(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置において、前記複数の工具から選択した第1工具によって形成した基準点と前記複数の工具から選択した第2工具によって形成した加工点の前記XY方向における位置を位置検出手段によって検出し、前記基準点と前記加工点の前記XY方向における位置から算出したオフセット量に基づいて、前記第1工具と前記第2工具との位置ずれ量を検出し、前記第1工具が前記切断トーチとされ、前記基準点が前記切断トーチによって形成した第1基準溝及び前記第1基準溝と交差する方向に形成した第2基準溝をそれぞれ延長して構成される交点とされ、前記基準点と前記第2工具が形成した加工点との前記XY方向におけるオフセット量に基づいて、前記切断トーチと前記第2工具との位置ずれ量を検出することを特徴とする位置ずれ検出方法。
XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために設定された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、前記加工ヘッドに対して相対位置および向きが変わらないように固定されており十字形に直交して伸びる可視光レーザを照射することによって前記被加工材上にクロス点を形成し前記加工ヘッドの移動時のXY座標によって前記被加工材上の前記クロス点の位置を検出可能な位置検出手段であるクロスラインレーザと、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置において、前記加工ヘッドを前記XY方向に移動することにより、前記複数の工具から選択したいずれかの第1工具によって形成した加工点に前記クロス点を一致させて前記XY方向における前記加工点の位置を検出し、前記位置と、前記第1工具を前記加工点を形成した位置に配置したときに前記クロスラインレーザおよび前記加工ヘッドの相対位置に基づく前記被加工材上の前記クロス点の位置と、の差から算出したオフセット量に基づいて、前記加工点を形成した前記第1工具の位置ずれ量を検出することを特徴とする位置ずれ検出方法。
XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置に適用される位置ずれ検出装置であって、
位置検出手段と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
位置検出手段により検出した前記複数の工具から選択した第1工具によって形成した基準点と前記複数の工具から選択した第2工具によって形成した加工点の前記XY方向における位置から前記第1工具と前記第2工具との前記XY方向におけるオフセット量を算出し、前記オフセット量に基づいて前記第1工具と前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成され、
前記第1工具が前記切断トーチとされ、
前記制御部は、
前記切断トーチによって形成した第1基準溝及び前記第1基準溝と交差する方向に形成した第2基準溝をそれぞれ延長して構成される交点を前記基準点とし、前記基準点と前記第2工具が形成した加工点との前記XY方向におけるオフセット量に基づいて、前記切断トーチと前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成されていることを特徴とする位置ずれ検出装置。
XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置に適用される位置ずれ検出装置であって、
位置検出手段と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
位置検出手段により検出した前記複数の工具から選択した第1工具によって形成した基準点と前記複数の工具から選択した第2工具によって形成した加工点の前記XY方向における位置から前記第1工具と前記第2工具との前記XY方向におけるオフセット量を算出し、前記オフセット量に基づいて前記第1工具と前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成され、
前記基準点は、前記加工ヘッドをX軸方向に移動させながら前記第1工具によって前記被加工材に形成された第1基準溝と、前記加工ヘッドをY軸方向に移動させながら前記第1工具によって前記被加工材に形成された第2基準溝と、が交差して形成される十字形の交点、または前記第1基準溝及び前記第2基準溝をそれぞれ延長して構成される交点を前記基準点とし、前記基準点と前記第2工具が形成した加工点との前記XY方向におけるオフセット量に基づいて、前記切断トーチと前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成されていることを特徴とする位置ずれ検出装置。
XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、前記加工ヘッドに対して相対位置および向きが変わらないように固定されており十字形に直交して伸びる可視光レーザを照射することによって前記被加工材上にクロス点を形成し前記加工ヘッドの移動時のXY座標によって前記被加工材上の前記クロス点の位置を検出可能な位置検出手段であるクロスラインレーザと、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置に適用される位置ずれ検出装置であって、
位置検出手段と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記加工ヘッドを前記XY方向に移動することにより、前記位置検出手段が検出した前記複数の工具から選択したいずれかの第1工具の工具取付位置と、前記第1工具によって形成した加工点に前記クロス点を一致させて前記XY方向における前記加工点の位置を検出し、前記位置と、前記第1工具を前記加工点を形成した位置に配置したときに前記クロスラインレーザおよび前記加工ヘッドの相対位置に基づく前記被加工材上の前記クロス点の位置と、の差から算出したオフセット量に基づいて、前記加工点を形成した前記第1工具の位置ずれ量を検出するように構成されていることを特徴とする位置ずれ検出装置。
