(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報処理部は、前記外部負荷装置の動作回数と動作時間との少なくとも一方が所定のしきい値に達したことを契機として前記外部負荷装置の動作に関する情報を表す信号を前記外部情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線機能を備えた電池形電源装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1の電池形電源装置1の使用状態を示す平面図である。本実施形態に係る無線機能を備えた電池形電源装置(以下、単に電池形電源装置と称す)1は、電池規格に準じた形状及び外寸で構成される。典型的には本実施形態に係る電池形電源装置1は、単3形規格準じた高さ及び直径の円柱体で構成される。しかし他の電池規格に準じた形状及び寸法で電池形電源装置1が構成されていてもよい。ここでは本実施形態に係る電池形電源装置1は単3形規格に準じているものとして説明する。
【0010】
電池形電源装置1の本体部17は単3形電池規格と同一の形状及び寸法で構成された円筒状体のハウジング18に外装されている。本体部17の上端面(前端面ともいう)の中央には、外側正極端子3として円形状の導電板が取り付けられる。本体部の下端面(後端面ともいう)の中央には、外側負極端子4として円形状の導電板が取り付けられる。ハウジング18の周面の一部分は長円形状に切り欠かれている。切り欠き部19の長さは単4乾電池と同等であり、幅は単4乾電池の幅より若干広い。ユーザは、この切り欠き部19から単4形電池を電池収納部2に対して挿抜することができる。電池収納部2の形状は単4形規格に準じた長さ及び直径の円柱形状のスペースである。電池収納部2の中心軸は電池形電源装置1の円柱中心軸に対して半径方向にオフセットされる。このオフセットにより、ハウジング18と電池収納部2との間に僅かなスペースを提供する。この僅かなスペースに電池形電源装置1の各種機能を実現する基板7が搭載される。
【0011】
電池収納部2の前端中央、つまり外側正極端子3と同じ側には内側正極端子5として導電板が取り付けられる。電池収納部2の後端中央、外側負極端子4と同じ側には内側負極端子6としてバネ性を有した導電板が取り付けられる。電池収納部2に収納された単4乾電池の正極端子は内側正極端子5に接触し、単4乾電池の負極端子は内側負極端子6に接触する。内側正極端子5は配線ケーブル8を介して外側正極端子3と基板7とに接続される。内側正極端子5は外側正極端子3と共通導電板で構成されてもよい。内側負極端子6は配線ケーブル9により基板7に接続される。外側負極端子4は配線ケーブル10により基板7に接続される。
【0012】
図3は
図1の電池形電源装置1の使用状態を示す図である。
図3に示すように、電池形電源装置1は、単3乾電池で駆動する外部負荷装置11の電池ボックス12に単独で又は他の電池13と直列又は並列状態で装着される。外部負荷装置11としては電動玩具、電動工作玩具、防災センサ、防犯センサ、懐中電灯、自転車ライト、電池式調理器、電気ウキ、電動ペット給餌装置、電池式ファン、電池式ハンドソープディスペンサー等である。ここでは外部負荷装置11としてモータ15で駆動する電動玩具として説明する。電動玩具11は電池ボックス12を有する。電池ボックス12には電池形電源装置1と他の1本の単3乾電池13とが直列状態で装着される。電池ボックス12には外部スイッチ14を介してモータ15が電気的に接続される。モータ15には、伝達機構を介して車輪16が接続される。外部スイッチ14がオンされると、モータ15と電池ボックス12との電気的な接続が確保される。外部スイッチ14がオフされると、モータ15と電池ボックス12とは電気的に切断される。
【0013】
外部情報処理装置50はスマートフォンや、携帯電話機や、タブレット端末、ラジオコントロール通信機等の通信機能及び操作パネル機能等を備えた典型的には携帯型のディジタル電子機器である。この本実施形態に係る電池形電源装置1は、無線通信機能を備え、外部情報処理装置50と無線接続される。外部情報処理装置50から電池形電源装置1には電源出力を0%〜100%の範囲内のいずれかの値にする指示(出力指示)が無線で送信される。後述するように電池形電源装置1の電池収納部2の内側負極端子6と外側負極端子4との間の配線9に出力トランジスタが介在される。電池形電源装置1はPWM(パルス幅信号変調)方式により外部情報処理装置50からの出力指示に従って出力トランジスタのゲート制御信号(出力制御信号)のデューティー比を変更して電源出力を調整する。
