(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タンクは、前記余剰水貯留部からオーバーフローした余剰水が流入する排水部を含み、該排水部は、その下部または底部に、余剰水を排出する余剰水排出口を有する、請求項3に記載の燃料電池装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を用いて実施形態の燃料電池装置の構成について説明する。なお、同一の構成については、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0015】
図1は、第1実施形態の燃料電池装置の構成を説明する図である。
図2は、
図1のF部を拡大して示す、燃料電池装置の改質水タンク近傍の構成の説明図である。第1実施形態の燃料電池装置100は、天然ガス,LPガス等の原燃料と空気とを使用して発電を行なう燃料電池モジュール1(燃料電池)の稼動による電力供給と、熱交換器3と、蓄熱タンク5等からなる排熱回収システムを利用した温水の供給とを行うものである。なお、温水の供給を行なわない、いわゆるモノジェネレーションシステムとすることもできる。
【0016】
燃料電池装置100は、前述の燃料電池モジュール1等の他、補機として、改質水タンク6、パワーコンディショナ20、制御装置30、記憶装置(図示省略)等を、少なくとも備えている。また、改質水タンク6は、排水ポンプP2を含む排水流路Dおよび水検知器WL
2を備えている。
【0017】
燃料電池モジュール1は、収納容器10に収容されており、その内部に、複数の燃料電池セルが積層されたセルスタック11と、水蒸気を用いて原燃料の水蒸気改質を行う改質器12と、余剰の燃料ガスに点火するための着火ヒータ(図示省略)、および、触媒容器2に充填された排ガス触媒等を備える。
【0018】
燃料電池装置100は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む制御装置30を備える。
【0019】
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路として、または、複数の通信可能に接続された集積回路および/もしくはディスクリート回路として、実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術にしたがって実行されることが可能である。
【0020】
1つの実施形態において、プロセッサは、たとえば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された、1以上の回路またはユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続きまたは処理を実行するように構成された、ファームウェア(たとえば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
【0021】
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、デジタル信号処理部、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または、これらのデバイスもしくは構成の任意の組み合わせ、または、他の既知のデバイスおよび構成の組み合わせ、を含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
【0022】
制御装置30は、記憶装置(図示省略)と、燃料電池モジュール1と、原燃料供給装置(ガスポンプB1)と、酸素含有ガス供給装置(空気ブロワB2)と、水供給用装置(改質水ポンプP1)と、排水ポンプP2と、水検知器WL
2等の各種温度センサ(図示せず)等と接続され、これらの各機能部をはじめとして、燃料電池装置100の全体を制御および管理する。制御装置30は、記憶装置に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、燃料電池装置100の各部に係る種々の機能を実現する。
