(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステージを移動させながら複数の位置で前記撮像部により前記マークを撮像し、前記処理部により各位置での前記ステージの位置合わせ状態を評価することを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
前記撮像素子と前記ステージとの間の距離を段階的に変化させるように前記ステージをステップ移動させながら各ステップ位置で前記撮像部により前記マークを撮像し、前記処理部により各ステップ位置での前記マークの像のフォーカス状態を前記位置合わせ状態として評価することを特徴とする請求項2に記載の位置合わせ装置。
前記基板の相異なる位置に設けられた複数のマークを検出する場合、前記複数のマークのうちの第1マークの前記撮像部による撮像を行い、該撮像により得られた前記第1マークの画像データが前記第1転送部によって前記フレームメモリに転送される転送期間中に、前記複数のマークのうちの第2マークの前記撮像部による撮像を行うための前記ステージの移動を開始することを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
前記基板の相異なる位置に設けられた複数のマークを検出する場合、前記複数のマークのうちの第1マークの前記撮像部による撮像を複数回行い、該複数回の撮像うちの最終回の撮像により得られた第1マークの画像データが前記第1転送部によって前記フレームメモリに転送される転送期間中に、前記複数のマークのうちの第2マークの前記撮像部による撮像を行うための前記ステージの移動を開始することを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の実施の具体例を示すにすぎないものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の課題解決のために必須のものであるとは限らない。
【0013】
本発明の一側面は、基板に設けられたマークを検出することにより基板の位置合わせを行う位置合わせ装置に関する。本発明に係る位置合わせ装置は、露光装置やインプリント装置等のリソグラフィ装置における原版と基板の位置合わせ装置に適用されうるが、加工装置、検査装置、顕微鏡などの他の装置にも適用可能である。以下では、本発明に係る位置合わせ装置が露光装置に適用された例を説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、位置合わせ装置200を含む露光装置100の構成を示す図である。露光装置100は、原版であるレチクルRと基板であるウエハWをアライメントした後に、照明系ILでレチクルRに露光光を照射してレチクルRのパターンをウエハWに投影光学系POを介して転写する装置である。ウエハWはウエハを保持するチャックCHを介してXYZ方向に移動可能なステージSTGに搭載されている。ホスト制御部HPがステージ制御部STC内のステージ処理部SPに対して目標位置の座標を送信すると、ステージ処理部SPは、受信した目標位置の座標にステージSTGを駆動させるべくモータMOTを制御する。ステージSTGの位置は干渉計PMによって高精度に位置計測される。
【0015】
ウエハW上には、ウエハWのアライメントを行うために複数のアライメントマーク(以下、単に「マーク」ともいう。)が設けられている。アライメントマークは、例えば、
図2(A)に示されるアライメントマークMAのように、XY2方向の位置情報を有する。X方向に対して直交する方向に複数並んだマークからX方向の位置情報が計測され、Y方向に対して直交する方向に複数並んだマークからY方向の位置情報が計測されうる。なお、X方向とY方向は互いに直交する関係にあるとする。
【0016】
露光装置100は、アライメントマークを観察するスコープSCを備えている。光源LIから出た光は、ファイバや専用光学系でハーフミラーMに導かれ、不図示の投影光学系等を介してアライメントマークMAを照射する。アライメントマークMAの像は、ウエハWで反射し、ハーフミラーMを通過して撮像部としてのカメラCAM内のセンサSに投影される。センサSは、光電変換により電荷を蓄積する撮像素子を含み、そのような撮像素子として、例えばCMOS撮像素子が用いられる。
【0017】
また、カメラCAMは、撮像素子で蓄積された電荷に基づいて得られた画像データを一時的に記憶する記憶部であるフレームメモリFMEMを含む。フレームメモリFMEMは、複数フレームの画像データを保存可能な容量をもつ。アライメントマークの像を得るために、センサSで光電変換が行われる。この時、電荷を蓄積する時間は、ホスト制御部HPよりセンサ制御部AMPによって制御される。また、電荷を蓄積するタイミングは、ステージ処理部SPよりホスト制御部HPに伝えられ、センサ制御部AMPに指示される。センサSで光電変換された信号は、センサ制御部AMPにてA/D変換され、画像データ(以下、単に画像ともいう。)としてフレームメモリ転送部TR1(第1転送部)によってフレームメモリFMEMに保存される。センサSは、画像がフレームメモリFMEMに保存されたら次の撮像のための電荷蓄積が可能な状態となる。
