特許第6960269号(P6960269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960269有機物含有水の処理方法および有機物含有水の処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960269
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】有機物含有水の処理方法および有機物含有水の処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/28 20060101AFI20211025BHJP
   C02F 3/10 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   C02F3/28 B
   C02F3/10 Z
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-146968(P2017-146968)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2019-25410(P2019-25410A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 太一
(72)【発明者】
【氏名】井坂 和一
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 吉昭
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−201377(JP,A)
【文献】 特開2006−088047(JP,A)
【文献】 特開2005−324133(JP,A)
【文献】 特開2012−066164(JP,A)
【文献】 特開2005−342705(JP,A)
【文献】 特開2015−116516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/28
C02F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物含有水を流動床式の反応槽により嫌気条件で生物処理する有機物含有水の処理方法であって、
前記反応槽内に、メタン発酵菌を含む嫌気性微生物が生物膜状となって付着している担体を流動させながら、前記有機物含有水を通水して生物処理し、
前記反応槽とは別の貯留槽で、嫌気性微生物が生物膜状となって付着した担体を貯留し、前記反応槽の処理水の有機酸濃度が所定の値以上となる処理低下時に、前記貯留した貯留担体を前記反応槽に添加することを特徴とする有機物含有水の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の有機物含有水の処理方法であって、
前記貯留担体の添加位置が、前記反応槽へ前記有機物含有水を流入させる流入ポンプの出口側であることを特徴とする有機物含有水の処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の有機物含有水の処理方法であって、
前記貯留槽を前記反応槽の水面より上方に設置し、前記貯留担体を自然流下させて前記反応槽へ添加することを特徴とする有機物含有水の処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の有機物含有水の処理方法であって、
前記反応槽の処理安定時に、前記貯留担体の一部と前記反応槽内の担体の一部とを入れ替えることを特徴とする有機物含有水の処理方法。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の有機物含有水の処理方法であって、
前記反応槽が、担体を撹拌する撹拌装置を有することを特徴とする有機物含有水の処理方法。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の有機物含有水の処理方法であって、
前記担体が、ゲル状担体であることを特徴とする有機物含有水の処理方法。
【請求項7】
有機物含有水を流動床式の反応槽により嫌気条件で生物処理する有機物含有水の処理装置であって、
メタン発酵菌を含む嫌気性微生物が生物膜状となって付着している担体を流動させながら、前記有機物含有水を通水して生物処理するための反応槽と、
嫌気性微生物が生物膜状となって付着した担体を貯留するための、前記反応槽とは別の貯留槽と、
前記反応槽の処理水の有機酸濃度が所定の値以上となる処理低下時に、前記貯留槽内の貯留担体を前記反応槽に添加するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする有機物含有水の処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の有機物含有水の処理装置であって、