【0023】
制御装置30から、他の機能部(装置)に制御信号または各種の情報などを送信する場合、制御装置30と他の機能部とは、有線または無線により接続されていればよい。制御装置が行う本実施形態に特徴的な制御については、後記で説明する。
【0024】
記憶装置は、プログラムおよびデータを記憶できる。記憶装置は、処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用してもよい。記憶装置は、記録媒体を含む。記録媒体は、半導体記憶媒体、および磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non−transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶装置は、複数の種類の記憶媒体を含んでいてもよい。記憶装置は、メモリカード、光ディスク、または光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶の読み取り装置との組合せを含んでいてもよい。記憶装置は、RAM(Random
Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでいてもよい。
【0025】
燃料電池モジュール1の下方に隣接して配置された熱交換器3では、燃料電池モジュール1より排出された排ガスと、熱交換器3内を流れる水等の熱媒体とで熱交換が行われ、排ガスに含まれる水分が凝縮水として生じる。熱交換により生じた凝縮水は、凝縮水流路Cを経由し、イオン交換樹脂等で浄化処理された後、改質水として改質水タンク6に貯留される。なお、水分が取り除かれた排ガスは、排ガス流路Eおよび排気流路Vを介して、燃料電池装置の外に排気される。
【0026】
改質水タンク6に貯水された改質水は、改質水流路Rおよび改質水ポンプP1を介して改質器12に供給され、原燃料の水蒸気改質に利用される。なお、改質水タンク6内の改質水が不足する場合には、水道水などの外部水を、イオン交換樹脂等を介して浄化した後、タンク内に導入してもよい。
【0027】
一方、燃料電池装置100は、排熱回収システムとして、前述の熱交換器3と、蓄熱タンク5、ラジエータ4、熱媒循環ポンプP3およびこれらを繋ぐ配管等からなるヒートサイクルHS系と、上述の蓄熱タンク5内の温水を給湯に利用する給湯系と、を備えている。これらの排熱回収システムの詳細な説明は省略する。
【0028】
そして、外装ケース50内には、
図1に示した、前述の燃料電池モジュール1の他、天然ガス等の原燃料を改質器12に送給するガスポンプB1、酸素含有ガス(空気)をセルスタック11に送給する送風機(空気ブロアB2)、改質水タンク6内の改質水を、水蒸気改質用の原料水として改質器12に供給する改質水ポンプP1、改質水タンク6で使用余剰となった余剰水を、機外に排出するための排水ポンプP2や、改質水タンク6内の余剰水を排出するための排水流路D等が配設されている。
【0029】
なお、外装ケース50内には、系統電源と連係するパワーコンディショナ20、装置全体をコントロールする制御基板を含む制御装置30等が配設されている。また、燃料電池の運転を制御するために用いる各種センサとして、水位計(水検知器WL)等が配置されている。
【0030】
図2は、燃料電池装置100の構成のなかで、先に述べた「水自立運転」と改質水および余剰水,排水に関連する部分(
図1の二点鎖線F内)を拡大して示したものである。
【0031】
図のように、改質水タンク6は、イオン交換樹脂が充填された浄化処理部63,64を含む第1改質水タンク61(メインタンク)と、浄化処理済みの改質水を貯留する改質水貯留部Xを含む第2改質水タンク62(サブタンク)とから構成されている。これら第1改質水タンク61と第2改質水タンク62との間は、下側の通水管65で接続され、連通している。
【0032】
第1改質水タンク61内には、凝縮水を浄化処理するためのイオン交換樹脂が充填された第1のイオン交換容器63と、改質水の不足時に外部から補給される水道水等を浄化するためのイオン交換樹脂が充填された第2のイオン交換容器64と、が配設されている。また、第1改質水タンク61の下部には、第1改質水タンク61内およびこれに連通する第2改質水タンク62内の貯水量、すなわち水面高さであり下限量を検知するための水検知器WL
