(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960204
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20211025BHJP
H01M 50/109 20210101ALI20211025BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20211025BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20211025BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M50/109
H01M50/184 E
H01M50/186
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-571527(P2019-571527)
(86)(22)【出願日】2019年5月31日
(65)【公表番号】特表2021-514517(P2021-514517A)
(43)【公表日】2021年6月10日
(86)【国際出願番号】CN2019089484
(87)【国際公開番号】WO2020147243
(87)【国際公開日】20200723
【審査請求日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】201910044428.9
(32)【優先日】2019年1月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519453010
【氏名又は名称】▲い▼坊裕元電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】WEIFANG YUYUAN ELECTRONICS CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】董 其剛
【審査官】
村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0216881(US,A1)
【文献】
中国実用新案第207587785(CN,U)
【文献】
特開2003−045382(JP,A)
【文献】
特表2012−523067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01M 50/00−50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ケース(1)、下ケース(2)及びゴムリング(6)を含み、
前記上ケース(1)は、前記下ケース(2)内に嵌められ、且つ上ケース(1)と下ケース(2)の側壁の間が前記ゴムリング(6)により密封され、
前記上ケース(1)及び下ケース(2)は、いずれもカップ体(8)を含み、前記カップ体(8)の開口には、末広型ガイド筒(4)を介して延伸ガイド筒(5)が接続され、
組立状態にある場合、前記上ケース(1)の延伸ガイド筒(5)は、前記下ケース(2)のカップ体(8)に延伸し、前記上ケース(1)の延伸ガイド筒(5)と前記下ケース(2)のカップ体(8)との間には、前記ゴムリング(6)により一次密封領域(3)が形成され、前記上ケース(1)のカップ体(8)と前記下ケース(2)の延伸ガイド筒(5)の端部との間には、ゴムリング(6)により二次密封領域(7)が形成され、
前記下ケース(2)の延伸ガイド筒(5)と前記上ケース(1)のカップ体(8)との間の領域には隙間が設けられ、前記隙間は、前記一次密封領域(3)と前記二次密封領域(7)との間にあり、且つ前記ゴムリング(6)との間に圧力解放隙間が形成されることを特徴とする、ボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【請求項2】
前記ゴムリング(6)は、取付方向に沿って肉厚が厚くなるように設けられることを特徴とする、請求項1に記載のボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【請求項3】
前記ゴムリング(6)の外壁に接着剤層が設けられ、前記ゴムリング(6)の外壁は、前記接着剤層により前記下ケース(2)の内壁に固定されることを特徴とする、請求項1に記載のボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【請求項4】
前記下ケース(2)の延伸ガイド筒(5)の端部は、開口収縮状に設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【請求項5】
前記下ケース(2)の収縮開口から前記上ケース(1)の延伸ガイド筒(5)の端部までの間の領域は、圧力解放可動領域(9)であることを特徴とする、請求項4に記載のボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【請求項6】
