特許第6960215号(P6960215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960215
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】テープタイプ使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   A61F13/56 210
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-194290(P2016-194290)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-51227(P2018-51227A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 裕喜
【審査官】 原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−517105(JP,A)
【文献】 特開2006−158632(JP,A)
【文献】 特開2014−193208(JP,A)
【文献】 特開2011−078491(JP,A)
【文献】 特開2011−010822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側縁からそれぞれ突出するファスニングテープとを有し、
身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回して前記腹側部分の外面に着脱自在に連結する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記ファスニングテープは、連結面を有する連結手段を有するとともに、この連結面のうち腹側部分に対する連結部を有する幅方向範囲である連結領域を有しており、
前記連結領域は、前記ファスニングテープの先端側に位置する先端縁と、前記ファスニングテープの基端側に位置する基端縁とを有し前記連結面は、前後方向の前側に位置する前端縁と、前後方向の後側に位置する後端縁とを有しており、
前記連結領域に、前記基端縁から、前記先端縁、前記前端縁又は前記後端縁まで連続する指挿入部を有しており、
前記指挿入部は、前記連結部よりも前記腹側部分に対する連結力が弱いか又は前記腹側部分に対して連結しない部分であり、
前記連結面を有する連結手段が、前記連結領域における前記指挿入部の前後両側にわたり連続しており、
前記ファスニングテープを展開した状態で、前記連結部よりも幅方向中央側に、表裏に貫通する開口又はこれを形成するためのミシン目を有しており、
前記開口内に収まる周縁形状を有し、かつ前記開口における前記連結領域側の縁部から前記連結面上に延び出たカバー片を有しており、
前記カバー片のうち前記連結面を被覆する部分が前記連結面に連結されており、
前記指挿入部は、前記連結面のうち前記カバー片により被覆された部分であり、
前記連結部は、前記連結面のうち前記カバー片により被覆されていない部分である、
ことを特徴とする、テープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記開口における前記連結領域側の縁部を折り位置として、前記連結領域を有する側に位置する第1の部分が、前記開口を有する側に位置する第2の部分上に折り返されている、
請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記カバー片は前記開口と同一形状である、請求項2記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記折り位置から前記ファスニングテープの先端までの幅方向の距離をDとし、前記折り位置から前記カバー片の先端までの幅方向の距離をCとしたとき、D≧Cである、
請求項2又は3記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記折り位置から前記ファスニングテープの先端までの幅方向の距離をDとし、前記折り位置から前記カバー片の先端までの幅方向の距離をCとしたとき、C>Dである、
請求項2又は3記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記指挿入部は、前記連結領域の先端縁から前記連結領域の基端縁まで幅方向に連続しているとともに、前記ファスニングテープの基端側に向かうにつれて前後方向の長さが長くなる形状を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記指挿入部は、前記連結領域の先端縁から前記連結領域の基端縁まで幅方向に連続しているとともに、前記ファスニングテープの先端側に向かうにつれて前後方向の長さが長くなる形状を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記指挿入部は、前記連結領域の先端縁から前記連結領域の基端縁まで幅方向に連続しているとともに、前記連結領域の幅方向中間の位置から幅方向両側に向かうにつれて前後方向の長さが長くなる形状を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記指挿入部は、前記前端縁及び前記後端縁のいずれか一方から前記連結領域の基端縁に向かって斜め方向に延びている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項10】
