特許第6960268号(P6960268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960268
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20211025BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20211025BHJP
   H01L 23/36 20060101ALN20211025BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/64
   !H01L23/36 C
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-144782(P2017-144782)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-29414(P2019-29414A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】藤本 佳伸
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−033600(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/082036(WO,A1)
【文献】 特開2011−119343(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/157518(WO,A1)
【文献】 特表2008−523578(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0252402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成された第一配線と、
前記第一配線と絶縁されて前記基板に形成された第二配線と、
前記第一配線及び第二配線と導通する半導体発光素子と、
を備え、
前記基板の、平面視で前記半導体発光素子と重なる領域に形成された前記第一配線は、凹の字形状の部分を有し、平面視で前記半導体発光素子と重なる領域に形成された前記第二配線は、前記凹の字形状の部分で囲まれる領域の外に形成され、
前記第一配線は、
平面視で前記半導体発光素子と重なる領域である下部領域と、
平面視で前記半導体発光素子と重ならない領域である引出し領域と、
平面視で前記半導体発光素子と重ならない領域であり、且つ前記下部領域と前記引出し領域との間に設けられて前記下部領域及び前記引出し領域に連続する中間領域と、を有し、
平面視において、前記下部領域は、一部が前記中間領域に向かう方向に歯が連なる櫛歯状の領域を前記凹の字形状の部分として有し前記櫛歯状の領域から前記中間領域に至る間は前記歯の先端よりも根元寄りの位置に収まる矩形領域であり、
前記中間領域の幅は、前記矩形領域から遠ざかるにつれて広くなり、
前記第一配線のうちの前記櫛歯状をなす部分は、前記第二配線が前記凹の字形状の部分で囲まれる領域の外に形成されることで前記第二配線と隣り合う半導体発光装置。
【請求項2】
前記基板は矩形を有し、
前記下部領域は前記基板の略中央に形成され、
前記第二配線は前記下部領域の周囲に形成される請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記引出し領域は、前記下部領域の前後左右の四方向のうちの一方向にのみ形成され、
前記下部領域の周囲のうち前記中間領域を除く領域には、前記第二配線が形成されている請求項1又は請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記第一配線は前記半導体発光素子のp側電極と導通し、前記第二配線は前記半導体発光素子のn側電極と導通する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記基板はパッケージ基板であって、前記第一配線、前記第二配線及び前記半導体発光素子それぞれの上部は開放されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
フラットパッケージ型に形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記基板はパッケージ基板であって、前記パッケージ基板の厚みが0.5 mm以下であり、且つ前記パッケージ基板の放熱性が50w/mk以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記半導体発光素子は紫外線発光素子である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