【背景技術】
【0002】
従来、切断トーチを備えた切断装置を用いて被加工材を切断する場合、例えば、加工面に沿って切断トーチと予め設定された位置関係でマーキングトーチ等によって加工面にけがいたマーキング線(切断予定線)にしたがって切断トーチを移動させて被加工材に切溝を形成する切断方法や、後工程のために溶接記号や切断寸法確認線等をけがくマーキング方法が広く用いられている。
【0003】
そこで、切断トーチと被加工材との相対的位置を正確に把握して、被加工材を正確に切断するための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、切断トーチやマーキングトーチは、トーチ本体が消耗した場合など種々の状況に応じて適宜取り替えが必要であり、取り替えのたびに互いの相対位置関係が変化して位置ずれを生じることが知られている。
【0005】
そのため、切断装置では、切断トーチやマーキングトーチを取り替えるごとに相互の位置ずれ量を確認して、切断トーチやマーキングトーチの実際の取付け位置を本来の取付け位置にオフセットさせて位置ずれを相殺して運転することが一般的である。
【0006】
以下、
図10を参照して、従来方法における切断トーチやマーキングトーチ取り替え後に実施する切断トーチとマーキングトーチの位置ずれ量測定について説明する。
図10は、従来方法における切断トーチとマーキングトーチの位置ずれ量測定を説明する概念図である。
(1)まず、
図10に示すように、廃材等からなる位置ずれ確認用鋼板W100を準備して、マーキングトーチを用いて四角形のマーキング線L100をけがく。
(2)次に、マーキング線L100の外側を切断トーチが等間隔をあけて移動するように設定し、マーキング線L100の外側に四角形の切溝C100を形成する(外側を除去する。
(3)次いで、確認用鋼板W100に形成した切溝(切断線)C100と、マーキング線L100の各辺との間隔X101、X102、Y101、Y102を測定して、切断トーチに対するマーキングトーチのオフセット量を確認する。
X軸方向、Y軸方向のオフセット量は、それぞれX軸方向のオフセット量ΔX=((X101−X102)/2)、Y軸方向のオフセット量ΔY=((Y101−Y102)/2)で表わされる。
そして、X軸方向、Y軸方向の位置ずれ量は、X軸方向、Y軸方向のオフセット量ΔX、ΔYと等しい。なお、オフセット量ΔX=0、ΔY=0の場合は位置ずれが生じていないこととなる。
(4)そして、オフセット量ΔX、ΔYに基づいて位置ずれ補正量を算出して、切断トーチに対するマーキングトーチの位置ずれ補正を実施する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のずれ量確認方法では、マーキング線の外周を切断した後に、定盤内に入る必要があり、手間がかかるうえにやりにくい重筋作業等を強いられることとなる。
また、ずれ量の測定や算出においては、切断面を用いて測定するために、測定誤差や計算ミスが発生しやすいという問題がある。また、算出した補正値を設定する際に、補正値を間違えて入力する虞がある。
また、クロスラインレーザやレーザポインタの定期点検や位置調整をする場合に、いずれかの工具(例えば、切断トーチ)に対して基準となる位置に配置されたかどうかを調整する際に長い時間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、切断装置において、被加工材の加工面に沿って移動する工具や、予め設定された相対位置を維持して配置された切断トーチをはじめとする複数の工具同士の位置ずれを効率的かつ正確に把握することが可能な位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置及び位置ずれを効率的かつ正確に補正する位置ずれ補正方法、位置ずれ補正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置において、前記複数の工具から選択した第1工具によって形成した基準点と前記複数の工具から選択した第2工具によって形成した加工点の前記XY方向における位置を位置検出手段によって検出し、前記基準点と前記加工点の前記XY方向における位置から算出したオフセット量に基づいて、前記第1工具と前記第2工具との位置ずれ量を検出
し、前記第1工具が前記切断トーチとされ、前記基準点が前記切断トーチによって形成した第1基準溝及び前記第1基準溝と交差する方向に形成した第2基準溝をそれぞれ延長して構成される交点とされ、前記基準点と前記第2工具が形成した加工点との前記XY方向におけるオフセット量に基づいて、前記切断トーチと前記第2工具との位置ずれ量を検出することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置に適用される位置ずれ検出装置であって、位置検出手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、位置検出手段により検出した前記複数の工具から選択した第1工具によって形成した基準点と前記複数の工具から選択した第2工具によって形成した加工点の前記XY方向における位置から前記第1工具と前記第2工具との前記XY方向におけるオフセット量を算出し、前記オフセット量に基づいて前記第1工具と前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成され
、前記第1工具が前記切断トーチとされ、前記制御部は、前記切断トーチによって形成した第1基準溝及び前記第1基準溝と交差する方向に形成した第2基準溝をそれぞれ延長して構成される交点を前記基準点とし、前記基準点と前記第2工具が形成した加工点との前記XY方向におけるオフセット量に基づいて、前記切断トーチと前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置によれば、位置検出手段により第1工具によって形成した基準点と第2工具によって形成した加工点のXY方向における位置を検出し、基準点と加工点のXY方向における位置からXY方向におけるオフセット量を算出し、このオフセット量に基づいて第1工具と第2工具との位置ずれ量を検出する。
