(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
浴室システムの具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の浴室システムにおいては、入浴者の動きを検知可能な人体検知装置が浴室に設置されており、たとえば入浴者が気絶(失神)し、入浴者が動かなくなると、このことが人体検知装置を介して所定の制御手段において察知され、入浴者に異常が発生したと判断される。このような判断がなされた場合、入浴者に異常が発生した旨が浴室外のリモコンに通報される。このことにより、浴室外の人が浴室内の異常に気付くこととなり、入浴者の救助・保護を図る上で好ましいものとなる。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、入浴者が浴室で気絶するなどの異常が発生した場合、他者が直ちに浴室に駆け付けることができればよいが、そうでない場合もあり得る。ここで、夏季などの暑い時期に前記した異常が発生し、入浴者が浴室内で気絶した状態が比較的長時間にわたって継続すると、入浴者が熱中症にかかる虞がある。このような虞はできる限り解消することが要望される。
これに対し、前記従来技術においては、入浴者に異常が発生した旨を浴室外に通報するだけであるため、前記した要望に適切に応えることは困難であり、この点において未だ改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、入浴者が気絶するなどの異常が発生した場合に、入浴者が熱中症になることを適切に防止または抑制することが可能な浴室システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される浴室システムは、浴室内における入浴者の動きを検知し、かつその検知信号を出力可能な人体検知手段と、前記入浴者の動きが所定時間以上無い、または少ない状態が発生した際に、前記検知信号に基づいて前記入浴者に所定の異常が発生したと判断する制御手段と、前記浴室内の入浴者の体温の上昇が抑制されるように前記浴室内に冷却用媒体を供給可能な冷却用媒体供給手段と、を備えている、浴室システムであって、前記制御手段は、前記入浴者に前記異常が発生したと判断した場合には、前記入浴者が熱中症になる可能性があるか否かを判断し、かつ熱中症になる可能性があると判断した場合には、この判断を契機として、前記冷却用媒体供給手段を作動させて前記浴室内に冷却用媒体を供給させるように構成されて
おり、前記浴室の浴槽の湯水を前記浴槽の外部に排出するための排水弁を備えており、前記制御手段は、前記入浴者に前記異常が発生し、かつ前記入浴者が熱中症になる可能性があると判断したときには、前記入浴者が前記浴室のいずれの箇所に存在するかを判断し、この判断において、前記入浴者が前記浴槽内に存在していると判断された場合には、前記排水弁を開状態とするように構成されており、前記冷却用媒体供給手段として、給湯装置を備えており、前記排水弁が開状態とされて前記浴槽内の湯水が排水された後には、前記排水弁が開状態のまま、前記給湯装置から前記浴槽内に所定の温度範囲の湯水が供給されるように構成されており、この湯水が、前記冷却用媒体であることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、入浴者が浴室内において気絶するなどの異常が生じた場合に、この入浴者が熱中症になる可能性があると、冷却用媒体供給手段が作動し、浴室内に冷却用媒体を供給するため、入浴者の体温が上昇することは適切に抑制される。したがって、夏季などの暑い時期において、入浴者に所定の異常が発生してから他者が浴室に駆け付ける迄の時間が長くなるような場合であっても、その期間中に入浴者が熱中症になることを適切に防止または抑制することが可能である。
【0013】
またこのような構成によれば、浴槽内で気絶などを生じた入浴者が、浴槽の湯水中に溺没することを適切に防止することが可能である。
【0015】
