【実施例1】
【0010】
(画像形成装置)
図1は、実施例1の画像形成装置30の斜視図である。
図2は、実施例1の画像形成装置30の断面図である。画像形成装置30は、画像読取部41が設けられたフルカラー複合機である。画像形成装置30は、
図2に示すように、中間転写ベルト14に沿ってプロセスカートリッジ(以下、カートリッジという)3Y、3M、3C、3Kが配置されたタンデム型である。画像形成装置30は、電子写真方式を用いて記録媒体Sに画像を形成する電子写真画像形成装置であるが、これに限定されるものではない。画像形成装置30は、複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ又はインクジェットプリンタであってもよい。記録媒体Sは、画像形成装置30により画像が形成される転写材であって、例えば、紙、OHPシート、布等である。以下、記録媒体SをシートSという。画像形成装置30は、画像読取部41、給送カセット42、シート搬送部43、画像形成部44および定着部45を有する。
【0011】
画像形成部44は、4つのカートリッジ3Y、3M、3C、3Kを有する。カートリッジ3Y、3M、3C、3Kは、画像形成装置30の本体30Aに着脱可能に装着されている。カートリッジ3Yは、イエロートナーを用いてイエロー画像を形成する。カートリッジ3Mは、マゼンタトナーを用いてマゼンタ画像を形成する。カートリッジ3Cは、シアントナーを用いてシアン画像を形成する。カートリッジ3Kは、ブラックトナーを用いてブラック画像を形成する。参照符号の添字Y、M、CおよびKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを示す。以下の説明において、特に必要でない場合、参照符号の添字Y、M、C、Kを省略することが有る。4つのカートリッジ3は、現像剤(トナー)の色を除いて同一の構造を有する。
【0012】
カートリッジ3は、感光体としての感光ドラム6を有する。感光ドラム6の周りには、帯電装置8、露光装置15、現像装置4、一次転写部材5およびクリーニング装置7が配置されている。感光ドラム6、帯電装置8、現像装置4およびクリーニング装置7は、一体としてカートリッジ3を構成している。感光ドラム6の上方には、感光ドラム6と接触するように無端状の中間転写ベルト(中間転写体)14が配置されている。中間転写ベルト14の上方には、現像剤としてのトナーを収納するトナー収納容器であるトナーボトル32が配置されている。トナーボトル32は、画像形成装置30の本体30Aに着脱可能に装着されている。トナーボトル32は、現像装置4へトナーを補給する。
【0013】
中間転写ベルト14は、駆動ローラ62と、2つの従動ローラ63および65とに張架されている。一次転写部材5は、中間転写ベルト14を介して感光ドラム6に対向して配置されている。一次転写部材5は、感光ドラム6上のトナー像を中間転写ベルト14へ転写させる。二次転写ローラ(二次転写部材)8は、中間転写ベルト14を介して従動ローラ65に対向して配置され、二次転写部T2を形成する。
【0014】
画像形成装置30の下部には、シートSを収容した給送カセット42が配置されている。給送カセット42は、正面側へ引き出し可能に画像形成装置30の本体30Aに装着されている。シートSは、給送カセット42からピックアップローラ67および給送ローラ16により一枚ずつ給送される。シートSは、レジストレーションローラ9により二次転写部T2へ搬送される。定着部45は、シートSの搬送方向において二次転写ローラ28の下流側に配置されている。定着部45は、縦方向のシート搬送部43に設けられている。シート搬送部43は、給送ローラ16、レジストレーションローラ9、二次転写ローラ28、定着部45、排出ローラ18および反転搬送ローラ17を含む。シートSは、シート搬送部43内で二次転写ローラ28から定着部45を介して排出ローラ18へ縦方向上方に搬送される。シートSの搬送方向において定着部45の下流側には、画像が形成されたシートSを積載する排出トレイ19が設けられている。シートSは、排出ローラ18により排出トレイ19へ排出される。
【0015】
(画像形成プロセス)
次に、画像形成装置30の画像形成プロセスを説明する。4つのカートリッジ3における画像形成プロセスは同一であるので、イエローのカートリッジ3Yにおける画像形成プロセスを説明する。マゼンタのカートリッジ3M、シアンのカートリッジ3Cおよびブラックのカートリッジ3Kにおける画像形成プロセスの説明は、省略する。
【0016】
帯電装置8Yは、感光ドラム6Yの表面を均一に帯電する。露光装置15は、イエロー成分の画像情報に従って変調された光ビームを、均一に帯電された感光ドラム6Yの表面へ出射し、感光ドラム6Y上に静電潜像を形成する。現像装置4Yは、トナーボトル32Yから補給されたイエロートナー(現像剤)により静電潜像を現像してイエロートナー像にする。一次転写部材5Yには、電気基板(不図示)から一次転写バイアスが印加される。一次転写部材5Yは、感光ドラム6Y上のイエロートナー像を中間転写ベルト14上へ一次転写する。一次転写の後に感光ドラム6Y上に残ったトナーは、クリーニング装置7Yにより除去される。
【0017】
同様にして、マゼンタのカートリッジ3Mにより形成されたマゼンタトナー像は、中間転写ベルト14上のイエロートナー像の上に精度よく重ねて転写される。以下、シアントナー像およびブラックトナー像が、中間転写ベルト14上のマゼンタトナー像の上に順次重ねて転写される。その結果、中間転写ベルト14上に4色のトナー像が重ね合わされる。
【0018】
