構成されている。
【0040】
図7を参照すると、環状ジェット組立品64は、ノズルチューブ68を有する上部ジェットリング66と、ノズルチューブ68を受けるためのノズルシート72を画定する下部ジェットリング70とを含む。上部ジェットリング66および下部ジェットリング70はそれぞれ、Oリング75を有し、複数の嵌合ラグ74によってまとめて結合される。環状ジェット組立品64は、同一出願人による米国特許第8,795,223号および米国特許出願公開第2015/0025323号において非常に詳細に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
例えば、米国特許第8,795,223号に開示されているガス密封アクセスポートを利用するシステムと比較して、本発明のガス循環システム10を採用するいくつかの利点がある。特に、内側カニューレおよび外側カニューレの両方の必要性を除去することによって、アクセスポート26に関して、送気および感知のための別個の従来的カニューレの使用のために、アクセスポート26の管状体の有効外径が著しく低減する。
【0042】
図9および10は、この比較を図示したものであり、
図10は、米国特許第8,795,223号の開示に従って構成された5mmのデュアルルーメンガス密封アクセス装置の管状体部分55および中央の穴57を示し、有効外径D
1は約11.05mmであり、
図9は、本発明のシングルルーメンガス密封アクセス装置26の5mmバージョンを示し、管状体部分52の有効外径D
2は例えば約8.97mmである。本体部分52、55のそれぞれの中央の穴54、57は、同じ内径を持つことが理解されるべきである。
【0043】
本発明のシングルルーメンガス密封アクセスポート26の有効外径におけるこの有意な差異は、患者の切開がより小さな外科手術を可能にしつつ、類似の機能性(すなわち、器
具のためのガス密封、安定した気腹および煙排出)を維持する。切開サイズが小さくなると、患者にとって瘢痕が小さくなるか見えなくなり、痛みが少なくなるか鎮痛剤が少なくなり、外科医にとって創傷閉鎖がより簡単なものとなる可能性がある。さらに、本発明のシングルルーメンガス密封アクセスポート26は、例えば、米国特許第8,795,223号に開示されたガス密封アクセスポートよりも、より少ないプラスチックを使用し、かつ少ない構成要素を有するとともに、シングルルーメン設計はいくつかの嵌合の特徴を除去する。これにより、構成要素および組立品のコストが低減され、より効率的な製品認定が可能となり得る。
【0044】
当業者であれば、アクセスポート26の管状体部分52が、インサータまたはオブチュレータを使用して腹壁を貫いて患者の腹腔内に導入され得ることを容易に理解するであろう。これに関して、
図5および8で最もよく分かるように、近位ハウジング50上の端キャップ76は、同一出願人による米国特許第9,545,264号に記述および図示されたタイプのオブチュレータまたはイントロデューサと連携するよう設計された正反対にあるフランジ78aおよび78bを含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この目的のために、他のオブチュレータまたはイントロデューサも利用できる。
【0045】
器具の通路をもたないシングルルーメンガス密封トロカール
図11〜24を参照すると、上述のシングルルーメンガス密封アクセスポート26は、外科手術器具がそれを通過するためのガス密封、安定した空洞圧力および外科手術空洞の煙排出を実施するように適合され、かつ構成され、空気の混入および緊急時の空洞圧力放出を許容するように構築されている一方で、本発明の実施形態は、必ずしも外科手術空洞への器具のアクセスを提供しなければならないわけではなく、むしろ器具の通路をもたないシングルルーメンガス密封トロカールとして構成されうることも想定されており、十分に本開示の範囲内である。
【0046】
例えば、
図11および12には、安定した空洞圧力を維持し、および外科手術空洞の煙排出を実施するだけでなく、同心デュアルルーメンマニホールド160によって空気の混入および緊急時の圧力放出が許容されるように適合され構成されているが、本体部分152の中央カニューレ穴154内への、およびそれを通した器具のアクセスは許容しない、ガス密封トロカール126が図示されている。これに関して、ガス密封トロカール126の中央の穴154は、トロカール126の中央の穴154への、およびそれを通した器具のアクセスを物理的に阻止またはその他の方法で遮断する、間隔を置いたスロット180のセットを含むハウジング部分150上のルーバー付き端キャップ176によって覆われる。
【0047】
外科手術器具はこのガス密封トロカール126に挿入されないため、下記に詳細に説明する、例えば
