(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示されるレンズ駆動装置では、所定の停止位置でナットを停止する際、ナットに対して送りねじを回転させ、ナットに設けたピンを固定されたストッパと当接させる。このため、ステッピングモータの駆動力が送りねじに伝わり、さらにナットと送りねじとの嵌合部分に伝わることで、ネジの嵌合部分に負荷がかかり、ネジの嵌合部分が破損する虞がある。
一方、センサーを用いて可動部材の位置を検出して所定の停止位置で可動部材を停止する構成にすると装置の複雑化や高コスト化を招く。
また、可動部材を停止させる停止部の構成などによっては、可動部材を反転動作(所定の停止位置に向かう方向とは反対方向に可動部材を所定の停止位置から移動させる動作)する際、停止部がストッパに引っ掛かるなどして、反転動作不良を引き起こす虞がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、リードスクリューを回転することによりリードスクリューの軸方向に可動部材を移動する送りネジ装置において、簡単な構成で、ネジの嵌合部分への負荷及び反転動作不良を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る送りネジ装置は、雌ネジが形成されている可動部材と、雄ネジを有し、回転することで、前記雄ネジに前記雌ネジが取り付けられている前記可動部材を、軸方向に移動させるリードスクリューと、前記リードスクリューに取り付けられており、前記リードスクリューと一体的に回転するストッパと、前記可動部材の移動に伴って動作し、前記動作に伴って前記ストッパと当接することで前記リードスクリューの回転を停止させる停止部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、リードスクリューと一体的に回転するストッパと、該ストッパと当接してリードスクリューの回転を停止させる停止部と、を備える。すなわち、リードスクリューと一体的に回転するストッパを使用することで、リードスクリューを回転することに伴うストッパにかかる力をネジ部分以外にかけることができる。このため、このような簡単な構成で、ネジへの負荷を抑制できる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る送りネジ装置は、前記第1の態様において、前記停止部は、前記可動部材の移動に伴って前記可動部材と接触する接触部と、前記可動部材の移動により前記可動部材が前記接触部を押圧することに伴って前記可動部材の進行方向とは反対側に向かって動いて前記ストッパに当接する当接部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、当接部が可動部材の進行方向とは反対側に向かって動く構成としていることで、ストッパと当接部との相対的な接近速度及び離間速度を可動部材の移動速度よりも速くすることができ、簡易で確実な動作とすることができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る送りネジ装置は、前記第2の態様において、前記停止部は、前記軸方向と直交する方向を回動軸として回動可能な支持部を備え、前記接触部は前記支持部と繋がっており、前記当接部は前記支持部と繋がっていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、軸方向と直交する方向を回動軸として回動可能な支持部を備え、接触部は支持部と繋がっており当接部は支持部と繋がっている停止部とすることで、可動部材の移動に伴って動作する構成を簡単に形成できる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る送りネジ装置は、前記第3の態様において、前記当接部から前記支持部までの距離は前記接触部から前記支持部までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、当接部から支持部までの距離は接触部から支持部までの距離よりも長いので、可動部材が接触部を押圧する距離に対する可動部材の進行方向とは反対側に向かって動く当接部の移動量を大きくすることができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る送りネジ装置は、前記第1から第4のいずれか1つの態様において、モータを有し、前記リードスクリューは前記モータのロータ軸と一体に形成されていることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、リードスクリューはモータのロータ軸と一体に形成されているので、装置構成を簡単にできる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る送りネジ装置は、前記第5の態様において、前記軸方向と直交する方向に面を有する2つの側面側平板部材と前記2つの側面側平板部材の夫々と繋がる底面側平板部材とを有するフレームを備え、前記2つの側面側平板部材の一方側には前記リードスクリューの軸受が設けられ、前記2つの側面側平板部材の他方側には前記モータが設けられていることを特徴とする。