1が配設されている。なお、イオン交換樹脂が充填された1つのイオン交換容器で、凝集水と外部から補給される水とを浄化してもよい。
【0033】
第1改質水タンク61内に流入する凝縮水は、タンクの上面から第1のイオン交換容器63の上部に導入される。浄化処理された凝縮水(以降、改質水)は、第1のイオン交換容器63の下部または底部から第1改質水タンク61内に流出するように構成されている。
【0034】
第1実施形態では、第2改質水タンク62は、その全内容積が、浄化処理済みの改質水を貯留する改質水貯留部Xとなるよう構成されている。第2改質水タンク62の下部または底部で、かつ、前述の第1改質水タンク61および第2改質水タンク62の貯水量およびその水面高さが、下限値に達したことを検出する水検知器WL
1より下側の位置には、改質水ポンプP1の吸引口に繋がる改質水導出口62aが設けられている。
【0035】
他方、第2改質水タンク62の上部には、排水ポンプP2の吸引口に繋がる余剰水導出口62bが設けられている。また、この余剰水導出口62bより上側の位置には、貯留された改質水の満水位値が設定されている。そして、タンク内における前記満水位値(上限水位位置)に相当する場所に、
図2に示すような、第2改質水タンク62内の改質水の上水面が上限値に達したことを検出する水検知器WL
2が配設されている。
【0036】
なお、図中の黒丸は各センサの配設位置を示すものである(以下同じ)。また、水検知器WL
2は、後述する、制御装置30による改質水の排水制御(第一排水制御、第二排水制御等)に利用される。
【0037】
余剰水導出口62bから、排水ポンプP2を経て、装置外部の排水溝または雨水枡等に至る排水管は、利用しなかった改質水(以下、余剰水)の排水流路Dとして設けられている。なお、排水流路Dの途中に、酸性の余剰水を中和するための炭酸カルシウム(CaCO
3)等の中和剤が充填された中和容器を配設してもよい。また、前述の第2改質水タンク62上部の満水位値(上限水位位置)に、満水水位を超える余剰水をタンク外へ流出させるための満水位排水口等を設けてもよい。
【0038】
上記構成の改質水タンク6内に貯留される改質水の排水制御は、以下のように行われる。
【0039】
まず、制御装置30において、前述の改質水貯留部Xの満水位値における水(水面)の存在の有無を検知する水検知器WL
2から、水の検出信号を受信している場合を「1」(有り)、検出信号を受信していない場合を「0」(無し)とする〔満水フラグ〕を設定し、水の検出信号を受信していないこと(フラグ=0)を確認する。
【0040】
以下に、
図3に示すフローチャートと、そのなかに記載の各ステップとを用いて、改質水タンク6内の改質水を排出する第一排水制御および第二排水制御について説明する。
【0041】
図3のフローチャートに示すように、本実施形態の燃料電池装置における制御装置30は、システムに異常を感知していない通常時または正常時には、最初に、水検知器WL
2から出力される検出信号の受信を待つ待機状態〔フローチャートにおけるステップS1、以下同じ。〕をループしながら繰返している。
【0042】
改質水タンク6内に貯留されている改質水の水量が少なければ、〔満水フラグ〕は0の状態であるが、改質水タンク6内の改質水が増え、その貯水量(上水面)が、水検知器WL
2の位置で規定される上限水位または満水水位に達した場合、水検知器WL
2から水の検出信号が制御装置30に向けて出力され、〔満水フラグ〕が1となる。
【0043】
すると、制御装置30は、予め決められた手順(プログラム)で(1)排水ポンプP2を第1所定時間T1の間作動させる第一排水制御〔ステップS2,S3,S4〕を行う。これにより、改質水タンク6内の改質水の水量は、排水ポンプP2の作動時間(T1)の時間分、排水され、改質水の水面は、水検知器WL
2の位置(満水位)を下回る位置まで低下すると推定される。
【0044】
