【文献】
LG Electronics Inc.,Unavailable DeNB cells at phase II[online], 3GPP TSG-RAN WG2#72 R2-106494,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_72/Docs/R2-106494.zip>,2010年11月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワークに含まれる基地局から、ユーザ装置と前記ネットワークとの間の通信をリレーするリレー装置をサポートする機能を前記基地局が有することを示す第1情報を、通信装置が受信するステップと
前記通信装置が、前記第1情報に基づいて、前記通信装置が前記リレー通信装置として動作することを示す第2情報を前記基地局に送信するステップと、
前記通信装置が、前記通信装置が潜在的に取り扱うデータ量を示す情報を前記基地局に送信するステップと、を有する
方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態の概要]
第1実施形態に係る通信制御方法は、ドナー基地局リストを保持しており、前記ドナー基地局リストに存在するドナー基地局に接続し、前記ドナー基地局とユーザ端末との間でリレー伝送を行うリレー局における通信制御方法であって、隣接基地局を特定するステップAと、前記ステップAで特定した前記隣接基地局に対して、前記リレー局の受け入れ可否に関して問い合せるステップBと、前記ステップBでの問い合せ結果に応じて、前記ドナー基地局リストを更新するステップCと、を有する。
【0014】
第1実施形態において、前記ステップBは、前記ステップAで特定した前記隣接基地局に対して、ドナー基地局機能を有しているか否かを問い合せるステップB1を含む。
【0015】
第1実施形態において、前記ステップBは、前記ステップAで特定した前記隣接基地局に対して、前記リレー局の負荷状況を通知するステップB2を含む。
【0016】
第1実施形態において、前記通信制御方法は、前記ステップCで更新された前記ドナー基地局リストを、前記ドナー基地局を介してコアネットワーク装置に通知するステップDをさらに有する。
【0017】
第2及び4実施形態に係る通信制御方法は、ドナー基地局とユーザ端末との間でリレー伝送を行うリレー局を含む移動通信システムに適用される通信制御方法であって、ターゲット基地局への前記リレー局のハンドオーバ手順において、前記リレー局の受け入れを要求するためのハンドオーバ要求を前記ターゲット基地局に送信するステップAを有し、前記ステップAにおいて、前記リレー局の負荷状況を示す情報を前記ハンドオーバ要求と共に送信する。
【0018】
第2実施形態において、前記ターゲット基地局へのハンドオーバ判断を前記リレー局で行う場合、前記ステップAにおいて、前記リレー局が、前記リレー局の負荷状況を示す情報を前記ハンドオーバ要求と共に送信する。
【0019】
第2実施形態において、前記通信制御方法は、前記ステップAに先立ち、前記リレー局が、ドナー基地局候補の基地局のリストであるドナー基地局リスト又は隣接基地局のリストである隣接基地局リストに基づいて、前記ターゲット基地局を決定するステップCをさらに有し、前記ドナー基地局リスト又は前記隣接基地局リストは、前記ドナー基地局候補の基地局又は前記隣接基地局のそれぞれについて、位置、セル方向、キャパシティ、及びセルサイズの少なくとも1つの情報を含む。
【0020】
第4実施形態において、前記ターゲット基地局へのハンドオーバ判断を前記ドナー基地局で行う場合、前記ステップAにおいて、前記ドナー基地局が、前記リレー局の負荷状況を示す情報を前記ハンドオーバ要求と共に送信する。
【0021】
第3実施形態に係る通信制御方法は、ドナー基地局リストを保持しており、前記ドナー基地局リストに存在するドナー基地局に接続し、前記ドナー基地局とユーザ端末との間でリレー伝送を行うリレー局を含む移動通信システムにおける通信制御方法であって、前記ドナー基地局リストに存在する基地局への前記リレー局のハンドオーバが不能である場合において、前記リレー局が、所定基地局に接続する他のリレー局が保持するドナー基地局リストを前記他のリレー局から取得するステップAを有する。
【0022】
第3実施形態において、前記通信制御方法は、前記リレー局が、前記ステップAに先立ち、前記所定基地局に接続する他のリレー局についての情報であるリレー局情報を前記所定基地局から受信するステップCをさらに有する。
【0023】
第3実施形態において、前記通信制御方法は、前記リレー局からターゲット基地局にハンドオーバ要求を送信するステップDと、前記ターゲット基地局が、前記ハンドオーバ要求を拒否する場合に、ハンドオーバ拒否応答を前記リレー局に送信するステップEと、をさらに有し、前記所定基地局は、前記ターゲット基地局であり、前記ステップEにおいて、前記ターゲット基地局は、前記リレー局情報を前記ハンドオーバ拒否応答に含めて送信し、前記ステップCにおいて、前記リレー局は、前記ハンドオーバ拒否応答に含まれる前記リレー局情報を受信する。
【0024】
第3実施形態において、前記通信制御方法は、前記ステップCに先立ち、前記所定基地局に接続する他のリレー局について前記所定基地局に問い合せるステップDをさらに有する。
【0025】
第4実施形態に係る通信制御方法は、ドナー基地局機能を有する基地局と、前記基地局とユーザ端末との間でリレー伝送を行うリレー局とを含む移動通信システムに適用される通信制御方法であって、隣接基地局の識別子を含む隣接基地局リストを前記基地局が保持するステップAを有し、前記隣接基地局リストは、前記隣接基地局それぞれについて、当該隣接基地局がドナー基地局機能を有するか否かを示す情報をさらに含む。
【0026】
第4実施形態において、前記リレー局が前記基地局に接続した際に、前記基地局が、前記隣接基地局リストを更新するための情報をコアネットワーク装置に要求するステップBと、前記基地局が、前記コアネットワーク装置からの情報に応じて、前記隣接基地局リストを更新するステップCとをさらに有する。
【0027】
第4実施形態において、前記基地局からターゲット基地局への前記リレー局のハンドオーバ手順において、前記ターゲット基地局が、前記基地局からのハンドオーバ要求を受信するステップDと、前記ターゲット基地局が前記ドナー基地局機能を有しない場合、前記ターゲット基地局は、前記ハンドオーバ要求に対する拒否応答と共に、自身が前記ドナー基地局機能を有しない旨の情報を前記基地局に送信するステップEとをさらに有する。
【0028】
第2及び第5実施形態に係る通信制御方法は、基地局に接続するユーザ端末のハンドオーバ判断を前記基地局が行う移動通信システムに適用される通信制御方法であって、ドナー基地局に接続し、前記ドナー基地局とユーザ端末との間でリレー伝送を行うリレー局のハンドオーバ判断を行うステップAを有し、前記ステップAにおいて、前記リレー局のハンドオーバ判断を前記リレー局が行う。
【0029】
第2及び第5実施形態において、前記通信制御方法は、前記ステップAによりターゲット基地局へのハンドオーバを行うと判断した場合に、前記リレー局の受け入れを要求するためのハンドオーバ要求を前記リレー局が送信するステップBをさらに有する。
【0030】
第2実施形態において、前記ステップBにおいて、前記リレー局は、前記リレー局と前記ターゲット基地局との間に確立されるネットワークインターフェイスを用いて、前記ハンドオーバ要求を前記ターゲット基地局に送信するステップB1を含む。
【0031】
第2実施形態において、前記通信制御方法は、前記ターゲット基地局が、前記リレー局からの前記ハンドオーバ要求の受信に応じて、前記リレー局のハンドオーバのための情報を前記ドナー基地局に対して要求するステップCと、前記ドナー基地局が、前記ターゲット基地局からの要求に応じて、前記リレー局のハンドオーバのための情報を前記ターゲット基地局に送信するステップDと、をさらに有する。
【0032】
第2実施形態において、前記通信制御方法は、前記ターゲット基地局が、前記リレー局のハンドオーバのための情報を前記ドナー基地局から受信した後、前記ネットワークインターフェイスを用いて、前記リレー局のハンドオーバのための情報を含むハンドオーバ許可応答を前記リレー局に送信するステップEをさらに有する。
【0033】
第5実施形態において、前記ステップBにおいて、前記リレー局は、前記ハンドオーバ要求に前記ターゲット基地局の識別子を1つ又は複数含めた上で、前記ハンドオーバ要求を前記ドナー基地局に送信する。
【0034】
第2及び第5実施形態において、前記通信制御方法は、前記ステップBに先立ち、前記リレー局が、前記ドナー基地局及び/又は前記ターゲット基地局に対して、前記リレー局からのハンドオーバ要求に対応可能であるか否かを問い合わせるステップをさらに有する。
【0035】
(1)第1実施形態
本実施形態においては、リリース10以降の3GPP規格(すなわち、LTE Advanced)に基づいて構成される移動通信システムを例に説明する。
【0036】
(1.1)移動通信システムの概要
図1は、本実施形態に係る移動通信システムの構成図である。