【0017】
本態様のフレームには、2つの側面側平板部材の一方側にリードスクリューの軸受が設けられ他方側にモータが設けられているので、フレームを基準にモータなどの各部材を取り付けることができるので位置精度を高くすることができる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る送りネジ装置は、前記第6の態様において、前記停止部における前記ストッパと当接する当接部は、前記可動部材と前記側面側平板部材との間の位置で、前記ストッパと当接可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、装置を小型化することができる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る送りネジ装置は、前記第5から第7のいずれか1つの態様において、前記停止部は、前記モータの上部に配置されていることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、停止部はモータの上部に配置されているので、装置構成を効率化することができ、装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の送りネジ装置は、簡単な構成で、ネジへの負荷及び反転動作不良を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
最初に、
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る送りネジ装置1を備えるヘッドアップディスプレイ装置1000について説明する。ここで、
図1は、本発明の一実施形態に係る送りネジ装置1を備えるヘッドアップディスプレイ装置1000の概略構成図である。また、
図2は、本実施形態のヘッドアップディスプレイ装置1000の表示装置102の概略断面図である。
なお、
図1および
図2、並びに、後述の
図3から
図11において、Z方向は鉛直方向であり、X方向およびY方向は共に水平方法であって、X方向、Y方向およびZ方向は各々垂直に交わる方向である。このうち、X方向は送りネジ装置1の可動部材2(
図3など参照)の移動方向に対応する。
【0025】
ヘッドアップディスプレイ装置1000は、
図1に示すように、車両100のインストルメントパネル101の内部に設けられた表示装置102を有し、表示装置102が投射する表示光Lを投影部材であるフロントガラス103で車両100の運転者104の方向に反射させ、虚像(表示像)Vの表示を行うものである。換言すると、本実施形態のヘッドアップディスプレイ装置1000は、表示装置102の液晶表示器110から発せられる表示光Lをフロントガラス103に照射(投射)し、該照射によって得られた虚像Vを運転者104に視認させるものである。このように虚像Vを表示させることにより、運転者104は、虚像Vを風景と重畳させて観察することができる。
【0026】
表示装置102は、
図2に示すように、液晶表示器110と、第1の反射器120と、第2の反射器130と、ハウジング140とを有している。
【0027】
液晶表示器110は、光源111と、液晶表示素子112とを有している。光源111は、配線基板150に実装された発光ダイオードからなる。液晶表示素子112は、光源111からの照明光を透過して表示光Lを形成するように光源111の前方(真上)に位置する薄膜トランジスタ(TFT)型の液晶表示素子である。液晶表示素子112は、図示しない素子駆動回路からの駆動信号に基づいて、背後(直下)に配置された光源111から発せられる光により、車両100の速度やエンジンの回転数などの表示すべき情報を数値などで発光表示するものである。なお、表示すべき情報は、車両100の速度やエンジンの回転数に限定されず、表示形態も数値表示に限定されない。液晶表示器110は、可視波長域の光からなる表示光Lを出力するものであり、例えば、発光波長域が610nm〜640nmの赤色光を発する光源111を用いることができる。
【0028】
