(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の鉄骨柱の位置調整方法では、トータルステーション及び反射ターゲットの設置位置のずれは、反射ターゲットを頂部に設けた鉄骨柱の位置のずれに繋がる虞がある。このため、特許文献1及び2に記載の鉄骨柱の位置調整方法では、トータルステーション及び反射ターゲットを鉄骨柱の頂部の正確な位置に設けることが必要となり、設置作業に高い精度が求められるため、多大な労力や時間が掛かるという問題があった。また、特許文献1及び2に記載の鉄骨柱の位置調整方法では、トータルステーションを頂部に設けた鉄骨柱の位置が基準位置となるため、該基準位置となる鉄骨柱を、トータルステーションや反射ターゲットの設置前に正確な位置に設けることが必要となり、該鉄骨柱の設置作業に多大な労力や時間が掛かるという問題があった。
【0006】
上述した事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、構造物を構成する構成部材の位置調整作業の作業性の向上及び省力化を図ることができる構造物の構成部材の位置調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る構造物の構成部材の位置調整方法は、
構造物を構成する複数の構成部材のうち、少なくとも1つの前記構成部材を撮影装置により撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップで撮影された前記構成部材である被撮影部材の任意位置における位置座標を、前記被撮影部材の撮像画像の画像解析により検出する被撮影部材情報検出ステップと、
前記被撮影部材情報検出ステップにおいて検出される前記被撮影部材の前記任意位置における前記位置座標に基づき、前記被撮影部材の位置調整を行う位置調整ステップと、を備える。
【0008】
上記(1)の方法によれば、撮影ステップで撮影された被撮影部材(構成部材)の撮影画像を、被撮影部材情報検出ステップで画像解析することで、従来のように構成部材にトータルステーションや反射ターゲットを設置する必要がなく、また、撮影ステップにおける撮影と同時に被撮影部材の任意位置における位置座標を取得できる。そして、位置調整ステップで、被撮影部材の任意位置における位置座標に基づき、被撮影部材の位置調整を行うことができる。このため、撮影装置により被撮影部材の撮影をすると、被撮影部材の位置調整に用いられる被撮影部材の任意位置における位置座標を即座に取得できるので、被撮影部材(構成部材)の位置調整作業の作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0009】
特に、位置調整ステップにおいて、被撮影部材の位置調整を人力ではなく、被撮影部材の位置調整が可能な位置調整装置により被撮影部材の位置調整を行う場合には、被撮影部材の撮影をすると、即座に被撮影部材の任意位置における位置座標の取得、及び、被撮影部材の位置調整を行うことができるので、被撮影部材の位置調整作業のさらなる作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記構成部材に対応する、設計上の部材である設計部材の任意位置における位置座標を記憶装置に記憶する設計部材情報記憶ステップと、
前記被撮影部材情報検出ステップの後に、前記被撮影部材の前記任意位置における前記位置座標に基づき、前記被撮影部材に対応する前記設計部材を特定する設計部材特定ステップと、をさらに備え、
前記位置調整ステップでは、前記被撮影部材に対応する前記設計部材の位置座標と、前記被撮影部材の位置座標と、の間の誤差に応じて、前記被撮影部材の位置調整を行う。
【0011】
上記(2)の方法によれば、設計部材特定ステップで被撮影部材に対応する設計部材を特定することができ、且つ、位置調整ステップで被撮影部材に対応する設計部材と被撮影部材との位置座標の誤差に応じて、被撮影部材の位置調整を行うことができる。このため、被撮影部材を目的とする位置に調整することを効率良く行うことができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、
前記撮影ステップでは、前記撮影装置により複数の前記被撮影部材が同時に撮影され、
前記位置調整ステップでは、前記複数の被撮影部材の位置調整が同時に行われる。
【0013】
