(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者は、襟元保持具について鋭意検討した結果、以下の発明に至った。
【0010】
本発明の一態様である襟付き被服に装着可能な襟元保持具は、装着される際に、前立てに配置される基部と、前記基部から上方に向かって所定角度で分岐するアーム部とを備え、前記アーム部は、前記前立ての左右に形成される前記襟と台襟との間に夫々進入し、前記台襟を押圧する構成である。
【0011】
このような構成により、台襟に対するアーム部の押圧力により襟元保持具が脱落することを抑制可能である。
【0012】
本発明の一態様である襟元保持具において、前記基部は下端が略弧状に湾曲する線状部材により構成され、前記アーム部の各々に係合するブリッジ部をさらに備えるよう構成されてもよい。
【0013】
このような構成により、ブリッジ部が分岐するアーム部同士を所定角度に保つため、アーム部により台襟を良好に押圧可能となる。
【0014】
本発明の一態様である襟元保持具において、前記ブリッジ部は、装飾物を保持可能に構成されてもよい。
【0015】
このような構成により、装飾物を前立て近傍に配置し、被服の美観をより高めることが可能となる。
【0016】
本発明の一態様である襟元保持具において、前記ブリッジ部は、前記アーム部を摺動して上下方向に移動可能に構成されてもよい。
【0017】
このような構成により、アーム部を上下方向に摺動させ、アーム部同士の角度を変更することができるため、台襟への押圧力を調整可能となる。
【0018】
本発明の一態様である襟元保持具において、前記基部は、前記前立ての背面側に配置可能に構成されてもよい。
【0019】
このような構成により、基部を前立ての背面側に配置することにより基部を隠蔽することが可能となる。
【0020】
本発明の一態様である襟元保持具において、前記アーム部は、ユーザーの頸部後方に到達するよう構成されてもよい。
【0021】
このような構成により、アーム部は、ユーザーの頸部後方に当接する台襟を押圧するため、襟元保持具がユーザーの頸部に吊架され脱落を良好に抑制できる。
【0022】
本発明の一態様である襟元保持具において、前記アーム部は、先端が略弧状に湾曲するよう構成されてもよい。或いは、前記アーム部は、先端が巻回されるよう構成されてもよい。
【0023】
このような構成により、アーム部が襟と台襟との間に進入する際に、アーム部の先端が被服表面に爪痕や摩擦痕等を生じさせるのを抑制することができる。
【0024】
本発明の一態様である襟付き被服に装着可能な襟元保持具において、装着される際に、左右の襟の剣先下方に配置される基部と、前記基部から分岐するアーム部とを備え、前記アーム部は、先端に被服の前立てを挟持可能なピンチ部をさらに備えるよう構成されてもよい。或いは、前記アーム部は、先端に襟を挟持可能なピンチ部を備えるよう構成されてもよい。
【0025】
このような構成により、前立てを挟持して襟元が過度に開くのを抑制し、襟元の形状を保持することが可能となる。
【0026】
本発明の一態様である襟付き被服に装着可能な襟元保持具において、装着される際に、左右の襟の剣先下方に配置される基部と、前記基部から分岐するアーム部とを備え、前記アーム部は、前立ての左右に形成される前記襟と台襟との間に夫々進入し、前記襟の背面側を押圧するよう構成されてもよい。
【0027】
このような構成により、襟の背面側を押圧することにより、シャツから脱落することなく良好に襟元の形状を整えることが可能となる。
【0028】
上述した襟元保持具において、基部は、左右の襟の剣先下方に配置されるだけではなく、左右の襟の剣先同士の間に配置され、或いは左右の襟の剣先上方に配置されるよう構成されてもよい。
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図に基づいて詳細に説明する。なお、同一の構成部材に対しては同一の符号を付し、これに関する重複する説明は省略する。
【0030】
図1は、第1実施形態における襟元保持具1の構成の一例を示す図である。本実施形態における襟元保持具1は、襟付き被服に装着可能で、襟元の形状を保持することが可能な器具である。
【0031】
本実施形態において襟元保持具1は、基部2と、基部2から所定角度で分岐するアーム部3と、アーム部3の各々に係合するブリッジ部4とを備える。
【0032】
