(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための一実施形態について図面等を参照して説明する。なお、以下に示す構成等は一例であり、これに限定するものではない。
【0014】
[装置構成]
本発明の一実施形態に係るインプリント装置の構成例について説明する。
【0015】
図1は、本願発明に係るインプリント装置101の構成例を示す概略図である。インプリント装置101は、物品としての半導体デバイスなどのデバイスの製造に使用され、被処理の基板111上に塗布された未硬化樹脂をモールドで成形し、基板111上に樹脂のパターンを形成する装置である。なお、ここでは光硬化法を採用したインプリント装置を用いて説明を行うが、その他の技術を用いたインプリント装置、例えば熱ナノインプリント技術を採用したインプリント装置にも適用は可能である。また、以下の図においては、基板111上の樹脂に対して紫外線を照射する照明系の光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内に互いに直交するX軸およびY軸を取る。
【0016】
インプリント装置101は、光照射部102、モールド保持機構103、基板ステージ104、吐出手段105、制御手段106、計測手段122、および筺体123を備える。
【0017】
光照射部102は、インプリント処理の際に、モールド107に対して紫外線108を照射する。
図1において、紫外線108の経路を破線矢印にて示している。光照射部102は、光源109と、光源109から照射された紫外線108をインプリントに適切な光に補正するための光学素子110とを含んで構成される。なお、本実施形態では光硬化法を採用するために光照射部102を設置しているが、例えば熱硬化法を採用する場合には、光照射部102に換えて、熱硬化性樹脂を硬化させるための熱源部を設置することになる。
【0018】
モールド107は、外周形状が矩形であり、基板111に対する面に回路パターンなどの転写すべき凹凸パターンが3次元状で形成されたパターン部107aを含む。また、モールド107の材質は、石英など紫外線108を透過させることが可能な材料である。さらに、モールド107は、紫外線108が照射される面に、モールド107の変形を容易とするために形状を凹型にしたキャビティ107bを有する形状としてもよい。キャビティ107bは、円形の平面形状を有し、深さは、モールド107の大きさや材質により適宜設定される。
【0019】
また、モールド保持機構103内の開口領域117に、開口領域117の一部とキャビティ107bとで囲まれる空間112を密閉空間とする光透過部材113を設置し、圧力補正装置(不図示)により空間112内の圧力を制御する構成でもよい。例えば、モールド107と基板111上の樹脂114との押し付けに際し、圧力補正装置により空間112内の圧力をその外部よりも高く設定する。これにより、パターン部107aは、基板111に向かい凸形に撓み、樹脂114に対してパターン部107aの中心部から接触する。これにより、パターン部107aと樹脂114との間に気体(空気)が閉じ込められるのを抑え、パターン部107aの凹凸部に樹脂114を隅々まで充填させることができる。
【0020】
モールド保持機構103は、モールドチャック115と、モールド駆動機構116とを含んで構成される。モールドチャック115は、真空吸着力や静電力によりモールド107を引き付けて保持する。モールド駆動機構116は、モールドチャック115を保持し、モールドチャック115に保持されたモールド107を移動させる。モールドチャック115およびモールド駆動機構116は、光照射部102の光源109から照射された紫外線108が基板111に向けて照射されるように、中心部に開口領域117を有する。
【0021】
モールド駆動機構116は、モールド107と基板111上の樹脂114との押し付け、または引き離しを選択的に行うようにモールド107をZ軸方向に移動させる。モールド駆動機構116に採用可能なアクチュエータとしては、例えば、リニアモータまたはエアシリンダがある。また、モールド107の高精度な位置決めに対応するために、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、Z軸方向だけでなく、X軸方向やY軸方向、またはZ軸周りの回転であるθ方向の位置補正機能や、モールド107の傾きを補正するためのチルト機能などを有する構成であってもよい。
【0022】
