(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960169
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
A47J37/12 351
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-4640(P2019-4640)
(22)【出願日】2019年1月15日
(65)【公開番号】特開2020-110439(P2020-110439A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】391017447
【氏名又は名称】サン・プラント工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】下川 克介
(72)【発明者】
【氏名】村上 真治
【審査官】
吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭42−010872(JP,Y1)
【文献】
実開昭47−004281(JP,U)
【文献】
実開昭63−022826(JP,U)
【文献】
特開2001−145574(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0048248(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室の燃焼ガスの熱で加熱された調理油に対して調理物を投入することによって揚物調理を行うフライヤーにおいて、
前記調理油を収納する油槽と、前記油槽内に配置されたヒータープレートとを備え、
前記調理物が移送される調理部と、前記調理部の下方に配置された底流部とが、前記ヒータープレートによって、上下に区画され、
前記ヒータープレート内に前記燃焼ガスが導入されるように構成され、
前記ヒータープレートは、前記調理部内の前記調理物の移動を促す移送装置と共に昇降するように構成され、
前記燃焼室と前記ヒータープレートは中間経路によって接続され、
前記中間経路は、前記燃焼室から前記調理油の油面よりも上に伸びる伸縮可能な上昇路と、前記上昇路から下方に伸びる降下路とを備え、
前記降下路の下側が前記ヒータープレートに接続されていることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記燃焼室にはバーナーが配置され、
前記バーナーの前記燃焼ガスが前記燃焼室を通過して、前記燃焼室を通過した前記燃焼ガスが前記ヒータープレートの一端側に導入され他端側から前記ヒータープレートの外へ排出されるように構成されたことを特徴とする請求項1記載のフライヤー。
【請求項3】
前記ヒータープレートの平面積は前記油槽の平面積の5割以上であり、
前記底流部は前記燃焼室と前記ヒータープレートとの上下間に挟まれていることを特徴とする請求項1または2記載のフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揚げ物調理に適するフライヤー、特に連続加工に有利であって化石燃料などの燃焼ガスの有効利用を図ることができるフライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1〜3に示すようなフライヤーが知られている。
この種の従来のフライヤーは、燃焼ガスの有効利用を図るものではあったが、液体である油槽内における調理油の流れの制御と、気体である燃焼ガスの移動排出経路とを別個のものとして捉えていた。その結果、燃焼ガスのエネルギーの有効利用の向上促進にも限界が生じていた。
燃焼ガスのエネルギーの有効利用に有利な構造を備えたフライヤーの提供を課題とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−027541号公報
【特許文献2】特開2012−016546号公報
【特許文献3】実公平06−018165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、燃焼ガスのエネルギーの有効利用に有利な構造を備えたフライヤーの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ガスバーナーなどが配置された燃焼室の燃焼ガスの熱で、油槽内部の調理油を加熱し、燃焼室より排出される燃焼ガスを揚げ油に浸漬したヒータープレートに送り込むことで、燃焼ガスの熱を再利用して、調理油の加熱効率を高める事が出来る構造を備えたフライヤーを提供することにより上記の課題を解決する。
