特許第6960150号(P6960150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960150基板ケース洗浄装置及び基板ケース洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960150
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】基板ケース洗浄装置及び基板ケース洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   H01L21/304 648E
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-116487(P2017-116487)
(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公開番号】特開2019-4009(P2019-4009A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】511254284
【氏名又は名称】ヒューグル開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】坂下 俊也
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−017459(JP,A)
【文献】 特開2010−056450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容するケース体と、該ケース体の前面開口部に着脱可能に嵌め込まれて解除可能に固定されるドア部とを備えた基板ケースを、前記ケース体と前記ドア部とに分離して洗浄する基板ケース洗浄装置であって、
洗浄槽と、
該洗浄槽に設けられ、前記ドア部を保持するドア部保持部と、
前記ドア部保持部に保持された状態のドア部の前記固定が解除されて、前記ドア部から分離された前記ケース体を保持する、前記洗浄槽に設けられたケース体保持部と、
前記ケース体保持部に保持された前記ケース体の洗浄対象部、及び前記ドア部保持部に保持された前記ドア部の洗浄対象部に流体を噴出する流体噴出部と、
前記ケース体の洗浄対象部、及び前記ドア部の洗浄対象部を前記流体噴出部の噴出口に向けた状態で左右方向に移動させる移動機構部とを有し、
前記移動機構部は、前記ケース体保持部を移動させるケース体保持部移動機構部と、前記ドア部保持部を移動させるドア部保持部移動機構部とを有し、
前記ケース体保持部移動機構部は、前記ケース体保持部を正逆方向に回動移動させ、前記ドア部保持部移動機構部は、前記ドア部保持部を正逆方向に回動移動させ、
前記ケース体保持部移動機構部と前記ドア部保持部移動機構部は、共通の移動駆動部を有し、該移動駆動部により連動して回動移動する基板ケース洗浄装置。
【請求項2】
前記ケース体の洗浄対象部が、前記ケース体の左右の内側面に設けた、基板の周縁部を支持する縦方向に並ぶ複数の棚部であり、前記ドア部の洗浄対象部が、前記ドア部の内側面に設けた、基板の周縁部を支持する縦方向に並ぶ複数の棚部である請求項に記載の基板ケース洗浄装置。
【請求項3】
更に、前記流体噴出部の噴出口を昇降移動させる昇降機構部を有する請求項1又は2に記載の基板ケース洗浄装置。
【請求項4】
前記流体噴出部の噴出口の数は、前記ケース体側に2以上、前記ドア部側に1以上設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の基板ケース洗浄装置。
【請求項5】
前記流体は、水蒸気、水、及び空気の少なくとも1以上から成る請求項1乃至4のいずれに記載の基板ケース洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を収容するケース体を備えた基板ケースを洗浄する基板ケース洗浄装置及び基板ケース洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハを収納する基板ケースの洗浄装置として、例えば基板ケースの一つであるFOUP(Front Opening Unified Pod)を洗浄乾燥するフープ洗浄乾燥装置が提案されている(特許文献1参照)。このフープ洗浄乾燥装置での洗浄乾燥の対象となるFOUPは、前面に開口部を有するフープ本体(ケース体)と、このフープ本体の開口部にロック・アンロック(固定・固定解除)可能に装着されたドア(ドア部)とを備えている。そして、上記フープ洗浄乾燥装置では、洗浄乾燥槽において、前記フープ本体と前記ドアとが分離した状態でそれらの洗浄及び乾燥が行われる。
【0003】