図1に示すように、移動通信システムは、ユーザ端末(UE:User Equipment)100と、基地局(eNB:evolved Node−B)200と、移動可能なリレー局(MRN:Mobile Relay Node)300と、モビリティ管理装置(MME:Mobility Management Entity)/ゲートウェイ装置(S−GW:Serving Gateway)400と、運用保守装置(OAM:Operation and Maintenance)500と、を有する。
【0037】
eNB200及びMRN300は、無線アクセスネットワーク(E−UTRAN:Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10に含まれるネットワーク装置である。MME/S−GW400及びOAM500は、コアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)20に含まれるネットワーク装置である。
【0038】
UE100は、ユーザが所持する移動可能な無線通信装置である。UE100は、通信中の状態に相当する接続状態において、接続を確立したセル(「サービングセル」と称される)との無線通信を行う。
【0039】
なお、「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能としても使用される。よって、eNB200は、セルと称されることもある。
【0040】
UE100がユーザの移動に伴って移動する場合、UE100のサービングセルの変更が必要になる。UE100が接続状態においてサービングセルを変更する動作は、「ハンドオーバ」と称される。ハンドオーバに係る一連の手順は、「ハンドオーバ手順」と称される。ハンドオーバ手順は、ハンドオーバ準備段階(Preparation)と、ハンドオーバ実行段階(Execution)と、ハンドオーバ完了段階(Completion)と、を含む。
【0041】
ハンドオーバ手順において、ハンドオーバ元のセルは「ソースセル」、ハンドオーバ先のセルは「ターゲットセル」と称される。また、あるeNB200(セル)から他のeNB200(セル)へのハンドオーバ手順においては、ハンドオーバ元のeNB200は「ソースeNB」、ハンドオーバ先のeNB200は「ターゲットeNB」と称される。
【0042】
eNB200は、通信事業者によって設置される固定型の無線通信装置であり、例えば、マクロ基地局(MeNB)又はピコ基地局(PeNB)などである。或いは、eNB200は、屋内に設置可能なホーム基地局(HeNB)であってもよい。eNB200は、セルを形成する。eNB200は、UE100との無線通信を行う。
【0043】
eNB200は、自身の配下のUE100について、ハンドオーバの決定権を有する。詳細には、eNB200は、UE100からの測定報告(Measurement Report)に基づいて、サービングセルから他のセルへのハンドオーバを行うか否かを判断する。eNB200は、UE100のハンドオーバ制御のために、隣接eNB(隣接セル)のリスト(以下、「隣接eNBリスト」と称する)を保持する。
【0044】
eNB200は、ドナー基地局(DeNB)機能を有していれば、MRN300との接続を確立して、MRN300のドナーとして動作することができる。例えば、3GPPリリース10以降のリリースをサポートするeNB200はオプション機能としてDeNB機能を有しているが、それ以前のリリースをサポートするeNB200はDeNB機能を有していない。或いは、処理能力の低いeNB200(HeNB)は、DeNB機能を有していないことがある。
【0045】
eNB200は、EPC20との間の論理的な通信路であるS1インターフェイス上でEPC20(MME/S−GW400)との通信を行う。また、S1インターフェイスは、MRN300のドナーとして動作するeNB200(DeNB200−1)とMRN300との間にも確立される。MRN300は、DeNB200−1を介してS1インターフェイス上でEPC20との通信を行うことができる。
【0046】
MMEは、制御情報を取り扱う制御プレーンに対応して設けられており、UE100に対する各種モビリティ管理や認証処理などを行う。S−GWは、ユーザデータを取り扱うユーザプレーンに対応して設けられており、UE100が送受信するユーザデータの転送制御などを行う。
【0047】
eNB200は、隣接するeNB200との間の論理的な通信路であるX2インターフェイス上で、当該隣接するeNB200との通信を行う。また、X2インターフェイスは、MRN300のドナーとして動作するeNB200(DeNB200−1)とMRN300との間にも確立される。MRN300は、DeNB200−1を介してX2インターフェイス上で隣接eNB200−2との通信を行うことができる。
【0048】
本実施形態では、S1インターフェイス及び/又はX2インターフェイスは、ネットワークインターフェイスに相当する。
【0049】
MRN300は、電車やバスなどの移動体に設置される移動可能な無線通信装置である。MRN300は、DeNBとして使用可能なeNB200(セル)のリスト(以下、「DeNBリスト」と称する)を保持する。MRN300は、自身の起動時にDeNBリストをOAM500から取得する。
【0050】
MRN300は、DeNBリストに存在するeNB200との接続を確立(Connect)し、接続を確立したeNB200(DeNB200−1)との無線通信を行う。そして、MRN300は、自身の配下のUE100とDeNB200−1との間でリレー伝送を行う。
【0051】
MRN300は、基本的には、DeNB200−1の視点ではUE100と同様であり、UE100の視点ではeNB200と同様である。すなわち、MRN300は、UE100の性質とeNB200の性質とを併せ持つ。
【0052】
MRN300が移動体の移動に伴って移動する場合、接続状態からアイドル状態に遷移(Disconnect)した後に新たなDeNBとの接続を確立(Connect)する、或いは、接続状態を維持したまま新たなDeNBとの接続を確立(すなわち、ハンドオーバ)する必要がある。本実施形態では、前者のケース(Connect/Disconnect)を想定しており、後者のケース(ハンドオーバ)については第2実施形態以降で説明する。
【0053】
MRN300は、自身の配下のUE100について、ハンドオーバの決定権を有する。詳細には、MRN300は、UE100からの測定報告(Measurement Report)に基づいて、サービングセルから他のセルへのハンドオーバを行うか否かを判断する。eNB200は、UE100のハンドオーバ制御のために、隣接eNBリストを保持する。
【0054】
次に、MRN300に関連するプロトコルスタックについて説明する。
図2は、Unインターフェイスのプロトコルスタック図である。
【0055】
図2に示すように、Unインターフェイスのプロトコルスタックにおいて、レイヤ1は物理(PHY)レイヤである。レイヤ2は、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、を含む。レイヤ3は、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。
【0056】
物理レイヤは、データ符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。物理レイヤは、物理チャネルを用いて上位レイヤに伝送サービスを提供する。MRN300の物理レイヤとDeNB200−1の物理レイヤとの間では、物理チャネルを介してデータが伝送される。物理レイヤは、トランスポートチャネルを介してMACレイヤと連結される。
【0057】
MACレイヤは、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。MRN300のMACレイヤとDeNB200−1のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータが伝送される。DeNB200−1のMACレイヤは、上下リンクのトランスポートフォーマット及びリソースブロックを決定するMACスケジューラを含む。トランスポートフォーマットは、トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS)、及びアンテナマッピングを含む。
【0058】
RLCレイヤは、MACレイヤ及び物理レイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。MRN300のRLCレイヤとDeNB200−1のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータが伝送される。
【0059】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0060】
RRCレイヤは、制御プレーンでのみ定義される。MRN300のRRCレイヤとDeNB200−1のRRCレイヤとの間では、無線ベアラを介してデータが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。MRN300のRRCとDeNB200−1のRRCとの間にRRC接続がある場合、MRN300は「接続状態」であり、そうでない場合、MRN300は「アイドル状態」である。