平面視で前記半導体発光素子と重なる領域に形成された前記第一配線及び前記第二配線はそれぞれ櫛歯状に形成されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記第一配線及び前記第二配線それぞれの、平面視で前記半導体発光素子と重なる領域は、それぞれ櫛歯状に形成されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
前記第一配線の前記下部領域は、平面視で、王の字形状又はHの字形状である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記半導体発光素子は前記第一配線と導通する第一電極と前記第二配線と導通する第二電極とを有し、
平面視で、前記第一電極は前記第一配線と重なる相似形状を有し、前記第二電極は前記第二配線と重なる相似形状を有する請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記第一配線及び前記第二配線と前記半導体発光素子とは、金属バンプを介して導通されている請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項14】
前記金属バンプは金を含む請求項13に記載の半導体発光装置。
【請求項15】
前記第一配線と前記第二配線とに跨がってツェナーダイオードが導通されている請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項16】
前記基板の前記半導体発光素子が配置された面とは反対側の面の、平面視で前記半導体発光素子と重なる領域に、放熱用の金属層を備える請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項17】
前記中間領域は、前記下部領域から遠ざかるにつれて幅が広くなるように二次曲線状に変化する形状を有する請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項18】
前記中間領域は、前記下部領域から遠ざかるにつれて幅が広くなるように直線的に変化する形状を有する請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波長が280nm以下の深紫外線を発光する深紫外LED(以下、UVC−LED:UltraViolet C−Light Emitting Diode)は、殺菌用途に利用可能な高出力・長寿命の半導体発光装置として期待されている。
このUVC−LEDは発熱し易いため、電流印加時に発生する熱の放熱が重要となっている。そのため、例えば、放熱性を向上する目的で、半導体チップと、半導体チップ側に形成された電極と導通される接続基板との間に、充填材を充填して発光装置本体を形成し、この発光装置本体を、その全体を覆うパッケージに収納することで、半導体チップの発熱を、充填材を介して接続基板へ放熱するようにした方法(例えば、特許文献1参照)、また、半導体チップの一方の電極をパッケージ電極と接触させ、もう一方の電極をワイヤーを介して電気的にパッケージ電極とつなげる構造により、半導体チップの発熱を抑制し、半導体チップと同程度の大きさの電極を介して、パッケージに伝達させ、放熱性を向上させる方法(例えば、非特許文献1参照)等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−111364号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】C DeMilo, C Bergad, R Forni, T Brukilacchio - Proc. of SPIE, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体発光装置として、半導体チップをパッケージ内に収納して半導体チップ全体を覆うようにした半導体発光装置は、その製造は複雑であると共に、多くの部品や材料を使用するため、コストが高く、また、半導体チップを露出した状態でワイヤーを介して電気的に接続した構造の半導体発光装置は、ワイヤーが露出していることから振動や衝撃に弱く断線リスクが高い。そこで、ワイヤーを使わず、半導体チップ両方の電極をパッケージ基板に固定し、半導体チップ全体を覆わずに半導体チップの側面や上部を露出させた半導体発光装置も提案されている。