【0018】
従来のカメラは、撮像により生成された画像データのカメラ外部にある処理部への転送が完了しないと次の撮像(センサによる次の電荷蓄積)を開始することができなかった。一方、本実施形態におけるカメラCAMは、画像データを外部のアライメント処理部APに転送する前にフレームメモリFMEMに一時的に記憶する。本実施形態のカメラCAMによれば、撮像により生成された画像データのアライメント処理部への転送が完了していなくても、フレームメモリFMEMへの転送が完了すれば、次の撮像を開始することができる。そのため、従来と比べて短い時間で次の撮像に移行できる。
【0019】
撮像(電荷蓄積)はホスト制御部HPによって制御されうる。カメラCAMは、フレームメモリFMEMへの転送が完了し次の撮像が可能になったことをホスト制御部HPに通知する通知部MTRを備えてもよい。通知部MTRは、カメラCAMとホスト制御部HPとの間に専用の信号線を用意することで実現できる。これにより、ホスト制御部HPは、通知部MTRからの通知に基づいて、カメラCAMによる次の撮像の開始のタイミングを制御することができる。なお、撮像可能タイミングは、センサ蓄積時間とフレームメモリ転送部TR1の画像転送時間をあらかじめ特定しておき、それに基づいて決定してもよい。
【0020】
フレームメモリFMEMは複数の画像を保存することが可能なため、仮に前回保存した画像が残っていても、フレームメモリFMEM内の別の領域に画像を保存することで、センサSは再び蓄積可能な状態になる。また、フレームメモリFMEMは、その記憶可能領域がなくなった場合には最も古い画像データを最新の画像データで上書きするリングバッファにより構成されていてもよい。
【0021】
フレームメモリFMEMから読み出された画像は、カメラ転送部TR2(第2転送部)によってアライメント処理部APに転送される。フレームメモリ転送部TR1は、フレームメモリFMEMは、例えばカメラ内の電子回路基板上に搭載され、フレームメモリ転送部TR1も、その電子回路基板上に、例えばデータバスとして構成されうる。一方、カメラ転送部TR2は、例えば産業用カメラによく用いられているCameraLink、イーサネット(登録商標)、あるいは、USB(登録商標)といった規格に従う通信回線を含む。フレームメモリ転送部TR1は、カメラ転送部TR2よりも通信距離が短いため高周波のデータ転送クロックで制御できる。そのため、フレームメモリ転送部TR1のデータ転送速度はカメラ転送部TR2のデータ転送速度よりも速くすることができる。また、フレームメモリ転送部TR1による画像転送とカメラ転送部TR2による画像転送とは非同期に行える。そのため、カメラ転送部TR2が画像を転送している最中でも、センサSで蓄積した次の画像をフレームメモリ転送部TR1でフレームメモリFMEMに転送することができる。
【0022】
アライメント処理部APは、カメラCAMにより撮像されたマークの像に基づいてマークの位置を求める処理部である。例えば、ステージを移動させながら複数の位置でカメラCAMによりマークを撮像し、アライメント処理部APにより各位置でのステージの位置合わせ状態を評価することができる。アライメント処理部APは、入力された画像に基づいてアライメントマークの評価値を算出する。ここでいう評価値としては、例えば、Z方向のフォーカス計測の場合はコントラスト値や線幅、アライメントマーク部の光量などがある。また、XY方向のアライメント計測の場合の評価値は、検出されるマーク位置となる。画像は、ウエハ上に設定された計測ショットでのアライメントマークを撮像することにより取得される。
【0023】
図3は、ある計測ショットのアライメントマーク位置におけるベストフォーカスを計測する方法を説明する図である。この計測は、センサSとステージSTGとの間の距離を段階的に変化させるようにステージSTGをステップ移動させながらZ1〜Z6の各ステップ位置でマークを撮像し、各ステップ位置でのマークの像のフォーカス状態を評価することにより行われる。
【0024】
はじめに、アライメントマークMAがセンサSで観察可能なXY位置にある状態で、ウエハWの表面をZ位置Z1に合わせる。ウエハWの表面がZ位置Z1に合ったら、光源LIをハーフミラーMを介してアライメントマークMAに照明し、アライメントマークMAの像をセンサSで蓄積する。蓄積が完了したら、ウエハ表面のZ位置をZ2へ移動させる。その後、Z位置Z2でのアライメントマークMAの像をセンサSで蓄積する。この処理を、Z位置Z1〜Z6で繰り返し行い、指定したすべてのZ位置におけるアライメントマークMAの画像を取得する。取得した画像はアライメント処理部APに転送され、各画像のコントラストが算出される。ベストフォーカス付近の画像は
図2(A)のように鮮明にマーク像が撮像されるため、コントラストが高くなる。一方、デフォーカスしたZ位置での画像は
図2(B)のように不鮮明なマーク像が撮像されるため、コントラストが低くなる。このため、
図3(B)のように、横軸をZ位置、縦軸をコントラストとしてコントラストをプロットすると、ベストフォーカス位置をピークとしたカーブを描くことができる。このカーブから重心計算などの手法を用いて、ベストフォーカス位置が算出されうる。