図16〜17に示すように、ガス密封機能を犠牲にすることなく、内径(よって、装置の外径)を著しく小さくすることができる。これにより、本発明のポートのサイズに基づく潜在的な利点をさらに増加させうる。このタイプのガス密封トロカールは、多くの代替的な実施形態を有しうる。例えば、
図18〜20に示し、後述するように、導管は円筒形の外科手術器具の周りでのガス密封を提供するために円筒形である必要はないため、トロカール装置はより薄いおよび/またはより平坦なチャネルまたは長楕円形チャネルを含むことができる。この設計は、この実施形態の楕円形または長楕円形の幾何学的形状が外科医によって作られた線形の皮膚切開とより厳密に整列するため、臨床上の利点を可能にしうる。よって、より簡単に挿入がなされうると共に、切開を取り囲む組織への外傷がより少なくなりうる。
【0048】
トロカール装置はまた、直線または長軸方向の経路を含む必要がない。例えば、
図13に示すように、ルーバー付き端キャップ176およびバイルーメンマニホールド260を
備えた近位ハウジング部分250を有するガス密封トロカール226は、その軸から90度曲げるように構成された非直線本体部分252を含みうる。この構造により、腹腔鏡外科処置中の患者の腹壁への固着や、強化型またはユーザー主導型の煙排出の範囲および対象範囲の提供や、腹腔内および腹腔外の両方の作業空間にある散乱物の除去など、多数の改善が可能となる。
【0049】
ここで
図14〜15を参照するが、患者の外科手術空洞内で内視鏡外科処置を実施するためのガス密封トロカール326が図示されており、これは、近位ハウジング部分350と、近位ハウジング部分350から遠位に延び、かつ中央カニューレ354を画定する細長いシングルルーメン管状体部分352を含む。近位ハウジング部分350は、管セット20の加圧ガスライン30と連通するための入口経路356と、管セット20の戻りガスライン32と連通するための出口経路358とを有する。近位ハウジング部分350は、入口経路および出口経路を画定するマニホールド360を含み、入口経路と出口経路は、マニホールド360内で並列に配置される。別の方法として、経路356および358は、別個のマニホールドを必要とせずに、近位ハウジング部分350と一体型の方法で形成されうる。
【0050】
近位ハウジング部分350は、入口経路356からの加圧ガスを受けるため、および管状体部分352の中央カニューレ354内に患者の外科手術空洞内での安定した圧力を維持するガス密封ゾーンを生成するための環状ジェット組立品364を収容し、ここで、近位ハウジング部分350は、空気の混入を許容するように適合され構成されるが、以下に説明するとおり、本体部分352は閉じ、中央カニューレ354を通した外科手術空洞へのアクセスが阻止されている。
【0051】
近位ハウジング部分350は、入口経路356および出口経路358を画定するマニホールド360を含み、入口経路と出口経路は、マニホールド360内で並列に配置される。近位ハウジング部分350はまた、外科処置中の装置326の固定を容易にするために、縫合用固定タング394を含む。近位ハウジング部分350は、空気の混入および緊急時の空洞圧力放出を可能にするために、円周方向に配置された半径方向スロット377付きの端キャップ376をさらに含む。端キャップ376はまた、管状体部分352の中央カニューレ354を閉じるためのプラグ390を受けるための中央開口部378で構成され、それによって必要に応じて空気の混入を阻止する。
【0052】
管状体部分352の遠位端セクションは、装置の経皮的導入を容易にするための閉じた円錐状先端355を形成する。さらに、閉じた遠位先端355は、中央カニューレ354を通しての患者の体腔への外科手術器具の通過を阻止する。管状体部分352の遠位端セクションは、管状体部分352の中央カニューレ354と患者の外科手術空洞との間のガス/流体連通を促進するための複数の開口部392を含む。
【0053】
ここで
図16および17を参照するが、患者の外科手術空洞内で内視鏡外科処置を実施するためのガス密封トロカール426が図示されており、これは、近位ハウジング部分450と、近位ハウジング部分450から遠位に延び、かつ中央カニューレ454を画定する細長いシングルルーメン管状体部分452を含む。
【0054】
近位ハウジング部分450は、空気の混入を可能にする端キャップ476と、入口経路456および出口経路458を画定するデュアルルーメンマニホールド460とを含み、入口経路と出口経路は、
図14に示したように平行にではなく、マニホールド460内で同心に配置される。近位ハウジング部分450はさらに、縫合用固定タング494を含む。
【0055】
この実施形態において、管状体部分452およびより具体的には、中央の穴またはカニューレ454は、それを通る外科手術器具の通過を阻止する寸法である。例えば、穴454は、腹腔鏡外科手術中に一般的に使用される標準的な5mm内視鏡外科手術装置の導入を阻止する寸法としうる。したがって、穴454の内径「d」は5mm未満である。しかしながら、こうした例では、オブチュレータまたはイントロデューサ490は、トロカール426の経皮的導入を促進するために中央の穴454を通過する寸法である。