このような半導体発光装置は、従来の構造に比べて放熱性が高いものの、より一層の放熱性の向上が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、放熱性をより向上させることのできる半導体発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る半導体発光装置は、基板と、前記基板に形成された第一配線と、前記第一配線と絶縁されて前記基板に形成された第二配線と、前記第一配線及び第二配線と導通する半導体発光素子と、を備え、前記基板の、平面視で前記半導体発光素子と重なる領域に形成された前記第一配線は、凹の字形状の部分を有し、平面視で前記半導体発光素子と重なる領域に形成された前記第二配線は、前記凹の字形状の部分で囲まれる領域の外に形成され、前記第一配線は、平面視で前記半導体発光素子と重なる領域である下部領域と、平面視で前記半導体発光素子と重ならない領域である引出し領域と、平面視で前記半導体発光素子と重ならない領域であり、且つ前記下部領域と前記引出し領域との間に設けられて前記下部領域及び前記引出し領域に連続する中間領域と、を有し、平面視において、前記下部領域は、一部が前記中間領域に向かう方向に歯が連なる櫛歯状の領域を前記凹の字形状の部分として有し前記櫛歯状の領域から前記中間領域に至る間は前記歯の先端よりも根元寄りの位置に収まる矩形領域であり、前記中間領域の幅は、前記矩形領域から遠ざかるにつれて広くなり、前記第一配線のうちの前記櫛歯状をなす部分は、前記第二配線が前記凹の字形状の部分で囲まれる領域の外に形成されることで前記第二配線と隣り合うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、放熱性がより高い半導体発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体発光装置の一例を示す概略構成図である。
図2図1の底面図である。
図3】p側配線3及びn側配線4の形状を示す平面図である。
図4図1(a)の半導体チップ5部分の拡大図である。
図5】p側配線3のその他の形状の一例である。
図6】p側配線及びn側配線のその他の形状の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る半導体発光装置の一例を示す構成図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A′断面図、図2図1(a)の底面図である。
半導体発光装置1は、深紫外線を発光するUVC−LEDを含む発光装置であって、パッケージ基板(基板)2を有し、パッケージ基板2の一方の面には、金属層で構成される第一配線としてのp側配線3及び金属層で構成される第二配線としてのn側配線4が形成されている。パッケージ基板2の一方の面には、紫外線発光素子を含む半導体チップ5及びツェナーダイオード6が実装されている。半導体チップ5は、パッケージ基板2の略中央部に配置され、p側配線3の一部及びn側配線4の一部と接続される。また、半導体発光装置1には、パッケージ基板2上に形成されたp側配線3及びn側配線4、また半導体チップ5及びツェナーダイオード6それぞれの上部を覆うためのパッケージ等は設けられておらず、パッケージ基板2上に配置された各部は開放された状態、つまり、露出した状態となっている。ツェナーダイオード6を設けることによって、p側配線3及びn側配線4間の熱伝導があり、放熱バランスがよくなる。
【0012】
また、パッケージ基板2の他方の面には、p側電極11及びn側電極12と、金属層で構成される放熱用のサーマルパッド13とが形成されている。パッケージ基板2の一方の面に形成されたp側配線3と他方の面に形成されたp側電極11とは、二つのビア14及び15により導通され、同様に一方の面に形成されたn側配線4と他方の面に形成されたn側電極12とは、二つのビア16及び17により導通される。
【0013】
パッケージ基板2は、例えば略正方形を有し、窒化アルミニウムを含むセラミック基板で形成される。
パッケージ基板2の厚みは放熱特性上0.5mm以下が好ましく0.4mm以下がより好ましい。パッケージ基板2が曲がったりすることなく、容易に製造するため、パッケージ基板2の厚みは、0.05mm以上が好ましく0.1mm以上がより好ましい。また、パッケージ基板2は、温度差によって局所応力や反りを生じる可能性があるため、パッケージ基板2の放熱性は、50W/mK以上であることが好ましく、パッケージ基板2側を加熱して実装した場合の熱の影響を小さくするため、300W/mK以下が好ましい。
【0014】
図3は、p側配線3及びn側配線4の形状を示す平面図である。p側配線3は、例えば図3において、パッケージ基板2の上半分側に形成され、n側配線4は下半分側に形成され、p側配線3とn側配線4とは互いに接しないように形成される。また、p側配線3及びn側配線4は、p側配線3及びn側配線4間を分離するために必要な領域を除いて、パッケージ基板2の略全面に形成される。そして、平面視で半導体チップ5と重なる、p側配線3及びn側配線4は、p側配線3をn側配線4で囲むように配置され、図1(a)において半導体チップ5を基準として前後左右に位置するいずれか一つの辺に向かう方向、図3の場合には、半導体チップ5から見てビア14及び15が形成されている側に位置する辺の方向に引き出すように、p側配線3が形成されている。
【0015】