上記(3)の方法によれば、撮影ステップで撮影装置が複数の被撮影部材を同時に撮影することで、被撮影部材情報検出ステップで複数の被撮影部材の各々の任意位置における位置座標を取得することができる。そして、位置調整ステップで、被撮影部材情報検出ステップで取得した複数の被撮影部材の位置座標に基づき、複数の被撮影部材の位置調整を同時に行うことができる。複数の被撮影部材の位置調整を同時に行うので、一部材毎に位置調整を行う場合に比べて、作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の方法において、
前記被撮影部材情報検出ステップでは、前記被撮影部材のエッジ部における位置座標が検出される。
上記(4)の方法によれば、被撮影部材のエッジ部(輪郭部)は、被撮影部材の形が多く変化する部分であるとともに、背景や被撮影部材以外の他の構成部材等と、被撮影部材と、の境界点であるので、画像解析による位置座標の検出を容易に行うことができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の方法において、
前記被撮影部材は、梁部材が仮固定されている柱部材を含む。
上記(5)の方法によれば、梁部材は柱部材の位置調整後に仮固定されるが、仮固定の際に梁部材の製作精度や仮固定の施工精度のバラツキによって柱部材の傾き(位置)にずれが生じる虞がある。被撮影部材は上述した梁部材が仮固定されている柱部材を含むので、仮固定によりずれが生じた柱部材の傾き(位置)を調整することができる。
【0016】
また、梁部材が仮固定されている柱部材は、位置調整が行われた後であっても、梁部材が仮固定、又は強固に固定されている他の柱部材の位置調整を行うことにより、他の柱部材の位置調整に応じて位置がずれる虞がある。この場合には再度の位置調整が必要となる。しかし、撮影ステップで撮影装置が複数の柱部材を同時に撮影し、且つ、位置調整ステップで複数の柱部材の位置調整が同時に行われる場合には、梁部材が仮固定されている複数の柱部材の位置調整を同時に行うことができる。複数の柱部材の位置調整を同時に行うことで、他の柱部材の位置調整によるずれを解消しながら位置調整を行うことができるので、作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の方法において、
前記被撮影部材情報検出ステップでは、前記柱部材の複数のエッジ部における位置座標が検出され、
前記構造物の構成部材の位置調整方法は、前記被撮影部材情報検出ステップの後に、前記柱部材の中心軸線を算出する中心軸線算出ステップをさらに備え、
前記位置調整ステップでは、前記中心軸線を用いた位置調整が行われる。
【0018】
上記(6)の方法によれば、被撮影部材情報検出ステップで検出された柱部材の複数のエッジ部における位置座標から、中心軸線算出ステップで柱部材の中心軸線を算出することができる。そして、位置調整ステップで、柱部材の中心軸線を用いた位置調整を行うことができるので、エッジ部における位置座標等を用いて位置調整を行うよりも、柱部材の位置調整、特に柱部材の傾きの調整を効率良く行うことができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(6)の方法において、
前記被撮影部材は、梁部材が仮固定されている複数の柱部材を含み、
前記撮影ステップでは、前記撮影装置により前記複数の柱部材が同時に撮影され、
前記被撮影部材情報検出ステップでは、前記複数の柱部材の各々における柱頭部の位置座標が検出され、
前記位置調整ステップでは、前記複数の柱部材の位置調整が同時に行われる。
【0020】
上記(7)の方法によれば、撮影ステップで撮影装置が複数の柱部材を同時に撮影することで、被撮影部材情報検出ステップで複数の柱部材の各々の柱頭部の位置座標を取得することができる。そして、位置調整ステップで、被撮影部材情報検出ステップで取得した柱部材の位置座標に基づき、複数の柱部材の位置調整を同時に行うことができる。複数の柱部材の位置調整を同時に行うので、一部材毎に位置調整を行う場合に比べて、作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0021】