【0061】
RRCレイヤの上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)レイヤは、MRN300及びMME300に設けられ、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
【0062】
図3は、MRN300と隣接eNB200−2との間に確立されるX2インターフェイスに関するプロトコルスタック図である。ここでは、制御プレーンについて説明する。
【0063】
図3に示すように、レイヤ1(L1)及びレイヤ2(L2)上にIP(Internet Protocol)及びSCTP(Stream Control Transmission Protocol)が設けられ、SCTP上にX2−AP(X2 Application Protocol)が設けられる。X2−APは、ハンドオーバなどに伴うメッセージの送受信を行う。
【0064】
MRN300が送信するX2メッセージはDeNB200−1で中継されて、隣接eNB200−2に伝送することができる。また、隣接eNB200−2が送信するX2メッセージはDeNB200−1で中継されて、MRN300に伝送することができる。
【0065】
MRN300とDeNB200−1との間のL1及びL2は、UnインターフェイスのL1及びL2と同様である。
【0066】
図4は、MRN300とMME400との間に確立されるS1インターフェイスに関するプロトコルスタック図である。
図4に示すように、S1インターフェイスについては、X2−APではなくS1−APが設けられる点でX2インターフェイスとは異なる。
【0067】
図5は、本実施形態に係る移動通信システム(LTEシステム)で使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を採用する。
【0068】
図5に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成され、各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各シンボルの先頭には、サイクリックプレフィックス(CP)と呼ばれるガード区間が設けられる。
【0069】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームの残りの区間は、主に物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用されるデータ領域である。下りリンクにおいては、セル毎に異なる参照信号(RS)が送信される。
【0070】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームにおける周波数方向の中央部は、主に物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用されるデータ領域である。
【0071】
無線フレームは、複数のMBSFN(MBMS Single Frequency Network)サブフレームを含む。MRN300は、MBSFNサブフレームを用いてDeNB200−1との通信を行う。
【0072】
(1.2)ブロック構成
以下において、UE100、eNB200、及びMRN300それぞれのブロック構成を説明する。
【0073】
図6は、UE100のブロック図である。
図6に示すように、UE100は、無線送受信部110と、記憶部120と、制御部130と、を含む。
【0074】
無線送受信部110は、無線信号を送受信する。
【0075】
記憶部120は、制御部130による制御に使用される各種情報を記憶する。
【0076】
制御部130は、UE100の各種の機能を制御する。例えば、制御部130は、上述したUE100の動作を制御する。
【0077】
図7は、eNB200のブロック図である。
図7に示すように、eNB200は、無線送受信部210と、ネットワーク通信部220と、記憶部230と、制御部240と、を含む。
【0078】
無線送受信部210は、無線信号を送受信する。また、無線送受信部210は、セルを形成する。
【0079】
ネットワーク通信部220は、S1インターフェイス上でMME/S−GW400との通信を行う。ネットワーク通信部220は、X2インターフェイス上で隣接eNB200との通信を行う。
【0080】
記憶部230は、制御部240による制御に使用される各種情報を記憶する。また、記憶部230は、隣接eNBリストを記憶(保持)する。
【0081】
制御部240は、eNB200の各種の機能を制御する。例えば、制御部240は、上述したeNB200の動作を制御すると共に、後述するeNB200の動作を制御する。
【0082】
図8は、MRN300のブロック図である。
図8に示すように、MRN300は、対eNB無線送受信部310と、対UE無線送受信部320と、記憶部330と、制御部340と、を含む。
【0083】
対eNB無線送受信部310は、eNB200からの無線信号を受信し、eNB200に対して無線信号を送信する。
【0084】
対UE無線送受信部320は、UE100からの無線信号を受信し、UE100に対して無線信号を送信する。対UE無線送受信部320は、セルを形成する。
【0085】
記憶部330は、制御部340による制御に使用される各種情報を記憶する。また、記憶部330は、UE100のハンドオーバ制御のための隣接eNBリストと、MRN300が接続を確立すべきDeNBを決定するためのDeNBリストと、を記憶(保持)する。
【0086】
制御部340は、MRN300の各種の機能を制御する。例えば、制御部340は、上述したMRN300の動作を制御すると共に、後述するMRN300の動作を制御する。制御部340は、対eNB無線送受信部310が受信する無線信号(参照信号)に対する測定により、DeNBリストに存在する何れかのDeNB候補をDeNBとして決定することができる。
【0087】
また、MRN300は、自身の位置情報を取得するための測位システム(例えばGPS受信機350)を有していてもよい。MRN300は、自身の位置情報に基づいて、自身の移動速度を推定することができる。
【0088】
(1.3)第1実施形態に係る動作
以下において、本実施形態に係る移動通信システムの動作を説明する。
【0089】
以下の動作パターン1から3では、DeNBリストを保持しており、DeNBリストに存在するDeNB200−1に接続し、DeNB200−1とUE100との間でリレー伝送を行うMRN300は、隣接eNB200を特定し、特定した隣接eNB200に対してMRN300の受け入れ可否に関して問い合せ、問い合せ結果に応じてDeNBリストを更新する。
【0090】
詳細には、以下の動作パターン1及び2では、MRN300は、DeNBリストに存在しない隣接eNB200を特定する。MRN300は、特定した隣接eNB200に対する問い合せ結果が、MRN300の受け入れ許可を示す場合に、当該特定した隣接eNB200を追加するようDeNBリストを更新する。
【0091】
これに対し、以下の動作パターン3では、MRN300は、DeNBリストに存在する隣接eNB200を特定する。MRN300は、特定した隣接eNB200に対する問い合せ結果が、MRN300の受け入れ拒否を示す場合に、特定した隣接eNB200を無効にする(除外する)ようDeNBリストを更新する。
【0092】
(1.3.1)動作パターン1
図9は、本実施形態に係る動作パターン1のシーケンス図である。
【0093】
図9に示すように、ステップS101において、OAM500は、UE100のハンドオーバ制御のための隣接eNBリスト(NL)を、DeNB200−1を介してMRN300に通知する。隣接eNBリストの全体を通知する場合に限らず、変更に係る部分のみを通知してもよい。
【0094】
ステップS102において、MRN300は、OAM500から受信した隣接eNBリストによって、保持している隣接eNBリスト(NL)を更新する。
【0095】
ステップS103において、MRN300は、ステップS102で更新した隣接eNBリストと、保持しているDeNBリストと、を比較する。詳細には、MRN300は、隣接eNBリストに存在し、かつ、DeNBリストに存在しない隣接eNBを検索する。
【0096】
ここでは、隣接eNBリストに存在し、かつ、DeNBリストに存在しない隣接eNBとして、eNB200−2が特定されたと仮定して説明を進める。
【0097】
ステップS104において、MRN300は、ステップS103で特定されたeNB200−2に対して、DeNB機能を有しているか否かをX2インターフェイス上で問い合わせる。
【0098】
ステップS105において、eNB200−2は、MRN300からの問い合せに応じて、自身がDeNB機能を有しているか否かを確認する。
【0099】
ステップS106において、eNB200−2は、自身がDeNB機能を有しているか否かをX2インターフェイス上でMRN300に通知する。
【0100】
ステップS107において、MRN300は、eNB200−2がDeNB機能を有しているか否かを確認する。
【0101】