このような液晶表示器110は、表示光Lの出射側の面が第1の反射器120のコールドミラー121に対向するようにハウジング140内に設けられ、表示光Lの光軸がコールドミラー121に交わるような位置や向きで固定(保持)されている。
【0029】
第1の反射器120は、コールドミラー121と、該コールドミラー121をハウジング140に固定するための取付部材122とを有している。コールドミラー121は、液晶表示器110から発せられた表示光Lを第2の反射器130(凹面鏡131)に向けて反射させるものである。また、コールドミラー121は、略矩形上のガラス基板121aと、該ガラス基板121aの片面(第2の反射器130の凹面鏡131に対向する面)に蒸着などにより形成された、膜厚が異なる多層の干渉膜からなる第1の反射層121bとを有している。また、取付部材122は、例えば黒色の合成樹脂材料からなり、ハウジング140に固定されている。
【0030】
なお、コールドミラー121は、液晶表示器110の発光波長域を含む約450nm〜750nmの可視波長域の光を例えば80%以上の高い反射率で反射し、可視波長域以外の光を低い反射率で反射するものである。例えば、コールドミラー121として、可視波長域以外の光、特に赤外線や太陽光の熱線などの赤外波長域の光を例えば15%以下の低い反射率で反射するものを適用できる。なお、第1の反射層121bで反射されない光は、コールドミラー121を透過するようになっている。本実施形態では、コールドミラー121は、液晶表示器110と同様に、ハウジング140の透過性カバー144から直接見えない位置に配置され、太陽光などの外部からの光が直接当たらないようになっている。
【0031】
第2の反射器130は、凹面鏡131と、該凹面鏡131を保持するミラーホルダ132とを有している。凹面鏡131は、ポリカーボネートからなる樹脂基板の凹面に蒸着された第2の反射層131aを有し、コールドミラー121(つまり液晶表示素子112)からの表示光Lを拡大しつつ、ハウジング140の透過性カバー144を通じてフロントガラス103に向けて反射させるものである。凹面鏡131は、第2の反射層131aがコールドミラー121とハウジング140の透過性カバー144とに対向するように配置され、透過性カバー144から見える位置に配置されている。
【0032】
ミラーホルダ132は、合成樹脂などからなり、ハウジング140に設けられた軸受部に軸支された、表示光Lの光軸に直交する回転軸Aを有している。すなわち、ミラーホルダ132と該ミラーホルダ132に保持された凹面鏡131は、回転軸Aを中心として回動可能であり、ミラーホルダ132の角度位置、すなわち表示光Lの投射方向を調整できる。ミラーホルダ132には、回転軸Aの径方向外側に向けて部分的に突出する突出辺132aが形成されている。該突出辺132aが送りネジ装置1からの駆動力により移動することで、ミラーホルダ132を回動することができる。なお、送りネジ装置1の詳細については後述する。
【0033】
ハウジング140は、例えばアルミダイカストで形成され、何れも断面が略U字形状の上側ケース141と下側ケース142とを有している。該上側ケース141と下側ケース142とは内部空間143を形成し、該内部空間143に、液晶表示器110、第1の反射器120および第2の反射器130が収納されている。
【0034】
上側ケース141には、凹面鏡131に対向する位置に開口部141aが形成され、該開口部141aを塞ぐように透過性カバー144が配置されている。該透過性カバー144は、例えばアクリル樹脂などの投光性の合成樹脂材料からなり、凹面鏡131で反射された表示光Lが透過(通過)する光透過性部材としての機能を有している。つまり、凹面鏡131によって反射された表示光Lは、ハウジング140に設けられた透過性カバー144を通じてフロントガラス103に投影されて、該表示光Lの投影によって虚像Vの表示が行われる。
【0035】
次に、
図3から
図11を参照して、本発明の一実施形態に係る送りネジ装置1の詳細について説明する。
ここで、
図3から
図5は、本実施形態の送りネジ装置1の概略側面図である。このうち、
図3は、可動部材2と停止部としてのレバー3とが離れた位置にある状態である。また、
図4は、可動部材2とレバー3の接触部3aとが接触し、レバー3の当接部3bとが離れた位置にある状態である。また、
図5は、可動部材2とレバー3の接触部3aとが接触し、レバー3の当接部3bとストッパ4の被当接部4aとが当接している状態である。
また、
図6及び
図7は、本実施形態の送りネジ装置1の要部の概略斜視図であり、構成部材を一部省略した図である。このうち、
図6は、
図3に対応し、可動部材2と停止部としてのレバー3とが離れた位置にある状態である。また、
図7は、