基部2は、襟付き被服に装着される際に、下方側に位置する。本実施形態において、基部2は下端が略弧状に湾曲する線状部材により構成される。基部2は、弾性を有する金属により構成されてもよいし、弾性を有する樹脂により構成されてもよい。
【0033】
アーム部3は、基部2から所定角度で分岐する部材である。本実施形態において、アーム部3は、襟付き被服に装着されると、基部2の上方に向かって二つの方向に分岐する。アーム部3は、基部2と一体形成されてもよいし、基部2に着脱可能に接合されてもよい。
【0034】
本実施形態において、アーム部3は、基部2に連続して二手に分岐し、互いの先端部同士が所定幅を有する。二つのアーム部3は、先端方向に向かって開放される形状を備える。すなわち、二つのアーム部3同士の距離は、先端方向に向い漸次拡大する。
【0035】
ブリッジ部4は、アーム部3に係合する部材である。ブリッジ部4は、二つの方向に延びるアーム部3の夫々に係合する。ブリッジ部4は、アーム部3の夫々に係合することにより、分岐する二つのアーム部3同士の距離を所定距離に保持する。
【0036】
ブリッジ部4は、アーム部3と着脱可能に構成されてもよい。ブリッジ部4は、二つの方向に分岐するアーム部3の夫々に係合することにより、二つの方向に分岐して延びるアーム部3同士を所定角度に保つ。
【0037】
ブリッジ部4は、アーム部3を摺動可能に構成されてもよい。ブリッジ部4は、アーム部3に沿って摺動可能に構成されてもよい。ブリッジ部4は、襟付き被服に襟元保持具1が装着される場合に、アーム部3を摺動してアーム部3同士の角度を調整可能である。
【0038】
図2は、本実施形態における襟元保持具1の装着状態の一例を示す図である。襟付き被服に襟元保持具1を装着する際に、ユーザーは、襟元保持具1を前立ての下方から上方に向かい移動させ、二つの方向に分岐するアーム部3を襟105と台襟110との間に夫々進入させる。
【0039】
ユーザーはアーム部3が台襟110に当接するまで進入させ、アーム部3は台襟110を押圧する。台襟110がアーム部3により押圧されると、台襟110がユーザーの首に当接又は近接した状態で保持される。これにより、アーム部3は、襟105がユーザーの首元から離れすぎたり、首に対して横方向に襟105が寝てしまうことにより襟元の形状が崩れるのを抑制可能となる。
【0040】
また、二つの方向に分岐するアーム部3が台襟110を首の中心方向に対して押圧することにより、アーム部3同士がユーザーの首元を挟むように押圧し、襟元保持具1が被服から脱落するのを抑制できる。襟元保持具1は、襟105と台襟110との間にアーム部3を差し込むことにより襟付き被服に装着することができるため、着脱を簡便に行うことができるのである。
【0041】
襟付き被服に装着された状態で、ブリッジ部4は、アーム部3を上下方向に摺動可能である。ブリッジ部4がアーム部3を上方向に摺動すると、アーム部3同士の角度が狭くなる。そうすると、アーム部3の先端部同士の幅が狭くなるため、アーム部3の先端部による台襟110に対する押圧力が高まる。
【0042】
ブリッジ部4がアーム部3を下方向に摺動すると、アーム部3同士の角度が広くなる。そうすると、アーム部3の先端部同士の幅が広くなるため、アーム部3の先端部による台襟110に対する押圧力が弱まる。すなわち、ブリッジ部4は、アーム部3を摺動してアーム部3同士の角度を変更することができるため、台襟110への押圧力を調整可能となるのである。
【0043】
図3は、本実施形態における襟元保持具1の装着状態の一例を示す図である。上述した通り、ユーザーは、前立ての下方から上方に向かって襟元保持具1を移動させ、アーム部3を襟105と台襟110との間に進入させる。アーム部3の先端部が台襟110を押圧する状態まで進入させて装着する。
【0044】
基部2は、開いた前立ての背面側に配置可能である。そうすると、基部2は被服の内側に隠蔽されるため、前方から視認困難となる。これにより、ユーザーの首元の美観を損なわず、スマートに襟元保持具1を装着できる。
【0045】
ブリッジ部4は、開いた前立ての背面側に配置可能に構成されてもよい。そうすると、ブリッジ部4は被服の内側に隠蔽されるため、前方から視認困難となる。これにより、ユーザーの首元の美観を損なわず、スマートに襟元保持具1を装着できる。
【0046】