【0014】
図4は
図1の電池形電源装置の等価回路図である。本実施形態に係る電池形電源装置の回路は、コンパレータ30、検出抵抗31、出力トランジスタ32、出力遮断用トランジスタ34、RFIC35及びDCDCコンバータ36を有する。これら電子部品は基板7に実装される。出力トランジスタ32は、典型的にはNチャンネルMOSFETであり、回路上、内側負極端子6と外側負極端子4との間に介在される。なお、出力トランジスタ32は、PチャンネルMOSFETであってもよく、その場合、回路上、内側正極端子5と外側正極端子3との間に介在される。出力トランジスタ32がPチャンネルMOSFETのとき以下の説明においてハイレベル/ローレベルはローレベル/ハイレベルにそれぞれ読み替えられる。さらに、また出力トランジスタ32は、バイポーラトランジスタであってもよく、その場合以下のゲート制御信号はベース制御信号と読み替えられる。ここでは出力トランジスタ32はNチャンネルMOSFETとして説明する。
【0015】
出力トランジスタ32に対して直列に検出抵抗31が配置される。つまり内側負極端子6は配線ケーブル9を介して検出抵抗31の一端に接続される。検出抵抗31の他端は出力トランジスタ32のソース端子に接続される。出力トランジスタ32のドレイン端子は、配線ケーブル10を介して外側負極端子4に接続される。内側正極端子5は配線ケーブル8を介して外側正極端子3に直接接続される。また、内側正極端子5は配線ケーブル8を介してDCDCコンバータ36の入力端子に接続される。DCDCコンバータ36は、電池収納部2に装着された単4乾電池の電圧Vccを内部回路動作用の例えば3.0Vの電源電圧Vddに昇圧する。後述のRFIC35とコンパレータ30とは電源電圧Vddで駆動される。ただしRFIC35およびコンパレータ30が1.5V以下で動作するならDCDCコンバータ36は必要ない。RFIC35は、DCDCコンバータ36により発生された電源電圧Vddにより駆動する。RFIC35のANT端子には無線通信用アンテナ24が接続され、I/O端子には警告音発生部(スピーカ)22と発光ダイオード(LED)23とが接続される。また、RFIC35のOutput端子に出力トランジスタ32のゲート端子が接続され、Input端子にはコンパレータ30の出力端子が接続される。
【0016】
RFIC35は、機能上、通信部、駆動信号発生部、制御部等を備える。通信部は、制御部の制御に従って、無線通信用アンテナ24を介して外部情報処理装置50と無線通信を行う。無線通信方式としては、赤外線方式、Bluetooth(登録商標)等の無線方式のいずれでも良い。具体的には、通信部は、外部情報処理装置50から無線通信用アンテナ24を介してモータ出力指示値を表すコード無線信号を受信する。モータ出力指示値は、例えば0%から100%までの割合のうち、ユーザが外部情報処理装置50を操作して選択した値である。
【0017】
駆動信号発生部は、制御部の制御に従って、受信したモータ出力指示値に応じたモータ駆動信号を発生する。ここでは、モータ駆動信号は、PWM(パルス幅信号変調)信号で提供される。モータ出力指示値が0%の場合において、駆動信号発生部はデューティー比0%(ローレベルのみ)のPWM信号を発生する。モータ出力指示値が100%の場合において、駆動信号発生部はデューティー比100%(ハイレベルのみ)のPWM信号を発生する。モータ出力指示値が50%の場合において、駆動信号発生部はデューティー比50%(ローレベルとハイレベルの比が半分)の信号を発生する。駆動信号発生部により発生されたPWM信号は出力トランジスタ32にゲート信号として入力される。なお、駆動信号発生部により発生されるPWM信号のハイレベルとは、出力トランジスタ32のしきい値電圧Vthよりも十分高い電圧値であり、出力トランジスタ32はオン状態になる。ローレベルとは、出力トランジスタ32のしきい値電圧Vthよりも十分低い電圧値であり、出力トランジスタ32はオフ状態になる。
【0018】