図5に対応し、可動部材2とレバー3の接触部3aとが接触し、レバー3の当接部3bとストッパ4の被当接部4aとが当接している状態である。
また、
図8から
図10は、本実施形態の送りネジ装置1の停止部としてのレバー3の概略側図である。このうち、
図8は側面図であり、
図9及び
図10は各々異なる方向から見た斜視図である。
また、
図11は、本実施形態の送りネジ装置1のストッパ4の概略斜視図である。
そして、
図12及び
図13は、本実施形態の送りネジ装置1の停止機構11の模式図である。このうち、
図12は、
図5及び
図7に対応し、可動部材2とレバー3の接触部3aとが接触し、レバー3の当接部3bとストッパ4の被当接部4aとが当接している状態である。また、
図13は、
図12の状態からリードスクリュー5が約半回転分、回転方向R2に回転した状態である。
【0036】
図3から
図5などに示されるように、本実施形態の送りネジ装置1は、可動部材2の移動方向であるX方向に延びるリードスクリュー5を備えている。リードスクリュー5は、外周面に螺旋溝(雄ネジ)が形成された大径領域5aと、X方向における大径領域5aの両側に形成された小径領域5bと、を有している。また、リードスクリュー5は、該リードスクリュー5を回転方向R1および回転方向R2に回転させるための駆動源であるステッピングモータなどのモータ9の、ロータ軸と一体に形成されている。また、リードスクリュー5と平行に円柱状のガイドシャフト10が形成されている。
【0037】
図3から
図5などに示されるように、可動部材2は、ガイドシャフト10に通されており、内周面に螺旋溝(雌ネジ)が形成され大径領域5aと嵌合する嵌合部2aと、突出片132a(
図2参照)を保持する保持部2bと、を備えている。可動部材2は、モータ9を駆動してリードスクリュー5を回転方向R1に回転させることで、ガイドシャフト10(X方向)に沿って嵌合部2aに対して大径領域5aが回転してモータ9に近づく方向に移動する。逆に、モータ9を駆動してリードスクリュー5を該回転方向R1と反対方向である回転方向R2に回転させることで、可動部材2はガイドシャフト10に沿ってモータ9から離れる方向に移動する。
【0038】
なお、リードスクリュー5の小径領域5bにはストッパ4が固定されており、モータ9の上部にはストッパ4と当接してリードスクリュー5の回転方向R1の回転を停止させる停止部としてのレバー3が形成されている。すなわち、ストッパ4とレバー3とで、可動部材2のX方向の移動における停止機構11を形成している。なお、ストッパ4はリードスクリュー5に固定されているので、モータ9を駆動してリードスクリュー5を回転方向R1に回転しても回転方向R2に回転しても、X方向におけるモータ9からの距離は変化しない。
【0039】
本実施形態の可動部材2は、リードスクリュー5を回転方向R1に回転させることで、
図3及び
図6で表されるようなレバー3に対して離れた位置にある状態から、
図4で表される状態を介して、
図5及び
図7で表される可動部材2とレバー3の接触部3aとが接触し、レバー3の当接部3bとストッパ4の被当接部4aとが当接している状態まで、X方向に沿って移動可能である。そして、リードスクリュー5を回転方向R2に回転させることで、
図5及び
図7で表される状態から
図3及び
図6で表される状態まで、X方向に沿って移動可能である。なお、本実施形態のストッパ4には、リードスクリュー5を回転方向において180°位相がずれた位置となるように、被当接部4aが2つ設けられている。
【0040】
図3及び
図6で表される状態においては、レバー3とストッパ4とは離れた位置にある。このため、リードスクリュー5が回転方向R1および回転方向R2に回転可能であり、すなわち可動部材2がX方向に沿ってモータ9に近づく方向およびモータ9から離れる方向に移動可能である。
【0041】
図3及び
図6で表される状態からリードスクリュー5を回転方向R1に回転させ、
図4で表される状態になると、可動部材2とレバー3の接触部3aとが接触する。ここで、レバー3は、
図6及び
図7で表されるようにY方向に沿う支軸7に通されY方向を回動軸として回動可能な支持部3gを備え、
図6から
図10で表されるように当接部3bが支持部3gと第1アーム部3eを介して繋がっており接触部3aが支持部3gと第2アーム部3fを介して繋がっている。また、
図6及び
図7で表されるように、支軸7に通されたコイルバネ8により、レバー3は、回転方向R3に押圧されている。
【0042】
