(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960314
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電力管理システム
(51)【国際特許分類】
B60M 3/06 20060101AFI20211025BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20211025BHJP
H02J 3/32 20060101ALN20211025BHJP
【FI】
B60M3/06 B
H02J3/38
!H02J3/32
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-228536(P2017-228536)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-103165(P2019-103165A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏文
(72)【発明者】
【氏名】安藤 慎輔
(72)【発明者】
【氏名】中原 瑞紀
(72)【発明者】
【氏名】河口 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】馬淵 雄一
(72)【発明者】
【氏名】叶田 玲彦
(72)【発明者】
【氏名】根本 亮
(72)【発明者】
【氏名】菊池 輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智道
【審査官】
杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−23074(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1939030(EP,A1)
【文献】
国際公開第2014/049893(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/129032(WO,A1)
【文献】
国際公開第2017/033328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 3/06
H02J 3/32
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給設備に配置される電力供給部と、
電動車両に接する架線に電力を供給する第1電線と、
前記電力供給設備に配置され、前記電力供給部から供給される電力を前記第1電線に供給可能とする第1電力変換部と、
電力消費設備に配置される負荷と、
前記負荷に電力を供給する第2電線と、
前記負荷の消費電力を算出する算出部と、
前記第1電線と前記電力消費設備とを接続し、一方向又は双方向に電力を供給可能とする第2電力変換部と、
前記算出部が算出した前記負荷の消費電力と、前記電力供給部の電力供給可能量に基づいて、前記第1電力変換部を制御し、前記第1電線への電力供給を制御する制御部と、を備え、
前記電力供給部は、再生エネルギー発電システム、蓄電池システム、又は前記第2電線を備えることを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力管理システムであって、
前記算出部は、前記負荷の消費電力を実測するか、又は複数のセンサによる計測結果から前記負荷の消費電力を推定することを特徴とする電力管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力管理システムであって、
前記電力供給設備及び前記電力消費設備の少なくともいずれかを複数備えることを特徴とする電力管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電力管理システムであって、
前記電力供給部と前記第2電線は第2電力変換部を介して接続され、
前記電力供給部は、前記第2電線から電力を受電し、受電した電力の少なくとも一部を前記第1電線に供給することを特徴とする電力管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力管理システムであって、
前記電力供給部は蓄電システムであって、電力供給可能量と電力量供給可能量を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記算出部が算出した前記負荷の消費電力と、前記電力供給可能量及び前記電力量供給可能量に基づいて前記第1電力変換部を制御することを特徴とする電力管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電力管理システムであって、
前記電力供給部は蓄電システムであって、
前記蓄電システムの劣化を診断する劣化診断部をさらに備えることを特徴とする電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光や風力を活用した再生可能エネルギー発電装置が分散して設置される事例が増加している。また、家、ビル、工場等の需要家へリチウムイオン電池、鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池等の電池や、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどのキャパシタからなる蓄電装置を設置し、電力を効率良く利用する方法が提案されている。これらの発電装置および蓄電装置は、通常電力変換装置を介して商用電力系統と接続され、売電や買電がなされている。
【0003】