図3(B)では、Z位置Z4付近がベストフォーカスとなる。本実施形態では、アライメント処理部APで算出した各Z位置のコントラストを検出部DPに転送し、検出部DPにてベストフォーカス位置を算出する。なお、検出部DPは、アライメント処理部APあるいはホスト制御部HPに含まれていてもよい。検出部DPで算出したベストフォーカス位置の情報はホスト制御部HPに転送される。ホスト制御部HPは、このベストフォーカス位置の情報に基づいて計測ショットでのZ位置を制御してアライメント計測を行う。
【0025】
(実施例1)
図4、
図5を用いて、フォーカス計測においてアライメントマークを撮像する際のステージ駆動パターンとカメラの撮像タイミングを詳細に述べる。本実施形態において、ウエハWには、所定の相異なる位置に計測ショット領域S1〜S4が設定されており、各計測ショット領域にアライメントマークが配置されている。
図4の例は、カメラCAMの撮像位置にウエハWの所定の初期位置STR1が位置している状態から、計測ショット領域S1、S2、S3、S4を順次、カメラCAMの撮像位置に位置させるようにステージSTGを駆動するようすを表している。以下では、撮像位置を計測ショット領域S1〜S4のうちS1からS2に移動してS2でフォーカス計測を行い、フォーカス計測終了後に、S2からS3に移動するまでの一連の流れを説明する。
図5(A)は、Xステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vxm、横軸が時間Tである。そのときのXステージの目標位置までの残差が
図5(B)に示されており、縦軸が残差dPxm、横軸が時間Tである。
図5(C)は、Yステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vym、横軸が時間Tである。そのときのYステージの目標位置までの残差が
図5(D)に示されており、縦軸が残差dPym、横軸が時間Tである。
図5(E)はZステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vzm、横軸が時間Tである。そのときのZステージの位置が
図5(F)に示されており、縦軸が位置dZ、横軸が時間Tである。最後に、
図5(G)は、カメラの撮像タイミングとアライメント処理部AP、検出部DPでの計測タイミングを示している。具体的には、
図5(G)には以下が示される。
・センサSの蓄積期間(charge term)、
・センサSからセンサ制御部AMPでA/D変換しフレームメモリ転送部TR1を介してフレームメモリFMEMに画像が保存されるまでのフレームメモリ転送期間(transfer term(TR1))、
・フレームメモリFMEMからカメラ転送部TR2を介してアライメント処理部APに画像が転送されるまでの画像転送期間(transfer term(TR2))、
・アライメント処理部APにて画像からコントラストを算出する期間と検出部DPにて各Z位置でのコントラストからベストフォーカス位置を算出する処理の処理期間(processing term)。
【0026】
S1からS2にステージが移動する際には、ステージは目標位置に到達するまでXY方向に駆動する。目標位置でステージ駆動を停止すると、ステージが停止した衝撃により、残差が生じる。XYそれぞれの残差が±tolumx、±tolumyの範囲に収束すると、撮像可能状態となる。撮像開始タイミングをSOCとする。Zステージはあらかじめ最初の目標位置Z1に駆動しておく。なお、最初の目標位置Z1への駆動はXYステージの駆動と並行して行ってもよい。
【0027】
撮像可能状態となったら、目標位置Z1におけるマークの像のセンサ蓄積を蓄積期間ct1で行う。蓄積期間ct1でのステージZ位置は干渉計PMで位置計測される。蓄積期間ct1が終わったら、転送期間ft1で、フレームメモリFMEMに画像を転送するのと並行して、Zステージを次の目標位置Z2に駆動する。
【0028】
フレームメモリFMEMへの画像転送が完了した時点でセンサSは蓄積可能な状態となるため、Zステージが目標位置Z2に到達したら、目標位置Z2におけるマークの像のセンサ蓄積を蓄積期間ct2で行う。ここで、蓄積期間完了後のZステージ駆動(ステップ移動)は、画像のフレームメモリFMEMへの転送期間内に行われる。とりわけ、そのステップ移動は、画像のフレームメモリFMEMへの転送期間と同じにするとよい。そうすることで、フレームメモリFMEMへの転送が完了したと同時に次の蓄積を開始できるため、効率的に撮像処理を行うことができる。蓄積期間ct2でのステージZ位置も同じように干渉計PMで位置計測される。
【0029】