図4で表される状態からさらにリードスクリュー5を回転方向R1に回転させると、接触部3aが可動部材2によりX方向におけるモータ9に近づく方向に押され、当接部3bがX方向におけるモータ9から離れる方向に移動する。すなわち、当接部3bとリードスクリュー5に固定されたストッパ4とは、単にストッパ4が近づく速度よりも速い相対速度で近づく。別の表現をすると、リードスクリュー5を回転方向R1に1回転分回転させることに伴う当接部3bとストッパ4とが近づく速度は、
図3及び
図6で表される状態ではゼロであり、
図4で表される状態では可動部材2のリードスクリュー5に対する移動速度よりも速くなる。そして、当接部3bとストッパ4とが接触し、
図5及び
図7で表される状態となる。
【0043】
当接部3bとストッパ4とが接触している状態においては、詳細には、
図7で表されるように、当接部3bに形成された当接面3c(
図9及び
図10参照)と被当接部4aに形成された被当接面4b(
図11参照)とが面接触する。ここで、当接面3cは、当接部3bにおける、リードスクリュー5(すなわちストッパ4)を回転方向R1に回転させた場合に、該回転方向R1において被当接面4bが向かってくる側に形成されている。逆に言うと、被当接面4bは、被当接部4aにおける、リードスクリュー5を回転方向R1に回転させた場合に該回転方向R1において当接面3cに対して向かう側に形成されている。そして、
図6などで表されるように、当接部3bは、被当接面4bが向かってくる方向における先頭側(当接面3c側)から後方側(当接面3cとは反対側)に向かって、厚みが薄くなっている。同様に、被当接部4aは、当接面3cに対して向かう方向における先頭側(被当接面4b側)から後方側(被当接面4bとは反対側)に向かって、厚みが薄くなっている。
【0044】
本実施形態の可動部材2は、当接部3b及び被当接部4aが一方側の端部に向かって厚みが薄くなる形状になっていることで、
図5及び
図7で表される状態から可動部材2を反転動作(X方向におけるモータ9から離れる方向に移動)させた場合に、当接部3bと被当接部4aとが意図せず接触することを抑制できる構成になっている。ここで
図12は、
図5及び
図7に対応する状態であって、当接面3cと被当接面4bとが当接している状態を表している。
図12で表される状態からリードスクリュー5を回転方向R2に約半回転分(半回転弱)だけ回転させると、
図13で表される状態となる。リードスクリュー5を回転方向R2に回転させると、当接部3bはX方向におけるモータ9に近づく方向に移動し、被当接部4aはX方向におけるモータ9から離れる方向に移動する。このため、
図13で表される状態からさらにリードスクリュー5を回転方向R2に回転させても、当接部3bと被当接部4aとが干渉することはない。
【0045】
しかしながら、
図13中の一点鎖線で表されるように、当接部3b及び被当接部4aが一方側の端部に向かって厚みが薄くなる形状になっていないと、
図12で表される状態からリードスクリュー5を回転方向R2に回転させると当接部3b及び被当接部4aが干渉する虞がある。これは、当接部3bがY方向(リードスクリュー5の回転方向)分の厚さがあるため、リードスクリュー5を回転方向R1に回転させて当接部3bと被当接部4aとを接触させた位置からリードスクリュー5を回転方向R2に回転させると、180°回転させる前に当接部3bと被当接部4aの端部(当接面3c及び被当接面4bとは反対側)がリードスクリュー5の回転方向において接近するためである。リードスクリュー5の回転方向R2における回転量が少なくなると、当然、当接部3b及び被当接部4aのX方向において離れる移動量も少なくなる。
【0046】
ここで、一旦まとめると、本実施形態の送りネジ装置1は、嵌合部2aに雌ネジが形成されている可動部材2と、大径領域5aに雄ネジを有し、回転方向R1及び回転方向R2に回転することで、大径領域5aの雄ネジに嵌合部2aの雌ネジが取り付けられている可動部材2を、軸方向であるX方向に移動させるリードスクリュー5と、リードスクリュー5の小径領域5bに取り付けられており、リードスクリュー5と一体的に回転するストッパ4と、可動部材2のX方向における移動に伴って該ストッパ4と当接してリードスクリュー5の回転を停止させるレバー3と、を備えている。このように、本実施形態の送りネジ装置1は、リードスクリュー5と一体的に回転するストッパ4を使用していることで、リードスクリュー5を回転することに伴うストッパ4にかかる力をネジ部分(嵌合部2a及び大径領域5a)以外でうけることができる構成になっている。このため、このような簡単な構成で、ネジ部分への負荷を抑制している。
【0047】