制御部は、後述のコンパレータ30の出力電圧が、ローレベルからハイレベルへの変化を契機として、つまり過電流の検知を契機に、LED23を点灯又は点滅させ、また警告音発生部22から警告音を発生させる。電池形電源装置のLED23が点灯し、警告音が発生することで、電池形電源装置1の近くに居るユーザは、電池形電源装置1の出力トランジスタ32に過電流が流れたことを認識することができる。また、通信部は、制御部の制御に従って、過電流を通知するための通知信号を外部情報処理装置50に送信する。外部情報処理装置50は、通知信号を受信して、内蔵する表示部に過電流が発生したことを通知するためのテキスト情報等を表示する。これにより、電池形電源装置1が直接見えない位置に配置されていても、ユーザは、外部情報処理装置50に表示されるテキスト情報を確認することで、電池形電源装置1の回路に過電流が発生したことを認識することができる。
【0019】
出力トランジスタ32は、電池形電源装置の内側負極端子6と外側負極端子4との間のスイッチング素子として機能する。出力トランジスタ32は、そのソース端子が検出抵抗R1の他端に接続され、ドレイン端子が外側負極端子4に接続され、そのゲート端子がRFIC35のOutput端子に接続される。出力トランジスタ32は、ゲートに入力されるゲート制御信号により印加される電圧(ゲート電圧)により、そのオン/オフが制御される。
【0020】
ゲート電圧がしきい値電圧Vthよりも十分高い飽和領域にあるとき、ソース・ドレイン間にチャネルが形成され、最大ドレイン電流が流れる。この状態は出力トランジスタ32がオン状態である。出力トランジスタ32がオンされると、電池形電源装置1の外側正極端子3と外側負極端子4との間が導通する。電動玩具11の外部スイッチ14がオン状態であれば、電池形電源装置の外側正極端子3と外側負極端子4との間が導通することで、電動玩具11の回路も導通し、モータ15が駆動する。一方、ゲート電圧がしきい値電圧Vthよりも十分低い場合、ソース・ドレイン間にドレイン電流が流れない。この状態は出力トランジスタ32がオフ状態である。出力トランジスタ32がオフされると、電池形電源装置の外側正極端子3と外側負極端子4との間が遮断される。これにより、電動玩具11の外部スイッチ14がオン状態であっても、電動玩具11の回路は遮断され、モータ15は駆動しない。
【0021】
RFIC35から出力されるPWM信号(ゲート制御信号)がローレベルのとき、出力トランジスタ32はオフ状態となり、電動玩具11の回路は遮断状態となり、モータ15は駆動しない。RFIC35から出力されるPWM信号がハイレベルのとき、出力トランジスタ32はオン状態となり、電動玩具11の回路は導通状態となり、モータ15は連続的に駆動する。PWM信号のデューティー比は0%から100%の範囲で変化される。PWM信号がハイレベルのとき、トランジスタ32はオン状態となり、モータ15に電流が流れ、回転を開始する。PWM信号がハイレベルからローレベルに切り替わったとき、モータ15の持つコイル特性により徐々に回転が落ちていくこととなるが、ハイレベルに切り替わると再度回転が速くなる。この特性を使って、PWM制御によりモータ15を任意の回転数で回転させることができる。なお、外側正極端子3と外側負極端子4との間をキャパシタで短絡することより矩形波を平滑化するようにしてもよい。
【0022】
コンパレータ30は検出抵抗31とともに過電流判定部(電流検出部)33を構成する。検出抵抗31は出力トランジスタ32のソース端子と内側負極端子6との間に介在され、端子3,4間に流れる電流を電圧(検出電圧)Vsenseに変換する。コンパレータ30はDCDCコンバータ36により供給される電源電圧Vddにより駆動する。コンパレータ30の非反転端子には検出抵抗31で検出された検出電圧Vsenseに接続される。コンパレータ30の反転端子には参照電圧Vref.に接続される。参照電圧Vref.は電源電圧Vddを抵抗37と抵抗38とにより分圧することで得られる固定値である。典型的には参照電圧Vref.が定常電流時の検出電圧値に等価となるよう抵抗37,38、さらに検出抵抗31の抵抗値の組み合わせが予め調整されている。コンパレータ30は検出電圧Vsenseを参照電圧Vref.に比較する。比較結果が正のとき過電流の発生が検知される。比較結果がゼロ以下のとき過電流は発生していないことが検知される。過電流の発生が検知されたとき、コンパレータ30の出力電圧はハイレベルとなる。勿論、出力遮断用トランジスタ34がPチャンネルであればローレベルとなる。過電流の発生が検知されないとき、コンパレータ30の出力電圧はローレベルとなる。勿論、出力遮断用トランジスタ34がPチャンネルであればハイレベルとなる。