また、p側配線3及びn側配線4は、これらの面積比が同等程度となるように形成される。ここで、UVC−LEDを備える半導体発光装置1の場合、UVC−LEDに含まれる、深紫外線を発光するためのp型半導体層と発光層とn型半導体層との積層構造は、例えばn−AlGaNで形成されるn型半導体層のAl組成が、他の波長領域のLEDに含まれるn型半導体層に比較して高く、n電極コンタクトの抵抗が高くなりやすいため、例えばショットキー接合になりやすい。そのため、パッケージ基板2上に形成されたn側配線4からの放熱が重要となる。
【0016】
一方、UVC−LEDに含まれる、p型半導体層と発光層とn型半導体層の積層構造中の発光層での発熱も大きく、p側配線3からの放熱も重要である。
そのため、図3に示すように、p側配線3の面積とn側配線4の面積を同等程度とすることにより、p側配線3及びn側配線4のいずれかに偏ることなく、p側配線3からの放熱及びn側配線4からの放熱が均等となるように放熱することができる。そのため、半導体発光装置1において、局所的な温度上昇を防ぐことができ、信頼性を向上させることができる。
【0017】
p側配線3は、パッケージ基板2の辺と平行な三つの辺のうち向かい合う二つの辺が、パッケージ基板2の対向する辺の1/2程度の長さとなる矩形部3aと、矩形部3aと連続して形成され、n側配線4側に突出した第一突出部3b、第二突出部3c及び第三突出部3dを備え、第二突出部3cはパッケージ基板2の略中央部に配置される。
n側配線4は、パッケージ基板2の辺と平行な三つの辺のうち向かい合う二つの辺が、パッケージ基板2の対向する辺の1/2程度の長さとなる矩形部4aと、矩形部4aと連続して形成され、p側配線3側に突出した第一突出部4b、第二突出部4c及び第三突出部4dとを備える。
【0018】
第一突出部4bは、p側配線3の第一突出部3bと略線対称に形成される。第二突出部4cは、p側配線3の第一突出部3bと第二突出部3cとの間に形成される凹の字形状を有する部分(以後、凹字状部という。)に収まるように形成され、第三突出部4dは、p側配線3の第二突出部3cと第三突出部3dとの間に形成される凹字状部に収まるように形成され、第二突出部3cを挟んで、第二突出部4cと第三突出部4dとは略線対称となるように形成される。
【0019】
p側配線3の第二突出部3cは左右対称に形成され、略漢字の「王」の字形状に形成されて左右に突出した突出部を有する。n側配線4の第二突出部4cの、第二突出部3cと対向する側は、第二突出部3cの第二突出部4c側に突出した突出部同士の間に形成される凹字状部それぞれと向かい合うように突出した突出部を有する。同様に、第三突出部4dの、第二突出部3cと対向する側は、第二突出部3cの第三突出部4d側に突出した突出部同士の間に形成される凹字状部それぞれに向かい合うように突出した突出部を有する。
【0020】
図4は、図1(a)の半導体チップ5を含む部分を拡大したものである。図4に示すように、平面視で半導体チップ5のパッケージ基板2と対向する側の面には、第二突出部3cと相似な形状を有するp側電極5aと、当該p側電極5aと分離するための所定幅の領域を挟んでp側電極5aを囲むように配置され、第二突出部4cの一部及び第三突出部4dの一部と相似な形状を有するn側電極5bとが形成されている。半導体チップ5は、半導体チップ5のp側電極5aと第二突出部3cとが対向し、半導体チップ5のn側電極5bと第二突出部4c及び第三突出部4dそれぞれの一部とが対向するようにして、例えば金ボール5cを介してパッケージ基板2に実装され、第一突出部3b及び第一突出部4bの少なくとも一部と接するようにツェナーダイオード6がパッケージ基板2に実装される。なお、半導体チップ5とパッケージ基板2とを導通するための接合部である金ボール5cは、必ずしも金で構成されている必要はなく他の金属で構成されていてもよい。
【0021】
一方、p側電極11は、図2に示すように略長方形に形成され、平面視でp側配線3と重なる位置に配置される。n側電極12は、図2に示すように略長方形に形成され、平面視でn側配線4と重なるように配置される。n側電極12は、一つの角が除去されてアノードマークが形成されている。
平面視でp側電極11とp側配線3とが重なる位置にはビア14及び15が形成され、n側電極12とn側配線4とが重なる位置にはビア16及び17が形成され、これらビア14〜17は、それぞれパッケージ基板2の四隅寄りの位置に配置される。さらに、平面視で、半導体チップ5と重なる位置に放熱用のサーマルパッド13が形成され、p側電極11、n側電極12及びサーマルパッド13は互いに接触しないように間隔を開けて形成される。
【0022】
なお、ここではp側配線3とp側電極11、n側配線4とn側電極12とをそれぞれ二つのビアによって導通しているが、ビアの数は任意に設定することができる。また、パッケージ基板2の他方の面に形成されるp側電極11及びn側電極12は、それぞれ複数形成されていてもよい。
また、図4に示すように、p側配線3は、平面視で半導体チップ5の下部の領域である下部領域31と、平面視で半導体チップ5と重ならない引出し領域32と、下部領域31と引出し領域32との間に設けられ、下部領域31と引出し領域32とに連続する中間領域33と、を備える。引出し領域32は、中間領域33の下部領域31側の端部よりも広い幅を有する。中間領域33は、図4に示すように、下部領域31から遠ざかるにつれて中間領域32の幅がより広くなるように形成される。
