【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)(受付番号165007001)の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
S. Koenig et al.,Wireless sub-THz communication system with high data rate enabled by RF photonics and active MMIC technology,2014 IEEE Photonics Conference,IEEE,2014年10月12日,pp. 414-415,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=6995424
【文献】
M. Beltran et al.,Single-and Multiband OFDM Photonic Wireless Links in the 75-110GHz Band Employing Optical Combs,IEEE Photonics Journal,IEEE,2012年10月09日,Volume 4/Issue 5/Oct. 2012,pp. 2027-2036,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=6327320
【文献】
瀧口 浩一 Koichi Takiguchi,光FFT回路を用いた集積型OFDM信号分離回路 Integrated-optic demultiplexer for OFDM sub-carrier channels using optical FFT circuit,電子情報通信学会2009年エレクトロニクスソサイエティ大会講演論文集1 PROCEEDINGS OF THE 2009 IEICE ELECTRONICS SOCIETY CONFERENCE,日本,社団法人電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS,2009年09月01日,p. 224
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような発明では、高速に伝播するテラヘルツ帯のOFDM信号に対応することができず、もって、テラヘルツ帯のOFDM信号を分離することができないという問題があった。そのため、現状では、テラヘルツ帯のOFDM信号を一旦メモリに蓄積しておき、その蓄積したメモリのデータを随時読み出して行くことで、テラヘルツ帯のOFDM信号を分離する、所謂、オフライン処理でしか対応することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、テラヘルツ帯のOFDM信号を実時間分離することができる直交周波数分割多重信号分離システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に係る直交周波数分割多重信号分離システムは、複数のサブキャリア信号(d
0,d
1,・・・・・,d
n−1)を持つテラヘルツ帯の直交周波数分割多重信号を分離するための直交周波数分割多重信号分離システムであって、
テラヘルツ帯の直交周波数分割多重信号を受信する受信部(受信アンテナ部1)と、
前記受信部(受信アンテナ部1)にて受信したテラヘルツ帯の直交周波数分割多重信号をRF帯の直交周波数分割多重信号に変換するRF変換部(2)と、
前記RF変換部(2)にて変換されたRF帯の直交周波数分割多重信号を光直交周波数分割多重信号に変換する光変換部(3)と、
前記光変換部(3)にて変換された光直交周波数分割多重信号から複数のサブキャリア信号を分離する分離部(分離回路4)と、を有
し、
前記分離部(分離回路4)は、
前記光変換部(3)にて変換された光直交周波数分割多重信号を、分岐比可変方向性結合器(41a)を用いて複数に分岐する光分岐部(41)と、
前記光分岐部(41)にて分岐された光直交周波数分割多重信号を遅延させる光遅延部(42)と、
前記光遅延部(42)にて遅延させた光直交周波数分割多重信号をフーリエ変換し複数のサブキャリア信号に分離する光フーリエ変換部(44)と、
前記光フーリエ変換部(44)にて分離された複数のサブキャリア信号をそれぞれ出力する出力導波路(45−1〜45−8)と、
前記出力導波路(45−1〜45−8)それぞれに設けられている位相シフト付与部(第2位相シフト付与部46)と、
前記位相シフト付与部(第2位相シフト付与部46)を介して出力された前記出力導波路(45−1〜45−8)間の光波を干渉させる干渉部(47)と、を有してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重信号をRF変換部(2)にてRF帯の直交周波数分割多重信号に変換(ダウンコンバート)し、RF変換部(2)にて変換(ダウンコンバート)されたRF帯の直交周波数分割多重信号を光変換部(3)にて光直交周波数分割多重信号に変換し、その変換した光直交周波数分割多重信号を分離部(分離回路4)にて複数のサブキャリア信号に分離するようにしているから、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号であっても、実時間分離することができる。
【0011】