また、柱部材の柱頭部は撮影装置による撮影が容易である。そして、被撮影部材情報検出ステップでの柱部材の柱頭部の位置座標は、主に背景と柱頭部との境界点であるので、画像解析による位置座標の検出を容易に行うことができる。また、柱部材の柱頭部は、下端部が固定された柱部材において位置ずれが最も大きくなる部分であるので、柱部材の柱頭部における位置座標に基づき、被撮影部材の位置調整を行う場合には、位置調整作業を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、構造物を構成する構成部材の位置調整作業の作業性の向上及び省力化を図ることのできる構造物の構成部材の位置調整方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態にかかる構造物の構成部材の位置調整方法を説明するための図であって、鉄骨構造物の斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態にかかる構造物の構成部材の位置調整方法のフロー図である。
図1に示されるように、幾つかの実施形態では、構造物2を構成する複数の構成部材3は、鉄骨柱31(柱部材)や鉄骨梁32(梁部材)を含み、構造物2は、鉄骨柱31と鉄骨梁32とを備える鉄骨構造物21を含んでいる。
図1に示される実施形態では、幾つかの鉄骨柱31は、床面22より上方に突出した他の鉄骨柱31の柱頭部312の上に配置され、立設方向に沿って他の鉄骨柱31に直列に連結している。
【0026】
図2に示されるように、幾つかの実施形態にかかる構造物の構成部材の位置調整方法1は、撮影ステップS101と、被撮影部材情報検出ステップS102と、位置調整ステップS103と、を備えている。
【0027】
撮影ステップS101では、
図1に示されるように、構造物2を構成する複数の構成部材3のうち、少なくとも1つの構成部材3を撮影装置4により撮影する。
図1に示される実施形態では、撮影装置4は、鉄骨構造物21の床面22の上に配置されている。以下、構造物2を構成する複数の構成部材3のうち、撮影装置4の撮影範囲内に位置し、撮影装置4により撮影された構成部材3を被撮影部材30とする。なお、
図1に示される実施形態では、撮影装置4の撮影範囲は、
図1中2本の二点鎖線の間、且つ、撮影装置4の撮影中心軸線Sを内部に含む範囲である。
【0028】
図3は、構造物の構成部材の位置調整方法の撮影ステップで用いられる撮影装置の構成の一例を概略的に示す概略構成図である。
図3に示されるように、上述した撮影ステップS101で用いられる撮影装置4は、撮像装置41と、画像解析装置42と、測量装置43と、演算装置45と、記憶装置46と、入出力装置47と、表示装置48と、を備えている。撮像装置41、画像解析装置42、測量装置43、演算装置45、記憶装置46、入出力装置47及び表示装置48のそれぞれは、バス44に電気的に接続されており、装置間における信号の送受信が可能に構成されている。
【0029】
撮像装置41は、対物レンズを含む光学素子と、例えばCCDやCMOS等を含む撮像素子と、を含んでいる。光学素子は、撮影対象である被撮影部材30からの光を撮像素子に導くものである。撮像素子は、被撮影部材30を撮像して、撮像画像(2次元画像データ)を生成するものである。
【0030】
測量装置43は、
図3に示されるように、水平角測量部431と、鉛直角測量部432と、測距部433と、を有している。水平角測量部431は、例えばロータリエンコーダを含み、撮影中心軸線Sの撮影装置4に対する水平方向の角度(鉛直軸を中心とする角度)を検出し、検出した水平方向の角度に対応する信号を演算装置45に出力するようになっている。鉛直角測量部432は、例えばロータリエンコーダを含み、撮影中心軸線Sの撮影装置4に対する鉛直方向の角度(水平軸を中心とする角度)を検出し、検出した鉛直方向の角度に対応する信号を演算装置45に出力するようになっている。水平角測量部431及び鉛直角測量部432により、撮影中心軸線Sの水平方向及び鉛直方向の角度が検出される。
【0031】
測量装置43の測距部433は、撮像装置41により撮影された撮像画像に対応する、画素ごとの距離情報である距離画像を取得可能に構成されている。距離画像の取得手段としては、光源から出力されるパルス光を被撮影部材30に向けて照射し、被撮影部材30からの反射光を受光部で受光するまでの時間と光の速度から、被撮影部材30までの距離を計算することで距離画像を取得するTOF(タイム・オブ・フライト)方式や、異なる2つの視点から被撮影部材30を捉え、これらの2つの視点の視差から距離画像を取得するステレオカメラ方式等がある。
【0032】