前記貯留担体の添加位置が、前記反応槽へ前記有機物含有水を流入させる流入ポンプの出口側であることを特徴とする有機物含有水の処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の有機物含有水の処理装置であって、
前記貯留槽を前記反応槽の水面より上方に設置し、前記貯留担体を自然流下させて前記反応槽へ添加することを特徴とする有機物含有水の処理装置。
【請求項10】
請求項7〜9に記載の有機物含有水の処理装置であって、
前記制御部は、前記反応槽の処理安定時に、前記貯留担体の一部と前記反応槽内の担体の一部とを入れ替えるように制御することを特徴とする有機物含有水の処理装置。
【請求項11】
請求項7〜10に記載の有機物含有水の処理装置であって、
前記反応槽が、担体を撹拌する撹拌装置を有することを特徴とする有機物含有水の処理装置。
【請求項12】
請求項7〜11に記載の有機物含有水の処理装置であって、
前記担体が、ゲル状担体であることを特徴とする有機物含有水の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物含有水を流動床式反応槽により嫌気条件で生物処理する、有機物含有水の処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機物含有水を流動床式反応槽により嫌気条件で生物処理する嫌気性流動床式水処理は、担体に嫌気性微生物を付着させ、反応槽内で流動させることにより、有機物含有水と担体との接触効率を高め、安定且つ高効率な処理を可能とする処理方法である。しかし、この方法では、担体への嫌気性微生物の付着に時間が掛かるため、処理効率が低下したり、処理水質が低下する等の処理が低下したときに、処理能力の回復に多大な時間を要するという問題がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、嫌気性流動床式排水処理において、処理が低下したときに嫌気性グラニュールを添加する方法が提案されている。嫌気性グラニュールは担体よりも沈降速度が低いため、担体の十分な流動状態では、嫌気性グラニュールは解体、分散化し易く、短期間で反応槽内から流出する傾向にある。したがって、処理の低下を一時的に改善できるが、長期的には嫌気性グラニュールを複数回添加する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−100679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
嫌気性流動床式水処理の処理が低下したときに効率良く、長期間にわたって処理を回復させる方法はこれまで知られていない。
【0006】
本発明の目的は、有機物含有水を流動床式反応槽により嫌気性微生物の付着担体を用いて嫌気条件で生物処理する方法において、処理が低下したときに効率良く、長期間にわたって処理を回復させることができる、有機物含有水の処理方法および処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有機物含有水を流動床式の反応槽により嫌気条件で生物処理する有機物含有水の処理方法であって、前記反応槽内に、メタン発酵菌を含む嫌気性微生物が生物膜状となって付着している担体を流動させながら、前記有機物含有水を通水して生物処理し、前記反応槽とは別の貯留槽で、嫌気性微生物が生物膜状となって付着した担体を貯留し、前記反応槽の処理水の有機酸濃度が所定の値以上となる処理低下時に、前記貯留した貯留担体を前記反応槽に添加する、有機物含有水の処理方法である。
【0008】
前記有機物含有水の処理方法において、前記貯留担体の添加位置が、前記反応槽へ前記有機物含有水を流入させる流入ポンプの出口側であることが好ましい。
【0009】
前記有機物含有水の処理方法において、前記貯留槽を前記反応槽の水面より上方に設置し、前記貯留担体を自然流下させて前記反応槽へ添加することが好ましい。
【0010】
前記有機物含有水の処理方法において、前記反応槽の処理安定時に、前記貯留担体の一部と前記反応槽内の担体の一部とを入れ替えることが好ましい。
【0011】
前記有機物含有水の処理方法において、前記反応槽が、担体を撹拌する撹拌装置を有することが好ましい。
【0012】
