(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
図1から
図4を参照して、圃場情報表示システム1の構成について説明する。まず、図
1を用いて、システムの概略構成について説明する。圃場情報表示システム1は、圃場セ
ンサ10、データセンター20及び携帯端末30を含む。
【0011】
圃場センサ10は、設置位置の位置情報を取得するGNSSレシーバと、設置された圃
場の水位、水温、水質、気温、湿度、日照時間などの圃場情報を取得する各種計測器と、
位置情報及び各種計測器によって計測したデータを送信する送信機とを備える。「設置位
置の位置情報」とは、圃場センサ10が設置される緯度・経度・高度の値であり、GNS
S衛星からの信号をGNSSレシーバにて受信することで取得される。圃場センサ10に
は、これらの機器を作動させるための電源装置が付設されている。電源装置としては、電
池、二次電池、太陽電池等が好ましい。
【0012】
圃場センサ10は、データセンター20と無線データ通信を行う。圃場センサ10は、
ネットワークを介した無線データ通信を利用して位置情報及び計測データをデータセンタ
ー20に送信する。データセンター20は、無線データ通信によりデータを送受信する通
信装置、受信したデータを記憶する記憶装置等を備えている。データセンター20側では
、圃場センサ10の個体情報(送信元の圃場センサ10を特定する情報)を位置情報及び
計測データに紐付けて記憶する。そして、データセンター20は、各圃場センサ10から
受信したデータを一括管理する管理サーバとして機能する。
【0013】
携帯端末30は、端末の位置情報を取得するGNSSレシーバと、端末の姿勢及び方位
を検出するセンサと、撮像装置と、表示装置と、無線データ通信によってデータを送受信
する通信装置を備える。「端末の位置情報」とは、携帯端末30の現在位置における緯度
・経度・高度の値であり、GNSS衛星からの信号をGNSSレシーバにて受信すること
で取得される。また、「端末の姿勢」とは、端末の三次元方向の傾斜を示し、「端末の方
位」とは、撮像装置による撮影方向を示すものであり、ジャイロセンサ、地磁気センサ、
加速度センサ等によって検出される。携帯端末30は、ネットワークを介した無線データ
通信によって端末の位置情報や姿勢方位に関する情報をデータセンター20に送信する。
【0014】
以上のように、圃場センサ10と携帯端末30からデータセンター20に各種データが
送信される。データセンター20では、圃場センサ10の位置情報と、携帯端末30の位
置情報及び姿勢方位情報とに基づいて、携帯端末30の撮像装置の撮影範囲内に存在する
圃場センサ10が特定される。そして、データセンター20は、特定した圃場センサ10
に関する位置情報及び圃場センサ10によって検出された計測データを携帯端末30に送
信する。携帯端末30は、端末の位置情報とデータセンター20から受信した圃場センサ
10の位置情報とに応じて、圃場情報(計測データ)を表示装置に表示する。
【0015】
図2は、圃場センサ10の一例を示している。圃場センサ10は、脚部を圃場に埋め込
むことで圃場に設置される。圃場センサ10は、圃場情報を取得するための各種計測機器
を備えている。圃場センサ10は、圃場の水位を計測する水位計測器11、圃場の水温を
計測する水温計測器12、圃場の気温を計測する温度計13、圃場の湿度を計測する湿度
計14、位置情報を取得するためのGNSSレシーバ15、無線データ通信を行うための
通信装置16を備える。本実施形態では、圃場の水位、水温、気温、湿度を計測する構成
としているが、育成する作物や対象となる圃場の状態、時期等に応じて、適宜計測機器を
変更して計測する内容を選択することも可能である。例えば、育成する作物に応じて、日
照計を設けて日照時間を計測したり、水質計を設けて水質を計測したりすることも可能で
ある。
【0016】
図3は、データセンター20において記憶されるデータ群の一例を示している。データ
センター20の記憶装置21には、圃場センサ10の個体情報、設置位置の緯度・経度・
高度の値である位置情報、計測機器によって取得された計測データ(取得時間、計測値)
が各圃場センサ10に対応する形で記憶されている。つまり、記憶装置21は、各圃場セ
ンサ10によって取得される計測データを取得した時間と計測値として記憶することで、
計測データを時系列に沿って記憶している。このように時系列に沿って計測データを蓄積
することで、作物の生育状況を推測するデータとして利用することが可能である。
【0017】
図4は、携帯端末30の一例を示している。携帯端末30は、端末の位置情報を取得す
るGNSSレシーバ31、端末の姿勢方位を検出するジャイロセンサ32、撮像装置とし
ての外部カメラ33、表示装置としてのディスプレイ34、無線データ通信を行うための
通信装置35を備え、さらに、オペレーションシステムやアプリケーションソフトウェア
が搭載されている。本実施形態では、携帯端末30に搭載されるアプリケーションソフト