上述した被撮影部材情報検出ステップS102では、撮影ステップS101において撮影された被撮影部材30の任意位置における位置座標を、被撮影部材30の撮像画像の画像解析により検出する。画像解析装置42は、撮影ステップS101において撮影された被撮影部材30の任意位置における位置座標を、被撮影部材30の撮像画像の画像解析により検出可能に構成されている。つまり、画像解析装置42により上述した被撮影部材情報検出ステップS102が行われる。
【0033】
第1に、画像解析装置42は、
図4に示されるように、撮像装置41により撮影された撮像画像から、画像解析により被撮影部材30の形状を検出する。ここで、
図4は、構造物の構成部材の位置調整方法の被撮影部材情報検出ステップにおける被撮影部材の撮像画像に対する画像解析を説明するための図であって、鉄骨柱の柱頭部近傍を示す概略斜視図である。
図4に示されるように、撮像画像に仮想の水平検出線HLや垂直検出線VLを設定し、水平検出線HLや垂直検出線VLの線上の輝度値が大きく変化する特徴点であるエッジ部311を検出する。複数のエッジ部311を検出することで、被撮影部材30の形状が検出される。なお、画像解析により検出される被撮影部材30の形状は、被撮影部材30の一部分であってもよい。
【0034】
上述したエッジ部311には、例えば、背景と被撮影部材30との境界や、被撮影部材30の辺と辺との境界、及び、被撮影部材30の辺と面との境界等が挙げられる。より詳細には、エッジ部311には、
図4中に黒丸で示されるような、外側面314から突出するとともに鉄骨梁32と接合される梁接合部313の角部や外側面314との接触部、鉄骨柱31の柱頭部312の角部、及び、鉄骨柱31の縁部等が挙げられる。また、
図4に示されるように、水平検出線HLや垂直検出線VLの線上の複数のエッジ部311を検出することで、エッジ部311間の距離を検出することもできる。
【0035】
第2に、画像解析装置42は、検出された被撮影部材30の形状と、測量装置43の測距部433により取得した距離画像と、から、被撮影部材30の3次元データを生成する。該3次元データは、被撮影部材30の任意位置における位置座標(3次元座標)を抽出可能である。
【0036】
入出力装置47(入出力インターフェース)は、構造物の構成部材の位置調整方法1において用いられる各構成要素(撮影装置4や撮影装置4以外の他の装置を含む)からの各種情報や撮影装置4に対する操作情報が入力され、且つ、演算結果等に基づく各種情報を上述した各構成要素に出力する。記憶装置46(ROM、RAM)は、入力された各種情報や制御実施のために必要な各種プログラムや演算結果等を記憶可能に構成されている。演算装置45(CPU)は、上述した各種情報に基づいて演算処理を行う。表示装置48(液晶ディスプレイ)は、上述した演算結果等に基づく各種情報を表示する。なお、撮影装置4は、演算装置45、記憶装置46、入出力装置47及び表示装置48を含むカメラから構成されているが、一般的な構成及び制御については適宜割愛することとする。
【0037】
記憶装置46には、
図3に示されるような、設計部材情報データ461及び構成部材情報データ462が記憶されている。設計部材情報データ461は、構成部材3(被撮影部材30)に対応する設計上の部材である設計部材8の3次元データを含んでいる。ここで、設計部材8は、仮想空間上において、対応する構成部材3と同一の形状を有する部材であって、構成部材3の設置予定位置に予め配置されるものである。構成部材情報データ462は、上述した撮像装置41で撮影された撮像画像、測量装置43の測距部433で取得した距離画像、画像解析装置42により検出された被撮影部材30の形状及び被撮影部材30の3次元データを含んでいる。
【0038】
なお、幾つかの実施形態では、上述した被撮影部材情報検出ステップS102において、被撮影部材30の3次元データと、被撮影部材30に対応する設計上の部材である設計部材8の3次元データと、を比較(パターンマッチング)して、比較結果から被撮影部材30の3次元データの修正をしてもよい。画像解析により検出される被撮影部材30の形状が、被撮影部材30の一部分である場合には、被撮影部材30の検出されていない部分の形状を補うことができるので、特に有効である。
【0039】
図3に示される実施形態では、撮像装置41は、例えばPC等の不図示の他の装置と有線通信又は無線通信により信号の送受信が可能な通信装置49をさらに備えている。この場合には、撮影装置4に含まれる少なくとも1つの装置の役割を他の装置に代替させることができる。
【0040】