圧力解放状態にある場合、前記上ケース(1)の延伸ガイド筒(5)の端部は、前記下ケース(2)の収縮開口まで摺動し、上ケース(1)と下ケース(2)の間が前記一次密封領域(3)及び前記二次密封領域(7)から脱離することで、電池内の電解質は前記圧力解放隙間に沿って下ケース(2)の端部から流出することを特徴とする、請求項5に記載のボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【請求項7】
前記ゴムリング(6)は、PEEK、PEI、PIのうちのいずれか1種を使用することを特徴とする、請求項1に記載のボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子構造部品の技術分野に関し、具体的には、ボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、中国の新エネルギー政策の実施に伴い、再利用可能な充電式リチウム電池の業界は、急速な発展を遂げてきた。この業界において、コンシューマーエレクトロニクス市場は、半分を占め、その応用分野には、主に携帯電話、ラップトップ、タブレット、ウェアラブルデバイスなどが含まれる。そのうち、ウェアラブルデバイスには、主にスマートブレスレット、スマートウォッチ、ブルートゥースイヤホンが含まれる。ウェアラブルデバイスは、体積が相対的小さいので、一般には、サイズが小さいリチウムイオン電池のみが搭載される。そのため、このようなスマートウェアラブルデバイスの使用時間が比較的短い。現在、各大手メーカーは、消費電力の低減を求めるとともに、リチウム電池の安全性、大容量に対する要求が高くなっている。本発明は、体積が小さい部品を使用して大容量、高安全性の電池(ソフトパック電池ではない)を実現することを目的とする。現在、このような電池の従来型番は、0854/1054/1254/1454/1654シリーズ電池である。1254電池を例とすると、合格1254電池は、(1)組立安定性が高く、製品の良品率が保証され、(2)密封性に優れ、(3)防爆性が高く、(4)密封性が保証されながら高防爆性を有し、(5)バッテリーライフが長く、(6)容量比が大きいという利点を有する。
【0003】
中国特許ZL201080024489.6には、「底部領域、側部領域及びその間に置かれたエッジ領域、切断エッジを有する電池凹部と、蓋領域、側部領域、及びその間に置かれたエッジ領域、切断エッジを有する電池蓋とを含み、電池凹部と電池蓋は、密封部材により互いに接続される。前記方法は、前記密封部材から前記電池蓋までの側部領域により、前記密封部材を有する前記電池蓋を前記電池凹部に押し込んで領域が形成され、前記領域において前記側部領域と重なり合うステップと、前記電池凹部の側部領域上で圧力を加えて前記ケースを密封するステップとを含む。前記側部領域の高さは、前記切断エッジが圧力により前記側部領域に押し付けられることにより、電池モジュールを密封するように設計される」ことが開示されている。
【0004】
しかし、分析した結果、電池構造モジュールにおけるゴムリングの肉厚が同じであり、ケースの径方向収縮による圧力によりゴムリングが締め付けられることで密封性が保証されないため、使用過程において液漏れする問題がある。
【0005】
中国特許ZL201711173624.3には、「蓋体、ケース及びシールリングを含み、前記蓋体及び前記ケースは、いずれも蓋部の筒状構造を有し、前記蓋体と前記ケースが互いに係合して電池コアを収容する密閉空間を形成し、前記シールリングが前記蓋体の側壁と前記ケースの側壁との間に位置する。前記シールリングは、圧力解放のために前記蓋体の側壁と前記ケースの側壁との間に隙間が形成されるように、所定温度下で収縮するか又は破裂することができる。安全性に優れている」ことが開示されている。
【0006】
しかし、分析した結果、この方法は、ある程度に電池の密封性を保証できるが、密封性を保証するために、上下のケースの間のスペースが小さいか、ゼロでもあることで、防爆機能を有せず、電池が正常に圧力を解放することができないため、安全上のリスクが存在する。
【0007】
中国特許ZL201710772982.Xには、「第1電極ケース、第2電極ケース、絶縁シールリング及び電池コアを含み、第1電極ケース、第2電極ケース及び絶縁シールリングは共同で収容空間を形成し、電池コアが前記収容空間にある。第2電極ケースは、本体及び本体の周縁から下に折り曲がって延伸する折辺を含む。前記絶縁シールリングは、主体部及び主体部から内部に延伸する内折部を含む。前記主体部は、前記第2電極ケースの折辺と前記第1電極ケースとの間に介在し、前記内折部は、前記折辺の下方にあり、端面が前記第2電極ケースの折辺の内側面を超えない。本発明は、ボタン型ケースにも関する。本発明は、絶縁シールリングの構造を改善することにより、第2電極ケースの内部空間を占めることなく、容量を増加させると同時に、ボタン電池の内部構造の安定性を向上させ、絶縁シールリングの密封性を向上させる」ことが開示されている。