【0056】
ここで
図18〜20を参照するが、患者の外科手術空洞内で内視鏡外科処置を実施するためのガス密封トロカール526が図示されており、これは、近位ハウジング部分550と、近位ハウジング部分550から遠位に延び、かつ中央カニューレ554を画定する細長いシングルルーメン管状体部分552を含む。近位ハウジング部分550は、マニホールド560を含み、入口および出口の経路は並列に配置される。
【0057】
図20で最もよく分かるように、管状体部分552は、非円形の断面形状を有する。より具体的には、
図20に示すように、管状体部分552は、楕円形の断面形状を有する。また、接着パッド598は、外科処置中にトロカール500を定位置に保持するために、管状体部分552と動作可能に関連付けられる。
【0058】
ここで
図21〜24を参照するが、本発明に従って構成されたシングルルーメンガス密封トロカールの別の実施形態が図示されており、これはその全体が参照番号626で示されている。ガス密封トロカール626は、近位ハウジング部分650と、近位ハウジング部分650から遠位に延び、中央カニューレ654を画定する細長いシングルルーメン管状体部分652とを含む。近位ハウジング部分650は、マニホールド660を含み、入口および出口の経路は並列に配置される。
【0059】
近位ハウジング部分650はさらに、オブチュレータ690がトロカール600から除去されると、中央カニューレ654へのアクセスを阻止するために、
図21〜23に示す開位置から
図24に示す閉位置まで移動する、ヒンジ付端キャップ676を含む。より具体的には、近位ハウジング部分650およびヒンジ付端キャップ676は、端キャップ676を通常閉位置に偏向させる付勢バンド675によって互いに動作可能に接続される。
【0060】
端キャップ676は、管状体部分652の中央カニューレ654への器具のアクセスを許容することなく、中央カニューレ654への空気の混入、および緊急時の空洞圧力放出を可能にするルーバーまたは間隔を置いたスロット648を有する。さらに、ヒンジ付端キャップ676を保持するための近位ハウジング部分650上にロック機構685が提供されており、
図24で最もよく分かるように閉位置である。より具体的には、ロック機構685は、端キャップ676のフランジ677を捕捉・保持するための一対のロックタブ685aおよび685bを含む。
【0061】
ロボット外科手術用の分離可能な二部品シングルルーメンガス密封アクセスポート
図25〜30を参照すると、全体が参照番号710によって示される本発明のガス循環システムの別の実施形態が図示されており、これはロボット支援の低侵襲外科処置で使用するように構成されている。より具体的には、ガス循環システム710は、Intuitive Surgical, Inc.によって製造・販売されるDa Vinci Xiタイプのロボットシステムと併せて使用するように適合される。
【0062】
図25を参照すると、ガス循環システム710は、デュアルルーメン部分22、シングルルーメン部分24およびマルチパスフィルターカートリッジ組立品36を有するマルチルーメン管セット20を含む。デュアルルーメン部分22は、全体が参照番号726で示される分離可能な二部品シングルルーメンガス密封アクセスポートと連通するように適合
され構成される。シングルルーメン部分24は、全体が参照番号728で示される分離可能二部品シングルルーメン弁密封型アクセスポートと連通するように適合され構成される。
【0063】
図26を参照すると、ガス密封アクセスポート726は、ロボット外科手術で使用するために特に構成される。下記により詳細に説明するように、別個の管状体部分752と選択的に結合されるように適合された近位ハウジング部分750が含まれる。管状体部分752は、ロボット外科手術システムによる操作のために構成される。より具体的には、管状体部分752の近位受容部分755は、低侵襲外科手術中に、Da Vinci Xiタイプのロボット操作装置(図示せず)が腹部ポート750を把持して移動することができるようにするための半径方向外側に延びる把持フランジ757を含む。
【0064】
図27〜30を参照すると、ガス密封アクセスポート726の近位ハウジング部分750は、管状体部分752の上部受容部分755内に収容されるように寸法設定され、構成される下側ハウジング部分751を含む。Oリング759は、下側ハウジング部分751の外部に対してシールするために、上部受容部分755内に提供される。管状のステム753は、下側ハウジング部分751を通って延長し、かつ管状体部分752の管状の穴またはカニューレ754と直接連通して、2つの構造が使用のために一緒に取り付けられた時に連通する。