ついで、(2)排水確認制御〔ステップS5〕を行う。排水確認制御は、タンクの水検知器WL
2位置に水がないこと、すなわち排水作業が完了したことを確認・判断するステップである。ここで、前記の(1)第一排水制御の実行後、〔満水フラグ〕が0であることが確認できれば、予め決められた量の排水が、予定通り行われたことの推定が働く。
【0045】
つぎに、制御装置30は、燃料電池装置の稼動により改質水タンク6内の改質水が増え、その貯水量が、次回、水検知器WL
2の位置で規定される満水水位に達して、〔満水フラグ〕が1となる発報を迎えるまで、水検知器WL
2の出力(検出信号)を監視するループ動作〔ステップS1〕を行って、待機する。
【0046】
以上の「第一排水制御」を含む満水フラグの移行タイミングおよびポンプの動作タイミングを、
図4(a)のタイミング・チャートに示す。なお、図においては、排水ポンプP2の作動停止後、改質水の貯水量が次回満水位に達するまで、毎回異なる待機時間を全て作動間隔T4で示しており、排水ポンプP2を作動している(第一排水制御を行っている)時間を第1所定時間T1で示している。
【0047】
ところで、水検知器WL
2が水を検知した際に排水ポンプを作動させる場合において、たとえば、水検知器WL
2が常時水を検知し続ける故障が生じた時には、水検知器WL
2の故障が解消するまで、排水ポンプが空運転し続けることとなり、排水ポンプを故障させるおそれがある。したがって、当該故障が生じた場合には、通常、エラー表示を行い、燃料電池の発電運転を停止することとなる。それゆえ、従来の燃料電池装置は、継続的な稼働ができなくなるおそれがあった。
【0048】
そこで、燃料電池装置100の制御装置30は、第一排水制御の実行後も、排水確認制御〔ステップS5〕時に、水の検出信号が受信され〔満水フラグ〕が1であり続ける場合、すなわち、排水ポンプP2による余剰水の排水の完了が確認できず、何らかの異常が発生したと予想される場合、制御装置30は、水検知器WL
2の検出信号を監視する待機状態には戻らず、所定の時間間隔で排水ポンプを作動させる、異常発生時または非常時を想定した、第二排水制御(第二排水制御プログラム)を実行する。
【0049】
具体的には、本実施形態の燃料電池装置100は、排水ポンプP2を作動させたにも関わらず、〔満水フラグ〕が1であり続け、第1所定時間T1経過後の排水動作の完了時に、排水完了の確認が取れない場合、水の検出信号が受信され続けている間、制御装置30は、
(3)排水ポンプP2の作動を所定の時間間隔で開始させ、第1所定時間(T1)より長い第2所定時間(T2)作動を継続させる第二排水制御〔フローチャートにおけるステップS7,S8、S9〕と、
(4)第2所定時間(T2)の経過後、排水ポンプP2を停止させ、その状態で、タンクの満水位置に水がなく〔満水フラグ〕が0であることを確認する排水確認制御〔ステップS10〕と、
(5)前記第二排水制御の後、第3所定時間(T3)の間、排水ポンプP2を作動させずに待機する待機制御〔ステップS11〕と、を順次実行する。なお、排水ポンプP2の作動継続中に排水確認制御を行ってもよい。
【0050】
前述の〔満水フラグ〕が0であることを確認する排水確認制御〔ステップS10〕は、行わなくてもよい。しかしながら、この排水確認制御を間に取り入れることにより、水検知器がリセットされる等で異常が解消された場合には、水位を正確に検知できるようになる。その場合、前記の第二排水制御は解除され、通常の第一排水制御を行うステップに復帰することができる。この場合における、「第二排水制御」から「第一排水制御」への復帰時の、満水フラグおよびポンプの動作タイミングを、
図4(b)のタイミング・チャートに示す。
【0051】
以上の制御により、水検知器等に異常や故障等の発生が疑われる場合でも、正常に改質水を外部に排出する制御を実行できる。燃料電池の発電運転を止めることなく、燃料電池装置の稼働を継続させることができる。そして、制御装置30(記憶装置)には、第二排水制御が行われていることを記録しておくことで、メンテナンス作業者が、異常または故障箇所の点検を行うことができる。
【0052】
なお、