このような状況の中で、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力系統の電圧変動や周波数変動に対する安定化が課題となっている。再生可能ネルギー発電の出力変動抑制、ピークカット、非常用電源を目的として、エネルギー貯蔵システムが導入されている。エネルギー貯蔵システムとしては、例えば、蓄電装置を充放電させることによる電力消費を調整する方法が知られている。
【0004】
また、鉄道分野では、鉄道車両の減速時等に生じる回生電力を有効利用するための電力システムが検討されている。特許文献1には、回生電力の有効利用のために、鉄道の減速時に生じる回生電力をき電回路に接続された蓄電池に充電する電気鉄道用電力システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−56996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のエネルギー貯蔵システムでは、蓄電装置が、商用電力系統のみを介して再生エネルギー発電と接続されているため、稼働率が低く有効活用が困難であった。
【0007】
また、特許文献1に開示された鉄道用電力システムは、鉄道事業者が、必要な容量および出力の蓄電装置を設置し、その蓄電装置をき電回路に接続して、運用を行うものである。したがって、エネルギー貯蔵システムが、回生電力の有効利用という用途のみに利用されている。需要家のエネルギー貯蔵システムが、一つの電力系統にのみ接続している場合は、その電力系統が停電した時に電力提供が受けられない虞がある。また、既設のエネルギー貯蔵システムのさらなる稼働率の向上が期待されている。
【0008】
そこで、本発明では信頼性の高い電力管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る電力管理システムは、電力供給設備に配置される電力供給部と、電動車両に接する架線に電力を供給する第1電線と、電力供給部から供給される電力を第1電線に供給可能とする第1電力変換部と、電力消費設備に配置される負荷と、負荷に電力を供給する第2電線と、負荷の消費電力を算出する算出部と、第1電線と電力消費設備とを接続し、一方向又は双方向に電力を供給可能とする第2電力変換部と、算出部が算出した負荷の消費電力と、電力供給部の電力供給可能量に基づいて、第1電力変換部を制御し第1電線への電力供給を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、信頼性の高い電力管理システムを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1に係る電力管理システムの構成図である。
【
図2】実施例2に係る電力管理システムの構成図である。
【
図3】実施例3に係る電力管理システムの構成図である。
【
図4】実施例4に係る電力管理システムの構成図である。
【
図5】実施例5に係る電力管理システムの構成図である。
【
図6】実施例5に係る制御例を示すフローチャートである。
【
図7】実施例6に係る電力管理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
従来の電力管理システムの構成では、太陽光発電電力が商用電力系統のキャパシティを超えるような場合に、商用電力系統を介して接続された蓄電装置は、太陽光発電電力を一旦蓄積し、後に商用電力系統へ共有するような活用方法は困難であった。また、従来の送電網の構成では、余剰の太陽光発電電力を電力需要家に直接送電することは困難であった。
【0013】
そこで、発明者らは、電力提供経路発電装置、蓄電装置、電力需要に既設の電力線を利用して電力を融通できる電力管理システムを見出した。本発明の一実施形態に係る電力管理システムは、負荷の消費電力が増大した場合にも、電力供給部からの電力供給によりブレーカー等の機構が作動し、電力消費が妨げられることのない信頼性の高い電力供給網が構築できる。また、商用電力系統から負荷への電力供給が停電等により途絶えた場合にも電力供給が受けられる。
【0014】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図7を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1に係る電力管理システムの構成図である。電力管理システムは、
電力供給設備100と、電力消費設備200と、電力供給設備から電力消費設備に電力を送電する第1電線301と、電力消費設備へ電力を供給可能な第2電線302と、を備える。
【0016】
第1電線301は、電動車両に接する架線に電力を供給する電線(き電線)である。図示しない部分で第2電線および/または発電設備から電力の供給を受け電動車両へ供給する。
【0017】
第2電線302は、いわゆる電力会社(電力供給事業者)が運営する送配電網による系統を利用する場合と、地域に送配電する事業者が用意した専用の系統とする場合とのいずれでもよい。
【0018】
実施例1では、電力供給設備及び電力消費設備が個別のサイトである例を説明する。
【0019】
電力供給設備は、電力供給部101と、電力供給部から供給される電力を第1電線に供給可能とする第1電力変換部102と、第1電力変換部を制御する制御部103と、を備える。電力消費設備は、負荷201と、第1電線と電力消費設備とを接続し、一方向又は双方に電力を供給可能とする第2電力変換部202と、負荷の消費電力を算出する算出部203とを備える。
【0020】
電力供給部101は電力供給可能な装置と、電力の供給可能量に関する情報を出力する出力装置と、を備える。電力供給可能な装置としては、電力を供給可能であれば特に限定されない。具体的には、太陽光や風力はどの再生エネルギー発電システム、蓄電システム、発電装置を挙げることができる。また、第2電線が電力供給設備を兼ねていていも良い。
【0021】