蓄積期間ct2が終わったら、転送期間ft2でフレームメモリFMEMに画像を転送するのと並行して、Zステージを次の目標位置Z3に駆動する。以下、同様に、目標位置Z3、Z4、Z5、Z6にて、蓄積期間ct3、ct4、ct5、ct6でのセンサによる電荷の蓄積、転送期間ft3、ft4、ft5、ft6でのフレームメモリFMEMへの画像転送が行われる。前述したように、各蓄積期間ct1〜ct6のステージZ位置は干渉計PMで位置計測される。目標位置Z6でのセンサ蓄積期間ct6が完了した撮像完了タイミングEOCで、XYステージを駆動し、次の目標位置であるS3に向かう。フレームメモリFMEMに保存された画像は、順次、カメラ転送期間tt1〜tt6の間にアライメント処理部APに転送される。フレームメモリFMEMは複数の画像を保存できるため、一連の撮像処理をカメラ転送処理よりも短い時間間隔で繰り返し実行することができる。
【0030】
算出期間pt1〜pt6で、アライメント処理部APは、転送された画像からコントラストを算出する。その後、検出部DPは、算出期間pttにてpt1〜pt6の期間でそれぞれ算出されたコントラストと各蓄積期間ct1〜ct6で干渉計PMにより計測したステージのZ位置情報からベストフォーカス位置を算出する。このような処理を全計測ショットで行い、ホスト制御部HPは各計測ショットのベストフォーカス位置に基づいて、計測ショットでのZ位置を制御してアライメント計測を行う。なお、ベストフォーカス位置を算出する際に、干渉計PMにより計測したステージのZ位置情報を用いたが、簡易的に行う場合には、Z位置の目標位置から算出してもよい。ただし、露光装置では高精度にフォーカス位置を算出する必要があるため、干渉計PMにより計測したステージのZ位置情報を用いることが好ましい。
【0031】
以上、第1実施形態の実施例1について述べた。従来、カメラにより撮像により生成された画像データのカメラ外部にある処理部への転送が完了しないと次の撮像(センサによる次の電荷蓄積)を開始することができなかった。これに対し、本実施形態におけるカメラCAMは、上述したように、画像データを外部のアライメント処理部APに転送する前にフレームメモリFMEMに一時的に記憶する。本実施形態のカメラCAMによれば、撮像により生成された画像データのアライメント処理部への転送が完了していなくても、フレームメモリFMEMへの転送が完了すれば、次の撮像を開始することができる。そこで、この実施例1では、ステージを移動させながら複数の位置でマークを撮像する際に、画像データのフレームメモリFMEMへの転送と並行して、次の撮像のためのステージの移動を行う。これにより、フレームメモリFMEMへの転送期間よりも短い間隔で複数の撮像を行うことができる。その結果、
図5の例でいうと、撮像開始タイミングSOCから撮像完了タイミングEOCまでの時間を短くすることができる。
【0032】
(実施例2)
次に、
図6を用いて、第1実施形態の実施例2について述べる。実施例2では、フォーカス計測時のZステージの駆動をスキャンで行うことが特徴となる。実施例1のZステージの駆動はステップ移動により行う分、各位置での計測を精度よく行うことができるのに対し、Zステージは精度は劣るものの高速に計測を行うことができる。Zステージの駆動方法以外は実施例1と同じである。
図6(A)は、Zステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vzm、横軸が時間Tである。そのときのZステージの位置が
図6(B)に示されており、縦軸が位置dZ、横軸が時間Tである。
図6(C)には、カメラの撮像タイミングのうち、センサ蓄積期間(charge term)が示されている。
【0033】
撮像開始タイミングSOCになるとステージのZ駆動を開始する。ステージが等速期間STTに入ったら、センサ蓄積期間ct1〜ct6でセンサ蓄積を行う。各蓄積期間ct1〜ct6のステージZ位置は干渉計PMで計測される。ステージが最終目標位置Z6に到達したらスキャン駆動を停止する。実施例1と同じように、アライメント処理部APに画像を転送し、各蓄積期間ct1〜ct6で取得した画像からコントラストを算出したら、検出部DPでベストフォーカス位置を算出する。スキャン駆動をしているので、蓄積期間中にステージZ位置が変化することになる。ベストフォーカス位置を算出する際には、蓄積期間中に取得した複数のステージZ位置の平均位置を用いる。つまり、コントラストとステージZ位置の各期間での平均位置に基づいて、ベストフォーカス位置を算出する。
【0034】
以上、第1実施形態の実施例2について述べた。この実施例2では、ステージをスキャン駆動することで、蓄積後のステージ駆動制御が不要なため、実施例1よりも撮像処理時間が短くなる(撮像開始タイミングSOCから撮像完了タイミングEOCまでの時間が短くなる)。
【0035】
(実施例3)
実施例1,2ではベストフォーカス位置を求める処理について説明したが、ここでは、基板の相異なる位置に設けられた複数のマークを検出してアライメント計測を行う場合について説明する。この実施例では、それら複数のマークのうちの第1マークの撮像を行い、該撮像により得られた第1マークの画像データがフレームメモリに転送される転送期間中に、上記複数のマークのうちの第2マークの撮像を行うためのステージの移動を開始する。以下、
図4、
図7を用いて、具体例を説明する。ここでは、
図4のウエハW上に設定された計測ショット領域S1〜S4のうち、S1からS2に撮像位置を移しS2でのアライメント計測を行い、その後、S2からS3に撮像位置を移すまでの一連の流れを説明する。