前記有機物含有水の処理方法において、前記担体が、ゲル状担体であることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、有機物含有水を流動床式の反応槽により嫌気条件で生物処理する有機物含有水の処理装置であって、メタン発酵菌を含む嫌気性微生物が生物膜状となって付着している担体を流動させながら、前記有機物含有水を通水して生物処理するための反応槽と、嫌気性微生物が生物膜状となって付着した担体を貯留するための、前記反応槽とは別の貯留槽と、前記反応槽の処理水の有機酸濃度が所定の値以上となる処理低下時に、前記貯留槽内の貯留担体を前記反応槽に添加するように制御する制御部と、を備える、有機物含有水の処理装置である。
【0014】
前記有機物含有水の処理装置において、前記貯留担体の添加位置が、前記反応槽へ前記有機物含有水を流入させる流入ポンプの出口側であることが好ましい。
【0015】
前記有機物含有水の処理装置において、前記貯留槽を前記反応槽の水面より上方に設置し、前記貯留担体を自然流下させて前記反応槽へ添加することが好ましい。
【0016】
前記有機物含有水の処理装置において、前記制御部は、前記反応槽の処理安定時に、前記貯留担体の一部と前記反応槽内の担体の一部とを入れ替えるように制御することが好ましい。
【0017】
前記有機物含有水の処理装置において、前記反応槽が、担体を撹拌する撹拌装置を有することが好ましい。
【0018】
前記有機物含有水の処理装置において、前記担体が、ゲル状担体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、有機物含有水を流動床式反応槽により嫌気性微生物の付着担体を用いて嫌気条件で生物処理する方法において、処理が低下したときに効率良く、長期間にわたって処理を回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る有機物含有水の処理装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る有機物含有水の処理装置の他の例を示す概略構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る有機物含有水の処理装置の他の例を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る有機物含有水の処理装置の他の例を示す概略構成図である。
図5】本発明の実施形態に係る有機物含有水の処理装置の他の例を示す概略構成図である。
図6】実施例および比較例における、CODcr負荷(kg/m/day)の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0022】
本発明の実施形態に係る有機物含有水の処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
【0023】
図1に示す有機物含有水の処理装置1は、流動床式の反応槽10と、反応槽10とは別の貯留槽12と、制御部32とを備える。流動床式の反応槽10内には、嫌気性微生物が生物膜状となって付着している担体26が投入されている。貯留槽12内には、嫌気性微生物が生物膜状となって付着している貯留担体28が投入されている。反応槽10は、槽内の担体26を流動させながら、嫌気条件下で、有機物含有水を通水して生物処理するためのものであり、貯留槽12は、貯留担体28を貯留し、反応槽10の処理低下時に、貯留した貯留担体28を反応槽10に添加するためのものである。
【0024】
図1の有機物含有水の処理装置1において、反応槽10の有機物含有水入口には、流入ポンプ22を介して有機物含有水流入配管16が接続され、反応槽10の処理水出口には、処理水排出配管18が接続されている。処理水排出配管18には、処理水の水質を測定する処理水水質測定手段として、処理水水質測定装置34が設置されている。図1に示す流動床式の反応槽10は、撹拌型の反応槽であり、槽内に略垂直に設置され、上下が開口したドラフトチューブ24と、槽内の担体26を撹拌する撹拌手段として、モータ、撹拌翼、モータと撹拌翼を接続するシャフト等を有する撹拌装置14と、を備えていてもよい。撹拌装置14の撹拌翼は、ドラフトチューブ24内に配置されている。一方、貯留槽12の出口と反応槽10の貯留担体入口とは、ポンプ30を介して貯留担体供給配管20により接続されている。また、反応槽10の担体出口と貯留槽12の担体入口とは、ポンプ38を介して担体取出配管40により接続されていてもよい。制御部32は、ポンプ30,38および処理水水質測定装置34に電気的接続等により接続されている。
【0025】
本実施形態に係る有機物含有水の処理方法および処理装置1の動作について説明する。
【0026】