アーム部3は、台襟110の形状に対応する形状を備えてもよい。台襟110は、首元周縁に円環状に形成される。アーム部3は、台襟110の形状に応じて、略弧状に湾曲して構成されてもよい。これにより、アーム部3と台襟110との当接面積を増加させ、広い範囲で台襟110を押圧して襟元形状を保持することが可能となる。
【0047】
次に、本実施形態における襟元保持具1の各構成要素を説明する。
図4は、本実施形態における基部2とブリッジ部4の構成の一例を示す拡大図である。
図4(a)に示すように、基部2は、略U字型に外側に湾曲する形状を備える線状の部材である。基部2は、襟付き被服に装着すると前立て下方に位置する。基部2が略U字型に湾曲する形状を備えることにより、基部2と接触する被服表面の布地に裂痕などを生じさせるのを抑制可能である。
【0048】
ブリッジ部4は、基部2から二手に分岐するアーム部3の夫々に係合する。ブリッジ部4は、正面視略矩形状の本体部10と、本体部10に連続して形成される脚部12とを備える。本体部10は、アーム部3に対して直交する方向に配置される。
【0049】
脚部12は、本体部10に連続して二股に形成される。脚部12は、アーム部3を挟持可能に構成される。脚部12は、二股の間にアーム部3を挟持可能な幅の空間を備える。脚部12は、二手に分かれた間に形成される空間内にアーム部3を挟持可能となる。
【0050】
図4(b)は、ブリッジ部4の断面形状の一例を示す断面図である。図例では、本体部10の長手方向における2つの端部近傍から脚部12が立ち上がる構成である。脚部12は、アーム部3を挟持可能に構成される。
【0051】
脚部12は、対向する板状部材により構成され、開口を備える。ユーザーは、開口からアーム部3を板状部材により形成される空間内に進入させ、対向する板状部材によりアーム部3を挟持する。
【0052】
対向する板状部材同士の距離は、アーム部3の断面直径と略同じかこれより短く構成される。これにより、脚部12によりアーム部3を脱落しないよう良好に挟持可能となるのである。
【0053】
図例では、脚部12は開口を備える場合を説明したが、これとは異なり、脚部12は、アーム部3を収容して閉塞してもよい。これにより、アーム部3がブリッジ部4から脱落することを確実に防止できる。
【0054】
ブリッジ部4は、アーム部3に沿って摺動可能である。これにより、アーム部3同士の角度を変更させ、アーム部3の先端部による台襟110に対する押圧力を調整可能となる。
【0055】
図5は、本実施形態における襟元保持具1の装着の態様の一例を示す拡大図である。
図5(a)に示すように、アーム部3は、襟105の下方から襟105と台襟110との間に進入する。アーム部3は、襟105と台襟110との間をアーム部3の先端が台襟110に当接するまで進入する。
【0056】
アーム部3の先端が台襟110に当接するまで進入すると、アーム部3の先端が台襟110を押圧する。アーム部3同士は所定角度で分岐して、夫々襟105と台襟110との間に進入する。襟105と台襟110との間に進入するのに応じて、アーム部3同士の角度が進入前の角度に比べて拡張される。
【0057】
アーム部3の先端が台襟110に当接すると、アーム部3は進入前の角度に復帰しようとするため、台襟110を他方のアーム部3の先端方向に向けて押圧する。すなわち、アーム部3の先端により、台襟110は他方のアーム部3の先端方向に押圧されるため、アーム部3の先端とユーザーの頸部とにより挟持される。
【0058】
これにより、台襟110がユーザーの頸部に当接するよう保持され、襟105の形状が崩れることなく保持される。アーム部3の先端は他方の先端方向に台襟110を押圧するため、襟付き被服から脱落することなく保持される。
【0059】
図5(b)は、襟元保持具1の装着の態様の一例を示す断面図である。アーム部3の先端は、台襟110を他方のアーム部3の先端方向に押圧するため、台襟110は、アーム部3とユーザーの頸部により挟持される。
【0060】
台襟110がこのように挟持されると、台襟110はユーザーの頸部に沿って保持される。そうすると、台襟110から連続する襟105もユーザーの頸部に沿って保持される。これにより、襟105を肩部に対して立ち上がる形状に保持することができるのである。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素については同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