その結果、切断装置において加工ヘッドに取付けられた工具又は工具同士の位置ずれ量を効率的かつ正確に把握することができる。
また、この発明に係る位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置によれば、切断トーチ(第1工具)によって形成した第1基準溝及び第2基準溝をそれぞれ延長して構成される基準点と、第2工具によって形成された加工点のXY方向における位置を位置検出手段により特定して、基準点と加工点のXY方向におけるオフセット量に基づいて、切断トーチと第2工具との位置ずれ量を検出するので、切断トーチと第2工具との位置ずれ量を効率的かつ正確に把握することができる。
【0013】
ここで、工具とは、被加工材に加工孔又は切断溝を形成する切断トーチ(例えば、ガストーチ、プラズマトーチ、レーザトーチ)、被加工材に線又は点をけがくマーキングトーチやプリンタ等、加工面に沿って互いに予め設定された間隔をあけて取付けられる種々の工具をいう。
【0014】
また、この明細書において加工点とは、複数の工具から選択されたいずれかの工具によって形成されるピアシング孔、切溝、けがき線、又はこれらによって被加工材の加工面における位置を特定可能に構成される点(交点等、点の集合としても線を含む)等をいう。
【0015】
また、基準点とは、加工点の一形態であり、基準点と加工点とは相対的なものである。例えば、切断トーチのように、切断装置において目的たる加工を実行する工具(第1工具)が形成した加工点とすることが好適であるが、複数の工具のうちいずれの工具を第1工具とするか、第2工具とするかは任意に選択することができる。
【0016】
また、位置検出手段とは、クロス中心を有するモニタ用カメラやレーザポインタ、クロスラインレーザ等、被加工材の加工面に沿って基準点、加工点の位置を特定することが可能な機器等をいう。また、位置検出手段による加工点(基準点)の特定に際しては、位置検出手段内でクロス点を移動させてもよいし、加工ヘッドを移動してクロス点を移動させてもよい。
【0017】
請求項2に記載の発明は、
XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置において、前記複数の工具から選択した第1工具によって形成した基準点と前記複数の工具から選択した第2工具によって形成した加工点の前記XY方向における位置を位置検出手段によって検出し、前記基準点と前記加工点の前記XY方向における位置から算出したオフセット量に基づいて、前記第1工具と前記第2工具との位置ずれ量を検出し、前記基準点は、前記加工ヘッドをX軸方向に移動させながら前記第1工具によって前記被加工材に形成された第1基準溝と、前記加工ヘッドをY軸方向に移動させながら前記第1工具によって前記被加工材に形成された第2基準溝と、が交差して形成される十字形の交点、または前記第1基準溝及び前記第2基準溝をそれぞれ延長して構成される交点とされ、前記基準点と前記第2工具が形成した加工点との前記XY方向におけるオフセット量に基づいて、前記切断トーチと前記第2工具との位置ずれ量を検出することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、
XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置に適用される位置ずれ検出装置であって、位置検出手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、位置検出手段により検出した前記複数の工具から選択した第1工具によって形成した基準点と前記複数の工具から選択した第2工具によって形成した加工点の前記XY方向における位置から前記第1工具と前記第2工具との前記XY方向におけるオフセット量を算出し、前記オフセット量に基づいて前記第1工具と前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成され、前記基準点は、前記加工ヘッドをX軸方向に移動させながら前記第1工具によって前記被加工材に形成された第1基準溝と、前記加工ヘッドをY軸方向に移動させながら前記第1工具によって前記被加工材に形成された第2基準溝と、が交差して形成される十字形の交点、または前記第1基準溝及び前記第2基準溝をそれぞれ延長して構成される交点を前記基準点とし、前記基準点と前記第2工具が形成した加工点との前記XY方向におけるオフセット量に基づいて、前記切断トーチと前記第2工具との位置ずれ量を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は、XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために設定された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、
前記加工ヘッドに対して相対位置および向きが変わらないように固定されており十字形に直交して伸びる可視光レーザを照射することによって前記被加工材上にクロス点を形成し前記加工ヘッドの移動時のXY座標によって前記被加工材上の前記クロス点の位置を検出可能な位置検出手段であるクロスラインレーザと、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置において、
前記加工ヘッドを前記XY方向に移動することにより、前記複数の工具から選択したいずれかの
第1工具によって形成した加工点
に前記クロス点を一致させて前記XY方向における
前記加工点の位置を
検出し、
前記位置と、前記第1工具を前記加工点を形成した位置に配置したときに前記クロスラインレーザおよび前記加工ヘッドの相対位置に基づく前記被加工材上の前記クロス点の位置と