被処理水である有機物含有水が、流入ポンプ22により有機物含有水流入配管16を通して反応槽10に流入される。この有機物含有水の通水開始前または通水開始後において、反応槽10に、担体26が投入される。反応槽10内では、撹拌装置14により、担体26および有機物含有水が撹拌されながら、嫌気条件で生物処理が行われる(生物処理工程)。なお、本実施形態では、撹拌装置14の撹拌翼がドラフトチューブ24内に配置されているため、撹拌装置14による撹拌によってドラフトチューブ24内に下向流が形成され、ドラフトチューブ24の外壁面と反応槽10の内壁面との間に上向流が形成される。反応槽10で生物処理された処理水は、処理水排出配管18を通して系外へ排出される。このような処理を継続して、予め設定した負荷に達した段階で、生物処理の立ち上げを終了し、以降、例えば、生物処理の立ち上げ期間で到達した負荷を維持しながら、有機物含有水の生物処理(本処理)が実行される。
【0027】
本実施形態に係る有機物含有水の処理方法および処理装置1では、嫌気性微生物が生物膜状となって付着した貯留担体28を、反応槽10の処理効率が悪くなる前の通常時にあらかじめ、反応槽10とは別の貯留槽12で貯留し、反応槽10の処理低下時に貯留担体28をポンプ30により貯留担体供給配管20を通して反応槽10に添加することで、反応槽10における処理性能を回復させる。例えば、制御部32が、反応槽10の処理低下時に、貯留槽12内の貯留担体28を反応槽10に添加するように制御する。制御部32によって、例えば、処理水水質測定装置34により測定された処理水の水質の測定値に基づきポンプ30が駆動され、貯留担体28が反応槽10に添加される。これにより、反応槽10における嫌気性流動床式水処理の処理が低下したときに効率良く、長期間にわたって処理を回復させることができる。反応槽10の処理効率が悪くなってから、新たな担体を反応槽10に投入するのでは対応が遅く、処理が低下する前の通常運転時に嫌気性微生物が付着した貯留担体28をあらかじめ準備しておき、反応槽10の処理低下時に貯留担体28を反応槽10に添加することで、効率良く処理を回復させ、長期間安定処理を維持することができる。
【0028】
[嫌気性流動床式水処理の反応槽形態]
流動床式の反応槽10としては、上向流型、撹拌型のいずれでも良いが、撹拌型は被処理水と担体26との接触効率が高いことや、高い油脂濃度や懸濁物質(SS)濃度を有する有機物含有水でも処理が可能であることから、撹拌型が好ましい。流動床式の反応槽10は、上向流型、撹拌型に制限されるものではなく、担体が流動する形式のものであればよく、特に制限されるものではない。
【0029】
撹拌装置14は、流動床式の反応槽10内の担体26を撹拌することが可能な装置構成であればよく、特に制限されるものではない。撹拌装置14としては、例えば、モータ、撹拌翼、モータと撹拌翼を接続するシャフト等を有する撹拌装置が挙げられる。反応槽10が、担体26を撹拌する撹拌装置を有することにより、反応槽10からの担体26の取り出し時、および反応槽10への取り込み時に反応槽10内にできるだけ偏りなく(できるだけ均一に)担体を取り出し、取り込みできる。
【0030】
担体26の流動性を向上させる等の点で、撹拌型の反応槽10の内部に、ドラフトチューブ24を設置することが好ましいが、必ずしもドラフトチューブ24を設置しなくてもよい。ドラフトチューブ24は、反応槽10内に略垂直に設置され、上下が開口した円筒状等の筒状の管である。
【0031】
本実施形態の処理装置1は、例えば、流動床式の反応槽10の処理水出口を囲むように設置されるスクリーン(不図示)を備えることが好ましい。このスクリーンにより、流動床式の反応槽10からの担体26の流出を抑制することが可能となる。スクリーンとしては、例えば、ウエッジワイヤースクリーン、金網、パンチングメタル等が挙げられる。
【0032】
処理水水質測定装置34としては、処理水の水質を測定できるものであればよく、特に制限はないが、例えば、TOC(全有機炭素)測定装置、COD(化学的酸素要求量)測定装置、pH測定装置等が挙げられる。
【0033】
[担体]
嫌気性微生物を生物膜状に付着させる担体としては、嫌気性生物処理で従来使用される担体であればよく、特に制限されるものではない。担体としては、例えば、プラスチック製担体、スポンジ状担体、ゲル状担体等が挙げられる。特に、ゲル状担体を用いることで、高分子ポリマを産出しないメタン発酵菌が、ゲル状担体の3次元の網目構造の孔に入り込む、またはゲル状担体の形状、荷電等の関係で付着しやすく、生物膜の保持に有効であり、また、撹拌による担体の流動性も高いため、プラスチック製担体、スポンジ状担体と比較して、高負荷処理が可能となる。ゲル状担体としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリウレタン等を含んでなる吸水性高分子ゲル状担体等が挙げられる。
【0034】
担体26の形状は、特に限定されるものではないが、0.5mm〜20mm程度の径の球状または立方体状(キューブ状)、長方体、円筒状等のものが好ましい。特に、3〜8mm程度の径の球状、または円筒状のゲル状担体が好ましい。