給送カセット42に収納されたシートSは、ピックアップローラ67および給送ローラ16により一枚ずつレジストレーションローラ9へ給送される。シートSは、レジストレーションローラ9により中間転写ベルト14上のトナー像とタイミングを合わせて二次転写部T2へ搬送される。中間転写ベルト14上のトナー像は、二次転写ローラ28により一括してシートS上に二次転写される。トナー像が転写されたシートSは、定着部45へ搬送される。定着部45は、シートSを加熱および加圧してトナー像をシートSに定着させる。これにより、四色のトナーが溶融混色してシートS上にフルカラーの画像が形成される。画像が形成されたシートSは、排出ローラ18により排出トレイ19へ排出される。
【0019】
シート搬送部43は、シートSの両面に画像を形成する場合にシートSの反転を行う反転ユニットを含む。反転ユニットは、反転搬送ローラ17を含む。シートSの両面に画像を形成する場合、排出ローラ18は、シートSの排出途中で逆転し、シートSを反転搬送ローラ17へ搬送する。表裏反転されたシートSは、反転搬送ローラ17により再び二次転写部T2へ搬送される。二次転写部T2でシートSの裏面へトナー像が転写され、トナー像は、定着部45によりシートSへ定着される。両面に画像が形成されたシートSは、排出ローラ18により排出トレイ19へ排出される。
【0020】
(枠体)
図3は、実施例1の画像形成装置30の枠体31の斜視図である。枠体31は、複数の部品により組み立てられる。枠体31は、画像形成装置30の本体30Aを構成する。枠体31は、部品としての後側板金(以下、第一板金という)1、前側板金(以下、第三板金という)53および第一板金1と第三板金53をつなぐ支持板金(以下、第二板金という)2を有する。画像形成装置30は、後述する位置決め保持機構33を使用して組み立てられる。位置決め保持機構33を使用して、一方の板金が他方の板金を保持する。枠体31の組み立ての際に、第一板金1と第二板金2の結合部54は、位置決め保持機構33により仮止めされる。仮止めされた結合部54は、レーザ溶接により固定される。第二板金2と第三板金53の結合部も、後述する位置決め保持機構33により仮止めされた後、レーザ溶接により固定される。本実施例においては、
図3の楕円Qで囲まれた部分に設けられた第二板金2について主に説明するが、本実施例は、枠体31を構成する他の部品同士の結合にも適用可能である。なお、第一板金1と第二板金2は、レーザ溶接の代わりにネジにより締結されてもよい。同様に、第二板金2と第三板金53は、レーザ溶接の代わりにネジにより締結されてもよい。本実施例において、第一板金1、第二板金2および第三板金53は、金属製の部材であるが、これに限定されるものではなく、例えば、樹脂製の部材であってもよい。
【0021】
(保持機構)
以下、
図4〜
図7を参照して、実施例1の位置決め保持機構33を説明する。第一板金1は、第一面1aと第一面の裏面である第二面とを連通する貫通穴10が形成されている。第二板金2は、金属板である本体部2aと、本体部2aに対して一体であり、本体部2aの平面方向に本体部2aから突出し、第一板金1の第一面側から貫通穴10に挿入される板状の係合部20とを備える。第二板金2の一部からなる係合部20は、第一板金1の第一面1aに略垂直方向に貫通穴10へ挿入可能である。位置決め保持機構33は、第一板金1に形成されている貫通穴10に対し、略垂直方向から第二板金2の一部からなる係合部20を挿入することにより、第一板金1と第二板金2との位置決め及びその保持を行う。
図4は、実施例1の位置決め保持機構33の動作の説明図である。
図4(A)〜
図4(D)は、第一板金1に対して、第二板金2が矢印Aの方向(以下、挿入方向という)へ移動することにより位置決めされ、嵌合状態で結合保持される様子を順に示している。
図5は、実施例1の第一板金1に設けられた貫通穴10の形状を示す図である。
図6は、実施例1の第二板金2に設けられた係合部20の形状を示す図である。
図7は、実施例1の位置決め保持機構33の斜視図である。第一板金1に設けられた貫通穴10へ第二板金2に設けられた係合部20を挿入することにより、位置決め保持機構33は、第一板金1と第二板金2の仮止め(位置決め及び保持)を行うことができる。
【0022】
((保持機構の位置決め作用))
まず、位置決め保持機構33による第一板金1と第二板金2の位置決め作用を説明する。第一板金1には、位置決め用の貫通穴10が形成されている。貫通穴10は、第二板金2の係合部20が内接する形状を有している。係合部20が貫通穴10に挿入されることにより、第一板金1に対して第二板金2が位置決めされる。貫通穴10は、例えば、
図5に示すように、貫通穴10の縁から内部へ向かって突出する複数の位置決め用の凸部(規制部)101、102、103、104が設けられている。凸部(規制部)101、102、103、104は、第二板金2の本体部2aの平面方向に垂直な方向(B方向)において貫通穴10に挿入される第二板金2の移動を規制するための第二突出部21、22の両面にそれぞれ対面する。本実施例では、貫通穴10の縁から内部へ向かって突出する位置決め用の凸部の数は、4個であるが、これに限定されるものではない。係合部20は、例えば、
図6に示すように、本体部2aに対して一体であり、本体部2aの平面方向に本体部2aから突出し、第一板金1の第一面1aの側から貫通穴10に挿入される板状の第二突出部21および22を備える。
【0023】
上下方向(矢印B)における第一凸部101と第二凸部102の間の隙間G1(
図5)は、第一の距離に設定されている。第一の距離は、係合部20が貫通穴10へ挿入された際に、厚さT1(
図7)を有する第二突出部21(第一挿入部)が第一凸部101および第二凸部102と嵌合可能(係合可能)な距離である。第二突出部21が第一凸部101と第二凸部102の間へ挿入されるように、隙間G1は、厚さT1よりわずかに大きい。上下方向(矢印B)における第三凸部103と第四凸部104の間の隙間G2(