【0008】
しかし、分析した結果、上記公開において、ゴムリングは全体侵入式であるため、密封効果が向上するが、防爆性が低下し、故障した電池の分解抵抗が増加し、防爆機能が順調に発揮されない。
【0009】
特許ZL201180049997.4には、「電池カップ及び電池蓋を含む。電池カップ及び電池蓋は、密封部材を介して互いに接続され、いずれも底部、周方向ケース、底部とケースとを接続するエッジ領域、及び端部切断エッジを含む。前記端部切断エッジは、半殻状の開放エッジである。電池カップの底部及び電池蓋の底部は、いずれも平坦で円形(又は楕円形)であることが好ましい。電池カップケース及び電池蓋ケースは、好ましくは円形断面(又は楕円形断面)を有する中空柱状の環状部である。その直径は、円形底部の直径以上であることが好ましい。通常、電池カップ及び電池蓋のケースは、底部に対して垂直に配置され、ボタン電池の操作安全を確保できる安全トリップ構造を有する」ことが開示されている。
【0010】
しかし、分析した結果、上記技術は、電池の圧力解放を実現できるが、その圧力開放位置が側部であり、その防爆方式により、電池構造モジュールの製造過程において、組立時に液漏れが発生する場合が多いため、良品率が低下する。
【0011】
中国特許ZL201721393028.1には、「内殻、外殻、電池コア及び絶縁膜を含み、内殻及び外殻はいずれもバレル状であり、外殻が内殻をカバーするようにその外側に設けられ、電池コアが内殻の内部に設けられ、絶縁膜が内殻と外殻との間に設けられる。内殻の頂部に内凹肩部が設けられ、外殻の頂部に圧接辺が設けられ、圧接辺が絶縁膜の上方に圧接される。内殻上に二級階段が設けられ、内殻の二級階段の上部位置にある直径は、内殻の二級階段の下部位置にある直径よりも小さい。外殻の二級階段に対応する位置に収縮部が設けられる。収縮部は、内に凹んで二級階段の位置に係合する。内殻の二級階段の上方に1つ以上の排気孔が設けられる。本実用新案は、段階的な階段構造を採用し、内殻に排気孔が設けられることにより、膨張が発生するときに電池内部の圧力が迅速に解放され、爆発が発生することがない」ことが開示されている。
【0012】
しかし、分析した結果、上記技術では、構造部材の容量比が低いため、そのバッテリーライフが低下し、また、構造の配置がきつすぎることで、密封性が向上するが、防爆のために圧力を解放するときに、電解質が排出できないので、その防爆性が低下する。
【0013】
市販されている1254型番の電池には、主に以下のものがある。それらの仕様と性能を分析する。
1、LIR1254:サイズ12.5*5.4(mm)、標準容量45(mAh)、体積211.95(mm3)、容量体積比21.23%
2、CP1254(1):サイズ12*5.4(mm)、標準容量50(mAh)、体積203.472(mm3)、容量体積比24.57%
3、CP1254(2):サイズ12.1*5.4(mm)、標準容量60(mAh)、体積205.1676(mm3)、容量体積比29.24%
4、CP1255:サイズ12.5*5.5(mm)、標準容量50(mAh)、体積215.875(mm3)、容量体積比23.16%
【0014】
上記のデータから分かるように、最も高い容量比が29.24%であり、従来技術において、電池構造が小さく、内部が複雑であるため、生産が困難である。電子製品の応用に限られるので、電池のサイズが小さければ小さいほどよいが、高いバッテリーライフ、即ち容量比を保証しなければならない。しかし、従来技術に従って容量比を0.5%増大するために、新しい金型が必要となり、また、この場合において、密封性、防爆性、組立安定性及び容量比の問題を解決するために、大きな労力が必要である。現在、世界には、この技術的なボトルネックを克服できるメーカーがまだない。
【0015】
特許ZL201080024489.6では、電池モジュールの液漏れの問題が解決され、密封性が保証される。特許ZL201711173624.3及びZL201710772982.Xでは、密封性が保証された上で、密封性が向上し、電池モジュールの良品率が保証されるが、防爆性が極めて悪い。特許ZL201721393028.1では、密封性の問題が解決されるが、組立に係る内部空間が大きいため、電池容量が低い問題がある。特許ZL201180049997.4では、防爆性の問題が解決されるが、電池モジュールの液漏れの問題がある。以上をまとめると、従来技術では、密封性、防爆性、電池容量をすべて確保することができない。当業者は、主に密封性を保証した上で電池モジュールを研究することにより、密封性を保証するために、防爆性を低下させるか、防爆性を保証するために、密封性を低下させる。これによって、組立過程における電池の良品率が低くなる。また、密封性が保証されるが、大きな空間を占めるため、電池容量が低い問題がある。
【0016】
比較分析することにより、従来技術における電池構造モジュールには主に以下の欠点が存在することが発見された。