【0023】
過電流の発生検知時のコンパレータ30の出力電圧ハイレベルとは、出力遮断用トランジスタ34のしきい値電圧Vth´よりも十分に高い飽和領域内の電圧である。ローレベルとは、出力遮断用トランジスタ34のしきい値電圧Vth´よりも低い値である。コンパレータ30の出力端子には出力遮断用トランジスタ34のゲートが接続される。コンパレータ30の出力電圧はハイレベルのとき出力遮断用トランジスタ34はオンする。コンパレータ30の出力電圧はローレベルのとき出力遮断用トランジスタ34はオフする。このコンパレータ30の出力電圧はRFIC35のInput端子に印加される。コンパレータ30からの出力信号は過電流通知信号としてRFIC35に入力される。
【0024】
出力遮断用トランジスタ34は出力遮断部を構成し、典型的には出力トランジスタ32と同仕様のNチャンネルMOSFETであるが、PチャンネルMOSFETであってもよい。また出力遮断用トランジスタ34は、バイポーラトランジスタであってもよく、その場合以下、ゲートはベースに読み替えられる。
【0025】
出力遮断部は過電流判定部33により過電流の発生が検知されたのを契機に、出力部を遮断する。出力遮断用トランジスタ34は、そのソース端子がグラウンド(GND)に接続され、ドレイン端子が出力トランジスタ32のゲート端子に接続され、ゲート端子はコンパレータ30の出力端子に接続される。出力遮断用トランジスタ34はコンパレータ30の出力電圧に応じてオン/オフする。
【0026】
出力遮断用トランジスタ34のゲート電圧がしきい値電圧Vth´よりも十分高い場合、ソース・ドレイン間にチャネルが形成され、ドレイン電流が流れる。これにより出力遮断用トランジスタ34がオンされ、出力トランジスタ32のゲートがGNDと導通状態となる。出力トランジスタ32のゲートがグラウンドされているとき、たとえRFIC35のゲート制御信号(PWM信号)がハイレベルであっても、出力トランジスタ32のゲート電圧はグラウンド電圧(0V)に降下され、それにより出力トランジスタ32はオフ状態となる。出力トランジスタ32がオフ状態になることで、電池形電源装置の外側正極端子3と外側負極端子4との間が遮断され、電動玩具11の動作が停止される。
【0027】
出力遮断用トランジスタ34のゲート電圧がしきい値電圧Vth´よりも十分低いとき、ソース・ドレイン間にドレイン電流が流れない。これにより出力遮断用トランジスタ34がオフされる。出力遮断用トランジスタ34がオフ状態のとき、出力トランジスタ32のゲートはグラウンドから分離される。そのため、出力トランジスタ32は、通常動作し、RFIC35からのゲート制御信号により、そのオン/オフが制御される。
【0028】
なお、出力遮断用トランジスタ34がPチャンネルMOSFETのとき、そのソース端子はDCDCコンバータ36の出力端子に接続される。出力遮断用トランジスタ34のゲート電圧がしきい値電圧Vth´よりも十分高い場合、出力遮断用トランジスタ34はオンされ、出力トランジスタ32のゲートに電源電圧Vdd(ハイレベル)が印加される。また、出力遮断用トランジスタ34のゲート電圧がしきい値電圧Vth´よりも十分低いとき、出力遮断用トランジスタ34はオフされ、出力トランジスタ32は通常動作し、つまりRFIC35からのゲート制御信号により、そのオン/オフが制御される。
【0029】
図5は、
図4のコンパレータ30の出力に対する出力トランジスタ32のゲート信号の変化を示すタイミングチャートである。第1実施形態に係る電池形電源装置1は、出力トランジスタ32に過電流が流れたのを契機に出力トランジスタ32をオフにし、電池形電源装置1を遮断する機能をハードウェアで実現している。
図5に示すように、コンパレータ30は、検出電圧Vsenseが参照電圧Vref.より高くなった時、つまり過電流の発生時を契機にハイレベルの電圧信号を出力する。コンパレータ30により出力されたハイレベルの電圧信号は、出力遮断用トランジスタ34のゲートに入力され、出力遮断用トランジスタ34がオンされ、出力トランジスタ32のゲートとGNDとが導通する。これにより、出力トランジスタ32は、RFIC35からハイレベルの電圧信号が入力された状態であっても、出力トランジスタ32のゲート電圧はグラウンド電圧に降下されるため、強制的にオフされる。出力トランジスタ32がオフされると電源出力が遮断される。このように、過電流が発生したのを契機に、出力トランジスタ32のゲート電圧をグラウンド電圧に降下させるように回路を構成することで、過電流から回路を保護することができる。