また、請求項
1に係る発明によれば、
光変換部(3)にて変換された光直交周波数分割多重信号を、分岐比可変方向性結合器(41a)を用いて複数に分岐しているから、分離チャネル特性を変化させることができる。この際、使用しない出力導波路(45−1〜45−8)が増えれば増えるほど、使用する出力導波路(45−1〜45−8)の損失が増えないように、出力導波路(45−1〜45−8)の後段に位相シフト付与部(第2位相シフト付与部46)と、干渉部(47)とを設けている。これにより、出力チャネル数が変動しても使用する出力チャネルの損失の変動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る直交周波数分割多重信号分離システムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号のスペクトル形状を示す図である。
【
図3A】従来の分離回路にて分離された信号(Δf
8=10GHz,Δf:分離チャネル周波数間隔、Δfの下付添数字は分離可能チャネル数)の周波数特性を示す図である。
【
図3B】従来の分離回路にて分離された信号(Δf
4=20GHz,Δf:分離チャネル周波数間隔、Δfの下付添数字は分離可能チャネル数)の周波数特性を示す図である。
【
図3C】従来の分離回路にて分離された信号(Δf
2=40GHz,Δf:分離チャネル周波数間隔、Δfの下付添数字は分離可能チャネル数)の周波数特性を示す図である。
【
図4A】本実施形態に係る分離回路にて分離された信号(Δf
8=10GHz,Δf:分離チャネル周波数間隔、Δfの下付添数字は分離可能チャネル数)の周波数特性を示す図である。
【
図4B】本実施形態に係る分離回路にて分離された信号(Δf
4=20GHz,Δf:分離チャネル周波数間隔、Δfの下付添数字は分離可能チャネル数)の周波数特性を示す図である。
【
図4C】本実施形態に係る分離回路にて分離された信号(Δf
2=40GHz,Δf:分離チャネル周波数間隔、Δfの下付添数字は分離可能チャネル数)の周波数特性を示す図である。
【
図5】光直交周波数分割多重信号分離回路の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る直交周波数分割多重信号分離システムを、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0014】
図1に示すように、直交周波数分割多重信号分離システムは、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を受信可能な受信アンテナ部1と、該受信アンテナ部1にて受信したテラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号をRF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号に変換するRF変換部2と、該RF変換部2にて変換されたRF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を光直交周波数分割多重(OFDM)信号に変換する光変換部3と、該光変換部3にて変換された光直交周波数分割多重(OFDM)信号を分離する分離回路4とで構成されている。
【0015】
テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号は、
図2に示すように、搬送周波数(中心周波数)が相違する複数のサブキャリア信号d
0,d
1,・・・・・,d
n−1間の直交関係を用いることで伝送する占有帯域幅を抑圧することができるものである。直交周波数分割多重(OFDM)における直交関係とは、各サブキャリア信号d
0,d
1,・・・・・,d
n−1の変調信号のシンボルレート1/T(Tは、各サブキャリア信号のシンボル時間)とサブキャリア信号周波数間隔Δfとの間にΔf=1/Tの関係が成立するとき、サブキャリア信号毎の伝送スペクトルがオーバーラップしていても、各サブキャリア信号の分離、識別が可能になるというものである。
【0016】
かくして、上記のようなテラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号は、図示しない基地局や移動局等から送信され、
図1に示す受信アンテナ部1にて受信されることとなる。そして、受信アンテナ部1にて受信されたテラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号は、
図1に示すRF変換部2にてRF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号に変換されることとなる。より具体的に説明すると、RF変換部2は、
図1に示すように、ミキサ20と、局発信号発生器21とで構成されており、受信アンテナ部1にてテラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を受信すると、ミキサ20は、その受信したテラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を局発信号発生器21が出力する局発信号を用いて、RF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号にダウンコンバートし、ダウンコンバート後のRF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を光変換部3に出力する。