図5)は、第二の距離に設定されている。第二の距離は、係合部20が貫通穴10へ挿入された際に、厚さT2(
図7)を有する第二突出部22(第二挿入部)が第三凸部103および第四凸部104と嵌合可能(係合可能)な距離である。第二突出部22が第三凸部103と第四凸部104の間へ挿入されるように、隙間G2は、厚さT2よりわずかに大きい。これによって、係合部20が貫通穴10へ挿入された際に、第二板金2は、第一板金1に対して上下方向(矢印B)に位置決めされる。本実施例において、隙間G1は、隙間G2と同じであるが、隙間G2と異なっていてもよい。また、本実施例において、厚さT1は、厚さT2と同じであるが、厚さT2と異なっていてもよい。
【0024】
また、左右方向(矢印C)における貫通穴10の端面105と端面106の間の距離W1(
図5)は、係合部20が貫通穴10へ挿入された際に、係合部20の端面201および端面202が端面105および端面106と嵌合可能な距離に設定されている。係合部20の端面(一端面)201は、貫通穴10の端面(一端面)105と係合可能であり、係合部20の端面(他端面)202は、貫通穴10の端面(他端面)106と係合可能である。係合部20が貫通穴10へ挿入されるように、距離W1は、係合部20の端面201および端面202の間の距離W2よりわずかに大きい。これによって、係合部20が貫通穴10へ挿入された際に、第二板金2は、第一板金1に対して左右方向(矢印C)に位置決めされる。
【0025】
((保持機構の保持作用))
次に、位置決め保持機構33による第一板金1と第二板金2の保持作用を説明する。第一板金1の貫通穴10には、位置決め用の凸部101−104の他に、貫通穴10の縁から内部へ向かって突出する凸部(以下、係止部という)107が設けられている。係止部(第一係止部)107は、第二凸部102および第四凸部104よりも上方へ突出している。係止部107は、
図7に示すように、斜面(傾斜部)107a、挿入方向(矢印A)において斜面107aの手前側に設けられた手前側縁部107a1および挿入方向(矢印A)において斜面107aの奥側に設けられた奥側縁部107a2を有する。係止部107に設けられた斜面107aは、挿入方向(矢印A)に垂直な方向に傾斜している。斜面107aは、位置決め用の凸部101−104によってB方向に移動を規制された第二板金2の第一突出部23を第一突出部23の挿入方向周りにねじれ変形させる。本実施例において、係止部107は、山形状を有しているが、係止部107の形状は、これに限定されるものではなく、三角形状、四角形状、半円形状であってもよい。また、係止部107は、貫通穴10の縁から内部へ向かって突出する凸部に限定されるものではなく、貫通穴10の縁の一部に設けられた傾斜部であってもよい。
【0026】
第二板金2の係合部20には、第二板金2の本体部2aから挿入方向(矢印A)に突出し、第一板金1の係止部107に係合可能な爪部(以下、第一突出部という)23が設けられている。係合部20は、第一突出部23および第二突出部21、22を有する。第一突出部23および第二突出部21、22は、第二板金2と一体に形成されている。第一突出部(弾性部材)23は、弾性変形可能なように第二板金2に形成されている。第二板金2は、第二板金2の本体部2aの端部から挿入方向(矢印A)に突出し、第一板金1に当接する一又は複数の突き当て部24が設けられている。本実施例において、第二板金2は、二つの突き当て部24を有する。第二突出部21、22は、挿入方向(矢印A)において第一突出部23より突出しているとよい。すなわち、第二板金2を第一板金1に対して挿入方向(矢印A)へ移動したときに、第二突出部21、22が貫通穴10へ挿入開始された後で、第一突出部23が貫通穴10へ挿入されるとよい。第一突出部23は、挿入方向(矢印A)において突き当て部24より突出している。
【0027】
本実施例において、第一突出部23は、L字形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、鉤状、フック状、タブ状、T字状などに形成されていてもよい。第一突出部23は、
図6に示すように、第一突出部23の本体部23dの先端部に設けられた当接部23aと、当接部23aと反対の側に設けられた係止部(第二係止部)23bと、当接部23aと係止部23bを接続する端部(接続部)23cを有する。係止部23bは、第一突出部23の本体部23dから左右方向(矢印C)の少なくともどちらか一方へ延在している。本実施例においては、第一突出部23の係止部23bは、本体部23dから左方向へ延在している。当接部23aは、挿入方向(矢印A)と反対方向へ向かって係止部23bが延在する方向へ傾斜している。第一板金1の係止部107の斜面107aは、下から上へ向かって係止部23bが延在する方向へ傾斜している。第一突出部23の本体部23dの両側には、本体部23dを弾性的に捩れやすくするために、切欠き部2bが設けられている。第二板金2の係止部23bは、第一板金1の係止部107に係止可能である。
【0028】
図4(A)に示すように、第一板金1の第一面1aに対して略垂直方向(矢印A)に第二板金2の一部からなる係合部20を第一板金1の貫通穴10へ挿入する。第一板金1に対する第二板金2の挿入方向(矢印A)は、第一板金1の第一面1aに対して略垂直な方向である。
図4(B)に示すように、第二突出部21は、第一凸部101および第二凸部102と係合し、第一凸部101と第二凸部102の間の隙間G1(