【0035】
反応槽10内部に流動状態を形成するために、担体26の比重は、少なくとも1.0より大きく、真比重として、1.1以上、あるいは見かけ比重として1.01以上のものが好ましい。
【0036】
反応槽10への担体26の投入量は、反応槽10の容積に対して10〜50%の範囲が好ましい。担体26の投入量が反応槽10の容積に対して10%未満であると反応速度が小さくなる場合があり、50%を超えると担体26が流動しにくくなり、長期運転において汚泥による閉塞等で被処理水がショートパスして処理水質が悪くなる場合がある。
【0037】
担体26の沈降速度は、100〜150m/hrであることが好ましい。担体26の沈降速度が100m/hr未満であると、担体26が浮上し、反応槽10から流出しやすくなり、150m/hrを超えると、流動状態が悪くなり、被処理水がショートパスしたり、撹拌のエネルギーが大きくなったりする場合がある。
【0038】
[嫌気性微生物付着担体]
生物膜とは、嫌気性微生物と、嫌気性微生物が産出する菌体外多糖等の生産物等が集合した膜状構造体であって、少なくとも10μm以上の膜厚、好ましくは20μm以上の膜厚を有するものである。上記膜厚は、担体26表面上からの厚みであり、10個〜20個の担体26の平均値である。なお、菌体外多糖等の生産物は、アルカリを用いて生物膜から多糖類を抽出し、抽出液中の糖濃度をAnthrone法により測定することが可能である。菌体外多糖等の生産物は粘着性を有し、生物膜の付着性に影響を与えるものであると考えられ、例えば、生物膜中に20ppm以上存在していることが好ましく、50ppm以上存在していることがより好ましい。
【0039】
[反応槽の運転条件]
本実施形態では、有機物含有水を生物処理するに当たり、有機物含有水のpHは6.0〜8.0の範囲が好ましく、6.5〜7.5の範囲がより好ましい。有機物含有水のpH調整は、例えば、pH調整剤供給配管(図示せず)から、有機物含有水を貯留した原水槽(図示せず)にpH調整剤を供給することにより行われる。有機物含有水のpHが上記範囲外であると、生物処理による有機物の分解反応速度が低下する場合がある。
【0040】
pH調整剤としては、塩酸等の酸剤、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤等が挙げられ、特に制限されるものではない。また、pH調整剤は、例えば、緩衝作用を持つ重炭酸ナトリウム、燐酸緩衝液等であってもよい。
【0041】
本実施形態では、有機物含有水を生物処理するに当たり、嫌気性微生物の分解活性を良好に維持する等の点から、例えば、有機物含有水に栄養剤を添加することが好ましい。栄養剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、炭素源、窒素源、燐源、その他無機塩類(Ni,Co,Fe等の塩類)等が挙げられる。
【0042】
本実施形態では、流動床式の反応槽10の水温を20℃以上となるように温度調整することが好ましい。通常、20℃未満であると、分解反応速度が低下する傾向にある。反応槽10内の水温の温度調整方法は、特に制限されるものではないが、例えば、反応槽10にヒータ等の加熱装置等を設置して、ヒータ等の熱により反応槽10内の水温を調整する方法等が挙げられる。
【0043】
[貯留槽]
貯留槽12に、嫌気性微生物が生物膜状に付着した貯留担体28を貯留する。嫌気性微生物が生物膜状に付着した貯留担体28は、例えば、有機物含有水に、微生物が付着していない担体を浸漬させて長期間馴養している馴養装置等から確保される。また、例えば、担体を用いた有機物含有水の嫌気処理を長期に行っている別系統の処理装置から確保される。または、反応槽10から一部の担体を引抜くことで確保される。例えば、反応槽10内の担体26をポンプ38により担体取出配管40を通して引抜いて貯留槽12に添加すればよい。
【0044】
貯留槽12における貯留担体28の貯留量は、反応槽10に保持する担体26の量(容積)の30〜100%相当が好ましく、70〜100%相当がより好ましい。
【0045】
貯留担体28として用いる担体の材質、形状、比重、沈降速度等は、上記担体26と同様のものを用いればよい。
【0046】
貯留担体28を反応槽10に添加するためのポンプ30としては、通常のポンプを用いることができるが、貯留担体28の破損および担体に付着した生物膜の剥離等を抑制するために、回転容積式ポンプ、チューブポンプ、エアーリフトポンプ等が好ましい。
【0047】