、の差から算出したオフセット量に基づいて、前記加工点を形成した
前記第1工具の位置ずれ量を検出することを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明は、XY方向に延在する被加工材の加工面に沿って前記被加工材と相対移動する加工ヘッドと、前記加工ヘッドに配置され予め設定した互いの相対位置を維持するために形成された複数の工具取付位置に取り付けられる複数の工具と、
前記加工ヘッドに対して相対位置および向きが変わらないように固定されており十字形に直交して伸びる可視光レーザを照射することによって前記被加工材上にクロス点を形成し前記加工ヘッドの移動時のXY座標によって前記被加工材上の前記クロス点の位置を検出可能な位置検出手段であるクロスラインレーザと、を備え、前記複数の工具のうち少なくとも一つが前記被加工材を切断する切断トーチとされた切断装置に適用される位置ずれ検出装置であって、位置検出手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、
前記加工ヘッドを前記XY方向に移動することにより、前記位置検出手段が検出した前記複数の工具から選択したいずれかの
第1工具の工具取付位置と、前記
第1工具によって形成した加工点
に前記クロス点を一致させて前記XY方向における前記加工点の位置を検出し、前記位置と、前記第1工具を前記加工点を形成した位置に配置したときに前記クロスラインレーザおよび前記加工ヘッドの相対位置に基づく前記被加工材上の前記クロス点の位置と、の差から算出したオフセット量に基づいて、前記加工点を形成した
前記第1工具の位置ずれ量を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置によれば、位置検出手段が検出したいずれかの工具の工具取付位置とこの工具によって形成した加工点のXY方向におけるオフセット量に基づいて、加工点を形成した工具の位置ずれ量を検出するので、該工具の位置ずれ量を効率的かつ正確に把握することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、位置ずれ補正方法であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置ずれ検出方法によって検出された前記オフセット量に基づいて前記位置ずれ量を補正することを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の位置ずれ検出装置を備え、前記位置ずれ検出装置が検出したオフセット量に基づいて前記位置ずれ量を補正するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
この発明に係る位置ずれ補正方法、位置ずれ補正装置によれば、検出されたオフセット量に基づいて、工具の位置ずれ量を補正するので、工具又は工具同士の相対位置を効率的かつ正確に補正することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明に係る位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置によれば、切断装置において加工ヘッドに取付けられた工具又は工具同士の位置ずれ量を効率的かつ正確に検出することができる。
この発明に係る位置ずれ補正方法、位置ずれ補正装置によれば、切断装置において加工ヘッドに取付けられた工具又は工具同士の相対位置を効率的かつ正確に補正することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下、
図1〜
図4を参照し、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ切断装置の概略構成の一例を説明する概略構成図であり、
図2は第1実施形態に係るレーザ切断装置の制御部の概略構成の一例を説明するブロック図である。符号100はレーザ切断装置(切断装置)を、符号10は加工ヘッドを、符号20はレーザトーチ(切断トーチ、第1工具)を、符号30はマーキングトーチ(第2工具)を、符号40はクロスラインレーザ(位置検出手段)を、符号50はモニタ用カメラ(位置検出手段)を、符号60は制御部(位置ずれ検出装置、位置ずれ補正装置)を、符号Wは被加工材を示している。
【0029】
レーザ切断装置(切断装置)100は、
図1に示すように、例えば、被加工材Wを載置する定盤1と、加工ヘッド10と、レーザトーチ(切断トーチ、第1工具)20と、マーキングトーチ(第1工具)30と、クロスラインレーザ(位置検出手段)40と、モニタ用カメラ(位置検出手段)50と、制御部(位置ずれ検出装置、位置ずれ補正装置)60とを備え、加工ヘッド10が被加工材Wの加工面に沿って移動して被加工材Wを切断するように構成されている。
【0030】
定盤1は、例えば、矩形形状に形成され、上面には被加工材Wを載置することが可能とされている。また、定盤1は、床面に水平に配置されている。
【0031】
加工ヘッド10は、例えば、走行台車11及び走行台車11に載置された横行台車12に搭載された移動台13に設けられていて、制御部60の指示に従って、被加工材Wの加工面に沿って定盤1上をX軸方向(走行方向)、Y軸方向(横行方向)に移動可能とされている。また、加工ヘッド10は、Z軸方向(高さ方向)に昇降可能とされている。
【0032】
また、加工ヘッド10には、レーザトーチ20、マーキングトーチ30、クロスラインレーザ40、モニタ用カメラ50が配置されていて、それぞれ加工ヘッド10とともに定盤1上を移動可能とされている。
【0033】
レーザトーチ(切断トーチ、第1工具)20は、先端側が略円錐形の筒状体とされていて、先端に開口するノズル孔(不図示)からレーザビームを照射するとともにアシストガスを噴射して被加工材Wに切溝を形成するようになっている。また、レーザトーチ20は、例えば、ねじ構造によって加工ヘッド10に着脱可能に取り付けられている。