なお、インプリント装置101における押し付けおよび引き離し動作は、上述のようにモールド107をZ軸方向に移動させることで実現してもよいし、基板ステージ104をZ軸方向に移動させることで実現してもよい。また、その双方を相対的に移動させるような構成であってもよい。
【0023】
基板111は、例えば、単結晶シリコン基板やSOI(Silicon on Insulator)基板であり、基板111の被処理面には、モールド107に形成されたパターン部107aにより成形される紫外線硬化する樹脂114が塗布される。
【0024】
基板ステージ104は、基板111を保持し、モールド107と基板111上の樹脂114との押し付けに際し、モールド107と樹脂114との位置合わせを実施する。基板ステージ104は、基板チャック119、基板ステージ駆動手段120、およびステージ基準マーク121を含んで構成される。基板チャック119は、基板111を真空吸着により保持する。基板ステージ駆動手段120は、基板チャック119を機械的手段により保持し、制御手段106の制御に基づき、X−Y平面内で移動可能とする。
【0025】
基板ステージ駆動手段120は、アクチュエータとして、例えばリニアモータを採用し得る。基板ステージ駆動手段120は、X軸およびY軸の各方向に対して、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、基板ステージ駆動手段120は、Z軸方向の位置補正のための駆動系や、基板111のθ方向の位置補正機能、または基板111の傾きを補正するためのチルト機能などを有する構成であってもよい。ステージ基準マーク121は、基板チャック119の表面上にモールド107をアライメントする際に利用される。
【0026】
吐出手段105は、未硬化の樹脂114を液体の状態でノズルから吐出して基板111上に付与する。本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)の圧電効果を利用して樹脂114をノズルから押し出す方式とする。制御手段106は、ピエゾ素子を駆動させるための駆動波形を生成して、ピエゾ素子を吐出に適した形状に変形するように駆動させる。吐出手段105が有するノズルは複数設けられており、それぞれが独立に制御できるように構成される。樹脂114は、紫外線108を受光することにより硬化する性質を有する光硬化性樹脂であり、半導体デバイス製造工程などの各種条件により適宜選択される。また、吐出手段105のノズルから吐出される樹脂114の量も、基板111上に形成される樹脂114の所望の厚さや、形成されるパターンの密度などにより適宜決定される。
【0027】
計測手段122は、代表的な計測器として、アライメント計測器127と観察用計測器128がある。アライメント計測器127は、基板111上に形成されたアライメントマークと、モールド107に形成されたアライメントマークとのX軸およびY軸の各方向への位置ずれを計測する。観察用計測器128は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどの撮像装置であり、基板111に吐出された樹脂114のパターンを画像情報として取得する。
【0028】
制御手段106は、インプリント装置101の各構成要素の動作および補正などを制御する。制御手段106は、例えば、コンピュータなどで構成され、インプリント装置101の各構成要素に回線を介して接続され、記憶部等に記憶された各種プログラムやデータに従って各構成要素の制御を実行する。本実施形態の制御手段106は、計測手段122の計測情報を基に、モールド保持機構103、基板ステージ104、および吐出手段105の動作を制御する。なお、制御手段106は、インプリント装置101の他の部分と一体で構成してもよいし、インプリント装置101の他の部分とは別体で構成してもよい。また、1台のコンピュータではなく複数台のコンピュータで構成されていてもよい。
【0029】
筺体123は、基板ステージ104を載置するベース定盤124と、モールド保持機構103を固定するブリッジ定盤125と、ベース定盤124から延設されブリッジ定盤125を支持するための支柱126とを備える。さらに、インプリント装置101は、
図1では不図示ではあるが、モールド107を装置外部からモールド保持機構103へ搬送するモールド搬送機構と、基板111を装置外部から基板ステージ104へ搬送する基板搬送機構とを備える。
【0030】
[インプリント処理]
次に、本実施形態に係るインプリント装置101によるインプリント処理について説明する。
【0031】