図6は、第2実施形態における襟元保持具1の構成の一例を示す図である。本実施形態において、ブリッジ部4は、装飾部20を保持可能に構成される。
【0062】
ブリッジ部4の本体部10の上面に装飾部20を装着可能に構成される。襟元保持具1が装着されると、装飾部20が前面側に配置されるため、ブリッジ部4が前方に対して隠蔽される。これにより、襟元保持具1が装着された状態における襟元近傍の美観を向上させることができる。
【0063】
図7は、本実施形態におけるブリッジ部4の構成の一例を示す図である。
図7(a)に示すように、ブリッジ部4は、本体部10と、アーム部3を挟持する脚部12とを備える。本体部10の上面に、装飾部20が配置される。
【0064】
図7(b)に示すように、ブリッジ部4は、装飾部20と係合するための取付孔22をさらに備える。取付孔22は、本体部10の上面の下方において、本体部10を貫通して形成される。
【0065】
図例では、本体部10の短手方向に貫通して取付孔22が形成される場合を示したが、これに限らず、本体部10の長手方向に貫通して取付孔22は形成されてもよい。
【0066】
装飾部20の係合部26が取付孔22に挿通され、ブリッジ部4と装飾部20とが係合する。
図8は、装飾部20の構成の一例を示す図である。
図8(a)は、装飾部20の背面図である。装飾部20は、背面側に係合部26を備える。
【0067】
係合部26は、長さ方向に取付孔22に挿通可能である。係合部26は、弾性を備える金属や樹脂、ゴムなどにより構成される。係合部26は、取付孔22への挿入方向における両端部の幅が、取付孔22の幅より広く構成される。係合部26は、取付孔22への挿入方向における中央付近の幅が、取付孔22の幅と同じかこれより狭く構成される。
【0068】
係合部26を取付孔22に挿通させる際に、係合部26の長さ方向における前方の端部をやや屈曲させて幅を狭め、取付孔22に挿通させる。係合部26の前方の端部が取付孔22を通過すると、屈曲させていた状態から元の状態に戻る。係合部26の中央部が通過した後に、係合部26の後端部が取付孔22の入口に当接する。
【0069】
係合部26の取付孔22への挿入方向における端部の幅は、取付孔22より広く構成されるため、後方の端部は取付孔22の入口に当接して止まる。これにより、係合部26は取付孔22から脱落することなく、装飾部20は本体部10に良好に係合する。
【0070】
図8(b)に示すように、係合部26は装飾部20の下面の略中央に配設される。係合部26は、弾性を有する金属や樹脂、或いはゴム等により形成される線状の部材である。
【0071】
図8(c)に示すように、係合部26は装飾部20の下面にフック状に形成される。本体部10の取付孔22に対して、フック状の係合部26を挿通させることにより、装飾部20を簡便にブリッジ部4に係合可能である。
【0072】
なお、本実施形態において、装飾部20をブリッジ部4に係合させる場合を説明したが、これに限られるものではない。一例として、ブリッジ部4にピンマイクや噴霧器、或いは送風器具を係合させてもよい。
【0073】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態における襟元保持具1の構成の一例を示す図である。本実施形態における襟元保持具1は、基部2と、基部2から分岐するアーム部3と、分岐するアーム部3の夫々に係合するブリッジ部4とを備える。
【0074】
アーム部3は、襟105と台襟110との間に進入し、襟105を押圧する。
図9(a)に示すように、アーム部3は、基部2から分岐して互いに離れる方向に延びる。アーム部3は、先端に向かって漸次開放される形状を備える。
【0075】
アーム部3は、先端に向かって開放される形状を備えるため、襟105に当接すると襟105をユーザーの頸部から離れる外方向に押圧する。これにより、襟元が寛げられた形状に保持される。
【0076】
また、2つのアーム部3が、襟105を夫々外方向に押圧することにより襟元保持具1の重量を支持する。これにより、襟元保持具1が被服から脱落するのを防止することが可能となる。
【0077】
アーム部3の先端部は、襟105に当接するとともにユーザーの頸部から離れる方向に襟105を押圧する。
図9(b)は、本実施形態における襟元保持具1の襟付き被服への装着態様の一例を示す上面図である。アーム部3は、襟105と台襟110との間に進入し、ユーザーの頸部から離れる方向に延びる構成である。
【0078】