ウェアによって、外部カメラ33によって撮影された映像をディスプレイ34に表示する
とともに、その映像内に所望の情報を重ねて表示する。
【0018】
次に、
図5から
図7を用いて、携帯端末30に圃場情報を表示する一例について説明す
る。
図5は、圃場情報表示システム1のチャート図である。
図6は、対象となる圃場の一
例を示す図である。
図7は、圃場情報表示の一例を示す図である。
【0019】
第1圃場から第6圃場に設置されたそれぞれの圃場センサ10からデータセンター20
に圃場センサ10の個体情報及び位置情報が送信され、データセンター20によって受信
される。そして、所定時間経過ごとに各圃場センサ10によって計測された圃場情報がデ
ータセンター20に送信される。データセンター20は、各圃場センサ10の個体情報と
圃場情報を紐付けて記憶する。なお、圃場センサ10からデータセンター20に計測デー
タを送るインターバルは適宜設定することが可能である。
【0020】
そして、携帯端末30から端末の位置情報及び姿勢方位情報がデータセンター20に送
信される。データセンター20は、携帯端末30の位置情報と姿勢方位情報から、外部カ
メラ33による撮影範囲を特定する。この撮影範囲は、例えば記憶装置21に予め記憶し
ている地図データ上で、GNSSレシーバ31によって取得される位置情報を用いて携帯
端末30の位置を特定し、ジャイロセンサ32の検出結果から外部カメラ33の撮影方向
と携帯端末30の三次元の傾斜を特定することで算出される。次に、データセンター20
は、特定した撮影範囲に含まれる圃場センサ10を特定する。このようにして特定された
圃場センサ10の個体情報(設置される圃場名)、位置情報及び圃場情報が携帯端末30
に送信される。
【0021】
携帯端末30は、ディスプレイ34上に表示される映像内に、受信した圃場センサ10
の個体情報と圃場情報を対応する圃場センサ10に重ねて表示する。ここで、「重ねて表
示する」とは、ディスプレイ34上に表示される圃場センサ10の外観の側方に対応する
情報を表示することを意味し、ディスプレイ34に圃場情報をオーバーレイで表示するこ
とを意味する。
【0022】
以上のように、圃場情報表示システム1によれば、携帯端末30の位置及び姿勢方位(
つまり、ユーザーの現在位置と携帯端末30を向けている方向)と各圃場センサ10との
位置関係に応じて、ディスプレイ34上の表示が変わることで、現在位置と圃場の位置関
係を容易に把握することができ、知りたい圃場情報を簡単に確認することができる。また
、現地での見回り作業において、ユーザーの体感と正確な計測データを対比することがで
き、見回り精度を向上することができる。
【0023】
また、
図8に示すように、データセンター20には、圃場センサ10によって取得され
た計測データを取得時間とともに時系列に沿って記憶していることから、携帯端末30の
アプリケーションソフトウェア側で操作することで、圃場センサ10の過去データを要求
し、データセンター20から受け取り、現在の計測データと過去の計測データ又は計測デ
ータの過去からの推移状況とを同時に表示することも可能である。このように、作物の育
成状況に関わる過去からの計測データを実際の目視による育成状況と対比させることで、
圃場の見回り結果の納得性をアップすることができる。
【0024】
携帯端末30におけるディスプレイ34の表示形態としては、
図7に示す他、
図9や図
10に示される表示方法を採用することができる。
【0025】
図9に示す表示方法では、ディスプレイ34上に表示する圃場センサ10の個体情報と
圃場情報は、携帯端末30からの距離が近いものを大きく、遠いものを小さく表示するこ
とで、距離に応じて表示の優先度を変更している。言い換えれば、外部カメラ33の撮影
範囲内に複数の圃場センサ10が含まれる場合に、携帯端末30からの距離が近い圃場セ
ンサ10の圃場情報を優先して表示する。携帯端末30からの距離は、携帯端末30の位
置情報と各圃場センサ10の位置情報に基づいて決定される。このように、携帯端末30
から近い位置に設置される圃場センサ10を優先的に表示することで、圃場センサ10と
圃場情報の対応関係がより分かりやすくなり、現場での見回り作業を効率的に行うことが
可能である。
【0026】
図9及び
図10に示す表示方法では、ディスプレイ34上に表示する映像の一部に、携
帯端末30の位置(ユーザーの現在位置)と各圃場の位置関係を示す地図データを表示し
ている。また、地図データ上に外部カメラ33の撮影範囲を重ねて表示することで、現在
位置と圃場との位置関係をより分かりやすくすることもできる。この地図データは、デー
タセンター20に記憶しているものを利用しても良いし、携帯端末30のアプリケーショ
ンソフトウェアを利用しても良い。このように、携帯端末30のディスプレイ34に現在
位置と圃場との位置関係を表示することで、携帯端末30の操作性を向上することができ
、見回り効率を向上することができる。
【0027】