制御手段106は、基板搬送機構(不図示)により基板ステージ104上の基板チャック119に基板111を載置および固定させ、基板ステージ104を吐出手段105による塗布位置へ移動させる。次に、吐出手段105は、塗布工程として、制御手段106によって生成された駆動波形を基に、基板111の所定の被処理領域であるパターン形成領域に樹脂114を塗布する。
【0032】
次に、制御手段106は、基板111上のパターン形成領域がモールド107に形成されたパターン部107aの直下に位置するように基板ステージ104を移動させる。次に、制御手段106は、押型工程として、モールド駆動機構116を駆動させ、基板111上の樹脂114にモールド107を押し付ける。この押型工程により、樹脂114は、パターン部107aの凹凸部に充填される。この状態で、制御手段106は、硬化工程として、光照射部102にモールド107の上面から紫外線108を照射させ、モールド107を透過した紫外線108により樹脂114を硬化させる。そして離型工程として、樹脂114が硬化した後に、制御手段106は、モールド駆動機構116を再駆動させ、モールド107を樹脂114から引き離す。
【0033】
以上の一連の動作により、基板111上のパターン形成領域の表面には、パターン部107aの凹凸部に倣った3次元形状の樹脂114のパターンが成形される。このような一連のインプリント動作を基板ステージ104の駆動によりパターン形成領域を変更しつつ複数回実施することで、1枚の基板111上に複数の樹脂114のパターンを成形することができる。
【0034】
[吐出速度および吐出量の変動について]
次に、
図2を用いて吐出間隔が変化した時に吐出速度および吐出量が変動する原因を説明する。
【0035】
図2(a)は、吐出手段105に設けられたノズル201のX−Z断面を示している。ここでは、吐出手段105による樹脂114の吐出のイメージを示す。
図2(a)に示す座標の方向は、
図1に準じる。樹脂114と外気の界面を液面202とし、吐出した樹脂を液滴203として示している。
【0036】
図2(b)の上側のグラフは、吐出手段105に設けられたピエゾ素子に与えられる電圧値としての信号である駆動波形を示している。横軸は時間であり、縦軸は電圧を示している。ここでの駆動波形は、駆動波形で最も基本的である台形波を用いて説明を行う。台形波は主に3つの成分に分けられ、引き成分204、待機成分205、押し成分206から構成される。説明で用いる台形波は、t0からt3までの3分割した時間で電圧を変化させている。t0からt1までが引き成分204であり、t1からt2までが待機成分205であり、t2からt3が押し成分206となる。
【0037】
図2(b)の下側のグラフは、ノズル201における樹脂114の液面202の位置を示している。横軸は時間であり、縦軸はノズルにおける液面202の位置を示している。時間t1〜t4はそれぞれ、
図2(a)に示したものに対応している。液面202は最初、基準位置207の位置にある。そして、吐出時には、一度+Z方向に引き込まれることで液面202が引き込み位置208に達し、その後、−Z方向の押し出し位置209まで押し出される。押し出し位置209に至るまでに液滴203が形成されるため、本来の液面の位置はグラフよりも−Z方向側となるタイミングがあるが、説明を簡略化する為に液滴203による位置を示さずに液面202の代表的な位置を示す。また、本来はピエゾ素子にかける電圧の時間に遅れて液面202は動くが、本実施形態ではその遅れ成分を省略して説明を行う。
【0038】
台形波は、最初の引き成分204で基準位置207にある液面202を、+Z方向に引き込む。これは、一度引いた液面202が元の位置に戻ろうとする力を効率よく利用して吐出を行うためである。引き成分204の後は、待機成分205で電圧を一定に保つ。ここで、液面202は、最も+Z方向に引き込まれた位置である引き位置208に達した後に、−Z方向に動き始める。ここで、押し成分206によって一気に液面202を−Z方向に押し出す事でノズル201から樹脂114がノズル201外に液注を形成し、その後は自らの表面張力により液滴203が形成される。その後、液面202は−Z方向に振動を繰り返して収束しながら、t4で基準位置207の位置に戻る。液滴203を吐出する一連の過程を経た後、再び同様の過程を経て連続的に液滴203が形成されていく。
【0039】
ここで、t3〜t4の間の液面202が基準位置207に戻る時間は、図示している短期の成分以外にも図示していない長期的な成分もあり、複合の因子で決まる。t3〜t4の間に次の駆動波形が入力されると、液面202が基準位置207に戻る前に次の吐出動作に移行してしまう。吐出間隔が長い時はこの戻りの影響は無い、あるいは無視できる程小さいが、吐出間隔が短くなるとこの影響が残っている状態で次の吐出を行うことになる。その影響が液滴203の吐出速度および吐出量を変動させるため、調整した時との差分が吐出速度および吐出量の変動として現れる。
