【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1の態様
上記の課題に鑑み、本発明の第1の態様に係る電磁誘導タッチペン10は、
軸心に位置するフェライトコア64と、
前記フェライトコア64の外周に配設される電磁誘導コイル65と、
前記フェライトコア64の先端に装着される接触先端62と、
前記接触先端62に加わる押圧を感知する感圧センサ66と、
がリフィルとして構成されているデジタイザリフィル60が、電気抵抗率1GΩ・m以上、かつ、比重が1未満の材質で形成された軸筒15の内部に収納され、
前記接触先端62は、前記軸筒15の先端から突出可能に形成されていることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明においては、電磁誘導タッチペン10において、入力装置の入力面と接触する接触先端62の位置する方向を「先端」と定義し、その反対方向を「後端」と定義する。
軸筒15は筒状(たとえば、断面が正六角形の筒状又は円筒状)に形成された部材で、その内部空間にデジタイザリフィル60を収容する。
ここで、接触先端62が軸筒15の先端から突出可能である、ということは、軸筒15の先端(軸筒15の先端に先部材40が装着される場合には、その先部材40の先端)から突出したままであっても、また、使用時にノック動作等で突出するような構造でもあっても、いずれでもよい。
【0008】
(2)第2の態様
軸筒15の材質は、前記第1の態様で言及したように、電磁誘導に影響を与えない程度の、電気抵抗率1GΩ・m以上、かつ、比重が1未満であれば特に限定されないが、含水率が20%未満の木材が望ましい。すなわち、本発明の第2の態様は、前記第1の態様の特徴に加え、前記軸筒15の材質は木材であることを特徴とする。なお、含水率は、たとえば、株式会社サンコウ電子研究所の電気式水分計MR−200IIを用いて測定を行うことができる。
【0009】
(3)第3の態様
本発明の第3の態様は、前記第2の態様の特徴に加え、前記軸筒15の先端に継手部材30が装着され、
該継手部材30の先端に、先細に形成され、かつ、前記接触先端62が突出可能な先端開口42が先端に設けられている先部材40が装着されていることを特徴とする。
【0010】
先部材40は、先端に向かって先細形状を呈し、その先端と後端とが開放している。この先部材40は非金属製であり、たとえば合成樹脂の射出成形で形成することができる。
先部材40はその後端部分で軸筒15の先端部分と接続される。ここで、軸筒15は木製であるためその先端に先部材40が直接接続されるような構造(たとえば、ネジ構造)を設けることは困難である。したがって、軸筒15の先端に継手部材30を装着して、この継手部材30に先部材40を装着することとしている。一方、先部材40の先端開口42からは、軸筒15内部に収容されたデジタイザリフィル60の接触先端62が突出することとなっている。
【0011】
また、前記継手部材30は、非金属製であるとともに、
外径がより小径で前記軸筒15の先端内部に挿入固定される後方部31と、
外径がより大径で前記軸筒15の先端から露出しているとともに該露出している部分の外周に雄ネジ33が形成されている前方部32と、を有するとともに、
前記先部材40の後端部分の内周面には前記雄ネジ33と螺合する雌ネジ43が形成されていることを特徴とする。なお、継手部材30は軸筒15と一体にして、前記雄ネジ33が突出した軸筒形状として形成してもよい。
【0012】
(4)第4の態様
本発明の第4の態様は、前記第3の態様の特徴に加え、前記継手部材30は、
前記軸筒15の先端部分の外周を覆う筒状の被覆部35と、
前記被覆部35の前方に連設される筒状のグリップ部36と、を有するともに、
前記グリップ部36の先端部分の内周面には雌ネジ37が形成されているとともに、
前記先部材40の後端部分の外周面には前記雌ネジ37と螺合する雄ネジ44が形成されていることを特徴とする。
【0013】
前記軸筒15を、たとえば通常の鉛筆と同じ太さで形成したい場合に、先部材40に雄ネジ44を設けて軸筒15と螺合しようとすると、その雄ネジ44部分の外径を、軸筒15の内径に収まる程度に小さくする必要がある。このような構造を実現するには先部材40を金属製にして薄肉加工にする方法が採用されるが、デジタイザリフィル60の電磁誘導に影響を及ぼすこととなる。よって、先部材40は金属で形成することは好ましくない。
そのため、継手部材30を、上記の被覆部35及びグリップ部36を備えた構成として、先端側にあるグリップ部36に設けられた雌ネジ37に先部材40の雄ネジ44を螺合することとした。
なお、継手部材30の外径は軸筒15の外径よりも大きくなるが、これは、後付けでグリップラバーを鉛筆に装着した場合とほぼ同等の外径に留まることとなり、使用上の違和感は少ない。
【0014】
(5)第5の態様
本発明の第5の態様は、前記第2から第5までのいずれかの特徴に加え、前記軸筒15は、長手方向に沿って二分割された軸筒部材16が接着されて形成されているとともに、
前記軸筒の内周面には、前記デジタイザリフィル60が挿通可能な程度に内径が狭窄した肉厚部17が形成されていることを特徴とする。
【0015】
この肉厚部17は、デジタイザリフィル60が軸筒15の内部で横方向に振れたり撓んだりと動くのを防ぐ「振り止め」機能のために設けられている。また、軸筒が木材の場合はリフィルが肉厚部17に接触した際に衝撃や振動を吸収する役割も果たす。この肉厚部17とデジタイザリフィル60との間のクリアランスは、0.2mm未満であることが効果的であり、望ましい。