特許第6960138号(P6960138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960138金属製チューブ容器、及び、金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960138
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】金属製チューブ容器、及び、金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/02 20060101AFI20211025BHJP
   B65D 35/06 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B65D35/02 Z
   B65D35/06
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-21808(P2017-21808)
(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公開番号】特開2018-127253(P2018-127253A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002088
【氏名又は名称】特許業務法人プロイスIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大西 健司
(72)【発明者】
【氏名】山口 孝広
(72)【発明者】
【氏名】高津 良平
(72)【発明者】
【氏名】川畑 十一郎
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−126559(JP,A)
【文献】 実開平06−059240(JP,U)
【文献】 特開平07−313573(JP,A)
【文献】 実開平03−102447(JP,U)
【文献】 実公平05−043958(JP,Y2)
【文献】 特開昭53−141783(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102013203569(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0306675(US,A1)
【文献】 特開2002−053152(JP,A)
【文献】 JOSEPH F.HANLON,HANDBOOK of Package Engineering,米国,McGraw−Hill,1984年,p.10−22〜10−28
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/02
B65D 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を押し出すために径方向に押し潰し可能な円筒状胴部と、該胴部の上端部に設けられた円錐状肩部と、該肩部の上端部に設けられ且つ前記胴部よりも小径の円筒状口部とを一体に有し、前記胴部の外周面の直径が10.0〜19.5mm、前記胴部の肉厚が0.09〜0.18mm、前記肩部の円錐形状の中心角が100°〜150°であり、前記肩部の周縁部を人の指の力で前記胴部側に折り込み可能に構成した金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法であって、
前記胴部の上端部近傍を直径方向両側から押しつぶす(以下、胴部を押しつぶす方向を「前後方向」という。)ことによって前記胴部の上端部近傍を略平坦と
次に、前記肩部の周縁部のうち前後方向両側部を前記胴部側に折り込
次に、前記胴部の上端部近傍の部分が前記肩部の内面に沿うように前記胴部の上端部近傍を前後方向の一側部から前記肩部内面に向けて押し込
次に、前記肩部の周縁部のうち左右両側部を胴部側に折り込
これにより肩部の周縁部の前後左右の側部の内側に存在する内容物をそこから押し出すことを特徴とする金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法において、前記金属製チューブ容器は、前記肩部を0.3mm未満の略均一肉厚とすることにより前記肩部の周縁部を人の指の力で前記胴部側に折り込み可能に構成されている、金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法
【請求項3】