なお、撮影装置4は、自身の位置座標を検出可能に構成されていてもよく、また、他の装置で取得した撮影装置4の位置座標を受信可能に構成されていてもよい。また、撮影装置4は、予め位置座標が検出されている位置に設置してもよい。
【0041】
上述した位置調整ステップS103では、被撮影部材情報検出ステップS102において検出される被撮影部材30の任意位置における位置座標に基づき、被撮影部材30の位置調整を行う。すなわち、被撮影部材30の任意位置における位置座標が、目的とする位置座標になるように、被撮影部材30の位置調整が行われる。
【0042】
図5は、構造物の構成部材の位置調整方法の位置調整ステップで用いられる位置調整装置を説明するための図であって、鉄骨柱及び位置調整装置を上面から視た概略上面図である。
図1、5に示される実施形態では、鉄骨構造物21は、被撮影部材30である鉄骨柱31の位置調整を可能に構成されている少なくとも1つの位置調整装置7を備えている。位置調整装置7は、
図1に示されるように、鉄骨柱31の梁接合部313の上に設けられている。位置調整装置7は、
図5に示されるように、鉄骨柱31の4つの外側面314の各々に接触するように設けられた4つの位置調整部71を有している。位置調整部71は、不図示のモータにより外側面314に対して直交方向に沿って移動して、鉄骨柱31の外側面314を外側面314に対して直交方向に沿って押圧することにより、鉄骨柱31の水平方向における位置調整を可能に構成されている。なお、位置調整装置7は、鉄骨柱31の鉛直方向(立設方向)における位置調整を可能に構成されていてもよいし、鉄骨柱31の位置調整の際に、鉄骨柱31に設けられたエレクションピースに取り付けられてもよい。
【0043】
位置調整装置7は、上述した撮影装置4の通信装置49を介して、撮影装置4と有線通信又は無線通信により信号の送受信が可能に構成されており、撮影装置4の演算装置45の演算結果に応じて、被撮影部材30である鉄骨柱31が目的の位置に設置されるように、鉄骨柱31の位置調整を行うことが可能に構成されている。
【0044】
上述したように、幾つかの実施形態にかかる構造物の構成部材の位置調整方法1は、上述した撮影ステップS101と、上述した被撮影部材情報検出ステップS102と、上述した位置調整ステップS103と、を備えている。
【0045】
上記の方法によれば、撮影ステップS101で撮影された被撮影部材30(構成部材3)の撮影画像を被撮影部材情報検出ステップS102で画像解析することで、従来のように構成部材3に反射ターゲットを設置する必要がなく、また、撮影ステップS101における撮影と同時に被撮影部材30の任意位置における位置座標を取得できる。そして、位置調整ステップS103で、被撮影部材30の任意位置における位置座標に基づき、被撮影部材30の位置調整を行うことができる。このため、撮影装置4により被撮影部材30の撮影をすると、被撮影部材30の位置調整に用いられる被撮影部材30の任意位置における位置座標を即座に取得できるので、被撮影部材30(構成部材3)の位置調整作業の作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0046】
特に、位置調整ステップS103で、人力ではなく、被撮影部材30の位置調整が可能な位置調整装置7により被撮影部材30の位置調整を行う場合には、被撮影部材30の撮影をすると、即座に被撮影部材30の任意位置における位置座標の取得、及び、被撮影部材30の位置調整を行うことができるので、被撮影部材30の位置調整作業のさらなる作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0047】
図6は、本発明の他の一実施形態にかかる構造物の構成部材の位置調整方法のフロー図である。
図7は、構造物の構成部材の位置調整方法の位置調整ステップにおける位置調整を説明するための図であって、鉄骨柱を該鉄骨柱に対応する設計部材とともに示す概略斜視図である。幾つかの実施形態では、構造物の構成部材の位置調整方法1は、
図6に示されるように、設計部材情報記憶ステップS201と、設計部材特定ステップS202と、をさらに備えている。
【0048】
設計部材情報記憶ステップS201では、
図7に示されるような、構成部材3に対応する、設計上の部材(3Dモデル)である設計部材8の任意位置における位置座標を記憶装置6に記憶する。記憶装置6は、