アーム部3は、襟105と台襟110との間を進むにしたがい外方向に向かって延びる。アーム部3は、先端部が襟105に当接するとともに襟105を外方向に押圧する。外方向に押圧されると、襟105は、前立てにおける第1ボタンが配置される領域の布を外方向に引っ張る。これにより、襟先が開放された状態で保持される。
【0079】
アーム部3は、先端部が巻回し、或いは湾曲するなどの形状を備えてもよい。アーム部3が襟105と台襟110との間を進入する際に、先鋭な先端部ではなく、巻回され或いは湾曲した形状の端部がこれらの間を進入するため、襟105や台襟110など被服表面の布地と接する場合に、布地を傷つけるのを抑制可能となる。
【0080】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図10は、第4実施形態における襟元保持具1の構成の一例を示す図である。第4実施形態において、襟元保持具1は、装着される際に左右の襟105の剣先下方に配置される基部2と、基部2から分岐するアーム部3とを備え、アーム部3は、先端にピンチ部30をさらに備える構成である。
【0081】
アーム部3は、基部2から所定角度で分岐して延びる構成である。ピンチ部30は、アーム部3の先端に形成されるクリップ状の部材である。
【0082】
図例では、ピンチ部30は襟105を挟持する場合を示す。これにより、左右の襟105は、アーム部3同士の角度に応じて互いに開いた状態で保持される。ピンチ部30により襟105を挟持することにより、襟元保持具1が被服から脱落するのを良好に防止可能となる。
【0083】
これとは異なり、ピンチ部30は、前立てにおける第1ボタン近傍の布地の端部と、第1ボタン穴近傍の布地の端部を夫々挟持してもよい。これにより、前立て上方がアーム部3同士の角度に応じて開放されるため、ピンチ部30が襟105を挟持する場合に比べて、より胸元が開いた状態を保持することが可能となる。
【0084】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図11は、本発明の第5実施形態における襟元保持具1の構成の一例を示す図である。本実施形態において、アーム部3は、ユーザーの頸部後方に到達するように構成される。
【0085】
アーム部3は、基部2から所定角度で分岐し、襟105と台襟110との間に進入し、ユーザーの頸部後方に到達する。アーム部3は、台襟110をユーザーの頸部側に押圧する。これにより、アーム部3は、ユーザーの頸部に吊架されるように襟元保持具1を支持する。すなわち、ユーザーの頸部後方から台襟110を押圧するため、ユーザーの頸部横方向から押圧する場合に比べて、より良好に襟元保持具1の脱落を抑止可能となる。
【0086】
アーム部3は、襟105と台襟110との間をユーザーの頸部後方まで進入するため、アーム部3が短い場合に比べて、台襟110と長く当接することになる。そのため、襟105の形状を良好に保持可能である。
【0087】
図12は、
図11に示す構成とは異なる襟元保持具1の構成の一例を示す図である。本実施形態において、装着される際に基部2は前立て下方に配置される。基部2は、U字状に湾曲して形成され、湾曲した形状における内周側に凹凸からなるガイド部36をさらに備える。
【0088】
ガイド部36は基部2の下端から略平行に上方に延びる。アーム部3は、ガイド部36から連続して台襟110に沿って進入する。
【0089】
本実施形態において、ブリッジ部4は、ガイド部36に係合するとともに、ガイド部36を摺動する。ブリッジ部4は、ガイド部36を摺動することにより、ユーザーの前立てにおいて上下に移動可能となる。
【0090】
図13は、本実施形態におけるブリッジ部4の構成の一例を示す図である。
図13(a)に示すように、ブリッジ部4は、蓋部4aと、中部4bと、底部4cとを積層させてなる構成である。蓋部4aと底部4cとにより中部4bを上下から挟んで、底部4cから螺子等により蓋部4aと中部4bと底部4cとを固定する。
【0091】
中部4bは、背面側に係止爪40を備える。係止爪40は、弾性を有する金属や樹脂等により構成される。係止爪40は、中部4b略中央付近に複数配設される。係止爪40は、ブリッジ部4の外側からの押圧力により変形可能である。
【0092】
図13(b)に示すように、本実施形態において、係止爪40は中部4bに2つ配設される。係止爪40は、それぞれ先端部が中部4bより外に突出する。2つの係止爪40の突出する先端部の間の長さW1は、中部4bの幅より長く構成される。