具体的には、ドアがフープ本体に装着及びロック(固定)された状態のFOUPが操作ロボット(ケース搬送機構)により、仮置台に、ドアが当該仮置台に吸着された状態で載置される。この状態で、ドアのフープ本体に対するロックが解除(アンロック)される。そして、操作ロボットにより、フープ本体が仮置台に吸着保持されたドアから分離されて洗浄乾燥槽に移動させられ、次いで、仮置台のドアに対する吸着が解除された後、操作ロボットが、仮置台に戻って前記ドアを把持し、洗浄乾燥槽の外蓋の内側に設けられたドア部保持部まで移動させ、そのドアがドア部保持部に保持される。その後、前記外蓋が閉じられた洗浄乾燥槽において、フープ本体とドアとが分離された状態でそれらの洗浄及び乾燥が行われる。
【0004】
このようなフープ洗浄乾燥装置では、洗浄乾燥槽において、フープ本体とドアとを分離した状態で洗浄及び乾燥することができるので、フープ本体及びドアのそれぞれを良好に洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−56450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のFOUP洗浄乾燥装置は、フープ本体のウェハ保持部である棚部(スロット)及びドアの棚部(リテーナ)の洗浄と乾燥を十分に行うべく、洗浄乾燥槽の中央に設けた回動軸に設けた多数の洗浄ノズルと、周囲に設けた多数の乾燥ノズルとが多数配置された構造となっているものの、上記配置のノズルによる洗浄液の噴出では、フープ本体の棚部(スロット)及びドア部の棚部(リテーナ)の隅々まで洗浄を行い、付着物を十分に取り除くことが困難な場合がある。ドア(蓋部)を有しないケース体からなる基板ケースを洗浄する場合でも同様に、ケース体の棚部の隅々まで洗浄を行い、付着物を十分に取り除くことが困難な場合が生じる。
【0007】
本発明は、複数の基板を収納する基板ケースの洗浄対象部を隅々まで狙いを定めて洗浄し、付着物を効果的に除去するために洗浄する基板ケース洗浄装置及び基板ケース洗浄方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る基板ケース洗浄装置は、基板を収容するケース体と、該ケース体の前面開口部に着脱可能に嵌め込まれて解除可能に固定されるドア部とを備えた基板ケースを、前記ケース体と前記ドア部とに分離して洗浄する基板ケース洗浄装置であって、洗浄槽と、該洗浄槽に設けられ、前記ドア部を保持するドア部保持部と、前記ドア部保持部に保持された状態のドア部の前記固定が解除されて、前記ドア部から分離された前記ケース体を保持する、前記洗浄槽に設けられたケース体保持部と、前記ケース体保持部に保持された前記ケース体の洗浄対象部、及び前記ドア部保持部に保持された前記ドア部の洗浄対象部に流体を噴出する流体噴出部と、前記ケース体の洗浄対象部、及び前記ドア部の洗浄対象部を前記流体噴出部の噴出口に向けた状態で左右方向に移動させる移動機構部とを有し、前記移動機構部は、前記ケース体保持部を移動させるケース体保持部移動機構部と、前記ドア部保持部を移動させるドア部保持部移動機構部とを有し、前記ケース体保持部移動機構部は、前記ケース体保持部を正逆方向に回動移動させ、前記ドア部保持部移動機構部は、前記ドア部保持部を正逆方向に回動移動させ、前記ケース体保持部移動機構部と前記ドア部保持部移動機構部は、共通の移動駆動部を有し、該移動駆動部により連動して回動移動する構成である。
【0015】
このような構成によれば、ケース体の洗浄対象部(例えば、多段の棚であるスロット)、及びドア部の洗浄対象部(例えば、多段の棚であるリテーナ)を流体噴出部の噴出口(例えば、ノズル)に向けた状態で左右方向に移動させる移動機構部とを有するので、ケース体の洗浄対象部及びドア部の洗浄対象部を噴出口に向けた状態で左右方向に移動させ、隅々まで狙いを定め、十分に洗浄することができる。左右方向の移動としては、例えば左右方向に回動移動させる場合が相当する。そして、ノズルを上下方向に昇降させるか、又は棚部の段数に相応して縦方向にノズルを複数個設けることで上下方向の洗浄も隅々まで行うことができる。そして、ケース体保持部及びドア部保持部を正逆方向に回動移動させることで、ケース体の洗浄対象部とドア部の洗浄対象部の各部を流体噴出部の噴出口に向けて洗浄することができる。さらに、装置構成を簡略化しつつ効果的に基板ケースの洗浄を行うことができる。例えば、共通の移動駆動部として設けたモータにベルト等で連結することで連動して回動移動することができる。
【0016】
本発明に係る基板ケース洗浄装置において、前記ケース体の洗浄対象部が、前記ケース体の左右の内側面に設けた、基板の周縁部を支持する縦方向に並ぶ複数の棚部であり、前記ドア部の洗浄対象部が、前記ドア部の内側面に設けた、基板の周縁部を支持する縦方向に並ぶ複数の棚部である構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、基板が直接触れるケース体の左右の内側面に設けた棚部(スロット)及びドア部の内側面に設けた棚部(リテーナ)を洗浄対象部とすることで、基板ケースの洗浄を効果的に発揮することができる。