【0030】
なお、過電流を検知した時、RFIC35からのゲート制御信号のデューティー比を0%に低下させることにより上記保護機能を実現することもできる。つまりコンパレータ30の出力電圧がハイレベルになったのを契機に、RFIC35から出力トランジスタ32のゲート電圧をローレベルに変化させればよい。しかしながら、RFIC35はコンパレータ30から過電流通知信号を入力してから、ゲート制御信号のデューティー比を0%に変更するまで、RFIC35でのソフトウェア処理時間は不可避である。そのため、
図5に示すように、過電流が発生してから出力トランジスタ32をオフするまでに遅延時間が生じる。したがって、過電流が発生したのを契機に出力トランジスタ32をオフにする機能をハードウェアで実現することは、同じ機能をソフトウェアで実現する場合に比べて、過電流が検知されてから出力トランジスタ32をオフするまでの時間を短縮し、これにより回路を過電流から保護することができる。
【0031】
なお、
図6に示すように、コンパレータ30と検出抵抗31との間にLPF(ローパスフィルタ)41を直列に介在させてもよい。例えば、LPF41はRC回路により構成される。LPF41は、一定期間継続する低周波の過電流成分のみを通過させ、それに満たない瞬間的に生じる高周波の過電流成分を遮断する。これにより、瞬間的な過電流の断続による出力トランジスタ32のオン/オフの振動現象を抑止することができる。
【0032】
また、
図6に示すように、コンパレータ30の出力端子と出力遮断用トランジスタ34のゲートとの間に、単安定バイブレータ42を直列に介在させてもよい。単安定バイブレータ42は、単安定バイブレータ42は、コンパレータ30の出力電圧がローレベルからハイレベルに変化したとき、ハイレベルの状態を一定期間保持する。出力遮断用トランジスタ34のゲートの前段に単安定バイブレータ42を挿入することで、極短時間の過電流に起因するコンパレータ30の出力電圧のハイレベル期間が極短時間であったとしても、単安定バイブレータ42の出力電圧は一定期間、ハイレベルで保持されるため、出力遮断用トランジスタ34のオン状態を一定期間継続することができ、それにより出力トランジスタ32のオフ状態も一定期間維持して、電源出力を一定期間遮断することができる。また、単安定バイブレータ42を挿入することで、出力遮断用トランジスタ34のオン/オフの切り替え周期を少なくとも単安定バイブレータ42の出力されるパルス幅以上とすることができるため、チャタリング防止にもなる。
【0033】
(第2実施形態)
第1実施形態では、過電流が発生したのを契機に出力トランジスタ32をオフして、電源出力を遮断したが、出力トランジスタ32をオフするのではなく、過電流発生に伴う出力トランジスタ32のドレイン電流をそのゲート電圧の例えば降下制御により調整してそのピーク値を抑制するようにしてもよい。
【0034】
図7は本発明の第2実施形態に係る無線通信機能を備える電池形電源装置1の等価回路図である。
図8は、
図7のオペアンプ40の出力電圧に対する出力トランジスタ32のゲート信号の変化を示すタイミングチャートである。第2実施形態に係る電池形電源装置1の回路構成が、第1実施形態に係る電池形電源装置の回路構成と主に相違する部分としては、コンパレータ30がオペアンプ40に換装されたことにある。
【0035】
オペアンプ40は、検出抵抗31とともに過電流判定部33を構成する。過電流判定部33は電池形電源装置1の出力トランジスタ32に過電流が流れたか否かを判定するともに過電流の波高値に応じた電圧を出力する。オペアンプ40はDCDCコンバータ36により発生される電源電圧Vddにより駆動する。オペアンプ40の非反転端子には検出抵抗31の一端が接続され、出力トランジスタ32に流れる電流を反映した電圧Vsenseが印加される。オペアンプ40の反転入力端子には、参照電圧Vref.が印加される。参照電圧Vref.は電源電圧Vddを抵抗37と抵抗38とによる分圧により発生される。典型的には参照電圧Vref.