特許第6960217号(P6960217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960217グレリンシグナル増強剤およびグレリンシグナル増強用食品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960217
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】グレリンシグナル増強剤およびグレリンシグナル増強用食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/258 20060101AFI20211025BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20211025BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   A61K36/258
   A23L33/105
   A61K31/58
   A61K31/704
   A61P3/02
   A61P43/00 111
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-202425(P2016-202425)
(22)【出願日】2016年10月14日
(65)【公開番号】特開2018-62488(P2018-62488A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2018年12月21日
【審判番号】不服2020-12442(P2020-12442/J1)
【審判請求日】2020年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】306018343
【氏名又は名称】クラシエ製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(72)【発明者】
【氏名】千葉 殖幹
(72)【発明者】
【氏名】張 紹輝
(72)【発明者】
【氏名】藤田 日奈
(72)【発明者】
【氏名】与茂田 敏
【合議体】
【審判長】 原田 隆興
【審判官】 穴吹 智子
【審判官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 比較統合医療学会誌,2016年 6月,Vol.24,No.1,pp.16−20
【文献】 Journal of Vascular Surgery,2011年,Vol.53,No.1,pp.156−164
【文献】 日本東洋医学雑誌,1984年,Vol.35,No.1,pp.1−22
【文献】 Tetrahedron Letters,1965年,No.3,pp.207−213
【文献】 日薬理誌,2007年,Vol.130,pp.14−18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K36/00−36/06
A61K36/07−36/9068
A23L33/00−33/29
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
WPI(STN)
REGISTRY(STN)
MEDLINE(STN)
CAplus(STN)
BIOSIS(STN)
EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人参を有効成分として含有する、グレリン存在下におけるグレリンシグナルを介したカルシウム流入の増強剤(朮を含むものを除く)。
【請求項2】
前記人参が、人参から抽出したエキスとして含有される、請求項1に記載のグレリンシグナルを介したカルシウム流入の増強剤(朮を含むものを除く)。
【請求項3】
パナキサジオール、プロトパナキサジオールおよびパナキサトリオールからなる群より選択される少なくとも1つまたはその配糖体を有効成分として含有する、グレリン存在下におけるグレリンシグナル増強剤。
【請求項4】
人参を有効成分として含有する、グレリン存在下におけるグレリンシグナルを介したカルシウム流入の増強用食品組成物(朮を含むものを除く)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレリンシグナルを増強するグレリンシグナル増強剤およびグレリンシグナル増強用食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者の体重減少や筋力あるいは精神的な活動が低下した状態など、加齢による一定以上の機能の低下は、ストレスや感染、ケガや基礎疾患などの環境因子に対して脆弱性が高まった状態であると考えられる。このような高齢者の状態は、健康と要介護の境界状態として、一般に「フレイル」と定義される。このような状態を放置すると、さまざまな疾病の発症、認知機能の低下、転倒や骨折および社会的孤立など健康障害の連鎖で介護が必要な状態に陥るリスクが高い。そのため、いわゆるフレイルの段階で改善に向けて取り組むことが重要である。
【0003】
一方で、高齢者のフレイルへの移行は、低栄養と密接に関わっており、加齢に伴う様々な要因からの摂食量の低下が、慢性的な栄養不足の状態を作り出し、筋力や骨密度、体重、免疫力、運動能力や社会的活動の低下を間接的に引き起こす事が知られている。このため、フレイルの対策としての摂食改善は、有効な戦略の一つである。摂食行動は、脳の視床下部を中心として、大脳皮質から脊髄までの神経ネットワークによって管理されており、主にホルモンや神経ペプチドによって、その方向性が制御されている。その中で、グレリンは、末梢では唯一の摂食亢進ホルモンである。
【0004】