本明細書において「処理低下時」とは、(1)安定時の有機物除去率と比較して30%以上有機物除去率が低下した状態、(2)安定時の処理水水質と比較して30%以上処理水水質が低下した状態、(3)処理水の有機酸濃度が150mg/L以上となった状態、(4)有機物含有水のpHが6.5〜7.5の範囲外となった状態の少なくとも1つの状態を指す。また、「処理安定時」とは、(1)有機物除去率が70%以上の状態、(2)処理水水質が原水濃度の30%未満の状態、(3)処理水の有機酸濃度が150mg/L未満の状態の少なくとも1つの状態、(4)有機物含有水のpHが6.5〜7.5の範囲内の状態を指す。例えば、制御部32が、処理水水質測定装置34により測定された処理水のTOC、COD、pH等の水質の測定値に基づき、「処理低下時」および「処理安定時」を判断すればよい。
【0048】
嫌気性微生物が生物膜状に付着した貯留担体28は、保管および移送に注意しないと、生物膜が担体から剥離してしまう可能性がある。例えば、図1に示すように、貯留担体28を貯留槽12から反応槽10へ移送する際、ポンプ30等を利用すると、貯留担体28の表面に付着した嫌気性微生物が剥離し易く、また担体自体も破損する場合がある。したがって、例えば、図2に示すように、反応槽10へ有機物含有水を流入させる流入ポンプ22等の出口側において貯留担体28を添加することが好ましい。図2に示す処理装置3では、有機物含有水流入配管16における流入ポンプ22の出口側と反応槽10の有機物含有水入口との間に、貯留槽12の出口からの貯留担体供給配管20がバルブ36を介して接続されている。また、反応槽10の担体出口と貯留槽12の担体入口とは、ポンプ42を介して担体取出配管44により接続されていてもよい。制御部32は、処理水水質測定装置34、バルブ36およびポンプ42に電気的接続等により接続されている。図2に示す処理装置3では、貯留担体28の添加位置を反応槽10の流入ポンプ22の出口側に設置し、流入ポンプ22により押し出された有機物含有水と共に、生物膜の剥離を抑制して反応槽10に添加する方法である。例えば、制御部32によって、処理水水質測定装置34により測定された処理水の水質の測定値に基づきバルブ36の開閉が制御され、貯留担体28が、貯留担体供給配管20、有機物含有水流入配管16を通して反応槽10に添加される。
【0049】
または、図3に示すように、貯留槽12を反応槽10の水面より上方に設置し、貯留担体28を自然流下させて反応槽10へ添加することが好ましい。図3に示す処理装置5では、反応槽10の上部の貯留担体入口に、反応槽10の水面より上方に設置した貯留槽12の出口からの貯留担体供給配管20がバルブ36を介して接続されている。また、反応槽10の担体出口と貯留槽12の担体入口とは、ポンプ42を介して担体取出配管44により接続されていてもよい。制御部32は、処理水水質測定装置34、バルブ36およびポンプ42に電気的接続等により接続されている。図3に示す処理装置5では、貯留担体28を貯留する貯留槽12を反応槽10の水面より上方に設置し、貯留担体28を自然流下させて反応槽10へ添加することで、生物膜の剥離を抑制して反応槽10に添加する方法である。例えば、制御部32によって、処理水水質測定装置34により測定された処理水の水質の測定値に基づきバルブ36の開閉が制御され、貯留担体28が、貯留担体供給配管20を通して反応槽10に添加される。
【0050】
これら図2,3に示す構成等により、貯留担体28を反応槽10に添加する際に、貯留担体28に付着している生物膜をできるだけ剥離させずに反応槽10に添加することができる。
【0051】
反応槽10の処理の低下状況に応じて、貯留担体28の添加量を調整することが好ましく、例えば、安定時の有機物除去率と比較して40%有機物除去率が低下した場合、貯留担体28の添加量は反応槽10の保持担体量の40%分添加する。反応槽10内の保持担体量が過剰となると、担体26の流動性不良となる可能性があるため、貯留担体28の添加量と同等の量の担体26を反応槽10から引抜くことが好ましい。この場合、貯留槽12を2槽以上設置し、反応槽10から引抜いた担体26を、貯留している貯留担体28と分別することがより好ましい。
【0052】
嫌気性微生物が付着した貯留担体28を貯留槽12に長期間貯留した場合、微生物の活性が低下する可能性がある。そこで、反応槽10の処理安定時には、反応槽10内の担体26の一部と貯留槽12の貯留担体28の一部とを入れ替え、微生物の活性を維持することが好ましい。例えば、制御部32が、反応槽10の処理安定時に、貯留担体28の一部と反応槽10内の担体26の一部とを入れ替えるように制御する。図1の処理装置1では、例えば、制御部32によって、処理水水質測定装置34により測定された処理水の水質の測定値に基づきポンプ30およびポンプ38が駆動され、貯留槽12内の貯留担体28の一部と反応槽10内の担体26の一部とが入れ替えられる。図2,3の処理装置3,5では、例えば、制御部32によって、処理水水質測定装置34により測定された処理水の水質の測定値に基づきバルブ36の開閉が制御され、ポンプ42が駆動され、貯留槽12内の貯留担体28の一部と反応槽10内の担体26の一部とが入れ替えられる。反応槽10の貯留担体入口と担体出口とは、反応槽10内の流れ方向を考慮して、反応槽10内において、取り出される担体26と添加される貯留担体28ができるだけ混ざらないように離されて配置されることが好ましい。反応槽10内の担体26を貯留槽12に添加するためのポンプ38,42については、ポンプ30と同様のポンプを用いることができる。