【0036】
アライメント計測では、アライメントマーク位置の計測精度を上げるために、同じ位置で複数回アライメントマークを撮像し、算出された複数のアライメントマーク位置を平均する方法がありうる。ここでは、アライメントマークを2回連続で撮像する場合について説明する。
【0037】
図7(A)は、Xステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vxm、横軸が時間Tである。そのときのXステージの目標位置までの残差が
図7(B)に示されており、縦軸が残差dPxm、横軸が時間Tである。
図7(C)は、Yステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vym、横軸が時間Tである。そのときのYステージの目標位置までの残差が
図7(D)に示されており、縦軸が残差dPym、横軸が時間Tである。
図7(E)は、カメラの撮像タイミングと、アライメント処理部AP、検出部DPでの計測タイミングを示す。具体的には、
図7(E)には以下が示される。
・センサSの蓄積期間(charge term)、
・センサSからセンサ制御部AMPでA/D変換しフレームメモリ転送部TR1を介してフレームメモリFMEMに画像が保存されるまでのフレームメモリ転送期間(transfer term(TR1))、
・フレームメモリFMEMからカメラ転送部TR2を介してアライメント処理部APに画像が転送されるまでのカメラ転送期間(transfer term(TR2))、
・アライメント処理部APにて画像からアライメントマーク位置を算出する処理の処理期間(processing term)。
【0038】
S1からS2にステージを移動させる際、目標位置に到達するまでXY方向に駆動する。目標位置でステージ駆動を停止すると、ステージが停止した衝撃により、残差が生じる。XYそれぞれの残差が±tolumx、±tolumyの範囲に収束すると、撮像可能状態となる。撮像開始タイミングをSOCとする。Zステージは前述のフォーカス計測で求めたベストフォーカス位置に駆動しているものとする。撮像可能状態となったら、アライメントマーク像のセンサ蓄積を蓄積期間ctb1で行う。蓄積期間ctb1でのステージXY位置は干渉計PMで位置計測される。蓄積期間ctb1が終わったら、転送期間ftb1でフレームメモリFMEMに画像を転送する。フレームメモリFMEMへの画像転送が完了した時点でセンサSは蓄積可能な状態となるため、2回目のアライメントマーク像のセンサ蓄積を蓄積期間ct2で行う。蓄積期間ctb2でのステージXY位置は干渉計PMで位置計測される。蓄積期間ctb2が完了したタイミングEOCでXYステージを駆動し、次の目標位置であるS3に向かう。これと並行して、蓄積期間ctb2で撮像された画像は転送期間ftb2でフレームメモリFMEMに転送される。フレームメモリFMEMに保存された画像は、順次カメラ転送期間ttb1、ttb2の間にアライメント処理装置に転送される。フレームメモリFMEMは複数の画像を保存できるため、カメラ転送が完了を待つことなく、センサ蓄積を行うことができる。つまり、センサ蓄積処理をカメラ転送処理よりも短い時間間隔で繰り返し実行することができる。算出期間ptb1、ptb2でアライメント処理装置に転送された画像からアライメントマーク位置を算出する。その後、算出期間ptbtにてpt1、pt2の期間で算出したアライメントマーク位置を平均し、各蓄積期間で求めたステージXY位置情報でアライメントマーク位置を補正することで最終的なアライメントマーク位置を算出する。
【0039】
以上のような処理を全計測ショットで行い、ホスト制御部HPは各計測ショットのアライメントマーク位置を用いてグローバルアライメントを実行する。グローバルアライメントではウエハW上の各ショットの位置が算出され、各ショット位置に基づいて、レチクルRのパターンがウエハWに露光される。
【0040】
以上の処理では、複数のマークのうちの第1マークの撮像を複数回行う。その後、その複数回の撮像うちの最終回の撮像により得られた第1マークの画像データがフレームメモリに転送される転送期間中に、複数のマークのうちの第2マークの撮像を行うためのステージの移動を開始する。
【0041】
以上、第1実施形態の実施例3について述べた。この実施例3では、フレームメモリFMEMを含むカメラCAMを用いて、センサ蓄積とセンサ蓄積中のステージXY位置計測といった一連の撮像処理をカメラ転送処理よりも短い時間間隔で繰り返し実行する。これにより、各計測ショットにおいて複数回アライメントマークを撮像する処理時間を短縮できる。
【0042】
(実施例4)
次に、
図8と