また、上記のように、本実施形態のレバー3は、可動部材2のX方向における移動に伴って動作し、該動作に伴ってストッパ4と当接することでリードスクリュー5の回転を停止させることができる構成としている。本実施形態の送りネジ装置1は、このような構成の停止部を使用していることで、その動作量(接触部3aが可動部材2に押されることに伴う当接部3bのX方向における移動量)を調整することなどして、可動部材2を反転動作する際のレバー3のストッパ4に対する引っ掛かりを抑制している。さらに、レバー3をこのような構成とすることで、該動作量を調整することなどして、ネジのピッチ(リードスクリュー5の1回の回転に対する可動部材2のX方向における移動量)を幅広い範囲にすることができる。
なお、停止部の構成や形成位置は上記の実施形態に限定されない。レバー形状でなくてもよいし、本実施形態とは異なる位置に取り付けられていてもよい。また、本実施形態のレバー3における可動部材2のX方向における移動に伴う動作は、可動部材2の移動に伴って接触部3aが可動部材2に接触することで当接部3aが可動部材2の移動方向とは反対方向に移動する動作であるが、このような動作に限定されず、停止部の構成や形成位置などに応じて任意の構成とすることができる。
例えば、本実施例のようにリードスクリュー5に沿うガイドシャフト10を備え、可動部材2がガイドシャフト10が挿通されている構成においては、停止部が可動部材に形成される構成であってもよい。このような構成であれば、停止部を通して可動部材2へ伝わる負荷が全てリードスクリュー5におけるネジ部分へ伝わらないので、ネジ部分への負荷を抑制できる。
【0048】
また、上記のように、本実施形態のレバー3を、可動部材2の移動に伴って可動部材2と接触する接触部3aと、可動部材2の移動により可動部材2が接触部3aを押圧することに伴って可動部材2の進行方向とは反対側に向かって動いてストッパ4に当接する当接部3bと、を有する構成としていることで、可動部材2の移動に伴って動作する構成を簡単に形成している。
また、当接部3bが可動部材2の進行方向とは反対側に向かって動く構成としていることで、ストッパ4と当接部3bとの相対的な接近速度及び離間速度を可動部材2の移動速度よりも速くすることができ、簡易で確実な動作とすることができる。
【0049】
詳細には、本実施形態のレバー3を、X方向と直交する方向(Y方向)を回動軸として回動可能な支持部3gと接触部3aとが第2アーム部3fを介して繋がっており、該支持部3gと当接部3bとが第1アーム部3eを介して繋がっている構成としていることで、可動部材2の移動に伴って動作する構成を簡単に形成している。特に、当接部3bが可動部材2の進行方向とは反対側に向かって動く構成を簡単に形成している。
【0050】
また、
図8で表されるように、本実施形態のレバー3における当接部3bから支持部3gまでの距離L1を接触部3aから支持部3gまでの距離L2よりも長くしている。このように、当接部3bから支持部3gまでの距離L1を接触部3aから支持部3gまでの距離L2よりも長くしていることで、可動部材2が接触部3aを押圧する距離に対する可動部材2の進行方向とは反対側に向かって動く当接部3bの移動量を大きくしている。そして、可動部材2が接触部3aを押圧する距離に対する可動部材2の進行方向とは反対側に向かって動く当接部3bの移動量を大きくしていることで、可動部材2を反転動作する際のレバー3のストッパ4に対する引っ掛かりを効果的に抑制している。
【0051】
また、上記のように、本実施形態の送りネジ装置1は、モータ9を有し、リードスクリュー5がモータ9のロータ軸と一体に形成されている。本実施形態の送りネジ装置1は、このような構成としていることで、装置構成を簡単にしている。
【0052】
また、
図3から
図5で表されるように、本実施形態の送りネジ装置1は、X方向と直交する方向に面を有する2つの側面側平板部材12aと該2つの側面側平板部材12aの夫々と繋がる底面側平板部材12bとを有するフレーム12を備えている。そして、2つの側面側平板部材12aの一方側にはリードスクリュー5の軸受13が設けられ、2つの側面側平板部材12aの他方側にはモータ9が設けられる構成になっている。本実施形態の送りネジ装置1は、このような構成となっていることで、フレーム12を基準にモータ9などの各部材を取り付けることができるので位置精度を高くすることができる。また、このような構成となっていることで、リードスクリュー5を対向する側面側平板部材12aでしっかり支持させることができる。また、底面側平板部材12bを用いて、所望の取り付け位置に、本実施形態の送りネジ装置1を簡単に取り付けることができる。
【0053】
また、
図3から
図5で表されるように、本実施形態の送りネジ装置1においては、当接部3bは、可動部材2と側面側平板部材12aとの間のX方向における位置で、ストッパ4と当接するように構成されている。このため、本実施形態の送りネジ装置1は、対向する側面側平板部材12aでしっかり支持された位置で、当接部3bとストッパ4とを当接させることができる構成になっている。また、ネジが形成されていない小径領域5bの上方で当接部3bとストッパ4とを当接させるので、装置の小型化を可能にしている。