【0034】
マーキングトーチ(第2工具)30は、例えば、先端側にノズル孔(不図示)が形成されていて、このノズル孔から亜鉛等のマーキング粉末を噴射し、火炎で焼き付けることで被加工材Wの表面にマーキング線を形成するようになっている。
また、マーキングトーチ30は、例えば、ねじ構造によって加工ヘッド10に着脱可能に取り付けられている。
【0035】
クロスラインレーザ(位置検出手段)40は、例えば、矩形に形成された筐体の一方側の面に形成された照射部から照射した十字形に直交する伸びる可視光レーザによってクロス点を形成するように構成されている。また、加工ヘッド10を移動させてクロス点を加工点又は基準点に合致させ、合致したときの加工ヘッド10のXY座標によって加工点又は基準点の位置を検出可能とされている。
また、この実施形態において、クロスラインレーザ40は取付ステー41を介して加工ヘッド10に堅固に固定されて、加工ヘッド10との相対位置及び向きが変わらないようになっている。
【0036】
モニタ用カメラ(位置検出手段)50は、例えば、撮像用レンズを被加工材Wの表面に向けて配置され、レーザトーチ20が形成した切溝によって構成される加工点(又は基準点)、マーキングトーチ30が形成した加工点(又は基準点)を同時に撮像可能な充分な視野を有している。
また、この実施形態において、モニタ用カメラ50は取付ステー41を介して加工ヘッド10に堅固に固定されて、加工ヘッド10との相対位置及び撮像用レンズの向きが変わらないようになっている。
【0037】
また、モニタ用カメラ50は、視野内でクロス中心を、X軸方向、Y軸方向に移動可能とされている。また、クロス中心を、レーザトーチ20が形成した第1切溝(X軸方向)と第2切溝(Y軸方向)をそれぞれ延長して構成される交点(基準点)、マーキングトーチ30が形成した加工点(又は基準点)に合致させて、合致したときの加工ヘッド10のXY座標によって加工点(又は基準点)の位置を検出可能とされている。
また、モニタ用カメラ50は、加工ヘッド10を移動させてクロス中心を加工点又は基準点に合致させ、合致したときの加工ヘッド10のXY座標によって加工点又は基準点の位置を検出可能とされている。
【0038】
制御部(位置ずれ検出装置、位置ずれ補正装置)60は、
図2に示すように、例えば、モニタ用カメラ50のクロス中心をX軸方向、Y軸方向に移動するクロス中心駆動部61と、位置ずれ検出部62と、位置ずれ補正部63と、加工ヘッド10をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動する駆動制御部64と、を備えている。
【0039】
クロス中心駆動部61は、クロス中心操作部61Aと、モニタ用カメラ50と接続されていて、クロス中心操作部61Aを操作することにより、モニタ用カメラ50のクロス中心を視野内でX軸方向、Y軸方向に移動するようになっている。
【0040】
位置ずれ検出部62は、記憶指示部62Aと、モニタ用カメラ50と接続されていて、モニタ用カメラ50のクロス中心がレーザトーチ20が形成した加工点(又は基準点)、マーキングトーチ30が形成した加工点(又は基準点)と合致した場合に、記憶指示部62AをONすることにより、合致したときの加工点(又は基準点)のX軸座標、Y軸座標と対応するクロス中心の位置を記憶するようになっている。
【0041】
また、位置ずれ検出部62は、X軸方向、Y軸方向におけるレーザトーチ20とマーキングトーチ30の相互のオフセット量(位置ずれ量)を算出するようになっている。
位置ずれ検出部62は、算出したX軸方向、Y軸方向のオフセット量(位置ずれ量)を位置ずれ補正部63に出力するようになっている。
【0042】
位置ずれ補正部63は、位置ずれ検出部62が検出した位置ずれ量に基づいて、レーザトーチ20とマーキングトーチ30のX軸方向、Y軸方向のオフセット量(位置ずれ量)がゼロとなるように、加工ヘッド10を移動する際の補正量を算出するようになっている。
また、位置ずれ補正部63は補正指示部63Aと接続されていて、補正指示部63Aの指示に基づいて補正量を駆動制御部に出力するようになっている。
【0043】
駆動制御部64は、加工ヘッド操作部64Aと接続されていて、加工ヘッド操作部64Aを手動操作することにより走行台車11及び横行台車12を駆動して、加工ヘッド10をX軸方向、Y軸方向に移動するようになっている。
また、駆動制御部64は、位置検出センサ65と接続されていて、位置検出センサ65から加工ヘッド10のX軸方向、Y軸方向位置が入力され、加工ヘッド10が所定位置に達したら走行台車11及び横行台車12を停止するようになっている。
【0044】
また、駆動制御部64は、切断軌跡等が記憶されたNCデータが入力可能とされていて、自動操作することにより、加工ヘッド10をNCデータに基づいてX軸方向、Y軸方向に移動するようになっている。
また、駆動制御部64は、位置ずれ補正部63が位置ずれ補正指示を出力している場合は、位置ずれ補正部63から入力された位置ずれ補正データに基づいて補正した後の信号を加工ヘッド10に出力するようになっている。
【0045】
次に、
図2、
図3、
図4を参照して、第1実施形態に係る位置ずれ検出方法の概略を説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係るレーザトーチとマーキングトーチの位置ずれ検出方法の概略を説明するフローチャートであり、
図4は、第1実施形態に係る位置ずれ検出方法におけるレーザトーチとマーキングトーチの位置ずれ量検出の概略を説明する概念図である。
図4において、符号CX、CYはレーザトーチによる第1基準溝、第2基準溝を、符号PCは基準点を、符号MX、MYはマーキングトーチによるX軸方向マーキング線、Y軸方向マーキング線を、符号PMは加工点を、符号P50はモニタ用カメラのクロス中心を示している。なお、位置ずれ確認用鋼板は定盤に載置されているものとする。
【0046】
(1)X軸方向マーキング線の形成(S11)