図4(c)のタイミング・チャートに示すように、(4)排水確認制御〔ステップS10〕を複数回行っても、〔満水フラグ〕が0になるという、排水の完了確認がとれない場合、制御装置30は、燃料電池の運転を停止させるステップを実行してもよい。すなわち、何度かの「第二排水制御」を行っても、「第一排水制御」への復帰が見込めない場合、制御装置30は、燃料電池の温度を下げながら徐々に発電を停止させる、安全な停止モードへ移行するようにしてもよい。
【0053】
図4(a)〜(c)のタイミング・チャートにおいて、異常または故障発生時等に行われる第二排水制御時の、1回あたりの排水ポンプ作動時間〔第2所定時間T2〕は、先にも述べたように、センサ異常やポンプ異常が見られない、通常の第一排水制御時における1回あたりの排水ポンプ作動時間〔第1所定時間T1〕より、長くなっている。
【0054】
これは、異常等の発生時には、改質水タンク6の水位が水検知器WL
2で規定される満水水位よりも高くなっているおそれがあるため、排水ポンプの作動時間を延長して排水量を多くすることで、改質水がタンク6から溢れることを抑制するためである。第1所定時間T1は、排水ポンプP2の排水能力と、排水される量とから決定される。
【0055】
しかしながら、排水ポンプの作動時間(駆動時間)が長くなると、排水ポンプP2の寿命が短くなってしまう可能性があるため、第2所定時間T2は、排水ポンプの性能等により、連続して作動することのできる上限時間が設けられる。
【0056】
図4の(b),(c)に記載の制御において第二排水制御(第2所定時間T2)の後、排水ポンプを作動させずに待機する待機時間〔第3所定時間T3〕は、燃料電池の稼動前に、実験または試験運転等により予め決定される数値である。
【0057】
このほか、記憶装置等に記録された、通常動作時または正常動作時における排水ポンプの作動間隔(T4)から、演算等により決定されてもよい。たとえば、
図4の(b)のように、作動間隔T4の記録回数が少ない場合、第3所定時間T3は、最小時間間隔T4-2以下の短い待機時間に設定される。また、
図4の(c)のように、作動間隔T4の記録(T4-1,T4-2,T4-3,T4-4等)が充分に多い場合、第3所定時間T3は、記録された全作動間隔T4の平均値以下とするか、あるいは、前記と同様、記録された全作動間隔T4のなかで最小の時間間隔T4-2以下に、設定してもよい。
【0058】
なお、前記の排水ポンプ停止時の待機時間である〔第3所定時間T3〕の設定は、前述の第2所定時間T2を第1所定時間T1より長く設定することと同様、水検知器が故障等を起こした場合も、改質水がタンクから溢れでたり、逆流したりすることを抑制するための構成である。これにより、異常発生時または故障発生時においても、燃料電池の発電運転を止めることなく、その稼働を安全にかつ安定して継続させることができる。また、異常発生時または故障発生時に、タンクの満水位置に水がなく、水検知器からの検出信号が受信されなくなったこと(満水フラグ=0)が確認されれば、制御装置の制御により、排水ポンプの作動間隔(待機時間)は、タンクの満水による水検知器からの検出信号の受信(満水フラグ=1)を待機するモード〔フローチャートのステップS1〕に復帰する。
【0059】
図5は、実施形態の燃料電池装置における排水制御の変形例を示すフローチャートである。
図3のフローチャートに対して、一部が異なっている。
図3と同じ部分については詳しい説明を省略する。
【0060】
制御装置30は、予め決められた手順(プログラム)に沿って、まず、第一排水制御として排水ポンプP2を作動させる〔ステップS2〕制御を行う。ついで、第一排水制御の途中で、排水確認制御〔ステップS5,S13〕を行う。
【0061】
排水確認制御は、排水ポンプP2を駆動し、排水が開始されたことを確認・判断するステップである。排水ポンプの駆動を開始すれば、改質水の水面は低下し、水検知器WL
2の位置を下回る。そのため、第5所定時間T5のうちに〔満水フラグ〕が0であることが確認できれば、正常に排水が開始されたと判断する。
【0062】