請求項1に記載の金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法において、前記金属製チューブ容器は、前記肩部の断面形状を、前記口部側から前記胴部側に至るにしたがって徐々に厚肉となるテーパー状とし、且つ、前記口部側の最小肉厚を0.10mm〜0.20mm、前記胴部側の最大肉厚を0.4mm以下とすることにより、前記肩部の周縁部を人の指の力で前記胴部側に折り込み可能に構成されている、金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法
【請求項4】
請求項1に記載の金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法において、前記金属製チューブ容器は、前記肩部の外周面及び/又は内周面に、放射方向に延びる凹部が周方向に複数設けられ、前記凹部の底部における前記肩部の肉厚を0.10mm〜0.20mmとすることにより、前記肩部の周縁部を人の指の力で前記胴部側に折り込み可能に構成されている、金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法
【請求項5】
請求項1に記載の金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法において、前記金属製チューブ容器は、前記肩部の外周面及び/又は内周面の母線が湾曲することで前記肩部の母線方向中央部の肉厚が最も薄肉となされており、該母線方向中央部の前記肩部の肉厚は0.10mm〜0.20mmとされ、これにより前記肩部の周縁部を人の指の力で前記胴部側に折り込み可能に構成されている、金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミチューブ容器などの金属製チューブ容器に関する。また、本発明は、金属製チューブ容器から内容物を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミチューブ容器は、低コストで製造可能でありながらも、ガスバリア性、光遮断性、並びに、耐薬品性に優れるものであるため、軟膏、クリーム及びゲル状の医薬品用の容器として広く用いられている。薬価の高い医薬品は比較的小さい5gチューブ容器や10gチューブ容器に収容され、この5gチューブ容器の胴部の直径は一般的に12.5〜15.0mmとなされ、10gチューブ容器の胴部の直径は一般的に17mm程度となされている。胴部の上端部には円錐状の肩部が連設され、さらに肩部の上端部に円筒状の口部が連設されている。口部外周には、通常、キャップを螺着するためのネジ山が転造によって設けられる。ネジ山の成形性や、ネジ山成形後のキャップ保持のための剛性確保のため、口部肉厚は比較的大きく、例えばネジ山の谷部における肉厚で2mm以上確保されてる。5gチューブの場合、口部の開口径は約4.5mm、ネジ山の山径は約8mm程度とされている。
【0003】
胴部を直径方向両側から押し潰すことによって内容物を吐出可能とするために、胴部の肉厚は0.09〜0.18mm程度となされている。
【0004】
一方、従来のアルミチューブ容器では、肩部の肉厚は約0.6mm程度とされ、これにより人の指の力では容易に変形しない程度の剛性が付与されていた。
【0005】
このようなアルミチューブ容器においては、従来より、肩部の内面付近に内容物が残存してしまい、特に、高価な医薬品の場合に苦情の対象となることがあった。例えば、製剤薬局において、5gチューブ容器に充填されて販売される医薬品を容器からすべて抽出して、それに他の医薬品を調合する場合があり、その場合、5gチューブ容器から抽出された医薬品の質量を計量器を用いて正確に計量するが、従来のチューブ容器の場合、薬剤師が頑張って絞り出しても抽出された医薬品の質量が5gに満たないことが多く、薬局業界から医薬品メーカに対する苦情となることがある。したがって、苦情回避のために、医薬品メーカは、5gチューブ容器への医薬品の充填量を5%程度多めにして5.25g充填しておくという対応を行うこともあり、かかる苦情対策コストは、医薬品の価格や販売数量にもよるが、1gあたりの製造原価が10円、販売数量3000万本とすると、約1億円程度を要する。
【0006】