図9を用いて、本発明第1実施形態の実施例4について述べる。本実施例における位置合わせ装置200’を含む露光装置100’は、スコープSC’のカメラCAM’内に、アライメント処理部APと、アライメント処理部APから評価値を検出部DPに転送するカメラ転送部TR2を有している。また、フレームメモリFMEMからアライメント処理部APに画像を転送する画像転送部TR3を有する。この画像転送部TR3はフレームメモリ転送部TR1と同じくカメラ内部の電子回路基板上に形成されたデータバスでありうる。これにより、フレームメモリFMEMからアライメント処理部APまでの画像転送時間を短くすることができる。また、カメラ転送部TR2では評価値を転送するので画像よりも比較的転送時間を短くすることができる。カメラCAM’には、画像から評価値を算出するために必要なパラメータを保存するパラメータ保持部MPを備えており、撮像前にホスト制御部HPからパラメータ保持部MPにパラメータが送られる。パラメータとしては、例えば、フォーカス計測の場合は計測領域のウィンドウやコントラスト算出アルゴリズムの種類やコントラスト計測に係るパラメータがある。アライメント計測の場合は、アライメント計測領域のウィンドウやテンプレートマッチングによって位置を算出するためのテンプレートなどがある。
【0043】
実施例3に示す位置合わせ装置200’でのフォーカス計測におけるアライメントマーク像を撮像する際のステージ駆動パターンとカメラの撮像タイミングを詳細に述べる。ここでは、
図4のウエハW上に設定された計測ショットS1〜S4のうち、S1からS2にステップ駆動してS2でのフォーカス計測を行い、フォーカス計測終了後に、S2からS3にステップ駆動するまでの一連の流れを説明する。
図9(A)は、Xステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vxm、横軸が時間Tである。そのときのXステージの目標位置までの残差が
図9(B)に示されており、縦軸が残差dPxm、横軸が時間Tである。
図9(C)は、Yステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vym、横軸が時間Tである。そのときのYステージの目標位置までの残差が
図9(D)に示されており、縦軸が残差dPym、横軸が時間Tである。
図9(E)はZステージの移動速度パターンを示しており、縦軸が速度Vzm、横軸が時間Tである。そのときのZステージの位置が
図9(F)に示されており、縦軸が位置dZ、横軸が時間Tである。最後に、
図9(G)は、カメラの撮像タイミングとアライメント処理部AP、検出部DPでの計測タイミングを示している。具体的には、
図9(G)には以下が示される。
・センサSの蓄積期間(charge term)、
・センサSからセンサ制御部AMPでA/D変換しフレームメモリ転送部TR1を介してフレームメモリFMEMに画像が保存されるまでのフレームメモリ転送期間(transfer term(TR1))、
・フレームメモリFMEMから画像転送部TR3を介してアライメント処理部APに画像が転送されるまでの画像転送期間(transfer term(TR3))、
・カメラ転送部TR2を介して検出部DPに評価値であるコントラストのデータが転送されるまでのカメラ転送期間(transfer term(TR2))、
・アライメント処理部APにて画像からコントラストを算出する期間と検出部DPにて各Z位置でのコントラストからベストフォーカス位置を算出する処理の処理期間(processing term)。
【0044】
S1からS2にステージが駆動する際には、目標位置に到達するまでXY方向に駆動する。目標位置でステージ駆動を停止すると、ステージが停止した衝撃により、残差が生じる。XYそれぞれの残差が±tolumx、±tolumyの範囲に収束すると、撮像可能状態となる。撮像開始タイミングをSOCとする。Zステージはあらかじめ最初の目標位置Z1に駆動しておく。なお、最初の目標位置Z1への駆動はXYステージの駆動と並行して行ってもよい。撮像可能状態SOCとなったら、目標位置Z1におけるアライメントマーク像のセンサ蓄積を蓄積期間ctc1で行う。蓄積期間ctc1でのステージZ位置は干渉計PMで位置計測される。蓄積期間ctc1が終わったら、転送期間ftc1で、フレームメモリFMEMに画像を転送するのと並行して、Zステージを次の目標位置Z2に駆動する。
【0045】
フレームメモリFMEMへの画像転送が完了した時点でセンサSは蓄積可能な状態となるため、Zステージが目標位置Z2に到達したら、目標位置Z2におけるマークの像のセンサ蓄積を蓄積期間ctc2で行う。蓄積期間ctc2でのステージZ位置も同じように干渉計PMで位置計測される。蓄積期間ctc2が終わったら、転送期間ftc2で、フレームメモリFMEMに画像を転送するのと並行して、Zステージを次の目標位置Z3に駆動する。以下、同様に、目標位置Z3、Z4、Z5、Z6にて、蓄積期間ctc3、ctc4、ctc5、ctc6での電荷の蓄積、転送期間ftc3、ftc4、ftc5、ftc6でのフレームメモリFMEMへの画像転送が行われる。前述したように各蓄積期間ctc1〜ctc6のステージZ位置は干渉計PMで位置計測される。目標位置Z6でのセンサ蓄積期間ctc6が完了した撮像完了タイミングEOCで、XYステージを駆動し、次の目標位置であるS3に向かう。フレームメモリFMEMに保存された画像は、順次、画像転送期間atc1〜atc6でアライメント処理部APに転送される。アライメント処理部APは、画像を受け取ったら順次算出期間ptc1〜ptc6でコントラストを算出する。全Z位置でのコントラストが算出されたらカメラ転送期間dtcの間に検出部DPに転送される。検出部DPは、ptc1〜ptc6の期間に算出されたコントラストを取得したら、算出したコントラストと各蓄積期間ctc1〜ctc6で計測したステージのZ位置情報からベストフォーカス位置を算出する。このような処理を全計測ショットで行い、ホスト制御部HPは各計測ショットのベストフォーカス位置に基づいて、計測ショット領域でのZ位置を制御してアライメント計測を行う。