さらにこのような構成によれば、浴槽内に所定の温度範囲の湯水が供給されることにより、浴槽内で気絶などを生じている入浴者に湯水を掛け流し状態で作用させ、入浴者の体温が上昇しないようにすることが可能である。排水弁は開状態のままであるため、浴槽内に多くの湯水が溜まって入浴者がその湯水中に溺没する事態も適切に回避することができる。
【0018】
本発明の第2の側面により提供される浴室システムは、浴室内における入浴者の動きを検知し、かつその検知信号を出力可能な人体検知手段と、前記入浴者の動きが所定時間以上無い、または少ない状態が発生した際に、前記検知信号に基づいて前記入浴者に所定の異常が発生したと判断する制御手段と、前記浴室内の入浴者の体温の上昇が抑制されるように前記浴室内に冷却用媒体を供給可能な冷却用媒体供給手段と、を備えている、浴室システムであって、前記制御手段は、前記入浴者に前記異常が発生したと判断した場合には、前記入浴者が熱中症になる可能性があるか否かを判断し、かつ熱中症になる可能性があると判断した場合には、この判断を契機として、前記冷却用媒体供給手段を作動させて前記浴室内に冷却用媒体を供給させるように構成されており、前記冷却用媒体供給手段として、浴室乾燥機を備えており、前記制御手段において、前記入浴者に前記異常が発生し、かつ前記入浴者が熱中症になる可能性があると判断されたときには、前記浴室乾燥機から前記浴室内に非加熱のエア送風が行なわれるように構成されており、この送風されるエアが前記冷却用媒体であ
り、前記制御手段は、前記入浴者の身体が水に濡れているか否かを判断可能であり、前記入浴者の身体が水に濡れていると判断した場合には、前記エア送風は、前記入浴者を避けた位置に向けて行なわれるように構成されていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、気絶などを生じている入浴者の身体を、エア送風によって積極的に冷やすことが可能となり、熱中症防止効果を高くすることができる。
【0021】
またこのような構成によれば、入浴者の水に濡れた身体が、エア送風によって冷やし過ぎ状態にならないようにすることができる。
【0022】
本発明の第3の側面により提供される浴室システムは、浴室内における入浴者の動きを検知し、かつその検知信号を出力可能な人体検知手段と、前記入浴者の動きが所定時間以上無い、または少ない状態が発生した際に、前記検知信号に基づいて前記入浴者に所定の異常が発生したと判断する制御手段と、前記浴室内の入浴者の体温の上昇が抑制されるように前記浴室内に冷却用媒体を供給可能な冷却用媒体供給手段と、を備えている、浴室システムであって、前記制御手段は、前記入浴者に前記異常が発生したと判断した場合には、前記入浴者が熱中症になる可能性があるか否かを判断し、かつ熱中症になる可能性があると判断した場合には、この判断を契機として、前記冷却用媒体供給手段を作動させて前記浴室内に冷却用媒体を供給させるように構成されており、前記冷却用媒体供給手段として、ミスト供給手段を備えており、前記制御手段において、前記入浴者に前記異常が発生し、かつ前記入浴者が熱中症になる可能性があると判断されたときには、前記ミスト供給手段から前記浴室内に非加熱水のミストが供給されるように構成されており、この非加熱水のミストが前記冷却用媒体であ
り、前記制御手段は、前記入浴者の顔部が前記ミスト供給手段の方を向いているか否かを判断可能であり、前記入浴者の顔部が前記ミスト供給手段の方を向いていると判断された場合には、前記非加熱水のミスト供給は実行されないように構成されていることを特徴としている。
【0023】
このような構成によれば、非加熱水のミストを利用して入浴者の身体を積極的に冷やすことができ、熱中症を適切に防止することが可能である。
【0025】
またこのような構成によれば、気絶などを生じている入浴者の顔部の各所に多くのミストが当たり、かつこれが水滴化する不具合を適切に回避することができる。
【0026】
本発明において、好ましくは、前記熱中症になる可能性があるか否かの判断は、前記浴室の温度および湿度に基づいて求められ、かつ熱中症のかかり易さを示す熱中症指数が、所定以上である場合には、熱中症になる可能性があるとする判断である。