eNB200−2がDeNB機能を有している場合(ステップS107;Yes)、ステップS108において、MRN300は、eNB200−2を追加するようDeNBリストを更新する。詳細には、MRN300は、eNB200−2の識別子(セルID)をDeNBリストに追加する。
【0102】
ステップS109において、MRN300は、ステップS108で更新したDeNBリストを、DeNB200−1を介してOAM500に通知する。更新したDeNBリストの全体を通知する場合に限らず、更新に係る部分のみを通知してもよい。
【0103】
なお、本シーケンスでは、隣接eNBリストが更新されたことをトリガとして、DeNBリストを更新するための動作を開始するケースを説明した。しかしながら、このような方法に代えて、以下のような方法を採用してもよい。
【0104】
MRN300が停止している状況下では、DeNBリストを更新する必要性は低い。このため、MRN300において測定報告(Measurement Report)のトリガが発生したことをトリガとして、DeNBリストを更新するための動作を開始してもよい。或いは、MRN300の移動速度が閾値を超えている期間において、当該動作を定期的に行ってもよい。
【0105】
また、MRN300は、受信する参照信号に対する測定によって検出した隣接セル(隣接eNB)がDeNBリストに含まれていない、又は、受信する参照信号に対する測定で最も参照信号受信電力(RSRP)が高い隣接セル(隣接eNB)がDeNBリストに含まれていないことをトリガとして、DeNBリストを更新するための動作を開始し、当該隣接セル(隣接eNB)に対して問い合せを行ってもよい。
【0106】
(1.3.2)動作パターン2
図10は、本実施形態に係る動作パターン2のシーケンス図である。
【0107】
図10に示すように、ステップS111において、OAM500は、UE100のハンドオーバ制御のための隣接eNBリストを、DeNB200−1を介してMRN300に通知する。隣接eNBリストの全体を通知する場合に限らず、変更に係る部分のみを通知してもよい。
【0108】
ステップS112において、MRN300は、OAM500から受信した隣接eNBリストによって、保持している隣接eNBリストを更新する。
【0109】
ステップS113において、MRN300は、ステップS112で更新した隣接eNBリストと、保持しているDeNBリストと、を比較する。詳細には、MRN300は、隣接eNBリストに存在し、かつ、DeNBリストに存在しない隣接eNBを検索する。
【0110】
ここでは、隣接eNBリストに存在し、かつ、DeNBリストに存在しない隣接eNBとして、eNB200−2が特定されたと仮定して説明を進める。
【0111】
MRN300は、自身の負荷状況を把握する。負荷状況とは、MRN300が収容するUE100の数(詳細には、MRN300に接続中のUE100の数)、MRN300が取り扱うトラフィック量などである。なお、実際の負荷状況に限らず、潜在的な負荷状況(例えば、最大収容UE数や最大トラフィック量などの処理能力)を把握してもよい。
【0112】
ステップS114において、MRN300は、ステップS113で特定されたeNB200−2に対して、X2インターフェイス上で、負荷状況を通知すると共に、MRN300の受け入れ可否を問い合わせる。その際、MRN300は、当該問い合せを行った主体が「MRN」であることを併せて通知してもよい。
【0113】
ステップS115において、eNB200−2は、MRN300からの問い合せに応じて、MRN300の受け入れ可否を判断する。詳細には、eNB200−2は、自身の負荷状況に基づく余裕度と、MRN300の負荷状況と、を比較して、MRN300との接続を確立しても問題が生じないか否かを判断する。
【0114】
ステップS116において、eNB200−2は、MRN300の受け入れ可否をX2インターフェイス上でMRN300に通知する。
【0115】
ステップS117において、MRN300は、eNB200−2に対する問い合せの結果が「受け入れ許可」であるか「受け入れ拒否」であるかを確認する。
【0116】
「受け入れ許可」である場合(ステップS117;Yes)、ステップS118において、MRN300は、eNB200−2を追加するようDeNBリストを更新する。詳細には、MRN300は、eNB200−2の識別子(セルID)をDeNBリストに追加する。
【0117】
ステップS119において、MRN300は、ステップS118で更新したDeNBリストを、DeNB200−1を介してOAM500に通知する。更新したDeNBリストの全体を通知する場合に限らず、更新に係る部分のみを通知してもよい。
【0118】
なお、本シーケンスでは、隣接eNBリストが更新されたことをトリガとして、DeNBリストを更新するための動作を開始するケースを説明したが、動作パターン1で説明した他の方法を採用してもよい。
【0119】
(1.3.3)動作パターン3
図11は、本実施形態に係る動作パターン3のシーケンス図である。
【0120】
図11に示すように、ステップS121において、MRN300は、例えば自身の負荷状況が大きく変化したことをトリガとして、隣接eNBリストに存在する隣接eNBを検索する。ここでは、隣接eNBリストに存在する隣接eNBとして、eNB200−2が特定されたと仮定して説明を進める。
【0121】
MRN300は、自身の負荷状況を把握する。ここでの負荷状況とは、MRN300が収容するUE100の数(詳細には、MRN300に接続中のUE100の数)、MRN300が取り扱うトラフィック量などである。
【0122】
ステップS122において、MRN300は、ステップS121で特定されたeNB200−2に対して、X2インターフェイス上で、負荷状況を通知すると共に、MRN300の受け入れ可否を問い合わせる。その際、MRN300は、当該問い合せを行った主体が「MRN」であることを併せて通知してもよい。
【0123】
ステップS123において、eNB200−2は、MRN300からの問い合せに応じて、MRN300の受け入れ可否を判断する。詳細には、eNB200−2は、自身の負荷状況に基づく余裕度と、MRN300の負荷状況と、を比較して、MRN300との接続を確立しても問題が生じないか否かを判断する。
【0124】
ステップS124において、eNB200−2は、MRN300の受け入れ可否をX2インターフェイス上でMRN300に通知する。
【0125】
ステップS125において、MRN300は、eNB200−2に対する問い合せの結果が「受け入れ許可」であるか「受け入れ拒否」であるかを確認する。
【0126】
「受け入れ拒否」である場合(ステップS125;Yes)、ステップS126において、MRN300は、eNB200−2を無効にするようDeNBリストを更新する。詳細には、MRN300は、eNB200−2の識別子(セルID)をDeNBリストから削除する、又は、一時的に無効に設定する。
【0127】
ステップS127において、MRN300は、ステップS126で更新したDeNBリストを、DeNB200−1を介してOAM500に通知する。更新したDeNBリストの全体を通知する場合に限らず、更新に係る部分のみを通知してもよい。
【0128】
なお、本シーケンスでは、隣接eNBリストが更新されたことをトリガとして、DeNBリストを更新するための動作を開始するケースを説明したが、動作パターン1で説明した他の方法を採用してもよい。
【0129】
(1.4)第1実施形態のまとめ
以上説明したように、DeNBリストを保持しており、DeNBリストに存在するDeNB200−1に接続し、DeNB200−1とUE100との間でリレー伝送を行うMRN300は、隣接eNB200を特定し、特定した隣接eNB200に対してMRN300の受け入れ可否に関して問い合せ、問い合せ結果に応じてDeNBリストを更新する。これにより、MRN300が移動する場合であっても、DeNBリストを移動先の状況に適応させることができる。
【0130】
動作パターン1及び2では、MRN300は、DeNBリストに存在しない隣接eNB200を特定する。MRN300は、特定した隣接eNB200に対する問い合せ結果が、MRN300の受け入れ許可を示す場合に、当該特定した隣接eNB200を追加するようDeNBリストを更新する。これにより、MRN300が移動した結果、MRN300の周辺に、MRN300を受け入れ可能なDeNB候補が現れた場合に、当該新たなDeNB候補をDeNBリストに追加できる。
【0131】
動作パターン3では、MRN300は、DeNBリストに存在する隣接eNB200を特定する。MRN300は、特定した隣接eNB200に対する問い合せ結果が、MRN300の受け入れ拒否を示す場合に、特定した隣接eNB200を無効にするようDeNBリストを更新する。これにより、DeNBリストに存在するDeNB候補の何れかがMRN300を受け入れ不能になった場合に、MRN300を受け入れ不能になったeNB200をDeNB候補としないようにすることができる。
【0132】
また、問い合せは、問い合せ元が「MRN」であることを示す情報を含む。これにより、隣接eNB200は、問い合せ元が「MRN」であることを認識した上で、受け入れ可否を判断できる。
【0133】