【0046】
以上、第1実施形態の実施例4について述べた。この実施例4では、アライメント処理部APをカメラCAM’に含めることで、アライメント処理部APへの画像転送処理を実施例1の構成よりも短縮できる。
【0047】
(実施例5)
次に、
図10と
図11を用いて、第1実施形態の実施例5について述べる。実施例1では、蓄積期間完了後のZステージ駆動をフレームメモリ転送期間と同等か、もしくは、短くなるように駆動速度を制御することを述べた。この場合、
図10(A)のようにステージ駆動速度の変化(加速度)が急峻だと
図10(B)に示すように停止した後に偏差が生じる懸念がある。偏差が生じている期間stと
図10(C)に示す蓄積期間ctd2が重なると、撮像対象物がぶれてしまい、精度よく計測できない。
【0048】
そこで、ステップ移動にかかる時間とセンサSによる電荷の蓄積期間との合計時間がフレームメモリFMEMからアライメント処理部APへの画像データの転送期間を超えない範囲で、そのステップ移動にかかる時間を最大化するとよい。例えば、
図11(A)に示すように、ステージ駆動速度の変化(加速度)を抑え、ステージ駆動偏差が生じないようにZステージ駆動を制御する。このときのZステージ駆動期間は、
図11(B)に示すzt1の期間になる。Zステージ駆動期間zt1は、
図11(C)に示すカメラ転送期間ttd1’に要する時間よりも短くなる範囲内で、Zステージ駆動を制御する。Zステージ駆動完了後に、次のZ位置での蓄積を蓄積期間ctd2’で行う。
【0049】
以上、第1実施形態の実施例5について述べた。この実施例5では、Zステージ駆動偏差が生じないようにZステージ駆動を制御し、その際のZステージ駆動時間が、カメラ転送期間に要する時間よりも短くなる範囲内で行うことで、精度を確保して計測することができる。
【0050】
以上、本発明の第1実施形態について述べた。本実施形態では、ウエハアライメントにおけるフォーカス計測とアライメント計測について説明したが、レチクルアライメントやステージ上のマークを計測する場合においても、実施してもよい。また、計測対象としてアライメントマークを挙げて説明したが、アライメントマーク像に限らず、ウエハ上の回路パターンや、ゴミ、欠陥など撮像対象は問わない。本実施形態では、フレームメモリFMEMを構成したカメラを用いて、ステージ制御とセンサ蓄積、フレームメモリへの画像転送といった一連の撮像処理を、カメラ転送処理よりも短い時間間隔で繰り返し実行することで、撮像処理時間を短縮できる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、
図12のフローチャートに基づいて、第2実施形態に係る位置合わせ方法について説明する。
図12に示されたフローは、ホスト制御部HP、カメラCAM、アライメント処理部AP、検出部DP、ステージ処理部SPの並列処理のフローである。ここでは、
図4のウエハ上のアライメントマークS1からS2へ移動してフォーカス計測後S3へ移動する際の処理の流れを例に挙げて説明する。
【0052】
ホスト制御部HPは、ステージ処理部SPへS2のマーク座標を送り、S2の位置へ移動することを指示する(HPS001)。ステージ処理部SPは、目標位置であるS2のマーク座標へのステージ駆動を開始し(SPS001)、ステージ駆動完了まで待つ(SPS002)。ステージ駆動が完了したら、ステージ処理部SPはマーク像の蓄積許可をホスト制御部HPに送信する(SPS003)。
【0053】
ホスト制御部HPは、マーク像蓄積許可を受信すると(HPS002)、マーク像の蓄積開始通知をカメラCAMに送信する(HPS003)。ホスト制御部HPからステージ処理部SPに対しても蓄積開始通知が送信され、ステージ処理部SPは干渉計を用いて蓄積期間中のステージZ位置計測を開始する(SPS004)。カメラCAMは蓄積開始通知を受信したら(CS001)、センサ蓄積を開始し、マーク像蓄積完了通知が送信されるまで、センサ蓄積を行う(CS002)。ホスト制御部HPからマーク像蓄積完了通知が送信されたら(HPS004)、カメラCAMはセンサ蓄積を完了し、画像をフレームメモリFMEMに転送する(CS003)。ホスト制御部HPからステージ処理部SPに対しても蓄積終了通知が送信され、ステージ処理部SPは干渉計での蓄積期間中のステージZ位置計測を終了し、ホスト制御部HPにステージZ位置情報を送信する(SPS005)。フレームメモリFMEMへの転送完了後、カメラCAMは保存完了通知をホスト制御部HPに通知する。ホスト制御部HPは、カメラCAMにおけるCS003とCS004と並行して、フォーカス計測で計測する全Z位置において蓄積が完了したかどうかを確認する(HPS005)。ここで、全Z位置において蓄積が完了していない場合は、次のZ目標位置へ移動するためにSPへZ目標位置の座標を指示する(HPS006)。ホスト制御部HPから指示を受けたステージ処理部SPは、指示されたZ目標位置の座標にステージのZ駆動を開始する(SPS006)。ステージのZ駆動が完了したら(SPS007)、ステージ処理部SPはマーク像の蓄積許可をホスト制御部HPに送信する(SPS003)。一方、ホスト制御部HPはステージ処理部SPのSPS006とSPS007と並行して、カメラCAMからの保存完了通知を待つ(HPS007)。保存完了通知を受けたら、ホスト制御部HPはステージ処理部SPからのマーク像蓄積完了通知を待つ(HPS002)。