図3に示されるように、撮影装置4の記憶装置46を含んでいる。上述したように、記憶装置46の設計部材情報データ461は、構成部材3に対応する設計上の部材である設計部材8の3次元データを含んでいる。設計部材8の3次元データは、構成部材3に対応する設計部材8の任意位置における位置座標(3次元座標)を抽出可能である。
【0049】
設計部材特定ステップS202では、
図6に示されるように、被撮影部材情報検出ステップS102の後に、被撮影部材30の任意位置における位置座標に基づき、被撮影部材30に対応する設計部材8を特定する。設計部材特定ステップS202では、被撮影部材30の任意位置における位置座標から被撮影部材30の少なくとも一部の形状を取得することができる。次に、設計部材特定ステップS202では、
図7に示されるように、被撮影部材30と設計部材8とを同一の座標軸に変換する。例えば、測量装置43の水平角測量部431及び鉛直角測量部432により、水平方向及び鉛直方向の角度が検出された、撮影装置4の撮影中心軸線Sを基準とする被撮影部材30の座標軸に、設計部材8の座標軸を変換する。被撮影部材30と設計部材8とを同一の座標軸に変換すると、
図7に示されるように、被撮影部材30の周囲に被撮影部材30に対応する設計部材8が配置される。このため、被撮影部材30の少なくとも一部の形状からも被撮影部材30に対応する設計部材8を特定することができる。なお、被撮影部材30の3次元データと、被撮影部材30に対応すると思われる設計部材8の3次元データと、を比較(パターンマッチング)して、被撮影部材30に対応する設計部材8を特定してもよい。
【0050】
上述した位置調整ステップS103では、
図6に示されるように、設計部材特定ステップS202の後に、被撮影部材30に対応する設計部材8の位置座標と、被撮影部材30の位置座標と、の間の誤差に応じて、被撮影部材30の位置調整を行う。上述した設計部材特定ステップS202において、被撮影部材30に対応する設計部材8が特定されているので、撮影装置4の演算装置45は、記憶装置46から被撮影部材30の位置座標、及び、該位置座標に対応する設計部材8の位置座標を取得して、これらの位置座標の間の誤差を算出する。被撮影部材30の位置調整を人力で行う場合には、上述した位置座標の間の誤差の算出結果は、被撮影部材30の位置調整を行う作業員が確認できるように、演算装置45が、入出力装置47から他の装置等に出力したり、表示装置48に表示したりする。また、被撮影部材30の位置調整を位置調整装置7が行う場合には、演算装置45は、上述した位置座標の間の誤差の算出結果に応じた制御を位置調整装置7に対して行う。
【0051】
上記の方法によれば、設計部材特定ステップS202では被撮影部材30に対応する設計部材8を特定することができ、且つ、位置調整ステップS103では、被撮影部材30に対応する設計部材8と被撮影部材30との間の誤差に応じて、被撮影部材30の位置調整を行うことができる。このため、被撮影部材30を目的とする位置に調整することを効率良く行うことができる。
【0052】
図8は、構造物の構成部材の位置調整方法の位置調整ステップにおける位置調整を説明するための図であって、鉄骨柱を該鉄骨柱に対応する設計部材とともに示す概略上面図である。幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、上述した撮影ステップS101で撮影装置4により複数の被撮影部材30が同時に撮影される。ここで、複数の被撮影部材30が同時に撮影されるとは、撮影装置4の撮影範囲に複数の被撮影部材30が含まれることをいう。つまり、撮影装置4は、撮影範囲内に複数の被撮影部材30が含まれるような位置に配置されている。
図1に示される実施形態では、撮影装置4の撮影範囲内に4本の鉄骨柱31(柱部材)が含まれ、上述した撮影ステップS101でこれらの4本の鉄骨柱31が撮影される。上述した被撮影部材情報検出ステップS102では、4本の鉄骨柱31の任意位置における位置座標が算出される。また、
図8に示されるように、上述した位置調整ステップS103で複数の被撮影部材30の位置調整が同時に行われる。ここで、複数の被撮影部材30の位置調整が同時に行われるとは、複数の被撮影部材30の位置調整が同時進行で行われることだけではなく、複数の被撮影部材30の位置調整が順々に行われることも含んでいる。上述した位置調整ステップS103では、
図8に示されるように、4本の鉄骨柱31の位置調整が同時に行われる。
【0053】