上述の排水確認制御〔ステップS5,S13〕において排水の開始が確認された後、第一排水制御として排水ポンプP2を第1所定時間T1の間作動させる〔ステップS12〕。これにより、改質水タンク6内の改質水の水は、排水ポンプP2の作動時間T1の時間分、排水され、排水作業が完了する。
【0063】
なお、前記の排水確認制御〔ステップS5,S13〕において、第5所定時間T5が経過しても水の検出信号が受信され〔満水フラグ〕が1であり続ける場合、すなわち、排水ポンプによる余剰水の排水の開始が確認できず、何らかの異常が発生したと予想される場合、制御装置30は、所定の時間間隔で排水ポンプを作動させる第二排水制御、ついで排水確認制御および待機制御(先の例と同様の〔ステップS6〜S11〕)を実行する。
【0064】
以上の制御によっても、水検知器等に異常や故障等の発生が疑われる場合でも、燃料電池の発電運転を止めることなく、燃料電池装置の稼働を継続させることができる。
【0065】
つぎに、前記の第1実施形態では、燃料電池の構成として、
図2に示すような、改質水タンク6が、イオン交換樹脂が充填された浄化処理部(63,64)を含む第1改質水タンク61(メインタンク)と、浄化処理済みの改質水を貯留する改質水貯留部Xを含む第2改質水タンク62(サブタンク)と、を備える燃料電池装置を例示したが、これらは、
図6の第2実施形態に示すような構成の改質水タンク6’を備える燃料電池装置とすることもできる。
【0066】
図6に示す構成を詳しく説明する。第2実施形態の燃料電池装置が、その構成上において第1実施形態の燃料電池装置と異なるのは、浄化処理済みの改質水を貯留する改質水貯留部を含む第2改質水タンク62(サブタンク)の内部が、垂直方向の2つの仕切り壁66,67により3つのブロックに分画されている点である。3つのブロックは、それぞれ、第1実施形態と同様の、内部で最も大きな容積を占める改質水貯留部Xと、改質水貯留部Xからオーバーフローした改質水を余剰水として貯留する余剰水貯留部Yと、余剰水貯留部Yからオーバーフローした余剰水を受け入れる排水部Zと、を含む。なお、排水部Zを設けず、改質水貯留部Xと余剰水貯留部Yのみの、二分画の構成としてもよい。
【0067】
第1実施形態の改質水タンク6と同様、第1改質水タンク61(メインタンク)と、改質水貯留部Xを含む第2改質水タンク62(サブタンク)との間は、通水管65で接続され、連通している。
【0068】
また、第2改質水タンク62内の改質水貯留部Xの下部または底部には、改質水ポンプP1の吸引口に繋がる改質水導出口62aが設けられている。
【0069】
第2改質水タンク62内の余剰水貯留部Yの満水位置または上限位置には、第1実施形態と同様の水検知器WL
2が設けられている。この水検知器WL
2は、そのプローブ部分(先端)が、余剰水貯留部Yの上部に設定された所定の満水位値(上限水位位置)に配設されており、余剰水貯留部Y内に貯まる余剰水の排水制御に利用される。また、余剰水貯留部Yの下部または底部(底面)には、排水ポンプP2の吸引口に繋がる余剰水導出口62bが設けられている。
【0070】
なお、
図6の第2実施形態においては、排水ポンプP2を用いて常用の第1排水流路D1から排水する流路の他に、機器の異常時等に、排水ポンプP2で機外に排出しきれずに、余剰水貯留部Yからオーバーフローして排水部Zに流入した余剰水の排水を、底部(底面)に設けられた余剰水排出口68から装置外へ排出する、バックアップ用の第2排水流路D2が形成されている。
【0071】
さらに、燃料電池装置100は、
図7に示すように、燃料電池モジュール1と、燃料電池モジュール1を動作させるための各補機とが、支柱51と外装パネル(図示省略)とから構成された外装ケース50内に収容されている。
【0072】
そして、余剰水の排水が、前述の排水流路D1,D2を経由して装置外に排出することができず、燃料電池モジュール1内に漏れ出す場合を想定して、外装ケース50の底部は、モジュールから漏れ出した排水を一時的に貯留することのできる排水受部52(排水受け皿)になっている。これにより、万一の場合でも、改質水タンクから漏れ出した排水が、外装ケース50の外に漏れ出すのを抑制することができる。また、排水受け皿に排水を処理する処理材が充填されている場合には、排水を外部に排出するとこができる。