図5)へ案内される。第一凸部101および第二凸部102は、第二板金2の第二突出部21の上下方向(厚み方向)(矢印B)の移動を規制する。第二突出部22は、第三凸部103および第四凸部104と係合し、第三凸部103と第四凸部104の間の隙間G2へ案内される。第三凸部103および第四凸部104は、第二板金2の第二突出部22の上下方向(厚み方向)(矢印B)の移動を規制する。これによって、第二板金2は、第一板金1に対して上下方向に位置決めされる。さらに、第二板金2を挿入方向(矢印A)に押し込むと、
図4(C)に示すように、係合部20の端面201および端面202のいずれか一方もしくは両方が貫通穴10の端面105又は/及び端面106により案内される。これにより、第二板金2の係合部20は、端面105又は/及び端面106により左右方向に移動が規制され、第一板金1の貫通穴10に対して所定の範囲内に収まりながら、貫通穴10へ挿入される。これによって、第二板金2は、第一板金1に対して左右方向に位置決めされる。
【0029】
図4(C)に示すように、第一突出部23の当接部23aは、係止部107の手前側縁部107a1(
図7)と接触点Pで点接触する。第二板金2を更に貫通穴10へ挿入すると、当接部23aは、接触点Pから反力を受けて、第一突出部23が弾性変形により挿入方向周りに捩れる。当接部23aは、手前側縁部107a1に接触した状態で移動しやすいように、丸みが設けられている。接触点Pが矢印H方向に移動するにつれて、接触点Pからの反力により第一突出部23のねじれ変形(弾性変形)が大きくなり、第一突出部23が貫通穴10へ挿入される。更に挿入が進み、第一突出部23の当接部23aが斜面107aの手前側縁部107a1を乗り越え、第一突出部23の係止部23bが斜面107aの奥側縁部107a2に到達すると、第一突出部23は、係止部107から反力を受けなくなる。
図4(D)に示すように、第一突出部23の係止部23bが斜面107aの奥側縁部107a2を乗り越えると、第一突出部23のねじれ変形が解除され、第一突出部23は、元の位置へ戻る。第一突出部23が元の位置へ戻ると、第一突出部23の先端側が貫通穴10から抜けないように第一突出部23の係止部(係合部)23bが係止部107の第二面(第一面1aの裏面)により係止される。係止部23bが係止部107に係合することにより、第二板金2は、第一板金1から抜けないように保持される。このとき、第二板金2の二つの突き当て部24は、第一板金1に当接する。第一板金1は、第二板金2の係止部23bと突き当て部24により挟まれる。これによって、第二板金2は、第一板金1に位置決めされた状態で仮止め(保持)される。
【0030】
挿入方向(矢印A)における第一突出部23の係止部23bと突き当て部24との間の隙間G3(
図6)は、第一板金1が係止部23bと突き当て部24の間に嵌合される距離に設定される。第一板金1が係止部23bと突き当て部24の間に保持されるように、隙間G3は、第一板金1の貫通穴10の近傍の厚さT3(
図7)と略同じ値に設定される。好ましくは、隙間G3は、厚さT3よりわずかに大きい。これによって、係合部20が貫通穴10へ挿入された際に、第二板金2の係止部23bと突き当て部24の間に第一板金1が嵌合された状態で、第二板金2は、第一板金1に対して挿入方向(矢印A)に位置決めされる。このように、第二板金2が第一板金1に対して上下方向(矢印B)、左右方向(矢印C)および前後方向である挿入方向(矢印A)に位置決めされることにより、第二板金2は、第一板金1の第一面1aに対して略垂直に保持される。
【0031】
なお、第一板金1の貫通穴10に対して第二板金2の係合部20を挿入するために必要な挿入力を低減するために、当接部23aは、曲率(凸側)を有しているとよい。本実施例において、当接部23aは、
図6に示すように曲率を有しているが、挿入方向(矢印A)に対し勾配を付けた斜面形状を有していてもよい。当接部23aが斜面形状を有している場合であっても、挿入力の低減の効果が得られる。本実施例において、第一板金1の係止部107は、
図5に示すように斜面107aを有しているが、曲率(凸側)を有していても同様の効果が得られる。また、第二板金2の第一突出部23の当接部23aが第一板金1の係止部107の斜面107aを通過した後に、第一突出部23が弾性力により元の状態へ戻りやすくするために、当接部23aと係止部23bとの間の端部23cに勾配や丸みを設けてもよい。端部23cの勾配や丸みにより、第一突出部23の弾性変形の解除が容易になる。また、端部23cの勾配や丸みは、第一突出部23の弾性変形が解除されるときの第一突出部23の復元力を利用して第二板金2が第一板金1へ向かって引き込まれるという効果を奏する。
【0032】
本実施例の位置決め保持機構33によれば、第一板金1の貫通穴10の小型化が可能となるので、第一板金1と第二板金2の結合部54の強度の低下を抑制できる。第一板金1の貫通穴10の小型化に伴い、第二板金2の係合部20の小型化が可能になるので、第一板金1と第二板金2の結合部54における第二板金2の係合部20の突出量を低減することができる。よって、第一板金1と第二板金2の結合部54の近傍の部品配置の自由度が向上される。第二板金2は、第一板金1に対して上下方向、左右方向および前後方向(挿入方向)の三方向で嵌合した状態に保持されるので、第一板金1に第二板金2を仮止めした後の第一板金1と第二板金2の間のガタを小さくすることができる。よって、第一板金1と第二板金2の結合部(仮止め部)54を安定した状態で保持することができる。
【0033】
位置決め保持機構33により、第二板金2が第一板金1に対して位置決めされた状態で第二板金2が第一板金1により保持される。第一板金1と第二板金2の位置決め状態を維持しつつ第二板金2が第一板金1から抜けないように、位置決め保持機構33により第二板金2を第一板金1へ仮止めすることができる。本実施例によれば、第一板金1と第二板金2の位置決めと、位置決め状態の保持とを容易に行うことができる。位置決め保持機構33により第二板金2を第一板金1へ仮止めした状態で、第一板金1と第二板金2の結合部54をレーザ溶接で固定する。従って、本実施例の位置決め保持機構33によれば、第一板金1と第二板金2の間の角度が所定の角度からずれたり、第一板金1と第二板金2の間の相対位置が所定の位置からずれたりすることを防止できる。本実施例によれば、画像形成装置30の枠体31の組み立てを容易にすることができる。