【0022】
本発明に係る基板ケース洗浄装置において、更に、前記流体噴出部の噴出口を昇降移動させる昇降機構部を有する構成とすることができる。
【0023】
このような構成によれば、昇降機構部により流体噴出部の噴出口を上下方向に昇降移動することができるので、移動機構部による左右方向の移動と併せてケース体の洗浄対象部(例えば、多段の棚)、さらにはドア部の洗浄対象部(例えば、多段の棚)について、漏れなく隅々まで十分に洗浄することができる。
【0024】
本発明に係る基板ケース洗浄装置において、前記流体噴出部の噴出口の数は、前記ケース体側に2以上、前記ドア部側に1以上設けられている構成とすることができる。
【0025】
このような構成によれば、ケース体側に2以上の噴出口を設けているので、箱体であるケース体の洗浄対象部を効果的に洗浄することができる。
【0026】
本発明に係る基板ケース洗浄装置において、前記流体は、水蒸気、水、及び空気の少なくとも1以上から成る構成とすることができる。
【0027】
このような構成によれば、流体噴出部の噴出口から、例えば、水蒸気単独で噴出させることも、あるいは水蒸気、水及び空気の3流体として噴出させることも可能である。洗浄により除去する付着物の種類等により、噴出する流体をいずれにするかを選択することができる。なお、空気の噴出により洗浄後の乾燥も可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、基板ケースのケース体の洗浄対象部を流体噴出部の噴出口に向けた状態で左右方向に移動させるので、流体を洗浄対象物に狙いを定めて隅々まで噴出させて付着物を除去し、効果的な洗浄を可能とすることができる。また、ケース体にドア部が設けられる基板ケースであるときは、ケース体の洗浄対象部及びドア部の洗浄対象部を、流体噴出部の噴出口に向けた状態で左右方向に移動させるので、流体を洗浄対象物に狙いを定めて隅々まで噴出させて付着物を除去し、効果的な洗浄を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置での洗浄対象となる基板ケースとしてのFOUPの構造を示す斜視図である。
図2図1に示すFOUPのドア部を内側から見た斜視図である。
図3】洗浄対象であるFOUP10を本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置内に搬入した状態の切り欠き斜視図である。
図4】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の拡大横断面図である。
図5A】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の横断面図である。
図5B図5AのX1−X1断面図(基板ケース洗浄装置の縦断面図Aの1)である。
図6図5AのY1−Y1断面図(基板ケース洗浄装置の縦断面図Aの2)である。
図7図5AのY2−Y2断面図(基板ケース洗浄装置の縦断面図Aの3)である。
図8】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す横断面図(Bの1)である。
図9】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す横断面図(Bの2)である。
図10】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す横断面図(Bの3)である。
図11】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す横断面図(Bの4)である。
図12】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す横断面図(Bの5)である。
図13】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す縦断面図(Cの1)である。
図14】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す縦断面図(Cの2)である。
図15】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す縦断面図(Cの3)である。
図16】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す縦断面図(Dの1)である。
図17】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す縦断面図(Dの2)である。