燃焼室の燃焼ガスの熱で加熱された調理油に対して調理物を投入することによって揚物調理を行うフライヤー前記ヒータープレート内に前記燃焼ガスが導入され、前記ヒータープレートによって、前記調理物が移送される調理部と、前記調理部の下方に配置された底流部とに、上下に前記油槽が区画される。前記燃焼室を前記油槽の下に配置することによって、前記底流部は、前記ヒータープレートと前記燃焼室とによって上下から挟まれた状態となり、前記底流部内の前記調理油は、前記燃焼ガスの熱で加熱される。また、前記ヒータープレートの前記燃焼ガスの熱は、その上の前記調理部内の前記調理油を加熱するため、前記調理部内の前記調理油は効率的に加熱される。
本発明は、前記燃焼室にバーナーが配置され、前記バーナーの前記燃焼ガスが前記燃焼室を通過して、前記燃焼室を通過した前記燃焼ガスが前記ヒータープレートの一端側に導入され他端側から前記ヒータープレートの外へ排出されるように構成して実施することができ、前記燃焼室に配置された前記バーナーの前記燃焼ガスを有効利用することができる。
前記ヒータープレートの平面積は前記油槽の平面積の5割以上であり、前記底流部は前記燃焼室と前記ヒータープレートとの上下間に挟まれているものとして実施することができ、前記底流部及び前記調理部内の前記調理油は大きな面積で前記燃焼ガスによって加熱されることができる。
前記ヒータープレートを、前記調理部内の前記調理物の移動を促す移送装置と共に昇降させるように構成することもでき、これによって清掃やメンテナンスを効率的に行うことができる。
前記移送装置は前記油槽の両端間を前記調理物が移動することを促すものであり、前記燃焼室と前記ヒータープレートは中間経路によって接続され、前記中間経路は、前記燃焼室から前記調理油の油面よりも上に伸びる伸縮可能な上昇路と、前記上昇路から下方に伸びる降下路とを備え、前記降下路の下側が前記ヒータープレートに接続されているものとすることができ、これによって、前記燃焼ガスの流路を遮断することなく、前記ヒータープレートを昇降させることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、燃焼ガスのエネルギーの有効利用に有利な構造を備えたフライヤーを提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係るフライヤーを示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図。
【
図2】同フライヤーの移送装置及びヒータープレートを上昇させた状態の正面図。
【
図3】同フライヤーのヒータープレートを示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図。
【
図4】フライヤーの調理油と燃焼ガスの温度変化を示すもので、(A)は本発明の実施例にフライヤーおけるグラフ、(B)は比較例のフライヤーにおけるグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(全体の構造)
この実施の形態に係るフライヤー11は、その平面視において、
図1(A)に示すように左右方向に長い略長方形をなしているもので、その右端から左端へ調理物を移動させながら連続的に揚げ物調理を行う量産に適するフライヤーである。
このフライヤー11は、
図1(B)に示すように下側に燃焼室12を備え、その上側へ油槽13を備える。調理を行うときには油槽13の内部は調理油で満たされている。油槽13は、ヒータープレート31によって、調理部32と底流部33に、上下に区画されている。
調理部32には移送装置41が配置されており、移送装置41によって調理物が油槽13の右端から左端へ移送される間に、調理物に対する揚げ物調理がなされるものである。
揚げ物調理は、調理油によってなされる調理であれば、天ぷら調理、フライ調理、唐揚げ調理など、その種類を問わない
【0009】
(油槽13について)
油槽13は、底板14によって燃焼室12に対して完全に区画されており、両者内の気液は直接接触しない構造とされている。但し、両者内の気液間の熱交換は行われやすい構造としておくことが望ましく、熱伝導性の高い素材で底板14を構成することが好ましい。なお、油槽13の前後の壁面など熱交換を考慮しない部分については、断熱構造を備えたものとすることによって、熱効率を高めた構造としておくことが好ましい。もちろん断熱構造についてはフライヤー11の製造コストなどの関係から省略して実施することも可能である
【0010】
(ヒータープレート31と調理油について)
油槽13は、平面視が長方形のヒータープレート31によって上下に区画されており、その上側が調理部32とされ下側が底流部33とされている。このヒータープレート31は、平面視において油槽13の大部分に及ぶものであることが好ましく、その平面積は油槽13の平面積の50%以上、好ましくは70%以上を占めるものとするが適当である。ヒータープレート31の左端と油槽13の左端内壁との間に間隔が開けられており、両者間の隙間が左側の還流口35となっている。同様に、ヒータープレート31の右端と油槽13の右端内壁との間にも間隔が開けられており、両者間の隙間が右側の還流口36となっている。