【0034】
なお、第二板金2の他端部にも係合部20を設け、係合部20を第三板金53に設けた貫通穴と位置決め保持機構33により結合してもよい。第三板金53は、第一面と第二面の裏面である第二面とを連通する貫通穴が形成されている。第二板金2の他端部に板状の第三突出部および第四突出部が設けられる。すなわち、第二板金2の両端部に係合部20を設けてもよい。第三突出部および第四突出部は、第二板金2の本体部2aに対して一体であり、本体部2aの平面方向に本体部2aから突出し、第三板金53の第一面側から第三板金53の貫通穴に挿入される。第三板金53の貫通穴の縁には、第二板金2の本体部2aの平面方向に垂直な方向において貫通穴に挿入される第二板金の移動を規制するための第四突出部の両面にそれぞれ対面する規制部が設けられている。第三板金53の貫通穴の縁には、規制部によって移動を規制された第二板金2の第三突出部を第三突出部の挿入方向周りにねじれ変形させる斜面が設けられている。第三突出部は、斜面を乗り越えてねじれ変形が解除された第三突出部の先端側が貫通穴から抜けないように第二面に係合する係合部を備える。第二板金2は、第一板金1および第三板金53を位置決め保持機構33によりつないだ後、レーザ溶接により第一板金1および第三板金53に固定される。このように、本実施例によれば、画像形成装置30の枠体31の組み立てを容易にすることができる。
【0035】
本実施例によれば、第二板金2が第一板金1から容易に抜けることがないように、第一板金1に対して第二板金2を位置決めし保持することができる。
【実施例2】
【0036】
以下、
図8〜
図11を参照して、実施例2を説明する。実施例2において、実施例1と同様の構造には同様の参照符号を付して説明を省略する。実施例2の画像形成装置30および枠体31は、実施例1と同様であるので説明を省略する。実施例2の位置決め保持機構73は、実施例1の位置決め保持機構33と異なる。実施例1において、第一板金1は、位置決め保持機構33用の一つの貫通穴10が設けられている。これに対して、実施例2において、第一板金1は、位置決め保持機構73用の複数の貫通穴11、12および13が設けられている。以下、異なる点を主に説明する。
【0037】
(保持機構)
以下、
図8〜
図11を参照して、実施例2の位置決め保持機構73を説明する。第一板金1は、第一面1aと第一面の裏面である第二面とを連通する複数の貫通穴11、12、13が形成されている。第二板金2の一部からなる係合部80は、第一板金1の第一面1aに略垂直方向に複数の貫通穴11、12、13へ挿入可能である。実施例2の位置決め保持機構73は、第一板金1に形成されている複数の貫通穴11、12、13に対し、略垂直方向から第二板金2の一部からなる係合部80を挿入することにより、第一板金1と第二板金2との位置決め及びその保持を行う。
図8は、実施例2の位置決め保持機構73の動作の説明図である。
図8(A)〜
図8(D)は、第一板金1に対して、第二板金2が挿入方向(矢印A)へ移動することにより位置決めされ、嵌合状態で結合保持される様子を順に示している。
図9は、実施例2の第一板金1に設けられた貫通穴11、12、13の形状を示す図である。
図10は、実施例2の第二板金2に設けられた係合部80の形状を示す図である。
図11は、実施例2の位置決め保持機構73の斜視図である。第一板金1に設けられた複数の貫通穴11,12,13へ第二板金2に設けられた係合部80を挿入することにより、位置決め保持機構33は、第一板金1と第二板金2の仮止め(位置決め及び保持)を行うことができる。
【0038】
((保持機構の位置決め作用))
まず、位置決め保持機構73による第一板金1と第二板金2の位置決め作用を説明する。第一板金1には、位置決め用の第一貫通穴11および第二貫通穴12が形成されている。第一貫通穴11および第二貫通穴12は、第二板金2の係合部80の部分がそれぞれ内接する形状を有している。係合部80の一部分が第一貫通穴11へ挿入され、係合部80の他の部分が第二貫通穴12へ挿入されることにより、第一板金1に対して第二板金2が位置決めされる。第一貫通穴11は、例えば、
図9に示すように、第一貫通穴11の縁から内部へ向かって突出する複数の位置決め用の凸部(規制部)111、112、113が設けられている。凸部(規制部)111、112、113は、第二板金2の本体部2aの平面方向に垂直な方向(B方向)において第一貫通穴11に挿入される第二板金2の移動を規制するための第二突出部81の両面にそれぞれ対面する。第二貫通穴12は、第二貫通穴12の縁から内部へ向かって突出する複数の位置決め用の凸部(規制部)121、122、123が設けられている。凸部(規制部)121、122、123は、第二板金2の本体部2aの平面方向に垂直な方向(B方向)において第二貫通穴12に挿入される第二板金2の移動を規制するための第二突出部82の両面にそれぞれ対面する。本実施例では、第一貫通穴11および第二貫通穴12のそれぞれの縁から内部へ向かって突出する位置決め用の凸部の数は、3個であるが、これに限定されるものではない。係合部80は、例えば、
図10に示すように、第二板金2の本体部2aと一体であり、本体部2aの平面方向に本体部2aから突出し、第一板金1の第一面側から第一貫通穴11および第二貫通穴12にそれぞれ挿入される板状の第二突出部81および82を備える。第二突出部81(第一挿入部)は、第一貫通穴11へ挿入される。第二突出部82(第二挿入部)は、第二貫通穴12へ挿入される。