前記開口は、前記指挿入部に向かう方向を示す矢印の形状を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項11】
前記ファスニングテープを前記腹側部分に連結した状態で前記腹側部分における前記開口から覗く部分の色と、前記開口の周囲の色とが異なる、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側縁からそれぞれ突出するファスニングテープと、腹側部分の外面に設けられたターゲットテープとを有し、身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回してターゲットテープ外面に着脱自在に連結する構造を有している(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
このようなテープタイプ使い捨ておむつでは、装着中にファスニングテープがターゲットテープから外れないようにファスニングテープがターゲットテープに対して十分に高い剥離強度を有する必要がある一方で、ターゲットテープにおけるファスニングテープの連結位置を適宜調整する際や、おむつの廃棄の際には、ファスニングテープがターゲットテープから容易に外れることが望ましい。
【0004】
しかし、従来の一般的なテープタイプ使い捨ておむつでは、ファスニングテープの先端を指でつまんで剥離する必要があり、握力が弱い使用者や、指が曲がりにくい使用者等にあっては容易に取り外しできるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−104078号公報
【特許文献2】特開2016−067502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の主たる課題は、握力が弱い使用者や、指が曲がりにくい使用者であっても容易に取り外しできるファスニングテープを備えたテープタイプ使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明の代表的態様は次のとおりである。
<第1の態様>
前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側縁からそれぞれ突出するファスニングテープとを有し、
身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回して前記腹側部分の外面に着脱自在に連結する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記ファスニングテープは、連結面を有する連結手段を有するとともに、この連結面のうち腹側部分に対する連結部を有する幅方向範囲である連結領域を有しており、
前記連結領域は、前記ファスニングテープの先端側に位置する先端縁と、前記ファスニングテープの基端側に位置する基端縁とを有し前記連結面は、前後方向の前側に位置する前端縁と、前後方向の後側に位置する後端縁とを有しており、
前記連結領域に、前記基端縁から、前記先端縁、前端縁又は後端縁まで連続する指挿入部を有しており、
前記指挿入部は、前記連結部よりも前記腹側部分に対する連結力が弱いか又は前記腹側部分に対して連結しない部分であり、
前記連結部は、前記連結領域における少なくとも前記指挿入部の前後両側には設けられており、
前記ファスニングテープを展開した状態で、前記連結部よりも幅方向中央側に、表裏に貫通する開口又はこれを形成するためのミシン目を有する、
ことを特徴とする、テープタイプ使い捨ておむつ。
【0008】
(作用効果)
本発明では、ファスニングテープの連結部が腹側部分の外面に連結された状態で、開口からファスニングテープの内側に指を導入し、その指を指挿入部に挿入し、この挿入した指でファスニングテープを捲るようにすると、ファスニングテープをつまむことなく連結部を剥離することができる。しかも、本発明では、ファスニングテープの先端側、前側、又は後側からも指を挿入して連結部を剥離することができるとともに、指挿入部が連結領域の基端縁から基端縁以外の縁まで連続するため、指を連結領域の一方側から他方側まで容易に挿入することができる。よって、握力が弱い使用者や、指が曲がりにくい使用者であってもファスニングテープを容易に取り外しできる。特に、指挿入部が適度に狭い場合には、指挿入部に指を挿入するだけで、ファスニングテープの連結部の指挿入部に近い部分が自動的に剥がれるため、その後に完全に剥離することも容易となる。
【0009】
<第2の態様>
前記連結面を有する連結手段が、前記連結領域における前記指挿入部の前後両側にわたり連続しており、
前記連結面の前後方向中間の部分に、前記開口側の側縁から、少なくとも前記連結面の幅方向中間位置まで被覆するカバー片を有しており、
前記連結面のうち前記カバー片により被覆された部分が前記指挿入部であり、
前記連結面のうち前記カバー片により被覆されていない部分が前記連結部であり、
前記開口における前記連結領域側の縁部を折り位置として、前記連結領域を有する側に位置する第1の部分が前記開口を有する側に位置する第2の部分上に折り返されており、
前記カバー片は、前記開口内に収まる周縁形状を有し、かつ前記開口における前記連結領域側の縁部から前記連結面上に延び出た部分であり、
前記カバー片は前記連結面に連結されている、
第1の態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0010】
(作用効果)