グレリンは、強力な摂食促進作用を持つペプチドホルモンであり、胃や視床下部に存在するグレリン分泌細胞と、その受容体を持つ細胞群によって、摂食意欲や行動、消化酵素や胃酸の分泌など、摂食行動に向けた様々な段階が統合的に制御されている。またグレリンは、典型的なGタンパク質共役受容体であるグレリン受容体の活性化を介して下垂体からの成長ホルモン(GH)分泌を促進する作用も報告されており、摂食促進だけではなく、高齢者の運動能力を担保するための筋肉の維持にも重要であると考えられている。
【0005】
また、グレリンは、摂食促進やGH分泌促進作用以外にも多彩な生理作用を有しており、カヘキシア(悪液質)を呈する心不全および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、メタボリックシンドローム、認知症、機能性胃腸症、神経性食思不振症、胃全摘手術並びに癌などに対する改善効果が報告されている。
【0006】
一方で、高齢者の食欲不振やカヘキシアをきたしたCOPDや癌患者などでは、血中グレリン濃度が高いにもかかわらずグレリン反応性が低下するなど、グレリンの分泌が食欲の促進や筋肉量の上昇に結びつかない、グレリン抵抗性を発現していることが知られている。
【0007】
グレリン抵抗性に着目した改善剤として、たとえば特許文献1には、ソウジュツを含有する六君子湯を有効成分とする悪液質改善剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-121846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、グレリンシグナルを増強させることで、グレリン抵抗性を改善することができる新規の手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
グレリン受容体(GHSR受容体)は、活性化すると細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させることがわかっている。そこで、本発明者らは、ヒトグレリン受容体を安定的に発現している細胞を用いて細胞内のカルシウムイオンの上昇を調べることにより、種々の物質によるグレリンシグナルに対する効果を調べた。その結果、人参のエキスがグレリン存在下でグレリンシグナルを増強することを見出した。また、本発明者らは、人参由来のパナキサジオール、プロトパナキサジオール、パナキサトリオールおよびプロトパナキサトリオールもまた、グレリン存在下でグレリンシグナルを増強することを見出した。
【0011】
本発明は、人参を有効成分として含有する、グレリンシグナル増強剤を提供する。
【0012】
また本発明は、上記グレリンシグナル増強剤において、人参が、人参から抽出したエキスとして含有されるグレリンシグナル増強剤を提供する。
【0013】
また本発明は、ダンマラン系トリテルペンまたはその配糖体を有効成分として含有する、グレリンシグナル増強剤を提供する。
【0014】
また本発明は、上記グレリンシグナル増強剤において、ダンマラン系トリテルペンまたはその配糖体が、パナキサジオール、プロトパナキサジオール、パナキサトリオールおよびプロトパナキサトリオールからなる群より選択される少なくとも1つまたはその配糖体を含む、グレリンシグナル増強剤を提供する。
【0015】
また本発明は、人参を有効成分として含有する、グレリンシグナル増強用食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、グレリンシグナルを増強させ、グレリン抵抗性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】人参エキスによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフ。
図2】パナキサジオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフ。
図3】プロトパナキサトリオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフ。
図4】パナキサトリオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフ。
図5】プロトパナキサジオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、グレリンシグナル増強剤を提供する。本明細書において、「グレリンシグナル」とは、グレリンによって引き起こされる細胞応答をいう。グレリンによって引き起こされる細胞応答には、グレリン受容体の活性化およびグレリン受容体の下流のシグナル伝達の活性化などが含まれ、たとえばグレリン受容体(GHSR)の下流のシグナル伝達の活性化、およびグレリンの刺激によって増強される各種ホルモンの細胞からの産生などが含まれる。「グレリンシグナルを増強する」とは、グレリンによる細胞応答を増強させ、増加させ、または上昇させること、すなわちグレリン受容体を介したシグナル伝達を増強させ、増加させ、または上昇させることをいう。
【0019】
本発明のグレリンシグナル増強剤は、グレリン単独で刺激するよりも、グレリンシグナルを増強し、グレリンに対する細胞応答を高めることができる。そのため、本発明のグレリンシグナル増強剤は、グレリン抵抗性を改善することができる。本明細書において「グレリン抵抗性」とは、グレリンに対する反応性が低下している状態をいう。
【0020】
本発明のグレリンシグナル増強剤は、人参を有効成分として含有する。本発明に使用する人参は、薬用人参であり、たとえば高麗人参(朝鮮人参)、御種人参、竹節人参および田七人参などが含まれる。
【0021】
本発明に使用する人参は、たとえば人参末および人参から抽出したエキス(人参エキス)などであってもよい。人参末は、従来公知の方法により得ることができ、たとえば人参を粉砕し乾燥することにより得ることができる。人参エキスは、従来公知の抽出方法を使用して人参から得ることができ、たとえば人参を水等の溶媒に加えて加熱抽出し、ろ過後に乾燥することによって得ることができる。
【0022】