【0053】
反応槽10に保持する担体26が例えば3〜14日で貯留槽12に保持する貯留担体28と入れ替わるようにするのが好ましい。通常、嫌気処理の運転管理では1〜3日置きに処理状況の確認を行うことが一般的であるため、担体の入れ替え頻度が3日未満の場合、反応槽10の処理低下時に、反応槽10に保持する担体26、貯留槽12に保持する貯留担体28共に処理性能の低下の影響を受ける可能性がある。また、担体の入れ替え頻度が14日を超える場合は、貯留担体28の嫌気性微生物の活性低下が始まり、処理性能の低下に繋がる可能性がある。
【0054】
ゲル状担体は他の担体と比較して、嫌気性微生物の保持能力が高く、担体自体の弾力性も高いため、貯留槽12と反応槽10との間の担体の移送の際、生物膜の剥離や担体の破損を抑制することができる。
【0055】
[有機物含有排水]
本実施形態の有機物含有水の処理方法および処理装置1における処理対象である有機物含有水は、例えば、食品製造工場、電子産業工場、パルプ製造工場、化学工場等から排出される有機物(油脂、懸濁物質、ならびに油脂および懸濁物質以外の有機物)を含有する排水である。
【0056】
撹拌型の処理装置は、高い油脂濃度やSS濃度を有する有機物含有水でも処理が可能であるが、対象とする有機物含有水のノルマルヘキサン抽出物質濃度(油脂濃度)は、例えば、100mg/L以上であり、好ましくは150mg/L以上である。また、SS濃度は、例えば、100mg/L以上であり、好ましくは200mg/L以上である。
【0057】
[その他の実施形態1]
本実施形態に係る有機物含有水の処理装置は、例えば、図4に示すように、反応槽10を複数(図4の例では例えば、第1反応槽10a、第2反応槽10b)設け、それぞれの反応槽10に貯留槽12より生物膜が付着した貯留担体28を添加する構成であってもよい。この場合、第1反応槽10a、第2反応槽10bからそれぞれ引抜いた担体26を、貯留槽12の貯留担体28と入れ替えてもよい。
【0058】
[その他の実施形態2]
また、図5に示すように、反応槽10を複数(図5の例では例えば、第1反応槽10a、第2反応槽10b)設け、(1)第2反応槽10bの処理が低下したと判定すると、第1反応槽10a内の生物膜が付着した担体26を第2反応槽10bに添加し、(2)次に、貯留槽12内の生物膜が付着した貯留担体28を第1反応槽10aに添加する構成であってもよい。この場合、第2反応槽10bから引抜いた担体26を、貯留槽12の貯留担体28に添加してもよい。
【0059】
この場合、例えば、負荷等の運転条件を第2反応槽10bでは第1反応槽10aよりも高い条件(例えば最大条件)、第1反応槽10aでは第2反応槽10bよりも低い条件(緩和条件)とする。嫌気処理に関わる微生物は環境変化に弱く、過負荷条件では阻害を受け、活性が低下しやすいことから、処理低下現象は第2反応槽10bから現れるため、その時点では第1反応槽10aの処理低下は第2反応槽10bに比べて少ない。第1反応槽10aでは貯留槽12より活性の高い担体が存在しているため、その担体を第2反応槽10b(例えば最大条件)に移送することで、貯留槽12から移送するより少ない担体量で十分な効果が得られる。第1反応槽10aから第2反応槽10bへの移送後、第1反応槽10a内で不足した担体は貯留槽12から補給すればよい。貯留槽12の貯留担体28は活性が低い担体であるので、緩和条件の第1反応槽10aに投入した方がスムーズに活性を回復させることができる。
【0060】
貯留槽12に貯留する貯留担体28と、1つまたは複数の反応槽10から貯留槽12へ戻した担体26とができるだけ混合しないように、例えば、返送する担体26を貯留槽12の上部から投入し、担体が上下で混合しないようにしながら、移送する貯留担体28は下部から抜き出すことが好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
(1)貯留担体添加法と嫌気性グラニュール添加法の比較試験
処理低下時を想定し、嫌気性微生物が付着していない新品の球状ポリビニルアルコール製ゲル状担体(細孔径4〜20μm、直径4mm、比重1.025、沈降速度4cm/sec)を反応槽(容積600mLのアクリル製反応槽)の容積に対して24〜30%充填した(処理が全く出来ない状態を想定)。処理対象の有機物含有水は、スクロース、カツオエキスを主成分とした食品工場模擬排水(CODcr=2500〜3000mg/L)とした。