指挿入部の前後両側に連結部を設ける場合、指挿入部の前後両側に別個の連結手段をそれぞれ設ける手法の他、指挿入部の前後両側にわたる連結手段を設け、その前後方向中間の連結力を弱める又は失わせる手法をとることができる。また、後者の手法としては、連結手段自体に部分的に加工を施す手法と、連結面を部分的にカバー片で被覆する手法とが考えられる。なお、カバー片を用いる手法では、指挿入部の連結面がカバー片により被覆されるため、指挿入部に指を挿入しても皮膚を傷つけたり(連結手段がメカニカルファスナーのフック材である場合)、指を円滑に挿入できなかったり(連結手段が粘着剤の場合)することが防止される。
一方で、本発明では開口の形成も必要となるが、指挿入部及び連結部の形成と、開口の形成とを個別に行うと、製造の複雑化という点では好ましくない。
これに対して、本態様の場合、第1の部分が第2の部分上に折り返された折り畳み状態では、カバー片は連結面に連結された状態で開口と重なっており、第1の部分を折り畳み状態から展開すると、第1の部分の連結面に連結されたカバー片が開口における連結領域側の縁部を折り位置として折り返されると同時に、開口が開く。また、連結面にはカバー片が連結されており、連結面におけるカバー片により被覆された部分は指挿入部となる。
したがって、例えば、開口の形成部分を連結領域側の縁を残して周囲から切り離した後、開口における連結領域側の縁部を折り位置として、連結領域を有する側の第1の部分を開口を有する側の第2の部分上に折り返し、切り離し部分により囲まれた部分を連結手段の連結面に連結するだけで、開口及びカバー片(つまり指挿入部及び連結部と、開口とを)同時に形成でき、容易にかつ効率よく製造することができる。特に、一般的なテープタイプ使い捨ておむつの製造では、切断により個々のファスニングテープを形成するとともに、このファスニングテープを対象部材に取り付けた後、ファスニングテープを幅方向中央側に折り畳むことが行われている。よって、このような製造方法においては、個々のファスニングテープへの切断加工の際に同時に開口となる部分の周囲に切り込みを入れるだけで、ファスニングテープの折り畳み時にカバー片が自動的に連結面に連結されて指挿入部が形成され、使用に際してファスニングテープを展開すると開口が自動的に開口するようになる。
【0011】
<第3の態様>
前記カバー片は前記開口と同一形状である、第2の態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0012】
(作用効果)
このようにカバー片を開口と同一形状とすると、切除により廃材(トリム)となる部分が発生しないため好ましい。
【0013】
<第4の態様>
前記折り位置から前記ファスニングテープの先端までの幅方向の距離をDとし、前記折り位置から前記カバー片の先端までの幅方向の距離をCとしたとき、D≧Cである、
第2又は3の態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0014】
(作用効果)
この態様では、カバー片がファスニングテープの先端からはみ出すことがないため、見栄えに優れたものとなる。
【0015】
<第5の態様>
前記折り位置から前記ファスニングテープの先端までの幅方向の距離をDとし、前記折り位置から前記カバー片の先端までの幅方向の距離をCとしたとき、C>Dである、
第2又は3の態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0016】
(作用効果)
この態様では、カバー片がファスニングテープの先端からはみ出すことになるが、指挿入部が幅方向に連続することになり、ファスニングテープの先端側からも指を挿入して連結部を剥離することができ、かつその挿入位置を視認できる利点がある。また、ファスニングテープの先端からはみ出すカバー片をつまんでファスニングテープの連結部を剥離することもできる。
【0017】
<第6の態様>
連結面を有する連結手段が、前記連結領域における前記指挿入部の前後両側にわたり連続しており、
前記指挿入部は、前記連結領域の先端縁から前記連結領域の基端縁まで幅方向に連続しているとともに、前記ファスニングテープの基端側に向かうにつれて前後方向の長さが長くなる形状を有している、
第1〜5のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0018】
(作用効果)
この態様では、指挿入部の前後方向の長さが開口側において広くなるため、開口を通じての指挿入部への指の挿入が容易となるものでありながら、反対側では指挿入部の前後方向の長さが狭くなり、それに伴い連結面の前後方向の長さが広くなるため、指挿入部を設けたことに起因する連結力の低下を(特にファスニングテープの先端側において)抑制することができる。
【0019】
<第7の態様>
連結面を有する連結手段が、前記連結領域における前記指挿入部の前後両側にわたり連続しており、
前記指挿入部は、前記連結領域の先端縁から前記連結領域の基端縁まで幅方向に連続しているとともに、前記ファスニングテープの先端側に向かうにつれて前後方向の長さが長くなる形状を有している、
第1〜5のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0020】
(作用効果)
この態様では、指挿入部の前後方向の長さが先端側において広くなるため、先端側からの指の挿入が容易となるものでありながら、反対側では指挿入部の前後方向の長さが狭くなり、それに伴い連結面の前後方向の長さが広くなるため、指挿入部を設けたことに起因する連結力の低下を(特にファスニングテープの基端側において)抑制することができる。
【0021】