MRN300は、DeNB200−1を介してOAM500から通知される隣接eNBリストと、MRN300が保持するDeNBリストと、の比較結果に基づいて、DeNBリストに存在しない隣接eNB200を特定する。これにより、DeNBリストに存在しない隣接eNB200を適切に特定できる。
【0134】
或いは、MRN300は、隣接eNB200からMRN300が受信した無線信号に基づいて、DeNBリストに存在しない隣接eNB200を特定する。これにより、DeNBリストに存在しない隣接eNB200を適切に特定できる。
【0135】
動作パターン1では、MRN300は、特定した隣接eNB200に対して、DeNB機能を有しているか否かを問い合せる。これにより、DeNB機能を有する隣接eNB200のみをDeNBリストに追加できる。
【0136】
動作パターン2及び3では、MRN300は、特定した隣接eNB200に対して、MRN300の負荷状況を通知する。これにより、当該隣接eNB200は、自身の負荷状況と、MRN300の負荷状況と、に基づいて、MRN300を受け入れ可能であるか否かを判断できる。
【0137】
MRN300は、更新したDeNBリストの全部又は更新部分を、DeNB200−1を介してOAM500に通知する。これにより、OAM500は、当該DeNB200−1周辺の他のMRN300に対して、当該更新後のDeNBリストを通知できる。よって、当該他のMRN300は、最適化されたDeNBリストを利用できる。或いは、バックアップとしてOAM500がDeNBリストを保持し、必要に応じて当該DeNBリストをMRN300に通知してもよい。
【0138】
(2)第2実施形態
以下、第2実施形態について、上述した第1実施形態との相違点を説明する。
【0139】
本実施形態では、MRN300が、上述したDeNBリストを用いてハンドオーバを行う際の動作を主として説明する。
【0140】
(2.1)第2実施形態に係る動作
以下において、本実施形態に係る移動通信システムの動作を説明する。
【0141】
以下の動作パターン1から4では、eNB200に接続するUE100のハンドオーバ判断をeNB200が行う移動通信システムにおいて、DeNB200−1に接続し、DeNB200−1とUE100との間でリレー伝送を行うMRN300は、MRN300のハンドオーバ判断をMRN300自身で行う。そして、MRN300は、MRN300とターゲットeNB200との間に確立されるX2インターフェイスを用いて、ハンドオーバ要求をターゲットeNB200に送信する。
【0142】
(2.1.1)動作パターン1
図12は、本実施形態に係る動作パターン1のシーケンス図である。本シーケンスの初期状態では、MRN300は、DeNB200−1に接続してリレー伝送を実行中であるとする。
【0143】
図12に示すように、ステップS200において、MRN300は、受信する参照信号に対する測定の結果と、保持しているDeNBリストと、を照合する。
【0144】
ステップS201において、MRN300は、ステップS200での照合結果に応じて、ハンドオーバ判断を行う。例えば、MRN300は、現在接続中のDeNB200−1よりもRSRPが高いDeNB候補がDeNBリストに存在する場合、当該DeNB候補をターゲットeNBとして決定する。
【0145】
ここでは、そのようなハンドオーバ判断により、eNB200−2がターゲットeNBとして決定されたと仮定して説明を進める。
【0146】
ステップS202において、MRN300は、eNB200−2に対して、MRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であるか否かをX2インターフェイス上で問い合せる。なお、ステップS202をステップS201よりも前に行ってもよい。
【0147】
ステップS203において、eNB200−2は、MRN300からの問い合せに応じて、MRN300に対して、自身がMRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であるか否かをX2インターフェイス上で通知する。
【0148】
ここでは、eNB200−2がMRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であると仮定して説明を進める。
【0149】
ステップS204において、MRN300は、eNB200−2に対して、自身の受け入れを要求するためのハンドオーバ要求をX2インターフェイス上で送信する。ハンドオーバ要求は、当該ハンドオーバ要求の送信元が「MRN」であることを示す情報を含む。一般的に、ハンドオーバ要求の送信により、ハンドオーバ手順における準備段階(Preparation)が開始される。ハンドオーバ手順が完了するまでは、DeNB200−1は「ソースeNB」である。
【0150】
ステップS205において、eNB200−2は、MRN300からのハンドオーバ要求に基づいて、当該ハンドオーバ要求を許可するか拒否するかを判断する。ここでは、eNB200−2が当該ハンドオーバ要求を許可すると判断したと仮定して説明を進める。
【0151】
ステップS206において、eNB200−2は、MRN300のハンドオーバのための情報をX2インターフェイス上でDeNB200−1に対して要求する。
【0152】
ステップS207において、DeNB200−1は、eNB200−2からの要求に対する許可応答(Ack)と共に、MRN300のハンドオーバのための情報をX2インターフェイス上でeNB200−2に送信する。MRN300のハンドオーバのための情報とは、MRN300のX2 signaling context reference、S1 EPC signaling context reference、target cell ID、RRC context、AS configuration、E−RAB contextなどである。
【0153】
ステップS208において、eNB200−2は、MRN300からのハンドオーバ要求に対する許可応答(Ack)と共に、eNB200−2との接続を確立するために必要な情報をX2インターフェイス上でMRN300に通知する。eNB200−2との通信を行うために必要な情報とは、例えば、新しいC−RNTI及びセキュリティアルゴリズム識別子、オプションとしてdedicated RACHプリアンブル及びSIB等である。
【0154】
ステップS209において、MRN300は、eNB200−2からのハンドオーバ許可応答の受信に応じて、DeNB200−1との接続を切断(Disconnect)する。その後、MRN300は、eNB200−2との接続を確立する処理(ランダムアクセス処理、RRC接続確立処理など)を行う(ステップS212)。一方、DeNB200−1は、MRN300に未送信のデータをeNB200−2に対してX2インターフェイス上で転送する処理(データフォワーディング)を行う(ステップS210、S211)。
【0155】
このようにしてハンドオーバ手順が完了すると、eNB200−2はMRN300の新たなDeNBになる。
【0156】
(2.1.2)動作パターン2
図13は、本実施形態に係る動作パターン2のシーケンス図である。ここでは、本実施形態に係る動作パターン1との相違点のみ説明する。
【0157】
図13に示すように、動作パターン2において、MRN300は、ハンドオーバ要求をターゲットeNB200−2に送信する際に、MRN300の負荷状況を示す情報を当該ハンドオーバ要求と共に送信する(ステップS204−1)。
【0158】
負荷状況とは、MRN300が収容するUE100の数(詳細には、MRN300に接続中のUE100の数)、MRN300が取り扱うトラフィック量などである。なお、実際の負荷状況に限らず、潜在的な負荷状況(例えば、最大収容UE数や最大トラフィック量などの処理能力)でもよい。
【0159】
ターゲットeNB200は、MRN300の負荷状況を示す情報をハンドオーバ要求と共に受信した後、MRN300の負荷状況を示す情報に基づいて、ハンドオーバ要求を許可するか否かを判断する(ステップS205−1)。
【0160】
詳細には、eNB200−2は、自身の負荷状況に基づく余裕度と、MRN300の負荷状況と、を比較して、MRN300との接続を確立しても問題が生じないか否かを判断する。
【0161】
(2.1.3)動作パターン3
本実施形態に係る動作パターン3では、MRN300は、ハンドオーバ要求を送信(ステップS204)する前において、ハンドオーバ要求を送信するタイミングを調整するための処理を行う。
【0162】
詳細には、MRN300は、自身の移動速度が閾値を超えてれば、ハンドオーバ要求の送信タイミングが通常よりも早くなるよう調整する。また、MRN300は、自身の移動速度が閾値以下になれば、ハンドオーバ要求の送信タイミングが通常のタイミングになるよう戻す。
【0163】
例えば、ハンドオーバ判断(ステップS201)において、MRN300が、現在接続中のDeNB200−1よりもRSRPが高いDeNB候補がDeNBリストに存在する場合、当該DeNB候補をターゲットeNBとして決定するケースを想定する。このようなケースでは、MRN300は、自身の移動速度が閾値を超えてれば、現在接続中のDeNB200−1のRSRPを低く補正(オフセット)する、又は、DeNB候補のRSRPを高く補正(オフセット)することで、ハンドオーバのトリガが発生し易くなり、ハンドオーバ要求のタイミングを早めることができる。