【0017】
(1)電池構造モジュールの防爆構造は、シール無し構造であるため、密封効果が悪く、電解質漏出による良品率の低下、及び使用過程における電池の液漏れ及び故障が引き起こされる。
(2)電池構造モジュールは、体積が大きく、容量が低く、体積容量比が21.23%及び23.16%と低い。また、密封効果を保証するために、防爆構造を省略せざるを得ないため、電池の安全性が低下する。
(3)電池構造モジュールにおいて、横漏れにより防爆・圧力解放を実現する。しかし、このような爆方式により、電池構造モジュールの製造過程において、組立時に液漏れが発生し、良品率の低下を引き起こす。
(4)電池構造モジュールにおけるゴムリングは、いずれも肉厚が同じであるため、密封性が保証されず、正常の使用過程において液漏れ、故障が発生することがある。
(5)電池構造モジュールにおける密封面積が小さいため、密封性が低下する。
(6)電池構造モジュールにおいて、密封性を保証するために、スペースが小さいか、ゼロでもあることで、防爆機能の喪失を引き起こす。
(7)電池構造モジュールにおけるゴムリングの接着剤は、ディップコードにより塗布されることで、故障した電池の分解抵抗が大きくなり、防爆機能がスムーズに発揮されない。
以上のことから、従来技術は、実際の使用には不便及び欠陥が存在し、改良の必要がある。
【発明の概要】
【0018】
従来技術の欠陥に対して、本発明は、ボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュールを提供することにより、従来技術に存在する防爆構造と密封構造の矛盾、即ち、防爆性能を確保しようとすると、電池の組立良品率が低くなり、密封性を確保しようとすると、電池容量が低くなるとの問題が解決される。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を提供する。
【0020】
上ケース、下ケース及びゴムリングを含み、前記上ケースが前記下ケース内に嵌められ、且つ上ケースと下ケースの側壁の間が前記ゴムリングにより密封されるボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュール。
【0021】
さらに、前記ゴムリングは、取付方向に沿って肉厚が厚くなるように設けられる。
【0022】
さらに、前記ゴムリングの外壁に接着剤層が設けられ、前記外壁が前記接着剤層により前記下ケースの内壁に固定される。
【0023】
さらに、前記上ケース及び下ケースはいずれもカップ体を含み、前記カップ体の開口には、末広型ガイド筒を介して延伸ガイド筒が接続される。
【0024】
さらに、組立状態にある場合、前記上ケースの延伸ガイド筒は、前記下ケースのカップ体に延伸し、上ケースの延伸ガイド筒と下ケースのカップ体との間には、前記ゴムリングにより一次密封領域が形成され、上ケースのカップ体と下ケースの延伸ガイド筒の端部との間には、ゴムリングにより二次密封領域が形成される。
【0025】
さらに、前記下ケースの延伸ガイド筒の端部は、開口収縮状に設けられる。
【0026】
さらに、前記下ケースの延伸ガイド筒と前記上ケースのカップ体との間の領域に隙間が設けられ、この隙間は、前記一次密封領域と前記二次密封領域との間に位置し、前記ゴムリングとの間に圧力解放隙間が形成される。
【0027】
前記下ケースの収縮開口から前記上ケースの延伸ガイド筒の端部までの間の領域は、圧力解放可動領域である。
【0028】
さらに、圧力解放状態にある場合、前記上ケースの延伸ガイド筒の端部が前記下ケースの収縮開口まで摺動し、上ケースと下ケースの間が前記一次密封領域及び前記二次密封領域から脱離することで、電池内の電解質は前記圧力解放隙間に沿って下ケースの端部から流出する。
【0029】
さらに、前記ゴムリングは、PEEK、PEI、PIのうちのいずれか1種を使用する。
【0030】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
組立過程におけるケースとの押付け力が向上し、密封性が保証される。上部から液体を排出する構成により、電池モジュールが組立過程において漏れやすいとの問題が解決され、根本から電池モジュールの良品率が保証される。二重密封により、使用過程における電池モジュールの密封性が向上する。ゴムリングの片側に接着剤が塗布されることにより、故障した電池の分解抵抗が低減され、防爆機能がスムーズに発揮することができるとともに、生産コストが削減され、接着剤がゴムリングから垂れることによる作業環境に対する汚染が防止される。密封面積が広いため、密封性が向上する。ピストン式移動により、移動量が増加し、防爆機能のスムーズな発揮が保証される。組立安定性が向上し、容量比が高く、防爆機能が保証されながら密封性が保証される。電子製品のバッテリーライフが伸びる。ユーザーエクスペリエンスが向上する。電子製品の関連部材及び人の安全が保護される。製品のサイズが安定的で、品質の信頼性が高く、良品率が高い。