【0017】
光変換部3は、電気信号を光信号に変換(E/O変換)して出力する光変調器からなるもので、RF変換部2より出力されたRF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を光直交周波数分割多重(OFDM)信号に変換するものである。そして、このように光直交周波数分割多重(OFDM)信号は、分離回路4に出力されることとなる。
【0018】
分離回路4は、光変換部3にて変換された光直交周波数分割多重(OFDM)信号の各サブキャリア信号を分離するもので、
図1に示すように、光変換部3にて変換された光直交周波数分割多重(OFDM)信号が入力される入力導波路40と、入力された光直交周波数分割多重(OFDM)信号をN分岐させる光分岐部41と、N分岐させた光直交周波数分割多重(OFDM)信号を遅延させる光遅延部42と、遅延させた光直交周波数分割多重(OFDM)信号に所望の位相シフトを付与する第1位相シフト付与部43と、所望の位相シフトが付与された光直交周波数分割多重(OFDM)信号をフーリエ変換処理し、各サブキャリア信号に分離する光フーリエ変換部44と、光フーリエ変換部44より出力される各サブキャリア信号を出力する出力導波路45−1〜45−8と、後述する干渉部47での光波の干渉を効率良く行うことができるように設けられた第2位相シフト付与部46と、出力導波路間の光波を干渉させる干渉部47とで構成されている。
【0019】
光分岐部41は、
図1に示すように、分岐比可変方向性結合器41aを順次縦続接続し、入力導波路40に入力された光直交周波数分割多重(OFDM)信号を任意の分岐比で2〜N分岐するようにしている。なお、分岐比可変方向性結合器41aとしては、例えば、対称マッハチェンダ型干渉計を使用することができる。
【0020】
一方、光遅延部42は、遅延線42−1〜42−Nから構成されており、N分岐させた光直交周波数分割多重(OFDM)信号をどの遅延線42−1〜42−Nを使用するかによって、光直交周波数分割多重(OFDM)信号を分離するチャネル数を決定しているものである(本実施形態においては、遅延線42−1〜42−Nに関して、N=8の例を示している)。そして、遅延線42−1〜42−Nにおいて使用される導波路の導波路長差をΔLuとすると、cを光速、nを光の経路となる導波路の実効屈折率とした際、フリースペクトルレンジ(FSR)は、FSR=c/(n・ΔLu)と表されるため、遅延線42−1〜42−Nにおいて使用される導波路の導波路長差がフリースペクトルレンジを決定することとなる。しかして、この遅延線42−1〜42−Nによって、各サブキャリア信号のシンボル時間Tと同一の時間内で入力された光直交周波数分割多重(OFDM)信号であるシリアル信号をパラレル信号に変換することが可能となる。なお、シンボル時間Tと同一の時間内で入力された光直交周波数分割多重(OFDM)信号であるシリアル信号をパラレル信号に変換するようにしているのは、直交周波数分割多重(OFDM)における直交関係が成立するのは、シンボル時間Tと同一の時間内に限られるためである。
【0021】
第1位相シフト付与部43は、熱光学位相シフタ等からなり、遅延線42−1〜42−Nのうち使用される(光が入力される)遅延線によって遅延させた光直交周波数分割多重(OFDM)信号の位相誤差を補償するためのもので、遅延させた光直交周波数分割多重(OFDM)信号それぞれに設けられている。また、第1位相シフト付与部43は、後段の光フーリエ変換部44にてフーリエ変換される光信号の周波数特性(
図3A〜
図4C参照)の中心周波数を所望の値に設定するためにも用いられる。
【0022】
一方、光直交周波数分割多重(OFDM)信号を光領域で直接高速に各サブキャリア信号に分離するために、その構成要素として、光離散フーリエ変換(Optical Discrete Fourier Transform:光DFT)、または光高速フーリエ変換(Optical Fast Fourier Transform:光FFT)を実行可能な光素子が必須である。そこで、本実施形態においては、光フーリエ変換部44を、N入力N出力のスラブ型スターカプラにて構成している。これにより、所望の位相シフトが付与されたN個の光直交周波数分割多重(OFDM)信号(
図1では、N=8)が、N入力N出力のスラブ型スターカプラにて離散フーリエ変換されると共に、その離散フーリエ変換されたN個の光信号(
図1では、N=8)が異なる位置に出力されることとなる。なお、N入力N出力のスラブ型スターカプラにてN個の光信号が離散フーリエ変換されると共に、N個の光信号が異なる位置に出力される原理は、特開2012−48172号公報にて示す内容と同一であるため、詳しい説明は省略することとする。
【0023】