本発明はまた、ダンマラン系トリテルペンまたはその配糖体を有効成分として含有する、グレリンシグナル増強剤を提供する。ダンマラン系トリテルペンは、2,3-オキシドスクアレンがchair-chair-chair-boatの構造をとって環化してなる、ダンマラン型のトリテルペン群である。本発明のグレリンシグナル増強剤は、1つまたは複数のダンマラン系トリテルペンまたはその配糖体を含有することができる。本発明に使用するダンマラン系トリテルペンまたはその配糖体は、人参由来のダンマラン系トリテルペンまたはその配糖体であってもよい。
【0023】
本発明に使用するダンマラン系トリテルペンまたはその配糖体は、パナキサジオール、プロトパナキサジオール、パナキサトリオールおよびプロトパナキサトリオールからなる群より選択される少なくとも1つまたはその配糖体であることができる。パナキサジオール、プロトパナキサジオール、パナキサトリオールおよびプロトパナキサトリオールは、ダンマラン系トリテルペンであり、人参に含まれるサポニン(配糖体)から糖が外れたアグリコン体の一種である。
【0024】
本明細書において「配糖体」とは、糖基(グリコン)がグリコシド結合によりアグリコンに結合した化合物をいう。パナキサジオール、プロトパナキサジオール、パナキサトリオールおよびプロトパナキサトリオールは、天然の人参において、たとえばギンセノシド(Ginsenoside)などの配糖体の形で存在する。本発明に使用するパナキサジオール、プロトパナキサジオール、パナキサトリオールおよびプロトパナキサトリオールの配糖体は、特に限定されないが、天然の人参において存在する形態でもよく、たとえばギンセノシドRb1などが含まれる。
【0025】
本発明のグレリンシグナル増強剤は、任意の形態の製剤であることができる。本発明のグレリンシグナル増強剤は、経口投与製剤として、たとえば糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠およびチュアブル錠等の錠剤;トローチ剤;丸剤;散剤;硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤;顆粒剤;ならびに懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤等の液剤などであることができる。
【0026】
また、本発明のグレリンシグナル増強剤は、静脈注射、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射、経皮投与、経鼻投与、経肺投与、経腸投与、口腔内投与および経粘膜投与などの非経口投与製剤であることができる。本発明のグレリンシグナル増強剤は、たとえば、注射剤、経皮吸収テープ、エアゾール剤および坐剤などであることができる。
【0027】
また、本発明のグレリンシグナル増強剤は、食用に適した形態であることができ、たとえば固形状、液状、顆粒状、粒状、粉末状、カプセル状、クリーム状およびペースト状などであってもよい。
【0028】
本発明のグレリンシグナル増強剤は、医薬品、医薬部外品および食品に通常用いられる任意の成分をさらに含むことができる。たとえば、本発明のグレリンシグナル増強剤は、薬学的に許容される基剤、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤および着色剤などをさらに含んでもよい。
【0029】
本発明のグレリンシグナル増強剤に使用する担体および賦形剤の例には、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、デキストリン、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよび結晶セルロースなどを含む。
【0030】
結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、シロップ、トラガントゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどを含む。
【0031】
崩壊剤の例には、デンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムなどを含む。
【0032】
滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、タルクおよびマクロゴールなどを含む。着色剤は、医薬品、医薬部外品および食品に添加することが許容されている任意の着色剤を使用することができる。
【0033】
また、本発明のグレリンシグナル増強剤は、必要に応じて、白糖、ゼラチン、精製セラック、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレートおよびメタアクリル酸重合体などで一層以上の層で被膜してもよい。
【0034】
また、本発明のグレリンシグナル増強剤は、必要に応じて、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、防腐剤、希釈剤、コーティング剤、甘味剤、香料および可溶化剤などを添加してもよい。
【0035】
本発明のグレリンシグナル増強剤における人参またはダンマラン系トリテルペンの含有量は、グレリンシグナル増強効果を発揮することができる量であればよく、適用する対象、目的および投与方法(摂取方法)に応じて適宜設定することができる。
【0036】
本発明はまた、人参を有効成分として含有する、グレリンシグナル増強用食品組成物を提供する。本発明の食品組成物は、上述したグレリンシグナル増強剤と同様に構成することができる。
【0037】