ここで、前記熱中症指数としては、たとえば、暑さ指数(WBGT:Wet-Bulb Globe Temperature)、熱指数(Heat Index, HI)、あるいはこれらに類する指数を用いることが可能である。
【0027】
このような構成によれば、
浴室内において気絶などを生じた入浴者が熱中症になるか否かの判断を、容易かつ的確に行なうことが可能である。熱中症の発症のし易さは、湿度(相対湿度)の影響を大きく受けるため、熱中症になるか否かの判断要素として、室温のみならず、湿度をも考慮した熱中症指数を用いた場合には、熱中症になる可能性の有無の判断を正確に行なうことが可能である。
【0028】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0031】
図1に示す浴室システムBSは、浴槽10およびこれに隣接する洗い場11を有する浴室1、浴槽10内への給湯動作が可能な給湯装置2、浴室1の天井部に設置された浴室乾燥機3、少なくとも1つのミスト噴出ノズル4、および換気扇5を備えている。
給湯装置2、浴室乾燥機3、およびミスト噴出ノズル4のそれぞれは、本発明でいう「冷却用媒体供給手段」の具体例に相当する。
【0032】
給湯装置2は、たとえば瞬間式のガス給湯装置またはオイル給湯装置などであり、そのハード構成自体は、従来既知のものと同様であって、各部の動作を制御する制御部20、この制御部20に通信接続された浴室リモコン21Aおよび台所リモコン21B、ならびに外気温検出センサSdなどを備えている。この給湯装置2は、浴槽10の循環アダプタ10aに配管部29(往き管および戻り管)を介して配管接続されており、浴槽10への湯張り動作、および浴槽10に溜められた湯水の追い焚き動作が可能である。浴槽10の底部の排水口10bには、制御部20によって遠隔制御される排水弁V1(排水栓)が設けられており、この排水弁V1を開状態とすることにより、浴槽10のいわゆる自動排水が可能である。
【0033】
浴室リモコン21Aには、浴室1の温度および湿度をそれぞれ検出するための温度センサSbおよび湿度センサSc、ならびに人体検知センサSaが設けられている。人体検知センサSaは、本発明でいう「人体検知手段」の一例に相当し、たとえば焦電素子を用いたイメージセンサ(赤外線カメラ)であり、入浴者を含め、浴室1の赤外画像を撮像可能である。人体検知センサSaはシャワーの水流等も検知可能としてもよい。人体検知センサSaの撮像範囲は、浴室1内の略全域とされている。1つの人体検知センサSaによって浴室1の略全域を撮像できない場合には、人体検知センサSaを複数設けた構成とすることが可能である。また、人体検知センサSaは、浴室リモコン21Aとは異なる部位に設けてもよい。人体検知センサSaからの出力信号(撮像画像データ)は、給湯装置2の制御部20に送られる。
【0034】
制御部20は、本発明でいう「制御手段」の一例に相当する。この制御部20においては、人体検知センサSaからの出力信号に基づき、入浴者の位置や、動きの有無などが判断され、かつ入浴者がたとえば気絶して動かなくなった状態、あるいは動きが少なく、その動き量が所定レベル以下である状態が所定時間継続した場合には、入浴者に異常が発生したものと判断される。その後は、入浴者が熱中症になる可能性があるか否かなどが判断
され、後述する種々の動作処理が実行される。好ましくは、制御部20においては、入浴者の頭部の位置や、顔部の向きなども判断できるように構成されている。
【0035】
浴室乾燥機3は、ファン31、加熱用熱交換器32、ルーバ33、浴室乾燥機3の各部の動作を制御する制御部30、およびこれらを内部に収容する筐体34を備えている。
ファン31は、浴室1の天井部に設けられた給気口35から浴室1内のエアを吸い込み、かつエア吹き出し口に設けられたルーバ33を介して浴室1内に吹き出させるものである。加熱用の熱交換器32は、給気口35からファン31に吸い込まれるエアを加熱するための加熱手段である。この熱交換器32には、たとえば給湯装置2から加熱湯水が供給可能であり、このような加熱湯水の供給時には、ルーバ33から浴室1内に温風送風がなされる。熱交換器32に加熱湯水が供給されていないときには、いわゆる冷風送風としての非加熱エアの送風が可能である。ルーバ33は、モータM1の駆動により角度変更自在であり、ルーバ33からの送風方向を変更可能である。