が最大電流に対応する検出電圧Vsenseに等価となるよう抵抗37,38、さらに検出抵抗31の抵抗値の組み合わせが予め調整されている。最大電流は、出力トランジスタ32の最大定格又は最大定格に対してマージンを設けた低い値に設計されている。オペアンプ40は、検出電圧Vsenseと参照電圧Vref.との差を増幅する。検出電圧Vsenseが参照電圧Vref.より低いとき、オペアンプ40の出力電圧はローレベルを示す。検出電圧Vsenseが参照電圧Vref.に等価又は検出電圧Vsenseが参照電圧Vref.より高いとき、オペアンプ40の出力電圧は、出力遮断用トランジスタ34の不飽和領域内であって、しきい値電圧Vth´の近傍値付近、例えば1.5V付近を示す。
【0036】
オペアンプ40の出力電圧がローレベルであるとき(過電流が生じていないとき)、出力遮断用トランジスタ34はオフされる。
図8に示すように出力遮断用トランジスタ34がオフ状態のとき、RFIC35からのゲート制御信号(PWM信号)に従って出力トランジスタ32はオン/オフする。
【0037】
出力トランジスタ32の電流が増えて過電流領域に達した時の動作を説明する。
検出電圧Vsenseが参照電圧Vref.より高くなりそうになると、オペアンプ40の出力が上昇し、出力遮断用トランジスタ34のゲート電圧が高くなることにより出力遮断用トランジスタ34が動作する。そのときの出力遮断用トランジスタ34のゲート電圧はしきい値電圧Vth´の近傍となる。この時出力トランジスタ32のゲート電圧が低下してドレイン電流もそれに伴い低下し、出力トランジスタ32のゲート電圧はしきい値電圧Vth付近となる。この状態でオペアンプ40の反転入力端子の電圧は反転入力端子の電圧参照電圧Vref.と等しくなりイマジナリショートが成立する。
【0038】
オペアンプ40の出力段には過電流通知用トランジスタ43が設置される。過電流通知用トランジスタ43は、典型的には、npn型のトランジスタである。過電流通知用トランジスタ43のベース端子はオペアンプ40の出力に接続され、コレクタ端子は抵抗を介して電源電圧Vddに接続され、エミッタ端子はグラウンドGNDに接続される。過電流通知用トランジスタ43は、ベース電圧により、そのオン/オフが制御される。
【0039】
過電流通知用トランジスタ43のベースに印加されるオペアンプ40の出力電圧がローレベルのとき、過電流通知用トランジスタ43はオフ状態となり、コレクタ電流が流れない。過電流通知用トランジスタ43がオフ状態のとき、つまり過電流が流れていないとき、RFIC35の入力端子はハイレベルになる。一方、過電流通知用トランジスタ43にオペアンプ40の出力電圧が出力遮断用トランジスタ34のしきい値電圧Vth´の近傍値付近、例えば1.5V付近であるとき、過電流通知用トランジスタ43は飽和状態となり、コレクタ電流が流れる。これは、出力遮断用トランジスタ34のしきい値電圧Vth´が過電流通知用トランジスタ43のベース電圧より高い状態にあることを利用している。これにより過電流通知用トランジスタ43がオン状態となる。過電流通知用トランジスタ43がオン状態のとき、RFIC35の入力端子はローレベル(コレクタ飽和電圧(例えば0.1V))になる。
【0040】
つまり、出力トランジスタ32に過電流が発生しているとき、RFIC35への入力信号はローレベルになり、過電流が発生していないとき、RFIC35への入力信号はハイレベルになる。RFIC35の制御部は、ローレベル信号が入力されている間、LED23を点灯させ、警告音発生部22から警告音を発生させる。また、通信部は、制御部の制御に従って、過電流が発生したことをユーザに通知するための通知信号を外部負荷装置11に無線送信する。
【0041】
第1実施形態では、出力トランジスタ32に過電流が流れていないときには出力トランジスタ32をオンし、出力トランジスタ32に過電流が流れたときには出力トランジスタ32をオフする。一方、第2実施形態では、過電流が検出されたときには、出力トランジスタ32をオフするのではなく、ゲート制御信号の電圧を、出力トランジスタ32のしきい値Vthの近傍値に降下させることにより、そのドレイン電流を減少させ、それによりそのピーク電流を抑制し、脈動を緩和することを実現している。
【0042】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る無線通信機能を備える電池形電源装置1の等価回路図である。