この例では、油送ポンプ34によって、調理部32においては右側から左側へ調理油が流されるように構成されており、ヒータープレート31を挟んだ底流部33においては左側から右側へ調理油が流されるように構成されている。油送ポンプ34には様々な形態のものを採用することができるが、例えば特許文献3に示されるような回転する羽車からなる油送ポンプ34を用いることができる。この油送ポンプ34は、還流口35の前後幅の略全長に渡って配置されており、油送ポンプ34によって調理部32の調理油を吸引するとともに、底流部33の左側から右側へ調理油を吐出する。底流部33の右端に至った調理油は還流口36から上昇して調理部32内に流入し調理部32内を右側から左側へ流れて、油送ポンプ34に吸引され循環利用される。なお、図示はしないが、新たな調理油の供給や排出のための流出入口を循環経路中に設けておいたり、フィルターを配置することによって揚げ物調理の揚げカスを除去したり出来るようにしても構わない。
なお、ヒータープレート31は、左の還流口35と右の還流口36を除く油槽13内を調理部32と底流部33に完全に分離区画してしまうものである必要はなく、例えばその前後の両辺から調理部32と底流部33の間に調理油の出入りを許すものであっても構わない
【0011】
(調理部32について)
調理部32には調理物を右側から左側へ移送させるための移送装置41が配置されている。この例では、移送装置41には、上コンベア42と下コンベア43の間に調理物を配置して、調理物を調理油中に潜らせた状態で移送するネットコンベアが採用されているが、調理物を調理油に浮かべた状態で押すようにして送っていくものなど、種々の形態の移送装置41を採用することができる。また移送装置41の左端は引上げ部45として油槽13の上方にまで調理済みの調理物を持ち上げるように構成されているが、これらの調理油の投入、移動、排出の構造は、特に限定されるものではなく種々の形態のものを採用することができる
【0012】
(燃焼室12について)
燃焼室12はその一端(図では左端)側にバーナー21が配置されており、その燃焼ガスが一端から他端(図では右端)側へ流される。この燃焼室12自体の構成については従来のフライヤーと特に変更する必要はなく、従来のフライヤーにおける種々の構造を適宜に適用することができる
【0013】
(ヒータープレート31と燃焼ガスについて)
ヒータープレート31は上流端(図では右端)が中間経路22を介して燃焼室12の下流端(図では右端)に接続されており、ヒータープレート31の下流端(図では左端)には排気経路23が設けられている。これによって、燃焼室12から中間経路22を通って流入した燃焼ガスは、ヒータープレート31の内部を通過して、排気経路23から外部へ排出される。
このように、燃焼室12内部を流れる燃焼ガスと、ヒータープレート31内部を流れる燃焼ガスとの両者に上下から挟まれた状態で、底流部33内の調理物に対して加熱がなされるため、効率的な熱交換が実現する。その結果、底流部33の内部で十分に加熱された調理油によって調理物の揚げ物調理を行うことができる。揚げ物調理によって熱エネルギーが奪われた燃焼ガスは左側の還流口35から底流部33へ戻されて再度熱エネルギーが与えられる。
しかも調理中においても、調理部32はその底部からヒータープレート31によって加熱されるため、揚げ物調理中に急激な油温の低下が生じてしまうことを抑制することができる。
従ってこの実施の形態のフライヤー11にあっては、常に安定した油温によって揚げ物調理を熱効率よく実現することができる
【0014】
(リフトアップ機構について)
油槽13を始めとするフライヤー11の洗浄やメンテナンスに際しては、
図2に示すように、移送装置41を油槽13から持ち上げることができるようにしておくことが一般的である。この実施の形態のフライヤー11にあっても、従来と同様、移送装置41を上方からチェーンによって吊り下げる構造にしておき、チェーンを巻き上げたり下ろしたりして昇降させる構造や、移送装置41をジャッキアップする構造など、種々の構造のリフトアップ機構を採用することができる。