上記の方法によれば、撮影ステップS101で撮影装置4が複数の被撮影部材30を同時に撮影することで、被撮影部材情報検出ステップS102で複数の被撮影部材30の各々の任意位置における位置座標を取得することができる。そして、位置調整ステップS103で、被撮影部材情報検出ステップS102で取得した複数の被撮影部材30の位置座標に基づき、複数の被撮影部材30の位置調整を同時に行うことができる。複数の被撮影部材30の位置調整を同時に行うので、一部材毎に位置調整を行う場合に比べて、作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した被撮影部材情報検出ステップS102では、上述した被撮影部材30のエッジ部311における位置座標が検出される。上記の方法によれば、被撮影部材30のエッジ部311(輪郭部)は、被撮影部材30の形が多く変化する部分であるとともに、背景や被撮影部材30以外の他の構成部材3等と、被撮影部材30と、の境界点であるので、画像解析による位置座標の検出を容易に行うことができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、被撮影部材30は、鉄骨梁32(梁部材)が仮固定されている鉄骨柱31(柱部材)を含む。鉄骨梁32が仮固定されているとは、鉄骨梁32が鉄骨柱31の梁接合部313にボルト及びナットを介して仮締め、すなわち遊びをもたせて緩く締められており、鉄骨柱31と鉄骨梁32とが互いに対して移動可能な状態をいう。上記の方法によれば、鉄骨梁32は鉄骨柱31の位置調整後に仮固定されるが、仮固定の際に鉄骨梁32の製作精度や仮固定の施工精度のバラツキによって鉄骨柱31の傾き(位置)にずれが生じる虞がある。被撮影部材30は上述した鉄骨梁32が仮固定されている鉄骨柱31を含むので、仮固定によりずれが生じた鉄骨柱31の傾き(位置)を調整することができる。
【0056】
また、鉄骨梁32(梁部材)が仮固定されている鉄骨柱31(柱部材)は、位置調整が行われた後であっても、鉄骨梁32が仮固定、又は強固に固定されている他の鉄骨柱31の位置調整を行うことにより、他の鉄骨柱31の位置調整に応じて位置がずれる虞がある。この場合には再度の位置調整が必要となる。しかし、上述したように、撮影ステップS101で撮影装置4が複数の鉄骨柱31を同時に撮影し、且つ、位置調整ステップS103で複数の鉄骨柱31の位置調整が同時に行われる場合には、
図8に示されるように、鉄骨梁32が仮固定されている複数の鉄骨柱31の位置調整を同時に行うことができる。複数の鉄骨柱31の位置調整を同時に行うことで、他の鉄骨柱31の位置調整によるずれを解消しながら位置調整を行うことができるので、作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0057】
幾つかの実施形態では、上述した被撮影部材情報検出ステップS102では、上述した鉄骨柱31のエッジ部311における位置座標が検出される。また、構造物の構成部材の位置調整方法1は、
図2、6に示されるように、上述した被撮影部材情報検出ステップS102の後に、鉄骨柱31(柱部材)の中心軸線RLを算出する中心軸線算出ステップS301をさらに備え、上述した位置調整ステップS103では、中心軸線RLを用いた位置調整が行われる。
図7、8に示されるように、中心軸線算出ステップS301では、鉄骨柱31の中心軸線RLに対応する設計部材8の中心軸線DLが算出される。また、上述した位置調整ステップS103では、設計部材8の中心軸線DLに鉄骨柱31の中心軸線RLが重なるように、鉄骨柱31の位置調整が行われる。
【0058】
上記の方法によれば、被撮影部材情報検出ステップS102で検出された鉄骨柱31(柱部材)の複数のエッジ部311における位置座標から、中心軸線算出ステップS301で鉄骨柱31の中心軸線DLを算出することができる。そして、位置調整ステップS103で、鉄骨柱31の中心軸線DLを用いた位置調整を行うことができるので、エッジ部311における位置座標等を用いて位置調整を行うよりも、鉄骨柱31の位置調整、特に鉄骨柱31の傾きの調整を効率良く行うことができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、被撮影部材30は、鉄骨梁32が仮固定されている複数の鉄骨柱31(柱部材)を含み、上述した撮影ステップS101では、撮影装置4により複数の鉄骨柱31が同時に撮影され、上述した被撮影部材情報検出ステップS102では、
