特許第6960304号(P6960304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960304ブラックマトリックス用顔料分散組成物及びそれを含有するブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960304
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ブラックマトリックス用顔料分散組成物及びそれを含有するブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20211025BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20211025BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G03F7/004 505
   G03F7/004 504
   G03F7/004 501
   C09D17/00
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-208973(P2017-208973)
(22)【出願日】2017年10月30日
(65)【公開番号】特開2019-82533(P2019-82533A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2020年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】辻 康人
(72)【発明者】
【氏名】戸田 光信
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−102346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20−5/28
G03F 7/004
C09D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラックとして酸性カーボンブラックのみ、沈降性硫酸バリウム、塩基性基含有顔料分散剤、顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂、溶剤を含有するブラックマトリックス用顔料分散組成物であって、カーボンブラックと沈降性硫酸バリウムの含有比率(カーボンブラック/沈降性硫酸バリウム)が85/15〜65/35であることを特徴とするブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【請求項2】
前記塩基性基含有顔料分散剤がポリエステル鎖を有する塩基性基含有ウレタン系高分子分散剤であり、前記誘導体が、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と光重合開始剤を含有するブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルのブラックマトリックスの形成に使用されるブラックマトリックス用顔料分散組成物及びそれを含有するブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、カラーテレビ、携帯電話、タブレット端末、ゲーム機端末等の画像表示素子に液晶方式が多用されている。液晶画像表示素子は、各色の画素を形成したカラーフィルターとシャッター作用を有する液晶とを利用して、画面に画像を表示する。
そして、カラーフィルターは、通常、ガラス、プラスチックシート等の透明基板の表面に、ストライプ状或いはモザイク状等の開口部を有する黒色のマトリックス(ブラックマトリックス)を形成し、続いて、開口部に赤、緑、青等の3種以上の異なる色素の画素を順次、形成したものである。
【0003】
ここで、ブラックマトリックスは、各色間の混色抑制や光漏れ防止によるコントラスト向上の役割を果たすものである。したがって高い遮光性が要求され、かつては薄膜でも遮光性の高いクロム等の蒸着膜が用いられていた。しかしながら、形成する工程が複雑でしかも高価であるという理由から、最近では、顔料と感光性樹脂を含有したフォトリソグラフィー法(顔料法)が利用されている。
この顔料法では、黒色顔料としてカーボンブラック等の黒色顔料または数種の顔料を黒色となるように組み合わせて使用する。
さらに高遮光性を得るためには、顔料自体の含有量も多く配合する必要があるが、顔料濃度が高くなるほど、現像性、解像性、密着性、安定性といった他の必要性能が低下し、遮光性を高めるには限界があった。一方では、カラーフィルターを形成する被膜については薄膜化が求められ、顔料の高濃度化で対応せざるを得ない状況となっている。
【0004】
ところで、最近、カラー液晶表示装置において表示が鮮明であることは装置自体の販売の増加に直結し、鮮明性向上の要望は非常に強いものがある。そこで、色のにじみなどの鮮明性を損なう原因となる、カラーフィルターやブラックマトリックスのパターンの形成不良をなくすことが非常に大きな課題になっている。
ブラックマトリックスをフォトリソグラフィー法で形成するには、まず、ブラックマトリックス用レジスト組成物を基板に塗工する。その後、所望のパターンを有するマスクを通して紫外線で露光し、露光部の塗膜を硬化させる。そして、未露光部の塗膜を現像液で除去して、上記所望のパターン通りのブラックマトリックスを形成する。このとき、良好なパターンを得るためには、レジスト組成物に良好なパターン再現性が求められる。例えば、現像終了時に未露光部においては現像残渣がないこと、露光部は十分な細線再現性を有すること、シャープなエッジのパターンが形成できること等が要求される。
【0005】
しかし、ブラックマトリックスとして遮光性が高いということは、紫外線に対する遮光性も高いということである。したがって、露光部分において、塗膜表面は硬化しても、基板の近辺では紫外線が届かず、未硬化のまま残ることになる。そして未硬化で残った部分は徐々に現像液に侵されて細り、最終的には露光部分が全て除去されてブラックマトリックスが消失するという現象が発生する。
このように、まず未露光部が完全に除去されてから、露光部が細ってブラックマトリックスとしての規定の性能が得られなくなるまでの時間の長さは、現像マージン(Development Latitude)と呼ばれている。この現像マージンが少ないものは、未露光部分が除去された後、すぐに露光部の細りや消失が起こるため、現像を止めるタイミングの見極めが困難である。特に上記のような高顔料濃度化されたレジスト組成物は、露光部における未硬化の度合いが高くなり易いことから、現像マージンが十分に取れず、密着性も低下する。そのため、未露光部が完全に除去できなかったり、露光部が細って規定の性能が得られない等、工程管理の面で非常に大きな問題となっていた。
そのため、ブラックマトリックス用の組成物として、十分な高遮光率(OD値)や低反射率を達成することは、現像工程における現像を困難にしないという点からみても求められている。また、携帯電話等の用途において、画面への映り込みを防止するという点からも低反射率であることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−157179号公報
【特許文献2】特開2015−138180号公報
【特許文献3】特開2015−102792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、分散安定性が高いブラックマトリックス用顔料分散組成物と、遮光性が良好で反射率が低いブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、カーボンブラックと特定の平均一次粒子径を有する沈降性硫酸バリウムを使用することにより上記課題を全て解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