ところで、従来における分離回路は、上述した光分岐部41と、光遅延部42と、第1位相シフト付与部43と、光フーリエ変換部44と、出力導波路45−1〜45−8とで構成され、出力導波路45−1〜45−8を介して、光直交周波数分割多重(OFDM)信号から分離された各サブキャリア信号が出力されることとなる。しかして、このようにしても、光直交周波数分割多重(OFDM)信号が分離されるため、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を実時間分離するには問題はない。しかしながら、従来における分離回路では、使用する遅延線数を減らすと、出力導波路の損失が増えるという問題があった。すなわち、遅延線42−1〜42−Nを全て使用した場合に分離可能なチャネル間隔をΔfとした際、例えば、隣合うk本の遅延線を使用したとすると、フリースペクトルレンジ(FSR)は全遅延線を使用した際の値と変わらないことから、分離チャネル数はk、分離可能なチャネル間隔は、Δf
k=(8/k)Δfとなる(本実施形態においては、最大8チャネルの光直交周波数分割多重(OFDM)信号を分離する例を示しているため、8/kとなっている)。
【0024】
ここで、光フーリエ変換部44におけるN入力N出力のスラブ型スターカプラの出力導波路は、Δf毎の信号を分離するように配置されているため、光フーリエ変換部44におけるN入力N出力のスラブ型スターカプラの出力導波路8/k−1おきに分離信号が出力され、その他の出力導波路は使用されない(無用)となる。なお、kの取り得る値は、2,4,8のみである。そのため、それ以外の値の出力導波路は使用されない(無用)となる。
【0025】
しかしながら、使用されない(無用な)出力導波路からも、光信号は出力されているため、使用されない(無用な)出力導波路が増えれば増えるほど、使用する出力導波路の損失が増えることとなる。この点、具体例を示して説明すると、フリースペクトルレンジの値を80GHz、Δf=10GHz,k=8,4,2とすると、Δf
8=10GHz、Δf
4=20GHz、Δf
2=40GHzとなるから、Δf
8=10GHzの周波数特性は、
図3Aに示すようになり、Δf
4=20GHzの周波数特性は、
図3Bに示すようになり、Δf
2=40GHzの周波数特性は、
図3Cに示すようになる。
【0026】
ここで、この
図3A〜
図3Cに示す周波数特性を比較すると、
図3Bに示す周波数特性は、
図3Aに示す周波数特性より損失が3dB増加し、
図3Cに示す周波数特性は、
図3Aに示す周波数特性より損失が6dB増加していることが分かる。これにより、使用しない(無用な)出力導波路が増えれば増えるほど、使用する出力導波路の損失が増えることが分かる。なお、本実施形態においては、
図3Aに示す周波数特性の損失が0dBとなっているが、これは、損失の変動を分かり易くするために、0dBにしているもので、実際には、構成要素の損失に起因する多少の損失がある。
【0027】
かくして、上記のような問題を解決すべく、本実施形態においては、光フーリエ変換部44の後段に、第2位相シフト付与部46と、干渉部47とを設けるようにしている。すなわち、第2位相シフト付与部46は、熱光学位相シフタ等からなり、後段の干渉部47での光波の干渉を効率良く行うためのものであり、出力導波路45−1〜45−8それぞれに設けられている。また、干渉部47は、2入力2出力の分岐比可変方向性結合器47aを順次縦続接続するようにしている。これにより、出力導波路45−1〜45−8間の光波を干渉させることによって、出力チャネルの損失の変動を低減するようにしている。具体的に説明すると、例えば、k=2の場合、分岐比可変方向性結合器47aを全て使用し干渉させ、2出力チャネル
(CH1,CH5)又は(CH2,CH6)から出力させる。そして、k=4の場合、分岐比可変方向性結合器47aのうち、縦に4列並んだ分岐比可変方向性結合器47aのみ使用して干渉させ、縦に4列並んだ分岐比可変方向性結合器47aの後段に設けられている縦に2列並んだ分岐比可変方向性結合器47aの結合率を0にして光波をスルーさせ、4出力チャネル(CH0,CH2,CH4,CH6)
、或いは、(CH1,CH3,CH5,CH7)から出力させる。さらに、k=8の場合、全ての分岐比可変方向性結合器47aの結合率を0にして光波をスルーさせ、すなわち、光波を干渉させず、全てスルーして、8出力チャネル(CH0〜CH7)から出力させる。この周波数出力特性の結果を
図4A〜
図4Cに示す。
図4Aに示す周波数特性は、k=8の場合を示し、
図4Bに示す周波数特性は、k=4の場合を示し、
図4Cに示す周波数特性は、k=2の場合を示している。なお、
図3A〜
図3Cに示すものと同じく、フリースペクトルレンジの値は、80GHz、Δfは、10GHz,Δf
8は、10GHz、Δf
4は、20GHz、Δf
2は、40GHzである。
【0028】
ここで、この
図4A〜
図4Cに示す周波数特性を比較すると、
図4Aに示す周波数特性と
図4Bに示す周波数特性を比較しても、損失は発生しておらず、
図4Aに示す周波数特性と
図4Cに示す周波数特性を比較しても、損失は発生してないことが分かる。これにより、干渉部47を設けて、出力導波路間の光波を干渉させるようにすれば、出力チャネル数が変動しても出力チャネルの損失の変動を低減できることが分かる。なお、本実施形態においては、第2位相シフト付与部46を設ける例を示したが、干渉部47での光波の干渉を効率良く行う必要性がなければ、設けなくとも良い。
【0029】
かくして、上記のように構成される分離回路4にて、光変換部3にて変換された光直交周波数分割多重(OFDM)信号は各サブキャリア信号に分離されることとなる。