【0054】
また、
図3から
図5で表されるように、本実施形態の送りネジ装置1においては、レバー3は、モータ9の上部に配置されているので、装置構成を効率化することができ、装置を小型化することができる。
【0055】
また、上記のように、本実施形態の当接部3bおよび被当接部4aは一方側の端部に向かって厚みが薄くなる形状になっており、可動部材2を反転動作させた場合に、当接部3bと被当接部4aとが意図せず接触することを抑制できる構成になっている。
別の表現をすると、本実施形態の当接部3bおよび被当接部4aには、リードスクリュー5を第1方向(回転方向R1)に回転させて当接部3bと被当接部4aとを当接させた状態(
図5、
図7及び
図12参照)からリードスクリュー5を第1方向とは逆の第2方向(回転方向R2)に回転させた際(
図13参照)に、当接部3bと被当接部4aとの当接を回避する、逃げ部6が形成されている。このように逃げ部6を形成していることで、可動部材2を第1方向(可動部材2を所定の停止位置に向かう方向に移動させる方向)に移動させて当接部3bと被当接部4aとを当接させて所定の停止位置に停止させた後に可動部材2を第2方向に移動(反転動作)させたときに、当接部3bと被当接部4aとが意図せず接触してレバー3とストッパ4とが引っ掛かり、リードスクリュー5の回転が妨げられて反転動作不良を引き起こすことを抑制している。
【0056】
ストッパ4についてさらに説明すると、本実施例のストッパ4は、環状部分4cと被当接部4a(環状部分4cの軸径よりも太い部分)とを有しており、被当接部4aは環状部分4cを基準に180度離れたところに2箇所ある。これら被当接部4aは、1つでもよいし、場合によっては3つ以上あってもよい。逃げ部6は、リードスクリュー5が一回転することで可動部材2がリードスクリュー5に沿って方向Xに進む距離よりも、逃げ量が大きくなるように傾いた角度となるように構成されている。
【0057】
なお、本実施形態の送りネジ装置1においては、
図6、
図7、
図12及び
図13などで表されるように、当接部3bおよび被当接部4aの両方に逃げ部6が形成されている。このため、本実施形態の送りネジ装置1は、可動部材2を反転動作させた際の当接部3bと被当接部4aとの接触を効果的に抑制できる構成になっている。ただし、このような構成に限定されず、当接部3b側の逃げ部6a及び被当接部4a側の逃げ部6bのいずれか一方にのみ逃げ部6を備える構成としてもよい。
【0058】
また、
図6、
図9、
図11及び
図13などで表されるように、本実施形態の逃げ部6は、当接部3bおよび被当接部4aがX方向に対向する場合においてX方向と直交する位置から見て対向する領域が斜面となる傾斜面である(傾斜している)。このため、本実施形態の送りネジ装置1においては、簡単に逃げ部6を構成している。
【0059】
また、
図12などで表されるように、本実施形態の送りネジ装置1は、当接部3bには当接面3cが設けられ、被当接部4aには被当接面4bが設けられている。そして、レバー3は、被当接面4bに対して当接面3cが当接することでリードスクリュー5の回転を停止させる構成である。このため、本実施形態の送りネジ装置1は、被当接部4aと当接部3bとが面接触するので、被当接部4aと当接部3bにかかる力を効果的に受け合うことができる構成になっている。
【0060】
また、
図3から
図10で表されるように、本実施形態のレバー3は、ストッパ4との当接部3bと、当接部3bと繋がる支持部3gと、を有し、当接部3bは支持部3gと第1アーム部3eを介して繋がっている。そして、第1アーム部3eは、X方向の剛性よりもリードスクリュー5の回転方向の剛性の方が高く構成されている。このため、本実施形態のレバー3は、ストッパ4から受ける力(リードスクリュー5の回転方向の力)を当接部3bで確りと受けることができる。そして、可動部材2を反転動作させた際にストッパ4と当接部3bとが多少引っかかったとしても第1アーム部3eがX方向に撓って該引っ掛かりを解消し、リードスクリュー5の回転が妨げられて反転動作不良を引き起こすことを抑制できる構成になっている。
なお、レバー3が変形する(第1アーム部3eがX方向に撓る)とき、該変形により反力が発生し、レバー3とストッパ4との接触部分で摩擦が発生し、ロストルクが発生する。そこで、モータ発生トルクTmから定常動作に必要なトルクTnを引いた値がレバー3とストッパ4との摩擦トルクTfよりも大きい(Tm−Tn>Tf)という力関係となるようにレバー3の剛性を設計している。