【0164】
或いは、ハンドオーバ判断(ステップS201)において、MRN300が、DeNB候補のRSRPが閾値を超えた場合に、当該DeNB候補をターゲットeNBとして決定するケースを想定する。このようなケースでは、MRN300は、DeNB候補のRSRPを高く補正(オフセット)する、又は、当該閾値を下げることで、ハンドオーバのトリガが発生し易くなり、ハンドオーバ要求のタイミングを早めることができる。
【0165】
また、MRN300は、自身の移動速度が閾値を超えてれば、MRN300からのハンドオーバ要求の対応可否の問い合せ(ステップS202)を行わずに、ハンドオーバ要求を送信するとしてもよい。
【0166】
(2.1.4)動作パターン4
本実施形態に係る動作パターン4では、MRN300は、付加情報が付されたDeNBリストを使用してハンドオーバ判断(ステップS201)を行う。
【0167】
図14は、動作パターン4で使用されるDeNBリストの構成図である。
図14に示すように、動作パターン4で使用されるDeNBリストは、DeNB候補(の識別子)それぞれについて、位置、セル方向、キャパシティ、及びセルサイズのそれぞれの情報を含む。
【0168】
MRN300は、このようなDeNBリストに基づいて、ターゲットeNBを決定する。詳細には、以下の条件(全てまたは一部)で、DeNB候補がターゲットeNBとして適切であるか否かを判断する。
【0169】
第1に、DeNB候補の位置とMRN300の進行方向とが合致していれば、MRN300は、当該DeNB候補が適切であると判断する。
【0170】
第2に、DeNB候補のセル方向(セル形成位置)とMRN300の進行方向とが合致していれば、MRN300は、当該DeNB候補が適切であると判断する。
【0171】
第3に、DeNB候補のキャパシティ及びMRN300負荷状況(接続数/トラフィック)について、当該負荷状況がDeNB候補のキャパシティ範囲内であれば、MRN300は、当該DeNB候補が適切であると判断する。
【0172】
第4に、DeNB候補のサービスエリアの大きさ及びMRN300の移動速度について、DeNB候補のエリアの通過時間が一定基準以上ならば、MRN300は、当該DeNB候補が適切であると判断する。
【0173】
なお、応用として、DeNB候補が無かった場合に、DeNB候補のリストの更新を行ってもよい。この場合の動作については、第3実施形態で説明する。
【0174】
また、本動作パターンでは、位置、セル方向、キャパシティ、及びセルサイズのそれぞれの情報をDeNBリストに含めるケースを説明したが、当該情報を隣接eNBリストに含めてもよい。この場合、隣接eNBリストは、各eNB(の識別子)それぞれについて、位置、セル方向、キャパシティ、及びセルサイズのそれぞれの情報を含む。そして、MRN300は、隣接eNBリストを用いてハンドオーバ判断を行ってもよい。
【0175】
(2.2)第2実施形態のまとめ
以上説明したように、eNB200に接続するUE100のハンドオーバ判断をeNB200が行う移動通信システムにおいて、DeNB200−1に接続し、DeNB200−1とUE100との間でリレー伝送を行うMRN300は、MRN300のハンドオーバ判断をMRN300自身で行う。これにより、MRN300は、自身の状況やDeNB候補の状況などに応じて、最適なハンドオーバ判断を行うことができる。また、MRN300からDeNB200−1への測定報告を行うことなく、ハンドオーバ判断を実施できるため、測定報告のための無線リソースを節約できる。
【0176】
MRN300は、ターゲットeNB200に対して、MRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であるか否かを問い合わせる。これにより、MRN300は、自身のハンドオーバ要求に対応可能であることを確認した上で、ハンドオーバ要求をターゲットeNB200に送信できる。
【0177】
MRN300は、MRN300とターゲットeNB200との間に確立されるX2インターフェイスを用いて、ハンドオーバ要求をターゲットeNB200に送信する。これにより、DeNB200−1によるハンドオーバ判断を行うことなく、ハンドオーバ要求をMRN300からターゲットeNB200に送信できるため、DeNB200−1の負荷を軽減すると共に、速やかなハンドオーバを行うことができる。
【0178】
ハンドオーバ要求は、当該ハンドオーバ要求の送信元が「MRN」であることを示す情報を含む。これにより、ターゲットeNB200は、ハンドオーバ要求の送信元が「MRN」であることを認識した上で、当該ハンドオーバ要求を許可するか否かを判断できる。
【0179】
ターゲットeNB200は、MRN300からのハンドオーバ要求の受信に応じて、MRN300のハンドオーバのための情報をDeNB200−1に対して要求する。DeNB200−1は、ターゲットeNB200からの要求に応じて、MRN300のハンドオーバのための情報をターゲットeNB200に送信する。これにより、MRN300主導でMRN300のハンドオーバを行う場合であっても、ターゲットeNB200は、MRN300のハンドオーバのための情報をDeNB200−1から取得できる。
【0180】
ターゲットeNB200は、MRN300のハンドオーバのための情報をDeNB200−1から受信した後、X2インターフェイスを用いて、MRN300のハンドオーバのための情報を含むハンドオーバ許可応答(Handover Request Ack)をMRN300に送信する。これにより、DeNB200−1によるハンドオーバ判断を行うことなく、ハンドオーバ許可応答をターゲットeNB200からMRN300に送信できるため、DeNB200−1の負荷を軽減すると共に、速やかなハンドオーバを行うことができる。
【0181】
動作パターン2では、MRN300は、ターゲットeNB200へのMRN300のハンドオーバ手順において、ハンドオーバ要求をターゲットeNB200に送信する際に、MRN300の負荷状況を示す情報を当該ハンドオーバ要求と共に送信する。ターゲットeNB200は、MRN300の負荷状況を示す情報をハンドオーバ要求と共に受信した後、MRN300の負荷状況を示す情報に基づいて、ハンドオーバ要求を許可するか否かを判断する。これにより、ターゲットeNB200は、自身の負荷状況と、MRN300の負荷状況と、に基づいて、ハンドオーバ要求を許可するか否かを判断できる。
【0182】
動作パターン3では、MRN300は、自身の移動速度に応じたタイミングでハンドオーバ要求を送信する。これにより、例えばMRN300が高速移動する場合のハンドオーバ失敗頻度を低減することができる。
【0183】
動作パターン4では、MRN300は、DeNB候補のリストであるDeNBリストに基づいて、ターゲットeNB200を決定する。DeNBリストは、DeNB候補それぞれについて、位置、セル方向、キャパシティ、及びセルサイズの少なくとも1つの情報を含む。これにより、MRN300は、DeNB候補の位置、セル方向、キャパシティ、及びセルサイズの少なくとも1つを考慮して、当該DeNB候補をターゲットeNBとするか否かを決定できる。
【0184】
(3)第3実施形態
以下、第3実施形態について、上述した各実施形態との相違点を説明する。本実施形態は、第2実施形態の応用例に相当する。
【0185】
(3.1)第3実施形態に係る動作
以下において、本実施形態に係る移動通信システムの動作を説明する。
【0186】
本実施形態では、DeNBリストに存在するDeNB候補へのMRN300のハンドオーバが不能である場合において、MRN300は、所定eNB(所定基地局)に接続する他のMRNが保持するDeNBリストを当該他のMRNから取得する。
【0187】
ここで、「所定eNB」とは、第2実施形態の動作パターン4で説明したように、ターゲットeNBとして適切なDeNB候補がDeNBリストに存在しない場合には、「現在のDeNB」又は「DeNBリストに存在するDeNB候補」を意味する。或いは、「所定eNB」とは、MRN300からのハンドオーバ要求がターゲットeNBによって拒否された場合には、「ターゲットeNB」を意味する。以下の動作パターン1は前者の場合を想定し、以下の動作パターン2は後者の場合を想定している。
【0188】
(3.1.1)動作パターン1
図15は、本実施形態に係る動作パターン1のシーケンス図である。ここでは、ターゲットeNBとして適切なDeNB候補がDeNBリストに存在しない場合に、DeNBリストに存在するDeNB候補であるeNB200−2及びeNB200−3を「所定eNB」とするケースを説明する。eNB200−2には、他のMRN1(MRN300−1)及びMRN2(MRN300−2)が接続している。
【0189】
ステップS301において、MRN300は、DeNBリストに存在する全てのDeNB候補がターゲットeNBとして不適切であると判断する。
【0190】
ステップS302において、MRN300は、DeNBリストに存在するDeNB候補であるeNB200−2及びeNB200−3に対して、接続中のMRN(又はRN)についてX2インターフェイス上で問い合せる。
【0191】