【0039】
第一貫通穴11は、第一凸部111、第二凸部112および第三凸部113が設けられている。上下方向(矢印B)における第一凸部111と第二凸部112の間の隙間G4(
図9)は、第三の距離に設定されている。第三の距離は、第二突出部81が第一貫通穴11へ挿入された際に、厚さT4(
図11)を有する第二突出部81が第一凸部111および第二凸部112と嵌合状態になる距離である。上下方向における第一凸部111と第三凸部113の間の隙間G4も、第二突出部81が第一貫通穴11へ挿入された際に、第二突出部81が第一凸部111および第三凸部113と嵌合状態になる距離に設定されている。第二突出部81が第一凸部111と第二凸部112および第三凸部113との間へ挿入されるように、隙間G4は、厚さT4よりわずかに大きい。
【0040】
第二貫通穴12は、第一凸部121、第二凸部122および第三凸部123が設けられている。上下方向(矢印B)における第一凸部121と第二凸部122の間の隙間G5(
図9)は、第四の距離に設定されている。第四の距離は、第二突出部82が第二貫通穴12へ挿入された際に、厚さT5(
図11)を有する第二突出部82が
第一凸部121および第二凸部122と嵌合状態になる距離である。上下方向における第一凸部121と第三凸部123の間の隙間G5も、第二突出部82が第二貫通穴12へ挿入された際に、第二突出部82が第一凸部121および第三凸部123と嵌合状態にある距離に設定されている。第二突出部82が第一凸部121と第二凸部122および第三凸部123との間へ挿入されるように、隙間G5は、厚さT5よりわずかに大きい。
【0041】
これによって、係合部80の第二突出部81および第二突出部82が第一貫通穴11および第二貫通穴12へそれぞれ挿入された際に、第二板金2は、第一板金1に対して上下方向(矢印B)に位置決めされる。本実施例において、隙間G4は、隙間G5と同じであるが隙間G5と異なっていてもよい。また、本実施例において、厚さT4は、厚さT5と同じであるが、厚さT5と異なっていてもよい。
【0042】
また、左右方向(矢印C)における第一貫通穴11の端面114と端面115の間の距離W3(
図9)は、第二突出部81が第一貫通穴11へ挿入された際に、第二突出部81の端面211および端面212が端面114、115と嵌合可能な距離に設定されている。第二突出部81の端面(一端面)211は、第一貫通穴11の端面(一端面)114と係合可能であり、第二突出部81の端面(他端面)212は、第一貫通穴11の端面(他端面)115と係合可能である。第二突出部81が第一貫通穴11へ挿入されるように、距離W3は、第二突出部81の端面211と端面212の間の距離W4よりわずかに大きい。これによって、第二突出部81が第一貫通穴11へ挿入された際に、第二板金2は、第一板金1に対して左右方向(矢印C)に位置決めされる。本実施例では、第一貫通穴11と第二突出部81を用いて左右方向(矢印C)の位置決めを行っているが、他の貫通穴(例えば第二貫通穴12)と他の突出部(例えば第二突出部82)を用いて左右方向の位置決めを行ってもよい。
【0043】
((保持機構の保持作用))
次に、位置決め保持機構73による第一板金1と第二板金2の保持作用を説明する。第一板金1には、第一貫通穴11および第二貫通穴12の近傍に第三貫通穴13が設けられている。本実施例において、第三貫通穴13は、第一貫通穴11と第二貫通穴12の間に設けられている。しかし、第三貫通穴13は、第一貫通穴11に関して第二貫通穴12と反対側に設けられていてもよく、あるいは、第二貫通穴12に関して第一貫通穴11と反対側に設けられていてもよい。第三貫通穴13には、第三貫通穴13の縁から内部へ向かって突出する凸部(以下、係止部という)131が設けられている。係止部(第一係止部)131は、第一貫通穴11の第二凸部112および第三凸部113ならびに第二貫通穴12の第二凸部122および第三凸部123よりも上方へ突出している。係止部131は、
図11に示すように、斜面(傾斜部)131a、挿入方向(矢印A)において斜面131aの手前側に設けられた手前側縁部131a1および挿入方向(矢印A)において斜面131aの奥側に設けられた奥側縁部131a2を有する。係止部131に設けられた斜面131aは、挿入方向(矢印A)に垂直な方向に傾斜している。斜面131aは、位置決め用の凸部111、112、113、121、122、123によってB方向に移動を規制された第二板金2の第一突出部83を第一突出部83の挿入方向周りにねじれ変形させる。本実施例において、係止部131は、山形状を有しているが、係止部131の形状は、これに限定されるものではなく、三角形状、四角形状、半円形状であってもよい。また、係止部131は、第三貫通穴13の縁から内部へ向かって突出する凸部に限定されるものではなく、第三貫通穴13の縁の一部に形成された傾斜部であってもよい。
【0044】
第二板金2の係合部80には、第二板金2の本体部2aから挿入方向(矢印A)に突出し、第一板金1の係止部131に係合可能な爪部(以下、第一突出部という)83が設けられている。係合部80は、第一突出部83および第二突出部81、82を有する。第一突出部83および第二突出部81、82は、第二板金2と一体に形成されている。突出部(弾性部材)83は、弾性変形可能なように第二板金2に形成されている。第二板金2は、第二板金2の本体部2aから挿入方向(矢印A)に突出し、第一板金1に当接する一又は複数の突き当て部84が設けられている。本実施例において、第二板金2は、四つの突き当て部84を有する。第二突出部81および82は、挿入方向(矢印A)において第一突出部83より突出しているとよい。すなわち、第二板金2を第一板金1に対して挿入方向(矢印A)へ移動したときに、第二突出部81および82がそれぞれ第一貫通穴11および第二貫通穴12へ挿入開始された後で、第一突出部83が第三貫通穴13へ挿入されるとよい。第一突出部83は、挿入方向(矢印A)において突き当て部84より突出している。