このような電池の良品率及び生産効率が高くなり、製品のサイズ、容量、安全性、密封性が保証される。構造が簡単で、使用寿命が長く、作動が安定的である。操作制御が簡単で、大規模な製造及び自動化組立に便利で、応用範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施形態又は従来技術の技術手段をより分かりやすくするために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。全ての図面には、類似する部品又は部分は、一般的に類似する符号で示される。図面では、各素子又は部品は必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
【0032】
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の技術態様の実施例を詳しく説明する。以下の実施例は、本発明の技術態様をより明確に説明するための例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0034】
図1から6に示すように、ボタン型マイクロ充電式リチウム電池構造モジュールは、上ケース1、下ケース2及びゴムリング6を含む。上ケース1は下ケース2内に嵌められ、且つ上ケース1と下ケース2の側壁の間がゴムリング6により密封される。
【0035】
ゴムリング6は、取付方向に沿って肉厚(0.01−0.1mm)が厚くなるように設けられる。
【0036】
上ケース1及び下ケース2はいずれもカップ体8を含み、カップ体8の開口には、末広型ガイド筒4を介して延伸ガイド筒5が接続される。末広型ガイド筒は、径方向に沿って大きくなる筒体である。延伸筒体の一端が末広型ガイド筒の一端に接続され、且つ延伸筒体の直径がカップ体の直径よりも長い。カップ体、末広型ガイド筒、延伸ガイド筒及びゴムリングは、四角形、楕円形、円柱形などの被覆機能を有する形状のうちの1種又は複数種である。
【0037】
ゴムリングの下端部には、さらに曲げ縁11が内側に延伸するように設けられる。上ケースの延伸ガイド筒の端部は、曲げ縁11とゴムリング側壁との間の領域に挿入されることで、組立際のゴムリングに対する可動挿着が実現される。
【0038】
組立状態にある場合、上ケース1の延伸ガイド筒5は、下ケース2のカップ体8に延伸し、上ケース1の延伸ガイド筒5と下ケース2のカップ体8の間には、ゴムリング6により一次密封領域3が形成され、上ケース1のカップ体8と下ケース2の延伸ガイド筒5の端部との間には、ゴムリング6により二次密封領域7が形成される。
【0039】
前記下ケースの収縮開口から前記上ケースの延伸ガイド筒の端部までの間の領域は、圧力解放可動領域9である。圧力解放状態にある場合、上ケース1が上に移動し、前記上ケースの延伸ガイド筒の端部が前記下ケースの収縮開口まで摺動し、上ケースと下ケースの間が前記一次密封領域及び前記二次密封領域から脱離することで、電池内の電解質は前記圧力解放隙間に沿って下ケース2の端部から流出する。
【0040】
下ケース2の延伸ガイド筒5の端部は、開口収縮状に設けられる。
【0041】
下ケース2及び上ケース1における一次密封と二次密封との間にある部分と、ゴムリング6との間に圧力解放隙間が設けられる。
【0042】
ゴムリング6の外壁に接着剤層が設けられ、前記外壁が前記接着剤層により前記下ケース2の内壁に固定される。
【0043】
ゴムリング6は、PEEK、PEI、PIのうちのいずれか1種を使用する。
【0044】
下ケースにあるカップ体の底面上に均圧溝10が設けられることで、組立時の安定的な取り付けが実現される。
【0045】
一次密封領域の軸方向の密封量は1.5−2.5mmであり、二次密封領域の軸方向の密封量は0.1−0.5mmである。一次密封領域と二次密封領域との間に圧力解放可動領域9が設けられ、圧力解放可動領域9の軸方向の変位量は1.5−2.0mmであり、組立状態にある場合、三者の比率は10:8:1であり得る。
【0046】
現在、このような電池の一般的な型番は、0854/1054/1254/1454/1654シリーズ電池である。ここで、1254電池を例として、各製造業者の電池仕様と性能と本発明の新しい構造についてデータを収集して分析した。詳細は、表1に示される。
【0048】
表1から分かるように、ブランドCP1254(2)の電池は、体積容量比が最も大きい市販電池であり、その防爆構造は、シール無し構造であるため、密封効果が悪く、電解質漏出による良品率の低下、及び使用過程における電池の液漏れ及び故障が引き起こされる。ブランドLIR1254及びCP1254(2)の電池は、密封が良好であるが、他の製品に対しては体積が大きく、容量が低く、体積容量比が21.23%及び23.16%と低く、また、密封効果を保証するために、防爆構造を省略せざるを得ないため、電池の安全性が低下する。
【0049】