【0040】
本実施形態では、この様な変動を考慮して、吐出プロセスの事前に吐出速度および吐出量を適正な値に補正するための複数の駆動波形をノズル毎に調整してライブラリ(記憶手段:不図示)に記憶する。そして、吐出プロセス中に吐出間隔に応じて吐出速度および吐出量が一定に保たれるように、ノズル毎にライブラリに記憶されている複数の駆動波形の中から適切な駆動波形を選択して用いる。つまり、ライブラリに記憶されている複数の駆動波形の中から、ノズルの吐出条件として用いる駆動波形を選択する。
【0041】
[駆動波形切り替え]
図3を用いて、吐出間隔による吐出速度および吐出量の変動を抑えるための、本実施形態に係る駆動波形切り替えのプロセスを示す。
図3(a)は、吐出間隔による駆動波形の切り替えにより基板111上に液滴302の塗布が完了したイメージを示す。
図3(b)は、本実施形態のフローチャートを示す。
【0042】
図3(a)は、基板ステージ104に保持された基板111に対して吐出手段105が樹脂114の塗布を行っている概略を示す。吐出手段105にはノズル301が設けられており、ノズル301が樹脂114を吐出して基板111に液滴302として塗布する。なお、本実施形態では、ノズル301として、ノズル301A、301B、301C、301Dの4つの例を示しているが、この構成に限定するものでは無く、ノズルの数は4つよりも少なく、あるいは4つよりも多くてもよい。また、各ノズルの配置を限定するものでもない。
【0043】
吐出手段105は、制御手段106と接続されている。制御手段106は、上述したようにコンピュータ(情報処理装置)であり、吐出手段105の吐出を制御する。制御手段106は、記憶手段としてのライブラリ(不図示)を備えており、吐出間隔による最適な駆動波形の情報を記録している。なお、本実施形態では、吐出手段105と制御手段106は直接接続された構成として示しているが、制御手段106の一部として中継基板(不図示)を介して接続してもよい。中継基板には、前述したライブラリ、ピエゾ素子に対して電圧を供給する手段が備えられていてよい。
【0044】
図3(b)を用いてノズル301に対する本実施形態のプロセスを示す。基板ステージ104(基板111)が、
図3(a)に図示した矢印の方向に移動している間に、吐出手段105は静止した状態で吐出を行う。
図3(a)に示す16の吐出タイミング(T1〜T16)において吐出あるいは不吐出として液滴302のパターンを構成している。即ち、T1〜T16の区間を走査して吐出を行っており、本実施形態では、この区間をワンショットとする。なお、本実施形態では、吐出手段105は静止している状態として説明しているが、基板ステージ104と同様に移動して双方向走査で吐出を行っても構わない。なお、他のノズル301B〜301Dに対しての発明の適用方法は同じであるため、ここではノズル301A単体を例に挙げて説明を行う。
【0045】
S301にて、制御手段106は、ノズル301の吐出間隔を変更して吐出速度や吐出量を計測し、適切な駆動波形を求めて、ライブラリに記録する。本工程はインプリント装置101の吐出プロセス中に行うのではなく、吐出プロセスを実施する前に予め実行し、適切な駆動波形を記録しておくものとする。吐出間隔は、基板の設計データに基づいて規定されるドロップレシピから時間を割り出して予め使用する値を把握しておく。また、吐出速度や吐出量は、外部の計測器、例えば吐出観察装置等を用いて計測を行う。電圧成分の調整では、吐出量および吐出速度がそれぞれの一定の変化率で変化する。残振動の影響により吐出量と吐出速度の比率にずれが生じた場合は、波形の引き成分と押し成分の比率を変化させる事で吐出速度と吐出量の比を微調整する事が可能である。上述したように、1のノズルに対して、複数の駆動波形が求められることとなる。
【0046】
この様に、吐出プロセスにて用いられる複数の駆動波形を予めライブラリに記録しておく事で、ワンショット内での波形切り替え時に演算を行わずに駆動波形の参照(ライブラリ内の参照先)を切り替えるだけの短い時間で駆動波形を切り替える事が可能になる。ライブラリに記憶する情報としては、吐出間隔とそれに対応した駆動波形の情報が最低限の情報であり、他にも調整した際の吐出速度および吐出量の情報を記録しておくことが望ましい。吐出速度および吐出量を記録しておく事で、別途補正が必要になった時に有効に情報を利用できる。