第1電力変換部102は電力供給部から供給される電力を適切に第1電線へ供給する。第2電力変換部202は、第1電線から供給される電力を負荷が使用する状態に変換する。また、第2電線から供給される電力を第1電線が使用可能な状態に変換する。ここで、電力供給部および電力変換部が供給する電力は、直流であっても、単相交流であっても3相交流であっても良く、電圧や周波数も設備に応じて設定できる。
【0022】
負荷201としては、各建物が備える空調設備や照明設備など、電力を消費する様々な機器が含まれる。負荷は建物が備える受電設備(図示しない)を通じて第2電線から電力供給を受けることができる。
【0023】
算出部は、図示しないセンサ等を用いて負荷の消費電力を実測するか、複数のセンサによる計測結果や受電設備および第2電力変換部で測定された電力情報から推定するなどして、負荷の消費電力を算出する。例えば、算出部により送信された負荷の消費電力が、あらかじめ想定された第2電線からの電力供給量を超えるような場合に、不足する電力を電力供給設備から補う必要がある。そのため、算出部は、算出した負荷の消費電力に関する情報(以下、電力利用希望量情報という。)を制御部に送信する。消費電力に関する情報とは、例えば、負荷の消費電力そのものでもよいし、電力利用希望量であってもよい。なお、算出部は、負荷の消費電力があらかじめ設定された電力量を超える場合に、制御部103に負荷の消費電力に関する情報を送信するようにしてもよい。
【0024】
制御部103は、算出部が算出した負荷の消費電力に関する情報と、電力供給部の電力供給可能量に基づいて、第1電力変換部を制御し、第1電線への電力供給を制御する。制御部は第2電力変換部から負荷の消費電力に関する情報を取得するとともに、電力供給部から電力供給可能量に関する情報を取得する。電力供給可能量情報は、たとえば風況および/または日照量から算出可能である。
【0025】
制御部は、電力利用希望量情報と電力供給可能量情報とを比較し、電力供給可能量が電力利用希望量以上であれば提供を決定し、第1電力変換部を制御する。このとき、制御部は、第1電力変換部の変換ロスや、第1電線での送電ロスを考慮して提供可否を決定するとなお好ましい。そのためには、負荷の設置されている所在情報や、第2電力変換部の変換効率等の情報が入手可能であるとロスが正確に算出可能なためなお好ましい。電力供給可能量が電力利用希望量未満である場合には提供しないか一部提供することを決定し、電力変換部を制御する。決定結果は、負荷での予期せぬ電力不足を発生させないため、算出部に提供されるのが好ましい。
【0026】
実施例1に係る電力管理システムは、電力消費設備、電力供給設備の各サイトがき電線にも接続しているために、電力提供経路を複数化することができる。また、き電線を用いてサイト間の電力を融通できるため、サイト全体の消費電力を最適化することができる。さらに電力供給設備からもき電線に電力を供給することができるため、鉄道運行システムの停電を抑制することができる。その結果、鉄道運行システムの信頼性も向上できる。
【実施例2】
【0027】
以下では、実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0028】
図2は実施例2に係る電力管理システムの構成図を示す。実施例2は電力供給設備を複数備える。電力管理システムは、第1電力供給設備100と、電力消費設備200と、第2電力供給設備400と、統括制御部500と、電力供給設備から電力消費設備に電力を送電する第1電線301と、電力消費設備へ電力を供給する第2電線302と、を備える。
【0029】
第1電力供給設備及び第2電力供給設備は実施例1に係る電力供給設備と同様の構成である。第1電力供給設備は、第1電力供給部101と、第1電力供給部から供給された電力を第1電線に供給可能な状態にし、適切に供給する第1電力変換部102、第1の電力変換部を制御する第1制御部103と、を備える。第2電力供給設備は、第2電力供給部401、第2電力供給部から供給された電力を第1電線に供給可能な状態とし、適切に第1電線に供給する第3電力変換部402、第3電力変換部を制御する第2制御部403と、を備える。第1電力供給部及び第2電力供給部は、電力供給可能量情報を統括制御部500に送信する。
【0030】
電力消費設備は実施例1に係る電力消費設備と同様に、負荷201と、負荷の消費電力を算出する算出部203と、電力消費設備と第1電線とを接続し、一方又は双方に電力を供給可能な状態に変換する第2電力変換部202と、を備える。
【0031】
算出部203は、実施例1と同様に負荷の消費電力に関する情報(電力利用希望量情報)を統括制御部に送信する。
【0032】
統括制御部は、第1電力供給部の電力供給可能量情報、第2電力供給部の電力供給可能量情報、電力利用希望量情報と、に基づき、第1制御部、第2制御部を制御し、第1電力供設備又は第2電力供給設備から第1電線を介して電力消費設備に電力を供給する。具体的には、統括制御部は電力利用希望量以上の電力供給可能量を確保できるように第1制御部103および第2制御部403へ電力供給指令を送信する。このとき、電力供給可能量情報に加えて、各電力供給設備から電力消費設備への送電経路を考慮し、近いサイトからの供給を優先すると送電ロスが少なくなり好ましい。電力供給設備が複数ある場合には、必要な電力供給可能量が確保しやすくなる。
【0033】
実施例2では電力供給設備を複数備える電力管理システムについて説明したが、電力管理システムは電力消費設備を複数備えていても良い。負荷が複数ある場合には、複数の電力利用希望量情報を積算することで、電力供給可能量へ近づけることが可能となり、再生可能エネルギー発電量を増加させることができる。そのため、二酸化炭素排出量削減等へ貢献可能となる。
【0034】