<第8の態様>
連結面を有する連結手段が、前記連結領域における前記指挿入部の前後両側にわたり連続しており、
前記指挿入部は、前記連結領域の先端縁から前記連結領域の基端縁まで幅方向に連続しているとともに、前記連結領域の幅方向中間の位置から幅方向両側に向かうにつれて前後方向の長さが長くなる形状を有している、
第1〜5のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0022】
(作用効果)
この態様では、指挿入部の前後方向の長さが開口側及びファスニングテープの先端側において広くなるため、開口を通じての指挿入部への指の挿入が容易となるものでありながら、幅方向中間では指挿入部の前後方向の長さが狭くなり、それに伴い連結面の前後方向の長さが広くなるため、指挿入部を設けたことに起因する連結力の低下を抑制することができる。
【0023】
<第9の態様>
連結面を有する連結手段が、前記連結領域における前記指挿入部の前後両側にわたり連続しており、
前記指挿入部は、前記連結手段の前後いずれか一方の縁から前記連結領域の基端縁に向かって斜め方向に延びている、
第1〜5のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0024】
(作用効果)
この態様では、ファスニングテープの前後方向からも指を挿入して連結部を剥離することができるとともに、指挿入部が斜め方向に連続するため、指を連結領域の斜め方向一方側から他方側まで容易に挿入することができる。
【0025】
<第10の態様>
前記開口は、前記指挿入部に向かう方向を示す矢印の形状を有している、
第1〜5のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0026】
(作用効果)
開口がこのような矢印形状をしていると、使用者が開口に指を入れること、及び指を入れる方向を想起しやすくなるため好ましい。
【0027】
<第11の態様>
前記ファスニングテープを前記腹側部分に連結した状態で前記腹側部分における前記開口から覗く部分の色と、前記開口の周囲の色とが異なる、
第1〜10のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0028】
(作用効果)
このように開口の周囲と、その中に覗く色とが異なる配色となっていると、使用者が開口を視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0029】
以上のとおり、本発明によれば、握力が弱い使用者や、指が曲がりにくい使用者であっても容易に取り外しできるファスニングテープを備えたテープタイプ使い捨ておむつとなる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
図2】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
図3】(a)図1のii-ii断面図、(b)図1のiii-iii断面図である。
図4図1のiv-iv断面図である。
図5】要部の展開状態の内面側を示す平面図である。
図6】テープタイプ使い捨ておむつの装着状態を概略的に示す斜視図である。
図7】ファスニングテープの剥離操作を概略的に示す斜視図である。
図8】ファスニングテープの剥離操作を概略的に示す幅方向の断面図である。
図9】ファスニングテープ部分の変化を示す斜視図である。
図10】ファスニングテープ部分の変化を示す幅方向の断面図である。
図11】要部の展開状態の内面側を示す平面図である。
図12】要部の展開状態の内面側を示す平面図である。
図13】要部の展開状態の内面側を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、ホットメルト接着剤等の接合手段及びそれによる接合箇所のうち説明上必要と認めた箇所については、図中に点模様を付して表現している。
【0032】
図1図6は、テープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。このテープタイプ使い捨ておむつは、液不透過性シート1の内面と、透液性トップシート2との間に、吸収体3が介在された基本構造を有している。
【0033】
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。図示形態の吸収体3は一層構造とされているが、下層吸収体とその上に積層された上層吸収体とからなる二層構造であっても良い。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3におけるパルプ目付けは100〜500g/m2程度、厚みは1〜15mm程度であるのが望ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m2程度であるのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
【0034】
(液不透過性シート)
液不透過性シート1は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の裏面側への移動を遮断するものである。液不透過性シート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。液不透過性シート1の単位面積あたりの重量は13〜40g/m2であるのが好ましく、厚みは0.01〜0.1mmであるのが好ましい。
【0035】