X軸方向マーキング線MXの形成は、加工ヘッドをY軸方向に移動させてマーキングトーチのY軸方向位置をレーザトーチのY軸方向位置と対応(例えば、一致)させて、加工ヘッドをX軸方向に移動させながらマーキングトーチによってX軸方向マーキング線MXを形成する。なお、マーキングトーチをレーザトーチと対応させる際に、予め設定した量だけオフセットさせてもよい。
(2)Y軸方向マーキング線の形成(S12)
Y軸方向マーキング線MYの形成の形成は、加工ヘッドをX軸方向に移動させてマーキングトーチのX軸方向位置をレーザトーチのX軸方向位置と対応(例えば、一致)させて、加工ヘッドをY軸方向に移動させながらマーキングトーチによってY軸方向マーキング線MYを形成する。
(3)第1基準溝の形成(S13)
第1基準溝CXは、加工ヘッドをX軸方向に移動させながらレーザトーチからレーザビームを照射して形成する。
(4)第2基準溝の形成(S14)
第2基準溝CYは、加工ヘッドをY軸方向に移動させながらレーザトーチからレーザビームを照射して形成する。
(5)モニタ用カメラのクロス中心を基準点に移動(S15)
クロス中心操作部61Aを操作して、
図4(A)に示すように、モニタ用カメラのクロス中心P50が、第1基準溝CXと第2基準溝CYを延長して得られる交点で構成される基準点PCと合致するようにクロス中心P50を移動させる。
(6)基準点のXY座標位置を特定(S16)
基準点PCのXY座標位置の特定は、
図4(B)に示すように、モニタ用カメラのクロス中心P50が基準点PCと合致したら、記憶指示部62Aを操作して、合致した時の基準点PCのXY座標(例えば、X11、Y11)を記憶装置(不図示)に記憶させる。
(7)モニタ用カメラのクロス中心を加工点に移動(S17)
クロス中心操作部61Aを操作して、モニタ用カメラのクロス中心P50が、X軸方向マーキング線とY軸方向マーキング線の交点で構成される基準点PMと合致するようにクロス中心P50を移動させる。
(8)加工点のXY座標位置特定(S18)
加工点PMのXY座標位置の特定は、
図4(C)に示すように、モニタ用カメラのクロス中心P50が加工点PMと合致したら、記憶指示部62Aを操作して、合致した時の加工点PMのXY座標(例えば、X12、Y12)を記憶装置(不図示)に記憶させる。
(9)位置ずれ量の算出(S19)
レーザトーチとマーキングトーチのX軸方向のオフセット量は、S16で記憶した基準点PCのXY座標(X11、Y11)と、S18で記憶した加工点PMのXY座標(X12、Y12)に基づいて次の数式によって算出する。レーザトーチとマーキングトーチのX軸方向のオフセット量(位置ずれ量)ΔX1(=X11−X12)、Y軸方向のオフセット量(位置ずれ量)ΔY1(=Y11−Y12)。
そして、X軸方向の位置ずれ量ΔX1、Y軸方向の位置ずれ量ΔYの少なくともいずれかがゼロでない場合は位置ずれがあるものと判断する。
(10)位置ずれ補正量算出(S20)
X軸方向及びY軸方向の位置ずれ補正量は、例えば、レーザトーチに対するマーキングトーチのX軸方向の位置ずれ量ΔX、Y軸方向の位置ずれ量ΔY1に基づいて、これらが許容値以下となるように補正量を算出する。
(11)位置ずれ補正の実行(S21)
次いで、例えば、補正指示部63AをONにして、X軸方向及びY軸方向の補正量に基づいて、マーキングトーチのX軸方向及びY軸方向の基準位置を補正する。
【0047】
第1実施形態に係るレーザ切断装置100によれば、レーザトーチ20によって形成した第1基準溝CX及び第2基準溝CYをそれぞれ延長して構成される基準点PCとマーキングトーチ30によって形成される加工点PMとのXY方向におけるオフセット量に基づいてレーザトーチ20とマーキングトーチ30とのXY方向における位置ずれ量を検出するので、レーザトーチ20とマーキングトーチ30の位置ずれ量ΔX1、ΔY1を効率的かつ正確に把握することができる。
【0048】
また、第1実施形態に係るレーザ切断装置100によれば、検出された位置ずれ量ΔX1、ΔY1に基づいて算出した補正量によって、レーザトーチ20とマーキングトーチ30のXY方向の相対位置を位置ずれ補正するので、レーザトーチ20とマーキングトーチ30の相対位置を効率的かつ正確に補正することができる。
【0049】
また、第1実施形態に係るレーザ切断装置100によれば、モニタ用カメラ50として視野内で移動可能なクロス中心P50を適用するので、加工ヘッド10を移動させることなく、クロス点50による位置検出をすることができる。その結果、例えば、クロスラインレーザ(位置検出手段)40と工具(レーザトーチ20、マーキングトーチ30)との位置ずれを直接的かつ効率的に検出することができる。
【0050】
また、第1実施形態に係るレーザ切断装置100によれば、位置ずれ量ΔX1、ΔY1を検出する際に、レーザ切断装置100内に入ったり、手に取った鋼板を直接測定する必要がないので、やりにくい重筋作業から解放されるとともに測定誤差が生じるのを抑制することができる。
【0051】
<第2実施形態>
以下、
図5〜
図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1実施形態ではモニタ用カメラ50の視野内でX軸方向、Y軸方向に移動させるクロス中心P50により位置検出していたのに対して、第2実施形態では視野の中で固定した状態のクロス中心P50Aを用いて、加工ヘッド10をX軸方向、Y軸方向に移動することで、クロス中心P50Aを基準点PC及び加工点PMに合致させる点である。また、第2実施形態に係るレーザ切断装置は、制御部60に代えて制御部60Aを備えている。
なお、第2実施形態において、モニタ用カメラ50のクロス点P50Aに代えて、クロスラインレーザ40が形成するクロス点P40により基準点PC、加工点PMを位置検出してもよい。
【0052】
まず、
図5を参照して、制御部60Aについて説明する。
図5は、第2実施形態に係るレーザ切断装置の制御部の概略構成の一例を説明するブロック図である。
制御部(位置ずれ検出装置、位置ずれ補正装置)60Aは、