ステップS303において、eNB200−2及びeNB200−3は、MRN300に対して、接続中のMRNについてX2インターフェイス上で通知する。ここでは、eNB200−2は、MRN300−1の識別子及びMRN300−2の識別子をMRN300に通知する。eNB200−3は、接続中のMRNが存在しない旨をMRN300に通知する。
【0192】
ステップS304において、MRN300は、eNB200−2からの通知に基づいて、X2インターフェイス上でMRN300−1及びMRN300−2のそれぞれにアクセスし、DeNBリストを要求する。
【0193】
ステップS305において、MRN300−1及びMRN300−2のそれぞれは、自身が保持するDeNBリストをX2インターフェイス上でMRN300に通知(報告)する。
【0194】
ステップS306において、MRN300は、自身が保持するDeNBリストと、MRN300−1及びMRN300−2のそれぞれから受信したDeNBリストと、を照合する。
【0195】
ステップS307において、自身が保持するDeNBリストと、MRN300−1及びMRN300−2のそれぞれから受信したDeNBリストと、に差異があるか否かを判断する。詳細には、MRN300は、MRN300−1及びMRN300−2のそれぞれから受信したDeNBリストにおいて、自身が保持するDeNBリストに存在しないDeNB候補が存在するか否かを確認する。
【0196】
そのようなDeNB候補が存在する場合(ステップS307;Yes)、ステップS308において、MRN300は、当該DeNB候補を追加するよう自身のDeNBリストを更新する。詳細には、当該DeNB候補の識別子を自身のDeNBリストに追加する。その結果、当該DeNB候補をターゲットeNBとするハンドオーバを開始可能な状態になる。
【0197】
(3.1.2)動作パターン2
図16は、本実施形態に係る動作パターン2のシーケンス図である。ここでは、MRN300からのハンドオーバ要求がeNB200−2によって拒否された場合に、eNB200−2を「所定eNB」とするケースを説明する。
【0198】
ステップS311において、MRN300は、ハンドオーバ要求をX2インターフェイス上でeNB200−2に送信する。
【0199】
ステップS312において、eNB200−2は、MRN300のハンドオーバ要求を許可するか拒否するかを判断する。ここでは、MRN300のハンドオーバ要求を拒否すると判断したと仮定して説明を進める。
【0200】
ステップS313において、eNB200−2は、ハンドオーバ拒否応答(Nack)と共に、自身に接続中のMRN(又はRN)についてX2インターフェイス上でMRN300に通知する。これ以降は、動作パターン1のステップS304以降の動作と同様の動作が行われる。
【0201】
(3.2)第3実施形態のまとめ
以上説明したように、DeNBリストに存在するDeNB候補をターゲットeNB200とするMRN300のハンドオーバが不能である場合において、MRN300は、当該DeNBリストに存在するeNB200−2に接続する他のMRNが保持するDeNBリストを当該他のMRNから取得する。そして、MRN300は、取得したDeNBリストの中から新たなターゲットeNBを決定する。これにより、DeNBリストに存在するDeNB候補をターゲットeNBとするMRN300のハンドオーバが不能である場合でも、他のMRNが保持するDeNBリストを利用して、新たなターゲットeNBへのハンドオーバを試みることができる。
【0202】
本実施形態では、MRN300は、eNB200−2に接続する他のMRNについての情報をeNB200−2から受信する。これにより、MRN300は、eNB200−2に接続する他のMRNを把握することができる。
【0203】
本実施形態では、MRN300は、eNB200−2に接続する他のMRNについての情報をeNB200−2から受信するのに先立ち、eNB200−2に接続する他のMRNについてeNB200−2に問い合せる。これにより、eNB200−2は、MRN300からの求めに応じて、自身に接続するMRNをMRN300に通知できる。
【0204】
本実施形態では、eNB200−2は、MRN300に対するハンドオーバ拒否応答(Nack)と共に、接続中のMRNの情報をMRN300に通知する。これにより、MRN300は、eNB200−2に接続する他のMRNを把握することができる。
【0205】
(4)第4実施形態
以下、第4実施形態について、上述した各実施形態との相違点を説明する。
【0206】
上述した第2実施形態及び第3実施形態では、MRN300のハンドオーバをMRN300主導で行っていたが、本実施形態では、MRN300のハンドオーバをDeNB200−1主導で行う。すなわち、本実施形態では、LTEにおける通常のハンドオーバ手順を応用してMRN300のハンドオーバを行う。
【0207】
(4.1)第4実施形態に係る動作
以下において、本実施形態に係る移動通信システムの動作を説明する。
【0208】
本実施形態では、DeNB200−1は、MRN300からの測定報告に基づいて、隣接eNBリストに存在するeNB(セル)へのMRN300のハンドオーバを行うか否かを判断する。ここで、隣接eNBリストに存在するeNBであっても、DeNB機能を有していないeNBであれば、ターゲットeNBとすることは無意味である。よって、本実施形態では、以下のように隣接eNBリストを構成及び管理する。
【0209】
(4.1.1)隣接eNBリストの管理
図17は、本実施形態に係る隣接eNBリストの構成図である。
【0210】
図17に示すように、隣接eNBリストは、隣接eNB(のセルID(TCI))それぞれについて、当該隣接eNBがDeNB機能を有するか否かを示す情報をさらに含む。例えば、DeNB機能を有しない隣接eNBについては、DeNB機能を有しないことを示すフラグを設定する。その他の項目については、仕様上の隣接eNBリスト(「隣接関係テーブル(NRT)」と称される)と同様である。仕様上、隣接eNBリストは、ANR(Automatic Neighbour Relation)機能により更新されることもある。
【0211】
eNB200(DeNB200−1)は、隣接eNBリストに関する情報をOAM500から取得し、隣接eNBリストを管理する。本実施形態では、MRN300がDeNB200−1に接続した際に、隣接eNBリストを更新するための情報をOAM500に要求する。そして、DeNB200−1は、OAM500からの情報に応じて、隣接eNBリストを更新する。
【0212】
(4.1.2)ハンドオーバ手順
(4.1.2.1)動作パターン1
図18は、本実施形態に係る動作パターン1のシーケンス図である。
【0213】
図18に示すように、ステップS401において、MRN300は、測定報告をDeNB200−1に送信する。
【0214】
ステップS402において、DeNB200−1は、隣接eNBリスト(NL或いはNRT)に基づいて、DeNB機能を有する隣接eNBを特定する。
【0215】
ステップS403において、DeNB200−1は、MRN300からの測定報告に基づいて、ステップS402で特定した隣接eNBの中からターゲットeNBを決定する。例えば、DeNB200−1は、ステップS402で特定した隣接eNBであって、測定報告により示されるRSRPが高い隣接eNBをターゲットeNBとして決定する。ここでは、eNB200−2がターゲットeNBとして決定されたと仮定して説明を進める。
【0216】
ステップS404において、DeNB200−1は、ハンドオーバ要求をX2インターフェイス上でターゲットeNB200−2に送信する。
【0217】
ステップS405において、ターゲットeNB200−2は、DeNB200−1からのハンドオーバ要求を許可するか拒否するかを判断する。これ以降は通常のハンドオーバ手順が実施される。
【0218】
(4.1.2.2)動作パターン2
図19は、本実施形態に係る動作パターン2のシーケンス図である。ここでは、本実施形態に係る動作パターン1との相違点を説明する。
【0219】
図19に示すように、ステップS401−1において、MRN300は、測定報告をDeNB200−1に送信する際に、自身の負荷状況をDeNB200−1に通知する。ただし、負荷状況を通知するタイミングは、測定報告のタイミングと異ならせてもよい。なお、DeNB200−1がMRN300の負荷状況を把握している場合には、DeNB200−1へのMRN300の負荷状況の通知は省略可能である。
【0220】
負荷状況とは、MRN300が収容するUE100の数(詳細には、MRN300に接続中のUE100の数)、MRN300が取り扱うトラフィック量などである。なお、実際の負荷状況に限らず、潜在的な負荷状況(例えば、最大収容UE数や最大トラフィック量などの処理能力)でもよい。
【0221】
ステップS402及びS403は動作パターン1と同様である。
【0222】
ステップS404−1において、DeNB200−1は、ハンドオーバ要求をX2インターフェイス上でターゲットeNB200−2に送信する際に、MRNの負荷状況をDeNB200−1に通知する。
【0223】