おむつ外面を布のような外観、肌触りとするために、液不透過性シート1の裏面全体は外装シート12で覆われており、両シート1,12の外周縁はおむつの外周縁まで及んでいる。外装シート12としては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート12は省略することもできる。
【0036】
(トップシート)
トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。透液性トップシート2に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
【0037】
トップシート2は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3側縁より外側に延在する部分が液不透過性シート1にホットメルト接着剤等により固着されている。なお、図中の点模様は固着部分を表しているものである。
【0038】
(脚周り立体ギャザー)
図3図5にも示されるように、物品内面の両側部(図示形態ではトップシート2の側縁部54a表面からその側方に延在する液不透過性シート1の表面)には、脚周り立体ギャザー4を構成する脚周り立体ギャザー4シート4sの幅方向WD外側の付根部分4xが前後方向LD全体にわたり貼り付けられている。脚周り立体ギャザー4シート4sは、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、液不透過性シート1に用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。脚周り立体ギャザー4シート4sの幅方向WD中央側の突出部分4cは、前後方向LD両端部では倒伏状態で物品内面(図示形態ではトップシート2表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着され、倒伏部分4eとされているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分4fとなっており、この自由部分4fの先端部等(展開状態における幅方向WD中央側の端部)には、細長状弾性伸縮部材4Gが前後方向LDに沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性伸縮部材4Gは図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。細長状弾性伸縮部材4G(他の細長状弾性伸縮部材も同様)としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。この自由部分4fは、細長状弾性伸縮部材4Gの収縮力が作用する結果、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する脚周り立体ギャザー4を構成する。この起立部分の基端4bは脚周り立体ギャザー4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。
【0039】
使い捨ておむつの前後方向両端部では、液不透過性シート1、外装シート12、透液性トップシート2および脚周り立体ギャザーシート4sが吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、使い捨ておむつの左右両側部では、液不透過性シート1、外装シート12、透液性トップシート2および脚周り立体ギャザーシート4sが吸収体3の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないサイドフラップ部SFが形成されている。サイドフラップ部SFのうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつの胴周り部分となり、中間部分が脚周り包囲部分となり、その両側縁が脚開口の縁Leとなる。
【0040】
(平面ギャザー)
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、液不透過性シート1と外装シート12との間に細長状弾性部材7が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この細長状弾性部材7の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
【0041】
左右各側における細長状弾性部材7の本数は適宜定めることができるが、1〜10本程度、より好ましくは3〜8本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2〜15mm程度、特に6〜10mm程度とするのが好ましい。また、各細長状弾性部材7としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各細長状弾性部材7の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
【0042】
(ファスニングテープ)
背側部分Bのサイドフラップ部SFには、その側縁からそれぞれ突出するファスニングテープ5が取り付けられるとともに、腹側部分Fの胴周り部表面に幅方向に沿ってターゲットテープ6が貼着されており、身体への装着に際しては、おむつ100を身体にあてがった状態で、両側のファスニングテープ5を左右各側から腹側に回してターゲットテープ6に連結する。
【0043】