図5に示すように、例えば、位置ずれ検出部62と、位置ずれ補正部63と、加工ヘッド10をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動する駆動制御部64と、を備えている。
制御部60Aは、制御部60におけるクロス中心駆動部61、クロス中心駆動部61へのクロス中心操作部61A、モニタ用カメラ50との接続を有さず、位置ずれ検出部62が位置検出センサ65と接続されていて、位置検出センサ65から加工ヘッド10のX軸方向、Y軸方向位置が入力されるように構成されている。
【0053】
位置ずれ検出部62は、位置検出センサ65から入力された加工ヘッド10のX軸方向、Y軸方向位置を示す信号によって、例えば、レーザトーチ(切断トーチ、第1工具)20の位置を検出し、レーザトーチ20、マーキングトーチ30相互のX軸方向、Y軸方向のオフセット量(位置ずれ量)を算出するようになっている。
また、位置ずれ検出部62は、算出したX軸方向、Y軸方向のオフセット量(位置ずれ量)を位置ずれ補正部63に出力するようになっている。
その他は、第1実施形態に係る制御部60と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
次に、
図5〜
図7を参照して、第2実施形態に係る位置ずれ検出方法の概略を説明する。
図6は、第2実施形態に係るレーザトーチとマーキングトーチの位置ずれ検出方法の概略を説明するフローチャートであり、
図7は位置ずれ検出方法におけるレーザトーチとマーキングトーチの位置ずれ量算出の概略を説明する概念図である。
図7に示す符号P50Aは視野内で固定された状態のクロス中心を示しており、符号CX、CY、PC、MX、MY、PMは第1実施形態と同様である。
【0055】
(1)X軸方向マーキング線の形成(S31)
(2)Y軸方向マーキング線の形成(S32)
(3)第1基準溝の形成(S33)
(4)第2基準溝の形成(S34)
S31〜S34は、第1実施形態のS11〜S14と同様であるので説明を省略する。
(5)モニタ用カメラのクロス中心を加工ヘッドにより基準点に移動(S35)
加工ヘッド操作部64Aを操作して、
図7(A)に示すように、モニタ用カメラのクロス中心P50Aが、第1基準溝CXと第2基準溝CYを延長して得られる交点で構成される基準点PCと合致するように加工ヘッドを移動する。
(6)基準点のXY座標位置を特定(S36)
基準点PCのXY座標位置の特定は、
図7(B)に示すように、モニタ用カメラのクロス中心P50Aが基準点PCと合致したら、記憶指示部62Aを操作して、合致した時の基準点PCのXY座標(例えば、X11、Y11)を記憶装置(不図示)に記憶させる。
(7)モニタ用カメラのクロス中心を加工ヘッドにより加工点に移動(S37)
加工ヘッド操作部64Aを操作して、モニタ用カメラのクロス中心P50Aが、X軸方向マーキング線とY軸方向マーキング線の交点で構成される基準点PMと合致するように加工ヘッドを移動する。
(8)加工点のXY座標位置特定(S38)
加工点PMのXY座標位置の特定は、
図7(C)に示すように、クロス中心P50Aが加工点PMと合致したら、記憶指示部62Aを操作して、合致した時の加工点PMのXY座標(例えば、X12、Y12)を記憶装置(不図示)に記憶させる。
(9)位置ずれ量の算出(S39)
レーザトーチとマーキングトーチのX軸方向のオフセット量は、S36で記憶した基準点PCのXY座標(X11、Y11)と、S38で記憶した加工点PMのXY座標(X12、Y12)に基づいて第1実施形態と同様の数式によって算出する。
(10)位置ずれ補正量算出(S40)
(11)位置ずれ補正の実行(S41)
S40、S41は、第1実施形態のS20、S21と同様であるので説明を省略する。
【0056】
第2実施形態に係るレーザ切断装置によれば、基準点PCと加工点PMとのXY方向におけるオフセット量に基づいてレーザトーチ20とマーキングトーチ30とのXY方向における位置ずれ量を検出するので、レーザトーチ20とマーキングトーチ30の位置ずれ量を効率的かつ正確に把握することができる。
【0057】
また、第2実施形態に係るレーザ切断装置によれば、位置ずれ量に基づいて算出した補正量によって位置ずれ補正するので、レーザトーチ20とマーキングトーチ30の相対位置を効率的かつ正確に補正することができる。
【0058】
第2実施形態に係るレーザ切断装置によれば、モニタ用カメラ50として視野内で固定されて移動させる必要がないクロス中心P50Aを適用するので、モニタ用カメラ50及び御部60Aの構成を簡素にするとともにコスト削減することができる。
【0059】
<第3実施形態>
次に、
図8、
図9を参照して、第3実施形態に係る位置ずれ検出方法の概略を説明する。
図8は、第3実施形態に係るクロスラインレーザ(位置検出手段)40によるマーキングトーチ(工具)30の位置ずれ検出方法の概略を説明するフローチャートであり、
図9は第3実施形態に係るクロスラインレーザ40によるマーキングトーチ30の位置ずれ量検出の概略を説明する概念図である。
なお、第3実施形態において、クロスラインレーザ40が形成するクロス点P40に代えて、モニタ用カメラ50のクロス中心P50Aにより加工点PMを位置検出してもよい。
【0060】
(1)X軸方向マーキング線の形成(S51)
(2)Y軸方向マーキング線の形成(S52)
S51、S52は、第1実施形態のS11、S12と同様であるので説明を省略する。
(3)クロスラインレーザのクロス点を加工ヘッドにより加工点に移動(S53)
図9(A)は、マーキングトーチ(工具)30が加工点PMに位置されている状態における加工点PMとクロスラインレーザのクロス点P40の位置関係を示す図である。この状態で、記憶指示部62を操作して、クロス点P40のXY座標(X21、Y21)を記憶装置(不図示)に記憶させる。
クロス点P40のXY座標(X21、Y21)を記憶させたら、加工ヘッド操作部64Aを操作して、クロスラインレーザのクロス点P40が加工点PMと合致するように加工ヘッドを移動する。
(4)加工点のXY座標位置を特定(S54)