【0093】
係止爪40は、中部4bの外側からの押圧力を受けると、先端部が中部4bの中心方向に押されて移動する。2つの係止爪40の先端部に対して夫々外側から押圧されると、2つの係止爪40の先端部は夫々中部4bの中心方向に移動する。この場合、2つの係止爪40の先端部の間の長さW1は、従前より短くなる。
【0094】
2つの係止爪40の先端部に対する押圧力が減少すると、係止爪40は夫々従前の形状に復帰する。すなわち、係止爪40の先端部は、中部4bの外に突出する位置に復帰する。この場合、2つの係止爪40の先端部の間の長さW1は、短い状態から長い状態に復帰する。
【0095】
図13(c)は、本実施形態におけるガイド部36の構成の一例を示す図である。ガイド部36は、内周側が凹凸状に構成される。ガイド部36は、凸状部同士が対向するとともに、凹状部同士が対向する。
【0096】
ガイド部36において、対向し合う凸状部の先端同士の長さW2は、係止爪40の先端部の間の長さW1に比べて短く構成される。ブリッジ部4がガイド部36を摺動して、係止爪40がガイド部36における凸状部同士が対向し合う位置に至ると、対向し合う凸状部から押圧される。凸状部により押圧されると、係止爪40の先端部は夫々中部4bの中心方向に移動する。
【0097】
ガイド部36において、対向し合う凹状部同士の最大長さW3は、係止爪40の先端部の間の長さW1と同一又はこれより長く構成される。ブリッジ部4がガイド部36を摺動して、係止爪40がガイド部36における凸状部同士が対向し合う位置から凹状部同士が対向し合う位置に移動すると、係止爪40に対する押圧力が減少する。そうすると、係止爪40は、凸状部により押圧されて変形していた形状から変形前の形状に復帰する。
【0098】
係止爪40がガイド部36における凹状部同士が対向し合う位置にある場合、係止爪40は、ユーザーにより凸状部方向に移動させる力が加えられない限り、凸状部の方向に移動しない。すなわち、係止爪40は凹状部同士が対向し合う位置に安定的に保持される。
【0099】
これとは異なり、係止爪40は中部4bに複数配設されるのではなく、一の係止爪40が配設されてもよい。
図14は、
図13に示す係止爪40とは異なる構成の係止爪40の一例を示す図である。
図14(a)に示す係止爪40は、両端が中部4bの中心を挟んで対向する位置にあるとともに、中部4bから突出してもよい。係止爪40は、中央付近において伸縮可能に構成される。係止爪40は、中部4bの外側からの押圧力に応じて、係止爪40の先端部は中部4bの中心方向に移動してもよい。これにより、係止爪40の両端部の間の長さW1は、押圧される前に比べて短くなる。
【0100】
図14(b)において、略矩形に構成される係止爪40の一例を示す。係止爪40は、対向する2つの端部が中部4bから突出する。係止爪40の2つの端部は、中部4bの外側からの押圧力に応じて中央方向に近接するように変形することが可能である。これにより、係止爪40の2つの端部の間の長さW1は、押圧前に比べて短くなる。
【0101】
図14(c)は、
図13に示すブリッジ部4とは異なる構成のブリッジ部4の一例を示す図である。ブリッジ部4は、中部4bと底部4cとにより構成される。中部4bは、アーム部3を摺動可能に保持するアーム保持部41を備える。
【0102】
アーム保持部41は、弾性を備える樹脂やゴムにより構成されるとともに、アーム部3を摺動可能に保持する。ユーザーは、アーム部3においてブリッジ部4を摺動させ、所望の位置で停止させると、中部4bと底部4cとによりアーム保持部41を挟むようにブリッジ部4を固定させる。
【0103】
ブリッジ部4は、中部4bと底部4cとによりアーム保持部41を挟むように固定させることができる。そうすると、アーム保持部41が中部4bと底部4cとにより押圧されて変形し、アーム保持部41がアーム部3を押圧する。中部4bと底部4cとがアーム保持部41を挟んだ状態において、アーム保持部41はアーム部3を摺動するのが困難となる。すなわち、ユーザーは、中部4bと底部4cとによりアーム保持部41を挟むように固定することにより、ブリッジ部4を所望の位置で固定させることが可能となるのである。
【0104】
図15(a)は、ブリッジ部4に係合可能なネクタイ取付具42の構成の一例を示す図である。ブリッジ部4は、蓋部4aの表面側に係合可能な部材を備える。ネクタイ取付具42は、蓋部4a表面側に係合可能な爪部44を備える。