図18】本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置の動作を示す縦断面図(Dの3)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0034】
本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置において洗浄の対象となる基板ケースは、複数の半導体ウェハを収納する基板ケースのFOUPであって、例えば、図1図2に示すような構造となっている。
【0035】
図1図2において、FOUP10は、前面全体に開口部11を有するケース体12と、ケース体12に着脱可能に装着されるドア部13とを備えており、ドア部13が開口部11に嵌め込まれることにより、ケース体12の内部が密封、閉鎖状態になる構造となっている。ケース体12の両側壁内面に対となる左右の多段の棚(複数の棚部:スロット)15a、15bが形成されており、その左右の多段の棚15a、15bにウェハWf(鎖線で示す)の縁部が支持される。そして、ドア部13の内面にもケース体12における左右の多段の棚15a、15bに対応するよう多段の棚(複数の棚部:リテーナ)16(図2)が形成され、ドア部13がケース体12の開口部11に嵌め込まれた状態で、各ウェハWfの開口部11側の縁部がドア部13の対応する多段の棚16に支持される。このようにして、ケース体12へのドア部13の嵌め込みによって密封、閉鎖状態となったFOUP10内に複数のウェハWfが収納される。なお、密封状態を確保すべくドア部13の内側周囲にはパッキン19が装着されている(図2)。
【0036】
ケース体12の上面の略中央部にOHT(Overhead Hoist Transfer)用のヘッド部18が設けられている。このOHT用のヘッド部18を操作ロボット(不図示)が把持することによって、FOUP10を搬送することができる。
【0037】
FOUP10のドア部13には、ドア部13をケース体12に対して解除可能な状態で固定するロック機構部(固定機構部)が設けられている。このロック機構部は、例えば、ドア部13内に設けた2つのピ二オン20、21(破線で示す)と、一方のピ二オン20に対して設けられた2つの動作棒22a、22b(固定動作棒:破線で示す)と、他方のピ二オン21に対して設けられた2つの動作棒23a、23b(固定動作棒:破線で示す)とを有している。各ピニオン20、21の中心部にはキー溝(不図示)がそれぞれ形成され、ドア部13の外側面に形成された孔25、26を通してドア部13内に挿入されるキー(不図示)を嵌め込むことができる。例えば、ドア部13に形成された孔25(26)に外部からキーが挿入されて、キー溝を回すことでピ二オン20(21)の回転により動作棒22a、22b(23a、23b)が上下方向に延びるとドア部の孔27a、27b(28a、28b)から突出してケース体12のロック孔(不図示)に嵌り込み、ドア部13がケース体12に固定される。また、固定された状態のドア部13に対して、孔25(26)を通してキーを嵌め込み、キー溝を上記固定の場合と反対の方向に回すことでピ二オン20(21)の回転により動作棒22a、22b(23a、23b)が縮み、先端がケース体12のロック孔から外れ、固定が解除され、ドア部13をケース体12から外すことが可能となる。
【0038】
ドア部13の外面には、更に、位置決め用のレジストレーションピン穴29a、29bが形成されている。これは、後述するように、ドア部13を基板ケース洗浄装置のドア部保持部の所定位置に保持させるための、位置決め用のピン穴である。
【0039】
上述したような構造のFOUP10(図1図2)を洗浄する基板ケース洗浄装置は、図3図7に示すように構成される。以下、図3図7を参照して、基板洗浄装置の概略を説明する。
【0040】
洗浄対象であるFOUP10を基板ケース洗浄装置内に搬入した状態の切り欠き斜視図である図3において、基板ケース洗浄装置31(FOUP洗浄装置)は、上方を開口部32とする箱体である洗浄槽33と、洗浄槽33の開口部32を開閉する蓋部35(鎖線で示す)とを備えている。洗浄槽33の外側面には、ロッドを進退動させる油圧(エア)シリンダを含む開閉機構部36が設けられており、前記ロッドの進退動により、蓋部35がヒンジ(不図示)を支点にして開口部32の開閉動作を行うように構成されている。
【0041】
洗浄槽33の内部の側面側には、FOUP10のドア部13を保持するドア部保持板38(ドア部保持部)が設けられている。ドア部保持板38の内側面には、複数の吸着器(不図示)が設けられており、これら複数の吸着器にドア部13を吸着させることにより、ドア部13をドア部保持板38に保持させることができる。また、洗浄槽33の底部側には、FOUP10のケース体12を保持するケース体保持部39が設けられている。