その際、このフライヤー11にあっては、移送装置41とヒータープレート31とを一体に接続することができるように構成しているため、移送装置41と共にヒータープレート31も油槽13に対して昇降させることができる。そしてこの例では、ヒータープレート31の昇降を支障なく円滑に行うために、中間経路22について、伸縮可能な上昇路24と、上昇路24から下方に伸びてヒータープレート31に至る降下路25とで構成している。この例では上昇路24は、固定筒部26と移動筒部27とのピストン構造によって伸縮可能なものとしている。固定筒部26は、燃焼室12の下流側の前後少なくともいずれか一方から油槽13の外側を通って、油槽13の上部にまで達するもので、燃焼室12側に固定されている。移動筒部27は、固定筒部26との気密状態を保って上下にスライド可能に挿入されており、その上端が降下路25の上端に接続されている。降下路25の下端は、ヒータープレート31の下流側の前後少なくともいずれか一方に接続固定されており、移動筒部27と降下路25はヒータープレート31と一体に昇降する。この例では、固定筒部26の上端が油槽13よりも上方に達しているため、移動筒部27との接続箇所が調理油の油面よりも上方に位置する結果、中間経路22内部への調理油の侵入を防止することができる。
【0015】
(ヒータープレート31の内部構造について)
ヒータープレート31の内部は単なる空洞状態であっても良いが、
図3に示すように、燃焼ガスの流れ方向(左右方向)に沿って伸びる細分壁37によって複数の細流路38に細分化されている。これによって、ヒータープレート31の全面にほぼ均等に燃焼ガスが流れるようにすることができる。中間経路22の固定筒部26は厚みの小さな筒状をなし、固定筒部26の下端からヒータープレート31の上流側の前後少なくともいずれか一方に接続されている。それぞれの細流路38の端部は、L字状に屈曲して固定筒部26の下端に接続されており、複数の細流路38に分かれて、ヒータープレート31の下流側にほぼ均等に流れて、排気経路23から排出される。この排気経路23も厚みの小さな筒状をなし、L字状に屈曲した細流路38の上流端が排気経路23の下端に接続されている。
細分壁37及び細流路38は、固定路26からの導入箇所にのみ設け、ヒータープレート31の上流部分でヒータープレート31の幅方向に分散させた後は、細分壁37及び細流路38は設けずに実施することもできる
【0016】
(変更例)
本発明は種々変更して実施することができるものであり、例えばヒータープレート31の上面は一枚の平らなプレート状をなしているため揚げ物調理により生ずる揚げカスなどを清掃する際に有利であるが、清掃に支障のない程度の凹凸であれば設けても構わないし、フィン状の凹凸を設けて熱交換の効率を高めても構わない。また全体にあるいは一部に勾配を設けて実施しても構わない。底流部33の上下幅は、調理部32の上下幅よりも小さなものとして実施することができるが、調理部32に循環させる調理油の流量や、燃焼ガスの流量や熱量に応じて適宜設定することができる。
【実施例】
【0017】
以下本発明の実施例と比較例を示す。
【0018】
(実施例)
図1〜3に示すフライヤー11を用いて、調理油の加熱試験を行った。調理油は500リットルとして油槽13に投入し、ガスバーナーに点火して調理油の油温が180℃以上に達するまでの時間と調理油及び燃焼ガスの温度を計測して
図4(A)にその変化を示した。調理油の油温は、調理物が投入される調理部32の上流付近に温度センサを配置して計測した。燃焼ガスの温度は、燃焼ガスが系外へ排出される排気経路付近に温度センサを配置して計測した
【0019】
(比較例)
ヒータープレートの無い従来構造の本願出願人の製造販売に係るフライヤーを用いて、調理油の加熱試験を行った。調理油は450リットルとして油槽に投入し、ガスバーナーに点火して調理油の油温が180℃以上に達するまでの時間と調理油及び燃焼ガスの温度を計測して
図4(B)にその変化を示した。調理油の油温は、調理物が投入される油槽の上流付近に温度センサを配置して計測した。燃焼ガスの温度は、燃焼ガスが系外へ排出される排気経路付近に温度センサを配置して計測した
【0020】
(考察)
180℃に到達するまでのガスバーナー点火後の時間が、実施例では36分40秒であったのに対して、比較例では70分00秒であった。
また、実施例では、
図4(A)に示されるように、調理油の油温と燃焼ガスの温度とがほぼ同じと言って良いほど近いため、燃焼ガスが系外に排出されるまでに効率よく調理油に熱交換されていることが分かるのに対して、比較例では、
図4(B)に示されるように、調理油の油温と燃焼ガスの温度が大きく離れており、熱交換が十分になされていないまま燃焼ガスが排出されていることが分かる。なお、
図4(B)で65分を過ぎた段階で燃焼ガスの温度が急激に低下しているのは、設定温度到達によってガスバーナーの運転を低燃焼モードに移行したことによる。
【符号の説明】
【0021】
11 フライヤー
12 燃焼室
13 油槽
14 底板
21 バーナー
22 中間経路
23 排気経路
24 上昇路
25 降下路
26 固定筒部
27 移動筒部
31 ヒータープレート
32 調理部
33 底流部
34 油送ポンプ
35 還流口
36 還流口
37 細分壁
38 細流路
41 移送装置
42 上コンベア
43 下コンベア