図3に示されるように、ファスニングテープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップ部SFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップ部SFの側縁のシート間から幅方向外側に突出する突出部5eとを有しており、この突出部5eは先端部5pと、この先端部5pよりも基端側の本体部5bとを有している。ファスニングテープ5の先端部5pの内面側(トップシート2側)には、ターゲットテープ6に着脱自在に連結するための連結手段9として、表面にフック状突起を多数有するフック材(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材)がそれぞれ取り付けられているが、フック材に代えて粘着剤層を用いることもできる。
【0044】
また、図5に示されるように、ファスニングテープ5には、前後方向中間部における幅方向外側縁から本体部5b内まで幅方向に沿うミシン目10が設けられており、このミシン目10を切り離すことにより、図6に示すように各々が固定部、本体部、先端部及び固定部を備えた上段部5W及び下段部5Uに分離することができるものである。ミシン目10に代えて、予め切断等により分離されていても良い。このようなファスニングテープ5は、図6に示すように、上段部5Wと下段部5Uとを交差させた状態で、腹側部分Fのターゲットテープ6に着脱自在に連結することができる。もちろん、このような上下2段分割タイプに限られず、2段分割しないタイプ等、他の公知のファスニングテープに応用することもできる。
【0045】
(ターゲットテープ)
ターゲットテープ6は、ファスニングテープ5の着脱を確実容易にするためのものであり、ファスニングテープ5の連結手段9がフック材により形成されている場合には、フック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するシート材、例えばメカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材や不織布を用いることができ、フック材ではなく粘着剤層を用いる場合には、その粘着性を十分に発揮させうる樹脂シートを用いたりすることができる。ターゲットテープ6の寸法は特に限定されないが、腹側部分の最大幅の60〜90%程度とすることが望ましい。また、ファスニングテープ5の連結手段9がメカニカルファスナーのフック材であり、かつ腹側部分Fの外面が不織布により形成されている場合には、ターゲットテープ6を省略し、ファスニングテープ5のフック材を腹側部分Fの外面の不織布に直接連結することもできる。
【0046】
(指挿入部・開口)
図5に拡大して示すように、ファスニングテープ5における、腹側部分Fに対する連結部51を有する幅方向WD範囲である連結領域50に、連結部51よりも腹側部分Fに対する連結力が弱いか又は腹側部分Fに対して連結しない指挿入部52を有している。連結領域50はファスニングテープ5の先端側に位置する先端縁50aと、ファスニングテープ5の基端側に位置する基端縁50bを有しており、指挿入部52は連結領域50の基端縁50bから先端縁50aまで連続している。また、連結部51は、連結領域50における少なくとも指挿入部52の前後両側に設けられる。
【0047】
指挿入部52は、連結部51よりも腹側部分Fに対する連結力が弱いか又は腹側部分Fに対して連結しないものである限り、特に限定されるものではない。したがって、例えば、図11(a)に示すように連結手段9を前後方向LDに間隔を空けて設け、この連結手段9の間の部分を指挿入部52とする手法の他、図5等に示すように、連結面を有する連結手段9を指挿入部52の前後両側にわたり設け、連結面の前後方向LD中間の連結力を弱める又は失わせる手法をとることもできる。さらに、後者の手法としては、例えば図11(b)に示すように、フック材のピンを溶融させて押しつぶす等の部分的な加工を連結手段9自体に施す手法の他、図5等に示すように、連結面を部分的にカバー片53で被覆する手法も採用することができる。カバー片53の形態では、連結手段9の連結面のうちカバー片53により被覆された部分が指挿入部52となり、連結手段9の連結面のうちカバー片53により被覆されていない部分が連結部51となる。カバー片53と連結手段9の連結面との連結には、別途の接着剤や溶着により連結してもよいが、連結手段9の連結機能を利用することが好ましい。このため、カバー片53は連結手段9の連結機能で着脱できる素材であることが好ましく、通常の場合、不織布であることが好ましい。不織布であれば、連結手段9がフック材であっても、粘着剤であっても、別途の手段を用意することなく連結することができる。
【0048】
また、図5等に示すように、本テープタイプ使い捨ておむつでは、ファスニングテープ5を展開した状態で、連結部51よりも幅方向中央側に、表裏に貫通する開口54が設けられている。開口54に代えて、開口54となる部分の周縁に開口54を形成するためのミシン目を形成してもよい。開口54は、ファスニングテープ5に設けられていることが望ましいが、ファスニングテープ5における連結領域50の位置によっては、背側部分Bのサイドフラップ部に設けることもできる。
【0049】