【0042】
洗浄槽33のドア部保持板38が設けられた側の外側面には、ロック動作機構部40(鎖線で示す)が設けられている。ロック動作機構部40は、FOUP10におけるドア部13のケース体12に対するロックを解除(アンロック)するように、ロック機構部(固定機構)を動作させる機能を有するものである。また、ロック動作機構部40は、ケース体12の開口部11に嵌め込まれたドア部13をケース体12に対してロック(固定)するようにロック機構部を動作させる機能を有する。このロック動作機構部40には、上述したドア部13内のピ二オン20、21の中心部に形成されたキー溝に係合するキーを備えており、洗浄槽33の外側面側からドア部保持板38を通してドア部13をロック・アンロックすることができる。
【0043】
図3図5B及び図6に示すように、ケース体保持部39は、円柱状の回動軸部42の上に板上の保持台43が設けられた形状であり、保持台43の上にケース体12が、係合(又は吸着等)により保持される。回動軸部42は、洗浄槽33の底部を貫通し、サーボモータ等を含む移動機構部45に接続されている。移動機構部45の駆動によりケース体保持部39に保持されたケース体12は、水平面上を左右方向に正逆の回動移動を繰り返すことができる。
【0044】
ドア部保持板38は、洗浄槽33の底部を貫通する回動軸部47と、U字形状の接続部材48を介して接続されている。回動軸部47は、ベルト41により回動軸部42と連動されており、これによりドア部保持部38に保持されたドア部13は、ケース体保持部39と共に左右方向に正逆の回動移動を繰り返すことができる。
【0045】
図3図7を参照して説明する。洗浄槽33の内部には、洗浄用の流体を噴出させる流体噴出部51が設けられている。流体噴出部51は、平面方向に設けたT字形状のノズル取付部材52と、ノズル取付部材52の各先端3箇所にそれぞれ設けたノズル(噴出口)53a、53b、53cと、ノズル取付部材52を支える柱状部55と、柱状部55を上下に昇降させる昇降機構部56と、3種の流体を導入する配管57〜59とを備えている。なお、配管57〜59は枝分かれして、ノズル53a、53b、53cにはそれぞれ配管(57a、58a、59a)、(57b、58b、59b)、(57c、57b、59c)が接続されている。また、3種の流体としては、例えば、所定圧力、所定温度等に調整された水蒸気、水(純水等)、空気が相当し、外部から導入される。ノズル53a、53b、53cからは、これら3種の流体の1以上を噴出させて洗浄流体とすることができる。例えば、ノズル53a、53b、53cから水蒸気のみを噴出させて洗浄対象部であるケース体12の棚15a、15a(スロット部)、及ドア部13の棚(リテーナ)16に付着した汚れ(レジスト、金属粉等)を洗浄し、又は水蒸気、水、空気を混ぜた3流体として噴出して洗浄することもできる。ノズル53a、53b、53cは、上記した昇降機構部56により流体を噴出させつつ上下方向に移動することができる。なお、洗浄後にノズル53a、53b、53cから空気を噴出させて、FOUP10の乾燥を行うことで、洗浄乾燥装置として使用することもできる。また、各種洗浄用の薬品を含んだ洗浄液を噴出させ、さらに水の噴出でリンスをすることができる。
【0046】
ノズル53aとノズル53bとはT字形状のノズル取付部材52の先端に、噴出口がそれぞれ反対方向に向いて一直線上に配置されている。ノズル53aはケース体12の棚15a側に向けて流体を噴出口から噴出することができる位置に、ノズル53bはケース体12の棚15b側に向けて流体を噴出することができる位置にそれぞれ回動可能に配置されている。T字形状のノズル取付部材52の残りの一端にノズル53cが、噴出口をドア部13の多段の棚16に向けて配置されている。
【0047】
次に、本実施形態に係る基板ケース洗浄装置の動作について、図面を参照して説明する。
【0048】
図1図3において、基板ケースであるFOUP10の洗浄開始前に、FOUP10のケース体1の上面に設けられたヘッド部18を操作ロボットが把持し、基板ケース洗浄装置31に搬送する。操作ロボットは、搬送したFOUP10のドア部13のレジストレーションピン穴29a、29bに、基板ケース洗浄装置31のドア部保持板38に設けたレジストレーションピン(不図示)を挿入させて、所定位置で保持させる。次に、操作ロボットにより、ロック動作機構部40を操作してドア部13のロック機構(固定機構)を解除する。具体的には、ロック動作機構部40に含まれるロック機構の解除用のキー(不図示)を、ドア部13の孔25、26に挿入し、ピ二オン20、21に設けたキー溝(不図示)に嵌め込んで、ピ二オンを解除方向に回して動作棒22a、22b、23a、23bを短縮させ、ケース体12とのロック(固定)を解除させる。
【0049】