かかる問題に対処するため、下記の特許文献1に記載のチューブ容器においては、肩部の直下付近の胴部に薄肉部を形成し、肩部と胴部の交点の外周面のアールを0.3mm〜2.0mmに形成するとともに、肩部の肉厚を0.3〜0.8mmに形成した金属製チューブ容器が開示されている。但し、特許文献1に記載のチューブ容器は、胴部肉厚が0.8〜1.0mm、薄肉部の肉厚が胴部肉厚に対して40〜80%(すなわち、0.32mm〜0.8mm)というものであり、5gチューブ容器のような小径の容器の場合に上記のような肉厚の胴部とすると押し潰し変形できなくなるため、胴部直径が少なくとも20mmを超える大型のチューブ容器を想定しているものと推察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3994415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載されたチューブ容器によれば、肩部と胴部の交点の外周面にアールを設けることによって薄肉部に亀裂が生じることを防止できるとともに、肩部の肉厚を薄くすることにより内容物を押し出す際に肩部が湾曲変形するようになり、これにより薄肉部の一部に集中的に荷重がかかることを防止して、薄肉部の亀裂発生を一層防止できると記載されている。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、上述したように、胴部直径が少なくとも20mmを超える大型のチューブ容器を想定したものであり、5gチューブ容器や10gチューブ容器のような小径のチューブ容器に適用しても、内容物の残量を低減することは困難であった。また、肩部は一般的に中心角120°程度の円錐状に形成されるところ、胴部直径が小さくなるほど肩部の周方向の曲率が大きくなり、これにより曲げに対する剛性が大きくなるため、上記特許文献1に記載の大径チューブ容器の場合には肩部肉厚を0.3〜0.8mmとすることで曲げ易くなるが、5gチューブ容器や10gチューブ容器などの小径チューブ容器の場合には上記肉厚の範囲では曲げ難いことも多く、さらに、単に肩部を湾曲変形させるのみでは肩部の内側に内容物が残存してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、高価な製剤などの内容物が充填される5gチューブ容器や10gチューブ容器などの比較的小径の金属製チューブ容器において、内容物を絞り出していくときに内容物の残量ができるだけ少なくなるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
【0012】
すなわち、本発明の金属製チューブ容器は、内容物を押し出すために径方向に押し潰し可能な円筒状胴部と、該胴部の上端部に設けられた円錐状肩部と、該肩部の上端部に設けられ且つ前記胴部よりも小径の円筒状口部とを一体に有し、前記胴部の外周面の直径が10.0〜19.5mm、前記胴部の肉厚が0.09〜0.18mm、前記肩部の円錐形状の中心角が100°〜150°であり、前記肩部の周縁部を人の指の力で前記胴部側に折り込み可能に構成されている。
【0013】
なお、胴部肉厚が0.09mmより薄くなると胴部が柔らかすぎて内容物充填工程におけるチューブ容器の取り扱い性が悪くなり、一方、0.18mmより厚くなると胴部の変形性(内容物の取出し性)が悪くなる。また、肩部中心角が100°未満になると肩部の周方向の曲率が大きくなって肩部の変形性が悪くなるとともに肩部の軸長が大きくなって肩部内に内容物が残存し易くなり、一方、150°を超えると肩部形状が平坦になりすぎて衝撃押出成形時の材料流れが悪くなり、衝撃押出法による量産が困難となる。また、より好ましくは、肩部の周縁部を、該周縁部近傍の胴部の上端側周縁部と重合した状態で胴部側に折り込み可能とすることができる。
【0014】
かかる本発明の金属製チューブ容器によれば、胴部の外周面の直径が10.0〜19.5mm、胴部の肉厚が0.09〜0.18mm、肩部の外周面及び内周面の円錐形状の中心角が100°〜150°である小径の金属製チューブ容器の肩部の周縁部を、湾曲変形ではなく、胴部側に折り込むよう変形させることにより、肩部の周縁部の内側の空間を押し潰して、そこに残存する内容物をそこから押し出すことができ、小径チューブ容器における内容物の残量をできるだけ少なくすることができる。
【0015】
上記本発明は、5gチューブ容器、すなわち胴部外周面の直径が12.5〜15.0mmのチューブ容器において特に好適に実施可能であり、10gチューブ容器(胴部直径が15.0mm〜19.5mmのチューブ容器)に適用することもできる。より好ましくは、肩部中心角は115°〜125°であってよい。また、本発明は、特にアルミチューブ容器に適用することが好ましく、その他、アルミニウムと同等の変形性を有する他の金属製チューブ容器に適用することもできる。
【0016】