図7(a)及び図8に示すように、ファスニングテープ5の連結部51が腹側部分Fの外面に連結された状態から、ファスニングテープ5を剥離するときには、開口54からファスニングテープ5の内側に指60を導入し、その指60を指挿入部52に挿入し、この挿入した指60でファスニングテープ5を捲るようにすると、ファスニングテープ5をつまむことなく連結部51を剥離することができる。よって、握力が弱い使用者や、指60が曲がりにくい使用者であってもファスニングテープ5を容易に取り外しできる。特に、図8に示すように、カバー片53で連結手段9の連結面を被覆して指挿入部52を形成すると、指挿入部52の連結手段9がカバー片53により被覆されるため、指挿入部52に指60を挿入しても皮膚を傷つけたり(連結手段9がメカニカルファスナーのフック材である場合)、指60を円滑に挿入できなかったり(連結手段9が粘着剤の場合)することが防止される。
【0050】
このような剥離機能を実現するためには、指挿入部52及び連結部51の形成と、開口54の形成とが必要になるが、これらを個別に行うと、製造の複雑化という点では好ましくない。そこで、図3及び図5に示すように、連結手段9をカバー片53により部分的に被覆することにより指挿入部52を形成する構造を基本としつつ、図9(b)及び図10(b)に示すように、開口54における連結領域50側の縁部54aを折り位置として、連結手段9が内側に隠れるように、連結領域50を有する側に位置する第1の部分が開口54を有する側に位置する第2の部分上に折り返され、カバー片53は、開口54内に収まる周縁形状を有し、かつ開口54における連結領域50側の縁部54aから連結手段9の連結面上に延び出た部分であり、カバー片53が連結手段9に連結されている形態が提案される。
【0051】
この場合、第1の部分が第2の部分上に折り返された折り畳み状態では、カバー片53は連結手段9の連結面に連結された状態で開口54と重なっており、第1の部分を折り畳み状態から展開すると、図5及び図8に示すように、第1の部分の連結面に連結されたカバー片53が開口54における連結領域50側の縁部54aを折り位置として折り返されると同時に、開口54が開く。また、連結手段9の連結面にはカバー片53が連結されており、連結手段9の連結面におけるカバー片53により被覆された部分は指挿入部52となる。
【0052】
したがって、例えば、図9(a)及び図10(a)に示すように、開口54の形成部分を連結領域50側の縁部54aを残して周囲から切り離した後、開口54における連結領域50側の縁部54aを折り位置として、図9(b)及び図10(b)に示すように、連結領域50を有する側の第1の部分を開口54を有する側の第2の部分上に折り返し、切り離し部分により囲まれた部分を連結手段9の連結面に連結するだけで、開口54及びカバー片53(つまり指挿入部52及び連結部51と、開口54とを)同時に形成でき、容易にかつ効率よく製造することができる。特に、一般的なテープタイプ使い捨ておむつの製造では、切断により個々のファスニングテープ5を形成するとともに、このファスニングテープ5を対象部材に取り付けた後、ファスニングテープ5を幅方向WDの中央側に折り畳むことが行われている。よって、このような製造方法においては、個々のファスニングテープ5への切断加工の際に同時に開口54となる部分の周囲に切り込みを入れるだけで、ファスニングテープ5の折り畳み時にカバー片53が自動的に連結面に連結されて指挿入部52が形成され、図9(c)及び図10(c)に示すように、使用に際してファスニングテープ5を展開すると開口54が自動的に開口54するようになる。なお、一般的なテープタイプ使い捨ておむつと同様に、図9(b)及び図10(b)に示す状態から、さらに複数回折り畳んで製品の包装袋に詰めることができる。
【0053】
この場合、図示形態のようにカバー片53が開口54と同一形状であると、切除により廃材(トリム)となる部分が発生しないため好ましいが、第1の部分が第2の部分上に折り返された折り畳み状態でカバー片53が開口54内に収まる周縁形状を有している限り、開口54と異なる形状となっていてもよい。
【0054】
また、この形態において、カバー片53の幅方向寸法は適宜定めることができるが、カバー片53の幅方向WDの寸法は、開口54と連結領域50との最短間隔よりも長いことが必要である。さらに、この形態では、折り位置(縁部54a)からファスニングテープ5の先端までの幅方向WDの距離をDとし、折り位置(縁部54a)からカバー片53の先端までの幅方向WDの距離をCとしたとき、図8(a)に示すようにD≧C、特にD>Cであると、図7に示すようにカバー片53がファスニングテープ5の先端からはみ出すことがないため、見栄えに優れたものとなる。反対に図8(b)に示すようにC>Dであると、カバー片53がファスニングテープ5の先端からはみ出すことになるが、指挿入部52が幅方向WDに連続することになり、ファスニングテープ5の先端側からも指60を挿入して連結部51を剥離することができ、かつその挿入位置を視認できる利点がある。また、ファスニングテープ5の先端からはみ出すカバー片53をつまんでファスニングテープ5の連結部51を剥離することもできる。
【0055】
(指挿入部の形状)
指挿入部52は、図12(a)に示すように、連結領域50の基端縁50bから、先端縁50aまで連続していると、ファスニングテープ5の先端側からも指60を挿入して連結部51を剥離することができるとともに、指挿入部52が幅方向WDに連続するため、指60を連結領域50の一方側から他方側まで容易に挿入することができる(第1形態)。また、図13(b)に示すように、指挿入部52は、連結領域50の基端縁から、連結手段9の前後方向LD少なくとも一方の縁まで連続する部分を有していると、ファスニングテープ5の前後方向LDからも指60を挿入して連結部51を剥離することができる(第2形態)。
【0056】