次に、操作ロボットにより、ドア部13とのロック(固定)が解除されたケース体が洗浄槽33の底部に配置されたケース体保持部39に搬送し、係合(又は吸着等)により保持される。これにより、FOUP10のケース体12とドア部13との分離した洗浄が可能となる。そして、昇降機構部56により流体噴出部51が上昇し、図5B図7に示すように、ノズル53a、53b、53cが最上位置に到達する。このとき、図4図5Aに示すように、ノズル53aケース体12の棚15aの垂直方向に、ノズル53bはケース体12の棚15bの垂直方向に、ノズル53cはドア部13の棚16の垂直方向に位置している。そして、開閉機構部36により蓋部35を回動させて洗浄槽33の上部開口部を閉鎖し、洗浄を開始する(図3)。
【0050】
次に、洗浄槽33にそれぞれ分離保持されたケース体12とドア部13とを基板ケース洗浄装置31による洗浄の動作手順について、図4図18を参照して説明する。
【0051】
上記した図4図7に示すように、洗浄開始の際に、ノズル53a〜53cは、上下昇降可能範囲の最上位置にあり、平面上はノズル53aの噴出口が棚15aの垂直方向に向けて、ノズル53bは噴出口が棚15bに向けて、ノズル53cは棚16に向けて、それぞれ配置されており、この位置から流体を噴出する。なお、洗浄開始の際のノズルと棚の配置は上記位置関係に限定されるものでない。
【0052】
上記洗浄開始位置でのノズル53a〜53cからの流体は、棚15a、15b、16の最上段の略中央位置付近に噴出される。この時、ノズル53a〜53cから噴出された流体は拡散されるので、棚15a、15b、16の最上段から下方向3〜4段付近の中央部を洗浄することができる。ノズル53a〜53cからの流体噴出開始から所定時間経過後に、洗浄槽33の底部直下に設けた移動機構部45を作動させケース体保持部39及びこれと連動するドア部保持部38の回動を開始させる。これによりケース体12及びドア部13が回動する。
【0053】
図8に示すように、ケース体12の矢印A1方向への回動により、ノズル53aから噴出される流体は、棚15aの中央部から向かって棚15aの右端部側へと噴出範囲を移動し、ノズル53bから噴出される流体は、棚15bの中央部から向かって右端部側へと噴出範囲が移動する。また、ケース体保持部39と連動するドア部保持板38に保持されたドア部13の矢印A1方向への回動によりノズル53cから噴出される流体は、棚16の中央部から向かって右端部側へと噴出範囲を移動する。
【0054】
上記した矢印A1方向へのケース体12とドア部13の回動は、図9に示す位置まで回動する。このとき、ノズル53aから噴出される流体は棚15aの右端部まで噴出範囲が移動し、ノズル53bから噴出される流体は棚15bの右端部まで噴出範囲が移動する。また、ノズル53cから噴出される流体は、棚16の右端部まで噴出範囲が移動する。図9に示す位置まで回動したケース体12及びドア部13は、ケース体保持部39及びドア部保持板38の反転回動により、矢印A2方向に回動を開始する。そして、図10に示すように、ケース体12とドア部13は、洗浄開始時の位置に戻り、ノズル53aから噴出される流体は棚15aの右端部から中央部まで噴出範囲が移動し、ノズル53bから噴出される流体は棚15bの右端部から中央部まで噴出範囲が移動する。また、ノズル53cについても噴出される流体は棚16の右端部から中央部まで噴出範囲が移動する。
【0055】
図10に示す位置から更にA2方向にケース体12及びドア部13は回動し、図11に示す位置までに至ると、ノズル53aから噴出される流体は、棚15aの中央部から向かって棚15aの左端部側へと噴出範囲を移動し、ノズル53bから噴出される流体は、棚15bの中央部から向かって左端部側へと噴出範囲が移動する。また、ノズル53cから噴出される流体は、棚16の中央部から向かって左端部側へと噴出範囲を移動する。図11に示す位置から更にA2方向にケース体12及びドア部13が回転し、図12に示す位置まで回動する。このとき、ノズル53aから噴出される流体は棚15aの左端部まで噴出範囲が移動し、ノズル53bから噴出される流体は棚15bの左端部まで噴出範囲が移動する。また、ノズル53cから噴出される流体は、棚16の左端部まで噴出範囲が移動する。
【0056】
そして、図12に示す位置まで回動したケース体12及びドア部13は、ケース体保持部39及びドア部保持板38の反転回動により、再び矢印A2方向に回動を開始し、洗浄開始時の位置へと繰り返し回動移動する。このような回動移動と反転した回動移動とを繰り返すことにより、棚15a、15b、16の右端部から左端部まで十分に洗浄用の流体をノズル53a、53b、53cから噴出することができるので、洗浄漏れを防止することができる。上記のケース体12とドア部13の反転を伴う回動の繰り返しと共に、さらに後述するように、ノズル53a、53b、53cの噴出口の位置を昇降させることで、ケース体12の多段に形成された棚15a、15n、同じくドア部13の多段に形成された棚16の全てを隅々まで効果的に洗浄することができる。