【0030】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号をRF変換部2にてRF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号にダウンコンバートし、ダウンコンバート後のRF帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号を光変換部3にて光直交周波数分割多重(OFDM)信号に変換した上で、分離回路4にて分離するようにしているから、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号であっても、実時間分離することができることとなる。
【0031】
なお、分離回路4には、分離可能な光直交周波数分割多重(OFDM)信号に変換した信号を入力するようにしているから、本実施形態に示したものに限らず、光直交周波数分割多重(OFDM)信号を分離できるものであれば良いため、固定あるいは可変シンボルレートサブキャリア信号分離用どちらであっても、従来報告されている光離散フーリエ変換集積回路、光高速フーリエ変換集積回路からなる分離回路を用いることが可能である。
【0032】
しかしながら、本実施形態において示す分離回路4を用いた方が、出力チャネル数が変動しても出力チャネルの損失の変動を低減させることができるため、好ましい。
【0033】
なお、本実施形態における直交周波数分割多重信号分離システムを用いれば、物理的に光ファイバ回線を敷設できない場所、あるいは固定回線ではなく移動通信が必要な場所(中継会場、室内など)での柔軟な、4K、8K、3D画像など高画質・大容量の高精細画像を実時間で伝送できる大容量無線通信が可能となる。
【0034】
一方、本実施形態においては、分離回路4をテラヘルツ帯通信用の直交周波数分割多重(OFDM)信号を実時間分離する際に用いる例しか示していないが、それに限らず、分離回路4は、光通信用の光直交周波数分割多重信号分離回路として、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号以外の光直交周波数分割多重(光OFDM)信号にも使用可能である。すなわち、この光直交周波数分割多重信号分離回路は、
図5に示すように、
図1に示す分離回路4と同一に構成され、光直交周波数分割多重信号(光OFDM)が入力できるようになっている。しかして、このような光直交周波数分割多重信号分離回路を用いれば、上述したように、出力チャネル数が変動しても使用する出力チャネルの損失の変動を低減することができる。なお、分離回路4の構成は、
図1に示すものと同一であるため、詳しい説明は省略する。また、光直交周波数分割多重信号(光OFDM)は、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号と同じく、
図2に示すように、搬送周波数(中心周波数)が相違する複数のサブキャリア信号d
0,d
1,・・・・・,d
n−1間の直交関係を用いることで伝送する占有帯域幅を抑圧することができるものである。
【0035】
この光直交周波数分割多重信号分離回路について、より詳しく説明すると、従来の光直交周波数分割多重信号分離回路として、例えば、光分岐部41と、光遅延部42と、第1位相シフト付与部43と、光フーリエ変換部44と、出力導波路45−1〜45−8とで構成され、出力導波路45−1〜45−8を介して、光直交周波数分割多重(OFDM)信号から分離された各サブキャリア信号が出力されるものが知られている。
【0036】
しかしながら、このような光直交周波数分割多重信号分離回路においては、上述したように、使用する遅延線数を減らすと、出力導波路の損失が増えるという問題があった。この点は、
図3A〜
図3Cを用いて説明した通りである。
【0037】
そこで、このような問題を解決する手段として、分離回路4の構成を備える光直交周波数分割多重信号分離回路を用いればこの問題を解決することができる。すなわち、具体的手段として、光直交周波数分割多重信号分離回路は、
光直交周波数分割多重信号を複数に分岐する光分岐部(41)と、
前記光分岐部(41)にて分岐された光直交周波数分割多重信号を遅延させる光遅延部(42)と、
前記光遅延部(42)にて遅延させた光直交周波数分割多重信号をフーリエ変換し複数のサブキャリア信号に分離する光フーリエ変換部(44)と、
前記光フーリエ変換部(44)にて分離された複数のサブキャリア信号をそれぞれ出力する出力導波路(45−1〜45−8)と、
前記出力導波路(45−1〜45−8)間の光波を干渉させる干渉部(47)と、を有しておけば良い。
【0038】
しかして、上記のように構成された光直交周波数分割多重信号分離回路は、上記のような構成を有しておくことにより、光フーリエ変換部(44)にて分離された複数のサブキャリア信号をそれぞれ出力する出力導波路(45−1〜45−8)間の光波を干渉部(47)にて干渉させ、全て有効利用することによって、出力チャネル数が変動しても使用する出力チャネルの損失の変動を低減することができることとなる。それゆえ、上記問題を解決できることとなる。なお、この点の具体例は、
図4A〜
図4Cを用いて説明した通りである。
【0039】
かくして、分離回路4は、光直交周波数分割多重信号分離回路として、テラヘルツ帯の直交周波数分割多重(OFDM)信号以外の光直交周波数分割多重(光OFDM)信号にも使用可能である。