【0023】
半導体チップ5の発熱は、半導体チップ5のp側電極5a、金ボール5c、パッケージ基板2のp側配線3の経路で下部領域31に伝達され、下部領域31から中間領域33を介して引出し領域32に伝達される。ここで、中間領域32の幅は、下部領域31から遠ざかるほど広くなるように形成されるため、下部領域31から中間領域33に伝達された熱は、幅方向に拡散しつつ幅方向と直交する方向にも拡散して引出し領域32に伝達され、ある程度幅方向に拡散した熱が引出し領域32の幅方向及び幅方向と直交する方向に拡散することになる。
【0024】
一方、中間領域33の幅が、同一又は下部領域31から遠ざかるほど狭くなる場合には、中間領域33の幅が下部領域31から遠ざかるほど広くなる場合に比較して、下部領域31から中間領域33に伝達された熱の幅方向への拡散は小さく、幅方向と直交する方向に拡散して引出し領域32に伝達された後、幅方向及び幅方向と直交する方向に拡散することになる。
【0025】
つまり、中間領域33の幅が下部領域31から遠ざかるほど広くなるようにした場合の方が、中間領域33の引出し領域33側の幅が広いため、引出し領域33に伝達される時点で熱の拡散幅が広い。そのため、引出し領域33にはより広い幅で熱が伝達されて、幅方向及び幅方向と直交する方向へ拡散することになり、より速やかに引出し領域33全体に熱が拡散する。その結果、より速やかに放熱することができる。すなわち、放熱効果をより高めることができる。
【0026】
そして、引出し領域32は、図3に示すように、パッケージ基板2の略縁部まで到達するように形成されているため、より広い領域を、引出し領域32として用いることができ、すなわち放熱領域として使用することができるため、放熱効果をより高めることができる。
なお、半導体チップ5の発熱は、半導体チップ5のn側電極5b側でも同様に、金ボール5c、パッケージ基板2のn側配線4の経路で伝達されて半導体チップ5と重ならない領域まで伝達されて放熱される。半導体チップ5の下部では、n側配線4はp側配線3の外側に配置されているため、半導体チップ5とパッケージ基板2との間の隙間から放熱することができる。n側配線4に囲まれている分、p側配線3では、半導体チップ5とパッケージ基板2との間の隙間からの放熱効果が小さいが、その分、引出し領域33での放熱効果を高めることができるため、結果的に、p側配線3及びn側配線4による放熱が偏らないようにすることができ、局所的に高温となることを回避することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、図4に示すように、p側配線3の、平面視で半導体チップ5と重なる領域である下部領域31から遠ざかるにつれて、中間領域33の幅がより広くなるようにした場合について説明したがこれに限るものではない。例えば、図5(a)〜(c)に示すように、下部領域31の、中間領域33寄りの部分から中間領域33に近づくほど下部領域31の幅がより広くなり中間領域33の幅と連続するように形成し、下部領域31から中間領域33を介して連続的に幅が広くなるように形成してもよい。また、その際、図5(a)、(b)に示すように、p側配線3の形状が二次曲線状に変化して幅が広がるように形成してもよく、図5(c)に示すように、p側配線3の形状が直線的に変化して幅が広がるように形成してもよい。また、図5(b)、(c)に示すように、下部領域31の中間領域33寄りの領域の幅を、n側配線4との間で絶縁するため領域を確保できる程度の大きさまで広くすることで、下部領域31から中間領域33を介して引出し領域32への熱の伝達をより効率よく行うようにしてもよい。
【0028】
また、上記実施形態においては、半導体チップ5の下部におけるp側配線3の形状を、図1に示すように「王」の字形状とした場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、図6に示すように、「H」の字を横にした形状、或いは櫛歯形状等であってもよく、半導体チップ5の下部におけるn側配線4の形状は、「王」の字形状、「H」の字を横にした形状、櫛歯形状等といった、凹字状部と突出部とを有するp側配線3と、対向するように凹字状部と突出部とを有する形状であればよく、その際、p側配線3の凹字状部で囲まれた領域と、n側配線4の突出部とが平面視で重ならないように配置されていれば、凹字状部及び突出部はどのような形状であってもよく、また同一形状の凹字状部と同一形状の突出部との繰り返しでなくともよい。
【0029】
また、p側配線3及びn側配線4は、必ずしも凹字状部と突出部とを有していなくともよく、半導体チップ5の下部において、n側配線4と隣り合うように配置されていればよい。