図4に示されるような、複数の鉄骨柱31の各々における柱頭部312の位置座標が検出され、上述した位置調整ステップS103では、複数の鉄骨柱31の位置調整が同時に行われる。
【0060】
上記の方法によれば、撮影ステップS101で撮影装置4が複数の鉄骨柱31(柱部材)を同時に撮影することで、被撮影部材情報検出ステップS102で複数の鉄骨柱31の各々の柱頭部312の位置座標を取得することができる。そして、位置調整ステップS103で、被撮影部材情報検出ステップS102で取得した鉄骨柱31の位置座標に基づき、複数の鉄骨柱31の位置調整を同時に行うことができる。複数の鉄骨柱31の位置調整を同時に行うので、一部材毎に位置調整を行う場合に比べて、作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0061】
また、鉄骨柱31(柱部材)の柱頭部312は撮影装置4による撮影が容易である。そして、被撮影部材情報検出ステップS102での鉄骨柱31の柱頭部312の位置座標は、主に背景と柱頭部312との境界点であるので、画像解析による位置座標の検出を容易に行うことができる。また、鉄骨柱31の柱頭部312は、下端部が固定された鉄骨柱31において位置ずれが最も大きくなる部分であるので、鉄骨柱31の柱頭部312における位置座標に基づき、被撮影部材30の位置調整を行う場合には、位置調整作業を効率良く行うことができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、
図1、8に示されるように、被撮影部材30は、鉄骨梁32(梁部材)が仮固定されている一群の鉄骨柱31(柱部材)を含み、上述した撮影ステップS101では、撮影装置4により一群の鉄骨柱31が同時に撮影され、被撮影部材情報検出ステップS102では、
図8に示されるような、一群の鉄骨柱31の各々における柱頭部312の位置座標が検出され、上述した位置調整ステップS103では、一群の鉄骨柱31の位置調整が同時に行われる。ここで、一群の鉄骨柱31とは、
図1中左側に位置して撮影装置4の撮影範囲に含まれる4つの鉄骨柱31のような、4つの鉄骨柱31と、それらに架け渡されて仮固定されている4つの鉄骨梁32と、により上面視において矩形状を形成するような4つの鉄骨柱31をいう。
【0063】
上記の方法によれば、撮影ステップS101で撮影装置4が一群の鉄骨柱31(柱部材)を同時に撮影することで、被撮影部材情報検出ステップS102で一群の鉄骨柱31の各々の柱頭部312の位置座標を取得することができる。そして、位置調整ステップS103で、被撮影部材情報検出ステップS102で取得した鉄骨柱31の位置座標に基づき、一群の鉄骨柱31の位置調整を同時に行うことができる。一群の鉄骨柱31は、一群に含まれる他の鉄骨柱31との関連性が高く、一群に含まれる他の鉄骨柱31の位置調整により大きく位置がずれる虞がある。このような関連性の高い一群の鉄骨柱31の位置調整を各々の位置ずれを解消しながら位置調整を行うことができるので、作業性の向上及び省力化を図ることができる。
【0064】
上述した幾つかの実施形態では、被撮影部材30は、鉄骨梁32が仮固定されている鉄骨柱31を含んでいたが、他の幾つかの実施形態では、被撮影部材30は、鉄骨梁32が固定されている鉄骨柱31、及び、鉄骨梁32が仮固定されている鉄骨柱31の両方を含んでいてもよい。また、撮影装置4の記憶装置46は、鉄骨柱31に対する鉄骨梁32が固定されているか否かを示す固定情報を記憶してもよく、演算装置45は、上述した固定情報を参考にして、鉄骨柱31の位置調整を行ってもよい。この場合には、固定情報に応じて鉄骨柱31の位置調整作業を効率良く行うことができる。
【0065】
なお、上述した幾つかの実施形態では、構造物2は鉄骨構造物21(S造)を含んでいたが、構造物2は、木造、S造、RC、SRC、CFT、RCS、又はこれらの構造を組合わせた混合構造等を含んでもよい。また、構成部材3は、鉄骨柱31や鉄骨梁32に限定されない。構成部材3は、例えば、構造物2(木造、S造、RC、SRC、CFT、RCS、又はこれらの構造を組合わせた混合構造等を含む)を構成する柱部材や梁部材であってもよく、また、構造物2を構成する柱部材や梁部材以外の他の部材であってもよい。また、上述した幾つかの実施形態では、撮影ステップS101では一台の撮影装置4により撮影していたが、複数の撮影装置4により撮影してもよい。
【0066】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。