本願出願人は、小径のアルミチューブ容器において肩部周縁部を胴部側に折り込み可能で且つ従来と同様の衝撃押出法により成形可能な構造を鋭意研究した。下記の表1〜表4は、胴部直径13.8mm、胴部肉厚0.12mm、口部外径8mm、口部内径4.5mm、肩部中心角120°の5gアルミチューブ容器において、肩部肉厚を0.2mm(表1)、0.3mm(表2)、0.4mm(表3)及び0.5mm(表4)の均一に成形し、内部にクリーム状の内容物を充填して、手作業で内容物を抽出した後の内容物残量の計測試験結果である。なお、各肉厚毎に12サンプルについて試験を実施した。また、図1は、各肉厚毎の平均残量を示すグラフである。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
これら表1〜表4及び図1に示されるように、肩部肉厚が薄くなるほど内容物の残量は低減し、特に、上記5gチューブ容器の場合では、肩部肉厚が0.5mmの場合は、図2の左側に示すように、肩部の周縁部を胴部側に折り込むように変形させることはできず、指で強く押し込んでも若干湾曲する程度であった。肩部肉厚が0.4mmになると肩部周縁部の変形の仕方が「湾曲」から「屈曲」のような状態となり、肩部肉厚が0.3mm及び0.2mmの場合は図2の右側に示すように肩部周縁部を裏面側に折り込めるようになった。なお、男性と女性との間に有意な差は現われず、肩部周縁部の折り込み方の巧拙が残量に影響しているものと考えられる。
【0022】
以上の結果より、小径の金属製チューブ容器で肩部を略均一肉厚に成形する場合には、肩部肉厚を0.3mm未満とすることにより、肩部の周縁部を人の指の力で胴部側に折り込み可能となり、肩部周縁部の内側の空間を潰してそこに残存する内容物を押し出すことが可能となると考えられる。なお、肩部を0.1mm程度の均一肉厚に成形することも検討したが、衝撃押出成形時の材料流れが悪く、押出ロッドに生じる軸力が過大となって押出ロッドが撓み、これにより量産時の加工精度並びに成形機の耐久性に問題が生じるおそれがあるため、肩部を均一肉厚に成形する場合には肩部肉厚を0.2mm以上とすることが好ましい。
【0023】
さらに、本願発明者らは、肩部肉厚の最薄部で0.1mm程度まで薄肉化しつつ衝撃押出法により成形可能な構成について鋭意研究を行ったところ、前記肩部の断面形状を、前記口部側から前記胴部側に至るにしたがって徐々に厚肉となるテーパー状とすることにより、肩部の口部側の最小肉厚を0.10mm〜0.20mmまで薄肉化しても、衝撃押出法により成形可能となることを見出した。上記試験結果によって折り曲げ線の部分の肉厚が0.3mm未満であれば肩部周縁部を裏面側に折り込み可能になることが判明しているので、肩部断面形状をテーパー状とする場合には、肩部の胴部側の最大肉厚は0.4mm以下(好ましくは0.3mm以上)であれば良いと考えられる。かかる構成によって、肩部の周縁部を人の指の力で胴部側に折り込み可能に構成できる。
【0024】
また、別の態様において、肩部の外周面及び/又は内周面に、放射方向に延びる凹部を周方向に複数設け、前記凹部の底部における肩部の肉厚を0.10mm〜0.20mmとすることにより、肩部の周縁部を人の指の力で胴部側に折り込み可能に構成することもできる。すなわち、肩部の厚肉部分(前記凹部が設けられていない部分)が周方向に所定角度以上連続しないようにすることで、湾曲面構造によって剛性が生じることを阻止し、これにより肩部を裏面側に折り込み可能にすることができるとともに、衝撃押出成形時に厚肉部分によって材料の流動性が確保され、衝撃押出成形により量産可能となる。肩部の厚肉部分の肉厚は0.4mm以下とすることが好ましいが、肩部の各厚肉部分の周方向幅によっては従来と同様の0.6mm程度であってもよい。
【0025】
さらに別の態様においては、前記肩部の外周面及び/又は内周面の母線が湾曲することで前記肩部の母線方向中央部の肉厚が最も薄肉となされており、該母線方向中央部の前記肩部の肉厚は0.10mm〜0.20mmとされ、これにより前記肩部の周縁部を人の指の力で前記胴部側に折り込み可能に構成することもできる。この場合、肩部の口部側及び胴部側の端部付近の肉厚は0.4mm以下とすることが好ましいが、0.6mm程度であってもよい。
【0026】
上記本発明の金属製チューブ容器から内容物を抽出する好適な方法は、下記の(1)〜(4)のステップを有し、これにより肩部の周縁部の前後左右の側部の内側に存在する内容物をそこから押し出すことが好ましい。
(1)前記胴部の上端部近傍を直径方向両側から押しつぶす(以下、胴部を押しつぶす方向を「前後方向」という。)ことによって前記胴部の上端部近傍を略平坦とするステップ。
(2)前記肩部の周縁部のうち前後方向両側部を前記胴部側に折り込むステップ。
(3)前記胴部の上端部近傍の部分が前記肩部の内面に沿うように前記胴部の上端部近傍を前後方向の一側部から前記肩部内面に向けて押し込むステップ。