【0036】
ミスト噴出ノズル4は、本発明でいう「ミスト供給手段」の一例に相当し、浴室乾燥機3に組み付けられている。このミスト噴出ノズル4からのミスト噴出は、ミスト噴出用の給水配管部40に設けられた開閉弁V2を開閉させることにより、オン・オフ切り替え可能である。給水配管部40には、内部を通過する湯水を加熱可能な加熱部41も設けられている。このため、ミストの種類としては、加熱部41による加熱がなされた湯水をミスト化した温水ミストと、そのような加熱がなされていない湯水をミスト化した非加熱水のミストとがあり、いずれか一方を適宜選択可能である。加熱部41は、たとえば加熱用熱交換器32と同様に、給湯装置2から湯水供給を受ける熱交換器とすることができる。ミスト噴出ノズル4は、モータM2の駆動により角度変更自在であり、ミスト噴出ノズル4からのミスト噴出方向を変更可能である。
【0037】
換気扇5は、浴室乾燥機3の筐体34を利用して設けられており、浴室1内のエアを給気口35から吸い込み、屋外に排気可能である。換気扇5および浴室乾燥機3の動作は、給湯装置2の制御部20によって制御可能とされている。
【0038】
次に、前記した浴室システムBSにおいて実行される動作処理手順の一例について、
図3および
図4に示したフローチャートを参照しつつ説明し、併せてその作用を説明する。
【0039】
まず、給湯装置2の制御部20は、好ましくは、人体検知センサSaを常時駆動オン状態とし、浴室1内における入浴者の有無、および浴室1内に入浴者が存在する際にはその動きを監視している(S1)。このような監視状態において、入浴者が気絶するなどして、その動きが停止し、または僅かに動くだけの状態が発生し、かつこのような状態が所定時間継続すると、その時点で少なくとも浴室リモコン21Aからは、視覚的または聴覚的に認識可能な警報が発せられる(S2:YES,S3:YES,S4)。仮に、入浴者に異常がなく、入浴者が暫くの間、動きを単に止めていただけの場合、入浴者は前記した警報を察知することにより身体を動かすこととなるため、この場合には入浴者に異常が発生したとの判断はなされない(S5:NO,S1)。
【0040】
前記警報が発せられたにも拘わらず、入浴者の動きがなく、または少ない状態がその後も所定時間にわたって依然として継続した場合、制御部20は入浴者に異常があると判断する(S5:YES,S6)。この場合、入浴者に異常がある旨が、少なくとも台所リモコン21Bにおいて、視覚的および聴覚的に認識可能な態様で報知されるとともに、給湯装置2の動作が停止される(S7)。浴槽10への湯張りや、風呂追い焚きなどが実行されていた場合、そのような動作は停止される。前記した報知は、台所リモコン21Bとは別の通信機器、たとえば携帯型の通信端末などに対して行なわれるようにすることも可能である。異常が発生した旨の報知が、たとえば入浴者の家族などによって察知され、浴室
リモコン21Aや台所リモコン21Bが操作された場合、制御部20は入浴者に異常が生じたとする先の判断をキャンセルするとともに、前記した報知動作を終了し、異常発生前の初期状態に復帰する(S8:NO,S20,S1)。
【0041】
一方、前記とは異なり、入浴者に異常が発生した旨の報知がなされたにも拘わらず、浴室リモコン21Aや台所リモコン21Bが操作されない場合には、入浴者が浴槽10内に存在するか否かが制御部20において判断される(S8:YES,S9)。
図2(a)は、入浴者が浴槽10内に存在する場合、同図(b)は、入浴者が洗い場11に存在する場合の例を示している。
【0042】