【0065】
図30を参照すると、近位ハウジング部分750は、環状ジェット組立品764を収容するための内部チャンバーをさらに含む。環状ジェット組立品764は、入口経路756から加圧ガスを受け、管状のステム753内のガスまたは空気密封ゾーンを生成するように構成される。管状のステム753は、管状体部分752の中央カニューレ穴754と空気連通しているため、装置は安定した空洞圧力を維持し、煙排出がなされうる。
【0066】
図27および29を参照すると、アクセスポート726の近位ハウジング部分750は、正反対にある一対のばね式ロックタブ740aおよび740bによって、選択的にまたはその他の方法で分離可能に管状体部分752に連結されるように構成される。
図28で最もよく分かるように、分離可能ハウジング部分750は、同心経路756、758を通した圧力ラインおよび戻りラインの流れを管理するためのデュアルルーメンマニホールド760も含む。別の方法として、
図27Aに示すように、マニホールド760は、並列入口および出口経路756および758を含み得る。
【0067】
内視鏡外科手術用の分離可能な二部品シングルルーメンガス密封アクセスポート
ここで
図31〜34を参照すると、内視鏡外科処置における使用のために適合および構成された、全体が参照番号810で示される本発明のガス循環システムの別の実施形態が図示されている。システム810は、デュアルルーメン部分22、シングルルーメン部分24、およびマルチパスフィルターカートリッジ組立品36を持つマルチルーメン管セット20を含む。
【0068】
図31を参照すると、管セット20のデュアルルーメン部分22は、近位ハウジング部分850および分離可能な管状体部分852を含む全体が参照番号826で示された二部品シングルルーメンガス密封アクセスポートと連通するように適合され構成される。管セット20のシングルルーメン部分24は、近位ハウジング部分823および分離可能な管状体部分825を含む全体が参照番号828で示された二部品シングルルーメン弁密封型アクセスポートと連通するように適合され構成される。当業者であれば、管セット20のシングルルーメン部分24が、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、一体成形の弁密封型アクセスポートに接続できることを容易に理解するであろう。
【0069】
図32および33を参照すると、ガス密封アクセスポート826は、管状体部分852の上部受容部分855と選択的に結合されるように適合された近位ハウジング部分850を含む。より具体的には、アクセスポート826の近位ハウジング部分850は、上部受容部分855と動作可能に関連付けられた正反対にある一対のバネ式ロックタブ840aおよび840bによって、管状体部分852の上部受容部分855に選択的に結合されるように構成される。
【0070】
分離可能ハウジング部分850は、端キャップ876およびデュアルルーメンマニホールド860を含み、圧力ラインおよび戻りラインの流れを管理する。ハウジング部分850は、安定した空洞圧力を維持し、煙排出を提供するために、分離可能な管状体部分852の中央カニューレ穴内にガスまたは空気密封ゾーンを生成するように構成された環状ジェット組立品864を収容する内部チャンバーも持つ。
【0071】
シングルルーメン二部品ガス密封アクセスポートを配置する方法
図35〜38を参照すると、本発明は、患者の外科手術空洞内で内視鏡外科処置を実施するために、分離可能二部品弁密封型外科手術アクセスポートを改良する新規の方法も対象とする。
図35に示すように、方法は、シングルルーメン管状体部分852に分離可能に係合された弁密封型近位ハウジング部分950を有する分離可能二部品外科手術アクセスポート926を取得する工程を含む。近位ハウジング部分950は、機械的ダックビル弁995および従来のルアータイプの取り付け具925を含む。
【0072】
方法は、
図36に示すように、弁密封型近位ハウジング部分950をシングルルーメン管状体部分852から取り外す工程と、その後、
図37に示すように、マニホールド860を備えたガス密封近位ハウジング部分850をシングルルーメン管状体部分852に選択的に取り付ける工程とをさらに含む。次に、
図38に示すように、方法はさらに、組み立てられたポート826のガス密封近位ハウジング部分850を、シングルルーメン管状体部分852の中央カニューレの中にガス密封ゾーンを生成するために加圧ガスの供給源に接続し、患者の外科手術空洞内に安定した圧力を維持する工程を含む。
【0073】
本発明のガス循環システム、マルチルーメン管セットおよびガス密封アクセスポートおよびトロカールについて好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、変更および/または修正を行うことができることを容易に理解するであろう。