[第二実施形態]
図11から
図13を参照して、圃場情報表示システム2の構成について説明する。圃場
情報表示システム2は、圃場センサ10及び携帯端末30を含む。圃場情報表示システム
2と圃場情報表示システム1との違いは、管理サーバとしてのデータセンター20を含ま
ないことである。つまり、圃場情報表示システム2は、携帯端末30と各圃場センサ10
が独立して無線データ通信を行うものである。
【0028】
第1圃場から第6圃場に設置されたそれぞれの圃場センサ10から携帯端末30に圃場
センサ10の個体情報及び位置情報が送信され、携帯端末30によって受信される。次に
、携帯端末30は自身の位置情報及び姿勢方位情報を確認し、携帯端末30の位置情報と
姿勢方位情報から、外部カメラ33による撮影範囲を特定する。そして、特定された撮影
範囲に含まれる圃場センサ10を特定する。
【0029】
携帯端末30は、特定した圃場センサ10にデータ送信依頼を送る。データ送信依頼を
受けた圃場センサ10は、携帯端末30に圃場情報(計測データ)及び個体情報を送信す
る。携帯端末30は、ディスプレイ34上に表示される映像内に、受信した圃場センサ1
0の個体情報と圃場情報を対応する圃場センサ10に重ねて表示する。
【0030】
この際、ディスプレイ34上に表示する映像の一部に、携帯端末30の位置(ユーザー
の現在位置)と各圃場の位置関係を示す地図データを表示することも可能である。また、
地図データ上に外部カメラ33の撮影範囲を重ねて表示することで、現在位置と圃場との
位置関係をより分かりやすくすることもできる。このように、携帯端末30のディスプレ
イ34に現在位置と圃場との位置関係を表示することで、携帯端末30の操作性を向上す
ることができ、見回り効率を向上することができる。
【0031】
以上のように、圃場情報表示システム2によれば、携帯端末30の位置及び姿勢方位(
つまり、ユーザーの現在位置と携帯端末30を向けている方向)と各圃場センサ10との
位置関係に応じて、ディスプレイ34上の表示が変わることで、現在位置と圃場の位置関
係を容易に把握することができ、知りたい圃場情報を簡単に確認することができる。また
、現地での見回り作業において、ユーザーの体感と正確な計測データを対比することがで
き、見回り精度を向上することができる。
【0032】
また、圃場情報表示システム1のようにデータセンター20とデータ通信を行わない構
成とすることで、ネットワークを利用せずに圃場センサ10と携帯端末30との間の近距
離通信を用いた無線データ通信を採用することができる。
【0033】
さらに、圃場情報表示システム2においても、圃場センサ10側、若しくは、携帯端末
30側で計測データを蓄積することで、圃場情報表示システム1と同様に、現在の計測デ
ータと過去の計測データ又は計測データの過去からの推移状況とを同時に表示することも
可能である。これにより、作物の育成状況に関わる過去からの計測データを実際の目視に
よる育成状況と対比させることで、圃場の見回り結果の納得性をアップすることができる
。
【0034】
[第三実施形態]
図14及び
図15を参照して、圃場情報表示システム3の構成について説明する。圃場
情報表示システム2は、圃場センサ10及び携帯端末30を含む。圃場情報表示システム
3と圃場情報表示システム1との違いは、管理サーバとしてのデータセンター20を含ま
ないことである。また、圃場情報表示システム3と圃場情報表示システム2との違いは、
携帯端末30のアプリケーションソフトウェアによる表示形態である。
【0035】
圃場情報表示システム3では、携帯端末30の位置情報及び方位情報と圃場センサ10
の位置情報によって導かれる位置関係に基づいて、所定範囲内に位置する圃場センサ10
をディスプレイ34上に表示している。つまり、携帯端末30によって圃場センサ10の
位置情報を取得して、端末の位置情報及び方位情報と圃場センサ10の位置情報とによる
位置関係に基づいて、所定範囲内に位置する圃場センサ10を特定し、その圃場センサ1
0の圃場情報を圃場センサ10との位置関係とともに表示するものである。そして、同様
に、ディスプレイ34上に表示される映像内に、受信した圃場センサ10の圃場情報を対
応する圃場センサ10に重ねて表示する。
【0036】
以上のように、圃場情報表示システム3によれば、携帯端末30の向き及び位置と各圃
場センサ10との位置関係に応じて、ディスプレイ34上の表示が変わることで、現在位
置と圃場の位置関係を直感的に把握することができ、知りたい圃場情報を簡単に確認する
ことができる。また、現地での見回り作業において、ユーザーの体感と正確な計測データ
を対比することができ、見回り精度を向上することができる。
【0037】
[第四実施形態]
図16に示すように、圃場情報表示システム4では、圃場センサ10のうちの一つを圃
場情報表示システム1のデータセンター20のような管理サーバとして構成している。こ
のように、圃場センサ10の一つをサーバとして計測データを蓄積させることも可能であ
る。