従来技術における上ケース及び下ケースの肉厚は0.2−0.25mmである一方、本発明の製品の上ケース及び下ケースの肉厚は0.15mmである。また、従来技術のゴムリングの肉厚は0.2−0.25mmである一方、本発明の製品の肉厚は0.08mmである。これによって、従来技術と比較して、本発明の製品の構造は、より省スペースで、容量体積比が向上する。
【0050】
本発明のデータから分かるように、ケースのサイズはCP1254(1)のサイズと同じであるため、既存の金型を使用することができ、新しい金型による費用が省略され、コスト及び労力が大幅に低減される。また、本発明では、ゴムリングの厚さ及び構造を変えることにより、容量が高くなり、組立後の外部体積が小さくなり、容量体積が31.95%と高く、従来の電池のうち容量体積が最も高い電池(29.24%)よりも2.71%高くなり、従来技術と比べて0.5%の5倍よりも多い。これによって、バッテリーライフ(連続使用時間)が8時間長くなる。また、この電池をブルートゥースイヤホンに使用する場合、ブルートゥースイヤホンの使用時間に応じて、日に8時間の働き時間である場合、ブルートゥースイヤホンの使用時間は、多くとも平均約1.5時間である。バッテリーライフ(連続使用時間)が8時間長くなると、ブルートゥースイヤホンのバッテリーライフは、少なくとも6日間長くなることに相当する。これによって、充電回数が減少され、生活の便利性が向上するとともに、電池の充放電回数が減少され、使用寿命が長くなる。
【0051】
末広型ガイド筒は、断面方向における側壁間の夾角は10−25°である。ゴムリングの外壁も末広型に設けられてもよく、その断面方向における側壁間の夾角は3−15°である。
【0052】
延伸ガイド筒とカップ体の互いの径方向オフセットは0.05−0.1mmである。上ケースのカップ体の高さは1.91mmであり、下ケースのカップ体の高さは1.74mmである。下ケースの延伸ガイド筒の軸線の長さは2.24mmである。
【0053】
ゴムリングのテーパ状肉厚は0.01−0.1mmである。ゴムリングの一次密封領域におけるサイズは1.5mm−2.5mm、好ましくは2.12mmである。
上ケースとゴムリングの締め代は0.02−0.1mmであり、ゴムリングと下ケースの側壁との間の隙間は0.05mmであり、下ケースとゴムリングの一次密封領域との締め代は0.02−0.05mmである。
【0054】
密封後のモジュールは、垂直方向において一定の移動量(約2.0−2.5mm)を有する。これによって、電池内部の圧力が大き過ぎる場合に、上ケース、ゴムリング及び下ケースは圧力の作用下で軸方向において2.0mmの範囲内で移動することができることにより、電池の一次密封の局所が破壊され、電池の一次圧力解放が達成される。
【0055】
電池内部の圧力が急激に増大すると、一次密封が完全に破壊され、軸方向の移動量が2.0mmより大きくなり、電池内部の圧力は、ゴムリングと下ケースとの隙間嵌合位置の開放につれて電池の上ケースとゴムリングとの隙間に放出される。
【0056】
電池の下ケースとゴムリングとの隙間の圧力が二次密封保持力の上限に達すると、電池の二次密封が開放され、電池内部の圧力の放出が達成される。
【0057】
可動領域の隙間により、電池内部の圧力が増大した後、可動領域のサイズが徐々に小さくなり、サイズが0に近づくなるか、又は達したときに、三者の側壁の隙間が開放され、電池内部の圧力が側壁に沿って放出され、保護作用が発揮される。
【0058】
このサイズが0に近づくなるときに、二次密封の収縮開口は、上ケースが弾き出されないように保護し、これによって他の隣接する部品の安全が保証される。
【0059】
上記のことから、本発明は、従来のマイクロ充電式電池に存在する、容量が小さく、安全性と密封性が両立できないことにより良品率が低く、信頼性が低いとの問題を解決することができる。試験により、製品はサイズが安定的であり、品質が信頼的であり、良品率が99.5%と高いことが実証された。よって、本金型構造は、このような電池の良品率及び生産効率を大幅に向上させる。製品のサイズ、容量、安全性、密封性及び外観は、いずれも既存の類似製品よりも優れている。
【0060】
上記の各実施例は、本発明の技術態様を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。上記各実施例を参照しながら本発明を詳しく説明したが、当業者に理解され得るように、上記各実施例に記載の技術手段を修正するか、又は一部若しくは全部の技術特徴を同等置換することができる。対応する技術手段は、これらの修正又は置換により本発明の各実施例の技術的範囲から実質的に脱離することなく、本発明の特許請求の範囲及び明細書の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0061】
1 上ケース、
2 下ケース、
3 一次密封領域、
4 末広型ガイド筒、
5 延伸ガイド筒、
6 ゴムリング、
7 二次密封領域、
8 カップ体、
9 圧力解放可動領域、
10 均圧溝、
11 曲げ縁。