1.カーボンブラック、沈降性硫酸バリウム、塩基性基含有顔料分散剤、顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂、溶剤を含有するブラックマトリックス用顔料分散組成物であって、カーボンブラックと沈降性硫酸バリウムの含有比率(カーボンブラック/沈降性硫酸バリウム)が95/5〜65/35であることを特徴とするブラックマトリックス用顔料分散組成物。
2.前記塩基性基含有顔料分散剤がポリエステル鎖を有する塩基性基含有ウレタン系高分子分散剤であり、前記誘導体が、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体であることを特徴とする1に記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物。
3.1又は2に記載のブラックマトリックス用顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と光重合開始剤を含有するブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、特定の組成からなるブラックマトリックス用顔料分散組成物及びブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物とすることにより分散安定性に優れ、かつ、レジストパターン形成時において、光学濃度、及び低反射率性に優れるという顕著な効果を発揮することができる発明である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物及びそれを含有するブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物について、詳細に説明する。
[ブラックマトリックス用顔料分散組成物]
まず、本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物について説明する。
ブラックマトリックス用顔料分散組成物は、カーボンブラック、沈降性硫酸バリウム、塩基性基含有顔料分散剤、顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂、溶剤を含有してなる組成物であり、この組成物を基にしてブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を得るものである。
【0012】
(カーボンブラック)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物を構成するカーボンブラックとしては、中性カーボンや酸性カーボン等のいずれか一方又は両方を用いてもよい。
【0013】
中性カーボンブラックとしては、好ましくはpHが9より大きいもので、具体的には、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製のプリンテックス25(平均一次粒子径56nm、pH9.5)、プリンテックス35(平均一次粒子径31nm、pH9.5)、プリンテックス65(平均一次粒子径21nm、pH9.5)、三菱化学社製のMA#20(平均一次粒子径40nm、pH8.0)、MA#40(一次粒子径40nm、pH8.0)、MA#30(平均一次粒子径30nm、pH8.0)等が挙げられる。
【0014】
酸性カーボンブラックとしては、pHが2〜4の範囲が好ましく、具体的には、コロンビアケミカルズ社製のRaven1080(平均一次粒子径28nm、pH2.4)、Raven1100(平均一次粒子径32nm、pH2.9)、三菱化学社製のMA−8(平均一次粒子径24nm、pH3.0)、MA−100(平均一次粒子径22nm、pH3.5)、MA#70(平均一次粒径24nm、pH3.0)、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製のスペシャルブラック250(平均一次粒子径56nm、pH3.0)、スペシャルブラック350(平均一次粒子径31nm、pH3.0)、スペシャルブラック550(平均一次粒子径25nm、pH4)、NEROX2500(平均一次粒子径56nm、pH3.0)、NEROX3500(平均一次粒子径31nm、pH3.0)等が挙げられる。
【0015】
pHは、カーボンブラック1gを炭酸を除いた蒸留水(pH7.0)20mlに添加してマグネチックスターラーで混合して水性懸濁液を調製し、ガラス電極を使用して25℃で測定する(ドイツ工業品標準規格 DIN ISO 787/9)。
平均一次粒子径は、電子顕微鏡観察による算術平均径の値である。
なお、上記のカーボンブラックのpHと平均一次粒子径はカタログ値である。
【0016】
(沈降性硫酸バリウム)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物を構成する沈降性硫酸バリウムは、単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。これにより、シール強度、現像マージン、密着性が向上する。
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物における沈降性硫酸バリウムの平均一次粒子径は、好ましくは0.01〜0.08μmである。沈降性硫酸バリウムの平均一次粒子径が0.01μm未満であると、添加することによる効果を十分に得られず、一方、0.08μmを超える場合は、分散安定性が低下する傾向がある。
沈降性硫酸バリウムの使用量は、高いOD値と低い反射率を両立させるため、カーボンブラックに対して、カーボンブラック/沈降性硫酸バリウム=95/5〜65/35となる量である。好ましくは、カーボンブラック/沈降性硫酸バリウム=85/15〜70/30となる量である。沈降性硫酸バリウムの量が95/5よりも少ないと低反射率性の効果が得られず、一方、65/35より多い場合にも、低反射率の被膜とはならず、かつ分散安定性が低下する傾向がある。
なお、硫酸バリウムの中でも特に沈降性硫酸バリウムを採用することが必要である。沈降性硫酸バリウムを採用することにより、そうでない硫酸バリウムを採用したときと比べて、理由は不明であるが、分散性に優れて組成としての保存安定性が向上する可能性がある。
【0017】
(塩基性基含有顔料分散剤)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物を構成する塩基性基含有顔料分散剤としては、アニオン性界面活性剤、塩基性基含有ポリエステル系顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系顔料分散剤、塩基性基含有ウレタン系顔料分散剤、塩基性基含有カルボジイミド系顔料分散剤等を用いることができる。
これらの塩基性基含有顔料分散剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上の組み合わせを用いてもよい。中でも、良好な顔料分散性が得られる点から、塩基性基含有高分子顔料分散剤が好ましい。
【0018】
塩基性基を有する高分子顔料分散剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ポリアミン化合物(例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンポリイミン等の、ポリ(低級)アルキレンアミン等)のアミノ基及び/又はイミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物。