前記判断において、入浴者が浴槽10内に存在すると判断された場合には、浴槽10の湯水を排水させるべく排水弁V1が開状態とされる(S9:YES,S10)。排水弁V1を開状態とし、浴槽10の水位を低下させれば、気絶などを生じている入浴者が浴槽10の湯水中に溺没することを防止することが可能である。排水弁V1を開状態とする制御は、浴槽10内に入浴者が存在する限りは、浴槽10内に湯水が存在するか否かを判断することなく、常に実行されるように構成することが可能である。
【0043】
その後、制御部20は、入浴者が熱中症になる可能性があるか否かを判断する(S11)。この判断においては、まず温度センサSbおよび湿度センサScを用いて検出される浴室1の温度および湿度(相対湿度)に基づいて暑さ指数(WBGT)を求め、かつ求められた暑さ指数が所定値以上であるか否かが判断される。暑さ指数は、本発明でいう「熱中症指数」の一例であるが、この暑さ指数が28℃の場合が、熱中症にかかる厳重警戒ラインであり、これを超えると熱中症の可能性が著しく増加する。このため、入浴者保護に余裕をもたせる観点から、たとえば暑さ指数が27℃以上であれば、入浴者が熱中症になる可能性があると判断される。勿論、熱中症のかかり易さには個人差があるため、閾値として用いられる暑さ指数の値は、ユーザが適宜変更できるようにしてもよい。
なお、熱中症の可能性の判断手法としては、後述するように、熱指数(Heat Index, HI)などの他の熱中症指数を用いたり、浴室温度のみに基づいて判断するといったことも可能である。
【0044】
入浴者が熱中症になる可能性があると判断された場合、換気扇5はオンとされ、浴室1内に熱や湿気が籠らないようにされるとともに(S11:YES,S12)、次のような動作制御も併せて実行される。
【0045】
すなわち、入浴者が浴槽10内に存在する場合には、浴槽10内に湯水が供給される(S13:YES,S14)。その際、排水弁V1は、開状態のままとする。湯水の温度は、所定範囲内とされ、たとえば健康な人の深部体温である36.5〜37.5℃の範囲とされる。入浴者が浴槽10内に存在する状態で、循環アダプタ10aから浴槽10内に湯水供給が行なわれれば、この湯水の少なくとも一部が入浴者の身体に掛かることや、入浴者の身体が浴槽10の底面上に供給された湯水に触れることが期待できる。したがって、入浴者を冷やし、入浴者の体温が上昇することを抑制することが可能である。湯水温度が、健康な人の深部体温の範囲に相当する36.5〜37.5℃であれば、入浴者の身体を過度に冷やすことはなく、入浴者の体温を本来の正常範囲域の体温に維持させるのに好適である。
浴槽10内に供給された温水は、排水弁V1を通過して排水される結果、浴槽10の水位が高くなることはないため、入浴者が温水中に溺没する虞もない。
【0046】
フローチャートには示されていないが、好ましくは、制御部20は、浴槽10内への前記した湯水供給に際し、入浴者の頭部の位置、および浴槽10の水位を判断し、かつ入浴者の頭部が浴槽10の湯水内に沈む可能性があるか否かをも判断するように構成されてい
る。この判断において、入浴者の頭部が浴槽10の湯水内に沈む可能性があると判断された場合、浴槽10への湯水供給は中止される。排水弁V1を開状態とした場合であっても、たとえば排水口10bが入浴者の身体によって塞がれるなどし、浴槽10内の湯水を円滑に排水することができない事態が生じ得る。前記した動作制御によれば、そのような事態にも好適に対処することができる。
【0047】
前記したように、浴槽10の湯水を排水させてから浴槽10に所定温度範囲の湯水を供給する動作は、入浴者が浴槽10内に存在する場合にのみ行なわれている。これに対し、好ましくは、排水弁V1を開状態とさせる動作は、入浴者が洗い場11に存在する場合においても実行される(S13:NO,S18)。このような動作が実行されれば、浴槽10内に、仮に温度が高めの湯水が溜まっていたとしても、この湯水が浴室外に排出されるため、浴槽10内の湯水に起因して浴室1の温度および湿度が上昇することを防止し、浴室1の暑さ指数が高くなることを防止することが可能である。
【0048】