【0045】
本実施例において、第一突出部83は、L字形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、鉤状、フック状、タブ状、T字状などに形成されていてもよい。第一突出部83は、
図10に示すように、第一突出部83の本体部83dの先端部に設けられた当接部83aと、当接部83aと反対の側に設けられた係止部(第二係止部)83bと、当接部83aと係止部83bを接続する端部(接続部)83cを有する。係止部83bは、第一突出部83の本体部83dから左右方向(矢印C)の少なくともどちらか一方へ延在している。本実施例においては、第一突出部83の係止部83bは、本体部83dから左方向へ延在している。当接部83aは、挿入方向(矢印A)と反対方向へ向かって係止部83bが延在する方向へ傾斜している。第一板金1の係止部131の斜面131aは、下から上へ向かって係止部83bが延在する方向へ傾斜している。第一突出部83の本体部83dの両側には、第一突出部83を弾性的に捩れやすくするために、切欠き部2bが設けられている。第二板金2の係止部83bは、第一板金1の係止部131に係止可能である。
【0046】
図8(A)に示すように、第一板金1の第一面1aに対して略垂直方向(矢印A)に第二板金2の一部からなる係合部80の第二突出部81を第一板金1の第一貫通穴11へ、第二突出部82を第二貫通穴12へ挿入する。第一板金1に対する第二板金2の挿入方向(矢印A)は、第一板金1に対して略垂直な方向である。
図8(B)に示すように、第二突出部81は、第一貫通穴11の第一凸部111、第二凸部112および第三凸部113と係合し、第一凸部111と第二凸部112および第三凸部113との間の隙間G4(
図9)へ案内される。第一凸部111、第二凸部112および第三凸部113は、第二板金2の第二突出部81の上下方向(厚み方向)(矢印B)の移動を規制する。第二突出部82は、第二貫通穴12の第一凸部121、第二凸部122および第三凸部123と係合し、第一凸部121と第二凸部122および第三凸部123との間の隙間G5(
図9)へ案内される。第一凸部121、第二凸部122および第三凸部123は、第二板金2の第二突出部82の上下方向(厚み方向)(矢印B)の移動を規制する。これによって、第二板金2は、第一板金1に対して上下方向に位置決めされる。さらに、第二板金2を挿入方向(矢印A)に押し込むと、
図8(C)に示すように、第二突出部81の端面211および端面212のいずれか一方もしくは両方が第一貫通穴11の端面114又は/及び端面115により案内される。これにより、第二板金2の係合部80の第二突出部81および82は、端面114又は/及び端面115により左右方向に移動が規制される。第二板金2の係合部80の第二突出部81および82は、第一板金1の第一貫通穴11および第二貫通穴12に対して所定の範囲内に収まりながら、第一貫通穴11および第二貫通穴12へ挿入される。これによって、第二板金2は、第一板金1に対して左右方向に位置決めされる。
【0047】
図8(C)に示すように、第一突出部83の当接部83aは、係止部131の手前側縁部131a1(
図11)と接触点Pで点接触する。第二板金2を更に挿入方向(矢印A)へ移動すると、当接部83aは、接触点Pから反力を受けて、第一突出部83が弾性変形により挿入方向周りに捩れる。当接部83aは、手前側縁部131a1に接触した状態で移動しやすいように、丸みが設けられている。接触点Pが矢印H方向に移動するにつれて、接触点Pからの反力により第一突出部83のねじれ変形(弾性変形)が大きくなり、第一突出部83が第三貫通穴13へ挿入される。更に挿入が進み、第一突出部83の当接部83aが斜面131aの手前側縁部131a1を乗り越え、第一突出部83の係止部83bが斜面131aの奥側縁部131a2に到達すると、第一突出部83は、係止部131から反力を受けなくなる。
図8(D)に示すように、第一突出部83の係止部83bのねじれ変形が解除され、第一突出部83は、元の位置に戻る。第一突出部83が元の位置へ戻ると、第一突出部83の先端側が第三貫通穴13から抜けないように第一突出部83の係止部(係合部)83bが係止部131の第二面(第一面1aの裏面)により係止される。係止部83bが係止部131に係合することにより、第二板金2は、第一板金1から抜けないように保持される。このとき、第二板金2の四つの突き当て部84は、第一板金1に当接する。第一板金1は、第二板金2の係止部83bと突き当て部84により挟まれる。これによって、第二板金2は、第一板金1に位置決めされた状態で仮止め(保持)される。
【0048】
挿入方向(矢印A)における第一突出部83の係止部83bと突き当て部84との間の隙間G6(
図10)は、第一板金1が係止部83bと突き当て部84の間に嵌合される距離に設定される。第一板金1が係止部83bと突き当て部84の間に保持されるように、隙間G6は、第一板金1の第三貫通穴13の近傍の厚さT6(
図11)と略同じ値に設定される。好ましくは、隙間G6は、厚さT6よりわずかに大きい。これによって、第一突出部83が第三貫通穴13へ挿入された際に、第一突出部83の係止部83bと突き当て部24の間に第一板金1が嵌合された状態で、第二板金2は、第一板金1に対して挿入方向(矢印A)に位置決めされる。このように、第二板金2が第一板金1に対して上下方向(矢印B)、左右方向(矢印C)および前後方向である挿入方向(矢印A)に位置決めされることにより、第二板金2は、第一板金1の第一面1aに対して略垂直に保持される。