ステップS405−1において、ターゲットeNB200−2は、MRNの負荷状況を考慮して、DeNB200−1からのハンドオーバ要求を許可するか拒否するかを判断する。詳細には、eNB200−2は、自身の負荷状況に基づく余裕度と、MRN300の負荷状況と、を比較して、MRN300との接続を確立しても問題が生じないか否かを判断する。これ以降は通常のハンドオーバ手順が実施される。
【0224】
(4.2)第4実施形態のまとめ
以上説明したように、隣接eNBリストは、隣接eNBそれぞれについて、当該隣接eNBがDeNB機能を有するか否かを示す情報をさらに含む。これにより、eNB200(DeNB200−1)は、隣接eNBリストに基づいて、DeNB機能を有する隣接eNBの中からターゲットeNB200を決定することができる。
【0225】
DeNB200−1は、MRN300がDeNB200−1に接続した際に、隣接eNBリストを更新するための情報をOAM500に要求する。そして、DeNB200−1は、OAM500からの情報に応じて、隣接eNBリストを更新する。これにより、MRN300のハンドオーバが発生する前に、隣接eNBリストを最新の状態にすることができる。
【0226】
ターゲットeNB200は、DeNB200−1からのハンドオーバ要求を受信した場合で、ターゲットeNB200がDeNB機能を有しない場合、ターゲットeNB200は、ハンドオーバ要求に対する拒否応答と共に、自身がDeNB機能を有しない旨の情報をDeNB200−1に送信する。そして、DeNB200−1は、DeNB機能を有しない旨の情報をターゲットeNB200から受信したことに応じて、隣接eNBリストを更新する。これにより、ハンドオーバ手順を利用して隣接eNBリストを修正できる。
【0227】
動作パターン2では、DeNB200−1は、MRN300の負荷状況を示す情報をハンドオーバ要求と共にターゲットeNB200に送信する。ターゲットeNB200は、MRN300の負荷状況を示す情報をハンドオーバ要求と共に受信した後、MRN300の負荷状況を示す情報に基づいて、ハンドオーバ要求を許可するか否かを判断する。これにより、ターゲットeNB200は、自身の負荷状況と、MRN300の負荷状況と、に基づいて、ハンドオーバ要求を許可するか否かを判断できる。
【0228】
(5)第5実施形態
以下、第5実施形態について、上述した各実施形態との相違点を説明する。
【0229】
本実施形態では、上述した第2実施形態に係るハンドオーバ手順、すなわち、MRN300のハンドオーバをMRN300主導で行うことを基本としつつ、上述した第4実施形態のように、DeNB200−1においてもハンドオーバ判断を行う。
【0230】
(5.1)第5実施形態に係る動作
図20は、本実施形態に係る動作シーケンス図である。本シーケンスの初期状態では、MRN300は、DeNB200−1に接続してリレー伝送を実行中であるとする。
【0231】
図20に示すように、ステップS501において、MRN300は、受信する参照信号に対する測定の結果と、保持しているDeNBリストと、を照合する。
【0232】
ステップS502において、MRN300は、ステップS501での照合結果に応じて、ハンドオーバ判断を行う。例えば、MRN300は、現在接続中のDeNB200−1よりもRSRPが高いDeNB候補がDeNBリストに存在する場合、当該DeNB候補をターゲットeNBとして決定する。
【0233】
ここでは、そのようなハンドオーバ判断により、eNB200−2がターゲットeNBとして決定されたと仮定して説明を進める。ただし、ステップS502で決定されるターゲットeNBは、1つに限らず、複数であってもよい。
【0234】
ステップS503において、MRN300は、DeNB200−1に対して、MRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であるか否かを問い合せる。なお、ステップS503をステップS502よりも前に行ってもよい。
【0235】
ステップS504において、DeNB200−1は、MRN300からの問い合せに応じて、MRN300に対して、自身がMRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であるか否かを通知する。
【0236】
ここでは、DeNB200−1がMRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であると仮定して説明を進める。
【0237】
ステップS505において、MRN300は、DeNB200−1に対して、eNB200−2へのハンドオーバを要求するためのハンドオーバ要求をX2インターフェイス上で送信する。ハンドオーバ要求は、eNB200−2の識別子を含む。ターゲットeNBが複数である場合、複数のターゲットeNBの識別子を含む。また、ハンドオーバ要求は、当該ハンドオーバ要求の送信元が「MRN」であることを示す情報を含んでもよい。
【0238】
ステップS506において、DeNB200−1は、MRN300からのハンドオーバ要求(に含まれる識別子)に基づいて、ターゲットeNB200毎にハンドオーバ可否を判断する。例えば、第4実施形態で説明したように、DeNB機能の有無に基づいて判断することができる。
【0239】
ここでは、DeNB200−1がターゲットeNB200へのハンドオーバが可能であると判断したと仮定して説明を進める。
【0240】
ステップS507において、DeNB200−1は、ハンドオーバ要求をX2インターフェイス上でターゲットeNB200−2に送信する。
【0241】
ステップS508において、ターゲットeNB200−2は、DeNB200−1からのハンドオーバ要求を許可するか拒否するかを判断する。これ以降は通常のハンドオーバ手順が実施される。
【0242】
なお、本実施形態においても、第4実施形態に係る動作パターン2と同様に、MRN300の負荷状況を考慮することができる。
【0243】
また、本実施形態に係るハンドオーバ手順と、第2実施形態に係るハンドオーバ手順と、を使い分けてもよい。例えば、DeNB200−1がMRN300からのハンドオーバ要求に対応しており、ターゲットeNB200−2がMRN300からのハンドオーバ要求に対応していない場合に、本実施形態に係るハンドオーバ手順を適用するとしてもよい。或いは、MRN300が保持するDeNBリストが更新されてからの経過時間が閾値以内であれば第2実施形態に係るハンドオーバ手順を適用し、当該経過時間が当該閾値を超えていれば本実施形態に係るハンドオーバ手順を適用してもよい。
【0244】
(5.2)第5実施形態のまとめ
以上説明したように、eNB200に接続するUE100のハンドオーバ判断をeNB200が行う移動通信システムにおいて、DeNB200−1に接続し、DeNB200−1とUE100との間でリレー伝送を行うMRN300は、MRN300のハンドオーバ判断をMRN300自身で行う。これにより、MRN300は、自身の状況に応じて、すなわち、MRN300特有の事情を考慮して、最適なハンドオーバ判断を行うことができる。
【0245】
MRN300は、ハンドオーバ要求にターゲットeNB200の識別子を1つ又は複数含めた上で、ハンドオーバ要求をDeNB200−1に送信する。DeNB200−1は、MRN300からのハンドオーバ要求に基づいて、ターゲットeNB200毎にハンドオーバ可否を判断する。これにより、MRN300が決定したターゲットeNB200が適切であるか否かをDeNB200−1で判断することができる。したがって、ターゲットeNB200をより適切に決定することができる。
【0246】
本実施形態では、MRN300は、DeNB200−1に対して、MRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であるか否かを問い合わせる。これにより、MRN300からのハンドオーバ要求に対応可能であることを確認した上で、ハンドオーバ要求をMRN300からDeNB200−1に送信できる。
【0247】
(6)その他の実施形態
この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0248】
上述した第1実施形態から第5実施形態は、別個独立に実施する場合に限らず、相互に組み合わせて実施してもよい。例えば、第5実施形態に対して、第3実施形態で説明したDeNBリスト取得方法を適用してもよい。
【0249】
上述した各実施形態では、移動可能なリレー局であるMRN300を例に説明したが、移動不能なリレー局に対して本発明を適用してもよい。例えば、リレー局の周辺に新たなeNBが設置される場合や、既存のeNBが動作を停止する場合には、リレー局周辺の状況が変化することになるため、DeNBリスト(DL)及び隣接eNBリスト(NL或いはNRT)を更新したり、リレー局のハンドオーバを行ったりする必要が生じ得る。
【0250】
なお、米国仮出願第61/615045号(2012年3月23日出願)、米国仮出願第61/615059号(2012年3月23日出願)、米国仮出願第61/615067号(2012年3月23日出願)、米国仮出願第61/615073号(2012年3月23日出願)、及び、米国仮出願第61/615087号(2012年3月23日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。