指挿入部52の形状は長方形等、適宜の形状とすることができるが、例えば上記第1形態において、連結手段9が、連結領域50における指挿入部52の前後両側にわたり連続するものとなっている場合、図12(a)に示すように、指挿入部52は、ファスニングテープ5の基端側に向かうにつれて前後方向LDの長さが長くなる形状を有しているのは一つの好ましい形態である。この形態では、指挿入部52の前後方向LDの長さが開口54側において広くなるため、開口54を通じての指挿入部52への指60の挿入が容易となるものでありながら、反対側では指挿入部52の前後方向LDの長さが狭くなり、それに伴い連結面の前後方向LDの長さが広くなるため、指挿入部52を設けたことに起因する連結力の低下を(特にファスニングテープ5の先端側において)抑制することができる。
【0057】
また、例えば上記第1形態において、連結手段9が、連結領域50における指挿入部52の前後両側にわたり連続するものとなっている場合、図12(b)に示すように、指挿入部52は、ファスニングテープ5の先端側に向かうにつれて前後方向LDの長さが長くなる形状を有していてもよい。この場合、指挿入部52の前後方向LDの長さが先端側において広くなるため、先端側からの指60の挿入が容易となるものでありながら、反対側では指挿入部52の前後方向LDの長さが狭くなり、それに伴い連結面の前後方向LDの長さが広くなるため、指挿入部52を設けたことに起因する連結力の低下を(特にファスニングテープ5の基端側において)抑制することができる。
【0058】
また、例えば上記第1形態において、連結手段9が、連結領域50における指挿入部52の前後両側にわたり連続するものとなっている場合は、図13(a)に示すように、指挿入部52は、連結領域50の幅方向WD中間の位置から幅方向WDの両側に向かうにつれて前後方向LDの長さが長くなる形状を有しているのも好ましい形態である。すなわち、この形態では、指挿入部52の前後方向LDの長さが開口54側及びファスニングテープ5の先端側において広くなるため、開口54を通じての指挿入部52への指60の挿入が容易となるものでありながら、幅方向WD中間では指挿入部52の前後方向LDの長さが狭くなり、それに伴い連結面の前後方向LDの長さが広くなるため、指挿入部52を設けたことに起因する連結力の低下を抑制することができる。
【0059】
また、例えば上記第2形態において、連結手段9が、連結領域50における指挿入部52の前後両側にわたり連続するものとなっている場合は、図13(b)に示すように、指挿入部52は、連結手段9の前後いずれか一方の縁から連結領域50の基端縁50bに向かって斜め方向に延びている形態とすることができる。この形態では、ファスニングテープ5の前後方向LDからも指60を挿入して連結部51を剥離することができるとともに、指挿入部52が斜め方向に連続するため、指60を連結領域50の斜め方向一方側から他方側まで容易に挿入することができる。
【0060】
指挿入部52の寸法は適宜定めればよい。例えば、上記第1の形態の場合、指挿入部52の前後方向寸法は連結領域50の前後方向寸法の15〜60%程度であることが好ましい。ただし、指挿入部52が適度に狭い場合には、指挿入部52に指60を挿入するだけで、ファスニングテープ5の連結部51の指挿入部52に近い部分が自動的に剥がれるため、その後に完全に剥離することも容易となる。また、連結手段9が、連結領域50における指挿入部52の前後両側にわたり連続するものの場合、指挿入部52の面積が小さい方が、指挿入部52を設けたことに起因する連結力の低下を抑制できる。このような観点から、例えば、上記第1の形態の場合、指挿入部52の前後方向寸法(変化する場合は最大値)は5〜25mmの範囲であることが好ましい。上記第1形態におけるカバー片53の前後方向寸法は、指挿入部52の寸法と同じになる。
【0061】
開口54の寸法及び形状は、開口54内の部分を形成する素材によりカバー片53を形成する場合には、カバー片53の寸法により制約を受けるが、この制約の中であれば、又はこの制約がない場合は、開口54の寸法及び形状は適宜定めることができる。通常の場合、指60の挿入容易性を考慮すると、開口54の幅方向寸法は10〜50mm、開口54の前後方向寸法は5〜25mmとすることが望ましい。開口54の形状は、三角形や四角形等の多角形状、円状、楕円状等、適宜定めることができる。特に図5等に示すように、開口54が指挿入部52に向かう方向を示す矢印の形状を有していると、使用者が開口54に指60を入れること、及び指60を入れる方向を想起しやすくなるため好ましい。
【0062】
(その他)
図6(a)に示すように、ファスニングテープ5を腹側部分Fに連結した状態で、腹側部分Fにおける開口54から覗く部分の色(例えば図示形態のようにターゲットテープ6表面の色)と、開口54の周囲の色とが異なっていると、使用者が開口54を視認しやすくなるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、上記例のようにテープタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0064】
1…液不透過性シート、10…ミシン目、12…外装シート、2…トップシート、3…吸収体、4…脚周り立体ギャザー、4e…倒伏部分、4f…自由部分、5…ファスニングテープ、50…連結領域、50a…先端縁、50b…基端縁、51…連結部、52…指挿入部、53…カバー片、54…開口、54a…縁部、6…ターゲットテープ、60…指、9…連結手段、B…背側部分、F…腹側部分、LD…前後方向、WD…幅方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13