本明細書において「食品組成物」には、一般的な飲食品だけでなく、病者用食品、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品およびサプリメントなどが含まれる。一般的な飲食品には、たとえば各種飲料、各種食品、加工食品、液状食品(スープ等)、調味料、栄養ドリンクおよび菓子類などが含まれる。本明細書において「加工食品」とは、天然の食材(動物および植物など)に対し加工および/または調理を施したものをいい、たとえば肉加工品、野菜加工品、果実加工品、冷凍食品、レトルト食品、缶詰食品、瓶詰食品およびインスタント食品などが含まれる。本発明の食品組成物は、グレリンシグナルを増強する旨の表示を付した食品であってもよい。また、本発明の食品組成物は、袋および容器等に封入された形態で提供されてもよい。本発明において使用する袋および容器は、食品に通常使用される任意の袋および容器であることができる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1:人参エキスの調製方法)
オタネニンジンの根を乾燥させた人参生薬の刻み(クラシエ製薬)1.5kgを量り、15kgの温水を入れ、20分間かけて100℃に昇温し、100℃で60分間加熱還流抽出した後、100メッシュの篩いでろ過した。ろ液を減圧下で6倍濃縮した後、噴霧乾燥し、噴霧乾燥エキス210gを得た。
【0040】
(試験例1:カルシウム流量アッセイ)
グレリン受容体(GHSR受容体)は、活性化されると細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる。人参エキスおよび種々の化合物によるグレリンシグナルの増強作用を観察するために、以下のようにカルシウム流量アッセイを行った。
【0041】
グレリン受容体を発現していないCHO-K1細胞に、ヒトグレリン受容体(GHSR1a)を安定的に発現させた細胞株(Genscript Co. No.M00189)を得た。この細胞を、10% FBS+F12 medium 20μL中に15,000cell/wellとなるように382wellに播種し、18時間、37℃、5%CO2条件で培養した。
【0042】
次に、20μLのFLIPR Ca4染色液(Molecular device)をウェルに添加し、37℃で60分間インキュベートし、続いて室温にて15分間インキュベートした。
【0043】
アゴニストコントロールとして、ヒト活性型グレリン(Genscript)の2.5nM溶液を調製した。実施例1の人参エキスは、5μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mLの試料溶液として調製した。また、人参の含有成分であるパナキサジオール、プロトパナキサジオール、パナキサトリオールおよびプロトパナキサトリオールの試料溶液を調製した。パナキサジオール(クラシエ製薬)、プロトパナキサジオール(Abcam)、パナキサトリオール(クラシエ製薬)およびプロトパナキサトリオール(Abcam)は、0.1%、0.3%または0.6%のジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール(MeOH)またはPBSに、10μM、30μMまたは60μMとなるように溶解した。
【0044】
試料溶液およびグレリン、試料溶液のみ、またはグレリンのみ(10μL)をウェルに添加し、蛍光シグナルを120秒間モニターした。
【0045】
最初の20秒の平均値をベースラインとし、最大の蛍光強度(21s〜120s)からベースラインの平均値を差し引くことによって、相対蛍光強度(ΔRFU)を算出した。グレリンシグナル活性(%Stimulation)は、グレリンおよび試料を添加しなかったときの相対蛍光強度に対するサンプルの相対蛍光強度の割合(%)として算出した。
【0046】
(人参エキス)
人参エキスを5μg/mL、30μg/mLまたは100μg/mL添加し、グレリン存在下でのグレリンシグナルの増強効果を調べた。図1は、人参エキスによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフである。図1に示すように、人参エキスは、グレリン存在下で、用量依存的にグレリンシグナルを増強させた。
【0047】
(パナキサジオール)
パナキサジオールを10μM、30μMまたは60μM添加し、グレリン存在下でのグレリンシグナルの増強効果を調べた。図2は、パナキサジオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフである。図2に示すように、パナキサジオールは、グレリン存在下で、用量依存的にグレリンシグナルを増強させた。
【0048】
(プロトパナキサトリオール)
プロトパナキサトリオールを60μM添加し、グレリン存在下でのグレリンシグナルの増強効果を調べた。図3は、プロトパナキサトリオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフである。図3に示すように、プロトパナキサトリオールは、グレリン存在下でグレリンシグナルを増強させた。
【0049】
(パナキサトリオール)
パナキサトリオールを60μM添加し、グレリン存在下でのグレリンシグナルの増強効果を調べた。図4は、パナキサトリオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフである。図4に示すように、パナキサトリオールは、グレリン存在下でグレリンシグナルを増強させた。
【0050】
(プロトパナキサジオール)
プロトパナキサジオールを60μM添加し、グレリン存在下でのグレリンシグナルの増強効果を調べた。図5は、プロトパナキサジオールによるグレリンシグナル増強作用を示すグラフである。図5に示すように、プロトパナキサジオールは、グレリン存在下でグレリンシグナルを増強させた。
したがって、図2図5に示すように、人参由来のダンマラン系トリテルペンにグレリンシグナル増強作用があることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、グレリンシグナルを増強させ、グレリン抵抗性を改善するための医薬、医薬部外品および食品として好適に利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5