【0054】
上記のHPS002〜HPS007、CS001〜CS004、SPS003〜SP007の処理は、全Z位置での撮像が行われるまで繰り返される。カメラCAMのCS001〜CS004の処理と並行して、カメラCAM内では保存完了通知が発生した回数だけ、画像をアライメント処理部APに転送する処理が行われる。フレームメモリFMEMに画像がある場合は(CS005)、画像をフレームメモリFMEMからアライメント処理部APに転送する(CS006)。アライメント処理部APへの画像転送が完了したらカメラCAMからアライメント処理部APに転送完了通知を送信する(CS007)。アライメント処理部APは、転送完了通知を受信したら(APS001)、転送された画像から評価値であるコントラストを算出する(APS002)。全Z位置でのコントラストが算出されたら(APS003)、算出したすべてのコントラストは検出部DPに送信される(APS004)。APS001〜APS003の処理は、各Z位置で撮像した画像に対して実行される。
【0055】
最終Z位置での処理が完了したら(HPS005)、ホスト制御部HPは次のアライメントマーク位置への移動をステージ処理部SPに指示する(HPS008)。指示を受けたステージ処理部SPは次の目標位置へのステージの移動を開始する(SPS008)。
【0056】
ホスト制御部HPは検出部DPにベストフォーカス位置への算出を指示する(HPS009)。HPS009で指示する際に、ホスト制御部HPは検出部DPに各Z位置のコントラストに対応する干渉計で計測したステージZ位置情報を送信する。検出部DPは、各Z位置のコントラストと干渉計で計測したステージZ位置情報からベストフォーカス位置を算出する(DPS001)。算出後、検出部DPはベストフォーカス位置をホスト制御部HPに通知する(DPS002)。ホスト制御部HPは検出部DPからベストフォーカス位置を取得する(HPS010)。その後、次以降のアライメントマークにおいても同様の処理が行われる。
【0057】
以上、第2実施形態について述べた。以上で説明した方法によって、撮像処理をカメラ転送処理よりも短い時間間隔で繰り返し実行することで、撮像処理に要する時間を短縮できる。
【0058】
<第3実施形態>
図1の露光装置100による露光方法を、
図13に基づいて説明する。露光装置のシーケンスがスタートすると、まず、ステージにウエハが搬入される(S001)。露光装置100は、ステージに搬入されたウエハに対して、プリアライメント(S002)、グローバルアライメント(S003)の順番でアライメント処理を行う。プリアライメントは、ウエハ上に形成された2か所のアライメントマークを低倍率のスコープを備えた位置検出装置で観察してその位置を計算する。その後、大まかなウエハシフト、ウエハ倍率、及び、ウエハローテーションを求めてグローバルアライメントを行うために必要なアライメントを行う。グローバルアライメントは、ウエハ上に形成された複数のアライメントマークを高倍率のスコープを備えた位置検出装置で観察する。各計測ショットにおけるアライメントマークのフォーカス位置を算出後、XY方向のアライメントマーク位置計算し、計算したアライメントマーク位置を統計処理してウエハ上の各ショット位置を高精度に求める。プリアライメントやグローバルアライメントの位置合わせ装置には、本発明の位置合わせ装置を用いることができる。露光装置100は、グローバルアライメントで求めたショット位置に基づいて、露光処理を行う(S004)。露光装置100は、全ショットの露光が完了したらウエハを搬出(S005)し、次のウエハを搬入する(S001)。全ウエハの露光処理が終了したら(S006)、シーケンスを終了する。
【0059】
以上、第3実施形態について述べた。第3実施形態では、本発明の位置合わせ装置を用いてアライメントすることで、より高速にアライメントすることができるため、スループットの向上が期待できる。
【0060】
<物品製造方法の実施形態>
本発明の実施形態における物品製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品製造方法は、上記のリソグラフィ装置(露光装置やインプリント装置、描画装置など)を用いて基板に原版のパターンを転写する工程と、かかる工程でパターンが転写された基板を加工する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。