図10は、
図9のコンパレータ30の入力電圧に対する出力電圧の変化を示すタイミングチャートである。
図11は、
図9のRFIC35の通信部から対象装置の動作情報を送信するタイミングを示すタイミングチャートである。検出抵抗31に流れる電流の検知は、電池形電源装置が装着される電池ケースを装備した外部負荷装置のオン/オフ等の動作状態の検出に活用することができる。例えば外部負荷装置としてハンドソープディスペンサーが想定される。ある種のハンドソープディスペンサーはユーザが非接触センサの感度域に手をかざすことによる非接触センサのセンス状態変化を契機として外部スイッチをオンしてモータを駆動し、それによりハンドソープを吐出する。また外部負荷装置としては、例えば熱感知センサにより人間等を感知したときに点灯するセンサーライト装置が想定される。
【0043】
第3実施形態に係る電池形電源装置1では、第1実施形態に係る電池形電源装置の回路から出力遮断用トランジスタ34が除外される。本実施形態では、コンパレータ30は検出抵抗31とともに動作検出部を構成する。動作検出部は外部負荷装置の動作電流を検出抵抗31を介して検出する。検出抵抗31は外側負極端子4と内側負極端子6との間に介在される。コンパレータ30はDCDCコンバータ36により供給される電源電圧Vddにより駆動する。コンパレータ30の出力端子は、配線ケーブルを介してRFIC35のInput端子に接続される。コンパレータ30の非反転入力端子には、検出抵抗31で検出した電流の値に応じた電圧(以下、検出電圧Vsenseという)が入力される。コンパレータ30の反転入力端子には参照電圧Vref.が印加される。参照電圧Vref.は、電源電圧Vddを抵抗37及び抵抗38により分圧することで得られる固定値である。典型的には参照電圧Vref.が、外部負荷装置が動作したときに外側負極端子4と内側負極端子6との間を流れる動作電流に応じた電圧よりも少し低い検出電圧Vsenseになるよう抵抗37,38、さらに検出抵抗31の抵抗値の組み合わせが予め調整されている。
【0044】
コンパレータ30は検出電圧Vsenseを参照電圧Vref.に対して比較する。
図10に示すように、検出電圧Vsenseが参照電圧Vref.よりも低いとき、つまり外部負荷装置が動作していないとき、コンパレータ30の出力電圧はローレベルになる。検出電圧Vsenseが参照電圧Vref.よりも高いとき、つまり外部負荷装置が動作しているとき、コンパレータ30の出力電圧はハイレベルになる。このコンパレータ30の出力電圧の変化は外部負荷装置の動作/非動作を表すものであり、動作検知信号としてRFIC35に取り込まれる。
【0045】
RFIC35は、動作検知信号に基づいて外部負荷装置の動作に関する情報を生成し、この外部負荷装置の動作に関する情報を無線通信用アンテナ24を介してスマートフォン等の操作パネルを備えた外部情報処理装置50に送信する。外部負荷装置の動作に関する情報として、外部負荷装置がハンドソープディスペンサーであれば、例えば前回電池換装時からのモータの総動作回数、モータが繰り返し動作した時間の総動作時間等が計算される。また外部負荷装置がセンサーライト装置であれば、例えば前回電池換装時からの点灯回数、総点灯時間等が計算される。これら外部負荷装置の動作に関する情報は、電池交換時期を推定することができる。ここでは外部負荷装置がハンドソープディスペンサーであり、この動作に関する情報として前回電池換装時からのモータの総動作回数及び総動作時間として説明する。RFIC35は、動作検知信号のローレベルからハイレベルへの転移に同期してカウント値(総動作回数)を1つだけインクリメントする。カウント値は電池を電池ケースから取り外すときなど電源解除された時にゼロリセットされる。RFIC35は、動作検知信号がハイレベルに維持される時間幅を動作時間として計測し、動作時間を積算することにより総動作時間を計算する。
【0046】
RFIC35は外部負荷装置の動作に関する情報を適時送信する。例えば
図11(a)に示すように、RFIC35は、外部負荷装置が動作して動作検知信号がローレベルからハイレベルへ転移してカウント値(総動作回数)が更新されることを契機として、外部負荷装置の動作状態を表す信号を送信する。しかし送信時期はこれに限定されない。