また、熱中症の可能性があると判断された場合には、前記した動作制御に加え、浴室乾燥機3からの非加熱エアの送風、およびミスト噴出ノズル4からの非加熱水のミストの噴出がなされる(S15)。これらの動作は、入浴者が浴槽10および洗い場11のいずれの位置に存在する場合においても実行され、エア送風およびミストの相乗的な作用によって入浴者の身体を積極的に冷却し、熱中症になることを防止することが可能である。
【0049】
好ましくは、制御部20は、入浴者の身体が水に濡れているか否かを判断可能であり、かつ水に濡れていると判断した場合、浴室乾燥機3からの前記したエア送風は、入浴者を避けた位置に行なわれるように制御される。すなわち、入浴者が浴槽10内に存在する場合には、エア送風は洗い場11に向けて行なわれ、また入浴者が洗い場11に存在する場合には、エア送風は浴槽10内に向けて行なわれる。入浴者の身体が水に濡れている場合に、入浴者に直接エア送風がなされると、入浴者の身体を冷やし過ぎる虞があるが、制御によれば、そのような虞をなくすことが可能である。
【0050】
入浴者の身体が水に濡れているか否かは、浴室システムBSの各部の動作履歴などに基づいて判断することが可能である。たとえば、入浴者が浴槽10内に現在存在している場合、それ以前に浴槽10への湯張り、または風呂追い焚き動作がなされていたのであれば、入浴者は浴槽10の湯水に浸かっていると推定できるため、その身体は水に濡れていると判断することができる。一方、入浴者が洗い場11に現在存在している場合には、入浴者が浴室1内に入室した後において、給湯装置2からの給湯がなされていない状態で浴槽10の水位に比較的大きな変化があれば、入浴者が浴槽10の湯水に浸かったと推定することが可能であり、入浴者の身体が水に濡れていると判断することが可能である。また、シャワーを使用した場合には、その熱やシャワーの水流等を人体検知センサSaによって検知することが可能であり、入浴者が浴室1に入室した後にシャワーが使用された旨の履歴があれば、入浴者の身体は水に濡れているものと判断することが可能である。
【0051】
より好ましくは、制御部20は、人体検知センサSaからの信号に基づき、入浴者の顔部の向きを判別可能であり、かつ入浴者の顔部がミスト噴出ノズル4の方を向く場合には、ミスト噴出ノズル4からのミスト噴出はなされないように制御される。気絶などを生じている入浴者の顔部に多くのミストが当たり、これが水滴化することは、余り好ましくないが、前記制御によれば、そのようなことを適切に回避することが可能である。
【0052】
前記したような熱中症を防止するための動作制御は、浴室リモコン21Aや台所リモコン21Bにおいて、入浴者本人やその家族などによって所定のスイッチ操作がなされると終了する(S16:YES,S17)。熱中症を防止するための動作制御は、前記した所定のスイッチ操作がなされる迄は継続して実行されるが、これは浴槽10への湯水供給、
エア送風、非加熱水のミストの噴出などの各動作が常に連続して実行されるということではない。たとえば、暑さ指数が、熱中症を発症する可能性がない、または殆どない帯域まで下降した際には、前記した各動作を一時的に中断させてもよい。この中断後に熱中症の可能性が再度生じた場合には、前記した各動作が再開されるようにすればよい。
【0053】
気絶などを生じた入浴者が熱中症になる可能性がない場合、制御部20は、低体温症の可能性があるか否かをも判断する(S11:NO,
図4のS31)。この判断においては、たとえば浴室温度を判断基準とし、浴室温度が所定温度Tb(たとえば25℃)以下である場合には、低体温症の可能性があると判断される。低体温症の可能性判断に際しては、湿度を考慮する必要は殆どなく、浴室温度のみに基づいて低体温症の可能性を正確に判断することが可能である。ただし、外気温などの他の要素を判断基準要素に加えてよい。
【0054】
制御部20は、入浴者が低体温症となる可能性があると判断した場合には、入浴者を暖めるための動作を実行する(S31:YES,S32)。この動作は、たとえば浴室乾燥機3からの温風送風や、ミスト噴出ノズル4からの温水ミストの噴出などである。また、気絶などを生じた入浴者が浴槽10内に存在する場合には、排水弁V1が開いた状態で、浴槽10内にたとえば36.5〜37.5℃の範囲の湯水を供給し、この湯水をいわゆる掛け流し状態とすることも有効である。36.5〜37.5℃の湯水は、健康な人の深部体温と一致するため、この温度範囲の湯水は、入浴者の熱中症を防止する作用を発揮するばかりか、低体温症を防止する作用も発揮する。