【0049】
なお、第一板金1の第三貫通穴13に対して第二板金2の突出部83を挿入するために必要な挿入力を低減するために、当接部83aは、曲率(凸側)を有しているとよい。本実施例において、当接部83aは、
図10に示すように曲率を有しているが、挿入方向(矢印A)に対し勾配を付けた斜面形状を有していてもよい。当接部83aが斜面形状を有している場合であっても、挿入力の低減の効果が得られる。本実施例において、第一板金1の係止部131は、
図9に示すように斜面131aを有しているが、曲率(凸側)を有していても同様の効果が得られる。また、第二板金2の第一突出部83の当接部83aが第一板金1の係止部131の斜面131aを通過した後に、第一突出部83が弾性力により元の状態へ戻りやすくするために、当接部83aと係止部83bとの間の端部83cに勾配や丸みを設けてもよい。端部83cの勾配や丸みにより、第一突出部83の弾性変形の解除が容易になる。また、端部83cの勾配や丸みは、突出部83の弾性変形が解除されるときの第一突出部83の復元力を利用して第二板金2が第一板金1へ向かって引き込まれるという効果を奏する。
【0050】
本実施例の位置決め保持機構73によれば、第一板金1の第一貫通穴11、第二貫通穴12および第三貫通穴13を分散して配置することにより、第一貫通穴11、第二貫通穴12および第三貫通穴13のそれぞれの寸法を小さくすることができる。よって、第一板金1と第二板金2の結合部54の強度の低下を抑制できる。第一板金1の第一貫通穴11、第二貫通穴12および第三貫通穴13の小型化に伴い、第二板金2の係合部80の小型化が可能になるので、第一板金1と第二板金2の結合部54における第二板金2の係合部80の突出量を低減することができる。よって、第一板金1と第二板金2の結合部54の近傍の部品配置の自由度が向上される。第二板金2は、第一板金1に対して上下方向、左右方向および前後方向(挿入方向)の三方向で嵌合した状態に保持されるので、第一板金1に第二板金2を仮止めした後の第一板金1と第二板金2の間のガタを小さくすることができる。よって、第一板金1と第二板金2の結合部(仮止め部)54を安定した状態で保持することができる。
【0051】
位置決め保持機構73により、第二板金2が第一板金1に対して位置決めされた状態で第二板金2が第一板金1により保持される。第一板金1と第二板金2の位置決め状態を維持しつつ第二板金2が第一板金1から抜けないように、位置決め保持機構73により第二板金2を第一板金1へ仮止めすることができる。本実施例によれば、第一板金1と第二板金2の位置決めと、位置決め状態の保持とを容易に行うことができる。位置決め保持機構73により第二板金2を第一板金1へ仮止めした状態で、第一板金1と第二板金2の結合部54をレーザ溶接で固定する。従って、本実施例の位置決め保持機構73によれば、第一板金1と第二板金2の間の角度が所定の角度からずれたり、第一板金1と第二板金2の間の相対位置が所定の位置からずれたりすることを防止できる。本実施例によれば、画像形成装置30の枠体31の組み立てを容易にすることができる。
【0052】
なお、第二板金2の他端部にも係合部80を設け、係合部80を第三板金53に設けた複数の貫通穴と位置決め保持機構73により結合してもよい。第三板金53は、第一面と第二面の裏面である第二面とを連通する複数の貫通穴が形成されている。第二板金2の他端部に板状の第三突出部および第四突出部が設けられる。すなわち、第二板金2の両端部に係合部80を設けてもよい。第三突出部および第四突出部は、第二板金2の本体部2aに対して一体であり、本体部2aの平面方向に本体部2aから突出し、第三板金53の第一面側から第三板金53の複数の貫通穴に挿入される。複数の貫通穴は、第一貫通穴、第二貫通穴および第三貫通穴を含む。第三突出部は、第三板金53の第三貫通穴に挿入される。第四突出部は、第三板金53の第一貫通穴に挿入される第三挿入部と、第三板金53の第二貫通穴に挿入される第四挿入部を有する。第三板金53の第一貫通穴の縁には、第二板金2の本体部2aの平面方向に垂直な方向において第三板金53の第一貫通穴に挿入される第二板金2の移動を規制するための第三挿入部の両面にそれぞれ対面する規制部が設けられている。第三板金53の第二貫通穴の縁には、第二板金2の本体部2aの平面方向に垂直な方向において第三板金53の第二貫通穴に挿入される第二板金2の移動を規制するための第四挿入部の両面にそれぞれ対面する規制部が設けられている。第三板金53の第三貫通穴の縁には、規制部によって移動を規制された第二板金2の第三突出部を第三突出部の挿入方向周りにねじれ変形させる斜面が設けられている。第三突出部は、斜面を乗り越えてねじれ変形が解除された第三突出部の先端側が第三貫通穴から抜けないように第三板金53の第二面に係合する係合部を備える。第二板金2は、第一板金1および第三板金53を位置決め保持機構73によりつないだ後、レーザ溶接により第一板金1および第三板金53に固定される。このように、本実施例によれば、画像形成装置30の枠体31の組み立てを容易にすることができる。
【0053】
本実施例によれば、第二板金2が第一板金1から容易に抜けることがないように、第一板金に対して第二板金を位置決めし保持することができる。
【0054】
また、第二板金2の一端部に実施例1の位置決め保持機構33を設け、他端部に実施例2の位置決め保持機構73を設けてもよい。第二板金2は、第一板金1を位置決め保持機構33によりつなぎ、第三板金53を位置決め保持機構73によりつないだ後、レーザ溶接により第一板金1および第三板金53に固定される。この場合も、画像形成装置30の枠体31の組み立てを容易にすることができる。