【0063】
[比較例]
嫌気性グラニュールを反応槽の容積に対して10%投入した。反応槽内を撹拌機で撹拌することで担体および嫌気性グラニュールを流動させた。結果を図6に示す。
【0064】
図6に示すように、比較例では、運転開始から徐々に嫌気性グラニュールが反応槽から流出していたため、負荷を適切に設定することが困難となり、運転40日目以降、負荷の上昇が停滞した。最終的に運転80日目の到達負荷は約6kg/m/dayであった。
【0065】
[実施例1]
貯留担体(球状のポリビニルアルコール製ゲル状担体(細孔径4〜20μm、直径4mm、比重1.025、沈降速度4cm/sec、嫌気性微生物が担体内部および表層に生物膜状となって付着))を反応槽の容積に対して1.5%投入し、嫌気性グラニュールは投入しなかった。これ以外の条件は比較例と同じ条件とした。結果を図6に示す。
【0066】
図6に示すように、実施例1では、比較例のように嫌気性グラニュールは反応槽からほとんど流出せず、反応槽内の保持汚泥量が大きく変化することが無かったため、負荷を段階的に上昇させることができ、運転80日目の到達負荷は約10kg/m/dayとなった。
【0067】
[実施例2]
貯留担体(球状のポリビニルアルコール製ゲル状担体(細孔径4〜20μm、直径4mm、比重1.025、沈降速度4cm/sec、嫌気性微生物が担体内部および表層に生物膜状となって付着))を反応槽の容積に対して6%投入し、嫌気性グラニュールは投入しなかった。これ以外の条件は比較例と同じ条件とした。結果を図6に示す。
【0068】
図6に示すように、実施例2では、比較例のように嫌気性グラニュールは反応槽からほとんど流出せず、反応槽内の保持汚泥量が大きく変化することが無かったため、負荷を速やかに上昇させることができ、運転70日目で負荷約18kg/m/dayに到達した。
【0069】
このように、反応槽の処理低下時に、貯留担体を反応槽に添加することで速やかに処理を回復させることができることがわかった。
【0070】
(2)貯留担体の添加位置の比較実験
有機物含有水の流入ポンプの入口側に貯留担体を投入して反応槽へ移送した場合、貯留担体はポンプ内部で高速に回転するプロペラに接触する。そこで、貯留担体を、流入ポンプの入口側に投入し、プロペラに接触させて反応槽へ投入した場合と、流入ポンプの出口側に投入し、プロペラに接触させずに反応槽へ投入した場合の処理性能を比較した。
【0071】
内部にドラフトチューブを有する容積60Lのアクリル製反応槽内で、撹拌機を用いて担体(球状のポリビニルアルコール製ゲル状担体(細孔径4〜20μm、直径4mm、比重1.025、沈降速度4cm/sec))を流動させた。処理対象の有機物含有水は、食品製造工場から排出された有機物含有排水(CODcr濃度は1,500〜3,000mg/L)とした。
【0072】
[実施例3]
貯留担体(球状のポリビニルアルコール製ゲル状担体(細孔径4〜20μm、直径4mm、比重1.025、沈降速度4cm/sec、嫌気性微生物が担体内部および表層に生物膜状となって付着))を流入ポンプの入口側に投入し、プロペラに接触させた後、反応槽へ投入した(充填率30%)。CODcr除去速度は9.8kg/m/dayとなった。
【0073】
[実施例4]
貯留担体(球状のポリビニルアルコール製ゲル状担体(細孔径4〜20μm、直径4mm、比重1.025、沈降速度4cm/sec、嫌気性微生物が担体内部および表層に生物膜状となって付着))を流入ポンプの出口側に投入し、プロペラに接触させずに反応槽へ投入した(充填率30%)。CODcr除去速度は17.3kg/m/dayとなった。
【0074】
このように、貯留担体の添加位置は、ポンプのプロペラに接触する流入ポンプの入口側よりも、プロペラに接触しない流入ポンプの出口側であることが好ましいことがわかった。
【0075】
以上の通り、実施例の方法により、有機物含有水を流動床式反応槽により嫌気性微生物の付着担体を用いて嫌気条件で生物処理する方法において、処理が低下したときに効率良く、長期間にわたって処理を回復させることができた。
【符号の説明】
【0076】
1,3,5 処理装置、10 反応槽、10a 第1反応槽、10b 第2反応槽、12 貯留槽、14 撹拌装置、16 有機物含有水流入配管、18 処理水排出配管、20 貯留担体供給配管、22 流入ポンプ、24 ドラフトチューブ、26 担体、28 貯留担体、30,38,42 ポンプ、32 制御部、34 処理水水質測定装置、36 バルブ、40,44 担体取出配管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6