【0073】
上記構成の改質水タンク6’内に貯留される改質水を排出する排水制御も、先に述べた第1実施形態と同様に行うことができる。
【0074】
すなわち、余剰水貯留部Yの満水位置または上限位置に設けられた水検知器WL
2の出力(検出信号)を利用し、水検知器WL
2から出力される検出信号の受信〔満水フラグ〕の0から1への変化をトリガーとして、(1)排水ポンプP2を第1所定時間(T1)の間作動させる第一排水制御〔
図3のフローチャートにおけるステップS2,S3,S4。以下同じ。〕を行う。ついで、(2)第1所定時間(T1)の経過後、排水ポンプP2を停止させ、その状態で、タンクの満水位置に水がなく〔満水フラグ〕が0であることを確認する排水確認制御〔ステップS5〕を行う。
【0075】
また、前述のように、排水ポンプP2を作動させたにも関わらず、〔満水フラグ〕が1であり続け、第1所定時間T1経過後の排水動作の完了時に、排水完了の確認が取れない場合、すなわち水の検出信号が受信され続けている間、制御装置30は、(3)排水ポンプP2を、第1所定時間(T1)より長い第2所定時間(T2)作動させる第二排水制御〔ステップS7,S8,S9〕を行う。ついで、(4)第2所定時間(T2)の経過後、排水ポンプP2を停止させ、その状態で、タンクの満水位置に水がなく〔満水フラグ〕が0であることを確認する排水確認制御〔ステップS10〕を行う。ついで、(5)前記第二排水制御の後、第3所定時間(T3)の間、排水ポンプP2を作動させずに待機する待機制御〔ステップS11〕行う〔
図4(b)のタイミング・チャートを参照〕。
【0076】
これにより、本実施形態の燃料電池装置は、水位センサ等の水検知器と排水ポンプの両者またはどちらか一方に、通常動作ではない、異常や故障等の発生が疑われる場合でも、最低限の余剰水の排水を継続することができる。したがって、本実施形態の燃料電池装置は、これらの異常等が発生した場合でも、燃料電池の発電運転を止めることなく、その稼働を継続させることができる。
【0077】
なお、第1実施形態と同様、
図4(b)のタイミング・チャートのように、第二排水制御を行ったことにより、余剰水貯留部Yの満水位置に水がなく、水検知器水検知器WL
2からの検出信号が受信されなくなったこと(満水フラグ=0)が確認されれば、制御装置30による排水ポンプの制御は、余剰水貯留部Yの満水による水検知器からの検出信号の受信(満水フラグ=1)を待機するモード〔フローチャートにおけるステップS1〕に復帰する。
【0078】
また、第二排水制御を行ったのち、(4)排水確認制御〔ステップS10〕を複数回行っても、排水の完了確認がとれない場合も、第1実施形態と同様、制御装置30は、燃料電池の運転を停止させるステップを実行してもよい。
【0079】
さらにまた、
図6で示す第2実施形態の変形例として、水検知器WL
2を設けず、代わりに、排排水流路D2に水の流れを検知する水検知器等を設けてもよい。当該水検知器により水を検知した場合、第2実施形態と同様に、第一排水制御、第二排水制御、排水確認制御または待機制御を、行うことができる。
【0080】
なお、燃料電池装置100の制御装置30および記憶装置は、燃料電池装置100の外部に有する構成として実現することもできる。さらに、本開示に係る制御装置における特徴的な制御工程を含む制御方法として実現したり、上記工程をコンピュータに実行させるための制御プログラムとして実現したりすることも可能である。
【0081】
また、セルスタック装置1は、SOFCに限定されず、たとえば固体高分子形燃料電池〔Polymer Electrolyte Fuel Cell(PEFC)〕、リン酸形燃料電池〔Phosphoric Acid Fuel Cell(PAFC)〕、および、溶融炭酸塩形燃料電池〔Molten Carbonate Fuel Cell(MCFC)〕などのような燃料電池で構成してもよい。さらに、セルスタック装置1は、改質器12と同じ筺体内に、含まれなくてもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。