ここで、レバー3とストッパ4との摩擦トルクTfは、レバー3の反力Nと摩擦係数μと接触部分までの回転軸(リードスクリュー5の回転中心)からの半径lとの積で表すことができる(Tf=N×μ×l)。
【0061】
詳細には、本実施形態の第1アーム部3eは、
図9で表されるように、X方向の厚さL3よりもY方向の厚さL4の方が厚い。別の表現をすると、X方向の厚さよりもX方向と直交するY方向の厚さの方が厚い領域を有する。本実施形態のレバー3は、このような構成の第1アーム部3eとすることで、X方向の剛性よりもリードスクリュー5の回転方向の剛性の方が高い構成を簡単に形成している。
【0062】
また、
図6および
図7で表されるように、本実施形態の支持部3gはX方向と交差する方向(Y方向)を回動軸(支軸7)として回動可能に構成されている。本実施形態のレバー3は、このような構成とすることで、当接部3bをストッパ4に当接させる構成を簡単に形成している。
【0063】
また、
図10で表されるように、本実施形態の第1アーム部3eは、当接部3bのストッパ4と当接する当接側(Y方向における当接面3c側とは反対側)にリブ3iが形成されている。
別の表現をすると、本実施形態の第1アーム部3eは、当接部3bのストッパ4と当接する当接側におけるX方向の厚さL3b(
図10参照)が当接側の反対側におけるX方向の厚さL3a(
図8参照)よりも薄い。本実施形態のレバー3は、このように、当接側におけるX方向の厚さL3bが当接側の反対側におけるX方向の厚さL3aよりも薄い領域3hを有する第1アーム部3eを有する構成としていることで、第1アーム部3eを該第1アーム部3eの回転方向に撓みやすくし、可動部材2を反転動作させた際にストッパ4と当接部3bとが多少引っかかったとしても第1アーム部3eを該回転方向に撓ませて効果的に反転動作不良を抑制できるようにしている。
【0064】
レバー3の形状についてさらに説明すると、本実施例のレバー3は、コイルバネ8の一端を係止するバネ係止部3j(
図3から
図5参照)を有している。また、接触部3aは、Y方向における可動部材2の真ん中と接触する。また、当接面3cは、リードスクリュー5の軸線方向に沿った面となっている。また、
図9で表されるように、当接部3bには、下側(第2アーム部3f側とは反対側)に切欠き3dを有している。本実施例のレバー3は、このような位置に切欠き3dを有していることで、ストッパ4に引っ掛かることを抑制している。すなわち、本実施例の切欠き3dの形成位置はリードスクリュー5の回転動作中に最もストッパ4側に近づくので、この部分に切欠き3dを形成することで、引っ掛かり易い部分をカットしている。
【0065】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。例えば、上述の送りネジ装置1は、ヘッドアップディスプレイ装置1000以外の装置にも適用することができる。
また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…送りネジ装置、2…可動部材、2a…嵌合部、2b…保持部、
3…レバー(停止部)、3a…接触部、3b…当接部、3c…当接面、3d…切欠き
3e…第1アーム部、3f…第2アーム部、3g…支持部、3h…薄い領域、
3i…リブ、3j…バネ係止部、4…ストッパ、4a…被当接部、4b…被当接面、
4c…環状部分、5…リードスクリュー、5a…大径領域、5b…小径領域、
6…逃げ部、6a…当接部3b側の逃げ部、6b…被当接部4a側の逃げ部、
7…支軸(回動軸)、8…コイルバネ、9…モータ、10…ガイドシャフト、
11…停止機構、12…フレーム、12a…側面側平板部材、
12b…底面側平板部材、13…軸受、100…車両、
101…インストルメントパネル、102…表示装置、103…フロントガラス、
104…運転者、110…液晶表示器、111…光源、112…液晶表示素子、
120…第1の反射器、121…コールドミラー、121a…ガラス基板、
121b…第1の反射層、122…取付部材、130…第2の反射器、
131…凹面鏡131、131a…第2の反射層、132…ミラーホルダ、
132a…突出辺、140…ハウジング、141…上側ケース、141a…開口部、
142…下側ケース、143…内部空間、144…透過性カバー、150…配線基板、
1000…ヘッドアップディスプレイ装置、A…回転軸、L…表示光、
L1…当接部3bから支持部3gまでの距離、
L2…接触部3aから支持部3gまでの距離、
L3…第1アーム部3eのX方向の厚さ、
L3a…当接側の反対側におけるX方向の厚さ、
L3b…当接側におけるX方向の厚さ、L4…第1アーム部3eのY方向の厚さ、
V…虚像