【0105】
ネクタイ取付具42は、ブリッジ部4に係合することにより、ブリッジ部4がガイド部36を摺動するのに応じて配置位置を変更させることが可能となる。ネクタイ取付具42は、ネクタイを収容可能な形状を備える。これにより、ネクタイの位置を前立ての前方に保持可能となる。
【0106】
図15(b)は、
図15(a)に示した構成とは異なる構成のネクタイ取付具42の一例を示す図である。図例において、ネクタイ取付具42は上方の左右端部に配設される支持部と、中央部において下方に延びる本体部を備える。
【0107】
図15(b)の例において、ユーザーは左右端部の支持部にネクタイを巻回させ、本体部前方においてネクタイを結ぶことにより、恰もネクタイを装着したような外観を創出することが可能となる。
【0108】
図16は、本実施形態における襟元保持具1の構成の一例を示す図である。
図16(a)に示す襟元保持具1において、アーム部3は、先端部に滑り止め48をさらに備える。滑り止め48は、ゴムや摩擦材により構成されてもよいし、粘着材により構成されてもよい。アーム部3が滑り止め48を備えることにより、襟元保持具1が被服から脱落するのを良好に抑制可能となる。
【0109】
基部2は凹凸形状を有するガイド部36を備え、ガイド部36とアーム部3は接合される。ガイド部36とアーム部3との接合箇所に、回動部50をさらに備えてもよい。回動部50は、アーム部3をガイド部36に軸支し、或いはボールフランジにより接合する。
【0110】
回動部50を中心に、アーム部3は回動可能であり、アーム部3を回動させて先端を基部2近傍まで移動させてもよい。これにより、アーム部3を基部2に重なるようにすることにより、本実施形態における襟元保持具1をコンパクトにすることが可能となる。
【0111】
図16(b)は、アーム部3とガイド部36との接合箇所の一例を示す拡大図である。図例では、アーム部3とガイド部36とは、ネジ52により軸支される。
【0112】
アーム部3は、ガイド部36の外周に接して軸支されてもよい。アーム部3がネジ52を中心に回動する場合、アーム部3はガイド部36の外側を回動する。これにより、アーム部3がガイド部36の内周側に形成される凹凸部に当接することなく、襟元保持具1をコンパクトに畳むことが可能である。
【0113】
アーム部3とガイド部36とは回動可能に接合し、アーム部3は、ガイド部36との接合箇所を中心に回動可能であり、ガイド部36との角度が所定値以下になることを抑制する抑制手段を備えてもよい。
【0114】
アーム部3とガイド部36との接合箇所には、回動を規制するストッパーを設けてもよい。アーム部3をガイド部36に対して回動させることにより、本実施形態における襟元保持具1を展開させた状態でアーム部3の回動を規制するストッパーを備えてもよい。これにより、襟元保持具1を使用する際に、アーム部3の回動が抑制されて使用に適した形態で襟元保持具1を保持することが可能となる。
【0115】
本実施形態において、アーム部3とガイド部36とが回動可能に接合する場合を示したが、アーム部3と基部2とが回動可能に接合してもよい。
【0116】
本実施形態において、アーム部3とガイド部36との接合箇所を樹脂等の軟性のある素材により構成してもよい。或いは、アーム部3を軟性のある素材により構成してもよい。これにより、アーム部3を屈曲させることにより襟元保持具1をコンパクトにすることで、携行を容易にする。
【0117】
(変形例)
上記第1実施形態乃至第5実施形態において、本発明が適用される構成の一例を示した。しかしながら、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。
上記実施形態において、基部から上方に向かってアーム部が分岐する場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。アーム部は、分岐することなく一方の襟105と台襟110との間に進入し、アーム部の先端が台襟110の後頭部側に到達してもよい。
【0118】
あるいは、アーム部が分岐することなく一方の襟105と台襟110との間に進入し、ユーザーの頸部に巻回されてもよい。
【0119】
上記実施形態において、ブリッジ部4がアーム部3に係合する場合を説明したが、本発明はこれに限られず、ブリッジ部4が基部2に係合してもよい。