(4)前記肩部の周縁部のうち左右両側部を胴部側に折り込むステップ。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、高価な製剤などの内容物が充填される5gチューブ容器や10gチューブ容器などの比較的小径の金属製チューブ容器において、内容物を絞り出していくときに、肩部周縁部を胴部側に折り込むことによって内容物の残量をできるだけ少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】内容物抽出試験結果を示すグラフである。
図2】肩部肉厚が0.5mmと0.3mmのそれぞれの肩部の変形状態を示す斜視図である。
図3】均一肉厚の肩部を有する本発明の第1実施形態に係るアルミチューブ容器の要部拡大断面図である。
図4】同チューブ容器の肩部周縁部のうちの一側部を胴部側に折り込んだ状態を示す要部拡大断面図である。
図5】同チューブ容器から内容物を抽出する方法の第1のステップを示す正面図及び側面図である。
図6】同方法の第2のステップを示す斜視図である。
図7】同方法の第3のステップを示す平面図及び底面図である。
図8】同方法の第4のステップを示す平面図及び背面側から視た斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るアルミチューブ容器の要部拡大断面図である。
図10】同チューブ容器を成形するための衝撃押出成形装置の断面図である。
図11】本発明の第3実施形態に係るアルミチューブ容器の要部拡大断面図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るアルミチューブ容器の要部拡大断面図である。
図13】本発明の第5実施形態に係るアルミチューブ容器の要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
〔第1実施形態〕
図3は、本発明の第1実施形態に係るアルミニウム製の5gチューブ容器1を示し、該容器1は、内部にクリーム状製剤などの内容物が充填される円筒状胴部2と、胴部2の上端部に連設された円錐状肩部3と、肩部3の上端部に連設され且つ胴部2よりも小径の円筒状口部4とを一体に有している。口部4は容易に破断可能な封止膜5が一体成形され、この封止膜5によって口部4が封止されている。胴部2に内容物が充填された後、胴部の裾部(下端部)が折り締められて内容物が密封される。
【0031】
なお、本実施形態のチューブ容器1は、従来公知の衝撃押出法によって製造でき、衝撃押出成形後に口部4の外周にネジ山を転造によって成形することができる。
【0032】
胴部2は、外周面の直径が12.5〜15.0mmとされ、かかる小径の胴部2において内容物を押し出すために径方向に押し潰し可能とするために、胴部2の肉厚は0.09〜0.18mm、より好ましくは0.15mm以下とされている。また、肩部3の円錐形状の中心角θは100°〜150°、より好ましくは110°〜130°、より好ましくは115°〜125°とされている。
【0033】
本実施形態では、肩部3は、0.3mm未満の略均一な肉厚に成形されており、好ましくは0.2mm以上の肉厚とすることができ、これにより健常な成人であれば親指や人差し指などの手の指の力で肩部3の周縁部を胴部側へ折り込み可能な変形容易性を肩部3に付与している。また、口部4と肩部3の接続部分の外周部にはRを設けないことが好ましく、これにより、口部4を胴部2側に押し込むように変形させることも、口部4を胴部2から遠ざけるように変形させることも容易となっている。
【0034】
5gチューブ容器1の肩部3の肉厚を0.3mm未満に薄肉化したことにより、図4に示すように、肩部3の周縁部のうちの周方向の任意の側部を、該側部に接続する胴部2の上端部近傍に重合させた状態で、該胴部上端部とともに胴部側に折り込むことが可能である。また、上記折り込み時に、口部4を胴部2側に押し込むことで、肩部3の円錐形状の中心角が広がって該肩部3を若干平坦に変形させると、肩部周縁部の裏面側への折り込みを一層容易に行えるようになる。
【0035】
図5図8は、本実施形態のチューブ容器から内容物を抽出する方法を示しており、特に肩部の内部の空間の内容物をそこから押し出すための方法を示している。なお、図示例では、例えば薬剤師が内容物を抽出する際に胴部の裾部を開いて裾部側から内容物を一度にすべて抽出するための方法を示しているが、口部を開口させて内容物を徐々に抽出していく場合にも同様の方法で肩部を変形させることができる。
【0036】
肩部の内部の空間の内容物を押し出すには、図5に示すように、胴部の上端部近傍を直径方向両側から押しつぶす(以下、胴部を押しつぶす方向を「前後方向」という。)ことによって胴部の上端部近傍を略平坦とする。