(2)分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(3)ポリ(低級)アルキレンイミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の低分子アミノ化合物と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応生成物。
(4)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、メトキシポリエチレングリコール等のアルコール類やカプロラクトンポリエステル等の水酸基を1個有するポリエステル類、2〜3個のイソシアネート基反応性官能基を有する化合物、イソシアネート基反応性官能基と第3級アミノ基とを有する脂肪族又は複素環式炭化水素化合物を順次反応させてなる反応生成物。
(5)アルコール性水酸基を有するアクリレートの重合物にポリイソシアネート化合物とアミノ基を有する炭化水素化合物とを反応させた反応生成物。
(6)低分子アミノ化合物にポリエーテル鎖を付加させてなる反応生成物。
(7)イソシアネート基を有する化合物にアミノ基を有する化合物を反応させてなる反応生成物。
(8)ポリエポキシ化合物に遊離のカルボキシル基を有する線状ポリマー及び2級アミノ基を1個有する有機アミン化合物を反応させた反応生成物。
(9)片末端にアミノ基と反応し得る官能基を有するポリカーボネート化合物とポリアミン化合物との反応生成物。
(10)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアミド、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アミノ基とポリカプロラクトン骨格を有するモノマー等の塩基性基含有重合性モノマーの少なくとも1種と、スチレン、スチレン誘導体、その他の重合性モノマーの少なくとも1種との共重合体。
(11)3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体等。
(12)ポリアリルアミンにポリカーボネート化合物をマイケル付加反応させて得られる顔料分散剤。
(13)ポリブタジエン鎖と塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(14)分子内にアミド基を有する側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(15)エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖を有する構成単位を有し、かつ四級化剤により四級化されたアミノ基を有するポリウレタン系化合物。
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素基を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格の数が15〜85%である化合物。
等。
【0019】
これら塩基性基含有高分子顔料分散剤の中でも、塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤、塩基性基含有ポリエステル系高分子顔料分散剤、塩基性基含有アクリル系高分子顔料分散剤がより好ましく、アミノ基含有ウレタン系高分子顔料分散剤、アミノ基含有ポリエステル系高分子顔料分散剤、アミノ基含有アクリル系高分子顔料分散剤がより好ましい。特に、塩基性基含有ウレタン系高分子顔料分散剤が好ましく、なかんずく、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、およびポリカーボネート鎖よりなる群から選択される少なくとも1種を有する塩基性基(アミノ基)含有ウレタン系高分子顔料分散剤が好ましい。また、分散剤BYK−161、167、182,184(ビックケミー社製)を使用することが好ましい。
塩基性基含有分散剤の使用量は、カーボンブラック100質量部に対して、好ましくは1〜200質量部、より好ましくは1〜60質量部である。
【0020】
(顔料誘導体)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物を構成する顔料誘導体としては、酸基含有顔料誘導体、酸基含有色素誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有させることができる。
酸基含有顔料誘導体、酸基含有色素誘導体としては、酸基を有するフタロシアニン系顔料誘導体、酸基を有するアントラキノン系顔料誘導体、酸基を有するナフタレン系顔料誘導体等が例示できる。この中でも、スルホン酸基を有するフタロシアニン系顔料誘導体がカーボンブラックの分散性の点から好ましい。
顔料誘導体の使用量は、カーボンブラック100質量部に対して、0〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0021】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物を構成するアルカリ可溶性樹脂としては、酸基含有共重合体樹脂、酸基含有ポリエステル樹脂、酸基含有ウレタン樹脂等を用いることができる。
上記アルカリ可溶性樹脂の酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性樹脂の中でも、好ましいものは、酸基を有する単量体の少なくとも1種を含有する単量体成分をラジカル重合して得られる、酸価10〜300mgKOH/g(好ましくは20〜300mgKOH/g)、重量平均分子量1,000〜100,000の酸基含有共重合体樹脂(特に酸基含有アクリル系共重合体樹脂)である。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、スルホエチルメタクリレート、ブチルアクリルアミドスルホン酸、ホスホエチルメタクリレート等の酸基含有不飽和単量体成分と、スチレン、メチルスチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分をラジカル重合して得られる酸基含有共重合体樹脂を用いることができる。
なお、本発明において、上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。本発明においては、GPC装置として、Water 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を用いる。
アルカリ可溶性樹脂の使用量は、カーボンブラック100質量部に対して0.5〜60質量部である。
【0022】
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物は、酸性カーボンブラック及び/又は中性カーボンブラック等のカーボンブラック、沈降性硫酸バリウム、塩基性基含有顔料分散剤、顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂、溶剤の混合物である。ブラックマトリックス用顔料分散組成物は、これらの混合物をロールミル、ニーダー、高速攪拌機、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散装置等を用いて、分散処理して得ることができる。
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物におけるカーボンブラックの含有量は、好ましくは3〜70質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。カーボンブラックの含有量が前記範囲未満では、ブラックマトリックスを形成した場合の遮光性が低くなる傾向があり、一方前記範囲を超えると、顔料分散が困難となる傾向がある。