【0055】
前記とは異なり、低体温症の可能性がないと判断された場合には、制御部20は、熱中症または低体温症の可能性があるか否かをその後も継続して判断し、熱中症または低体温症の可能性が生じると、上記したような対応動作が実行される(S31:NO,S33)。
【0056】
図5は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、その重複説明は省略する。
【0057】
図5に示す実施形態においては、浴槽10の排水口10bに、遠隔操作可能な排水弁は設けられていない。ただし、配管部29に遠隔操作可能な三方弁などの排水弁V3が設けられている。
【0058】
このような構成によれば、浴槽10の水位が循環アダプタ10aよりも高い場合、浴槽10の湯水を排水弁V3から外部に排水し、浴槽10の水位を循環アダプタ10aの高さまで低下させることが可能である。浴槽10の湯水の全量を外部に排水することはできないものの、前記したように浴槽10の水位を低下させれば、浴槽10内において気絶などを生じた入浴者が湯水中に溺没する虞を少なくする効果が得られる。本発明でいう排水弁は、必ずしも浴槽10の排水口10bに設けられたものに限らず、本実施形態のような態様で設けられていてもよい。
【0059】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0060】
上述の実施形態においては、熱中症になる可能性があるか否かを、暑さ指数(WBGT)に基づいて判断しているが、これに限定されない。本発明でいう熱中症指数は、少なくとも浴室の温度および湿度の2つのパラメータに基づいて求められる数値であって、熱中症のかかり易さを示す指標としての数値である。熱中症指数としては、たとえば米国国立気象局で採用されている熱指数(Heat Index, HI)を用いることもできる。また、これらに類す
る他の指数を用いることも可能である。熱中症指数は、浴室の温度および湿度から演算で求めることが可能であるが、それらの対応関係を示すデータをメモリに記憶させておくことにより、このデータを参照して熱中症指数を求めるようにしてもよい。また、熱中症指数は、概算の値とすることも可能である。
【0061】
また、本発明においては、熱中症になる可能性の判断は、熱中症指数とは別のパラメータを用いて判断することも可能である。たとえば、浴室温度のみに基づいて熱中症の可能性を判断する構成、すなわち浴室温度が所定温度Ta以上であれば、熱中症の可能性があると判断する構成とすることもできる。この場合、所定温度Taは、必ずしも一定の値でなくてもよく、たとえば湿度に対応させて変動させるようにしてもよい。さらに、これとは異なり、たとえば外気温が高く、浴室温度が短時間で上昇し易い場合ほど所定温度Taを低くするなど、外気温に対応させて変動させてもよい。熱中症になる可能性があるか否かの判断基準は、ユーザの健康度合いなどを考慮し、ユーザ自身が適宜変更できるようにしてもよい。
【0062】
上述の実施形態では、入浴者が熱中症となる可能性がある場合に、給湯装置から浴槽への湯水供給、浴室乾燥機からの非加熱エアの送風、ミスト噴出ノズルからの非加熱水のミスト供給の手段を採用しているが、これらのうち、少なくとも1つの手段が採用されていれば、本発明の技術的範囲に包摂される
。ミスト噴出ノズルは、浴室乾燥機に組み付けられたものに限定されない。
【0063】
人体検知手段は、焦電式のイメージセンサに限定されず、他の種類のセンサ類、または撮像カメラを用いることも可能である。
給湯装置は、瞬間式のものに限らず、たとえば貯湯式の給湯装置を用いることもできる。
本発明でいう浴室は、浴槽が設置されている通常の浴室に限らず、たとえば浴槽が設置されていないシャワー浴専用のシャワー室も含む概念である。本発明でいう洗い場とは、浴室のうち、浴槽以外の領域である。