【0047】
S302にて、制御手段106は、吐出プロセスの開始前、すなわちノズル301Aに適用する初期設定を行う。本実施形態に係るノズル301Aでは、吐出間隔は3段階に分けられるものとする。つまり、T1〜T3の第1の吐出間隔、T3〜T7の第2の吐出間隔、T7〜T16の第3の吐出間隔となる。第1の吐出間隔は、
図3(a)に示す格子毎の吐出である。第2の吐出は格子1つ空きでの吐出であり、吐出間隔は第1の吐出間隔の2倍となる。第3の吐出は格子2つ空きの吐出であり、吐出間隔は第1の吐出間隔の3倍となる。この吐出間隔は、基板111上に形成されるべきパターン(塗布パターン)に従って、予め特定することができる。S301でライブラリに記憶した駆動波形は、弟1〜弟3の吐出間隔それぞれにおいて最適な複数の駆動波形となる。S302では、初期設定として第1の吐出波形で調整した駆動波形をライブラリから参照するように設定を行う。
【0048】
S303にて、制御手段106は、ライブラリの参照をノズル301Aの第2の吐出間隔に最適な駆動波形に切り替える。この動作は、吐出手段105がT3の吐出を終えた段階で行われる。S302からS303までの動作は連続で行われ、一連の走査による吐出であるものとする。
【0049】
S304にて、制御手段106は、ライブラリの参照をノズル301Aの第3の吐出間隔に最適な駆動波形に切り替える。この動作は、吐出手段105がT7の吐出を終えた段階で行われる。S303からS304までの動作は連続で行われ、一連の走査による吐出であるものとする。
【0050】
この様に、ワンショット内で吐出間隔が切り替わる場合に、最適な駆動波形を複数、予めライブラリに記憶しておく事で、吐出間隔を切り替えと同じタイミングで最適な駆動波形に切り替える事が可能となる。
【0051】
なお、次のショットに移行する場合は、次のショットに対応した吐出プロセスを実施する。吐出プロセスに変更の必要が無ければ
図3(b)に示したS302〜S304を繰り返し、必要が有れば切り替えを行う。吐出プロセスは、ドロップレシピによって決まるため、予め計画を作成して制御手段106のライブラリに記憶させておく。
【0052】
本実施形態にて述べた駆動波形は、ノズル301Aにおいて吐出間隔を変更した時に最適なものであり、ノズル301B〜ノズル301Dそれぞれに対する最適な駆動波形は必ずしも同じとはならない。よって、吐出速度および吐出量の精度を高めるためには、各ノズルにおいて各吐出間隔に最適な駆動波形を複数用意する必要がある。よって、吐出手段105に設けられているノズル301それぞれが設定しうる吐出間隔における複数の駆動波形をライブラリに記憶しておくことが望ましい。
【0053】
ここでは吐出間隔は3種類(3パターン)を例に挙げて説明しているが、これに限定するものではなく、ワンショットで変更する吐出間隔数は限定されない。したがって、吐出間隔のパターンに応じて、吐出間隔の変更を行うようにしてよい。
【0054】
また、
図3(a)に示した例では、第1から第3の吐出間隔が密から粗に一方向に変化している。しかし、例えば、密から粗への変化の後にまた密に吐出するように吐出間隔を設定してもよいし、その逆であってもよい。
【0055】
なお、残振動の影響が現れ難い長い吐出間隔の場合は吐出速度および吐出量の変動は少ない。よって、調整時に変更の影響が出ないと判断した吐出間隔の切り替えでは駆動波形を切り替える必要はなく、変更の影響が出る吐出間隔にする時に切り替えを行う事でライブラリに登録する駆動波形の数を減らす事ができる。ここでの切り替えを行うか否かについての判断は、例えば、吐出間隔に対する閾値を予め定義しておき、この閾値との比較により決定してもよい。
【0056】
[物品の製造方法]
物品としての、半導体集積回路素子および液晶表示素子等のデバイスの製造方法は、上述したインプリント装置を用いて基板、ガラスプレート、フィルム状基板等の基板にパターンを形成する工程を含む。さらに、該製造方法は、パターンを形成された基板をエッチングする工程を含み得る。なお、パターンドメディアや光学素子などの他の物品を製造する場合には、該製造方法は、エッチングの代わりにパターンを形成された基板を加工する他の処理を含み得る。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0058】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピューターにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。