【0023】
(溶剤)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物を構成する溶剤としては、従来から使用されている顔料を安定的に分散させることができ、かつ前述の塩基性基含有顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂を溶解させることができるものであり、好ましくは、常圧(1.013×102kPa)における沸点が100〜250℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等である。
このような溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤類、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エステル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤類等を例示でき、これら有機溶剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
[ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物]
次に、本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物について説明する。
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物は、上記ブラックマトリックス用顔料分散組成物に加えて、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、溶剤から主として構成され、必要に応じて重合禁止剤等の各種添加剤を適宜含有させて得られるものである。
なお、ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物中のカーボンブラックは、ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の固形分中の質量%で30〜80質量%であることが好ましい。
【0025】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を構成するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル等のカルボキシル基含有不飽和単量体と、スチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、ジシクロペンタジエン骨格を有するモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーよりなる群から選択される少なくとも1種を反応させて得られる共重合体であるカルボキシル基含有アルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、被膜形成性、アルカリ現像性の点から、酸価20〜300mgKOH/g、重量平均分子量1,000〜200,000であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、要求される性能に応じて、適宜1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。重量平均分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量であり、前記酸基含有樹脂の場合と同様にして測定できる。
ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物中の被膜形成樹脂の含有量は、ブラックマトリックス用顔料分散液組成物中のアルカリ可溶性樹脂と、ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物中の固形分中の前記アルカリ可溶性樹脂との合計量の質量%で表して、5〜50質量%となる範囲が好ましい。
【0026】
(光重合性化合物)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を構成する光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を有するモノマー、オリゴマー等が挙げられる。
具体的には、光重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーとして、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレートまたはアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレートまたはアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレートまたはアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレートまたはアクリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアリールエーテルのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレートまたはアクリレート;グリセロールメタクリレートまたはアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたはアクリレート等を用いることができる。
光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーとして、例えば、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を用いることができる。
前記光重合性不飽和結合を有するオリゴマーとしては、前記モノマーを適宜重合させて得られたものを用いることができる。これらの光重合性化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、前記光重合性化合物の使用量は、本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物中の全固形分に基づいて、好ましくは3〜50質量%の範囲である。
【0027】
(光重合開始剤)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を構成する光重合開始剤としては特に限定されない。例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、トリアジン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で、または2種以上を併用して用いることがでる。
本発明において、上記光重合開始剤の使用量は、本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物中の全固形分に基づいて、好ましくは1〜20質量%の範囲である。
【0028】