図11(b)に示すように、RFIC35は、総動作回数が所定の回数(しきい値回数という)に達した時点と、総動作時間が所定の時間幅(しきい値時間幅という)に達した時点との少なくとも一方、典型的にはそれらの早い時点で外部負荷装置の動作状態を表す信号を送信するようにしてもよい。もちろんRFIC35は、予め選択した一方の時点、つまり総動作回数がしきい値回数に達した時点で外部負荷装置の動作状態を表す信号を送信するようにしてもよいし、総動作時間がしきい値時間幅に達した時点で外部負荷装置の動作状態を表す信号を送信するようにしてもよい。
【0047】
また
図11(c)に示すように、RFIC35は、外部負荷装置の動作状態を表す信号を所定の周期(送信周期)で送信するようにしてもよい。これら3種類の送信時期制御はそれら全てを装備してユーザによる選択的に適用するようにしてもよいし、いずれか1種の送信時期制御を装備するようにしてもよい。もちろんしきい値回数、送信周期は任意に設定される。
【0048】
このように、第3実施形態に係る電池形電源装置は、その回路に流れる電流を検知することで、電池形電源装置が装着される外部負荷装置の動作を検出し、その外部負荷装置の動作に関する情報を外部情報処理装置に送信することができる。これにより、予め決まった回数を動作した後に、メンテナンス作業が必要となる電子機器のメンテナンスを容易にすることができる。例えばソープディスペンサに第3実施形態に係る電池形電源装置を装着することで、メンテナンス業者はソープディスペンサの使用回数を把握することができ、これにより、効率よくソープの詰め替え作業を行うことができる。
【0049】
(第4実施形態)
図12に示すように、上記第3実施形態に係る電池形電源装置1のコンパレータ30がオペアンプ60に換装されている。オペアンプ60は、検出電圧VsenseとGNDとの差を増幅する。オペアンプ60の出力電圧は出力トランジスタ32に流れる電流を反映する。RFIC35の内蔵のアナログディジタル変換器(ADC)は、オペアンプ60の出力電圧をディジタル信号(電流データ)に変換する。電流データは、出力トランジスタ32に流れる電流値を表す。
【0050】
RFIC35は電流データを適用して様々な情報処理を実行することができる。例えばRFIC35は電流データをしきい値と比較して、外部負荷装置11の動作(動作中/待機中)を判定し、外部負荷装置11の動作に関する情報を生成して第3実施形態と同様に外部情報処理装置50にアンテナ24を介して無線送信する。また、RFIC35はしきい値を例えば外部負荷装置11に応じて任意に変更する事ができる。例えば、しきい値は製造時に設定され、ユーザが電池形電源装置を装着する外部負荷装置11の動作電圧に応じて、その電池形電源装置を使用開始時に設定するようにしてもよい。ユーザが設定する場合は、例えば、外部負荷装置11の待機中に外部情報処理装置50側で操作をして電池形電源装置に待機中であることを伝え、外部負荷装置11の動作中に外部情報処理装置50側で操作して電池形電源装置に外部負荷装置11が動作中であることを伝えることで、電池形電源装置側で流れる電流をモニタしてしきい値を設定することもできる。
【0051】
また外部負荷装置11を使用しないときには、外部情報処理装置50側で操作をして、または外部情報処理装置50でのタイマー設定により外部情報処理装置50から電池形電源装置に「外部負荷装置11の電源をオフする」指令を送信することにより、RFIC35から出力トランジスタ32へのゲート信号を停止させて外部負荷装置11の電源をオフすることができ、それにより電力消費を抑えることができる。例えば、外部負荷装置11としてセンサーライトであれば昼間時間帯は電源オフにすることができる。
【0052】
また外部負荷がDCモータであれば、その電流がトルクと比例する。電流データからモータの負荷状態を推定することができるので、RFIC35は電流値(電流データ)をフィードバッグし、電流値に基づいて出力トランジスタ32へのゲート信号のデューティー比を調整することでトルク制御を行うこともできる。例えば電流値が比較的高いとき、モータが高負荷であると判断して出力トランジスタ32へのゲート信号のデューティー比を高くし、電流値が比較的低いとき、モータが低負荷であると判断して出力トランジスタ32へのゲート信号のデューティー比を低下させる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。