【0037】
次に、図6に示すように、肩部の周縁部のうち前後方向両側部を胴部側に折り込む。
【0038】
次に、図7に示すように、胴部の上端部近傍の部分が肩部の内面に沿うように胴部をその上端部において肩部に対して折り曲げて、胴部の上端部近傍を前後方向の一側部から肩部内面に向けて押し込む。
【0039】
そして、図8に示すように、肩部の周縁部のうち左右両側部を胴部側に折り込む。
【0040】
これにより、肩部の周縁部の前後左右の側部の内側に存在する内容物をそこから押し出すことができ、その後胴部をしっかりと押し潰していくことによって内容物を抽出できる。
【0041】
〔第2実施形態〕
図9は本発明の第2実施形態に係るアルミニウム製の5gチューブ容器1を示し、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0042】
本実施形態では、肩部3の断面形状が、口部側から胴部側に至るにしたがって徐々に厚肉となるテーパー状に形成されている。図示例では、肩部3の口部側の最小肉厚を0.09mm、胴部側の最大肉厚を0.4mmとし、肩部3の周縁部のうちの周方向の一側部を折り込むときの折り込み線部分の肉厚が0.3mm程度となるようにしている。なお、口部側最小肉厚は0.10〜0.20mmの範囲で適宜設計でき、また、胴部側最大肉厚は0.2〜0.4mmの範囲で設計することが好ましい。
【0043】
本実施形態のチューブ容器1は、図10に示す衝撃押出成形装置によって成形できる。該成形装置は、ダイベース10及びダイリング11により主構成されるプレスダイと、パンチシャフト12の先端にパンチヘッド13が取付けられてなるパンチと、エジェクターピン14とを備えている。チューブ容器の外面形状は主としてプレスダイによって定義され、チューブ容器の内面形状は主としてパンチヘッド13によって定義される。
【0044】
肩部3の断面形状を上記のようなテーパー状とするべく、パンチヘッド13の肩部内面成形部分の中心角が、ダイベース10の肩部外面成形部分の中心角よりも僅かに小さくされており、これにより、肩部3の外周面の中心角は約120°、肩部3の内周面の中心角は約113°となるようにチューブ容器がインパクト成形される。
【0045】
このように、肩部3の最小肉厚部分を口部4の裾部に設けることで、口部成形領域に設置されたスラグをパンチヘッド13で衝撃押出成形する際の材料流動性が確保され、量産に適した構造としつつも肩部3の折り込み変形性を確保できる。
【0046】
〔第3実施形態〕
図11は本発明の第3実施形態に係るアルミチューブ容器を示し、本実施形態では、肩部の外周面の母線(稜線が湾曲することで肩部の母線方向中央部の肉厚が最も薄肉となされており、母線方向中央部の肩部の肉厚は0.10mm、口部及び胴部近傍の肩部の肉厚は0.4mm程度とされている。なお、母線方向中央部の肩部の肉厚は、0.10mm〜0.20mmの範囲で適宜設計できる。
【0047】
〔第4実施形態〕
図12は本発明の第4実施形態に係るアルミチューブ容器を示し、本実施形態では、肩部の内周面の母線(稜線が湾曲することで肩部の母線方向中央部の肉厚が最も薄肉となされており、母線方向中央部の肩部の肉厚は0.10mm、口部及び胴部近傍の肩部の肉厚は0.4mm程度とされている。なお、母線方向中央部の肩部の肉厚は、0.10mm〜0.20mmの範囲で適宜設計できる。
【0048】
なお、肩部の内周面及び外周面の母線の両方を湾曲させることも可能である。
【0049】
〔第5実施形態〕
図13は本発明の第5実施形態に係るアルミチューブ容器1を示しており、本実施形態では、肩部3の外周面に、放射方向全長にわたって延びる凹部6が周方向に複数設けられている。なお、図示実施形態の凹部6はなだらかな谷状に形成されている。凹部6の底部における最も薄肉の部分の肩部3の肉厚d1は0.10mm〜0.20mm、凹部6が設けられていない最も厚肉の部分の肩部3の肉厚d2は0.2〜0.6mm、より好ましくは0.3〜0.4mmとすることができる。
【0050】
なお、凹部6の数及び各凹部6の幅は、肩部3の周縁部を裏面側に折り込み変形可能な範囲で適宜設計できる。また、凹部は肩部3の内周面に設けてもよく、また、外周面と内周面の両方に設けることも可能である。
【0051】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、肩部周縁部の折り込み方の他の例として、軸方向から視て肩部の外縁形状が略三角形状となるように、肩部周縁部の周方向3箇所の側部をそれぞれ胴部側に折り込むこともできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13