【0057】
図5B図7に示すように、ノズル53a〜53cは、最上位の位置にあり、ケース体12の棚15a、15bの最上段、ドア部13の棚16の最上段に洗浄用の流体を噴出口から噴出することができる。この最上位の位置で上述したケース体12とドア部13との回動及び反転回動により棚15a、15b、16の洗浄を右端部から左端部まで洗浄することができる。棚15a、15b、16の最上段の洗浄が済んだ後は、昇降機構部56によりノズル53a〜53cの位置を降下させて次の段の棚15a、15b、16に洗浄用の流体が噴出できるようにして、ケース体12とドア部13との回動及び反転回動を行うことで、次の段の棚15a、15b、16の洗浄を右端部から左端部まで洗浄する。なお、ノズル53a〜53cからの噴出範囲が洗浄対象部である棚15a、15b、16を複数段含む場合には、1段毎にノズル53a〜53cを降下せずに所定の段数毎に降下させることができる。
【0058】
図13図15に示すように、昇降機構部56によりノズル53a〜53cは降下して、棚15a、15b、16の略中段に噴出する位置に到達している。この中段に噴出する位置に到達するまでに、所定の段数毎(1段毎も含む)に降下し、その段数位置毎にケース体12とドア部13との回動及び反転回動を行うことで、その段等の棚15a、15b、16の洗浄を右端部から左端部まで狙いを定めて隅々まで洗浄することができる。このようにして、図16図18に示すように、棚15a、15b、16の最下段に至るまで、所定段数毎(1段を含む)にケース体12とドア部13との回動及び反転回動をしつつ洗浄用の流体を噴出させることで、ケース体12の棚15a、15b、及びドア部13の棚16を隅々まで漏れなく洗浄することができる。これにより、各処理工程を経たウェハWfを収容搬送するFOUPを載置する棚(スロット部、リテーナ)に付着したパーティクル等を残すことなく洗浄により除去することができる。
【0059】
上述したように、本発明の実施の一形態に係る基板ケース洗浄装置において洗浄の対象となる基板ケースとしてFOUPを例に説明したが、洗浄対象となる基板ケースはFOUPに限定するものではない。例えば、洗浄対象となる基板ケースは、FOSB、MAC、カセット、SMIF、POD等のウェハ容器、RSP−150、RSP−200等のレチクル(マスク)容器も含まれる。また、FOUP等のようにケース体とドア部(蓋部)とを備えた基板ケースや、カセット等のようにドア部(蓋部)のないケース体からなる基板ケースも本発明の基板ケース洗浄装置の洗浄対象の基板ケースに含まれる。なお、基板ケースのみを洗浄する場合には、ドア保持部は基板ケース洗浄装置には不要であり、仮にドア保持部が設けられているときは不使用となる。また、棚部(スロット、リテーナ等)を有しない基板ケースも本発明の基板ケース洗浄装置の洗浄対象となる。この場合、基板が接触する部分を洗浄対象部として洗浄することができる。洗浄対象部は、棚部に限らず用途等に応じて設定することができる。
【0060】
以上、本発明のいくつかの実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
上述したように、本発明に係る基板ケース洗浄装置及び基板ケース洗浄方法は、ケース体の洗浄対象部(さらに、ドア部の洗浄対象部)を、流体噴出部の噴出口に向けた状態で左右方向に移動させるので、流体を洗浄対象物の隅々まで噴出させて付着物を除去し、効果的な洗浄を可能とするという効果を奏するので、複数の半導体ウェハを収納する基板ケースを洗浄する基板ケース洗浄装置及び基板ケース洗浄方法として有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 FOUP
11 開口部
12 ケース体
13 ドア部
15a、15b (多段の)棚(スロット部:洗浄対象部)
16 (多段の)棚(リテーナ:洗浄対象部)
20、21 ピ二オン
22a、22b 動作棒
23a、23b 動作棒
31 基板ケース洗浄装置(FOUP洗浄装置)
32 開口部
33 洗浄槽
36 開閉機構部
38 ドア部保持板(ドア部保持部)
39 ケース体保持部
40 ロック動作機構部
45 移動機構部
51 流体噴出部
52 ノズル取付部材
53a、53b、53c ノズル
56 昇降機構部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
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図10
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図18