(溶剤)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を構成する溶剤としては、上記に挙げた溶剤と同様のものを用いることができる。特に、常圧(1.013×102kPa)における沸点が100〜250℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等が好ましい。沸点が250℃を超える有機溶剤を多量に含んでいると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶剤が十分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下する場合がある。また、沸点が100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなる場合がある。
このような溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤類、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エステル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤類等があり、これらを単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0029】
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等が好ましい。特に好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
さらに、これらの有機溶剤は、上記顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、被膜形成樹脂の溶解性、顔料分散性、塗布性等の点から、上記ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物に使用される全有機溶剤中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上含有させることがより好ましい。
【0030】
(添加剤)
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物には、必要に応じて、上述したもの以外の光重合性化合物、熱重合禁止剤、酸化防止剤などの各種添加剤を適宜使用することも可能である。
【0031】
以上の構成材料を用いて本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を製造する方法を説明する。
本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を製造する方法は、本発明の好ましい実施形態の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ブラックマトリックス用顔料分散組成物に、光重合性化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、必要に応じて有機溶剤、その他添加剤を加え、公知の攪拌装置等を用いて攪拌混合する方法が利用できる。
そして、カーボンブラックと沈降性硫酸バリウムを、それぞれ単分散して混合してもよく、また共分散してもよい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はその主旨と適用範囲を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、本実施例において、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。また実施例1は番号1番と2番のブラックマトリックス用顔料分散組成物を1番/2番=85/15の質量比にて混合した例である。
【0033】
(カーボンブラック)
Raven1080(平均一次粒子径28nm、pH2.4、コロンビアケミカルズ社製)
(沈降性硫酸バリウム)
BF−20(平均一次粒子径0.03μm、堺化学工業社製)
(分散剤)
BYK−167(ビックケミー社製)
【0034】
(顔料誘導体)
ソルスパース5000(ルブリゾール社製、フタロシアニンスルホン酸アミン塩)
(アルカリ可溶性樹脂)
BzMA(ベンジルメタクリレート)/MAA(メタクリル酸)共重合体、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量30000
(光重合性化合物)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(光重合開始剤)
エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(BASFジャパン社製)
【0035】
(レベリング剤)
メガファックF554(含フッ素・親油性基含有オリゴマー(DIC社製))
(有機溶剤)
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0036】
<実施例1〜8番のブラックマトリックス用顔料分散組成物の調製>
表1の組成(表1における各材料の使用量は質量%である)となるように各種材料を混合し、ビーズミルで練肉し、1〜8番のブラックマトリックス用顔料分散組成物を調製した。
【0037】
<実施例1〜5、比較例1〜3ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物の調製>
高速攪拌機を用いて、1〜8番の各ブラックマトリックス用顔料分散組成物と他の材料とを表2の組成(表2における各材料の使用量は質量%である)になるように均一に混合した後、孔径0.5μmのフィルターで濾過し、実施例1〜5、比較例1〜3の各ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を得た。
【0038】
<評価試験>
(初期粘度、40℃7日間保存後の粘度)
1〜8番の各ブラックマトリックス用顔料分散組成物の調整直後の初期粘度と、その後40℃で7日間保存後の25℃における粘度を粘度計(東機産業社製、RE−215L)で測定した。
【0039】
(レジストパターンの光学濃度(OD値)
実施例1〜5、比較例1〜3の各ブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物をスピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板(コーニング1737)上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成されたブラックレジストパターンを得た。得られた各ベタ部のブラックレジストパターンの光学濃度(OD値)をマクベス濃度計(マクベス社製、D−200I)で測定した。
【0040】
(反射率)
上記OD値を測定したサンプルに対して、各ベタ部の460nm、560nm及び660nmの各波長での反射率を反射率計(大塚電子社製、photal MC-7300:SC)で測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
本発明のブラックマトリックス用顔料分散組成物によれば、レジストを得るための光重
合性化合物や重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂をさらに配合することによって、保存による粘度変化がなく、分散安定性に優れ、必要なブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物を得ることができる。
さらに、本発明のブラックマトリックス用顔料分散レジスト組成物によれば、高いOD
値と、低い反射率を両立した被膜を得ることができる。
また硫酸バリウムを配合しないか、配合しても僅かに留まる比較例1及び2によると十
分に低い反射率の被膜を得ることができなかった。さらに硫酸バリウムの配合量を多くし
た比較例3によってもやはり十分に低い反射率の被膜を得ることができなかった。