複数の電力供給設備又は複数の負荷を備える電力管理システムの場合は、電力供給設備及び負荷の互いの位置情報に基づき、送電経路を考慮して電力供給を決定することがさらに好ましい。
【実施例3】
【0035】
図3に実施例3に係る電力管理システムの構成図を示す。実施例3に係る電力管理システムは、電力供給部101と第2電線302が不図示の電力変換装置を介して接続されている。電力変換部101は、第2電線302から電力を受電し、受電した電力の少なくとも一部を前記第1電線に供給する。実施例3は、電力供給部が再生可能エネルギー発電であって、固定価格買取制度等を利用して売電している場合に相当する。このとき、第2電線網中で再生可能エネルギー発電量が過剰となると系統が不安定化する虞が生じるため、再生エネルギー発電を抑制するよう発電出力抑制指示がかかる場合が有る。発電出力抑制指示が例えば第2電線への電力供給量を指示値以下とする内容であった場合は、電力供給可能量情報と前記指示値の差を電力変換部102を通じて第1電線301へ供給することで再生可能エネルギー発電の発電力を最大化でき、二酸化炭素排出量削減等へ貢献可能となる。
【0036】
実施例3に係る電力管理システムは、実施例2のように電力供給設備又は負荷を複数備えていてもよい。第2電線が停電等により電力供給部からの電力供給を受けられない場合にも、実施例3においては第1電線を利用することで再生可能エネルギー発電を継続することができるため好ましい。さらに、負荷201は第1電線を介した電力供給を非常用電源として活用できる。
【実施例4】
【0037】
実施例4では、電力供給部101が蓄電システムである場合を説明する。蓄電システムに用いられる蓄電装置としては、リチウムイオン電池、鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池等の電池や、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどのキャパシタ、或いは揚水発電による蓄電装置等を適用することができる。
【0038】
図4に実施例4に係る電力管理システムの構成図を示す。蓄電システムである電力供給部101は、電力供給可能量情報に加えて、蓄電装置に貯蔵されているエネルギー量から供給可能な電力量を表す電力量供給可能量情報を、制御部103に送信することが可能である。負荷の電力消費の動向から、電力の利用希望が継続すると予測される場合に、天候等の変化の影響を受けることなく、確実に電力供給を継続することができる。
【0039】
実施例4では、蓄電システムが、第1電線を介して電動車両及び電力消費設備の両方に電力を供給可能であるため、蓄電システムの稼働率が向上し、蓄電システムの有効活用が可能となる。
【実施例5】
【0040】
図5に実施例5に係る電力管理システムの構成図を示す。実施例5では、実施例4に係る電力管理システムに、さらに蓄電池ステムの劣化を診断する劣化診断部104を追加した構成である。劣化診断部104は、例えば、蓄電システムの電圧、電流、温度、充電状態などの情報を、制御部103を介して収集し、その収集した情報から劣化状態を診断する。劣化診断結果は、制御部へ送信され電力変換部の制御に活用される。
【0041】
図6に劣化診断部における処理の流れの一例を示すフローチャートを示す。劣化診断部104は、各設備が備える蓄電システムの充放電挙動を確認する(ステップS31)。このとき、劣化診断部は、例えば蓄電部の電圧、電流、温度、充電状態などの、劣化診断に必要な情報を取得する。劣化診断部は劣化診断に適した充放電パターンを指示しても良い。そのように指示することで劣化診断の精度を向上させることができる。
【0042】
ステップS31で確認した情報に基づいて、劣化診断部が劣化の有無を判断する(ステップS32)。劣化がないと判断したときには(ステップS32のYES)、劣化診断部24はステップS31の確認処理に戻る。
【0043】
ステップS32で、劣化したと判断したときには(ステップS32のNO)、劣化診断部24は、該当する蓄電部の充電電力と放電電力の最大値を劣化状態に基づいて制限し(ステップS33)。ステップS31の確認処理に戻る。
【0044】
ステップS33で劣化した蓄電部の制限処理を行ったときには、劣化診断部は、その劣化した蓄電システムの劣化状態表示部(不図示)に劣化状態の情報を送っても良い(ステップS34)。この劣化状態表示部での劣化状態の表示としては、例えば容量が劣化によりどの程度低下しているかを表示する。また、劣化診断部での診断結果に基づいて、電力供給可能量および/または電力量供給可能量を制限するようにしてもよい。
【実施例6】
【0045】
実施例6では、電力供給部101が、再生可能エネルギー発電や蓄電システムを含まず、第2電線からの電力供給機能を電力供給部として活用する場合である。このとき、電力供給部は第2電線から供給可能な電力と、電力供給設備100の内部での消費電力の差を電力供給可能量とする。このような構成によれば、図示しない部分で第2電線および/または発電設備から電力の供給を受ける機構が故障した場合にも第2電線から第1電線へ電力供給が可能になるため、第1電線の電力供給の信頼性を向上させることができる。
【0046】
なお、上述した実施の形態例で説明したシステム構成は一例を示したものであり、本発明は各図に示す構成に限定されるものではない。例えば、図に示すシステム構成は、一例であり、電力供給設備や電力消費設備の数は、図に示す例に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
100…電力供給設備、101…電力供給部、102…第1電力変換部、103…制御部、104…劣化診断部、200…電力消費設備、201…負荷、202…第2電力変換部、203…算出部、301…第1電線、302…第2電線、400…第2電力供給設備、401…第2電力供給部、402…第3電力変換部、403…第2制御部、500…統括制御部