また、半導体チップ5の下部において、p側配線3をn側配線4で囲み、半導体チップ5の下部のp側配線3を、一方向または複数方向に、半導体チップ5と重ならない領域まで引き出すようになっている場合であっても適用することができる。
【0030】
また、上記実施形態においては、p側配線3をn側配線4で囲む場合について説明したが、逆にn側配線4をp側配線3で囲むような場合であっても適用することができる。
また、上記実施形態においては、p側配線3を半導体チップ5の下部から一方向に引き出す場合について説明したが、複数方向に引き出すことも可能である。
【0031】
<本実施形態の効果>
本実施形態は、以下の効果(1)〜(4)を奏する。
(1)本発明の一実施形態に係る半導体発光装置1は、p側配線3において、下部領域31から遠ざかるほど中間領域33の幅が、より広くなるようにしている。そのため、p側配線3に伝達された半導体チップ5による発熱を、引出し領域32全体に効率よく拡散させることができ、すなわち放熱効果を向上させることができる。
また、半導体チップ5やp側配線3、n側配線4はそれぞれその上部はパッケージにより覆われておらず開放した状態であるため、パッケージ内に収容されている場合に比較して、放熱効果を得ることができる。特に図1に示すように、p側配線3をn側配線4で囲むようにした場合、p側配線3やn側配線4の半導体チップ5の下部の部分は、半導体チップ5の発熱が伝達されやすく、また、半導体チップ5のp側電極5aの方がn側電極5bに比較して発熱しやすい。さらに、p側配線3はn側配線4に囲まれているため、半導体チップ5の下部の部分における放熱効果は、n側配線4に比較して平面視でその内側に配置されているp側配線3の方が放熱しにくい。そのため、図1に示すように、p側配線3において、下部領域31から遠ざかるほど中間領域33の幅をより広くし放熱効果を向上させることによって、p側配線3がn側配線4によって囲まれていることに起因する放熱効果の低減を補うことができ、半導体チップ5の下部のp側配線3及びn側配線4部分での温度が偏ることなく温度上昇を均等に抑制することができる。つまり、n側配線4での放熱を優先させ、半導体チップ5の下部におけるn側配線4を半導体チップ5の縁側寄りに配置し、p側配線3の半導体チップ5の下部における放熱が期待できないような場合であっても、p側配線3の形状を調整することによって放熱効果を高めることができる。
【0032】
(2)また、半導体発光装置1では、図1に示すように、パッケージ基板2の略上半分側にp側配線3を設け、略下半分側にn側配線4を設け、半導体チップ5のp側電極5a用の放熱領域となるp側配線3と、n側電極5b用の放熱領域となるn側配線4の、平面視で半導体チップ5と重ならない領域については、p側配線3とn側配線4とが互いに入り組んだりすることなく、二つの領域に切り分けて配置している。つまり、放熱用の領域としてのp側配線3及びn側配線4による放熱経路を、互いに影響を及ぼさないように配置することにより、p側配線3及びn側配線4における放熱を効率よく行うことができる。
【0033】
(3)半導体チップ5をパッケージ基板2に実装する際の金属バンプとして放熱効果の高い金を用いた金ボールを用いることによっても放熱効果を向上させることができる。
(4)平面視で半導体チップ5の下部のp側配線3及びn側配線4を櫛形に形成し、p側配線3及びn側配線4のうちの一方の凹字状部と他方の突出部とが対向するように配置することによって、パッケージ基板2と半導体チップ5との接合部を有効に形成することができ、より狭い範囲で十分に導通させることができる。つまり、p側配線3及びn側配線4を効率よく配置することができるため、半導体チップ5のパッケージ基板2と対向する側の面の面積が小さい場合であっても、半導体チップ5とパッケージ基板2とを導通するための金属バンプ等の接合部を、効率よく配置することができ、半導体チップ5とパッケージ基板2とを効率よく導通することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、半導体発光装置1は、パッケージ基板2上に形成されたp側配線3及びn側配線4、また半導体チップ5及びツェナーダイオード6それぞれの上部を覆うためのパッケージ等は設けられておらず、パッケージ基板2上に配置された各部は開放された構造を有する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、パッケージ基板2及びパッケージ基板2上に配置された各部がパッケージ内に収納されたフラットパッケージ型に形成された半導体発光装置1であっても適用することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 半導体発光装置
2 パッケージ基板
3 p側配線
4 n側配線
5 半導体チップ
11 p側電極
12 n側電極
13 サーマルパッド
14〜17 ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6