加工点PMのXY座標位置の特定は、
図9(B)に示すように、クロス点P4が加工点PMと合致したら、記憶指示部62Aを操作して、合致した時の加工点PMのXY座標(例えば、X22、Y22)を記憶装置(不図示)に記憶させる。
(5)位置ずれ量の算出(S55)
クロスラインレーザ40とマーキングトーチ30のX軸方向のオフセット量は、S53で記憶したクロス点P40のXY座標(X21、Y21)と、S54で記憶した加工点PMのXY座標(X22、Y22)に基づいて次の数式によって算出する。クロスラインレーザとマーキングトーチのX軸方向のオフセット量(位置ずれ量)ΔX2(=X21−X22)、Y軸方向のオフセット量(位置ずれ量)ΔY2(=Y21−Y22)。
そして、X軸方向の位置ずれ量ΔX2、Y軸方向の位置ずれ量ΔY2の少なくともいずれかがゼロでない場合は位置ずれがあるものと判断する。
(6)位置ずれ補正量算出(S56)
X軸方向及びY軸方向の位置ずれ補正量は、例えば、クロスラインレーザに対するマーキングトーチのX軸方向の位置ずれ量ΔX2、Y軸方向の位置ずれ量ΔY2に基づいて、これらが許容値以下となるように補正量を算出する。
(7)位置ずれ補正の実行(S57)
次いで、例えば、補正指示部63AをONにして、X軸方向及びY軸方向の補正量に基づいて、マーキングトーチのX軸方向及びY軸方向の基準位置を補正する。
【0061】
第3実施形態に係る位置ずれ検出方法によれば、クロスラインレーザ40とマーキングトーチ(工具)30により形成した加工点PMとのXY方向におけるオフセット量に基づいてクロスラインレーザ40とマーキングトーチ30との位置ずれ量を検出するので、位置ずれ量ΔX2、ΔY2を正確に把握することができる。
【0062】
また、第3実施形態に係る位置ずれ補正方法によれば、検出された位置ずれ量ΔX2、ΔY2に基づいて、マーキングトーチ30のXY方向の相対位置を補正するのでマーキングトーチ30の位置を補正してマーキングトーチ30を正確に駆動することができる。
【0063】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、切断トーチがレーザトーチである場合について説明したが、レーザトーチに代えて、プラズマトーチやガストーチに適用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、例えば、工具がレーザトーチ20と、マーキングトーチ30である場合について説明したが、被加工材に線又は点をけがくマーキング用のインクジェットプリンタ、レーザマーカー等、加工面に沿って配置される種々の工具を対象とすることが可能である。
【0065】
また、上記実施形態においては、第1工具をレーザトーチ20とし、第2工具をマーキングトーチ30とする場合について説明したが、例えば、第1工具をマーキングトーチ30とし、第2工具をレーザトーチ20としてもよい。また、レーザトーチ20以外を第1工具として、他の工具を第2工具としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、位置検出手段として、モニタ用カメラ50のクロス中心P50、P50A、クロスラインレーザ40のクロス点P40を用いる場合について説明したが、例えば、レーザポインタ等、モニタ用カメラ50のクロス中心P50、P50A、クロスラインレーザ40のクロス点P40以外を適用して位置検出する構成としてもよい。
【0067】
また、第2実施形態においては、モニタ用カメラ50のクロス中心P50Aを移動して基準点PCと加工点PMを位置検出する場合について説明したが、例えば、モニタ用カメラ50のクロス点P50Aに代えて、クロスラインレーザ40のクロス点P40を用いて位置検出してもよい。
【0068】
また、第3実施形態においては、クロスラインレーザ40のクロス点P40を移動して加工点PMを位置検出する場合について説明したが、例えば、モニタ用カメラ50のクロス中心P50Aを用いて位置検出してもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、第1基準溝CXと第2基準溝CYが基準点PCにおいて接続されていない場合について説明したが、第1基準溝CXと第2基準溝CYが基準点PCにおいて接続されていてもよいし、第1基準溝CX及び第2基準溝CYがそれぞれ延長線上に形成された二つの切溝を有していて、第1基準溝CXを構成する二つの切溝と、第2基準溝CYを構成する二つの切溝を平面視したときに、十字形に配置されるように構成してもよく、基準点、加工点の構成については任意に設定することができる。
【0070】
また、上記実施形態においては、基準点と加工点のオフセット量を検出する場合に、モニタ用カメラ50のクロス中心P50を手動で移動させる場合について説明したが、クロス中心P50を基準点や加工点に合致させる操作の一部又は全部を自動で行う構成としてもよい。
また、モニタ用カメラ50のクロス中心P50A、クロスラインレーザ40のクロス点P40を適用する場合についても同様である。
【0071】
また、上記実施形態においては、加工ヘッド10が定盤1に対してXY方向に移動することにより、レーザトーチ20が被加工材Wに対して移動する場合について説明したが、例えば、加工ヘッド10に対して定盤1が移動してもよいし、加工ヘッド10と定盤1の双方が移動する構成としてもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、マーキングトーチ30を用いて加工点PMを形成した後に、レーザトーチ20によって第1基準溝CXと第2基準溝CYを形成する場合について説明したが、第1基準溝CXと第2基準溝CYを形成した後に、マーキングトーチ30を用いて加工点PMを形成してもよい。
また、加工点PM構成する際のX軸方向マーキング線MXとY軸方向マーキング線MY、及び基準点PCを構成する際の第1準溝CXと第2基準溝CYを形成する順序については、X軸方向とY軸方向のいずれを先に形成するかは任意に設定することが可能である。